JP5052176B2 - 燃料油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、燃料油組成物、特にディーゼル自動車用の燃料に用いる軽油組成物に関し、酸化安定性に優れる低硫黄軽油組成物に関するものである。
ディーゼル車から排出されるNOxや粒子状物質(PM)を低減することは社会的な要請事項となっており、ディーゼル自動車用燃料油として使用される軽油には、粒子状物質の一成分であるサルフェート(硫化物)の低減、かつ排出ガスの後処理技術における触媒被毒の抑制の他、後処理効率を向上させるために、燃料油中の硫黄分を低減させることが求められている。軽油の低硫黄化の手段としては、軽油留分を水素化脱硫することが一般的に知られているが、水素化脱硫においては、軽油留分中の硫黄分のみならず、軽油留分中に元来含有している抗酸化物質(アミン系化合物、フェノール系化合物等)も水素化処理されるため、水素化脱硫の進んだ低硫黄軽油では、酸化安定性が低下し、貯蔵時等に過酸化物、スラッジ等が生成しやすくなることが知られている。
また、近年重質油から軽質油を製造する技術として分解処理技術の普及が進んでおり、これらの装置から製造される分解系軽油基材は軽油製造に使用されるケースが少なくない。重質油分解処理技術には、水素化分解、流動接触分解、熱分解等が挙げられるが、いずれの反応においても、高温の条件下で重質炭化水素鎖を解裂し、軽質油を得る。この際に副生するアルキルラジカルが自動酸化反応を促進し、油の安定性を低下させることが知られている。軽油の酸化安定性は、自動車実用性能の中でも重要な性能の一つであり、低硫黄化や分解系基材の使用による軽油の安定性低下は大きな懸念材料となっている。
田口裕久,「出光技報」,1996年,39巻2号 ラッセル、ブラウン(T.Russell,D.Brown),「ワールド リファイニング(World Refining)」,2000年4月,p.40 オーエン、コリー(K.Owen,T.Coley),「オートモーティブ フューエルズ リファレンス ブック セカンド エディション(Automotive Fuels Reference Book 2nd Edition)」,1995年,p.504
本発明は、このような条件下で酸化安定性に優れた低硫黄軽油組成物を提供することを目的とするものである。
本発明者らは、低硫黄軽油の酸化安定性について鋭意検討した結果、燃料基材の酸価と、添加剤配合比からなる指数を設定し、且つ酸化防止剤を適正量添加することによって、酸化安定性に優れた燃料設計が可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、燃料基材の酸価をA(mg−KOH/g)、脂肪酸メチルエステル分の含有量をB(質量%)、グリセリンのカルボン酸エステルからなる潤滑性向上剤の添加量をC(mg/L)、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる低温流動性向上剤及び/又は極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤の添加量をD(mg/L)としたとき、フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤の添加量E(mg/L)が、以下の式(1)を満たす量を配合することを特徴とする、硫黄含有量が10質量ppm以下、HFRRのWSD1.4が460μm以下である燃料油組成物の製造方法に関する。
100×A+10×B+0.05×C+0.05×D ≦ E ≦1000×A+100×B+0.1×C+0.1×D (1)
また、本発明は、燃料基材の酸価をA(mg−KOH/g)、脂肪酸メチルエステル分の含有量をB(質量%)、酸系の潤滑性向上剤の添加量をC(mg/L)、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる低温流動性向上剤及び/又は極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤の添加量をD(mg/L)としたとき、フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤の添加量E(mg/L)が、以下の式(2)を満たす量を配合することを特徴とする、硫黄含有量が10質量ppm以下、HFRRのWSD1.4が460μm以下である燃料油組成物の製造方法に関する。
100×A+10×B+0.1×C+0.1×D ≦ E ≦1000×A+100×B+0.2×C+0.2×D (2)
また、本発明は、115℃、16時間、酸素吹込条件下での酸化安定性試験における酸価の増加量が0.2(mg−KOH/g)以下であることを特徴とする前記記載の燃料油組成物の製造方法に関する。
また、本発明は、引火点が45℃以上、蒸留性状90%留出温度が350℃以下、動粘度(30℃)が1.7mm/s以上、セタン指数45以上、密度が750kg/m以上850kg/m以下であることを特徴とする前記記載の燃料油組成物の製造方法に関する。
本発明によれば、燃料基材の酸価と、添加剤配合比からなる指数を設定し、且つ酸化防止剤を適正量添加することによって、酸化安定性に優れた低硫黄軽油を提供することができる。
以下、本発明の内容を詳しく説明する。
本発明の燃料油組成物の製造方法は、燃料基材の酸価をA(mg−KOH/g)、脂肪酸メチルエステル分の含有量をB(質量%)、グリセリンのカルボン酸エステルからなる潤滑性向上剤の添加量をC(mg/L)、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる低温流動性向上剤及び/又は極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤の添加量をD(mg/L)としたとき、フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤の添加量E(mg/L)が、以下の式(1)を満たす量を配合することを特徴とする。
100×A+10×B+0.05×C+0.05×D ≦ E ≦1000×A+100×B+0.1×C+0.1×D (1)
本発明の燃料油組成物を構成する基材としては、常圧蒸留によって得られる灯油留分あるいは軽油留分を水素化脱硫したもの、熱分解、流動接触分解から得られる灯油留分あるいは軽油留分を水素化脱硫したもの、水素化分解から得られる灯油留分あるいは軽油留分などが挙げられる。また、FT合成基材、動植物由来の処理油等をこれらの基材に配合することができる。
燃料基材の酸価A(mg−KOH/g)については特に制限はないが、部材への適合性の点から、好ましくは5mg−KOH/g以下であり、より好ましくは3mg−KOH/g以下である。
本発明の燃料油組成物において用いられる脂肪酸メチルエステルとしては、炭素数3〜30の脂肪酸のメチルエステルが挙げられる。炭素数3〜20の脂肪酸としては、具体的には、飽和脂肪酸と称する分子構造中に不飽和結合を有しない脂肪酸である酪酸(CCOOH)、カプロン酸(C11COOH)、カプリル酸(C15COOH)、カプリン酸(C19COOH)、ラウリン酸(C1123COOH)、ミリスチン酸(C1327COOH)、パルミチン酸(C1531COOH)、ステアリン酸(C1735COOH)、及び不飽和結合を1つもしくは複数有する不飽和脂肪酸であるオレイン酸(C1733COOH)、リノール酸(C1731COOH)、リノレン酸(C1729COOH)、リシノレン酸(C1732(OH)COOH)などを好ましく用いることができる。
燃料油組成物中の脂肪酸メチルエステル分の含有量B(質量%)は特に制限はないが、組成物全量基準で、通常0〜10質量%が好ましく、より好ましくは0〜5質量%である。
脂肪酸アルキルエステル混合物配合量が極めて多い場合は、燃料の酸化安定性等に問題が生じてしまう。
本発明の燃料油組成物において用いられる潤滑性向上剤としては、エステル系または/酸系の潤滑性向上剤が挙げられる。
エステル系の潤滑性向上剤としては、グリセリンのカルボン酸エステルが挙げられる。カルボン酸エステルを構成するカルボン酸は、1種であっても2種以上であってもよく、その具体例としては、リノ−ル酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸等がある。
酸系の潤滑性向上剤としては、例えば、リノ−ル酸、オレイン酸、サリチル酸、パルミチン酸、ミリスチン酸、ヘキサデセン酸及び上記カルボン酸の2種以上の混合物が例示できる。
潤滑性向上剤の添加量C(mg/L)については特に制限はないが、後記するHFRRの磨耗痕径WS1.4が460μmを超えない範囲が好ましく、具体的には、組成物全量基準で35mg/L以上であることが好ましく、50mg/L以上であることがより好ましい。
なお、潤滑性向上剤が酸系である場合には、酸化防止剤の添加量E(mg/L)が、以下の式(2)を満たすことが好ましい。
100×A+10×B+0.1×C+0.1×D ≦ E ≦1000×A+100×B+0.2×C+0.2×D (2)
酸化防止剤の添加量Eが上式の下限未満の場合には添加効果が不十分であり、一方、上式の上限を超えて添加しても更なる向上効果は得られない。
本発明の燃料油組成物において用いられる低温流動性向上剤としては、具体的には、エチレン−酢酸ビニル共重合体に代表されるエチレン−不飽和エステル共重合体、アルケニルコハク酸アミド、ポリエチレングリコールのジベヘン酸エステルなどの線状の化合物、アルキルフマレートまたはアルキルイタコネート−不飽和エステル共重合体などからなるくし形ポリマーなどの低温流動性向上剤、フタル酸、コハク酸、エチレンジアミン四酢酸、ニトリロ酢酸などの酸またはその酸無水物などとヒドロカルビル置換アミンなどとの反応生成物などからなる極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤などを挙げることができ、これらの化合物の1種または2種以上を組み合わせて使用してもよい。この中でも汎用性の観点から、エチレン−酢酸ビニル共重合体系添加剤、極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤を好ましく使用することができ、ワックス結晶微細化促進および、ワックスの凝集沈降を防止する点で、極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤の使用がさらに好ましい
低温流動性向上剤の添加量D(mg/L)については特に制限はないが、組成物全量基準で50〜500mg/Lであることが好ましく、100〜300mg/Lであることがより好ましい。低温流動性向上剤の含有量が50mg/L未満の場合には添加効果が不十分であり、一方、500mg/Lを超えて添加しても更なる向上効果は得られない。
本発明の燃料油組成物は、酸化防止剤を含有する。
酸化防止剤としては、石油燃料に一般的に使用されているフェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤を使用することができる。
フェノール系酸化防止剤としては、例えば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール)、2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール)、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィド、2,2’−チオ−ジエチレンビス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、トリデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、オクタデシル−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどを挙げることができる。
また、アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキルフェニル−α−ナフチルアミン、ジアルキルジフェニルアミンなどを挙げることができる。
酸化防止剤の添加量E(mg/L)は、燃料基材の酸量をA(mg−KOH/g)、脂肪酸メチルエステル分の含有量をB(質量%)、潤滑性向上剤の添加量をC(mg/L)、低温流動性向上剤の添加量をD(mg/L)としたとき、以下の式(1)を満たすように配合される。
100×A+10×B+0.05×C+0.05×D ≦ E ≦1000×A+100×B+0.1×C+0.1×D (1)
酸化防止剤の添加量Eが上式の下限未満の場合には添加効果が不十分であり、一方、上式の上限を超えて添加しても更なる向上効果は得られない。
本発明の燃料油組成物中の硫黄分濃度は10質量ppm以下であることが好ましく、5質量ppm以下であることがより好ましい。軽油の硫黄分低減化については、前述にもある通り、ディーゼルエンジン排ガスの後処理技術において極めて有利である。
本発明の燃料油組成物の蒸留性状に関し、その初留点(以下、「IBP」と略す。)は、好ましくは140℃以上、より好ましくは145℃以上、更に好ましくは155℃以上であり、また、好ましくは195℃以下、より好ましくは190℃以下、更に好ましくは180℃以下である。IBPが前記下限値未満であると、一部の軽質留分が気化し、ディーゼル自動車のエンジン内において噴霧範囲が広範囲となることに伴って排出ガス中の未燃の炭化水素量が増大し、その結果、高温時の始動性及びアイドリング時のエンジンの回転の安定性が低下する傾向にある。他方、IBPが前記上限値を超えると、ディーゼル自動車における低温時の始動性及び運転性が低下する傾向にある。
本発明の燃料油組成物の10%留出温度(以下、「T10」と略す。)は、好ましくは165℃以上、より好ましくは170℃以上、更に好ましくは180℃以上であり、また、好ましくは205℃以下、より好ましくは200℃以下、更に好ましくは190℃以下である。T10が前記下限値未満であると、一部の軽質留分が気化し、ディーゼル自動車のエンジン内において噴霧範囲が広範囲となることに伴って排出ガス中の未年の炭化水素量が増大し、その結果、高温時の始動性及びアイドリング時のエンジンの回転の安定性が低下する傾向にある。他方、T10が前記上限値を超えると、ディーゼル自動車における低温時の始動性及び運転性が低下する傾向にある。
本発明の燃料油組成物の50%留出温度(以下、「T50」と略す。)は、好ましくは200℃以上、より好ましくは205℃以上、更に好ましくは210℃以上であり、また、好ましくは260℃以下、より好ましくは255℃以下、更に好ましくは250℃以下である。T50が前記下限値未満であると、ディーゼル自動車における燃料消費率、エンジン出力、高温時の始動性、アイドリング時のエンジンの回転の安定性が低下する傾向にある。他方、T50が前記上限値を超えると、ディーゼル自動車においてエンジンから排出される粒子状物質(PM)が増加する傾向にある。
本発明の燃料油組成物の90%留出温度(以下、「T90」と略す。)は、好ましくは265℃以上、より好ましくは270℃以上、更に好ましくは275℃以上であり、また、好ましくは350℃以下、より好ましくは330℃以下、更に好ましくは325℃以下である。T90が前記下限値未満であると、ディーゼル自動車における燃料消費率、高温時の始動性、アイドリング時のエンジンの回転の安定性が低下する傾向にある。また、燃料油組成物が低温流動性向上剤を含有する場合には、低温流動性向上剤による目詰まり点等の改善効果が低下する傾向にある。他方、T90が前記上限値を超えると、ディーゼル自動車においてエンジンから排出されるPMが増加する傾向にある。
本発明の燃料油組成物の終点(以下、「EP」と略す。)は、好ましくは310℃以上、より好ましくは315℃以上、更に好ましくは320℃以上であり、また、好ましくは355℃以下、より好ましくは350℃以下、更に好ましくは345℃以下である。EPが前記下限値未満であると、ディーゼル自動車における燃料消費率、高温時の始動性、アイドリング時のエンジンの回転の安定性が低下する傾向にある。また、燃料油組成物が低温流動性向上剤を含有する場合には、低温流動性向上剤による目詰まり点等の改善効果が低下する傾向にある。他方、EPが前記上限値を超えると、ディーゼル自動車においてエンジンから排出されるPMが増加する傾向にある。
なお、本発明でいう「IBP」、「T10」、「T50」、「T90」及び「EP」とは、それぞれJIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法−常圧法」に準拠して測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物のセタン指数は、着火性の観点から、好ましくは45以上であり、より好ましくは50以上、更に好ましくは55以上である。セタン指数が45に満たない場合には、排出ガス中のPM、アルデヒド類、あるいはさらにNOxの濃度が高くなる傾向にある。なお、本発明でいう「セタン指数」とは、JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」に準拠して測定される値を意味する。
また、本発明の燃料油組成物の30℃における動粘度は、好ましくは1.7mm/s以上、より好ましくは2.0mm/s以上、更に好ましくは2.5mm/s以上であり、また、好ましくは5.0mm/s以下、より好ましくは4.5mm/s以下、更に好ましくは4.3mm/s以下である。30℃における動粘度が前記下限値未満であると、ディーゼル自動車において比較的高い温度下で使用された場合に、始動不良が起こりやすくなり、また、アイドリング時のエンジンの回転が不安定化する傾向にある。他方、30℃における動粘度が前記上限値を超えると、排ガス中の黒煙量が増大する傾向にある。なお、本発明でいう「30℃における動粘度」とは、JIS K 2283「原油及び石油製品−動粘度試験方法及び粘度指数算出方法」に準拠して測定される値を意味する。
また、本発明の燃料油組成物の引火点は、取り扱い時の安全性の点から、好ましくは45℃以上であり、より好ましくは50℃以上、更に好ましくは55℃以上である。なお、本発明でいう「引火点」とは、JIS K 2265「原油及び石油製品−引火点試験方法」に準拠して測定される値を意味する。
本発明の燃料油組成物の15℃における密度は、発熱量確保の点から、750kg/m以上が好ましく、760kg/m以上がより好ましく、770kg/m以上がさらに好ましい。また、当該密度は、NOx、PMの排出量を低減する点から、850kg/m以下が好ましく、845kg/m以下がより好ましく、840kg/m以下がさらに好ましい。なお、ここでいう密度とは、JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される密度を意味する。
また、本発明の燃料油組成物のHFRRの磨耗痕径WS1.4は460μm以下であることが好ましく、より好ましくは400μm以下、さらには380μm以下となる潤滑性能を有することが好ましい。HFRRの磨耗痕径WS1.4が460μmを超える場合は、特に分配型噴射ポンプを搭載したディーゼルエンジンにおいて、運転中のポンプの駆動トルク増、ポンプ各部の磨耗増を引き起こし、排ガス性能、微小粒子性能の悪化のみならず、エンジン自体が破壊される恐れもある。また、高圧噴射が可能な電子制御式燃料噴射ポンプにおいても、摺動面等の磨耗が懸念される。なお、本発明でいうHFRR摩耗痕径(WS1.4)とは、社団法人石油学会から発行されている石油学会規格JPI−5S−50−98「軽油−潤滑性試験方法」により測定される値を意味する。
また、本発明における燃料油組成物は、115℃、16時間、酸素吹込の条件下での酸化安定性試験における酸価の増加量が0.2(mg−KOH/g)以下であることが好ましい。この酸価増加量は、0.12(mg−KOH/g)以下であることがより好ましく、0.10(mg−KOH/g)以下であることがさらに好ましい。ここでいう酸価は、試料1g中の酸性成分量を表す指標であり、酸価の増加量が0.2(mg−KOH/g)を超える場合には、酸性化合物による部材への悪影響が懸念される。なお、本明細書における酸価は、JIS K 2276「石油製品−航空燃料油試験方法」にある酸価試験方法に記載の方法に準拠して測定した酸価を意味する。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。
(実施例1〜3および比較例1〜3)
表1に示す実施例1〜3および比較例1〜3の燃料油組成物において、酸化安定性試験を実施し、試験前後の酸価を測定した。試験結果を表1に示す。なお、全酸価は、JIS K 2501「石油製品及び潤滑油−中和価試験方法」により測定される値を意味する。酸化安定性試験は、ASTM D2274−94に準拠して、115℃、酸素バブリング下、16時間の条件下で行った。
表1に示すように、燃料基材の酸価と添加剤配合比からなる指数を設定し、酸化防止剤を適正量添加することによって、酸化安定性に優れた燃料油を得ることができる。
Figure 0005052176

Claims (4)

  1. 燃料基材の酸価をA(mg−KOH/g)、脂肪酸メチルエステル分の含有量をB(質量%)、グリセリンのカルボン酸エステルからなる潤滑性向上剤の添加量をC(mg/L)、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる低温流動性向上剤及び/又は極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤の添加量をD(mg/L)としたとき、フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤の添加量E(mg/L)が、以下の式(1)を満たす量を配合することを特徴とする、硫黄含有量が10質量ppm以下、HFRRのWSD1.4が460μm以下である燃料油組成物の製造方法
    100×A+10×B+0.05×C+0.05×D ≦ E ≦1000×A+100×B+0.1×C+0.1×D (1)
  2. 燃料基材の酸価をA(mg−KOH/g)、脂肪酸メチルエステル分の含有量をB(質量%)、酸系の潤滑性向上剤の添加量をC(mg/L)、エチレン−酢酸ビニル共重合体からなる低温流動性向上剤及び/又は極性窒素化合物を含有する低温流動性向上剤の添加量をD(mg/L)としたとき、フェノール系酸化防止剤及び/又はアミン系酸化防止剤の添加量E(mg/L)が、以下の式(2)を満たす量を配合することを特徴とする、硫黄含有量が10質量ppm以下、HFRRのWSD1.4が460μm以下である燃料油組成物の製造方法
    100×A+10×B+0.1×C+0.1×D ≦ E ≦1000×A+100×B+0.2×C+0.2×D (2)
  3. 115℃、16時間、酸素吹込条件下での酸化安定性試験における酸価の増加量が0.2(mg−KOH/g)以下であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料油組成物の製造方法
  4. 引火点が45℃以上、蒸留性状90%留出温度が350℃以下、動粘度(30℃)が1.7mm/s以上、セタン指数45以上、密度が750kg/m以上850kg/m以下であることを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載の燃料油組成物の製造方法
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