JP4896652B2 - 圧縮自己着火エンジン用燃料油組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、自動車エンジン用などの燃料に関し、更に詳しくは、様々な運転条件においても優れた排気ガス特性を示す予混合圧縮自己着火燃焼を達成することができる燃料油組成物に関する。
近年、環境問題から自動車から排出される排気ガスの低減やエンジンの熱効率の向上が求められている。ディーゼルエンジンは、ガソリンエンジンに比べ熱効率が高く、地球温暖化に関係があるといわれている二酸化炭素(CO)の排出量が低い特性を有する。しかしながら、通常の拡散燃焼によるディーゼルエンジンでは、部分的に燃料の濃度が濃すぎる、高温燃焼な領域が形成されるなどの理由により、スモークや酸化窒素(NOx)の排出が問題となっている。これを解決するための新技術として、予混合圧縮自己着火エンジンが注目されている(例えば、非特許文献1参照)。
上記予混合圧縮自己着火エンジンで行われる予混合圧縮自己着火燃焼は、燃料と空気が希薄予混合された状態で圧縮されることにより、燃料が自己着火し燃焼する現象であり、ディーゼルエンジンにおいても、燃料を早期にかつ最適なタイミングで噴射することによって希薄予混合気を形成し、それを圧縮着火させることにより、排気ガス中のNOxやスモークを同時に低減することが可能である。しかしながら、特に高負荷条件において予混合圧縮着火燃焼を応用すると、混合気形成の悪化や急速な燃焼形態により排出ガスが増加するだけでなく燃焼騒音の増大も発生する場合があり、予混合圧縮自己着火燃焼は比較的負荷の低い領域に限られている。したがって、高負荷領域での運転は、燃料噴射時期を変化させることにより通常の拡散燃焼を行う運転が必要となるため、予混合圧縮自己着火エンジンにおいても、一般的なディーゼルエンジンの燃料噴射ノズル(ホールノズル)や燃焼室形状が求められる。ここで、ホールノズルを用いた通常のディーゼルエンジンにおいて、一般的な軽油を用いて早期噴射による予混合圧縮自己着火燃焼により運転を行った場合、従来の一般的な軽油を用いたディーゼル燃焼による運転の場合に比べれば、NOxやスモークの発生が抑制されて、排気ガス中のNOxやスモークが少ない優れた特性を示すものの、まだNOxやスモークの発生の抑制が満足できるものではない。また、燃料の噴射時期が若干変化するとスモークの増加を招くなど、十分に優れた特性を示す予混合圧縮自己着火燃焼を達成することは困難であった(例えば、非特許文献1参照)。
予混合圧縮自己着火燃焼では、燃料がエンジンシリンダー内に噴射された後、空気と予混合され、燃料の酸化反応が逐次的に進行し着火・燃焼という過程を経るので、燃料と空気の予混合気の形成と着火時期が重要なポイントであって、燃料自体の物理特性や化学特性が大きく影響するため、燃料の性状によっては、上記の課題を解決し、通常のホールノズルや燃焼室形状のディーゼルエンジンにおいても予混合圧縮自己着火燃焼を達成できる可能性があり、例えば、特許文献1では、燃料組成物の蒸留性状やセタン価を制御することにより排出ガスの少ない予混合圧縮着火燃焼が可能になることが示されている。
公開特許公報「特開2004-315604」 Rudolf H. Stanglemaier and Charles E. Roberts, SAE Paper NO.1999−01−3682
しかしながら、自動車用エンジンでは、一定の燃料噴射時期において常に燃料を噴射するわけではなく、運転条件(回転数や負荷など)によって燃料噴射時期が変化することになり、場合によってはNOxやスモークの低減を十分に達成する燃料噴射時期の最適点をはずれることになる。そのような場合、NOxやスモークが多く排出され、排出ガスの悪化が懸念される。
そこで、様々な運転条件の中、燃料噴射時期が最適点を外した場合であっても優れた排出ガス特性を示す予混合圧縮着火燃焼特性を実現することが重要である。特に、燃料品質の更なる改善により、燃料噴射時期が変化した場合であっても、スモーク増加に対する感受性の低い燃料油組成物が要望されている。
本発明は、上記従来の状況に鑑みてなされたものであり、予混合圧縮自己着火燃焼において、噴射時期が排出ガスに及ぼす影響の大きさに着目し、様々な燃料噴射時期においても、十分に優れた排気ガス特性を示す燃料油組成物を提供することを目的とする。
そこで、本発明者らは、上記目的を達成するために鋭意研究を重ねた結果、最適な燃料噴射時期よりも進角した条件で燃料が噴射される場合には燃料油の重質な留分の性状が、また最適な燃料噴射時期よりも遅角した条件で燃料が噴射される場合には、軽質から、中質、重質な留分の性状や軽質な留分の割合を制御することが必要であることを見出した。すなわち、様々な燃料噴射時期においても十分に優れた排気ガス特性を示す燃料油組成物を提供するためには、燃料油の軽質留分から中質、重質留分に至る全ての性状や留分の割合を制御させる必要があることを見出し、燃料の硫黄分、セタン価、組成、動粘度の他に、燃料の重質さを示す指標と重質さと軽質留分の割合からなる指数を特定することで、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、上記目的を達成するために、次の予混合圧縮自己着火エンジン用燃料油組成物を提供するものである。
(1)硫黄分が10質量ppm以下であり、セタン価が30〜50の範囲にあり、全芳香族量が30容量%以下であり、2環以上芳香族量が3容量%以下であり、オレフィン量が10容量%以下であり、動粘度が0.4mm/s〜3.0mm/sの範囲にあり、90%留出温度が330℃以下であり、次の式で表されるスモーク指数が360以下であることを特徴とする圧縮自己着火エンジン用燃料油組成物。
スモーク指数 = T10 + T90 − E150
ここで、T10は10%留出温度(℃)、T90は90%留出温度(℃)、E150は150℃における留出量(vol%)を指す
(2)硫黄分が10質量ppm以下であり、セタン価が0〜48の範囲にあり、全芳香族量が45容量%以下であり、オレフィン量が30容量%以下であり、50%留出温度が150℃以下である留分Aと、
硫黄分が10質量ppm以下であり、セタン価が43〜95の範囲にあり、全芳香族量が30容量%以下であり、オレフィン量が5容量%以下であり、50%留出温度が150〜300℃である留分Bとを混合してなることを特徴とする請求項1に記載の圧縮自己着火エンジン用燃料油組成物。
(3)全燃料油組成物中に占める留分Aの体積混合割合が20vol%以上であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮自己着火エンジン用燃料油組成物。
(4)留分Bの終点が250℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物。
本発明によれば、優れた排気ガス特性を示す予混合圧縮自己着火燃焼を達成することができる圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物が提供される。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、硫黄分は10質量ppm以下であって、好ましくは8質量ppm以下である。硫黄分が10質量ppm以下ならば、排気ガス中の硫黄酸化物の含有量が少なくなり、また該排気ガスを処理する触媒を被毒する可能性を低減することができる。なお、硫黄分は、JIS K 2541の微量電量滴定式酸化法により測定できる。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、セタン価は30以上50以下であって、好ましくは35以上45以下である。予混合圧縮自己着火燃焼を行う場合において、セタン価が30以上ならば、炭化水素の排出量を減少することができる。一方、セタン価が50以下であれば、予混合圧縮自己着火燃焼をより高負荷で達成しようとする場合、急激な熱発生を伴う場合が少なくなることから、燃焼騒音を低く保つことができる。なお、セタン価は、JIS K 2280のセタン価試験方法によって測定できる。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、燃料中に占める全芳香族量は30容量%以下であり、好ましくは28容量%以下である。燃料中に占める全芳香族量が30容量%以下であれば、完全燃焼性が向上することから、予混合圧縮着火燃焼時にスモークの排出を低減できる。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、燃料中に占める2環以上の芳香族量は3容量%以下であり、好ましくは2容量%以下である。2環以上の芳香族量が3容量%以下であれば、完全燃焼性が向上することから、予混合圧縮着火燃焼時にスモークの排出を低減できる。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、燃料中に占めるオレフィン量は10容量%以下であり、好ましくは8容量%以下である。燃料中に占めるオレフィン量が10容量%以下ならば、予混合圧縮着火燃焼時にスモークの排出を低減でき、また、燃料の貯蔵安定性が悪化しない。
上記燃料油組成物の芳香族量、オレフィン量は、沸点200℃程度までの留分はJIS K 2536-2 石油製品−成分試験方法により、それ以上の沸点留分については、JPI-5S-49-97に記載の方法により測定できる。留分別の芳香族量、オレフィン量については、基材の芳香族量、オレフィン量と配合処方から算出してもよいし、燃料油組成物を蒸留により分留し、それぞれを上記の方法で測定して求めてもよい。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、30℃における動粘度は0.4mm/s以上3.0mm/s以下であって、好ましくは0.4mm/s以上2.5mm/s以下、さらに好ましくは0.5mm/s以上2.0mm/s以下である。動粘度が3.0mm/s以下ならば、圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物の噴霧角度が広くなり、微粒化が促進されることから、予混合気の形成が良好となる。動粘度が0.4mm/s以上ならば、燃料ポンプなどの磨耗を低減できる。なお、動粘度は、JIS K2283の石油製品動粘度試験方法により測定できる。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、90%留出温度(T90)は330℃以下であって、好ましくは300℃ 以下である。T90が330℃以下ならば、特に燃料噴射時期が最適な条件から進角された、より早期な条件において予混合圧縮自己着火燃焼を行う場合であっても、燃料油組成物の重質分の揮発性が改善されることから、過濃混合気が形成されにくくなり、スモーク排出量を低減できる。燃料の噴射時期が早期な条件においては、混合気形成の時間的余裕はあるため、軽質分の性状より重質分の性状を制御することが重要であるためと考えられる。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、次の式で表されるスモーク指数は360以下であって、好ましくは350以下である。
スモーク指数 = T10 + T90 − E150
(ここで、T10は10%留出温度(℃)、T90は90%留出温度(℃)、E150は150℃における留出量(vol%))
スモーク指数とは、蒸留性状の中から軽質部分の蒸発特性を示す10%留出温度と重質部分の蒸発特性を示す90%留出温度、150℃という比較的軽質な成分の蒸発量を示す150℃留出量と排気ガス中のスモークの反射率を相関づけた指数であり、スモーク指数が高い値ほど排気ガス中のスモーク生成量が多いことを示すものである。特に、スモーク指数が高い値ほど燃料噴射時期が最適噴射時期よりも遅角した条件におけるスモーク生成量が多くなる。
蒸留性状を規定した理由としては、燃料噴射時期が最適噴射時期よりも遅角した条件では、混合気を形成する物理的な時間が短縮されてしまうため、そのような条件において混合気を迅速に形成し、NOxやスモークの排出を低減させる必要があるためである。詳しくは、10%留出温度と90%留出温度という燃料の軽質部分と重質部分の温度を規定することで、燃料全体の平均的な蒸留特性を規定し、混合気の形成を確保する必要がある。さらに、特に噴射時期が遅角した条件では、150℃で留出する比較的軽質な留分割合を多くすることにより燃料の蒸発が促進されるため、僅かな時間において混合気の形成が達成できるためである。したがって、これら10%留出温度と90%留出温度の和から150℃留出量を差し引いたスモーク指数がスモーク生成量と相関することになると考えられる。なお、150℃での留出量と混合気生成の関係については、推測の域を脱しないが、燃料が噴射された際に燃料が曝される雰囲気温度と関連しているものと考えられる。
スモーク指数が360以下ならば、特に燃料噴射時期が上死点に近い条件における予混合圧縮自己着火燃焼において、燃料油組成物の揮発性が良好となるため、容易に均一混合気が形成され、その結果、スモーク排出量を低減させることが可能となる。
なお、T90やT10、T50、E150といった蒸留性状は、JIS K 2254の石油製品蒸留試験方法の常圧法により測定できる。
また、本発明である圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物は、相対的に軽質な留分から構成される留分Aと相対的に重質な留分から構成される留分Bという2種の燃料基材を混合し、調製することも可能である。これは、様々な燃料噴射時期においても十分に優れた排気ガス特性を示す燃料油組成物を提供するためには、燃料油の軽質留分から中質、重質留分に至る全ての性状を制御させる必要があるため、相対的に軽質な留分と重質な留分の性状を個々に規定する必要があるためである。
留分Aと留分Bの混合割合としては、留分Aの割合が全成分中の20%以上が好ましい。
この場合、相対的に軽質な留分から構成される留分Aの性状としては、硫黄分が10質量ppm以下、好ましくは8質量ppm以下、セタン価が0〜48であり、更に好ましくは10〜40である。また、全芳香族量が45容量%以下、好ましくは40容量%以下、オレフィン量が30容量%以下、好ましくは25容量%以下、50%留出温度(T50)が150℃以下、好ましくは130℃以下である。
また、留分Aの終点は好ましくは250℃以下、更に好ましくは220℃以下である。
このような燃料油基材としては例えば、(i)接触分解ガソリン、脱硫軽質ナフサ、接触改質ガソリン、ブタンを配合することにより調製し、さらに着色剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤を添加したものや、(ii)軽質接触分解ガソリン、アルキレート、接触改質ガソリン、ブタンを配合することにより調製し、さらに着色剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、清浄剤を添加したもの、(iii)脱硫重質ナフサ留分などが挙げられる。
一方、相対的に重質な留分から構成される留分Bの性状としては、硫黄分が10質量ppm以下、好ましくは8質量ppm以下、セタン価が43〜95、好ましくは43〜75、全芳香族量が30容量%以下、好ましくは25容量%以下、オレフィン量が5容量%以下、好ましくは3容量%以下、50%留出温度(T50)が150℃以上300℃以下、好ましくは175〜290℃である。
さらに、留分Bの終点は好ましくは250℃以上350℃以下、更に好ましくは250℃以上340℃以下である。
このような燃料油基材としては例えば、(i)脱硫灯油留分、(ii)脱硫軽油留分、(iii)脱硫軽油留分と脱硫灯油留分から調製し、さらに流動性向上剤、潤滑性向上剤を添加したもの、などが挙げられる。
留分Aまたは留分Bにおいて、硫黄分が10質量ppm以下ならば、排気ガス中の硫黄酸化物の含有量が少なくなり、また該排気ガスを処理する触媒を被毒する可能性が低減するため好ましい。
また、留分Aのセタン価が0以上、留分Bのセタン価が43以上ならば、炭化水素の排出量が減少するため好ましく、留分Aのセタン価が48以下、留分Bのセタン価が95以下であれば、予混合圧縮自己着火燃焼をより高負荷で達成しようとする場合、急激な熱発生を伴う場合が少なくなることから、燃焼騒音を低く保つことが出来好ましい。
留分Aの全芳香族量が45容量%以下、オレフィン量が30容量%以下、留分Bの全芳香族量が30容量%以下、オレフィン量が5容量%以下ならば、予混合圧縮着火燃焼時にスモークの排出を低減でき、さらに貯蔵安定性にも優れるため好ましい。
留分Aの50%留出温度(T50)が150℃以下、留分Bの50%留出温度(T50)が150〜300℃ならば、混合気形成が促進され、予混合圧縮自己着火燃焼におけるスモークの排出を低減できるため好ましい。
留分Bの終点が250℃以上350℃以下の範囲内にあれば、特に燃料噴射時期がより早期な条件において予混合圧縮自己着火燃焼を行う場合、燃料油組成物の重質分の揮発性が良好となるため、過濃混合気が形成されにくくなり、スモークの排出が低減できる。また、夏場などの高温時においても燃料ポンプや燃料パイプ中で燃料油組成物の蒸気が多量に発生して燃料油組成物の流通が妨げられることが無くなるため好ましい。
留分Aの終点が250℃以下であれば、留分A中の軽質留分割合が十分確保できることになり、留分Bと混合した場合の揮発性が良好となるため、過濃混合気が形成されにくくなり、スモークの排出が低減できる。
また、本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、全燃料油組成物中に占める留分Aの体積混合割合は20容量%以上であることが好ましい。留分Aの体積割合が20容量%以上ならば、特に燃料噴射時期が上死点に近い条件における予混合圧縮自己着火燃焼において、燃料油組成物の揮発性が良好となり、均一混合気が容易に形成されるため、スモークの排出が低減できて好ましい。
また、本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物において、全燃料油組成物中に占める留分Bの体積混合割合は80容量%以下であることが好ましい。留分Bの体積割合が80容量%以下ならば、特に燃料噴射時期が上死点に近い条件における予混合圧縮自己着火燃焼において、燃料油組成物の揮発性が良好となり、均一混合気が用意に形成されるため、スモークの排出が低減できて好ましい。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物は、原油を常圧蒸留して得られるナフサ留分、ナフサ留分を脱硫して得られる脱硫ナフサ、脱硫ナフサを接触改質して得られる改質ガソリン、および改質ガソリンからベンゼンを取り除いた脱ベンゼン改質ガソリン、原油を常圧蒸留して得られる灯軽油留分、灯軽油留分を脱硫して得られる脱硫灯軽油、重質油を接触分解、水素化分解、あるいは熱分解して得られる、ガソリン、灯軽油留分、オレフィンとイソブタンから生成されるアルキレート、ナフサ留分を接触処理し、異性化したアイソメレート、炭素数4あるいは5の炭化水素などを適宜配合し、調製することができるし、それらを適宜混合してガソリン、灯油、軽油などに調製したあと、それらをさらに混合することによっても調製できる。また、フィッシャートロプシュ合成によるパラフィン系炭化水素やアルコール燃料、エタノール、メタノール、MTBE、ETBE、バイオディーゼル燃料、あるいは種々の炭素数を有するパラフィン系溶剤、ナフテン系溶剤、芳香族系溶剤などを原料として用いることもできる。
本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物は、上記のように各種の原料留分を適宜配合する際、燃料油組成物としての性状が本発明で規定する範囲に含まれるように調製することで製造することが可能であるが、必要に応じて、原油からの直留留分として取得することも可能である。
また、本発明の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物には、必要に応じて公知の燃料添加剤、例えば、酸化防止剤、氷結防止剤、助燃剤、帯電防止剤、防錆剤、識別剤、着色剤、清浄剤、セタン価向上剤、消泡剤、酸化防止剤、流動性向上剤、潤滑性向上剤などを、適量添加することができる。
次に、本発明を実施例および比較例によりさらに具体的に説明する。なお、本発明は、これらの例によって何ら制限されるものではない。
実施例および比較例の燃料油組成物の調製に用いた留分Aおよび留分Bの性状を表1に示す。
基材アは、接触分解ガソリン、脱硫軽質ナフサ、接触改質ガソリン、ブタンを配合することにより調製し、さらに着色剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤を添加したものであり、実施例2、3において留分Aとして使用した。また、比較例5においても留分Aとして使用した。
基材イは、軽質接触分解ガソリン、アルキレート、接触改質ガソリン、ブタンを配合することにより調製し、さらに着色剤、酸化防止剤、防錆剤、金属不活性剤、清浄剤を添加したものであり、実施例4において留分Aとして使用した。また、比較例1において留分Aとして使用した。
基材ウは、脱硫軽油留分であり、比較例4において留分Bとして使用した。
基材エは、脱硫軽油留分と脱硫灯油留分から調製し、さらに流動性向上剤、潤滑性向上剤を添加したものであり、比較例1において留分Bとして使用した。
基材オは、脱硫軽質軽油留分であり、これに潤滑性向上剤を添加したものであり、実施例3および4において留分Bとして使用した。また、比較例5においても留分Bとして使用した。
基材カは、脱硫灯油留分であり、実施例2において留分Bとして使用した。また、比較例4において留分Aとしても利用した。
基材キは、脱硫重質ナフサ留分であり、実施例1において留分Aとして使用した。
基材クは、脱硫軽質灯油留分であり、実施例1において留分Bとして使用した。
基材ケは、重質な接触改質ガソリンであり、これに酸化防止剤を添加したものであり、比較例3において留分Aとして使用した。
基材コは、芳香族溶剤の混合物であり、比較例2において留分Bとして使用した。
基材サは、炭素数6〜9のパラフィン溶剤の混合物であり、比較例2において留分Aとして使用した。
基材シは、炭素数7〜14のパラフィン溶剤の混合物であり、比較例3において留分Bとして使用した。
実施例、比較例の燃料組成物の処方を表2に示す。
実施例1は、基材キを留分Aとして、基材クを留分Bとして、体積割合で50:50で混合した。
実施例2は、基材アを留分Aとして、基材カを留分Bとして、体積割合で20:80で混合した。
実施例3は、基材アを留分Aとして、基材オを留分Bとして、体積割合で41:59で混合した。
実施例4は、基材イを留分Aとして、基材オを留分Bとして、体積割合で34:66で混合した。
比較例1は、基材イを留分Aとして、基材エを留分Bとして、体積割合で36:64で混合した。
比較例2は、基材サを留分Aとして、基材コを留分Bとして、体積割合で55:45で混合した。
比較例3は、基材ケを留分Aとして、基材シを留分Bとして、体積割合で62:38で混合した。
比較例4は、基材カを留分Aとして、基材ウを留分Bとして、体積割合で30:70で混合した。
比較例5は、基材アを留分Aとして、基材オを留分Bとして、体積割合で10:90で混合した。
Figure 0004896652
Figure 0004896652
実施例、比較例の性状を表3に示す。
Figure 0004896652
評価試験エンジンとして、直列4気筒、排気量2L、コモンレール方式の燃料噴射装置およびインタークーラー付のターボ加給機、クールド排ガス再循環装置が搭載されているディーゼルエンジンを使用した。本試験エンジンの主要緒元を表4に示す。本試験エンジンにおいて、圧縮比を15とし、燃料の噴射時期を、通常のディーゼル燃焼の場合に比べ早期に設定することにより、予混合圧縮自己着火燃焼を可能にしている。
Figure 0004896652
本試験エンジンを用いて、エンジン回転数:2000rpm、燃料噴射圧力:50Mpa、トルク:60Nmの条件で、燃料噴射時期を上死点前34°あるいは上死点前20°として予混合圧縮着火燃焼時のスモーク排出量とNOx排出量を測定した。これは、排出ガスが少なく、好適な状態で予混合圧縮着火燃焼が達成される燃料噴射時期が上死点前30°であるため、今回の試験は好適とされる上死点前30°よりも進角側である早期の時点(上死点前34°)と、遅角側である後期の時点(上死点前20°)で予混合圧縮着火燃焼を行うことで、最適燃料噴射時期を外した場合の排気ガスの性状を確認した。評価結果を表5に示す。
Figure 0004896652
*1:Filter Smoke Number;紙を通して所定量の排気ガスを吸引し、付着したスモークの反射率を測定する評価方法。評価は、真白=0、真黒=10とし、真白と真黒の間を0〜10で評価する。すなわち、測定用紙に光を照射し、その反射光を反射率計で計測することにより、次式で与えられる。
FSN=(Rf−Rs)/Rf×10
ここで、
Rf:排気ガスを吸引する前の用紙の反射率計値
Rs:排気ガスを吸引し、スモークが付着した用紙の反射率計値
ここで、排出ガスの少ない状態で好適に予混合圧縮着火燃焼が達成されると判断できるスモークレベルは、燃料噴射時期:上死点前34°の条件においては、FSN:0.4未満、燃料噴射時期:上死点前20°の条件においては、FSN:1.1未満である。
また、NOx排出量は、30ppm以下であれば予混合圧縮着火燃焼が達成されていると判断できるが、より好ましくは15ppm以下である。
表4、5から明らかなように、本発明に規定する要件を満たす実施例の燃料油組成物は、様々な燃料噴射時期においてスモークの少ない状態で予混合圧縮自己着火燃焼を達成することができ、比較例の当該要件を満たさない燃料組成物のスモーク排出より良好な排出ガス特性を示す。

Claims (4)

  1. 硫黄分が10質量ppm以下であり、セタン価が30〜50の範囲にあり、全芳香族量が30容量%以下であり、2環以上芳香族量が3容量%以下であり、オレフィン量が10容量%以下であり、動粘度が0.4mm/s〜3.0mm/sの範囲にあり、90%留出温度が330℃以下であり、次の式で表されるスモーク指数が360以下であることを特徴とする圧縮自己着火エンジン用燃料油組成物。
    スモーク指数= T10 + T90−E150
    ここで、T10は10%留出温度(℃)、T90は90%留出温度(℃)、E150は150℃における留出量(vol%)を指す。
  2. 硫黄分が10質量ppm以下であり、セタン価が0〜48の範囲にあり、全芳香族量が45容量%以下であり、オレフィン量が30容量%以下であり、50%留出温度が150℃以下である留分Aと、
    硫黄分が10質量ppm以下であり、セタン価が43〜95の範囲にあり、全芳香族量が30容量%以下であり、オレフィン量が5容量%以下であり、50%留出温度が150〜300℃である留分Bとを混合してなることを特徴とする請求項1に記載の圧縮自己着火エンジン用燃料油組成物。
  3. 全燃料油組成物中に占める留分Aの体積混合割合が20vol%以上であることを特徴とする請求項2に記載の圧縮自己着火エンジン用燃料油組成物。
  4. 留分Bの終点が250℃以上350℃以下であることを特徴とする請求項2または3に記載の圧縮自己着火燃焼用燃料油組成物。
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