JP5051255B2 - 圧電ファン及び冷却装置 - Google Patents

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Description

この発明は、放熱器の近傍から暖気を放出する圧電ファン、及び該圧電ファンを用いた冷却装置に関するものである。
近年の電子機器では、機器本体の小型化と部品の高密度実装化が進むにつれて、機器内部における発熱対策が課題となっている。例えばパーソナルコンピュータにおいては、機器本体の小型化とともに、情報処理性能を向上させるためにCPUの高速化が進んでいる。そのため、電子機器内部は、部品の高密度実装により電子機器内部の通風性が低下する一方で、発熱体であるCPUの発熱量が増大する環境となっている。よって、当該環境下において、CPUの上面に配置するヒートシンク等の放熱器で暖められた暖気を、放熱器の近傍から放出させてCPUの温度上昇を抑えることが重要な課題となっている。
そこで、例えば非特許文献1において、ヒートシンクの放熱フィン間の暖気を放熱フィンから排出する圧電ファンが提案されている。以下、非特許文献1に示されている圧電ファンと該圧電ファンを備える冷却装置との構造について、図1〜図3を用いて説明する。
図1は、非特許文献1の圧電ファン10の構成を示す斜視図であり、図2は、同圧電ファン10の構成を示す側面図である。図3は、同圧電ファン10を備える冷却装置9の構成を示す斜視図である。圧電ファン10は、振動板11と、圧電素子12A、12Bと、固定板13とを備えている。ヒートシンク20は、ベース部21から上方へ互いに平行に延びる複数の放熱フィン22を備えている。図3では回路基板にCPU等の発熱体(発熱部品)50を実装していて、この発熱体50の上面にヒートシンク20の底面が熱的に結合するように配置されている。冷却装置9は、圧電ファン10をアルミニウム製のヒートシンク20に固定することによって構成されている。
図1、図2に示すように、振動板11は、2枚の圧電素子12A、12Bが両面に貼付され、これらの圧電素子12A、12Bが伸縮することにより屈曲する。さらに、振動板11には、その屈曲により揺動される複数のブレード14が自由端側に形成されている。また、振動板11の固定端側には、固定板13が貼り付けられている。
圧電素子12A、12B及び振動板11は、中間電極となる振動板11を両面から挟むように2枚の圧電素子12A、12Bを貼付してなるバイモルフ型振動子を構成している。2枚の圧電素子12A、12Bは、それぞれの圧電セラミクッス表面に電極膜を形成している。そして、各電極と中間電極となる振動板11との間に駆動電圧を印加することによって振動板11が長手方向に撓んで屈曲振動するよう分極処理している。
ここで、2枚の圧電素子12A、12Bは、一方の圧電素子12Bが固定板13に接するように、且つ両側から振動板11の同じ部分を挟むように位置合わせしてから、振動板11に貼付けられる(図1、図2参照)。そして、振動板11の固定端部は、ヒートシンク20の放熱フィン22間の溝に複数のブレード14のそれぞれが挿入される状態で、ヒートシンク20の上部に固定板13を介してネジ15で固定される(図3参照)。
以上の構成では、発熱体50で発生する熱がヒートシンク20に伝導し、放熱フィン22によって空気が暖められ、放熱フィン22間に暖気が発生する。圧電ファン10は、駆動時、複数のブレード14の揺動により放熱フィン22間の当該暖気を放熱フィン22から排出する。
金子 寛人、"振動して風を送るヒートシンクを実演展示"、[online]、平成21年9月25日、日経WinPC、[平成21年10月16日検索]、インターネット<URL:http://pc.nikkeibp.co.jp/article/news/20090925/1018872/?f=news>
しかしながら、上述のように固定板13や両圧電素子12A、12Bを位置合わせしてから振動板11に貼り付けたとしても、固定板13と両圧電素子12A、12Bとの間には隙間Gが生じてしまう(図2参照)。これは、位置合わせの精度に限界があったり、固定板13の表面に微視的な凹凸が存在したりするためである。
振動板11における上記隙間Gの区間は、図2に示すように振動板11のみの剛性となるため、振動板11における固定板13の接合区間や両圧電素子12A、12Bの接合区間より剛性が低い。このため、非特許文献1の圧電ファン10では、振動板11の隙間Gの区間が振動して、両圧電素子12A、12Bの伸縮によって生じる振動エネルギーの一部が当該隙間Gの区間で消費されてしまい、複数のブレード14先端の振幅を弱めてしまうという知見を本願の発明者は得た。即ち、この隙間Gが圧電ファン10の送風能力を弱めてしまうことがわかった。
よって、非特許文献1の圧電ファン10をヒートシンク20に装着しても、放熱フィン22からの放熱効果が十分に得られない可能性がある。一方、近年、発熱量の大きい高速なCPUが多数登場しており、非特許文献1の圧電ファン10よりも、より大きな冷却能力が求められている。
この発明の目的は、振動板の送風能力を高めて冷却能力を向上させた圧電ファン、及び該圧電ファンを用いた冷却装置を提供することにある。
本発明の圧電ファンは、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
(1)電圧印加に応じて伸縮する圧電素子と、
前記圧電素子が接合されて前記圧電素子の伸縮により共振周波数で屈曲する振動板であって、その屈曲により揺動される振動板と、
前記振動板の固定端部を別部材に固定する固定部材と、
前記圧電素子と前記固定部材との境界が見える方向から前記振動板を側面視して、第1端部が前記振動板における前記圧電素子の接合区間内にきて、第2端部が前記振動板における前記固定部材の接合区間内にくるように、前記振動板に配置された補強部材と、を備えた。
この構成では、発熱体で発生する熱が放熱器に伝導し、放熱器によって空気が暖められ、放熱器の近傍に暖気が発生する。放熱器は、例えばヒートシンク、ヒートスプレッダである。この構成における圧電ファンは、放熱器に直接または別部材に固定され、振動板の揺動により放熱器の近傍から当該暖気を放出する。
この際、補強部材を上記の位置に配置しているため、振動板における圧電素子と固定部材との隙間の区間の剛性が増し、次のような現象が起こる。即ち、補強部材が、振動板の隙間Gの区間が振動するのを抑制して、圧電素子の伸縮によって生じる振動エネルギーの一部が当該隙間Gの区間で消費されるのを防ぎ、振動板の自由端の振幅を強める現象が起こる。よって、この構成における圧電ファンによれば送風能力を向上させることができる。
従って、この構成における圧電ファンによれば、振動板の送風能力を高めて、冷却能力を向上させることができる。
(2)上記(1)において、前記補強部材は、前記第1端部が前記振動板における前記圧電素子の接合箇所の幅方向の両側に接合され、前記第2端部が前記振動板の固定端部を前記固定部材と両面から挟むように前記振動板の固定端部に接合されている。
(3)上記(1)において、前記補強部材は、前記固定部材の一部であり、前記第1端部が前記振動板における前記圧電素子の接合箇所の幅方向の両側に接合されている。
(4)上記(1)において、前記補強部材は、前記第1端部が前記圧電素子の前記固定部材側の端部に接合され、前記第2端部が前記振動板の固定端部を前記固定部材と両面から挟むように前記振動板の固定端部に接合された。
(5)上記(4)において、前記振動板は、前記圧電素子の接合個所の幅方向の両側に除去領域を有する。
この構成において、振動板は、圧電素子の接合箇所の両側に開口部または切欠部が形成された形状となっている。
(6)上記(1)において、前記補強部材は、前記第1端部が前記振動板を前記圧電素子と両面から挟むように前記振動板に接合され、前記第2端部が前記振動板の固定端部を前記固定部材と両面から挟むように前記振動板の固定端部に接合されている。
この構成では、圧電素子および振動板がユニモルフ型振動子を構成する場合に適用される。
(7)上記(1)から上記(5)のいずれかにおいて、前記圧電素子は、前記振動板の両面を挟む位置に2つ接合されている。
ここでは、圧電素子および振動板がバイモルフ型振動子を構成している。この構成により、印加電圧に対する屈曲変位量が大きくなり、振動板の自由端の振幅が大きくなる。そのため、圧電ファンの送風能力が一層向上する。
(8)発熱体で発せられる熱を放熱する放熱器に前記固定部材が固定される。
この構成における圧電ファンは、放熱器に固定され、振動板の揺動により放熱器の近傍から当該暖気を放出する。
また、本発明の冷却装置は、前記課題を解決するために以下の構成を備えている。
(9)上記(8)に記載の圧電ファンと、
前記放熱器と、を備え、
前記放熱器は、複数の放熱フィンを有するヒートシンクであり、
前記振動板は、複数のブレードが自由端側に形成された形状であり、
前記固定部材は、前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィン間の溝に前記複数のブレードのそれぞれが挿入される状態で、前記振動板の固定端部を前記ヒートシンクの上部に固定されている。
この構成により、上記(8)の圧電ファンを用いることで、当該圧電ファンを備える冷却装置も同様の効果を奏する。
(10)前記振動板は、前記複数のブレードが前記放熱フィン間の溝側へ折り曲げられた形状としている。
この構成では、振動板をそのまま用いるのでなく、複数のブレードを放熱フィン間の溝側へ折り曲げて用いる。そのため、冷却装置の外形形状を低背化できるため、冷却装置全体の大型化を抑えつつ冷却能力を高めることができる。
この発明によれば、振動板の送風能力を高めて、冷却能力を向上させることができる。
非特許文献1の圧電ファン10の構成を示す斜視図である。 非特許文献1の圧電ファン10の構成を示す側面図である。 非特許文献1の圧電ファン10を備える冷却装置9の構成を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る圧電ファン101の構成を示す斜視図である。 第1の実施形態に係る圧電ファン101の構成を示す側面図である。 第1の実施形態に係る圧電ファン101を備える冷却装置1の構成を示す斜視図である。 圧電ファンの振動板における固定端からの位置とその位置における振動板の変位量との関係を示すグラフである。 図8(A)は、第2の実施形態に係る圧電ファン201の固定板213の構成を示す上面図であり、図8(B)は、同固定板213の構成を示す正面図であり、図8(C)は、同固定板213の構成を示す側面図である。 第2の実施形態に係る圧電ファン201の構成を示す上面図であり、 第2の実施形態に係る圧電ファン201の構成を示す側面図である。 比較例であり圧電ファン10の変形例である圧電ファン30の構成を示す斜視図である。 第3の実施形態に係る圧電ファン301の構成を示す斜視図である。 第3の実施形態に係る圧電ファン301の構成を示す側面図である。 第3の実施形態に係る圧電ファン301を備える冷却装置3の構成を示す斜視図である。 図15(A)は、他の実施形態に係る圧電ファン401の構成を示す斜視図であり、図15(B)は、他の実施形態に係る圧電ファン501の構成を示す斜視図である。 図16(A)は、他の実施形態に係る圧電ファン601の構成を示す斜視図であり、図16(B)は、他の実施形態に係る圧電ファン601の構成を示す側面図である。 図17(A)は、他の実施形態に係る圧電ファン701の構成を示す斜視図であり、図17(B)は、他の実施形態に係る圧電ファン701の構成を示す側面図である。
《第1の実施形態》
本発明の第1の実施形態に係る圧電ファンについて以下説明する。
図4は、第1の実施形態に係る圧電ファン101の構成を示す斜視図であり、図5は、同圧電ファン101の構成を示す側面図である。図6は、同圧電ファン101を備える冷却装置1の構成を示す斜視図である。なお、図5の側面図は、圧電素子と固定部材との境界が見える方向から振動板を側面視した図である。ここで、隙間Gは、圧電素子と固定部材との間に見える境界の隙間を説明し易くするため、実際の隙間より少し大きく描いている。
圧電ファン101は、振動板111と、圧電素子112A、112Bと、固定板113と、補強板151、152とを備えている。一方、ヒートシンク20は、ベース部21から上方へ互いに平行に延びる複数の放熱フィン22を備えている。図6では回路基板PにCPU等の発熱体(発熱部品)50を実装していて、この発熱体50の上面にヒートシンク20の底面が熱的に結合するように配置されている。冷却装置1は、この圧電ファン101とアルミニウム製のヒートシンク20とを備える装置である。
図4、図5に示すように、振動板111は、2枚の圧電素子112A、112Bが振動板111の両面に貼付され、これらの圧電素子112A、112Bが伸縮することにより屈曲する。さらに、振動板111には、その屈曲により揺動される7枚のブレード141が振動板111の自由端側に形成されている。さらに、振動板111は、7枚のブレード141が放熱フィン22間の溝側へ約90°に折り曲げられている。
なお、振動板111は、ステンレススチール製の板であり、その寸法は、以下のとおりである。
・全幅(即ち7枚のブレード141部分の幅)45mm
・各ブレードの幅2.0mm
・全長50mm
・振動板111の固定端から振動板111のエッジ部分(即ち折曲げ部分)までの長さ25mm
・7枚のブレード141の先端から振動板111のエッジ部分(即ち折曲げ部分)までの長さ25mm
・厚み0.1mm。
圧電素子112A、112Bのそれぞれは、幅30mm×長さ15mm×厚み0.05mmの寸法となっている。圧電素子112A、112B及び振動板111は、中間電極となる振動板111を両面から挟むように2枚の圧電素子112A、112Bを貼付してなるバイモルフ型振動子を構成している。2枚の圧電素子112A、112Bは、それぞれの圧電セラミクッス表裏面に電極膜を形成している。そして、各表面電極と中間電極となる振動板111との間に、圧電素子112A、112Bの分極方向に応じた駆動電圧を印加することによって振動板111が長手方向に撓んで屈曲振動するよう分極処理している。このようにバイモルフ型にすることによって、圧電素子112A、112Bによる振動板111の印加電圧に対する振動板111の屈曲変位量を大きくすることができ、ブレード141の振幅をより効果的に増大できる。
ここで、2枚の圧電素子112A、112Bは、一方の圧電素子112Bが固定板113に接するように、且つ両側から振動板111の同じ部分を挟むように位置合わせしてから、振動板111に貼付けられる(図4、図5参照)。固定板113は、ガラスエポキシ製であり、その寸法は、幅50mm×長さ5mm×厚み2mmである。そして、振動板111の固定端部は、ヒートシンク20の放熱フィン22間の溝に7枚のブレード141のそれぞれが挿入される状態で、ヒートシンク20の上部に固定板113を介してネジ115で固定される(図6参照)。
そのため、この実施形態の圧電ファン101においても、非特許文献1の圧電ファン10と同様の隙間Gが生じてしまう(図5参照)。即ち、固定板113や両圧電素子112A、112Bを位置合わせしてから振動板111に貼り付けたとしても、固定板113と両圧電素子112A、112Bとの間には隙間Gが生じてしまう。これは、位置合わせの精度に限界があったり、固定板113の表面に微視的な凹凸が存在したりするためである。
そこで、この実施形態の圧電ファン101は、振動板111における上記隙間Gの区間の剛性を上げるため、ステンレススチール製の補強板151、152を備えている。補強板151、152は、この隙間Gを跨ぐように、第1端部が振動板111における圧電素子112A、112Bの接合箇所の幅方向の両側に接合され、第2端部が振動板111の固定端部を固定板113と両面から挟むように振動板111の固定端部に接合されている。補強板151、152のそれぞれの厚みは、0.05mmである。
以上の構成では、発熱体50で発生する熱がヒートシンク20に伝導し、放熱フィン22によって空気が暖められ、放熱フィン22間に暖気が発生する。圧電ファン10の7枚のブレード141のそれぞれは、駆動時、隣接する放熱フィン22の間で放熱フィン22に当接することなく揺動する。これにより、圧電ファン101は、放熱フィン22間の当該暖気を放熱フィン22から排出する。
ここで、非特許文献1の圧電ファン10の送風能力と本実施形態の圧電ファン101の送風能力とを比較する。
図7は、圧電ファンの振動板における固定端からの位置とその位置における振動板の変位量との関係を示すグラフである。この図では、圧電ファン10と圧電ファン101に対して各圧電素子の電極と振動板との間に共振周波数の24Vppの正弦波交流電圧を印加した条件で、各ブレード先端の振幅を測定した実験結果について示している。
なお、この実験では、圧電ファン10を構成する振動板11と圧電素子12A、12Bと固定板13の各寸法や各材質を、圧電ファン101を構成する振動板111と圧電素子112A、112Bと固定板113の各寸法や各材質と同じにして測定した。
実験により、非特許文献1の圧電ファン10では共振周波数が89.1Hzで全ブレード先端の平均振幅が8.0mmであるのに対し、本実施形態の圧電ファン101では共振周波数が95.5Hzで全ブレード先端の平均振幅が8.9mmにまで増大することが明らかとなっている。圧電ファンのブレードの送風能力は『平均振幅×周波数』で示されるが、本実施形態の圧電ファン101は非特許文献1の圧電ファン10と比べて平均振幅及び周波数共が増大していることから、送風能力が大幅に向上することが実験により明らかとなっている。
以上の実験結果は、補強板151、152を振動板111に配置することにより、振動板111における上記隙間Gの区間の剛性が増し、次のような現象が起こるためであると考えられる。即ち、補強板151、152が、振動板111の隙間Gの区間が振動するのを抑制して、両圧電素子112A、112Bの伸縮によって生じる振動エネルギーの一部が当該隙間Gの区間で消費されるのを防ぎ、複数のブレード141先端の振幅を強める現象が起こるためであると考えられる。
以上より、本実施形態の圧電ファン101によれば、ブレード141の送風能力を非特許文献1の圧電ファン10より高めて、冷却能力を向上させることができる。
また、振動板111はその全長が長いにもかかわらず折り曲げることで冷却装置1の外形形状を低背化できるため、冷却装置1全体の大型化を抑えつつ冷却能力を高めることができる。
《第2の実施形態》
図8(A)は、第2の実施形態に係る圧電ファン201の固定板213の構成を示す上面図であり、図8(B)は、同固定板213の構成を示す正面図であり、図8(C)は、同固定板213の構成を示す側面図である。また、図9は、第2の実施形態に係る圧電ファン201の構成を示す上面図であり、図10は、同圧電ファン201の構成を示す側面図である。なお、図10の側面図は、圧電素子と固定部材との境界が見える方向から振動板を側面視した図である。
上記第1の実施形態に係る圧電ファン101では、振動板111における上記隙間Gの区間の剛性を上げるため、補強板151、152を備えていたが、本実施形態の圧電ファン201は、図8(A)〜図8(C)に示すガラスエポキシ製の固定板213を備えている。固定板213は、この隙間Gを跨ぐように、第1端部が振動板111における圧電素子112A、112Bの接合箇所の幅方向の両側に接合される補強部214A、214Bを有する。
ここで、圧電ファン10の送風能力と本実施形態の圧電ファン201の送風能力とを比較する。圧電ファン10と圧電ファン201に対して各圧電素子の電極と振動板との間に共振周波数の24Vppの正弦波交流電圧を印加した条件で、各ブレード先端の振幅を測定した実験結果について以下説明する。
なお、この実験では、圧電ファン10を構成する振動板11と圧電素子12A、12Bと固定板13との各寸法や各材質を、圧電ファン201を構成する振動板111と圧電素子112A、112Bと固定板213から補強部214A、214Bを除いた部分との各寸法や各材質と同じにして測定した。
実験により、非特許文献1の圧電ファン10では共振周波数が89.1Hzで全ブレード先端の平均振幅が8.0mmであるのに対し、本実施形態の圧電ファン201では共振周波数が89.8Hzで全ブレード先端の平均振幅が8.6mmにまで増大することが明らかとなっている。即ち、本実施形態の圧電ファン201は、非特許文献1の圧電ファン10と比べて平均振幅及び周波数共が増大していることから、送風能力が大幅に向上することが実験により明らかとなっている。
以上の実験結果も、固定板213の補強部214A、214Bを振動板111に接合することにより、振動板111における上記隙間Gの区間の剛性が増し、第1実施形態の圧電ファン101と同じ現象が起こるためであると考えられる。
以上より、本実施形態の圧電ファン201によれば、ブレード141の送風能力を非特許文献1の圧電ファン10より高めることができる。従って、図6に示すように、本実施形態の圧電ファン201の振動板111の固定端部をヒートシンク20の上部に固定することによって冷却装置を構成した場合、当該冷却装置の冷却能力を向上させることができる。
また、振動板111を折り曲げることで当該冷却装置の外形形状を低背化できるため、当該冷却装置全体の大型化を抑えつつ冷却能力を高めることができる。
《第3の実施形態》
図11は、比較例であり圧電ファン10の変形例である圧電ファン30の構成を示す斜視図である。図12は、第3の実施形態に係る圧電ファン301の構成を示す斜視図であり、図13は、同圧電ファン301の構成を示す側面図である。図14は、同圧電ファン301を備える冷却装置3の構成を示す斜視図である。
なお、図13の側面図は、圧電素子と固定部材との境界が見える方向から振動板を側面視した図である。
まず、圧電ファン10の変形例である圧電ファン30の送風能力と本実施形態の圧電ファン301の送風能力とを比較するため、圧電ファン30の構成について以下説明する。
圧電ファン30が圧電ファン10と相違する点は、振動板の形状であり、その他の構成については同じである。図11に示すように、振動板311は、幅45mm×長さ50mm×厚み0.1mmのステンレススチール製の板をプレス金型で打ち抜いて切欠部118を形成したものである。これにより、振動板311は、圧電素子112A、112Bが貼付られた両側、具体的には、ブレードの長手方向に対して垂直な方向に位置する両側が除去された形状となる。振動板311は、圧電素子112A、112Bの貼付部分の幅が35mmであり、その他の寸法については振動板111と同じである。
そして、図12、図13に示す本実施形態の圧電ファン301が比較例の圧電ファン30と相違する点は、振動板311における隙間Gの区間の剛性を上げるために、ガラスエポキシ製の補強板313を備えた点であり、その他の構成については同じである。補強板313は、この隙間Gを跨ぐように、第1端部が圧電素子112Aの固定板113側の端部に接合され、第2端部が振動板311の固定端部を固定板113と両面から挟むように振動板311の固定端部に接合されている。なお、補強板313の厚みは、0.1mmである。
次に、圧電ファン30の送風能力と本実施形態の圧電ファン301の送風能力とを比較する。圧電ファン30と圧電ファン301に対して各圧電素子の電極と振動板との間に共振周波数の24Vppの正弦波交流電圧を印加した条件で、各ブレード先端の振幅を測定した実験結果について以下説明する。
実験により、圧電ファン30では共振周波数が82.0Hzで全ブレード先端の平均振幅が9.0mmであるのに対し、本実施形態の圧電ファン301では共振周波数が84.1Hzで全ブレード先端の平均振幅が9.5mmにまで増大することが明らかとなっている。即ち、本実施形態の圧電ファン301によれば、圧電ファン30と比べて平均振幅及び周波数共が増大していることから、送風能力が大幅に向上することが実験により明らかとなっている。
以上の実験結果も、補強板313を振動板311に配置することにより、振動板311における上記隙間Gの区間の剛性が増し、第1実施形態の圧電ファン101と同じ現象が起こるためであると考えられる。
続いて、圧電ファン301の通風性について述べる。図14に示すように、振動板311の固定端部は、ヒートシンク20の放熱フィン22間の溝に7枚のブレード141のそれぞれが挿入され、且つ切欠部118が放熱フィン22の溝の上方にくる状態で、ヒートシンク20の上部に固定される。これにより、本実施形態では、圧電ファン301とヒートシンク20を備えた冷却装置3を構成している。この構成において、圧電ファン301を駆動させてブレード141が揺動した際、切欠部118の存在により、次のような気流が生じる。即ち、冷気が切欠部118の上方から放熱フィン22及び放熱フィン22間の溝に流入する気流、又は放熱フィン22間で暖められた暖気が切欠部118の下方から上方へ抜ける気流が生じる。このため、本実施形態の圧電ファン301によれば、圧電ファン301の送風能力の向上に加え、放熱フィン22への通風性も向上させることができる。
以上より、本実施形態の圧電ファン301によれば、ブレード141の送風能力を高めるとともに放熱フィン22への通風性を向上させて、冷却能力を大幅に向上させることができる。
また、振動板311を折り曲げることで当該冷却装置の外形形状を低背化できるため、当該冷却装置全体の大型化を抑えつつ冷却能力を高めることができる。
《その他の実施形態》
以上の実施形態では振動板111や振動板311を放熱フィン22間の溝側へ折り曲げた圧電ファン101、201、301を示したが、図15(A)のに示すように、振動板111や振動板311を折り曲げずにそのまま用いた圧電ファン401を用いても構わない。また、図15(B)に示すように、振動板111や振動板311を所望の角度(例えば45度)に折り曲げ圧電ファン501を用いても構わない。
また、以上の実施形態では、振動板111の両面に圧電素子112A、112Bを接合したバイモルフ型の圧電ファン101、201、301を示したが、実施の際は、図16(A)(B)に示すように振動板111の上面のみに圧電素子112Aを接合したユニモルフ型の圧電ファン601や、図17(A)(B)に示すように振動板111の下面のみに圧電素子112Bを接合したユニモルフ型の圧電ファン701を用いても構わない。
なお、この圧電ファン701は、補強板151、152の代わりに、第1端部が振動板111における圧電素子112Bの接合区間内にきて、第2端部が振動板111における固定板113の接合区間内にくる振動板111の上面の位置に接合したステンレススチール製の補強板153を備えている。
また、以上の実施形態では複数枚のブレードを自由端側に形成した振動板111や振動板311を用いたが、実施の際は、自由端側が複数枚のブレードに分かれていない振動板を用いても構わない。
また、以上に示した各実施形態において、ブレード141はステンレススチール以外にリン青銅などバネ性の高い金属板や樹脂板を用いてもよい。
なお、上述の実施形態の説明は、すべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上述の実施形態ではなく、特許請求の範囲によって示される。さらに、本発明の範囲には、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
1、3、9…冷却装置
10…圧電ファン
11…振動板
12A、B…圧電素子
13…固定板
14…ブレード
15…ネジ
20…ヒートシンク
21…ベース部
22…放熱フィン
30…圧電ファン
50…発熱体
101…圧電ファン
111…振動板
112A、B…圧電素子
113…固定板
114…ブレード
115…ネジ
118…切欠部
141…ブレード
151、152…補強板
153…補強板
201…圧電ファン
213…固定板
214A、B…補強部
301…圧電ファン
311…振動板
313…補強板
401、501、601、701…圧電ファン
G…隙間
P…回路基板

Claims (10)

  1. 電圧印加に応じて伸縮する圧電素子と、
    前記圧電素子が接合されて前記圧電素子の伸縮により共振周波数で屈曲する振動板であって、その屈曲により揺動される振動板と、
    前記振動板の固定端部を別部材に固定する固定部材と、
    前記圧電素子と前記固定部材との境界が見える方向から前記振動板を側面視して、第1端部が前記振動板における前記圧電素子の接合区間内にきて、第2端部が前記振動板における前記固定部材の接合区間内にくるように、前記振動板に配置された補強部材と、を備えた圧電ファン。
  2. 前記補強部材は、前記第1端部が前記振動板における前記圧電素子の接合箇所の幅方向の両側に接合され、前記第2端部が前記振動板の固定端部を前記固定部材と両面から挟むように前記振動板の固定端部に接合された、請求項1に記載の圧電ファン。
  3. 前記補強部材は、前記固定部材の一部であり、前記第1端部が前記振動板における前記圧電素子の接合箇所の幅方向の両側に接合された、請求項1に記載の圧電ファン。
  4. 前記補強部材は、前記第1端部が前記圧電素子の前記固定部材側の端部に接合され、前記第2端部が前記振動板の固定端部を前記固定部材と両面から挟むように前記振動板の固定端部に接合された、請求項1に記載の圧電ファン。
  5. 前記振動板は、前記圧電素子の接合個所の幅方向の両側に除去領域を有する、請求項4に記載の圧電ファン。
  6. 前記補強部材は、前記第1端部が前記振動板を前記圧電素子と両面から挟むように前記振動板に接合され、前記第2端部が前記振動板の固定端部を前記固定部材と両面から挟むように前記振動板の固定端部に接合された、請求項1に記載の圧電ファン。
  7. 前記圧電素子は、前記振動板の両面を挟む位置に2つ接合された、請求項1〜5のいずれかに記載の圧電ファン。
  8. 発熱体で発せられる熱を放熱する放熱器に前記固定部材が固定される、請求項1〜7のいずれかに記載の圧電ファン。
  9. 請求項8に記載の圧電ファンと、
    前記放熱器と、を備え、
    前記放熱器は、複数の放熱フィンを有するヒートシンクであり、
    前記振動板は、複数のブレードが自由端側に形成された形状であり、
    前記固定部材は、前記ヒートシンクの前記複数の放熱フィン間の溝に前記複数のブレードのそれぞれが挿入される状態で、前記振動板の固定端部を前記ヒートシンクの上部に固定された、冷却装置。
  10. 前記振動板は、前記複数のブレードが前記放熱フィン間の溝側へ折り曲げられた形状とした、請求項9に記載の冷却装置。
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