JP5050826B2 - 内燃機関装置およびその制御方法並びに動力出力装置 - Google Patents

内燃機関装置およびその制御方法並びに動力出力装置 Download PDF

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Description

本発明は、内燃機関装置およびその制御方法並びに動力出力装置に関する。
従来、この種の内燃機関装置としては、エンジンと、エンジンのクランクシャフトにキャリアが接続されると共に駆動軸にリングギヤが接続された遊星歯車機構と、遊星歯車機構のサンギヤに接続された第1のモータ(MG1)と、駆動軸に接続された第2のモータ(MG2)と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、エンジンを停止させる際、エンジンの回転数が停止直前回転数に達するまではエンジンの回転を抑制するトルクをモータMG1から出力し、エンジンの回転数が停止直前回転数に達した以降はエンジンを目標停止位置で停止させるトルクをモータMG1から出力することにより、エンジンが回転停止するときのクランク角を調整している。
特開2005−184999号公報(図9)
一般に、こうした内燃機関装置では、エンジンを停止させる際には、次回のエンジン始動時に有利となるクランクシャフトの回転位置でエンジンを停止させることが課題の一つとされている。このために、エンジンの回転数が停止直前回転数に達したときの回転位置(以下、停止直前回転位置という)をできるだけ目標位置に近づけるようにモータMG1からトルクを出力することが望まれるが、上述の装置では、エンジンの製造誤差や経年変化などによって停止直前回転位置が変化してしまう。
本発明の内燃機関装置およびその制御方法並びに動力出力装置は、エンジンをより適正な回転位置で停止させることを主目的とする。
本発明の内燃機関装置およびその制御方法並びに動力出力装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
本発明の内燃機関装置は、
内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機とを備える内燃機関装置であって、
前記内燃機関の出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、
前記検出された出力軸の回転位置に基づいて前記内燃機関の回転数である機関回転数を演算する機関回転数演算手段と、
前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関を回転停止させる際、前記演算された機関回転数が第1の所定回転数に至る前は前記機関回転数を低下させるトルクとしての回転低下用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する回転低下制御を実行し、前記演算された機関回転数が前記第1の所定回転数に至った以降で該第1の所定回転数より小さな第2の所定回転数に至る以前は前記演算された機関回転数が前記第1の所定回転数に至ったときに前記検出された回転位置である補正開始時回転位置に基づいて前記出力軸の回転位置が目標変化量だけ変化するよう設定した基本補正トルクと前回以前に前記内燃機関を回転停止させた際の前記出力軸の回転位置の変化量である実変化量に基づくトルクである変化量関連トルクと前記回転低下用トルクとの和のトルクである調整用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する変化量調整制御を実行し、前記演算された機関回転数が前記第2の所定回転数未満に至った以降は前記内燃機関を停止させるトルクとしての停止用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する停止制御を実行する停止時制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の内燃機関装置では、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関を回転停止させる際、内燃機関の回転数である機関回転数が第1の所定回転数に至る前は、内燃機関の回転数を低下させるトルクとしての回転低下用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する回転低下制御を実行する。これにより、機関回転数をスムーズに低下させることができる。そして、機関回転数が第1の所定回転数に至った以降で第1の所定回転数より小さな第2の所定回転数に至る以前は、機関回転数が第1の所定回転数に至ったときの出力軸の回転位置である補正開始時回転位置に基づいて出力軸の回転位置が目標変化量だけ変化するよう設定した基本補正トルクと前回以前に内燃機関を回転停止させた際の出力軸の回転位置の変化量である実変化量に基づくトルクである変化量関連トルクと回転低下用トルクとの和のトルクである調整用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する変化量調整制御を実行する。これにより、変化量調整制御を実行しているときの出力軸の回転位置の変化量を目標変化量により近づけることができる。そして、機関回転数が第2の所定回転数未満に至った以降は、内燃機関を停止させるトルクとしての停止用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する停止制御を実行する。前述したように、出力軸の回転位置の変化量をより目標変化量に近づけることにより、機関回転数が停止直前回転数に至ったときの出力軸の回転位置をより目標位置に近づけることができるため、内燃機関をより適正な位置(例えば、圧縮行程の上死点近傍など)で停止させることができる。
こうした本発明の内燃機関装置において、前記停止時制御手段は、前回以前に前記内燃機関を回転停止させた際の前記目標変化量と前記実変化量との偏差に基づくトルクを前記変化量関連トルクとして用いて前記変化量調整制御を実行する手段であるものとすることもできる。こうすれば、前回以前に内燃機関を回転停止させた際の目標変化量と実変化量との偏差に応じて変化量調整制御を実行することができる。この場合、前記目標変化量および前記実変化量は、前記変化量調整制御の実行の開始から終了までの前記出力軸の回転位置の変化量であるものとすることもできる。
また、本発明の内燃機関装置において、前記内燃機関は、駆動軸に動力を出力可能で、該駆動軸の回転数の変動の影響を受けるものであり、前記停止時制御手段は、前記変化量調整制御の実行の開始から終了までの前記駆動軸の回転数の変化量が所定範囲内のとき、前記変化量調整制御の実行を終了した後に、次回に前記変化量調整制御を実行する際に用いる前記変化量関連トルクを設定する手段である、ものとすることもできる。また、前記停止時制御手段は、前記内燃機関の温度が所定温度以上のとき、前記変化量関連トルクを設定する手段であるものとすることもできる。
さらに、本発明の内燃機関装置において、前記変化量関連トルクは、前回に設定された変化量関連トルクに対して所定の範囲内で設定されるトルクであるものとすることもできる。
本発明の動力出力装置は、
駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
上述のいずれかの態様の本発明の内燃機関装置、即ち、基本的には、内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機とを備える内燃機関装置であって、前記内燃機関の出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、前記検出された出力軸の回転位置に基づいて前記内燃機関の回転数である機関回転数を演算する機関回転数演算手段と、前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関を回転停止させる際、前記演算された機関回転数が第1の所定回転数に至る前は前記機関回転数を低下させるトルクとしての回転低下用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する回転低下制御を実行し、前記演算された機関回転数が前記第1の所定回転数に至った以降で該第1の所定回転数より小さな第2の所定回転数に至る以前は前記演算された機関回転数が前記第1の所定回転数に至ったときに前記検出された回転位置である補正開始時回転位置に基づいて前記出力軸の回転位置が目標変化量だけ変化するよう設定した基本補正トルクと前回以前に前記内燃機関を回転停止させた際の前記出力軸の回転位置の変化量である実変化量に基づくトルクである変化量関連トルクと前記回転低下用トルクとの和のトルクである調整用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する変化量調整制御を実行し、前記演算された機関回転数が前記第2の所定回転数未満に至った以降は前記内燃機関を停止させるトルクとしての停止用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する停止制御を実行する停止時制御手段と、を備える内燃機関装置と、
前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と前記電動機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
前記電動機とは異なり、前記駆動軸にトルクを出力可能な第2の電動機と、
前記電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
前記内燃機関の運転停止時には前記停止時制御手段として機能すると共に前記駆動軸に出力すべき要求トルクに基づくトルクが該駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電動機と前記第2の電動機とを制御する制御手段と、
を備えることを要旨とする。
この本発明の動力出力装置は、上述のいずれかの態様の本発明の内燃機関装置を備えるから、本発明の内燃機関装置が奏する効果、例えば、変化量調整制御を実行しているときの出力軸の回転位置の変化量を目標変化量により近づけることができ、内燃機関をより適正な位置(例えば、圧縮行程の上死点近傍など)で停止させることができる効果などと同様の効果を奏することができる。
本発明の内燃機関装置の制御方法は、
内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機とを備える内燃機関装置の制御方法であって、
前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関を回転停止させる際、前記内燃機関の回転数である機関回転数が第1の所定回転数に至る前は前記機関回転数を低下させるトルクとしての回転低下用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する回転低下制御を実行し、前記機関回転数が前記第1の所定回転数に至った以降で該第1の所定回転数より小さな第2の所定回転数に至る以前は前記機関回転数が前記第1の所定回転数に至ったときの出力軸の回転位置である補正開始時回転位置に基づいて前記出力軸の回転位置が目標変化量だけ変化するよう設定した基本補正トルクと前回以前に前記内燃機関を回転停止させた際の前記出力軸の回転位置の変化量である実変化量に基づくトルクである変化量関連トルクと前記回転低下用トルクとの和のトルクである調整用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する変化量調整制御を実行し、前記機関回転数が前記第2の所定回転数未満に至った以降は前記内燃機関を停止させるトルクとしての停止用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する停止制御を実行する、
ことを特徴とする。
この本発明の内燃機関装置の制御方法では、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関を回転停止させる際、内燃機関の回転数である機関回転数が第1の所定回転数に至る前は、内燃機関の回転数を低下させるトルクとしての回転低下用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する回転低下制御を実行する。これにより、機関回転数をスムーズに低下させることができる。そして、機関回転数が第1の所定回転数に至った以降で第1の所定回転数より小さな第2の所定回転数に至る以前は、機関回転数が第1の所定回転数に至ったときの出力軸の回転位置である補正開始時回転位置に基づいて出力軸の回転位置が目標変化量だけ変化するよう設定した基本補正トルクと前回以前に内燃機関を回転停止させた際の出力軸の回転位置の変化量である実変化量に基づくトルクである変化量関連トルクと回転低下用トルクとの和のトルクである調整用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する変化量調整制御を実行する。これにより、変化量調整制御を実行しているときの出力軸の回転位置の変化量を目標変化量により近づけることができる。そして、機関回転数が第2の所定回転数未満に至った以降は、内燃機関を停止させるトルクとしての停止用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する停止制御を実行する。前述したように、出力軸の回転位置の変化量をより目標変化量に近づけることにより、機関回転数が停止直前回転数に至ったときの出力軸の回転位置をより目標位置に近づけることができるため、内燃機関をより適正な位置(例えば、圧縮行程の上死点近傍など)で停止させることができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を実施例を用いて説明する。
図1は、本発明の一実施例である動力出力装置を搭載したハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、エンジン22の出力軸としてのクランクシャフト26にダンパ28を介して接続された3軸式の動力分配統合機構30と、動力分配統合機構30に接続された発電可能なモータMG1と、動力分配統合機構30に接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに取り付けられた減速ギヤ35と、この減速ギヤ35に接続されたモータMG2と、駆動輪63a,63bや図示しない従動輪のブレーキを制御するためのブレーキアクチュエータ92と、動力出力装置全体をコントロールするハイブリッド用電子制御ユニット70とを備える。
エンジン22は、例えばガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力可能な4気筒の内燃機関として構成されており、エンジン用電子制御ユニット(以下、エンジンECUという)24により燃料噴射制御や点火制御,吸入空気量調節制御などの運転制御を受けている。エンジンECU24には、エンジン22の運転状態を検出する各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26のクランク角を検出するクランクポジションセンサ23aからのクランクポジションやエンジン22の冷却水の温度を検出する温度センサ23bからの冷却水温Twなどが入力されている。エンジンECU24は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によりエンジン22を運転制御すると共に必要に応じてエンジン22の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23aからのクランクポジションに基づいてクランクシャフト26の回転数、即ちエンジン22の回転数Neも演算している。
動力分配統合機構30は、外歯歯車のサンギヤ31と、このサンギヤ31と同心円上に配置された内歯歯車のリングギヤ32と、サンギヤ31に噛合すると共にリングギヤ32に噛合する複数のピニオンギヤ33と、複数のピニオンギヤ33を自転かつ公転自在に保持するキャリア34とを備え、サンギヤ31とリングギヤ32とキャリア34とを回転要素として差動作用を行なう遊星歯車機構として構成されている。動力分配統合機構30は、キャリア34にはエンジン22のクランクシャフト26が、サンギヤ31にはモータMG1が、リングギヤ32にはリングギヤ軸32aを介して減速ギヤ35がそれぞれ連結されており、モータMG1が発電機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力をサンギヤ31側とリングギヤ32側にそのギヤ比に応じて分配し、モータMG1が電動機として機能するときにはキャリア34から入力されるエンジン22からの動力とサンギヤ31から入力されるモータMG1からの動力を統合してリングギヤ32側に出力する。リングギヤ32に出力された動力は、リングギヤ軸32aからギヤ機構60およびデファレンシャルギヤ62を介して、最終的には車両の駆動輪63a,63bに出力される。
モータMG1およびモータMG2は、いずれも発電機として駆動することができると共に電動機として駆動できる周知の同期発電電動機として構成されており、インバータ41,42を介してバッテリ50と電力のやりとりを行なう。インバータ41,42とバッテリ50とを接続する電力ライン54は、各インバータ41,42が共用する正極母線および負極母線として構成されており、モータMG1,MG2のいずれかで発電される電力を他のモータで消費することができるようになっている。したがって、バッテリ50は、モータMG1,MG2のいずれかから生じた電力や不足する電力により充放電されることになる。なお、モータMG1,MG2により電力収支のバランスをとるものとすれば、バッテリ50は充放電されない。モータMG1,MG2は、いずれもモータ用電子制御ユニット(以下、モータECUという)40により駆動制御されている。モータECU40には、モータMG1,MG2を駆動制御するために必要な信号、例えばモータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの信号や図示しない電流センサにより検出されるモータMG1,MG2に印加される相電流などが入力されており、モータECU40からは、インバータ41,42へのスイッチング制御信号が出力されている。モータECU40は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってモータMG1,MG2を駆動制御すると共に必要に応じてモータMG1,MG2の運転状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。なお、モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からの信号に基づいてモータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2も演算している。
バッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、バッテリECUという)52によって管理されている。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な信号、例えば、バッテリ50の端子間に設置された図示しない電圧センサからの端子間電圧,バッテリ50の出力端子に接続された電力ライン54に取り付けられた図示しない電流センサからの充放電電流,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51からの電池温度Tbなどが入力されており、必要に応じてバッテリ50の状態に関するデータを通信によりハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。また、バッテリECU52は、バッテリ50を管理するために電流センサにより検出された充放電電流の積算値に基づいて残容量(SOC)を演算したり、演算した残容量(SOC)と電池温度Tbとに基づいてバッテリ50を充放電してもよい最大許容電力である入出力制限Win,Woutを演算している。なお、バッテリ50の入出力制限Win,Woutは、電池温度Tbに基づいて入出力制限Win,Woutの基本値を設定し、バッテリ50の残容量(SOC)に基づいて出力制限用補正係数と入力制限用補正係数とを設定し、設定した入出力制限Win,Woutの基本値に補正係数を乗じることにより設定することができる。
ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキペダル85の踏み込みに応じて生じるブレーキマスターシリンダ90の圧力(ブレーキ圧)と車速Vとにより車両に作用させる制動力におけるブレーキの分担分に応じた制動トルクが駆動輪63a,63bや図示しない従動輪に作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したり、ブレーキペダル85の踏み込みに無関係に、駆動輪63a,63bや従動輪に制動トルクが作用するようブレーキホイールシリンダ96a〜96dの油圧を調整したりすることができるように構成されている。ブレーキアクチュエータ92は、ブレーキ用電子制御ユニット(以下、ブレーキECUという)94により制御されている。ブレーキECU94は、図示しない信号ラインにより、駆動輪63a,63bや従動輪に取り付けられた図示しない車輪速センサからの車輪速や図示しない操舵角センサからの操舵角などの信号を入力して、運転者がブレーキペダル85を踏み込んだときに駆動輪63a,63bや従動輪のいずれかがロックによりスリップするのを防止するアンチロックブレーキシステム機能(ABS)や運転者がアクセルペダル83を踏み込んだときに駆動輪63a,63bのいずれかが空転によりスリップするのを防止するトラクションコントロール(TRC),車両が旋回走行しているときに姿勢を保持する姿勢保持制御(VSC)なども行なう。ブレーキECU94は、ハイブリッド用電子制御ユニット70と通信しており、ハイブリッド用電子制御ユニット70からの制御信号によってブレーキアクチュエータ92を駆動制御したり、必要に応じてブレーキアクチュエータ92の状態に関するデータをハイブリッド用電子制御ユニット70に出力する。
ハイブリッド用電子制御ユニット70は、CPU72を中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPU72の他に処理プログラムを記憶するROM74と、データを一時的に記憶するRAM76と、図示しない入出力ポートおよび通信ポートとを備える。ハイブリッド用電子制御ユニット70には、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号,シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSP,アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Acc,ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vなどが入力ポートを介して入力されている。また、ハイブリッド用電子制御ユニット70には、エンジンECU24を介してクランクポジション23aからのクランクポジションが直接入力されている。ハイブリッド用電子制御ユニット70は、前述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と通信ポートを介して接続されており、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52,ブレーキECU94と各種制御信号やデータのやりとりを行なっている。
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20は、運転者によるアクセルペダル83の踏み込み量に対応するアクセル開度Accと車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクを計算し、この要求トルクに対応する要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるように、エンジン22とモータMG1とモータMG2とが運転制御される。エンジン22とモータMG1とモータMG2の運転制御としては、要求動力に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にエンジン22から出力される動力のすべてが動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによってトルク変換されてリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御するトルク変換運転モードや要求動力とバッテリ50の充放電に必要な電力との和に見合う動力がエンジン22から出力されるようにエンジン22を運転制御すると共にバッテリ50の充放電を伴ってエンジン22から出力される動力の全部またはその一部が動力分配統合機構30とモータMG1とモータMG2とによるトルク変換を伴って要求動力がリングギヤ軸32aに出力されるようモータMG1およびモータMG2を駆動制御する充放電運転モード、エンジン22の運転を停止してモータMG2からの要求動力に見合う動力をリングギヤ軸32aに出力するよう運転制御するモータ運転モードなどがある。
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特にエンジン22を停止させる際の動作について説明する。エンジン22を停止させる処理は、例えば、車速Vがエンジン22を停止してもよい閾値未満の状態でアクセル開度Accや車速V,バッテリ50の状態から車両に要求される車両要求パワーが閾値未満となり、他にエンジン22の運転を継続する要求がないときに行なわれる。図2はハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるエンジン停止時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。このルーチンは、エンジン22の運転停止が指示されたときに所定時間毎(例えば数msec毎)に繰り返し実行される。なお、このエンジン停止時制御ルーチンによる処理の開始と同時に、エンジンECU24によりエンジン22における燃料噴射の停止などが行なわれる。
エンジン停止時制御ルーチンが実行されると、ハイブリッド用電子制御ユニット70のCPU72は、まず、アクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accやブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速V,エンジン22の回転数Ne,モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2,クランクポジションセンサ23aからのクランク角CA,バッテリ50の入力制限Win,エンジン水温Twなど制御に必要なデータを入力するデータ入力処理を実行する(ステップS100)。ここで、エンジン22の回転数Neは、クランクポジションセンサ23aにより検出されるクランクポジションから計算されたものを入力するものとし、モータMG1,MG2の回転数Nm1,Nm2は、回転位置検出センサ43,44により検出されるモータMG1,MG2の回転子の回転位置に基づいて計算されたものをモータECU40から通信により入力するものとした。また、クランク角CAは、クランクポジションセンサ23aにより検出されるクランクポジションを基準角度からの角度としたものを用いるものとし、バッテリ50の入力制限Winは、温度センサ51により検出されたバッテリ50の電池温度Tbとバッテリ50の残容量(SOC)とに基づいて設定されたものをバッテリECU52から通信により入力するものとした。なお、入力制限Winは、バッテリ50に入力可能な電力の大きさが大きいほど小さくなるよう負の値として定めた。エンジン水温Twは、温度センサ23bにより検出されたものをエンジンECU24から通信により入力するものとした。
こうしてデータを入力すると、入力したアクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速Vとに基づいて駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力すべき要求トルクTr*を設定する(ステップS110)。要求トルクTr*は、実施例では、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速Vと要求トルクTr*との関係を予め求めて要求トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、アクセル開度AccやブレーキペダルポジションBP,車速Vが与えられると要求トルク設定用マップから対応する要求トルクTr*を導出することにより設定するものとした。図3に要求トルク設定用マップの一例を示す。
次に、エンジン22の回転数Neを値0と比較することによりエンジン22が回転停止したか否かを判定し(ステップS120)、エンジン22の回転数Neが値0でないとき即ちエンジン22が回転停止していないときには、エンジン22の回転数Neを閾値Nref1および閾値Nref1より小さな閾値Nref2と比較する(ステップS130)。ここで、閾値Nref1は、後述の基本補正トルクTmodや学習トルクTleによるモータMG1のトルク指令Tm1*の補正を開始するエンジン22の回転数Neとして設定されており、例えば、600rpmや700rpm,800rpmなどを用いることができる。また、閾値Nref2は、基本補正トルクTmodや学習トルクTleによるモータMG1のトルク指令Tm1*の補正を終了するエンジン22の回転数Neとして設定されており、例えば、300rpmや350rpm,400rpmなどを用いることができる。
エンジン22の回転数Neが閾値Nref1より大きいときには、クランク角CAに基づいてエンジン22の回転数Neをスムーズに低下させる(引き下げる)と共にエンジン22の回転に伴う振動を抑制するトルクとしての回転低下用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信する(ステップS140)。トルク指令Tm1*を受信したモータECU40は、トルク指令Tm1*でモータMG1が駆動されるようインバータ41のスイッチング素子をスイッチング制御する。エンジン22への燃料供給を停止した状態でエンジン22の回転数Neを低下させているときの動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を図4に示す。図中、左のS軸はモータMG1の回転数Nm1であるサンギヤ31の回転数を示し、C軸はエンジン22の回転数Neであるキャリア34の回転数を示し、R軸はモータMG2の回転数Nm2を減速ギヤ35のギヤ比Grで除したリングギヤ32の回転数Nrを示す。なお、S軸上の矢印はモータMG1からサンギヤ31に出力される回転低下用トルクを示し、C軸上の矢印はエンジン22の回転による摺動摩擦や圧縮仕事などによりキャリア34に作用するトルクを示し、R軸上の矢印はモータMG2から減速ギヤ35を介してリングギヤ軸32aに出力されるトルクを示す。
こうしてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定すると、要求トルクTr*とトルク指令Tm1*と動力分配統合機構30のギヤ比ρを用いてモータMG2から出力すべきトルクとしてのモータ仮トルクTm2tmpを次式(1)により計算すると共に(ステップS290)、バッテリ50の入力制限WinとモータMG1のトルク指令Tm1*に現在のモータMG1の回転数Nm1を乗じて得られるモータMG1の消費電力(発電電力)との偏差をモータMG2の回転数Nm2で割ることによりモータMG2から出力してもよいトルクの下限としてのトルク制限Tminを式(2)により計算し(ステップS300)、モータ仮トルクTm2tmpをトルク制限Tminで制限した値としてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信する(ステップS310)。トルク指令Tm2*を受信したモータECU40は、モータMG2からのトルク指令Tm2*のトルクが出力されるようインバータ42のスイッチング素子をスイッチング制御する。このようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定することにより、駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力する要求トルクTr*を、バッテリ50の入力制限Winの範囲内で制限したトルクとして設定することができる。なお、式(1)は、前述した図4の共線図から容易に導き出すことができる。
Tm2tmp=(Tr*+Tm1*/ρ)/Gr (1)
Tmin=(Win-Tm1*・Nm1)/Nm2 (2)
次に、要求トルクTr*からモータMG2のトルク指令Tm2*に減速ギヤ35のギヤ比Grを乗じたものを減じたものとしてブレーキアクチュエータ92の作動によりブレーキホイールシリンダ96a〜96dを介して駆動輪63a,63bや従動輪に作用させるべき制動力としてのブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信して(ステップS320)、エンジン停止時制御ルーチンを終了する。ブレーキトルク指令Tb*を受信したブレーキECU94は、リングギヤ軸32aに換算した制動トルクがブレーキトルク指令Tb*となるようブレーキアクチュエータ92を作動して駆動輪63a,63bや従動輪に制動力を作用させる。
ステップS130の判定処理でエンジン22の回転数Neが閾値Nref1以下で閾値Nref2以上のときには、基本補正トルク設定フラグF1の値を調べ(ステップS150)、基本補正トルク設定フラグF1が値0のときには、現在のクランク角CAを補正開始時のクランク角である初期クランク角CAsetに設定すると共に(ステップS160)、現在の車速Vを補正開始時の車速である初期車速Vsetに設定し(ステップS170)、初期クランク角CAsetに基づいて、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1以下に至ってから閾値Nref2未満に至るまでのクランク角CAの変化量であるクランク角変化量ΔCAが目標クランク角変化量ΔCA*となるようにするための基本補正トルクTmodを設定し(ステップS180)、基本補正トルク設定フラグF1に値1を設定する(ステップS190)。基本補正トルク設定フラグF1は、エンジン停止時駆動制御ルーチンが起動されたときに図示しない初期処理により値0が設定され、上述したように基本補正トルクTmodが設定されたときに値1が設定される。そして、ステップS150で基本補正トルク設定フラグF1が値1と判定されたときには、既に基本補正トルクTmodが設定されているため、基本補正トルクTmodの再度の設定は行なわれない。したがって、基本補正トルクTmodは、初期クランク角CAsetに基づいて設定されることになる。基本補正トルクTmodは、実施例では、エンジン22の運転を停止する際の初期クランク角CAsetと基本補正トルクTmodとの関係を実験などにより予め定めて基本補正トルク設定用マップとしてROM74に記憶しておき、初期クランク角CAsetが与えられると記憶した基本補正トルク設定用マップから対応する基本補正トルクTmodを導出して設定するものとした。基本補正トルク設定用マップの一例を図5に示す。図5の例では、基本補正トルクTmodは、初期クランク角CAsetが値0度(上死点)より前では初期クランク角CAsetが値0度に近づくほど小さくなる(負の値が大きくなる)傾向に設定され、初期クランク角CAsetが値0度(上死点)より後では初期クランク角CAsetが値0度に近づくほど大きくなる(値0に近づく)傾向に設定される。なお、この基本補正トルクTmodを設定する際に考慮される目標クランク角変化量ΔCA*は、エンジン22を目標停止クランク角CA*(例えば、圧縮行程の上死点近傍など)で停止させるために設定されるものであり、実施例では、図6に例示する初期クランク角CAsetと目標クランク角変化量ΔCA*との関係を用いて設定される値を用いるものとした。目標クランク角変化量ΔCA*は、基本補正トルクTmodと同様の傾向に設定されるものであり、図示するように、初期クランク角CAsetが値0度(上死点)より前では初期クランク角CAsetが値0度に近づくほど小さくなる(負の値が大きくなる)傾向に設定され、初期クランク角CAsetが値0度(上死点)より後では初期クランク角CAsetが値0度に近づくほど大きくなる(値0に近づく)傾向に設定される。
こうして基本補正トルクTmodを設定すると、前述の回転低下用トルクに基本補正トルクTmodと後述の学習トルクTleとを加えたトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信し(ステップS200)、設定したトルク指令Tm1*を用いてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信し(ステップS290〜S310)、ブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信して(ステップS320)、エンジン停止時制御ルーチンを終了する。ここで、学習トルクTleは、詳細は後述するが、前回以前にエンジン22を停止させた際の目標クランク角変化量ΔCA*とクランク角変化量ΔCAとの偏差に基づいてその偏差が打ち消されるように設定されるトルクである。このように基本補正トルクTmodと学習トルクTleとを考慮してモータMG1のトルク指令Tm1*を設定することにより、クランク角変化量ΔCAを目標クランク角変化量ΔCA*により近づけることができる。
ステップS130の判定処理でエンジン22の回転数Neが閾値Nref2未満のときには、学習トルク設定フラグF2の値を調べる(ステップS210)。ここで、学習トルク設定フラグF2は、エンジン停止時駆動制御ルーチンが起動されたときに図示しない初期処理により値0が設定され、後述する学習トルクTleが設定されたときに値1が設定されるフラグである。学習トルク設定フラグF2が値0のときには、車速Vから初期車速Vsetを減じたものの絶対値を車速偏差ΔVとして計算し(ステップS220)、計算した車速偏差ΔVが閾値ΔVrefより小さいか否かを判定すると共に(ステップS230)、エンジン22の冷却水温Twが閾値Twrefより高いか否かを判定する(ステップS240)。ここで、閾値ΔVrefおよび閾値Twrefは、学習トルクTleを設定するための条件である学習トルク設定条件が成立しているか否かを判定するために用いられるものであり、閾値ΔVrefとしては例えば2km/hや5km/hなどを用いることができ、閾値Twrefとしては例えば60度や70度,80度などを用いることができる。実施例では、ステップS230,S240で共に肯定的な判定がなされたとき、即ち、車速偏差ΔVが閾値ΔVref未満であってエンジン22の冷却水温Twが閾値Twrefより高いときに学習条件が成立していると判定するものとした。このように学習トルク設定条件が成立しているか否かを判定する理由については後述する。
車速偏差ΔVが閾値ΔVref未満であってエンジン22の冷却水温Twが閾値Twrefより高いときには、現在のクランク角CAから初期クランク角CAsetを減じることによりクランク角変化量ΔCAを計算し(ステップS250)、前回の学習トルク(前回Tle)と図6により設定される目標クランク角変化量ΔCA*とクランク角変化量ΔCAとを用いて次式(3)により学習トルクTleを計算して更新し(ステップS260)、学習トルク設定フラグF2に値1を設定する(ステップS270)。式(3)は、次回にこのエンジン停止時制御ルーチンによりエンジン22を回転停止させる際にクランク角変化量ΔCAが目標クランク角変化量ΔCA*となるようにモータMG1のトルクを補正するために用いられる式であり、式(3)中、「k1」は比例項のゲインである。こうして設定した学習トルクTleを次回にエンジン22を停止する際に用いてモータMG1のトルク指令Tm1*を設定することにより(ステップS200)、次回にエンジン22を回転停止させる際のクランク角変化量ΔCAを目標クランク角変化量ΔCA*により近づけることができる。なお、クランク角変化量ΔCAと目標クランク角変化量ΔCA*との間にズレが生じる要因としては、エンジン22の状態(例えば、製造誤差や経年変化,温度など)によってエンジン22のフリクションが異なることなどが考えられる。
Tle=前回Tle+k1・(ΔCA*-ΔCA) (3)
そして、クランク角CAに基づいてエンジン22を目標停止クランク角CA*(例えば、圧縮行程の上死点近傍など)で停止させるトルクとしての停止用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信し(ステップS280)、設定したトルク指令Tm1*を用いてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信し(ステップS290〜S310),ブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信して(ステップS320)、エンジン停止時制御ルーチンを終了する。ここで、停止用トルクとしては、クランク角CAに基づいてエンジン22を目標停止クランク角CA*で緩やかに停止させるトルクが用いられ、実施例では正のトルクが用いられるものとした。実施例では、前述したように、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1以下で閾値Nref2以上のときに基本補正トルクTmodや学習トルクTleを考慮したトルクをモータMG1から出力することによってクランク角変化量ΔCAを目標クランク角変化量ΔCA*により近づけることができるから、エンジン22を目標停止クランク角CA*により近いクランク角CAで停止させることができる。即ち、エンジン22をより適正なクランク角CAで停止させることができるのである。
一方、ステップS230,S240の判定処理で車速偏差ΔVが閾値ΔVref以上のときやエンジン22の冷却水温Twが閾値Twref以下のとき,ステップS220で学習トルク設定フラグF2が値1のときには、学習トルクTleを設定することなく、停止用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信し(ステップS280)、設定したトルク指令Tm1*を用いてモータMG2のトルク指令Tm2*を設定してモータECU40に送信し(ステップS290〜S310),ブレーキトルク指令Tb*を設定してブレーキECU94に送信して(ステップS320)、エンジン停止時制御ルーチンを終了する。運転者によってブレーキペダル85が大きく踏み込まれたときなど駆動軸としてのリングギヤ軸32aに大きな制動トルクを作用させて車両を減速させるときには、リングギヤ軸32aに作用する大きな制動トルクにより、車速偏差ΔVが小さいときに比してエンジン22の回転数Neがより迅速に低下する。また、冷却水温Twが低いときには、エンジン22の潤滑オイルの粘性が高いため、冷却水温Twが高いときに比してエンジン22の回転数Neがより迅速に低下する。したがって、これらの場合、クランク角変化量ΔCAは目標クランク角変化量ΔCA*対して大きくズレやすく、学習トルクTleを設定する状態としては適さないと考えられる。このため、実施例では、車速変化量ΔVが閾値ΔVref以上のときやエンジン22の冷却水温Twが閾値Twref以下のときには、学習トルクTleを新たに設定しない(更新しない)ものとした。
そして、このルーチンを繰り返し実行している最中にステップS120の判定処理でエンジン22が完全に停止したと判定されたときには、そのままエンジン停止時制御ルーチンを終了し、その後は、モータMG2からの出力トルクだけで走行するモータ運転モードによる図示しないモータ走行時駆動制御ルーチンが繰り返し実行される。
図7は、エンジン22の燃料噴射を停止してエンジン22を回転停止させる際のエンジン22の回転数NeとモータMG1の出力トルクTm1と基本補正トルクTmodと学習トルクTleとの時間変化の様子を示す説明図である。エンジン22の停止指示がなされてエンジン22の燃料カットが行なわれた時刻t0以降は、モータMG1から回転低下用トルクが出力されることにより、エンジン22の回転数Neがスムーズに低下する。そして、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1に至ると、そのときのクランク角CAである初期クランク角CAsetに基づいて基本補正トルクTmodを設定し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1より小さい閾値Nref2に至る時刻t2まで、前回以前にエンジン22を回転停止させたときの目標クランク角変化量ΔCA*とクランク角変化量ΔCAとの偏差が打ち消されるように設定された学習トルクTleを基本補正トルクTmodと共に回転低下用トルクに加えたトルクがモータMG1から出力される。これにより、基本補正トルクTmodや学習トルクTleを考慮しないものに比して目標クランク角変化量ΔCA*とクランク角変化量ΔCAとの偏差をより小さくすることができる。そして、時刻t2より後は、停止用トルクをモータMG1から出力してエンジン22を目標停止クランク角CA*近傍で停止させる。
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の燃料噴射を停止してエンジン22を回転停止させる際には、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1に至る前は回転低下用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータMG1を制御し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1に至った以降で閾値Nref2に至る以前は回転数Neが閾値Nref1に至ったときのクランク角CAである初期クランク角CAsetに基づく基本補正トルクTmodと前回以前にエンジン22を回転停止させた際に更新した学習トルクTleとを回転低下用トルクに加えたトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータMG1を制御し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref2未満に至った以降は初期クランク角CAsetに基づく目標クランク角変化量ΔCA*とクランク角変化量ΔCAとの偏差を用いて次回にエンジン22を回転停止させる際に用いる学習トルクTleを設定すると共に停止用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータMG1を制御するから、エンジン22の回転数Neをスムーズに低下させることができると共にエンジン22を回転停止させる際の初期クランク角CAsetに基づく目標クランク角変化量ΔCA*とクランク角変化量ΔCAとの偏差をより小さくすることができる。これにより、回転数Neが閾値Nref2未満に至った以降にエンジン22をより適正なクランク角CAで停止させることができる。
実施例のハイブリッド自動車20では、前述した式(3)により学習トルクTleを計算して更新するものとしたが、式(3)により計算したトルク(以下、仮トルクTletmp1という)を所定範囲で制限したトルクTletmp2を学習トルクTleとして更新するものとしてもよい。この場合、仮トルクTletmp1から前回の学習トルク(前回Tle)を減じたものを前回の学習トルク(前回Tle)で除した値である学習トルクの変化率が所定範囲(例えば、−20%〜20%,−15%〜15%など)内となるように設定したトルクTletmp2を学習トルクTleとして更新するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の回転数Neが閾値Nref2未満に至ったときには、車速偏差ΔVが閾値ΔVref未満のときやエンジン22の冷却水温Twが閾値Twrefより高いときに学習トルクTleを更新するものとしたが、車速偏差ΔVの条件と冷却水温Twの条件とのうち少なくとも一方が成立しているときに学習トルクTleを更新するものとしてもよいし、車速偏差ΔVの条件や冷却水温Twの条件に代えて又は加えて他の条件(例えば、駆動軸としてのリングギヤ軸32aの回転数Nrの偏差ΔNrが閾値ΔNrref(例えば、閾値ΔVrefに相当する回転数)未満である条件や、クランクポジションセンサ23aが正常である条件など)が成立しているときに学習トルクTleを更新するものとしてもよい。また、エンジン22の回転数Neが閾値Nref2未満に至ったときには、これらの条件を考慮せず、学習トルクTleを更新するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、目標クランク角CA*は、図6に例示した初期クランク角CAsetと目標クランク角変化量ΔCA*との関係を用いて設定されるものとしたが、初期クランク角CAsetに基づいて設定されるものであればよく、例えば、−90度〜90度を30度毎に分割した各領域で予め定められた値が設定されるものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、モータMG2の動力を減速ギヤ35により変速してリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図8の変形例のハイブリッド自動車120に例示するように、モータMG2の動力をリングギヤ軸32aが接続された車軸(駆動輪63a,63bが接続された車軸)とは異なる車軸(図8における車輪64a,64bに接続された車軸)に出力するものとしてもよい。
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の動力を動力分配統合機構30を介して駆動輪63a,63bに接続された駆動軸としてのリングギヤ軸32aに出力するものとしたが、図9の変形例のハイブリッド自動車220に例示するように、エンジン22のクランクシャフト26に接続されたインナーロータ232と駆動輪63a,63bに動力を出力する駆動軸に接続されたアウターロータ234とを有し、エンジン22の動力の一部を駆動軸に伝達すると共に残余の動力を電力に変換する対ロータ電動機230を備えるものとしてもよい。
また、内燃機関とこの内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機とを備えるものであれば、上述の実施例のエンジン停止時駆動制御ルーチンと同様の制御を行なうことができるから、内燃機関とこの内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機とを備える自動車や車両、船舶、航空機などの移動体などに搭載される動力出力装置や内燃機関装置の形態としてもよく、建設設備などの移動しないものに組み込まれる動力出力装置や内燃機関装置の形態としてもよい。また、こうした内燃機関装置や動力出力装置の制御方法の形態としてもよい。
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「内燃機関」に相当し、モータMG1が「電動機」に相当し、クランクポジションを検出するクランクポジションセンサ23aが「回転位置検出手段」に相当し、クランクポジションセンサ23aにより検出されたクランクポジションに基づいてエンジン22の回転数Neを計算するエンジンECU24が「機関回転数演算手段」に相当し、エンジン22の燃料噴射を停止してエンジン22を回転停止させる際に、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1より大きいときにはクランク角CAに基づいてエンジン22の回転数Neをスムーズに低下させる(引き下げる)と共にエンジン22の回転に伴う振動を抑制するトルクとしての回転低下用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1以下で閾値Nref2以上のときには回転数Neが閾値Nref1以下に至ってから閾値Nref2未満に至るまでのクランク角CAの変化量であるクランク角変化量ΔCAが目標クランク角変化量ΔCA*となるようにするために回転数Neが閾値Nref1に至ったときのクランク角CAである初期クランク角CAsetに基づいて設定される基本補正トルクTmodと前回以前にエンジン22を回転停止させたときのクランク角変化量ΔCAと目標クランク角変化量ΔCA*との偏差に基づいて設定される学習トルクTleとを回転低下用トルクに加えたトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref2未満のときにはクランク角CAに基づいてエンジン22を目標停止クランク角CA*(例えば、圧縮行程の上死点近傍など)で停止させるトルクとしての停止用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータECU40に送信する図2のエンジン停止時制御ルーチンを実行するハイブリッド用電子制御ユニット70と、受信したトルク指令Tm1*に基づいてモータMG1を制御するモータECU40とが「停止時制御手段」に相当する。また、動力分配統合機構30が「3軸式動力入出力手段」に相当し、モータMG2が「第2の電動機」に相当し、バッテリ50が「蓄電手段」に相当する。
ここで、「内燃機関」としては、ガソリンまたは軽油などの炭化水素系の燃料により動力を出力する内燃機関に限定されるものではなく、水素エンジンなど如何なるタイプの内燃機関であっても構わない。「電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG1に限定されるものではなく、誘導電動機など、内燃機関の出力軸にトルクを出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「回転位置検出手段」」としては、クランクポジションを検出するクランクポジションセンサ23aに限定されるものではなく、内燃機関の出力軸の回転位置を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「機関回転数演算手段」としては、クランクポジションセンサ23aからのクランクポジションに基づいてエンジン22の回転数Neを計算するエンジンECU24とに限定されるものではなく、出力軸の回転位置に基づいて内燃機関の回転数である機関回転数を検出するものであれば如何なるものとしても構わない。「停止時制御手段」としては、ハイブリッド用電子制御ユニット70とモータECU40とからなる組み合わせに限定されるものではなく単一の電子制御ユニットにより構成されるなどとしてもよい。また、「停止時制御手段」としては、エンジン22の燃料噴射を停止してエンジン22を回転停止させる際に、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1より大きいときにはクランク角CAに基づいてエンジン22の回転数Neをスムーズに低下させる(引き下げる)と共にエンジン22の回転に伴う振動を抑制するトルクとしての回転低下用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータMG1を制御し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref1以下で閾値Nref2以上のときには回転数Neが閾値Nref1以下に至ってから閾値Nref2未満に至るまでのクランク角CAの変化量であるクランク角変化量ΔCAが目標クランク角変化量ΔCA*となるようにするために回転数Neが閾値Nref1に至ったときのクランク角CAである初期クランク角CAsetに基づいて設定される基本補正トルクTmodと前回以前にエンジン22を回転停止させたときのクランク角変化量ΔCAと目標クランク角変化量ΔCA*との偏差に基づいて設定される学習トルクTleとを回転低下用トルクに加えたトルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータMG1を制御し、エンジン22の回転数Neが閾値Nref2未満のときにはクランク角CAに基づいてエンジン22を目標停止クランク角CA*(例えば、圧縮行程の上死点近傍など)で停止させるトルクとしての停止用トルクをモータMG1のトルク指令Tm1*に設定してモータMG1を制御するものに限定されるものではなく、内燃機関への燃料供給を停止して内燃機関を回転停止させる際、内燃機関の回転数である機関回転数が第1の所定回転数に至る前は機関回転数を低下させるトルクとしての回転低下用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する回転低下制御を実行し、機関回転数が第1の所定回転数に至った以降で第1の所定回転数より小さな第2の所定回転数に至る以前は機関回転数が第1の所定回転数に至ったときの出力軸の回転位置である補正開始時回転位置に基づいて出力軸の回転位置が目標変化量だけ変化するよう設定した基本補正トルクと前回以前に内燃機関を回転停止させた際の出力軸の回転位置の変化量である実変化量に基づくトルクである変化量関連トルクと回転低下用トルクとの和のトルクである調整用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する変化量調整制御を実行し、機関回転数が第2の所定回転数未満に至った以降は内燃機関を停止させるトルクとしての停止用トルクが電動機から出力されるよう電動機を制御する停止制御を実行するものであれば如何なるものとしても構わない。「3軸式動力入出力手段」としては、上述の動力分配統合機構30に限定されるものではなく、ダブルピニオン式の遊星歯車機構を用いるものや複数の遊星歯車機構を組み合わせて4以上の軸に接続されるものやデファレンシャルギヤのように遊星歯車とは異なる作動作用を有するものなど、駆動軸と出力軸と発電機の回転軸との3軸に接続され3軸のうちのいずれかに軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力するものであれば如何なるものとしても構わない。「第2の電動機」としては、同期発電電動機として構成されたモータMG2に限定されるものではなく、誘導電動機など、駆動軸にトルクを出力可能なものであれば如何なるタイプの電動機であっても構わない。「蓄電手段」としては、二次電池としてのバッテリ50に限定されるものではなく、キャパシタなど、電力動力入出力手段や電動機と電力のやりとりが可能であれば如何なるものとしても構わない。なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための最良の形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
以上、本発明を実施するための最良の形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
本発明は、内燃機関装置や動力出力装置の製造産業などに利用可能である。
本発明の一実施例である動力出力装置を搭載するハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。 実施例のハイブリッド用電子制御ユニット70により実行されるエンジン停止時制御ルーチンの一例を示すフローチャートである。 要求トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22への燃料供給を停止した状態でエンジン22の回転数Neを低下させているときの動力分配統合機構30の回転要素を力学的に説明するための共線図の一例を示す説明図である。 補正トルク設定用マップの一例を示す説明図である。 目標クランク角変化量設定用マップの一例を示す説明図である。 エンジン22の燃料噴射を停止してエンジン22を回転停止させる際のエンジン22の回転数NeとモータMG1の出力トルクTm1と基本補正トルクTmodと学習トルクTleとの時間変化の様子を示す説明図である。 変形例のハイブリッド自動車120の構成の概略を示す構成図である。 変形例のハイブリッド自動車220の構成の概略を示す構成図である。
符号の説明
20,120,220 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23a クランクポジションセンサ、23b 温度センサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 動力分配統合機構、31 サンギヤ、32 リングギヤ、32a リングギヤ軸、33 ピニオンギヤ、34 キャリア、35 減速ギヤ、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、50 バッテリ、51 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54 電力ライン、60 ギヤ機構、62 デファレンシャルギヤ、63a,63b 駆動輪、64a,64b 車輪、70 ハイブリッド用電子制御ユニット、72 CPU、74 ROM、76 RAM、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、90 ブレーキマスターシリンダ、92 ブレーキアクチュエータ、94 ブレーキ用電子制御ユニット(ブレーキECU)、96a〜96d ブレーキホイールシリンダ、230 対ロータ電動機、232 インナーロータ、234 アウターロータ、MG1,MG2 モータ。

Claims (8)

  1. 内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機とを備える内燃機関装置であって、
    前記内燃機関の出力軸の回転位置を検出する回転位置検出手段と、
    前記検出された出力軸の回転位置に基づいて前記内燃機関の回転数である機関回転数を演算する機関回転数演算手段と、
    前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関を回転停止させる際、前記演算された機関回転数が第1の所定回転数に至る前は前記機関回転数を低下させるトルクとしての回転低下用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する回転低下制御を実行し、前記演算された機関回転数が前記第1の所定回転数に至った以降で該第1の所定回転数より小さな第2の所定回転数に至る以前は前記演算された機関回転数が前記第1の所定回転数に至ったときに前記検出された回転位置である補正開始時回転位置に基づいて前記出力軸の回転位置が目標変化量だけ変化するよう設定した基本補正トルクと前回以前に前記内燃機関を回転停止させた際の前記出力軸の回転位置の変化量である実変化量に基づくトルクである変化量関連トルクと前記回転低下用トルクとの和のトルクである調整用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する変化量調整制御を実行し、前記演算された機関回転数が前記第2の所定回転数未満に至った以降は前記内燃機関を停止させるトルクとしての停止用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する停止制御を実行する停止時制御手段と、
    を備える内燃機関装置。
  2. 前記停止時制御手段は、前回以前に前記内燃機関を回転停止させた際の前記目標変化量と前記実変化量との偏差に基づくトルクを前記変化量関連トルクとして用いて前記変化量調整制御を実行する手段である請求項1記載の内燃機関装置。
  3. 前記目標変化量および前記実変化量は、前記変化量調整制御の実行の開始から終了までの前記出力軸の回転位置の変化量である請求項2記載の内燃機関装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれか1つの請求項に記載の内燃機関装置であって、
    前記内燃機関は、駆動軸に動力を出力可能で、該駆動軸の回転数の変動の影響を受けるものであり、
    前記停止時制御手段は、前記変化量調整制御の実行の開始から終了までの前記駆動軸の回転数の変化量が所定範囲内のとき、前記変化量調整制御の実行を終了した後に、次回に前記変化量調整制御を実行する際に用いる前記変化量関連トルクを設定する手段である、
    内燃機関装置。
  5. 前記停止時制御手段は、前記内燃機関の温度が所定温度以上のとき、前記変化量関連トルクを設定する手段である請求項1ないし4のいずれか1つの請求項に記載の内燃機関装置。
  6. 前記変化量関連トルクは、前回に設定された変化量関連トルクに対して所定の範囲内で設定されるトルクである請求項1ないし5のいずれか1つの記載の内燃機関装置。
  7. 駆動軸に動力を出力する動力出力装置であって、
    請求項1ないし6のいずれか1つの請求項に記載の内燃機関装置と、
    前記内燃機関の出力軸と前記駆動軸と前記電動機の回転軸との3軸に接続され、該3軸のうちのいずれか2軸に入出力される動力に基づいて残余の軸に動力を入出力する3軸式動力入出力手段と、
    前記電動機とは異なり、前記駆動軸にトルクを出力可能な第2の電動機と、
    前記電動機および前記第2の電動機と電力のやりとりが可能な蓄電手段と、
    前記内燃機関の運転停止時には前記停止時制御手段として機能すると共に前記内燃機関の間欠運転を伴って前記駆動軸に出力すべき要求トルクに基づくトルクが該駆動軸に出力されるよう前記内燃機関と前記電動機と前記第2の電動機とを制御する制御手段と、
    を備える動力出力装置。
  8. 内燃機関と該内燃機関の出力軸にトルクを出力可能な電動機とを備える内燃機関装置の制御方法であって、
    前記内燃機関への燃料供給を停止して該内燃機関を回転停止させる際、前記内燃機関の回転数である機関回転数が第1の所定回転数に至る前は前記機関回転数を低下させるトルクとしての回転低下用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する回転低下制御を実行し、前記機関回転数が前記第1の所定回転数に至った以降で該第1の所定回転数より小さな第2の所定回転数に至る以前は前記機関回転数が前記第1の所定回転数に至ったときの出力軸の回転位置である補正開始時回転位置に基づいて前記出力軸の回転位置が目標変化量だけ変化するよう設定した基本補正トルクと前回以前に前記内燃機関を回転停止させた際の前記出力軸の回転位置の変化量である実変化量に基づくトルクである変化量関連トルクと前記回転低下用トルクとの和のトルクである調整用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する変化量調整制御を実行し、前記機関回転数が前記第2の所定回転数未満に至った以降は前記内燃機関を停止させるトルクとしての停止用トルクが前記電動機から出力されるよう該電動機を制御する停止制御を実行する、
    ことを特徴とする内燃機関装置の制御方法。
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