JP5049790B2 - シートの背もたれ支持機構 - Google Patents

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Description

本発明は、シートの背もたれ支持機構に関し、特に、車両に搭載されることを意図した、シートの背もたれを支持するための、シートの背もたれ支持機構に関する。本発明による好ましいシートの背もたれ支持機構には、リクライニング機構が組み込まれる。
従来のシートを備えた車両が後部衝突に巻き込まれたとき、シートは車両の床に固定されているため、シートはかなりの前方加速度で加速される。車両のシートに座っている人物の背中と胴体は、その結果加速され、というのは、シートと、シートの背もたれと、人物の背中及び胴体とが緊密に接触しているためである。しかしながら、人物の頭部は、シートと直接的に接触していないため、慣性によって、静止状態を維持する傾向がある。背中と胴体は前方に加速されているので、このことは、人物の頭部が胴体に対して後方へと移動し、従って、人物の首を屈曲させることを意味する。これは、人物に負傷を引き起こす。
もしもシートの背もたれの頂部が人物の頭部を支持するために前方へ移動でき、また、後部衝突中に少なくとも所定の程度、シートの背もたれが実質的に「降伏」できるように、シートの背もたれが取り付けられているならば、車両に乗る人の負傷のリスクを減少できると信じられている。これにより、人物の胴体は、より緩やかに加速され、人物の頭部は支持されて、負傷のリスクは減少する。
車両の後部衝突中に降伏するようなシートの背もたれ支持機構を提供することが既に提案されている。そうした機構は、GB−A−2316442号に開示されている。この先行技術に開示されている機構は、車両のシートの背もたれを支持し、車両の後部衝突中に、シートの背もたれのベースが後方へ直線運動できるように構成され、シートの背もたれの頂部部分を前方へ移動させて、シート上の人物の頭部を支持する。シートの背もたれのベースが後方への直線運動を受けた後、機構はシートの背もたれを後方へと傾動させ、エネルギーを吸収し、後部衝突の結果、シート上の人物によってシートの背もたれに働く力に応答する。機構には変形可能な要素が組み込まれ、この要素は、機構によってシートの背もたれが後方へと傾動するときに変形し、変形要素が変形することでエネルギーが吸収される。
GB−A−2316442号
本発明の目的は、改良されたシートの背もたれ支持機構を提供することにある。
本発明のひとつの観点によれば、自動車のシートの背もたれを支持するシートの背もたれ支持機構であって、このシートの背もたれ支持機構が、シートの座部に結合され又はシートの座部を支持するフレームに結合されるように適合してなる少なくともひとつの第1の構成要素と、シートの背もたれに結合されるように適合してなる少なくともひとつの別の構成要素とを備え、機構は構成要素間に結合部を備え、前記結合部は、前記別の構成要素が、第1のピボット動作にて第1の構成要素に対して、及び第2のピボット動作にて第1の構成要素に対して動くことを許容する手段を具備している上記シートの背もたれ支持機構において、リンク機構が設けられ、該リンク機構は2つのピボットリンク要素を備え、ピボットリンク要素はそれぞれ前記少なくともひとつの第1の構成要素に対してピボット運動するように取り付けられ、ピボットリンク要素は前記別の構成要素を直接的又は間接的に支持し、ピボットリンク要素は前記別の構成要素が初期の後方ピボット運動することを許容し、この後方ピボット運動は前記第2のピボット動作を行う前に前記第1のピボット動作を行うことで構成され、前記第2のピボット動作に抵抗する変形可能な要素が設けられ、前記要素は所定のしきい値を越える力を受けたときに変形して第2のピボット動作を許容するように適合し、機構はさらに、前記別の構成要素の動きに応答して動ける部材を備え、ピボットリンク要素が動いて前記別の構成要素に初期の後方ピボット運動をさせることを許容したとき、部材は変形可能な構造に係合すべく可動になっていることを特徴とする機構が提供される。
好ましくは、リンク要素は支持板に対して可動であり、変形可能な構造は前記支持板と一体的に形成されている。
ひとつの実施形態においては、変形可能な構造は、支持板における厚みの減少した領域によって形成され、該領域には開口部が組み込まれている。
他の実施形態においては、変形可能な構造は、少なくともひとつの変形可能な指部によって形成されている。
さらに別の実施形態においては、変形可能な構造は複数の変形可能な指部から形成され、それぞれの変形可能な指部は他の変形可能な指部から間隔を隔てている。
さらに別の実施形態においては、変形可能な構造は1本の変形可能な指部から形成され、該指部は支持板の凹部に配置され、部材が指部と係合するように動いて指部を変形させると、部材は凹部内へと動き、部材の上方への動きは、凹部の上側によって制限される。
さらに別の実施形態においては、変形可能な構造は、支持板のスリットによって配置された変形可能な帯から形成され、部材は変形可能な帯を変形させてスリットを閉じさせる。
好ましくは、変形可能な構造は、前記支持板に取り付けられている。
ひとつの実施形態においては、変形可能な構造は発泡金属である。
他の実施形態においては、変形可能な構造は、プラスチック材料の発泡体である。
本発明の別の観点によれば、自動車のシートの背もたれを支持するシートの背もたれ支持機構であって、このシートの背もたれ支持機構が、シートの座部に結合され又はシートの座部を支持するフレームに結合されるように適合してなる少なくともひとつの第1の構成要素と、シートの背もたれに結合されるように適合してなる少なくともひとつの別の構成要素とを備え、機構は構成要素間に結合部を備え、前記結合部は、前記別の構成要素が、第1のピボット動作にて第1の構成要素に対して、及び第2のピボット動作にて第1の構成要素に対して動くことを許容する手段を具備している上記シートの背もたれ支持機構において、リンク機構が設けられ、該リンク機構は2つのピボットリンク要素を備え、ピボットリンク要素はそれぞれ前記少なくともひとつの第1の構成要素に対してピボット運動するように取り付けられ、ピボットリンク要素は前記別の構成要素を直接的又は間接的に支持し、ピボットリンク要素は前記別の構成要素が初期の後方ピボット運動することを許容し、この後方ピボット運動は前記第2のピボット動作を行う前に前記第1のピボット動作を行うことで構成され、前記第2のピボット動作に抵抗する要素が設けられ、前記要素は所定のしきい値を越える力を受けたときに変形して第2のピボット動作を許容するように適合し、機構はさらに、前記別の構成要素と可動な閉鎖要素との動きに応答して動ける部材を備え、可動な閉鎖要素は、閉鎖要素が部材の所定の動きを妨げない初期位置から、閉鎖要素が部材の所定の動きを少なくとも部分的に妨げる閉鎖位置へと可動になっていることを特徴とする機構が提供される。
好ましくは、閉鎖要素は、慣性によって閉鎖位置へ動くように取り付けられている。
閉鎖要素は、付勢構造によって初期位置へ向けて付勢され、閉鎖要素の慣性から生じる力が付勢力を越えるとき、閉鎖要素は、閉鎖要素の慣性によって生じる力によって閉鎖位置へと動けるようになっているならば、都合が良い。
付勢構造は、リーフバネを備えているならば、有利である。
好ましくは、閉鎖要素には重りが組み込まれ、重りの慣性モーメントが発生させる力によって、閉鎖要素は閉鎖位置へと可動になっている。
ひとつの実施形態においては、シートの背もたれ支持機構には制御ユニットが組み込まれ、該制御ユニットに接続されたセンサは、車両の後部衝突の厳しさを検出し、制御ユニットはモータを制御して閉鎖要素を閉鎖位置へと移動させる。
他の実施形態においては、閉鎖要素は少なくとも部分的に変形可能であり、使用時に、部材が閉鎖要素に係合するように動くと、エネルギーが吸収される。
好ましくは、閉鎖要素は付勢構造によって初期位置へ向けて付勢され、閉鎖要素は第1の部分と第2の部分とを有し、部材から第1の部分に所定のレベルを越える力が作用すると第1の部分は動くことができ、第2の部分は第1の部分が動いた結果として動くことができ、第2の部分は、第2の部分が部材の所定の動きを少なくとも部分的に妨げる位置へと可動になっている。
ひとつの実施形態においては、前記第1の部分は前記第2の部分に結合されて実質的にL字形の部材を形成し、角部分は第1の部分が第2の部分に結合される箇所に形成され、L字形の部材は角部分にてピボット式に取り付けられている。
好ましくは、L字形の部材は付勢構造によって初期位置へ向けて付勢され、L字形の部材は、部材の一方向への動きを妨げ、部材の所定の動きを許容する。
L字形の部材は、付勢構造の付勢力を越えて、部材がL字形の部材の前記第1の部分に作用させる力に応答して動くことができ、L字形の部材の第2の部分は閉鎖位置へと動かされ、L字形の部材の第2の部分は少なくとも部分的に部材の所定の動きを妨げるならば、都合が良い。
閉鎖要素は脆い要素によって初期位置に保持され、脆い要素は、閉鎖要素が所定のレベルを越える力を作用させると破壊されるならば、有利である。
ひとつの実施形態においては、閉鎖要素は付勢構造によって初期位置へと付勢され、閉鎖要素は第1の部分と第2の部分とを有し、閉鎖要素は第1の部分と第2の部分との間の箇所にてピボット式に取り付けられ、ピボットを中心とする一方の部分の慣性モーメントは、ピボットを中心とする他方の部分の慣性モーメントに比べて大きく、閉鎖要素は異なる慣性モーメントの結果、所定の加速度に応答して可動になっている。
好ましくは、閉鎖要素は付勢構造によって初期位置へと付勢され、加速度に応答して前記慣性モーメントによって生じる力が付勢力に比べて大きいとき、この力に応答して、閉鎖要素は閉鎖位置へと可動になっている。
閉鎖要素の第1の部分にスリットが形成され、閉鎖要素はスリットの上部部分に収容されたロッドにピボット式に取り付けられているならば、都合がよい。
スリットの幅は、ピボットロッドの直径に比べて小さくなっているならば、有利である。
閉鎖要素はピボットマウントに対して直動運動することが可能であり、部材が閉鎖要素に作用させる所定のレベルを越える力に応答して、部材が前記所定の動きを受けることを許容するならば、都合が良い。
好ましくは、前記変形可能な要素は弓形の形態であり、変形可能な要素の両端のそれぞれは、前記構成要素のそれぞれひとつに結合され、前記別の構成要素が前記第1の構成要素に対して前記第2のピボット運動すると、前記2つの端部は変形可能な要素がつぶれる結果、互いに向けて動くように適合している。
変形可能な要素は、前記要素の変形を助けるために、弓形の内側に切欠部を備えているならば、都合が良い。
ピボットリンク要素のひとつが、変形可能な要素を備えているならば、有利である。
好ましくは、前記変形可能な要素はピボットピンによって別の構成要素を支持する支持体に結合され、ピボットピンは所定位置に固定された案内開口部に延入している。
別の構成要素を支持する支持体は、リクライニング機構を支持するリクライニング支持板を備え、リクライニング機構は前記別の構成要素を構成する支持アームを備えているならば、都合が良い。
ピボットリンクの時期尚早な動きを防ぐため、解放手段が設けられているならば、有利である。
好ましくは、解放手段は脆い手段を備えている。
解放手段は機械的又は電気機械的に動作する解放手段を備えているならば、都合が良い。
別の構成要素の第1及び第2のピボット動作の動きを許容する前記手段は支持板に結合され、該支持板は、前記第1の構成要素に対してピボット運動するように取り付けられ、支持板を所定位置にロックする手段が設けられているならば、有利である。
好ましくは、支持板を所定位置にロックする手段は、ピボット式に取り付けられたレバーを備え、該レバーは、初期には支持板に係合して支持板を所定位置にロックし、レバーが支持板から係脱して支持板のピボット運動を許容する位置へと動くことができる。
また、本発明は、上述したシートの背もたれ支持機構が組み込まれた車両用のシートに関する。
本発明が容易に理解できるように、また、その更なる特徴が認識できるように、本発明について、例示的に、添付図面を参照して説明する。
最初に、添付図面のうち図1及び図2を参照すると、シートの背もたれ支持機構1は、シートの座部又は自動車の床に結合されたシートの座部を支持するフレームと、シートの背もたれとの間に取り付けられるように適合している。機構は「リクライニング」効果を提供するように適合し、また、シートの背もたれを前方に傾動させるように動作する手段を備え、これは、例えば、シートがツードア自動車の前列シートである場合に都合が良いことが判明している。後述するように、支持機構は、後部衝突中に、シートの背もたれに作用する力が所定の限界を越えた場合、シートの背もたれがシートの座部に対して第1の運動を行い、シートの背もたれの下方部分が後方へ移動し、シートの背もたれの頂部が前方へ移動するようにデザインされている。続いて、シートの背もたれに作用する力が所定のしきい値を越える場合、シートの背もたれは運動し、この間に、シートの背もたれは効果的に後方へ傾動し、シートの背もたれの底部部分は実質的に静止して維持され、シートの背もたれの頂部部分は後方へと移動する。
図1及び図2に示すように、機構1を一緒に構成する構成要素について見ると、機構は、実質的に三角形の形状である前部メイン支持板2と、実質的にこれに対応した形状である後部メイン支持板3とを備え、支持板2,3は機構の外側部分を形成し、残りの構成要素は外側板2,3の間に配置されていることが理解される。
前部メイン支持板2には、第1の開口部4が設けられ、後部メイン支持板3に形成された対応する第1の開口部5と整列される。ベアリング6は、これらの開口部を通り抜けて、後述する2つの中間的な構成要素をピボット式に支持している。
前部メイン支持板2には、別の開口部7が形成され、後部メイン支持板3に形成された対応する別の開口部8に整列される。整列された開口部7,8を通り抜けるボルト9が設けられ、ボルト9は後部メイン支持板3に隣接して配置されたナット10に関連付けられる。ひとつの中間的な要素は、後述するように、ボルト9のベアリング面にピボット式に取り付けられている。
前部メイン支持板2にはさらに2つの開口部11が設けられ、後部メイン支持板3にはさらに2つの整列される開口部12が設けられる。それぞれの対をなす開口部11,12は、スペーサ要素13,14をそれぞれ受け入れ、スペーサ要素は前後のメイン支持板の間に配置されている。
前部メイン支持板2と後部メイン支持板3とには、車両のシートの座部に又は車両のシートの座部を支持するフレームに、開示された機構を所定位置に取り付ける手段が設けられる。
ベアリング6は、中間的な支持板15をピボット式に支持する。中間的な支持板15には、ベアリング6を受け入れる第1の開口部16が形成される。その結果、中間的な支持板15は、開口部16とベアリング6とによって形成された軸線を中心としてピボットすることができる。中間的な支持板における下方部分には、凹部17が形成される。ロックレバー18には、前方端部19が設けられ、凹部17の輪郭に対応する外側輪郭を有している。ロックレバー18には、開口部20が形成され、この開口部は、前方端部19と突出したハンドル部分との間に位置している。ロックレバー18の開口部20は、ボルト9のベアリングを受け入れ、ロックレバーは、ボルト9が形成する軸線を中心としてピボット回転するようにピボット式に取り付けられている。ロックレバー18は、中間的な支持板15に整列された位置に取り付けられる。ロックレバー18は、ロックレバーの前方端部19が凹部17の内部にぴったりと受け入れられ、ベアリング6と開口部16とによって形成される軸線を中心として、中間的な支持板15の回転を防止する第1の位置から、ロックレバー18の前方端部19が凹部から係脱し、従って中間的な支持板15がベアリング6と開口部16とによって形成される軸線を中心として前方方向へ(すなわち、図1及び図2において反時計まわり方向へ)ピボットすることを許容する解放位置へと移動する。この動きは、シートの背もたれを前方へ傾動させるときに行われる。
中間的な支持板15には、実質的に三角形の案内開口部21が形成され、その機能は以下の説明から明らかになる。
変形可能な構造は、支持板15に取り付けられ又は一体的に形成され、変形可能な構造のひとつの縁部は三角形の案内開口部21の縁部を形成している。この好ましい実施形態においては、中間的な支持板15は金属から作られており、変形可能な構造は中間的な支持板15における開口領域45によって形成されている。開口領域45は、中間的な支持板において、厚みを減少させて複数のドリル孔を穿設された領域である。比較的薄い開口領域45に開口部を設けることで、開口領域45は容易に変形可能になっている。この好ましい実施形態のように、開口領域45は、中間的な支持板15と一体的に形成され、開口領域45を形成している材料は金属で、塑性変形可能になっている。開口領域45のひとつの縁部は、三角形の案内開口部21のひとつの縁部を形成している。
変形可能な構造の機能は、以下の説明から明らかになる。
中間的な支持板15には、開口部22が形成され、解放要素23の一部分を受け入れるが、その機能は以下の説明から明らかになる。
中間的な支持板15には、さらに開口部24が形成され、ここに受け入れられるピボットピン25は、細長いピボットリンク27の片端に形成された開口部26にも受け入れられる。従って、リンク27は、ピボットピン25が形成する軸線を中心としてピボット運動できるように取り付けられる。
ピボットリンク27は、細長い形態になっている。ピボットリンク27の中央には、開口部28が設けられる。ピボットリンクの初期位置においては、リンク27の開口部28は、中間的な支持板15の開口部22と整列している。開口部22に係合する解放要素23は、開口部28に配置された、小さく延びた脆いスタッドを有している。スタッドは、ピボットリンク27をその初期位置に維持するように働く。ピボットリンク27には、開口部26から離れた端部にて、さらに別の開口部29が形成され、さらに別の開口部29は、さらに別のピボットピン30を受け入れている。ピボットピン30は、リクライニング支持板32に形成された開口部31に受け入れられる。リクライニング支持板32については、以下に詳細に説明する。
第2のピボットリンク33は、第1のピボットリンク27と協働するように設けられ、中間的な支持板15とリクライニング支持板32との間に平行なリンク機構を提供している。第2のピボットリンク33は弓形の形態であって、片端には第1の開口部34を有してベアリング9を受け入れ、他端には第2の開口部35を有してピボットピン36を受け入れ、ピボットピン36はリクライニング支持板32に設けられた開口部37にも受け入れられる。しかしながら、ピボットピン36の一部分は、第2のピボットリンク33の他方の側へ延び、中間的な支持板15に形成された三角形の案内開口部21の内部に受け入れられることに留意されたい。ピボットピン36は、リンク要素27,33のひとつに結合される部材を形成している。
第2のピボットリンク33は、弓形の形態になっている。弓形の内側における実質的に中間点には、「V字形」の切欠部又は凹部38が設けられている。
リクライニング支持板32は、それ自体、実質的に従来の形状であり、複数の内側を向いた歯40が周辺に設けられてなる開口部39を形成している。その結果、開口部は、遊星歯車装置のためのリング歯車を形成する。遊星歯車装置は、2枚のキャリア板41,42の間に取り付けられる。キャリア板42は、支持アーム43と一体的に形成され、シートの背もたれを形成するフレームに結合される。
図1及び図2を参照して説明したシートの背もたれ支持機構は、シートの両側に設けられ、支持アーム43が、シートの背もたれの本質的な構成要素を形成する逆さ「U字形」の2つのアームに係合することを認識されたい。
開口部39と、キャリア板41,42と、関連して協働する歯車から構成される遊星歯車機構には、調節ノブが設けられ、シートの背もたれのリクライニングの程度を調節可能にしているが、これは在来式のものであることを認識されたい。
ハンドルを操作して、ロックレバー18を動かして、前方端部19が凹部17から係脱する位置にすると、中間的な板15は前方に傾動することができて、ベアリング6によって形成される軸線を中心としてピボット運動を行うことをより明瞭に理解されたい。ピボットリンク27は、解放要素23によって中間的な板15にロックされ、その結果、ロックレバーが中間的な支持板15から係脱すると、シートの背もたれは前方に傾動する。これは、シートがツードア車における前列シートであって、自動車の後部にアクセスする必要がある場合に適している。
次に、図3乃至図5を参照すると、中間的な支持板15と、第1のピボットリンク27と、第2のピボットリンク33との相対的な位置を、リクライニング支持板32の位置と共に示している。これらの4つの構成要素は一緒に、シートの背もたれ支持機構が設けられた車両が後部衝突に巻き込まれたとき、所定の運動を行う。
図3は、関心のある4つの構成要素が、初期状態にある様子を示している。第2のピボットリンク33の下端にあるピボットピン36は、中間的な支持板15に形成された略三角形の開口部21の内部における前方位置に配置されている。リクライニング支持板32は、シートの背もたれが(図示したリクライニング機構の特定の調節によって)、線44にて示すように、垂直に向くようになっている。
車両が平均的又は激しさ低い後部衝突を受けると、シートの背もたれには後方へ向いた力が作用する。力は代表的に、初期にはシート上の人物の背中によってシートの背もたれの下方部分に作用し、又はシート上の人物の慣性のためにシート上の人物の胴体の下方部分に作用する。これは、初期には、ピボットリンク27,33に後方へのピボット運動を開始させる。リンクの後方へのピボット運動は、シートの背もたれに作用する力が充分に大きくて、第1のリンク27の開口部28の内部に受け入れられた解放要素23の脆い部分が破壊された場合にのみ進行する。従って、後部衝突が非常に緩やかな後部衝突に留まるならば、シートは初期の状態を維持する。しかしながら、衝突が所定の激しさを越える場合には、脆い部分が破壊されて、ピボットリンクが動くことを許容する。そして、ピボットリンクは、図4に示した状態へと移動する。
ピボットリンク33の下端に設けられたピボットピン36は、いま、中間的な支持板15に形成された略三角形の開口部21の底部における後方位置へと動いたことを観察されたい。第1のピボットリンク27は、中間的な支持板15の開口部24とピボットリンク27の開口部26とに受け入れられたピボットピン25によって形成される軸線を中心として、後方へと揺動運動する。
その結果、(ピボットピン36に結合された)リクライニング支持板32は、後方へと動き、リクライニング支持板32の傾斜が変化して、図4の線44の方向から分かるように、シートの背もたれは、いま、わずかに前方へと傾動する。
シートの背もたれのこの運動中に、シート上の人物の背中又は胴体の下方部分は、シートの背もたれの下方部分に係合し、シートの背もたれの下方部分は後方へと動く。その結果、シートの背もたれの頂部は前方へと動き、シートの背もたれの頂部か、または、シートの背もたれの頂部に支持されたヘッドレストかのいずれかが、人物の頭部に係合し、人物の頭部を支持する。
シートの背もたれに後方への力が作用し続けるならば、かかる力は、ピボットリンク27の下端に設けられたピボットピン30の軸線を中心として、リクライニング支持板32をピボットさせる傾向をもつ。ピボット動作を伴うこの運動は、初期には、第2のピボットリンク33によって抵抗を受ける。しかしながら、第2のピボットリンク33は弓形の形態であって、特に、弓形の内面には「V字形」の切欠部38が設けられているため、第2のピボットリンク33は、かかるピボットリンクを圧縮する傾向の所定の力だけに耐えられる。シートの背もたれに作用する力が所定のしきい値を越えているならば、第2のピボットリンク33はつぶれて変形し、リクライニング支持板32は、エネルギーを吸収しながら、ピボットピン30によって形成された軸線を中心としてピボットする。
第2のピボットリンクをつぶすためにシートの背もたれに作用しなければならない力の所定のしきい値は、解放要素23の脆い部分を破壊するためにシートの背もたれに作用しなければならない力に比べて大きく、従って、第1のピボットリンク27の運動を許容することを理解されたい。
第2のピボットリンク33の下端に設けられたピボットピン36は、中間的な支持板15に形成された三角形の開口部21の内部を上昇し、三角形の開口部の最も上の角部に隣接した位置を占める。図5に示すように、第2のピボットリンク33はつぶれたが、つぶれるに際して、第2のピボットリンクはエネルギーを吸収したことを理解されたい。
車両が激しい後部衝突を受けたとき、例えば、車両の後部に他の車両が高速で衝突した場合、シートの背もたれには非常に大きな後方への力が作用する。この力はピボットリンク27,33をピボットさせ、ピボットピン36を極めて急速に三角形の開口部21の後方へ移動させ、図6に示すように、三角形の開口部21の縁部を形成する開口領域45の縁部に係合させる。ピボットピン36は急速に動くので、ピボットピン36はかなりの力をもって開口領域45の縁部に突き当たり、開口領域45を変形させる。ピボットピン36が開口領域45に作用させる力は、開口領域45を変形させ続け、ピボットピン36は開口領域45を変形させながら開口領域に入り込み、ついには、ピボットピン36は開口領域45の他の縁部に到達する。ピボットピンが開口領域45の他方の縁部に達すると、図7に示すように、ピボットピンは、開口部や厚みの減少によって脆弱化されていない中間的な支持板15の部分によって、さらに動くことが防止される。
ピボットピン36が開口領域45を変形させると、ピボットピン36のいくらかの運動エネルギーは吸収される。これは、ピボットピン36の速度が徐々に減速し、シートの背もたれの後方への運動速度もまた、徐々に減速することを意味する。このように、シートの背もたれが徐々に減速することは、シートの背もたれが非常に急激に停止することを防止し、これは、シートの背もたれが急激に停止することでシート上の人物が負傷するのを防ぐ助けになる。
いったんピボットピン36が開口領域45を通って移動し、中間的な支持板15における強固な材料によってさらに後方へ動くことが阻止されると、ピボットピン36は、開口領域45の上部部分を通ってさらに上方へと移動する。従って、シートの背もたれに作用する力が充分に大きいと、図8に示すように、中間的な支持板15の材料によってピボットピン36がさらに上方へ動くことが阻止されるまで、ピボットピン36はシートの背もたれ上の人物の力によって上方へ移動する。ピボットピン36が、開口領域45を通って上方へ移動するとき、シートの背もたれは後方へ傾動し、より多くのエネルギーが吸収され、この追加的なエネルギー吸収は、非常に激しい後部衝突に関連する、高いレベルのエネルギーを消散させる助けになる。
この好ましい実施形態においては、変形可能な構造は中間的な支持板15における薄い開口領域45から形成したけれども、他の実施形態においては、変形可能な構造は、中間的な支持板15に取り付けられて、三角形の開口部21の縁部を形成する、別個の要素から形成しても良い。そうした要素は、例えば、発泡金属や、代替的には、発泡ポリウレタンなどのプラスチック材料から形成しても良い。実際には、変形可能な構造は、任意の種類の変形可能な材料から作られた要素から形成することができる。
変形可能な構造がプラスチック発泡材などのプラスチック材料から作られる場合には、変形可能な構造のエネルギー吸収特性は、金属製の変形可能な構造のエネルギー吸収特性とは異なるだろう。プラスチック材料から作られた変形可能な構造は必ずしも塑性的に変形する必要はないが、それでも、ピボットピン36が発泡体に入り込むときエネルギーを吸収して「クッション」として作用する。この事例では、ピボットピン36が変形可能な構造から離れると、変形可能な構造は自動的にその通常の形状に復帰して、変形可能な構造は次回の後部衝突のために交換する必要がない。
次に、図9乃至図11を参照すると、この変形例の実施形態においては、複数の変形可能な指部の形態である変形可能な構造が組み込まれる。この変形例の実施形態においては、変形可能な指部46は、それぞれ中間的な支持板15と一体的に形成され、三角形の開口部21のひとつの縁部を一緒になって形成する指部の列を形成している。指部46は、間隔を隔てて、それぞれ略下方を向いており、三角形の開口部21の下側縁部に向けられている。指部46の端部は、互いに整列し、変形可能な構造の縁部を有効に形成し、三角形の開口部21の縁部を形成している。
激しい後部衝突が起こった場合、ピボットピン36はかなりの力で1又は複数の指部46の端部に突き当たり、指部46を変形させる。ピボットピン36によって指部46に作用する力は、指部46を屈曲させ、指部はつぶれるか、間隔を隔てるように動き、もってエネルギーを吸収する。指部が離れて動くならば、ピボットピン36は指部の間に動く。図10に示すように、ピボットピン36は、中間的な支持板15の大部分を形成している材料によって、後方への動きを停止する。ピボットピン36が指部46の間の、この最も後方の位置にあるとき、ピボットピン36は有効に指部46の間に捕らえられる。シートの背もたれがピボットピン36にさらに力を作用させると、シートの背もたれが後方へ傾動して、ピボットピン36は上昇し、ピン36は指部を変形させ、ついには、図11に示すように、ピボットピン36は中間的な支持板15の上部部分によって停止する。ピボットピン36が上昇すると、上方の指部46が変形して、追加的なエネルギーが吸収される。
次に、図12及び図13を参照すると、さらに別の実施形態に組み込まれた変形可能な構造は、上方に向けられた単一の変形可能な指部47から形成され、指部47は凹部48の開口部を横切るように延在している。凹部48は、中間的な支持板15の一部分から形成され、指部47は、中間的な支持板15を形成する金属と一体的に形成されている。指部47の片側は、三角形の開口部21の縁部を形成している。
激しい後部衝突が起こった場合、シートの背もたれの下部部分が後方への直線運動を受けると、ピボットピン36は指部47に係合する。ピボットピン36によって指部47に力が作用し、指部47は凹部48の中へ変形する。従って、エネルギーが吸収される。指部47が変形すると、ピボットピン36は凹部48内へと動き、ついには、図13に示すように、中間的な支持板15の大部分を形成している材料によってさらに後方へ動くことが阻止される。
ピボットピン36が凹部48内にあるとき、ピボットピン36は凹部48の上側縁部によって、上方へ動くことが防止される。これは、ピボットピン36が凹部48内にある間、ピボットピンはシートの背もたれが後方へ傾動するのを防ぐことを意味している。高いエネルギーの後部衝突における後方への傾動は、ある種の状況において、シート上の人物を負傷させる。
次に、図14及び図15を参照すると、さらに別の実施形態は、単一の変形可能な帯49から形成された変形可能な構造を有している。変形可能な帯49は中間的な支持板15の金属と一体的に形成され、変形可能な帯49は、変形可能な帯49の一方の縁部は三角形の開口部21のひとつの縁部を形成し、変形可能な帯49の他方の縁部は中間的な支持板15の菱形の形状のスリット50のひとつの縁部を形成し、スリット50は変形可能な帯49と板15の本体との間に位置している。
激しい後部衝突が起こった場合、ピボットピン36は変形可能な帯49に係合するように動く。ピボットピン36によって変形可能な帯49に作用する力は、変形可能な帯49を変形させ、図15に示すように、スリットを閉じる。従って、エネルギーが吸収される。ピボットピン36は、変形可能な帯49を形成している材料によって、さらに後方に動くことを阻止され、というのは、変形可能な帯49を形成している材料は、中間的な支持板15の大部分をなす金属に対して押圧されるためである。ピボットピン36が最も後方の位置にあるとき、ピボットピン36の上部部分のまわりを有効に閉じた変形可能な帯49の上部部分によって、上方へ動くのを阻止される。
次に、図16及び図17を参照すると、他の実施形態は可動な閉鎖要素51を有している。閉鎖要素51は略矩形の形状であり、閉鎖要素51のひとつの端部には矩形のスリット52が形成されている。閉鎖要素51の端部は内方へ屈曲していて、閉鎖面53を呈し、閉鎖面53はスリット52と隣接している。閉鎖要素は、金属、プラスチック、又は複合材料から作られる。
閉鎖要素51の片端は、シャフト54によって、支持板15にピボット式に取り付けられている。シャフト54は、支持板15の三角形の開口部21の上方に位置している。支持板15には板バネ55が取り付けられ、板バネ55は、閉鎖要素51が三角形の開口部21の縁部を越えて延びることのない位置へ向けて(この位置は、図16の仮想線にて示している。)、閉鎖要素51を回転式に付勢する。後部衝突中には、支持板15は衝突の力によって前方へ加速される。閉鎖要素51は慣性を有し、このことは、支持板15が前方へ加速されると、閉鎖要素51には支持板15に対して後方方向に有効に力が作用することを意味する。
低い又は平均的な激しさの後部衝突においては、支持板15は非常に急速には加速されず、従って、閉鎖要素51に働く相対的な力は小さい。この場合には、閉鎖要素51に働く小さな力は、板バネ55によって閉鎖要素51に作用する力を克服するには不十分である。従って、閉鎖要素51は、板バネ55の力によって、その通常の位置に維持され、機構は、その標準的なやり方で、低い又は平均的な激しさの後部衝突に対して動作する。
激しい後部衝突が起こった場合、閉鎖要素51に作用する力は大きくて、板バネ55によって閉鎖要素51に作用する力を越える。この状況においては、板バネ55の力に打ち勝って、閉鎖要素51はシャフト54を中心として後方方向へと回動する。閉鎖要素51の閉鎖面53が三角形の開口部21の後面を越えると、閉鎖要素51はクラッチ(図示せず)によって所定位置にロックされる。いま、ピボットピン36が上方への動きを受けると、ピボットピン36は閉鎖要素51の閉鎖面53に係合するように動く。ピボットピン36によって閉鎖面53に力が作用すると、図17に示すように、スリット52が閉じて、閉鎖要素51の端部は変形する。閉鎖要素51の端部が変形すると、エネルギーが吸収される。従って、バックレストの後方への傾動は最小になって、また、エネルギーが吸収される。他の実施形態においては、閉鎖要素51は変形可能な本体を有し、または、ピボットピン36からエネルギーを吸収するために、閉鎖要素51の任意の部分は変形可能になっている。
変形例の実施形態においては、他の機構、例えば後部衝突の激しさを検出するセンサを有してなる制御ユニットによって制御されるモータによって、閉鎖要素51は、閉鎖面53が三角形の開口部21の後部縁部を越える位置へと動かされる。
次に、図18乃至図21を参照すると、さらに別の実施形態は、中間的な支持板15にピボット式に取り付けられた、L字形の形態の閉鎖要素56である、実質的にL字形の部材を有している。この実施形態においては、L字形の閉鎖要素56は、金属から作られ、下方の矩形の平坦部分58に結合された、上方の矩形の平坦部分57から形成されている。上側部分57と下側部分58とは、互いに約45゜の角度にて結合され、部分57と部分58とが結合された閉鎖要素56の領域は、角部部分59を形成している。変形可能な要素56の角部部分59には開口部が形成され、開口部を通り抜けるピボット部材60は、三角形の開口部21の後部縁部に隣接した中間的な支持板15の部分に固定されている。閉鎖要素56は、中間的な支持板15に対してピボット可能になっている。
閉鎖要素56にはスリット61が形成され、スリット61は角部部分59の開口部から延びて、下側部分58に沿って途中まで延びている。スリット61、ピボット部材60の直径に比べて狭い幅になっている。スリット61の目的は、以下の説明から明らかになる。
ピボット部材60には板バネ62が取り付けられ、板バネ62は閉鎖要素56に付勢力を作用させて、閉鎖要素56を初期位置へ向けて付勢し、初期位置においては、図18に示すように、下側部分58は三角形の開口部21の後部縁部と重なり合っている。他の実施形態においては、L字形の閉鎖要素56は、ピンの形態である脆い要素によって初期位置に保持され、ピンは、一方の端部を支持板15に固定され、他端をL字形の部材56に固定される。脆いピンは、L字形の部材56に作用する力が所定のレベルを越える場合に、破壊されるように構成される。
低い又は平均的な激しさの後部衝突が起きた場合、シートの背もたれ上の人物の力によって、ピボットピン36は、ピボットピン36が閉鎖要素56の下方部分58に係合する位置へと動く。ピボットピン36は下方部分58に力を作用させ、ピボットピン36によって作用する力は、板バネ62の付勢に抗する。低い又は平均的な激しさの衝突においては、ピボットピン36が下方部分58に作用させる力は、板バネ62の付勢力を越えることがない。従って、閉鎖要素56は初期の位置に維持され、ピボットピン36によって作用する力によってピボットすることがない。
低い又は平均的な激しさの後部衝突中に、ピボットピン36が下方部分58に係合した後には、シートの背もたれが後方へ傾動するとピボットピン36は上方へと動く。ピボットピン36は、閉鎖要素56の下方部分58の縁部に沿って上方へ動くことができ、ついには、図19に示すように、ピボットピン36は三角形の開口部21の後部縁部に接触し、ピボットピン36は三角形の開口部21の制限内で上昇を続ける。
激しい後部衝突の場合には、ピボットピン36は閉鎖要素56の下方部分58に係合するように動き、ピボットピン36は下方部分58に大きな力を作用させる。激しい後部衝突の結果としての、この大きな力は板バネ62の付勢力を越え、もって閉鎖要素56はピボット部材60を中心としてピボットし、ついには、ピボットピン36は、図20に示すように、三角形の開口部21の後部縁部に係合する。閉鎖要素56がピボットすると、下方部分58は、三角形の開口部21の縁部と重なり合わない位置へと移動する。下方部分58がピボットすると、上方部分57は、三角形の開口部21の縁部と重なり合う位置へとピボットする。板バネ62がピボットピン36に作用すると、エネルギーが吸収される。閉鎖要素56は、上方部分57を三角形の開口部21の縁部に重なり合わせて、ロック(図示せず)によって、この位置にロックされる。
閉鎖要素56がこの位置にロックされたとき、ピボットピン36の上方への動きは、閉鎖要素56の上方部分57によって制限される。激しい衝突において、ピボットピン36の上方への動きを制限することによって、シートの背もたれが後方へ傾動することは阻止され、人物が負傷する可能性が最小化される。
非常に激しい後部衝突においては、シート上の人物は、極めて大きな力をシートの背もたれに作用させ、安全装置が吸収するための非常に大きな量のエネルギーをもたらす。そうした非常に激しい後部衝突においては、シートの背もたれは途中まで後方へ傾動し、途中まで後方へ傾動するときにエネルギーを吸収することが望ましい。非常に激しい後部衝突中には、シート上の人物がシートの背もたれに作用させる非常に大きな力によって、ピボットピン36は、L字形の閉鎖要素56の上方部分57に非常に大きな上方への力を作用させる。L字形の閉鎖要素56に働く、この非常に大きな力によって、L字形の閉鎖要素56におけるスリット61のまわりの部分は、ピボット部材60に対して移動する。L字形の閉鎖要素56は金属製であるので、L字形の閉鎖要素56におけるスリット61のまわりの部分は塑性的に変形するが、これは、そうした非常に大きな力がL字形の閉鎖要素56に作用した場合に限られる。この非常に大きい力のために、L字形の閉鎖要素56はピボットピン36によって上方へ動かされ、L字形の閉鎖要素56におけるスリット61のまわりの部分は変形し、L字形の閉鎖要素56は、図21に示すように、スリット61の長さに沿って移動する。このようにピボットピン36が途中まで上方へ動くと、シートの背もたれは途中まで後方に傾動し、L字形の閉鎖要素56におけるスリット61のまわりの部分が変形して、エネルギーが吸収される。
他の実施形態においては、スリット61の幅をピボット部材60の直径に比べて狭くしてL字形の閉鎖要素56の上方への動きを制限する代わりに、スリット61の内部に脆い要素を配置して、ピボット部材60に通常接触するようにする。非常に激しい後部接触から生じる非常に大きな力は、脆い要素を破壊させて、L字形の閉鎖要素56を上方へと移動させる。
さらに別の実施形態においては、L字形の閉鎖要素56の上方への動きは、塑性的に変形可能な要素、又はバネなどの弾性的な要素によって制限される。
次に、図22乃至図24を参照すると、変形例の実施形態は、中間的な支持板15に取り付けられた、フック形状の閉鎖要素63の形態である、フック状の部材を有している。フック形状の閉鎖要素63は、金属から作られ、長い支持部分64と短いフック部分65とから形成されている。フック部分65は、支持部分64の上端に結合され、支持部分64の長手方向の長さに対して約90゜の角度になっている。フック形状の閉鎖要素63は、支持部分64の長さに沿った箇所にて、ピボットロッド66によってピボット式に取り付けられ、ピボットロッドは、中間的な支持板15に固定され、支持部分64に形成された開口部を通り抜けている。支持部分64には、ピボットロッド66の直径に比べて幅狭のスリット67が形成され、スリット67は、ピボットロッド66が支持部分64の開口部を延通している箇所から下方へ延びている。開口部はスリット67の最も上の部分を形成し、従って、ピボットロッド66はスリット67の最も上の部分に収容される。スリット67の目的については以下に詳述する。
支持部分64において、ピボットロッド66及びスリット67の下方の部分は、拡大して重り68を形成している。重り68は金属から作られ、支持部分64と一体的に形成されるが、ピボットロッド66の上方の支持部分64の部分に比べて大きな厚みを有している。ピボットロッド66の下方にある重り68は、ピボットロッド66の上方にある支持部分64の部分に比べて、ピボットを中心として、より大きな慣性モーメントを有している。重り68及び大きな慣性モーメントの目的は、以下の説明から明らかになる。
板バネ69は、図22に示すように、フック部分65が中間的な支持板15の三角形の開口部21の縁部と重なり合わない、通常の状態へ向けて、フック形状の閉鎖要素63を弾性的に付勢する。板バネ69は、重り68の重心がピボットロッド66の下方からオフセットしているために生じる回転力を越える、回転付勢力を提供する。
車両が低い又は平均的な激しさの後部衝突に巻き込まれた場合、矢印70にて示すように、機構は前方への急速な加速度を受ける。機構が前方へ加速されると、ピボットロッド66は同じ速度で前方に加速される。他方において、フック形状の閉鎖要素63は、中間的な支持板15にピボット式に取り付けられ、従って、中間的な支持板15に対してピボットすることができる。ピボットロッド66の下側にある重り68の慣性モーメントは、ピボットロッド66の上側にある支持部分64及びフック部分65の慣性モーメントに比べて大きいので、重り68の慣性モーメントから生じる力は、支持部分64の慣性モーメントから生じる力に比べて大きい。しかしながら、低い又は平均的な激しさの後部衝突においては、重り68の慣性モーメントから生じる力は、板バネ69の付勢力を越えることがない。従って、低い又は平均的な激しさの後部衝突においては、フック形状の閉鎖要素63は通常の状態を維持し、ピボットピン36の上方への動きは制限されずに、シートの背もたれを後方へ傾動させてエネルギーを吸収する。
車両が激しい後部衝突に巻き込まれた場合、重り68の慣性モーメントから生じる力は、板バネ69の付勢力を越える。従って、重り68は、ピボットロッド66に対して有効に後方へと動き、フック形状の閉鎖要素をピボットロッド66を中心として反時計まわり方向に回転させる。フック形状の要素64は閉鎖位置にまで回転し、図23に示すように、フック部分65は三角形の開口部21の縁部と重なり合う。フック形状の閉鎖要素63が閉鎖位置に達したとき、閉鎖要素はロック装置(図示せず)によって所定位置にロックされる。そうしたロック装置は、ラチェットか、または、フック形状の閉鎖要素63の部分に係合して、これを閉鎖位置に保持するロックピンである。フック形状の閉鎖要素63が閉鎖位置にロックされたとき、フック部分65はピボットピン36の上方への動きを制限し、シートの背もたれが後方へ傾動することを阻止し、シート上の人物が負傷することを防ぐ。
非常に激しい後部衝突が起きた場合、重り68の慣性モーメントは再びフック形状の閉鎖要素63を閉鎖位置へとピボットさせ、ピボットピン36の上方への動きを制限する。しかしながら、後部衝突が非常に激しいために、ピボットピン36は、フック形状の閉鎖要素63のフック部分65に対して、非常に大きな上方への力を作用させる。この非常に大きな上方への力は、ピボットロッド66に対してフック形状の閉鎖要素63を上方へ移動させ、ピボットロッド66は、フック形状の閉鎖要素63におけるスリット67のまわりの部分を変形させる。フック形状の閉鎖要素63は金属から作られているので、スリット67のまわりの領域は塑性的に変形させ、エネルギーを吸収する。従って、非常に激しい後部衝突から生じる更なるエネルギーが吸収される。
この変形例の実施形態においては、フック形状の閉鎖要素の上方への動きはピボットロッド66に対して幅狭のスリット67によって制限していたけれども、代替的には、動きは、スリット67の内部の脆い要素、又はバネなどの弾性的要素によって制限することもできる。
開示した実施形態においては、中間的な支持板15を設けたけれども、中間的な支持板15の唯一の実際の機能は、シートの背もたれの全体の前方への傾動を許容することである。シートの背もたれ支持機構が、ツードア車のシートに設けられるのでなければ、中間的な支持板は省略しても良い。そうした事例においては、開口部21,22,24は、後部メイン支持板3に形成される。また、ロックレバー18も省略される。
解放要素23は脆いピンとして説明したけれども、解放要素23は、適当なセンサからの信号に応答してピンを引っ込めるように適合した機械的又は電気機械的な装置から構成しても良い。センサは、所定のしきい値を越えた車両の加速度に応答するように適合したセンサから構成される。センサは、初期にはピボットリンク27の開口部28に係合しているピンを自動的に引っ込め、従って、ピボットリンク27を解放する。変形例としては、引っ込み可能なピンをソレノイドによって引っ込めても良い。
さらに別の実施形態においては、解放要素23は、バネなどの弾性的要素であって、シートの背もたれの力が所定のレベルを上回ると弾性的に変形するように構成され、シートの背もたれが直線後方運動することを許容する。
特許請求の範囲から逸脱せずに、本発明にさらに改変を施せることを認識されたい。
本明細書及び特許請求の範囲において、「備える」及び「備えている」及びその変形例の用語は、特定の特徴、段階、又は構成要素が含まれることを意味している。かかる用語は、他の特徴、段階、又は構成要素の存在を排斥するものとは解釈されるべきでない。
本発明の好ましい実施形態によるシートの背もたれ支持機構を示した斜視図である。 図1のシートの背もたれ支持機構を示した分解図である。 図1及び図2に示した機構における4つの協働する部品について、第1の状態を示した平面図である。 図3に対応する図であって、4つの部品の第2の状態を示している。 図3及び図4に対応する図であって、4つの部品の第3の状態を示している。 図3に対応する図であって、激しい後部衝突中に、ピボットピンが変形可能な構造に係合するように動いた様子を示している。 図6に対応する図であって、ピボットピンが変形可能な構造を変形させた様子を示している。 図6及び図7に対応する図であって、ピボットピンは変形可能な構造を通って上方へと移動している。 図6に対応する図であるが、変形例による変形可能な構造を示している。 図9の実施形態を示した図であって、変形可能な構造が変形した様子を示している。 図9及び図10に示した実施形態に対応する図であって、ピボットピンは変形可能な構造を通って上方へ動いた様子を示している。 図6に対応する図であるが、さらに別の変形可能な構造を示している。 図12の実施形態を示した図であって、変形可能な構造が変形した様子を示している。 図6に対応する図であるが、さらに別の変形可能な構造を示している。 図14の実施形態を示した図であって、変形可能な構造が変形した様子を示している。 図6に対応する図であって、本発明のさらに別の実施形態について、激しい後部衝突中の様子を示している。 図16の実施形態を示した図であって、変形可能な構造が変形した様子を示している。 図6に対応する図であって、本発明のさらに別の実施形態について、初期状態を示している。 図18の実施形態を示した図であって、低いないし平均的な激しさの衝突における様子を示している。 図18の実施形態を示した図であって、激しい衝突における様子を示している。 図18の実施形態を示した図であって、極めて激しい衝突における様子を示している。 図6に対応する図であって、本発明の他の実施形態について、初期状態を示している。 図22の実施形態を示した図であって、激しい衝突における様子を示している。 図22の実施形態を示した図であって、極めて激しい衝突における様子を示している。

Claims (38)

  1. 自動車のシートの背もたれを支持するシートの背もたれ支持機構であって、
    このシートの背もたれ支持機構が、シートの座部に結合され又はシートの座部を支持するフレームに結合されるように適合してなる少なくともひとつの第1の構成要素(2,3)と、シートの背もたれに結合されるように適合してなる少なくともひとつの別の構成要素(43)とを備え、
    前記結合部は、前記自動車が後部衝突に巻き込まれたときに、前記別の構成要素(43)が、第1の構成要素(2,3)に対して後方へ第1のピボット動作すること、及び第1の構成要素(2,3)に対して前方へ第2のピボット動作することを許容する手段を具備している上記シートの背もたれ支持機構において、
    リンク機構が設けられ、
    該リンク機構は第1及び第2のピボットリンク要素(27,33)を備え、前記第1及び第2のピボットリンク要素(27,33)はそれぞれ前記少なくともひとつの第1の構成要素(2,3)に対してピボット運動するように取り付けられ、前記第1のピボットリンク要素(27)は前記第1の構成要素(2,3)と前記別の構成要素(43)とを接続し、前記第2のピボットリンク要素(27)は前記第1の構成要素(2,3)と前記別の構成要素(43)とを、前記第1のピボットリンク要素(27)の前方において接続し、 ピボットリンク要素(27,33)は前記別の構成要素(43)を直接的又は間接的に支持し、
    ピボットリンク要素(27,33)は前記別の構成要素(43)が初期の後方ピボット運動することを許容し、この後方ピボット運動は前記第2のピボット動作を行う前に前記第1のピボット動作を行うことで構成され、
    前記第2のピボットリンク要素(33)は、前記第1のピボット動作の後に、前記別の構成要素(43)と第1の構成要素(2,3)との間に作用する圧力が所定のしきい値以下の場合には、この圧力に抵抗し、前記圧力が所定のしきい値を越えた場合には、変形して第2のピボット動作を許容するように構成され、
    前記背もたれ支持機構はさらに、前記別の構成要素(43)と接続された係合部材(36)を備え、ピボットリンク要素(27,33)が動いて前記別の構成要素(43)に初期の後方ピボット運動をさせることを許容したとき、前記係合部材(36)は前記第1の構成要素(2,3)と接続された変形可能な構造(45)に係合すべく可動になっていることを特徴とする機構。
  2. リンク要素(27,33)は支持板(15)に対して可動であり、変形可能な構造は前記第1の構成要素(2,3)に支持された前記支持板(15)と一体的に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の機構。
  3. 変形可能な構造(45)は、支持板(15)における厚みの減少した領域によって形成され、該領域には開口部が組み込まれていることを特徴とする請求項2に記載の機構。
  4. 変形可能な構造(45)は、少なくともひとつの変形可能な指部(46)によって形成されていることを特徴とする請求項2に記載の機構。
  5. 変形可能な構造(45)は複数の変形可能な指部(46)から形成され、それぞれの変形可能な指部(46)は他の変形可能な指部(46)から間隔を隔てていることを特徴とする請求項4に記載の機構。
  6. 変形可能な構造(45)は1本の変形可能な指部(47)から形成され、該指部は支持板(15)の凹部(48)に配置され、前記係合部材(36)が指部(47)と係合するように動いて指部(47)を変形させると、前記係合部材(36)は凹部(48)内へと動き、部材(36)の上方への動きは、凹部(48)の上側によって制限されることを特徴とする請求項4に記載の機構。
  7. 変形可能な構造(45)は、支持板(15)のスリット(50)によって配置された変形可能な帯(49)から形成され、前記係合部材は変形可能な帯を変形させてスリットを閉じさせることを特徴とする請求項2に記載の機構。
  8. 変形可能な構造(45)は、前記支持板(15)に取り付けられていることを特徴とする請求項2乃至7のいずれか一項に記載の機構。
  9. 変形可能な構造(45)は発泡金属であることを特徴とする請求項8に記載の機構。
  10. 変形可能な構造(45)は、プラスチック材料の発泡体であることを特徴とする請求項8に記載の機構。
  11. 自動車のシートの背もたれを支持するシートの背もたれ支持機構であって、
    このシートの背もたれ支持機構が、シートの座部に結合され又はシートの座部を支持するフレームに結合されるように適合してなる少なくともひとつの第1の構成要素(2,3)と、シートの背もたれに結合されるように適合してなる少なくともひとつの別の構成要素(43)とを備え、
    前記結合部は、前記自動車が後部衝突に巻き込まれたときに、前記別の構成要素(43)が、第1の構成要素(2,3)に対して後方へ第1のピボット動作すること、及び第1の構成要素(2,3)に対して前方へ第2のピボット動作することを許容する手段を具備している上記シートの背もたれ支持機構において、
    リンク機構が設けられ、
    該リンク機構は第1及び第2のピボットリンク要素(27,33)を備え、前記第1及び第2のピボットリンク要素(27,33)はそれぞれ前記少なくともひとつの第1の構成要素(2,3)に対してピボット運動するように取り付けられ、前記第1のピボットリンク要素(27)は前記第1の構成要素(2,3)と前記別の構成要素(43)とを接続し、前記第2のピボットリンク要素(27)は前記第1の構成要素(2,3)と前記別の構成要素(43)とを、前記第1のピボットリンク要素(27)の前方において接続し、 ピボットリンク要素(27,33)は前記別の構成要素(43)を直接的又は間接的に支持し、
    ピボットリンク要素(27,33)は前記別の構成要素(43)が初期の後方ピボット運動することを許容し、この後方ピボット運動は前記第2のピボット動作を行う前に前記第1のピボット動作を行うことで構成され、
    前記第2のピボットリンク要素(33)は、前記第1のピボット動作の後に、前記別の構成要素(43)と第1の構成要素(2,3)との間に作用する力が所定のしきい値以下の場合には、この力に抵抗し、前記力が所定のしきい値を越えた場合には、変形して第2のピボット動作を許容するように構成され、
    前記背もたれ支持機構はさらに、前記別の構成要素(43)に接続された係合部材(36)と、可動な閉鎖要素(51)と、を備え、前記可動な閉鎖要素(51)は、該閉鎖要素(51)が第2のピボット動作を妨げない初期位置から、該閉鎖要素(51)が前記係合部材(36)と係合して第2のピボット動作を少なくとも部分的に妨げる閉鎖位置へと可動になっていることを特徴とする機構。
  12. 閉鎖要素(51)は、慣性によって閉鎖位置へ動くように取り付けられていることを特徴とする請求項11に記載の機構。
  13. 閉鎖要素(51)は、付勢構造(55)によって初期位置の方向に向けて付勢され、閉鎖要素(51)の慣性から生じる力が付勢力を越えるとき、閉鎖要素(51)は、閉鎖要素(51)の慣性によって生じる力によって閉鎖位置へと動けるようになっていることを特徴とする請求項12に記載の機構。
  14. 付勢構造は、リーフバネ(55)を備えていることを特徴とする請求項13に記載の機構。
  15. 閉鎖要素(63)には重り(68)が組み込まれ、重り(68)の慣性モーメントが発生させる力によって、閉鎖要素(63)は閉鎖位置へと可動になっていることを特徴とする請求項12乃至14のいずれか一項に記載の機構。
  16. シートの背もたれ支持機構には制御ユニットが組み込まれ、該制御ユニットに接続されたセンサは、車両の後部衝突の厳しさを検出し、制御ユニットはモータを制御して閉鎖要素(63)を閉鎖位置へと移動させることを特徴とする請求項11に記載の機構。
  17. 閉鎖要素(63)は少なくとも部分的に変形可能であり、使用時に、前記係合部材(36)が閉鎖要素(63)に係合するように動くと、エネルギーが吸収されることを特徴とする請求項11乃至16のいずれか一項に記載の機構。
  18. 閉鎖要素(63)は付勢構造(62)によって初期位置へ向けて付勢され、閉鎖要素(56)は第1の部分(58)と第2の部分(57)とを有し、部材(36)から第1の部分(58)に所定のレベルを越える力が作用すると第1の部分(58)は動くことができ、第2の部分(57)は第1の部分(58)が動いた結果として動くことができ、第2の部分(57)は、第2の部分(57)が前記係合部材(36)の所定の動きを少なくとも部分的に妨げる位置へと可動になっていることを特徴とする請求項11に記載の機構。
  19. 前記第1の部分(58)は前記第2の部分(57)に結合されて実質的にL字形の部材(56)を形成し、角部分(59)は第1の部分(58)が第2の部分(57)に結合される箇所に形成され、L字形の部材(56)は角部分(59)にてピボット式に取り付けられていることを特徴とする請求項18に記載の機構。
  20. L字形の部材(56)は付勢構造(62)によって初期位置へ向けて付勢され、L字形の部材(56)は、前記係合部材(36)の一方向への動きを妨げ、前記係合部材(36)の所定の動きを許容することを特徴とする請求項19に記載の機構。
  21. L字形の部材(56)は、付勢構造(62)の付勢力を越えて、前記係合部材(36)がL字形の部材(56)の前記第1の部分(58)に作用させる力に応答して動くことができ、L字形の部材(56)の第2の部分(57)は閉鎖位置へと動かされ、L字形の部材(56)の第2の部分(57)は少なくとも部分的に前記係合部材(36)の所定の動きを妨げることを特徴とする請求項20に記載の機構。
  22. 閉鎖要素(56)は脆い要素によって初期位置に保持され、脆い要素は、閉鎖要素(56)が所定のレベルを越える力を作用させると破壊されることを特徴とする請求項11乃至21のいずれか一項に記載の機構。
  23. 閉鎖要素(56)は付勢構造(62)によって初期位置へと付勢され、閉鎖要素(56)は第1の部分(58)と第2の部分(57)とを有し、閉鎖要素(56)は第1の部分(58)と第2の部分(57)との間の箇所にてピボット式に取り付けられ、ピボット(60)を中心とする一方の部分(57,58)の慣性モーメントは、ピボット(60)を中心とする他方の部分(57,58)の慣性モーメントに比べて大きく、閉鎖要素(56)は異なる慣性モーメントの結果、所定の加速度に応答して可動になっていることを特徴とする請求項11に記載の機構。
  24. 閉鎖要素(56)は付勢構造(62)によって初期位置へと付勢され、加速度に応答して前記慣性モーメントによって生じる力が付勢力に比べて大きいとき、この力に応答して、閉鎖要素(56)は閉鎖位置へと可動になっていることを特徴とする請求項23に記載の機構。
  25. 閉鎖要素(56)の第1の部分(58)にスリット(61)が形成され、閉鎖要素(56)はスリット(61)の上部部分に収容されたピボットロッド(60)にピボット式に取り付けられていることを特徴とする請求項19乃至24のいずれか一項に記載の機構。
  26. スリット(61)の幅は、ピボットロッド(60)の直径に比べて小さくなっていることを特徴とする請求項25に記載の機構。
  27. 閉鎖要素(56)はピボットマウント(60)に対して直動運動することが可能であり、前記係合部材(36)が閉鎖要素(56)に作用させる所定のレベルを越える力に応答して、前記係合部材(36)が前記所定の動きを受けることを許容することを特徴とする請求項25又は26に記載の機構。
  28. 前記第2のピボットリンク要素(33)は弓形の形態であり、前記第2のピボットリンク要素の両端のそれぞれは、前記第1の構成要素(2,3)及び別の構成要素(43)のそれぞれに結合され、前記別の構成要素(43)が前記第1の構成要素(2,3)に対して前記第2のピボット運動すると、前記2つの端部は前記第2のピボットリンク要素(33)がつぶれる結果、互いに向けて動くように適合していることを特徴とする請求項1乃至27の何れか1項に記載の機構。
  29. 前記第2のピボットリンク要素(33)は、前記第2のピボットリンク要素(33)の変形を助けるために、弓形の内側に切欠部(38)を備えていることを特徴とする請求項28に記載の機構。
  30. 前記第2のピボットリンク要素(33)は前記係合部材(36)によって別の構成要素(43)を支持する支持体(32)に回動可能に結合され、ピボットピン(36)は第1の構成要素(2,3)と一体に設けられた支持板(15)に形成された案内開口部(21)に延入していることを特徴とする請求項28又は29に記載の機構。
  31. 別の構成要素(43)を支持する支持体は、リクライニング機構を支持するリクライニング支持板を備え、リクライニング機構は前記別の構成要素(43)を構成する支持アーム(43)を備えていることを特徴とする請求項30に記載の機構。
  32. 前記別の構成要素(43)にシートから作用する力が所定の力よりも小さい場合に、第1のピボット動作を禁止し、前記力が前記所定の力以上の場合に、第1のピボット動作を許容するための解放手段(23)が設けられていることを特徴とする請求項28乃至31のいずれか一項に記載の機構。
  33. 解放手段(23)は、前記別の構成要素(43)にシートから作用する力が所定の力よりも小さい場合に、ピボットリンク要素(27,33)と係合して移動を拘束し、前記力が前記所定の力以上の場合に、破壊される部材を備えていることを特徴とする請求項32に記載の機構。
  34. 解放手段(23)は機械的又は電気機械的に動作する解放手段を備えていることを特徴とする請求項32に記載の機構。
  35. 別の構成要素(43)の第1及び第2のピボット動作の動きを許容する前記手段は支持板(15)に結合され、該支持板は、前記第1の構成要素(2,3)に対してピボット運動するように取り付けられ、支持板(15)を所定位置にロックする手段が設けられていることを特徴とする請求項1乃至34の何れか1項に記載の機構。
  36. 支持板(15)を所定位置にロックする手段(15)は、ピボット式に取り付けられたレバー(18)を備え、該レバーは、初期には支持板(15)に係合して支持板(15)を所定位置にロックし、レバー(18)が支持板(15)から係脱して支持板(15)のピボット運動を許容する位置へと動くことができることを特徴とする請求項35に記載の機構。
  37. 自動車のシートの背もたれを支持するシートの背もたれ支持機構であって、
    このシートの背もたれ支持機構が、シートの座部に結合され又はシートの座部を支持するフレームに結合されるように適合してなる少なくともひとつの第1の構成要素(2,3)と、シートの背もたれに結合されるように適合してなる少なくともひとつの別の構成要素(43)とを備え、
    前記結合部は、前記自動車が後部衝突に巻き込まれたときに、前記別の構成要素(43)が、第1の構成要素(2,3)に対して後方へ第1のピボット動作すること、及び第1の構成要素(2,3)に対して前方へ第2のピボット動作することを許容する手段を具備している上記シートの背もたれ支持機構において、
    リンク機構が設けられ、
    該リンク機構は第1及び第2のピボットリンク要素(27,33)を備え、前記第1及び第2のピボットリンク要素(27,33)はそれぞれ前記少なくともひとつの第1の構成要素(2,3)に対してピボット運動するように取り付けられ、前記第1のピボットリンク要素(27)は前記第1の構成要素(2,3)と前記別の構成要素(43)とを接続し、前記第2のピボットリンク要素(27)は前記第1の構成要素(2,3)と前記別の構成要素(43)とを、前記第1のピボットリンク要素(27)の前方において接続し、 ピボットリンク要素(27,33)は前記別の構成要素(43)を直接的又は間接的に支持し、
    ピボットリンク要素(27,33)は前記別の構成要素(43)が初期の後方ピボット運動することを許容し、この後方ピボット運動は前記第2のピボット動作を行う前に前記第1のピボット動作を行うことで構成され、
    前記第2のピボットリンク要素(33)は、前記第1のピボット動作の後に、前記別の構成要素(43)と第1の構成要素(2,3)との間に作用する力が所定のしきい値以下の場合には、この力に抵抗し、前記力が所定のしきい値を越えた場合には、変形して第2のピボット動作を許容するように構成され、
    前記第2のピボットリンク要素(33)は、弓形の形態であり、前記第2のピボットリンク要素(33)の変形を助けるために、弓形の内側に切欠部(38)を備え、
    前記第2のピボットリンク要素の両端のそれぞれは、前記第1の構成要素(2,3)及び別の構成要素(43)のそれぞれに結合され、前記別の構成要素(43)が前記第1の構成要素(2,3)に対して前記第2のピボット運動すると、前記2つの端部は前記第2のピボットリンク要素(33)がつぶれる結果、互いに向けて動くように適合し、
    前記背もたれ支持機構はさらに、前記別の構成要素(43)に接続された係合部材(36)を備え、ピボットリンク要素(27,33)が動いて前記別の構成要素(43)に初期の後方ピボット運動をさせることを許容したとき、前記係合部材(36)は前記第1の構成要素(2,3)に接続された変形可能な構造(45)に係合すべく可動になっていて、
    前記変形可能な構造(45)は、前記第1の構成要素(2,3)に接続された支持板(15)における厚みが減少して開口部が組み込まれた領域によって、前記支持板(15)と一体的に形成されていることを特徴とする機構。
  38. 請求項1乃至37の何れか1項に記載の支持機構が組み込まれていることを特徴とする車両用のシート。
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