JP5049514B2 - 載物台用送り機構 - Google Patents
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従来の載物台用送り機構は、図9,10に示すように、載物台100にフレーム101を介して回転可能かつ載物台100の移動方向に対して平行に支持された送りねじ軸120と、送りねじ軸120を回転させる送りハンドル130と、固定部材110側にブラケット111を介して設けられ送りねじ軸120に噛合可能なナット部材としてのハーフナット140とを備えて構成されている。
しかし、載物台100を大きく移動(粗動)させたい場合に、送りねじ軸120の回転で載物台100を移動させるこのような機構では、送りハンドル130の操作回数を増加させなければならず、非常に効率が悪い。
これにより、他方の手(左手)でフローティングレバー150を操作すると、ハーフナット140と送りねじ軸120とが離脱して、載物台100がフリー状態となるので、このフリー状態としたままで送りハンドル130を動かせば、載物台100を粗動させることができる。
載物台を粗動から微動に切り換える際に、ねじの山の頂点と、ハーフナットの山の頂点が噛み合う場合があるが、このようなときには、ハーフナットがねじ軸の軸方向に移動して両者が完全に噛合する。これにより、載物台上の測定対象物に衝撃が加えられ、その衝撃が強いと測定対象物が位置ずれを起こすことがある。
また、ねじの表面が粗いと、載物台の移動の滑らかさが失われる。
さらに、載物台がフリー状態の場合において、右手で切換手段を操作して、送り軸ところとを当接させた後に、右手を少しずらして送りハンドルを操作すると、前述と同様にして、載物台を微動させることができる。
このようにして、接眼レンズを覗いた状態のまま右手(片手)だけで、載物台の微動,粗動に加えて、微動,粗動の切り換え操作ができるので、操作性を向上できて測定作業を簡単にできる。
また、載物台を粗動させる際には、支点板ばねを支点として、両支持ブロックが上下に開かれ、送り軸ところとを離脱させることができる。
また、送りハンドルに加えて切換ハンドルも送り軸に対して回転可能としたので、各ハンドルが同軸を中心として回転することになる。このため、たとえば、接眼レンズを覗きながらでも、これらのハンドルに掛ける手をスムーズに行き来させることができて、載物台の粗動と微動との切換操作をすばやくかつ確実に行うことができる。
本実施形態の載物台用送り機構1は、測定顕微鏡に備え付けられている。
図1は、本実施形態の測定顕微鏡の一部を斜め上方からみた斜視図であり、図2は載物台用送り機構1を上から見た断面図である。
送り軸21は、円柱状軸材で、ブラケット20Rを貫通して操作ハンドル30側へと突出され、切換軸22は、円柱状軸材で、その中間部分から左端側にかけて、かつ切換軸22の中心軸を挟んで対称となる位置に、切欠き22A,22Bが軸方向に沿って形成されている。
駆動制御部70は、固定部材2にブラケット10を介して固定された略矩形状の基材71と、基材71の上面および下面に設けられた二枚の平行板ばね72と、この平行板ばね72にそれぞれ支持される二枚の支持ブロック73とを備える。
平行板ばね72は、長方形板状で、その長辺が送り軸21と平行になるように配置され、一端部が基材71の薄肉部71Aの上下面それぞれに、他端側が略直方体形状の支持ブロック73にビス止めされている。
ころ74は、上側の支持ブロック73の左側面および右側面の送り軸21付近に一つずつ、下側の支持ブロック73の左側面および右側面の送り軸21付近に二つずつ設けられている。左側面および右側面の三つのころ74は、正面から見て、それぞれの中心が送り軸21の軸を重心とした正三角形を成すように配置されている。
クランプ力発生手段76は、下側の支持ブロック73の切換軸22側端部に設けられた三個のばね穴761と、このばね穴761に挿入される三本のクランプ力発生用コイルばね762と、このコイルばね762を係止し上側の支持ブロック73に螺合される三本のボルト763とを有する。
クランプ力発生用コイルばね762は、一端がばね穴761上端面に設けられたばね掛け部764に、他端がボルト763の頭部であるばね掛け部765に係止されており、ばね掛け部764、765を互いに離れる方向に付勢する。すなわち、クランプ力発生手段76は、上下二枚の支持ブロック73を切換軸22側に付勢する。
従って、操作ハンドル30を操作し、切換軸22を回転させると、この切換軸22の回転に伴って、上下二枚の支持ブロック73の陥没部73Cと当接しているカム23が回転し、陥没部73Cにおいて、上下二枚の支持ブロック73の間隔は、カム23の短軸部分の寸法から長軸部分の寸法へと拡げられる。
操作ハンドル30は、載物台3を所定位置まで移動させるために使用者の手が置かれて操作される部分であり、保持枠20のブラケット20Rの右側に設けられ、載物台3の粗動、微動を切り換える切換手段5の操作部としての粗動切換ハンドル31と、この粗動切換ハンドル31の右側に設けられた微動送りハンドル32とを備えて構成される。
ここで、粗動切換ハンドル本体33が回転すると、粗動切換ハンドル本体33の歯車部33Aと平歯車34との噛合を介して、平歯車34が粗動切換ハンドル本体33の回転とは反対の方向へと回転し、平歯車34に固定された切換軸22が回転する。
なお、微動送りハンドル32および粗動切換ハンドル本体33は、略同じ大きさの円柱状に形成されており、それぞれの上下端面の高さ位置が略等しくなっている。
なお、通常時には、粗動切換ハンドル本体33は、送り軸21ところ74のベアリング741とが当接する位置で設定されている。
また、切換軸22と、これを回転させる粗動切換ハンドル31と、ころ74を除く駆動制御部70、つまり、基材71と、二枚の平行板ばね72と、二枚の支持ブロック73と、カム23と、支点板ばね75と、クランプ力発生手段76とは載物台3を粗動および微動に切り換える切換手段5を構成している。
すなわち、本発明に係る載物台用送り機構1は、載物台3を進退させる摩擦駆動機構4と、載物台3を粗動および微動に切り換える切換手段5とを備えている。
たとえば右手(指)で微動送りハンドル32を操作すると、送り軸21が回転するから、送り軸21に当接されたころ74との協働により、載物台3が送り軸21に沿って微動する。この際、所定の位置で微動送りハンドル32の操作を止めれば、載物台3がその位置で位置決めされる。
以上のような操作により、載物台3つまり測定対象物が位置決め固定される。
(1)載物台3に支持された送り軸21と、この送り軸21を回転させる微動送りハンドル32と、支持ブロック73に回転可能かつ送り軸21と回転軸線が交差するように設けられた複数のころ74とを有する摩擦駆動機構4が、載物台3を進退させるので、従来の載物台用送り機構の様にねじの表面粗さの影響を受けることがなく、載物台3の移動が滑らかである。
(i)駆動制御部70の構成は、前記実施形態の構成に限らない。
たとえば、図6に示すような構成としてもよい。
図6において、送り軸21、切換軸22、ころ74は、前記実施形態と同様の構成を有している。
基板77は、切換軸22側の端部がブラケット10に固定された短冊状部材である。ブラケット10から突出する部分の側面に、筒状平歯車791を回転可能に係合する孔部77Aと、送り軸21を挿通する孔部77Bを有する。
コレット78の左側端面には、三つのころ74が設けられている。ころ74と送り軸21との関係は前記実施形態と同様である。また、コレット78は、外周面中ほどに左側ほど径が大きくなる二つのテーパ部782,783を、基板77側の端部に雄ねじ784を、左端面から雄ねじ784付近に送り軸21と平行に設けられた三本のスリット785を有する。三本のスリット785は、コレット78の左端面からみて、送り軸21を中心に三つのころ74を60度回転させた位置に設けられている。すなわち、ころ74とスリット785が、コレット78の左端面円周上に交互に設けられている。
筒状平歯車791は、内部側に切換軸22を通すための空間が設けられた円筒状の樹脂製部材であって、円筒状の内部側において円の中心を挟んで対称の位置には、切換軸22の切欠き22A,22Bに係合する突起791A,791Bが形成されている。つまり、筒状平歯車791は、突起791A,791Bと切欠き22A,22Bとを係合させるように、切換軸22に取付けられており、筒状平歯車791が切換軸22に対して回転規制された状態で、切換軸22の軸方向へスライドできるようになっている。
また、筒状平歯車791は、外周に歯車部793を有する。
クランプ力発生手段76は、二枚の支持ブロック73を切換軸22側に付勢するものであればよく、たとえば、図7、8に示すような構成としてもよい。
図7、8において、駆動制御部70の、クランプ力発生手段76以外の部分は、前記実施形態と同様の構成を有している。
クランプ力発生用コイルばね762は、一端がばね穴761下端面に設けられたばね掛け部764に、他端がボルト763の下端面に設けられたばね掛け部765に係止されており、ばね掛け部764、765を互いに接近する方向に付勢する。すなわち、クランプ力発生手段76は、上下二枚の支持ブロック73を切換軸22側に付勢するので、このような構成のクランプ力発生手段76を備える載物台用送り機構1においても、前記実施形態と同様の効果が得られる。
要するに、ころ74および送り軸21の当接、離脱の切換えが確実に行えるものであれば、その構造は、機械的なものや、磁気的なもの、さらには、電気的なものでもよく、任意にできるということである。
2 固定部材
3 載物台
10 ブラケット
20 保持枠
21 送り軸
22 切換軸
23 カム
30 操作ハンドル
31 粗動切換ハンドル
32 微動送りハンドル
70 駆動制御部
71 基材
72 平行板ばね
73 支持ブロック
74 ころ
75 支点板ばね
76 クランプ力発生手段
Claims (1)
- 固定部材に対して、測定対象物が載置される載物台を進退させる載物台用送り機構であって、
前記載物台を進退させる摩擦駆動機構と、前記載物台を粗動および微動に切り換える切換手段とを備え、
前記摩擦駆動機構は、前記載物台および固定部材のいずれか一方に回転可能かつ前記載物台の移動方向に対して平行に支持された送り軸と、この送り軸を回転させる送りハンドルと、前記載物台および固定部材のいずれか他方に回転可能かつ前記送り軸と回転軸線が交差するように設けられた複数のころとを有し、
前記切換手段は、前記載物台および前記固定部材のいずれか一方に前記送り軸と平行かつ回転可能に配置された切換軸と、この切換軸を回転させる操作部と、前記切換軸および前記送り軸を挟んで互いに開閉可能に設けられ前記載物台および前記固定部材のいずれか他方に支持されそれぞれ前記ころを有する二枚の支持ブロックと、前記切換軸に設けられ前記切換軸の回転に応じて前記ころが前記送り軸に対して当接および離脱する方向へ前記二枚の支持ブロック間の間隔を変化させるカムとを備え、
前記操作部は、前記送りハンドル近傍の前記送り軸に回転可能に設けられ、かつ前記送り軸を中心とする歯車部を有する切換ハンドルと、前記切換軸に取り付けられるとともに、前記歯車部に噛合する歯車とを備え、前記切換ハンドルの操作により、前記歯車を介して、前記切換軸が回転可能に構成され、
前記二枚の支持ブロックは、前記ころを有するとともに、前記送り軸および前記切換軸の並設方向において、前記送り軸側端面が支点板ばねで結合され、前記切換軸側の部分がクランプ力発生手段によって前記切換軸方向に付勢され、
前記カムは、樹脂製部材によって形成され、
前記ころは、前記送り軸の軸方向における前記支持ブロックの両端面にそれぞれに設けられ、
前記クランプ力発生手段は、前記ころが設けられた前記支持ブロックの両端面の間で、かつ、前記二枚の支持ブロックの間に、前記切換軸の軸方向に沿って配置された3本のコイルばねを含んで構成されている、ことを特徴とする載物台用送り機構。
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