JP5049383B2 - ポリペプチドレパートリーから可逆的にアンフォールドするポリペプチドを回収するための方法 - Google Patents
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Description
本出願は、2004年3月17日出願の米国特許仮出願第60/554,021号及び2003年5月14日出願の米国特許仮出願第60/470,340号の利益を主張するものである。前記出願の教示全体が参照して本明細書中に組み込まれる。
ポリペプチドは、医学的治療及び診断薬としての使用及び工業適用を含む、様々な適用においてますます重要な物質となってきた。ポリペプチドのさらなる適用を妨げる1つの因子は、それらの物理的及び化学的性質である。例えば、ポリペプチドは一般に活性であるためには適切な折りたたみを保持しなければならない。しかし、ポリペプチドは、保存条件下で又はそれらが有用でありうる条件下で(例えば熱、有機溶媒に暴露されたとき)ほどける(アンフォールドする)又は変性する傾向がある。加えて、多くのポリペプチドは、生物学的生産システムを使用して比較的低い収率でしか生産されない。従って、それらは生産に甚だしく高い費用がかかりうる。
〔1〕熱凝集に耐性である可変ドメインが濃縮された抗体可変ドメインライブラリーを製造する方法であって、該方法は、
(a)複数のディスプレイされる抗体可変ドメインを含むファージディスプレイシステムを提供する工程、ここでディスプレイされる可変ドメインの少なくとも一部がアンフォールドおよびリフォールドされており、アンフォールド温度が80〜100℃である;
(b)該ファージディスプレイシステムから、アンフォールドし、リフォールドし、かつ結合機能を回復した可変領域をディスプレイする少なくとも1つのファージを選択する工程;
(c)(b)で選択されたファージにおいてディスプレイされる可変ドメインのCDR1および任意にCDR2をコードする核酸を得る工程;および
(d)抗体可変ドメインをコードする核酸のライブラリーを調製する工程、ここで(c)で得られた該核酸が1つ以上の他の核酸と作動可能に連結され、CDR1および任意にCDR2が(c)で得られた核酸によりコードされる抗体可変ドメインをコードする核酸構築物のライブラリーが製造される、
を含む、方法、
〔2〕(a)のディスプレイされる可変ドメインの実質的に全てが、80℃まで加熱することによりアンフォールドしており、冷却によりリフォールドしている〔1〕記載の方法、
〔3〕(d)で構築された核酸のライブラリーが、CDR3がランダム化されているか、またはCDR3が加熱の際に可逆的にアンフォールドする能力について選択された抗体可変ドメインに由来しない抗体可変ドメインをコードする〔1〕記載の方法
に関する。
本発明は、可逆的にアンフォールドするポリペプチド、可逆的にアンフォールドするポリペプチドを含むレパートリー、及び可逆的にアンフォールドするポリペプチド又は可逆的にアンフォールドするポリペプチドをコードする核酸を含むライブラリーに関する。本発明はさらに、可逆的にアンフォールドするポリペプチド又は可逆的にアンフォールドするポリペプチドをコードする核酸に富むライブラリーを作製するための方法、可逆的にアンフォールドするポリペプチドを選択する及び/又は単離するための工程、及び可逆的にアンフォールドするポリペプチドを生産するための方法に関する。
本発明は、可逆的にアンフォールドするポリペプチド及びそのようなポリペプチドを選択する及び/又は設計するための方法に関する。可逆的にアンフォールドするポリペプチドはいくつかの利点を提供する。特に、そのようなポリペプチドは凝集に抵抗性であるか又は凝集しない。この凝集への抵抗性の故に、可逆的にアンフォールドするポリペプチドは、大腸菌などの適切な生物学的生産システムを使用した発現により、可溶性タンパク質として高収率で容易に生産することができる。加えて、可逆的にアンフォールドするポリペプチドは、従来のポリペプチドよりも高い濃度で、及びより少ない凝集と活性喪失で、製剤する及び/又は保存することができる。
ポリペプチドのアンフォールディング及びリフォールディングは、例えば、何らかの適切な方法を用いて直接又は間接的にポリペプチド構造を検出することによって評価できる。例えばポリペプチド構造は、円二色性(CD)(例えば遠UV CD、近UV CD)、蛍光(例えばトリプトファン側鎖の蛍光)、タンパク質分解に対する感受性、核磁気共鳴(NMR)によって、又は正しい折りたたみに依存するポリペプチド機能を検出すること又は測定することによって、検出することができる。一例では、結合機能(例えば一般及び/又は標的リガンドへの結合、基質への結合)の喪失が、ポリペプチドがほどけていることを指示する機能性アッセイを用いてポリペプチドアンフォールディングを評価する。
1つの側面において、本発明は、ポリペプチドのライブラリー又はレパートリー(例えば、ポリペプチドディスプレイシステム)から、可逆的にアンフォールドするポリペプチドを選択、単離及び/又は回収する手順である。1つの態様では、前記方法は、ポリペプチドのコレクション(例えば、ライブラリー、レパートリー又はポリペプチドディスプレイシステム中のポリペプチド)をアンフォールドすること、少なくとも一部のアンフォールドしたポリペプチドをリフォールドすること、及びリフォールドしたポリペプチドを選択、単離及び/又は回収することを含む。他の態様では、前記方法は、アンフォールドしたポリペプチドのコレクション(例えば、ライブラリー、レパートリー又はポリペプチドディスプレイシステム中のポリペプチド)を提供すること、少なくとも一部のアンフォールドしたポリペプチドをリフォールドすること、及びリフォールドしたポリペプチドを選択、単離及び/又は回収することを含む。
好ましくは、可逆的にアンフォールドするポリペプチドを、適切なポリペプチドディスプレイシステム中のポリペプチドのレパートリーから選択、単離及び/又は回収する。例えば、可逆的にアンフォールドするポリペプチドを、溶液に存在し、またはプラスチックもしくはガラス(例えば、マイクロタイタープレート、マイクロアレイ等のポリペプチドアレイ)等の適切な表面に共有結合又は非共有結合する、ポリペプチドのレパートリーから選択、単離及び/又は回収し得る。例えば各々の異なるライブラリー要素(例えば、独立のペプチド配列)をアレイ内で別々のあらかじめ定められた位置に配置する方法で表面上のペプチドのアレイを使用し得る。かかるアレイ内の各ライブラリー要素の同一性は、アレイ内のその空間の位置によって判定され得る。標的リガンドと例えば反応ライブラリー要素の間での結合相互作用が起こるアレイ内の位置が決定し得、それにより空間の位置に基づいて反応要素の配列を同定する。(例えば、米国特許第5,143,854号、国際公開広報第WO 90/15070号及び国際公開広報第WO 92/10092号参照。)
ポリペプチド(例えば、提示ポリペプチド)は、任意の所望のアンフォールディングの作用因を用いてアンフォールドされ得る。適切なアンフォールディングの作用因は、例えば、熱及び/又は圧、低pH又は高pH、カオトロピック試薬(例えば、塩酸グアニジン、尿素等)及び有機溶媒(例えば、アルコール(例えば、メタノール、エタノール)、ケトン(例えば、メチルエチルケトン)、アルデヒド(例えば、ホルムアルデヒド、ジメチルホルムアルデヒド)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン等)を含む。ある態様では、提示ポリペプチドは、アンフォールディングの作用因がカオトロピック試薬ではないことを条件として、アンフォールディングの作用因を用いてアンフォールドされる。一般にアンフォールディングは、ポリペプチドのコレクションを、コレクション内の少なくとも約10%のポリペプチドをアンフォールドさせるのに十分な量のアンフォールディングの作用因(例えば、熱)に共することによって実施される。特定の態様では、ポリペプチドのコレクションを、コレクション内の少なくとも約20%、又は少なくとも約30%、又は少なくとも約40%、又は少なくとも約50%、又は少なくとも約60%、又は少なくとも約70%、又は少なくとも約80%、又は少なくとも約90%、又は少なくとも約95%、又は少なくとも約98%、又は少なくとも約99%、又は実質的に全部のポリペプチドをアンフォールドさせるのに十分な量のアンフォールディングの作用因(例えば、熱)に共することによってアンフォールディングを実施する。
可逆的にアンフォールドするポリペプチド(例えば、可逆的にアンフォールドするポリペプチドの集団)は、任意の適切な方法を用いてレパートリー又はライブラリー(例えば、ポリペプチドディスプレイシステムにおいて)から選択、単離及び/又は回収され得る。ポリペプチドは、そのポリペプチドを選択及び/又は単離することによって回収され得る。回収は適切な回収温度(Tr)で実施され得る。一般に、適切な回収温度は、ポリペプチドの融解温度(Tm)より低いが、ポリペプチドディスプレイシステムの凍結温度より高い任意の温度である。ある態様では、回収温度(Tr)はリフォールディング温度(Tc)と実質的に同じである(例えば、Tr=Tc)。
(ポリペプチドを設計するための方法)
他の局面では、本発明は、可逆的にアンフォールドするポリペプチドのレパートリー、可逆的にアンフォールドするポリペプチドをコードするライブラリー、並びにかかるライブラリー及びレパートリーを作製するための方法に関する。
1つの局面では、本発明は、可逆的にアンフォールドする単離ポリペプチドである。ここで述べるように、そのようなポリペプチドは大腸菌において発現させることができ、高収率で回収できる。ここで述べるように、好ましい実施形態では、可逆的にアンフォールドする(例えば加熱したとき)ポリペプチドは、大腸菌で発現されたとき分泌され、可溶性ポリペプチドとして容易に回収される。そのようなポリペプチドは、大腸菌で発現されるとき分泌可能とも称される。好ましい実施形態では、可逆的にアンフォールドするポリペプチドは、大腸菌で発現されるとき少なくとも約0.5mg/Lの量で分泌される。他の好ましい実施形態では、可逆的にアンフォールドするポリペプチドは、大腸菌で発現されるとき少なくとも約0.75mg/L、少なくとも約1mg/L、少なくとも約4mg/L、少なくとも約5mg/L、少なくとも約10mg/L、少なくとも約15mg/L、少なくとも約20mg/L、少なくとも約25mg/L、少なくとも約30mg/L、少なくとも約35mg/L、少なくとも約40mg/L、少なくとも約45mg/L、少なくとも約50mg/L、少なくとも約100mg/L、少なくとも約200mg/L、少なくとも約300mg/L、少なくとも約400mg/L、少なくとも約500mg/L、少なくとも約600mg/L、少なくとも約700mg/L、少なくとも約800mg/L、少なくとも約900mg/L、少なくとも約1g/Lの量で分泌される。他の好ましい実施形態では、可逆的にアンフォールドするポリペプチドは、大腸菌で発現されるとき少なくとも約1mg/Lから少なくとも約1g/L、少なくとも約1mg/Lから少なくとも約750mg/L、少なくとも約100mg/Lから少なくとも約1g/L、少なくとも約200mg/Lから少なくとも約1g/L、少なくとも約300mg/Lから少なくとも約1g/L、少なくとも約400mg/Lから少なくとも約1g/L、少なくとも約600mg/Lから少なくとも約1g/L、少なくとも約700mg/Lから少なくとも約1g/L、少なくとも約800mg/Lから少なくとも約1g/L、少なくとも約900mg/Lから少なくとも約1g/Lの量で発現される。ここで述べるポリペプチドは大腸菌において発現されるとき分泌可能でありうるが、それらは、化学合成法又は大腸菌を使用しない生物学的生産方法などの何らかの適切な方法を用いて生産することができる。特に好ましい実施形態では、可逆的にアンフォールドするポリペプチドは、ヒト抗体可変ドメイン(VH、VL)であるか又は可逆的にアンフォールドするヒト抗体可変ドメインを含む。
好ましい実施形態では、単離ポリペプチドは、可逆的にアンフォールドする免疫グロブリン可変ドメイン(例えばVH、変異VH、VL及び/又は変異VL)を含む。一部の実施形態では、単離ポリペプチドは、可逆的にアンフォールドする変異VH及び/又は変異VLを含む。好ましくは、可逆的にアンフォールドする可変ドメイン(例えばVH、変異VH、VL、変異VL)は、標的リガンドに対する結合特異性を有し、適切な解離定数(Kd)と適切なオフ定数(Koff)で標的リガンドに結合する。適切なKdは、約50nMから約20pM又はそれ以下、例えば約50nM、約1nM、約900pM、約800pM、約700pM、約600pM、約500pM、約400pM、約300pM、約200pM、約100pM又は約20pM又はそれ以下でありうる。適切なKoffは、約1×10−1/秒から約1×10−7/秒又はそれ以下、例えば約1×10−1/秒、約1×10−2/秒、約1×10−3/秒、約1×10−4/秒、約1×10−5/秒、約1×10−6/秒又は約1×10−1/秒又はそれ以下でありうる。好ましくは、表面プラスモン共鳴を用いてKd及びKoffを決定する。
31位にGly及び49位にAsn;
32位にSer及び75位にAsn;
40位にSer及び49位にAsp;
39位にArg及び49位にAsn;
45位にGlu及び75位にAsn;
46位にPro及び50位にAsp;
26位にAsn、42位にThr及び50位にAsp;
32位にPhe、45位にGlu及び57位にGlu;
49位にAsp、80位にAla及び89位にArg;
49位にAsn、68位にGlu及び79位にArg;
20位にSer、23位にTrp、46位にPhe及び49位にAsn;
29位にVal、42位にAsn、45位にGlu、83位にLeu及び92位にHis;
35位にThr及び90位にPro;
45位にAsp及び60位にPro;
49位にArg及び10位にPhe;
49位にSer及び20位にAla;
49位にSer及び27位にArg;
50位にPro及び48位にVal;及び
50位にArg、13位にGly及び42位にGlu
を含むアミノ酸配列を有し、上記アミノ酸位置はKabatの番号付けによる。
本発明はまた、免疫グロブリンの可変ドメイン(例えば、VH、VL)を含む単離ポリペプチドに関し、前記可変ドメインは、CDR2内のシステインとCDR3内のシステインの間のジスルフィド結合を含み、CDR2およびCDR3はKabatのアミノ酸番号付与システムを用いて定義される。いくつかの態様では、ジスルフィド結合は、52a位と98位;51位と98位;又は51位と100b位のシステイン残基の間に存在し、前記位置はKabatアミノ酸番号付与システムを用いて定義される。他の態様では、ジスルフィド結合は、51位のシステインとCDR3内のシステイン;又はCDR2内のシステインと98位のシステインの間に存在し、CDR2、CDR3及び前記位置は、Kabatアミノ酸番号付与システムを用いて定義される。
本発明はまた、本明細書記載のように可逆的にアンフォールドするポリペプチドをコードする単離及び/又は組換え核酸に関する。
本明細書記載のように可逆的にアンフォールドするポリペプチドは、標的リガンドに対して結合特異性を有し得る。例えば、可逆的にアンフォールドする抗体の可変領域を含み、特定の標的リガンドに対して結合特異性を有するポリペプチドは、本明細書記載の結合方法等の、任意の適切な方法を用いて選択、単離及び/又は回収され得る。可逆的にアンフォールドするポリペプチド(例えば、可逆的にアンフォールド可能なVH又はVκを含むポリペプチド)が結合特異性を有しうる例示的な標的リガンドは、ヒト又は動物のタンパク質、サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素、酵素の補因子及びDNA結合タンパク質を含む。適切なサイトカイン及び成長因子、サイトカインと成長因子の受容体及び他の標的リガンドは、以下を含むが、これらに限定されない:アポE、アポ−SAA、BDNF、カルジオトロフィン−1、CEA、CD40、CD40リガンド、CD56、CD38、CD138、EGF、EGF受容体、ENA−78、エオタキシン、エオタキシン−2、エキソダス−2、FAPα、酸性FGF、塩基性FGF、線維芽細胞成長因子−10、FLT3リガンド、フラクタルキン(CX3C)、GDNF、G−CSF、GM−CSF、GF−β1、ヒト血清アルブミン、インスリン、IFN−γ、IGF−I、IGF−II、IL−1α、IL−1β、IL−1受容体、IL−2、IL−3、IL−4、IL−5、IL−6、IL−7、IL−8(72アミノ酸)、IL−8(77アミノ酸)、IL−9、IL−10、IL−11、IL−12、IL−13、IL−15、IL−16、IL−17、IL−18(IGIF)、インヒビンα、インヒビンβ、IP−10、ケラチノサイト成長因子−2(KGF−2)、KGF、レプチン、LIF、リンホタクチン、ミュラー阻害物質、単球コロニー阻害因子、単球誘因タンパク質、M−CSF、MDC(67アミノ酸)、MDC(69アミノ酸)、MCP−1(MCAF)、MCP−2、MCP−3、MCP−4、MDC(67アミノ酸)、MDC(69アミノ酸)、MIG、MIP−1α、MIP−1β、MIP−3α、MIP−3β、MIP−4、骨髄前駆細胞抑制因子−1(MPIF−1)、NAP−2、ニューチュリン、神経成長因子、β−NGF、NT−3、NT−4、オンコスタチンM、PDGF−AA、PDGF−AB、PDGF−BB、PF−4、RANTES、SDF1α、SDF1β、SCF、SCGF、幹細胞因子(SCF)、TARC、TGF−α、TGF−β、TGF−β2、TGF−β3、腫瘍壊死因子(TNF)、TNF−α、TNF−β、TNF受容体I、TNF受容体II、TNIL−1、TPO、VEGF、VEGF A、VEGF B、VEGF C、VEGF D、VEGF受容体1、VEGF受容体2、VEGF受容体3、GCP−2、GRO/MGSA、GRO−β、GRO−γ、HCC1、1−309、HER1、HER2、HER3及びHER4。このリストが決して網羅的でないことは了解されよう。
セクション1:EP-VHライブラリーおよびEP-VLライブラリー
エラープローンPCRは、突然変異をDNAセグメントに導入するランダムな突然変異誘発戦略である。よって、それは、ランダムなアミノ酸置換を含む多様な蛋白質をコードする核酸を調製するための有用なツールである。エラープローンPCRは、一般に、緩衝液の条件を改変して(例えば、dNTP濃度を変化させて)、ヌクレオチド取込みの忠実度を低下させることによって、多数の方法で行うことができる。この研究においては、エラープローンPCRライブラリーは、GENEMORPH PCR突然変異誘発キット(Sratagane)を用いて構築した。該キットは、Taqポリメラーゼと比較してヌクレオチド取込みの高い固有のエラー率を有するMUTAZYME DNAポリメラーゼを配合する。このシステムを用いる突然変異の頻度は、反応における鋳型(VHおよびVKコーディング配列)の出発濃度を操作することによって変化させることができる。従って、出発濃度を変化させて、種々の突然変異頻度の率を与えた。最初に、各VHおよびVK鋳型について2つのライブラリーを構築し、ファージミドベクターpR2にクローン化した。VH鋳型はV3-23/DP47およびJH4bであり、VL鋳型は012/02/DPK9およびJK1であった。pR2ベクターはpHENlに由来する(Hoogenboom, HR et al., Nucleic Acids Res. 19:4133-4137 (1991))。pR2はlacプロモーター、続いてHis6およびVSVタグがあるlクローニング部位の上流のリーダー配列、アンバー停止コドンおよびpIIIファージコート蛋白質をコードする遺伝子を含む。これらは、低突然変異頻度(〜1bp変化/鋳型)を有する一方のもの、および中程度の突然変異頻度(〜2bp変化/鋳型)を持つ他方のものよりなるものであった。これらのライブラリーを組み合わせて、1ないし2×105の多様度を得た。
戦略は、pR2ファージミドベクターからのエラープローンPCRライブラリーのPCR増幅、続いての増幅された産物のファージFd-Mycへのサブクローニングを含むものであった。E. coli宿主HB2151中のpR2ファージミドにおいて、エラープローンPCRライブラリーを平板培養して、大きなプレート(22×22cm)上で密集した増殖を得た。コロニーの見積もった合計数は107ないし108であり、これが、エラープローンライブラリーの多様度がよくカバーされていることを保証した。コロニーをプレートから掻き取り、引き続いて、ファージミドライブラリーのDNAを単離した。単離されたファージミドDNAライブラリーを、エラープローンライブラリーのPCR増幅用の鋳型として用いた。
5’ GAG CGC CGT GCA CAG GTG CAG CTG TTG 3’(配列番号:61)
5’ GAG TCG ACT TGC GGC CGC GCT CGA GAC GGT GAC 3’ (配列番号:62)
VK Fd-Myc PCRプライマー:
5’ GAG CGC CGT GCA CAG ATC CAG ATG ACC CAG TCT CC 3’(配列番号:63)
5’ GAG TCG ACT TGC GGC CGC CCG TTT GAT TTC CAC CTT GG 3’ (配列番号:64)
Fd-mycベクターの構築
該ベクターをApaL1およびNot 1において切断し、mycタグをコードする5’-末端リン酸化オリゴLJ1012およびLJ1013(各々、配列番号65および配列番号66)よりなる合成二本鎖DNAカセット、およびトリプシン切断部位を連結することによって、Fd-tet-Dog1(McCafferty et al.(Nature)1989)からFd-mycベクターを組立てた。得られたベクターFd-mycは、ApaL1およびNot1部位がリーダー配列および遺伝子IIIの間のインサートのクローニングのために存在する点で、Fd-Tet-Dog1と非常に似ている。さらなる特徴は、Not1部位および遺伝子IIIの間のmyc-タグの存在であり、これは、コードされた遺伝子III融合蛋白質の免疫学的検出を可能とし、また、結合したファージ(例えば、抗-myc抗体を用いて選択)がトリプシンでの消化によって溶出されることを可能とする。というのは、myc-タグにはトリプシン切断部位があるからである。
LJ1013:P-GGCCGAATTCAGATCCTCTTCTGAGATGAGTTTTTGTTCTGCGGCCGCGAGGACGTCACCTGCTG(配列番号66)
ライブラリーpR3-7781、pR3-7782、pR3-7783、pR3-7784、pR3-7785、pR3-7786、pR3-7787、pR3-7788、pR3-7789、pR3-77890またはpR3-7791の連結されたDNAを鋳型として用いる11のPCRを行った。これらのライブラリーはVH-DP47に基づき、多様化されたCDR1、CDR2、およびCDR3を含む(CDR3は長さが10ないし20アミノ酸で変化する)。PCRを、プライマーLJ1011およびLJ1027を用いて各サブライブラリーで行って、5’-末端のApaL1部位および3’-末端のNot1部位を加えた。得られた増幅フラグメントを精製し、順次ApaL1およびNot1で消化し、再度精製し、次いで、Fd-mycの対応する部位に連結した。
LJ1027:GAGCGCCGTGCACAGGTGCAGCTGTTGGAGTCTGGG(配列番号68)
精製の後、11の連結をプールし、E.coli TG1細胞に電気-形質転換した。エレクトロポレーションの後、細胞を2XTYに再懸濁し、表現型発現のために、37℃にて1時間インキュベートした。次いで、一晩の増殖のために、15μg/mlのテトラサイクリンを補足したTYEプレート上で得られたライブラリーを平板培養し、15μg/mlテトラサイクリンを補足したTYEプレート上での滴定のために、アリコットを採取した。ライブラリーのサイズは1.6×109クローンであった。ライブラリーのアリコットは、細菌を40のOD600において再懸濁し、等用量のグリセロールで希釈し(最終OD600=20)、1mlの試料をアリコットし、これを凍結し、使用するまで-80℃で貯蔵することによって調製した。
ライブラリー3.25Gの1ml試料を解凍し、これを用いて、2.5Lシェーカーフラスコ中の15μg/mlのテトラサイクリンを補足した500mlの2XTYを接種した。ファージ生産のために、培養を30℃にて20時間インキュベートした。5,500gでの15分間の遠心によって細胞をペレット化して、細菌を除去した。ファージを沈殿させるために、90mlのPEG/NaCl(20%ポリエチレングリコール8000[Sigma;公式にはPEG 6000として販売],2.5M NaCl)を450mlの培養上澄に加え、混合した後、溶液を氷上で1時間インキュベートした。5,500gにおける4℃での30分間の遠心によって、ファージを得られた混合物から収集した。上澄を捨て、チューブを軽く再度遠心し、残りのPEG/NaClを注意深く除去した。ペレットを10mlのPBSに再懸濁させ、3,300gで15分間遠心して、残存する細菌を除去し、次いで、0.45μmのディスポーザブルフィルターを通して濾過した。ファージの力価は分光測定によって見積もった:PBS中の100倍希釈を調製し、260nmにおける吸光度を測定する。ファージ力価(ml当たりのTUで表す)は式:OD260×1013×2.214を用いて計算した。10ないし15%のグリセロール(最終濃度)を加えた後、ファージを-20℃にて貯蔵した。
イムノチューブのコーティング/ブロッキング
10μg/mlのプロテインAを含有する4mlのPBS、または10μg/mlのプロテインLを含有する4mlのPBSいずれかで、イムノチューブ(Nunc)を室温にて一晩(約18時間)コートした。朝、溶液を捨て、チューブを、2%v/vのTWEEN20(プロテインA-コートイムノチューブ用のポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)または2%w/vのBSA(プロテインL - コートイムノチューブ用)を補足したPBSでブロックした。チューブを37℃にて1時間インキュベートし、ファージ選択で用いる前に、次いで、PBSで3回洗浄した。
ほぼ5×1010TUのドメイン抗体ファージライブラリーを200μlのPBSに希釈し、2つの薄壁PCRチューブにアリコットした。次いで、80℃にて10分間加熱するために(カバー蓋の温度:85℃)、チューブをPCR装置に入れた。加熱した後、溶液をPCR装置中で迅速に4℃まで冷却して、リフォールディングされたファージ溶液を得た。
リフォールディングされたファージ溶液をプールし、2%v/vのTWEEN20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート;プロテインAについての選択用)または2%w/vのBSA(プロテインLについての選択用)いずれかを補足した4mlのPBSに加えた。得られたファージ溶液を、プロテインAでコートしたイムノチューブまたはプロテインLでコートしたイムノチューブに加え、密閉した後、チューブを室温にて30分間端部-端部回転させ、次いで、室温にて1.5時間ベンチ上に保持した。0.1%TWEEN20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート)を補足したPBSでチューブを10回、次いで、PBSで10回洗浄することによって、未結合ファージを除去した。結合したファージは、トリプシン(1mg/mg)を補足した1mlのPBSを加え、次いで、軽く回転させつつ10ないし15分間インキュベートすることによって溶出させた。次いで、溶出したファージを含有する溶液を、新鮮なミクロ遠心チューブに移し、氷上で貯蔵した。
37℃の2xTY中のE.coli TG1細胞の一晩培養から、100倍希釈物を25mlの新鮮な2XTY培地中で調製し、600nmにおける光学密度(OD600)が0.5ないし0.7(中期log期)となるまで、培養を震盪しつつ(250rpm)37℃でインキュベートした。次いで、10ミリリットルのこの培養を、500μlの溶出したファージ試料と共に(残りの500μlは4Cに維持した)、ファージ感染を起こさせるために震盪することなく、37℃にて30分間インキュベートした。ファージ感染の後、100μlのアリコットをファージの滴定のために採取し:2xTY中の10μlの1:102希釈および10μlの1:104希釈を、15μg/mlのテトラサイクリンを含有するTYEプレート上にスポットし、37℃にて一晩増殖させた。コロニーの数に希釈ファクター(すなわち、100または10,000)を掛け合わせ、次いで、1000を掛け合わせることによって(10ml感染培養からスポットした10μl)力価を決定して、500μlの溶出したファージにつき力価を得た。溶出したファージの合計数は、2を掛け合わせることによって決定した(1mlの合計溶出物)。残存する感染したE.coli TG1培養(9.9ml)をディスポーザブル14mlチューブに移し、3,300gで10分間遠心した。細胞ペレットを2mlの新鮮な2xTYに再懸濁させ、TYE、15μg/mlのテトラサイクリンを含有する大きな22cm2皿上で平板培養し、37℃にて一晩インキュベートした。
翌日、15%グリセロールを補足した10mlの2xTYを22cm2の皿に加え、ガラススプレッターを用いて細胞を緩め、得られた混合物を新鮮な50mlのディスポーザブルのチューブに移した。次いで、15マイクロリットルの細胞懸濁液を用いて、15μg/mlのテトラサイクリンを含有する100mlの2xTYを接種し、他方、1mlの細菌懸濁液を1mlの滅菌グリセロールで希釈し、-70℃で貯蔵した。100mlの培養を振盪しつつ37℃にて一晩増殖させた。
翌日、100mlの一晩培養を3,300gにて15分間遠心して、細菌を除去した。上澄を0.45umのディスポーザブルフィルターを通して濾過した。ファージを沈殿させるため、20mlのPEG/NaCl(20%ポリエチレングリオコール8000;Sigma[正式にはPEG6000として販売]、2.5M Nacl)を80mlの上澄に加え、混合した後、溶液を氷上で一時間インキュベートした。3,300gにおける4℃での30分間の遠心によって、得られた混合物からファージを収集した。上澄を捨て、チューブを軽く再度遠心し、残りのPEG/NaClを注意深く除去した。ペレッドを1mlのPBSに再懸濁させ、次いで、新鮮なミクロ遠心チューブに移した。11,600gにて10分間ミクロ遠心チューブを遠心することによって、残存する細菌片を除去した。上澄を新鮮なミクロ遠心チューブに移し、次の選択ラウンドまで4℃にて貯蔵した。ファージ力価は分光測定によって見積もり:PBS中の100倍希釈物を調製し、260mnにおける吸光度を測定した。ファージ力価(ml当たりのTU)は、式:OD260×1013×2.214を用いて計算した。
このプロトコルおよび3.25Gファージライブラリー(セクション2)を用い、プロテインA-コートしたイムノチューブに対する結合についての3ラウンドの選択を行った。ラウンド1の後、ファージ力価は107TU未満であり、他方、第三の選択ラウンドの後には、ファージ力価は109TUよりも大きくなるまで上昇した。ラウンド3の後に、ファージ増幅から得られた細菌懸濁液の試料を系列希釈し(10倍シリーズ)、15μg/mlテトラサイクリンを補足したTYEプレート上で平板培養した。37℃における一晩のインキュベーションの後、個々のコロニーをスクリーニングのためにピックアップした(セクション4参照)。
ファージクローンの増殖および調製
96ウェル培養プレート(平底、蒸発蓋付き、Corning)を個々のファージ増殖で用いた:各ウェルは、15μg/mlのテトラサイクリンを含有する175μlの2xTYで満たし、ファージ選択プロトコルを用いて得られた選択された細菌クローンからの単一コロニーを接種した。プレートを振盪しつつ37℃にて一晩(約18時間)インキュベートした。翌日、2,000rpmにおける室温での20分間のプレート遠心によって、細胞をペレット化した。(ファージを含有する)100マイクロリットル(100μl)の各培養上澄を新鮮な96ウェル培養プレートに移した。
ファージのビオチニル化の後に、80μlの各200μlの試料をTHERMOWELL96ウェルプレート(Costar)に移した。この工程をもう一つの96ウェルTHERMOWELL96ウェルプレート(Costar)で反復した。第一のプレートを蓋で覆い、80℃にて10分間のインキュベーションのためにPCR装置に入れた(被覆蓋の温度:85℃)。加熱の後、プレートをPCR装置中で4℃まで迅速に冷却した。第二のプレートを氷上に維持した。次いで、双方のプレートを平行に処理した:(80μlの加熱したまたは加熱していないファージ上澄を含有する)各ウエルに、10%v/v TWEEN20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート:プロテインA-ベースのELISAのため)または10% w/v BSA(プロテインL-ベースのELISAのため)を補足した20μlのPBSを加え、混合した。次いで、試料をELISAによってアッセイした。
MAXISORB96ウェルプレート(Nunc)を、個々のウェル当たり、10μg/mlのプロテインAを含有する100μlのPBS、または10μg/mlのプロテインLを含有する100μlのPBSいずれかで、室温にて一晩(約18時間)コートした。翌日、プレートを空にし、2%v/v TWEEN20(ポリオキシエチレンソリビタンモノラウレート;プロテインA-コートしたウェルのため)または2%w/v BSA(プロテインL-コートしたウエルのため)を補足した200μlのPBSでウエルをブロックした。プレートを37℃にて一時間インキュベートし、次いで、スクリーニングで用いる前に、PBSで3回洗浄した。
加熱処理したまたは対照ファージ試料を、コートした/ブロックしたELISAプレートの空のウエルに移し、室温にて2時間インキュベートした。次いで、ウェルをPBSで6回洗浄することによって、未結合ファージを除去した。検出のために、(PBS中の1mg/mlストックからの)Str-HRPを、2%v/v TWEEN20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート;プロテインA-ベースのELISAのため)または2%w/v BSA(プロテインL-ベースのELISAのため)を補足したPBS中に1/2000希釈し、100μlのこの溶液を各ELISAウェルに加えた。室温での一時間のインキュベーションの後、ウェルをPBSで6回洗浄することによって、未結合Str-HRPを除去した。比色反応のため、TMB(テトラメチルベンジジン)の10mg/ml溶液を0.1M酢酸ナトリウムの緩衝液(pH6.0)中に100倍希釈した。次に、過酸化水素を加え(緩衝液/TMBのml当たり0.4μl)、100μlの得られた溶液を各ELISAウェルに加えた。色(青色)が生じた後、ウェル当たり50μlの1M硫酸を加えることによって、反応を停止させた(色は黄色に変化する)。450nmにおける各ウェルの光学密度を測定した。
記載した方法を、五つの別々の研究においてファージをスクリーニングするために用いた:
リフォールディングで選択された3.25Gファージライブラリー(セクション2)からのクローン
リフォールディングにつき選択されたEP-VHファージライブラリー(セクション1)からのクローン
リフォールディングにつき選択されたEP-VKファージライブラリー(セクション1)からのクローン
VH-DP47dにおける10のミニ−ファージライブラリー(セクション10)からのクローン
VK-DPK9dにおける五つのミニ−ファージライブラリーからのクローン(セクション10)
ファージクローンの増殖および調製
ファージのビオチニル化後に、各クローンにつき、ファージの100μl試料を薄壁PCRチューブに移し(残存するビオチニル化ファージを氷上に維持した)。チューブを、80℃における10分間のインキュベーション用のPCR装置に入れた(被覆蓋の温度:85℃)。加熱の後、PCR装置中でチューブを4℃まで迅速に冷却した。次いで、双方のチューブ(加熱した試料および氷上に維持した試料)を平行して処理し:最初の八つの四倍希釈物は、適当な緩衝液(VH-DP47提示ファージのための2%v/v TWEEN20(ポリオキチエチレンソルビタンモノラウレート)を補足したPBS;またはVK-DPK9提示ファージのための2%w/v BSAを補足したPBS)中にて、同一クローンの加熱処理した、および加熱処理していない試料双方のために調整した。かくして、最高のファージ濃度を持つチューブにおいては、力価はml当たり1011TUであった。次いで、試料をELISAによるアッセイのために準備した。
ELISAプレートをセクション4に記載したようにコートし、ブロックした。試料をコートした/ブロックしたELISAプレートの空のウェルに移し、室温にて2時間インキュベートした。次いで、ウェルをPBSで6回洗浄することによって、未結合ファージを除去した。検出のために、(PBS中の1mg/mlストックからの)Str-HRPを、2%v/v TWEEN20(ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート;プロテインAベースのELISAのため)または2%w/v BSA(プロテインLベースのELISAのため)を補足したPBS中で1/2000希釈し、100μlの得られた溶液を各ELISAウェルに加えた。室温における1時間のインキュベーションの後、ウェルをPBSで6回洗浄することによって、未結合コンジュゲートを除去した。発色反応のために、TMB(テトラメチルベンジジン)の10mg/ml溶液を0.1M酢酸ナトリウムの緩衝液(pH6.0)中で100倍希釈した。次に、過酸化水素を加え(緩衝液/TMBのml当たり0.4ul)、100ulのこの溶液を各ELISAウェルに加えた。色(青色)が発生した後、ウェル当たり50μlの1M硫酸を加えることによって反応を停止させた(色は黄色に変わる)。光学密度を450nmで記録した。
この方法を5つの実験においてクローンをスクリーニングするのに用いた:
VH-DP47における個々のまたは多数のアミノ酸突然変異を持つクローン;
VK-DPK9における個々のまたは多数のアミノ酸突然変異を持つクローン;
TP47、BSA1、HEL4、pA-C(13,36,47,59,76,85)、VK-DPK9のようなクローン;および
有望な%リフォールディングを示した、VH-DP47における10のミニファージライブラリーからのクローンのサブセット。
PCR反応混合物:
5μl 10×緩衝液
1μlプライマーLJ212(20pmol/ul)
1μlプライマーLJ006(20pmol/ul)
1μl 20mM dNTP
0.5μlTaq DNAポリメラーゼ
41.5μl H2O
50μlのPCR反応混合物を、96ウェルPCRミクロプレートの各ウェルにアリコットした。コロニー(Fd-Myc/TG1)を滅菌爪楊枝と穏やかに接触させ、PCR混合物に移した。爪楊枝を混合物中で約5回ねじった。混合物に鉱油を重ねた。PCRパラメーターは以下の通りであった:10分間の94℃、続いての:94℃30秒、50℃30秒、72℃45秒の30サイクル;および72℃5分における最終インキュベーション。QIAQUICK PCR産物精製キット(Qiagen)を用いて、増幅された試料を精製した。配列決定は、元のPCRプライマーのいずれかを用いて行った(LJ212および/またはLJ006)。
プライマー配列:
LJ006 5’ATGGTTGTTGTCATTGTCGGCGCA3’(配列番号:69)
LJ212 5’ATGAGGTTTTGCTAAACAACTTTC3’(配列番号:70)
加熱/冷却ファージ選択(セクション3参照)にてライブラリー3.25Gを選択した後、大規模なスクリーニング(セクション4参照)を行って、熱変性後にファージに提示した場合にリフォールディングされたVHクローンを同定した。
温度選択ライブラリー(エラープローンおよびG3.25ライブラリー)からのクローンで見出されたアミノ酸置換の位置は、その特定の位置における全配列スペースが調べることができるように分析した。
アラニン=GCT、GCA、GCG、GCC
アスパルテート=GAT
グリシン=GGT
プロリン=CCT
セリン=TCT
スレオニン=ACT
バリン=GTT
VK Fd-Myc PCRプライマー:
5’GAG CGC CGT GCA CAG ATC CAG ATG ACC CAG TCT CC3’(配列番号:71)
5’GAG TCG ACT TGC GGC CGC CCG TTT GAT TTC CAC CTT GG3’(配列番号:72)
5’GAG CGC CGT GCA CAG GTG CAG CTG TTG3’(配列番号:73)
5’GAG TCG ACT TGC GGC CGC GCT CGA GAC GGT GAC3’(配列番号:74)
いくつかのファージは、良好なリフォールディングを示したVHミニライブラリーから得た。次いで、これらのファージをファージスクリーニング2手法(セクション5)に付して、リフォールディングに関してより定量的なデータを得た。
サブクローニング
選択された置換は、E.coli BL21(DE3)(pLysS)における発現用の発現プラスミドにサブクローン化した。選択されたFd-MycファージクローンからのDNAは、Sal 1およびBamH 1制限部位を含むプライマーを用いるPCRによって増幅した。該プロトコルは、実質的に、PCRによるDNA配列決定、Fd-Myc/TG1コロニーからのVHまたはVK DNAの単離につき記載されたものである。用いたプライマーを表10に示す。順方向プライマーはさらなる2つのアミノ酸(SerおよびThr)をN-末端に導入した。これはSal 1制限部位の創製の結果である。逆方向プライマーは、コーディング領域の末端において2つの連続停止コドン(TAA)を有するように設計された。
発現プラスミドクローンを含む新たに形質転換されたE.coli株BL21(DE3)pLysSからのコロニーを37℃,250rpmにおいて2xTY(アンピシリン/クロラムフェニコール)中で一晩増殖させた。次いで、一晩培養の1/100アリコットを用いて、同一培地のより大きな容量を接種し、同一条件下でOD600=0.9まで増殖させた。次いで、1mM IPTG(イソプロピル β,D−チオガラクトシダーゼ)を培養に加え、培養を30℃,250rpmにおいて一晩増殖させた。次いで、培養を3300gで4℃にて20分間遠心した。次いで、上清を0.45μmフィルターを通して濾過した。
精製されたdAbはPBS中で4℃にて一晩透析し、(必要であれば)(20℃にて)Millipore 5K分子量カットオフ遠心コンセントレーターチューブを用いる遠心によって濃縮した。PBS中の1〜5μMにおける1.5mlのdAbをCDキュベット(1cm経路長)に移し、Jasco J-720分光偏光計に導入した。室温(25℃)または高温(85℃)におけるスペクトルを、12nm/分のスキャンスピード、2nmのバンド幅および1秒の積分時間にて、200nm〜250nmで遠-UVで記録した(4回蓄積し、続いて平均を取った)。
ファージELISAおよびクローンのスコアリングは、セクション4のプロトコルに従って行った。可逆的熱アンフォールディングを示した選択されたクローンのDNA配列決定はセクション6のプロトコルに従って行った。
b各ミニライブラリーからの94クローンからのファージを、10分間で80℃まで加熱した後におけるプロテインL結合活性の保持につきスクリーニングした。熱処理に先立ってファージをビオチニル化し、引き続いて、プロテインLをコートしたプレートに捕捉し、ストレプトアビジンHRPで検出した。各ライブラリーからの、70%を超える活性を持つほぼ10のクローンを配列決定に付した。配列の合計数は、時々、第二部位の置換ならびに貧弱な配列シグナルのため10未満である(例えば、活性の高い保持を与えることが見出された複数の置換は以下の通りであった:K45T/Q90P;K45D/S60P;Y49R/S10F;Y49S/T20A;Y49S/Q27R;A50P/I48V;A50R/A13G/K42E)。
0ないし10%の範囲の活性を持つA50Xミニライブラリーからの5つのクローンは以下の配列:2A、1T、1V、1Yを与えたことに注意されたし。
c位置I75における置換は部分的結果を示す。
ファージELISAおよびクローンのスコアリングはセクション4のプロトコルに従って行った。加熱し冷却した場合に可逆的にアンフォールドする選択されたクローンのDNA配列決定はセクション6のプロトコルに従って行った。
タンパク質の凝集はバイオテクノロジーにおける問題である。ここに、我々は、熱変性による凝集抵抗性ポリペプチドを選択する方法を記載する。これは凝集する傾向がある抗体重鎖可変ドメイン(dAb)で説明される(Ward, E.S.,ら、Nature 341,544-546 (1989);Ewert,S.ら、Biochemistry 41,3628-3636 (2002))。該dAbは繊維状バクテリオファージの感染性先端に多価的に掲示され、一過的に加熱されて、アンフォールディングを誘導し、dAbの凝集を促進した。冷却の後、dAbをプロテインA(フォールディングされたdAbに結合する共通の一般的リガンド)への結合につき選択した。可逆的にアンフォールディングしたdAbを提示するファージは、プロテインAへの結合により、そうではない場合に対して富化される。ファージdAbのレパートリーから、6つのdAbを選択後に特徴付け;凝集に抵抗した全ては可溶性であり、細菌からよく発現され、高収率で精製された。これらの結果は、本明細書中に記載された方法を用いて、凝集抵抗性ポリペプチドを産生し、タンパク質のミスフォールディング病の原因となるものを含めたタンパク質凝集を促進または防止するアミノ酸残基、配列または特徴を同定することができる(Dobson,C.M.Trends Biochem Sci 24,329-332 (1999); Rochet,J.C.& Lansbury,P.T.,Jr.Curr Opin Struct Biol 10,60-68 (2000))。
陰性に染色されたファージの透過型電子顕微鏡によって、90%を超える加熱されたDP47dファージ(図16Aおよび図16B)がそれらの先端を介して一緒に連結していることが観察され、他方、未処理DP47dファージまたは加熱されたHEL4ファージでクラスタリングは見られなかった(図16C)。ファージのこれらのクラスターは、加熱変性後におけるDP47dの凝集の直接的証拠を提供する。クラスターの出現は、ファージの高濃度およびファージ先端におけるdAbの高い局所濃度の(先端当たりの提示されたdAbの数)双方を必要とする。ウェスタンブロット分析は、多価ファージについては、5つのpIIIコートタンパク質の〜80%が融合dAbを運び、一価ファージでは〜20%が運ぶことを示す(図16D)。かくして、1×109TU/mlの力価における多価DP47dファージまたは5×1011TU/mlの力価における一価DP47dファージの加熱に際してはファージクラスターは観察されず、双方の場合において、プロテインAへの結合は、各々、8倍および6倍低下したに過ぎなかった(図15B)。いずれかの特定の理論に拘束されるつもりはないが、ファージを80℃まで加熱するに際して、DP47d dAbの凝集は、ファージ先端におけるミクロ凝集体の形成(ファージ内ステップ)に次いで、ファージクラスタリングによってオリゴマー凝集体に成長する(ファージ間ステップ)ことによって核となり、よって、我々のファージ系における凝集は、他のタンパク質について記載されているように(Dobson,C.M.Trends Biochem Sci 24,329-332(1999))2-ステッププロセスに従うようである。
80℃において加熱すると、野生型線状ファージで以前に観察されたように(Holliger,P.,ら、J Mol Biol 288,649-657(1999))HEL4ファージの感染性をわずかに低下させる(3倍降下)が、DP47dファージの感染性をかなり低下させた(≧70倍降下)(図15C)。加熱されたDP47dファージの感染性は、dAbをpIIIプロテインに結合するdAb及び/又はペプチドリンカー間で恐らく切断するであろうトリプシンの添加によって部分的に回復できた。これらの観察は、DP47d dAbのファージ内およびファージ間凝集体がpIIIプロテインのN-末端ドメインが細菌毛および/またはTol A受容体に結合するのを妨げるモデル(Holliger,P.,ら、J Mol Biol 288,649-657(1999))と合致する。
前記した研究においては、該レパートリーの各メンバーに結合する一般的リガンドであるプロテインAが選択で用いられた。しかしながら、いずれの所望の抗原を用いても、所望の抗原特異性と可逆的アンフォールディングの特性とを組み合わせるdAbを選択することができる。これは、加熱変性工程の有りおよび無しにて、ヒト血清アルブミン(HSA)への結合についての合成ヒトVHレパートリーの選択、続いての、2ラウンドの選択の後におけるHSAの結合についての44クローンのスクリーニングによって示された。加熱工程がない場合に、HSAに結合した6つのユニークなdAbクローン(表15)が選択された。加熱工程を使用した場合、単一のdAbクローン(クローン番号10,表15)が回収された。クローン番号10のみが、他のクローンの3つとの配列の密接な同様性にも拘らず(番号2、番号5、番号6および番号10は92%同一性配列を共有する)、可逆的アンフォールディングの特性を呈した(他の10%未満の保持された結合シグナルと比較して、クローン番号10ファージを加熱した後にHSA結合シグナルの100%が保持された)。
タンパク質凝集はフォールディング経路に競合するオフ‐経路プロセスであり、通常、アンフォールディングされた状態、または部分的にアンフォールディングされた状態の会合を含む。凝集に対する抵抗性は、天然状態を安定化させる(フォールディングの自由エネルギー、増加したΔGN-U)および/または(例えば、これらの状態の溶解性を増加させることによって)アンフォールディングされたかまたは部分的にアンフォールディングされた状態の傾向を低下させて凝集させる突然変異を導入することによって達成することができる。(i)ファージの感染性を提示されたタンパク質のタンパク質分解抵抗性とリンクさせることによって(Kristensen,P.& Winter,G.Fold Des 3,321-328(1998);Sieber,V.,ら、Nat Biotechnol 16,955-960(1998);Martin,A.,ら、J Mol Biol 309,717-726(2001))および/または(ii)提示されたタンパク質を上昇した温度または変性剤で攻撃することによって(Shusta,E.V.,ら、Nat Biotechnol 18,754-759(2000);Jung,S.,ら、J Mol Biol 294,163-180(1999))、改良された安定性を持つタンパク質変種につき選択するのに、いくつかの選択戦略が工夫されてきた。今日まで、最も安定なタンパク質変種を除いて全ての脱安定化し(およびその除外を促進する)ことに焦点が当てられてきた。例えば、ファージ抗体ライブラリーを60℃まで加熱することによって、Jungら(J Mol Biol 294,163-180(1999))は、改良されたΔGN-U(+3.7kcal/モル)を持ち、60℃でフォールディングされたままであった4D5Flu抗体フラグメントの変種を選択した。この温度を超えると、抗体フラグメントがアンフォールディングされる結果、抗体フラグメントを提示するファージを加熱した場合、凝集および感染性の喪失がもたらされた。
2Kabat et al.に従う残基ナンバリング
3プロテインA(a)およびヒト血清アルブミン(b)に対して選択されたクローンの配列
4L:H3-CDR3のアミノ酸の長さ
4このクローンもまたフレームワーク2においてTrp47からCysへの突然変異を含む。
2熱-変性曲線から得られた熱力学的安定性値
325℃における尿素‐誘導変性曲線から得られた熱力学的安定性値(未公表データ,L.J.,O.S.,G.W.およびL.C.James)
4Superdex G75から溶出されたピーク(複数ピーク)の面積を積分することによって得た
55.0 OD600nmに対して正規化された細菌培養の1L上清から得られた精製されたタンパク質の収率
6多量体種として移動した試料の7%に相当するピーク
7nd:測定せず
ヒトVHdAbライブラリーのファージディスプレイ。dAbレパートリーは、以下のようなDP47d dAbの配列中の数個のコドンのオリゴヌクレオチド‐媒介多様化によって2-ステップで作成した(アミノ酸位置についてのKabatナンバリングおよびヌクレオチドについてのIUPAC-IUBコード):27,KWT;28,ANS;29,NTT;30,ANC;31,NMT;32,NAS;33,DHT;35,RSC;50,RSC;52;NNK;52a,RNS;53,VVW;54,CGT;94,RSW;101,NVS;102,THT;および95ないし100x(ここに、xはアルファベット順にaからkの範囲である)の全てのCDR3位置についてのNNKコドン。PCRによって、DNAインサートにApaLI(5’末端)およびNotI(3’-末端)部位と近接させ、消化し、NotI部位および遺伝子IIIの間にc-mycタグを含むfdCAT1(McCafferty,J.,ら、Nature 348,552-554(1990))から由来する多価ファージベクターであるfd-mycの対応する部位に連結した。連結産物をエレクトロポレーションによって大腸菌TG1細胞に形質転換し、15μg/mlのテトラサイクリンを補足した2xTYプレート(2xTY-Tet)上で平板培養し、1.6×109クローンのライブラリーを得た。一価提示では、(NcoI-NotI DNAフラグメントとしての)dAb遺伝子を、NotI部位および遺伝子IIIの間に((His)8およびVSVタグを含むpHENI(Hoogenboom,H.R.ら、Nucleic Acids Res 19,4133-4137(1991))に由来するファージミドベクターであるpR2の対応する部位に連結した。記載されているように(McCafferty,J.,ら、Nature 348,552-554(1990);Hoogenboom,H.R.ら、Nucleic Acids Res 19,4133-4137(1991))ファージを調製し、精製し、次いで貯蔵した。ファージタンパク質の分析では、1×1010形質導入単位(TU)をSDS PAGE (4ないし12% Bis-Trisゲル,Invitrogen)に付し、検出のためにPVDF Immobilon-P膜(Millipore)に移し;ブロックされた膜をネズミ抗-pIII抗体(MoBiTec)、次いで、抗−ネズミホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲート(Sigma-Aldrich)、および電気‐化学ルミネセンス試薬(Amersham Biosciences)と共にインキュベートした。
「フォールディングゲートキーパー」は、その生物物理学的特徴によって、およびタンパク質の一次配列におけるその位置によって、タンパク質のアンフォールディングに際して凝集体の不可逆的形成を妨げるアミノ酸である。フォールディングゲートキーパー残基はオフ経路凝集をブロックし、それにより、タンパク質が可逆的アンフォールディングを受け得ることを確実とする。(位置および生物物理学的特徴によって決定される)フォールディングゲートキーパーの有効性は、凝集体を形成すること無く、アンフォールディングされたタンパク質が溶液中で残り得る最大濃度に影響する。本明細書中で記載するように、フォールディングゲートキーパーは、抗原−特異性を欠く単一可変ドメイン(DP47dまたはVKダミー)に導入された。
EVQLLESGGGLVQPGGSLRLSCAASGFTFEWYWMGWVRQAPQKGLEWVSAISGSGGSTYYADSVKGRFTISRDNSKNTLYLQMNSLRAEDAAVYYCAKVKLGGGPNFGYRGQGTLVTVSS(配列番号:191)
である。この合理的−設計アプローチの結果は、フォールディングゲートキーパーがファージに提示されたdAbライブラリーにab initio導入されるもう1つのアプローチを補う(セクション18参照)。
ヒトDP-47-VH3ドメインにおいては、凝集は、H1−ループを含む疎水性セグメントによって媒介される。部位特異的突然変異誘発および生物物理学分析は、DP-47における残基22ないし36に対するSE−スコアをゼロ未満に低下させる単一点突然変異は、5uMまでの濃度においてこの可変ドメインにおける適切なフォールディングを付与できることを示した。単一点突然変異についての好ましい位置は残基Phe27およびTyr32であって、好ましい置換は親水性Asp、Glu、Gln、Asn残基、またはβ鎖破壊残基Proである。表17に示すように、TAR2-10-27のH1−ループ中の4つの単一突然変異体はSE-15スコアを有意に低下させ、従って、高いフォールディング率を付与することができる。突然変異の組合せは、さらに、SE-15スコアをゼロ未満まで低下させる。
VHドメインのTNFR1結合活性は、受容体結合アッセイおよび細胞ベースのアッセイで評価した。
このセクションは、得られた変種が凝集に対する増大した抵抗性を抗原−結合活性と組合わせるように、フォールディングゲートキーパー残基を予め規定された特異性のVHドメインに導入することができることを示す。これは、VHドメインによって結合された機能的エピトープを知ること無く達成された。1つの変種は、特に(TAR2-1027-Y32D)は、全生物学的活性を保持し、凝集に対する抵抗性の10倍増加を有した(「タンパク質」50%)。フォールディングゲートキーパーを導入するもう1つの利点は、タンパク質の増大した発現レベルである(例えば、pET/BL21(DE3)pLysSシステムにおける>10倍だけ)。TAR2-10-27-Y32DのSE−スコア(0.068)は依然として0を超え、かつHEL4につき得られた値(-0.187)を超える。かくして、所望であれば、さらなるフォールディングゲートキーパーを、その生物物理学的特性のさらなる改良のためにTAR2-10-27-Y32Dに導入することができよう。
ファージ提示技術を用い、(例えば、ペトリ皿に固定化された抗原を結合させ、接着性ファージを回収することによって「バイオパニング」)抗体可変ドメインを、抗原に対する結合に基づいて合成レパートリーから単離することができる。このアプローチを用いて、熱変性工程に続き(または陰性対照についての加熱変性工程無くして)合成ヒトVHレパートリーから、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合するヒトVHを選択した。
4Gライブラリーを等しい数の形質導入単位(1×1011)の2つのサブ−ライブラリーに分割した。1つはそれ自体がHSAに対するパニングに用いられ、他方は各パミング工程前に80℃にて10分間加熱−アンフォールディングした。加熱工程では、ファージ試料をPCRチューブ中に100μL画分として分注した。加熱後、画分を合わせた。双方の試料(加熱処理したおよび加熱していない対照)を14,000rpmにおいて4℃にて10分間遠心した。上清をイミュノ−チューブ上の選択にさらに取った。抗原(HSA,Sigma-Aldrich)をイミュノ−チューブ中でコートし(PBS中100ug/mL)、4℃で貯蔵した。チューブをPBS中の2%スキムミルク(2MPBS)でブロックした。
第一ラウンドの選択(R1)の後、ほぼ3000のファージをチューブから溶出させた(加熱したファージライブラリーから、および加熱していないライブラリーからの双方)。第二ラウンドの選択(R2)の後、コロニーの密集したローンを加熱していないファージでの選択から得、他方、加熱したファージライブラリーについては富化は顕著でなかった(力価のほぼ2ないし5倍増加)。個々のコロニー(n=44)を、R2の後双方のライブラリー(加熱処理および対照)からランダムにピックアップし、(96ウェルマイクロタイター細胞培養プレートを用い)別々に一晩増殖させて、上清中にファージを分泌させた。
結果は、加熱アンフォールディング工程に続くHSAで選択したVHドメインクローン(クローン番号10)が、ファージに発現された場合に凝集に対して十分に抵抗性であり、他方、加熱アンフォールディング工程無くして選択されたVHドメインクローンのいずれも加熱後に10%よりも大きなリフォールディングを呈したことを示す。この研究は、加熱に際して可逆的にアンフォールドする抗原−特異的可変ドメインが凝集−傾向VHドメインのレパートリーから選択することができることを示す(一次ライブラリー4Gからの98%を超えるクローンが加熱に際して凝集することが示された)。
セクション16は、良好なフォールディング特性を持つVHドメインが、CDR1ループが多様化され、よって、一次レパートリー中のVHドメインの小さなパーセンテージがCDR1ループ中にフォールディングゲートキーパーを有する凝集−傾向VHドメインのレパートリーから単離することができることを示した。このセクションは、VHドメインの大部分が可逆的にアンフォールドするファージレパートリーの調製を記載する。
多様性は、組立てPCRを用いて多様化CDR1、CDR2およびCDR3をコードするDNAフラグメントをランダムに組み合わせることによって導入した。得られたフラグメントをファージベクター(リーダー配列が真核生物リーダー配列で置き換えられたFd-myc;セクション2参照)にクローン化されて、一次ライブラリー(VH−6G)を得た。VHライブラリーは単一ヒトフレームワーク(V3-23/DP-47およびJH4b)に基づく。このフレームワークによってコードされたカノニカル構造(VH:1-3)はヒト抗体レパートリーで最も普通である。側鎖の多様性は、公知の構造における抗原と接触する抗原結合部位中の位置におけるNNK多様化コドンを用いて一体化され、成熟レパートリーにおいて高度に多様性である。多様性は以下の位置(Kabatナンバリング)に導入された:
VH CDR1:H30、H31、H32、H33、H35
VH CDR2:H50、H52、H52a、H53、H55およびH56
VH CDR3:4-12多様化残基:例えば、4G H11におけるH95、H96、H97、およびH98、および4G H19におけるH95、H96、H97、H98、H99、H100、H100a、H100b、H100c、H100d、H100eおよびH100f。最後の3つのCDR3残基はFDYであり、従って、CDR3の長さは7ないし15残基で変化する。
ヒトVH3ドメインの合成ライブラリーは、PCR断片の組換えによって作製され、線状ファージの表面に提示された。大部分のVH3 dAbs(85%)を80℃に加熱の際に可逆的にアンフォールディングした。このライブラリーは、(1)(30、31、32、33および35位で)CDR1領域の多様化、(2)プロテインAに対する清浄前に一次ファージライブラリーの加熱処理、および(3)加熱選択されたCDR1-CDR2をコードする遺伝子およびナイーブ継代(または単純にプロテインA清浄)CDR3をコードする遺伝子のPCRの媒介組換えによって産生された。生じたライブラリーにおいて、CDR1配列は多様であったが、Asp、Glu、ProおよびGly等のフォールディングゲートキーパー残基に富んでいた。
このセクションは、予め規定された特異性を持つdAbへのフォールディングゲートキーパーの実施を記載する。TAR1-5-19はTNF-αに特異的なVK1ドメインである。その配列は:
本明細書中に記載し、示したように、フォールディングゲートキーパーは、DP47dのH1ループを含む領域、またはVKダミー(DPK9)のFR2-CDR2を含む領域に導入され得る。TAR1-5-19については、我々は、49位、FR2とCDR2の間の境界で溶媒に暴露された残基を選択した。dAbについての構造および突然変異誘発データの非存在下で、パラトープ内(またはその近く)の突然変異は結合活性に影響しそうであり得る。
セクション5、ファージスクリーニング2に記載の方法を用い、TAR1-5-19を提示するモノクローナルファージおよび変異体を10分間80℃で加熱するか、または加熱せずに放置し、次いで、ELISAのTNF-α被覆ウェル中でインキュベートした。リフォールディング%のデータはセクション5、ファージスクリーニング2に記載されているように計算され、結果を表30に示す。
活性アッセイは、増大させる量のdAbを用いて、固定化されたTNF-α受容体と結合する可溶性TNF-αを競合させるのに使用されるRBA-ELISAの受容体結合アッセイであった。次いで、結合したTNF-αをビオチン化した非競合抗体、およびストレプトアビジンHRPコンジュゲートで検出した。IC50(nMにおける)は、受容体に対するTNF−αの50%の非飽和量の低下を生じさせるのに必要なdAb量である。結果を表31に示す。
本研究においては、抗原dAb複合体の構造の予備知識が無くとも、フォールディングゲートキーパーを予め規定された特異性のdAbに導入した。TAR1-5-19の変異体の結合は6から20倍低下したが、変異体は依然として中程度の活性でもって標的に結合し、これは、変異体が生物学的活性を有することを示す。2つの単一の点変異体のみが作製され、研究されたことに注意すべきである。フォールディングゲートキーパーを導入するさらなる利点は、例えば、位置多様化によって、またはライブラリー作製によって、単一の点変異または変異の組合せを含むさらなる変異体を作製し、スクリーニングすることによって実現され得る。
[1]ポリペプチドのレパートリーから可逆的にアンフォールドする少なくとも1つのポリペプチドを回収する方法であって、可逆的にアンフォールドするレパートリー中のポリペプチドが、フォールドしたポリペプチドとアンフォールドまたはミスフォールドしたポリペプチドとを区別する共有の選択可能特徴を有し、
ディスプレイされるポリペプチドのレパートリーを含むポリペプチドディスプレイシステムを提供する工程;
該ディスプレイされるポリペプチドの少なくとも一部をアンフォードする工程;
アンフォールドしたポリペプチドの少なくとも一部をリフォールドする工程;および
リフォールドした部分から、可逆的にアンフォールドし、かつ該選択可能特徴を有する少なくとも1つのポリペプチドを回収する工程を含む、方法。
[2]前記アンフォールドが、温度Tsに加熱することにより達成され、前記リフォールドが温度Tcに冷却することにより達成され、前記回収が温度Trで行われ、回収されたポリペプチドが融点Tmを有し、ここでTs>Tm>TcかつTs>Tm>Trである[1]記載の方法。
[3]加熱および冷却の後、ポリペプチドディスプレイシステムが、アンフォールドおよびリフォールドしたポリペプチドの部分ならびに凝集したポリペプチドの部分を少なくとも含有する[2]記載の方法。
[4]可逆的にアンフォールドする回収されたポリペプチドのアミノ酸配列を決定する工程をさらに含む[1]記載の方法。
[5]前記ポリペプチドシステムがライブラリーを含む[1]記載の方法。
[6]前記ポリペプチドシステムが、バクテリオファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、乳剤分画化およびディプレイ、酵母ディスプレイ、ピューロマイシンディスプレイ、細菌ディスプレイ、プラスミド上のポリペプチドディスプレイおよび共有結合ディスプレイからなる群より選ばれる[1]記載の方法。
[7]前記ポリペプチドディスプレイシステムがバクテリオファージディスプレイである[1]記載の方法。
[8]アンフォールドが、ポリペプチドディスプレイシステムの温度を上昇させること、ポリペプチドディスプレイシステムの圧力を調整すること、ポリペプチドディスプレイシステムのpHを調整すること、ポリペプチドディスプレイ中のカオトロピック薬剤の濃度を増大すること、および/またはポリペプチドディスプレイシステム中の有機溶媒の濃度を増大させることにより達成される[1]記載の方法。
[9]ポリペプチドが、可逆的にアンフォールドしないアンフォールドしたポリペプチドの凝集を実質的に阻害しないアンフォールド因子を用いてアンフォールドされる[1]記載の方法。
[10]アンフォールドが、少なくとも約50%のディスプレイされるポリペプチドがアンフォールドするアンフォールド温度にポリペプチドディスプレイシステムの温度を上昇させることにより達成され、リフォールドが、アンフォールドしたポリペプチドの少なくとも一部がリフォールドするリフォールド温度にポリペプチドディスプレイシステムの温度を減少させることにより達成される[1]記載の方法。
[11]ポリペプチドディスプレイシステムが、実質的に全てのディスプレイされるポリペプチドがアンフォールドされるアンフォールド温度に加熱される[10]記載の方法。
[12]前記アンフォールド温度およびリフォールド温度が少なくとも10℃異なる[11]記載の方法。
[13]前記共通の選択可能特徴が、リガンドへの結合、触媒活性およびタンパク質分解に対する耐性からなる群より選ばれる選択可能な機能的特徴である[1]記載の方法。
[14]前記選択可能な機能的特徴が一般リガンドへの結合である[13]記載の方法。
[15]前記共通の選択可能特徴が、フォールドされた場合のディスプレイされるポリペプチド上に存在するが、ミスフォールドまたはアンフォールドしたポリペプチドには存在しないエピトープである[1]記載の方法。
[16]各々のディスプレイされるポリペプチドが抗体可変ドメインを含有する[1]記載の方法。
[17]前記抗体可変ドメインがヒト抗体可変ドメインである[16]記載の方法。
[18]前記可変ドメインが、生殖細胞系配列によってコードされるラクダ免疫グロブリン可変ドメインにユニークである1つ以上のアミノ酸を含まない[17]記載の方法。
[19]前記可変ドメインの1つ以上のフレームワーク領域(FR)が、(a)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列、(b)ヒトワークフレーム領域のアミノ酸配列の少なくとも8個の連続したアミノ酸配列、または(c)ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされるアミノ酸配列を含む、該フレームワーク領域がKabatにより規定されるものである[16]記載の方法。
[20]前記可変ドメインの1つ以上のフレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または1つ以上の該フレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて合計で5つまでのアミノ酸差異を含む[16]記載の方法。
[21]前記可変ドメインのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または前記可変ドメインのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて、合計で10個までのアミノ酸差異を含む[16]記載の方法。
[22]各々のディスプレイされるポリペプチドが、FR1、FR2およびFR3領域を含有する抗体可変ドメインを含み、該FR1、FR2、FR3のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一である[16]記載の方法。
[23]可逆的にアンフォールドするポリペプチドが、標的リガンドに結合することにより回収される[1]記載の方法。
[24]可逆的にアンフォールドするポリペプチドが一般リガンドに結合することにより回収される[1]記載の方法。
[25]前記ポリペプチドディスプレイシステムが、バクテリオファージディスプレイであり、可逆的にアンフォールドするポリペプチドが、伝染性バクテリオファージまたは伝染性バクテリオファージの子孫を回収することにより回収される[1]記載の方法。
[26]ポリペプチドディスプレイシステムが、各々のディスプレイされるポリペプチドが抗体可変ドメインを含む多価バクテリオファージシステムであり、
アンフォールドが、約80℃のアンフォールド温度に多価バクテリオファージシステムの温度を増大させることにより達成され;
リフォールドが、該アンフォールド温度よりも約10℃低いリフォールド温度に該多価バクテリオファージシステムの温度を減少させることにより達成される、[1]記載の方法。
[27]ポリペプチドのレパートリーからリガンドに結合し、可逆的にアンフォールドする少なくとも1つのポリペプチドを回収する方法であって、
該レパートリーを含むポリペプチドディスプレイシステムを提供する工程;
少なくとも一部のディスプレイポリペプチドがアンフォールドする温度(Ts)にレパートリーを加熱する工程;
Tsよりも低い温度(Tc)にレパートリーを冷却する工程、ここで冷却されたレパートリーは、アンフォールドしたポリペプチドの部分および凝集したポリペプチドの少なくの部分を少なくとも含む;および
リガンドに結合し、可逆的にアンフォールドする少なくとも1つのポリペプチドを温度(Tr)で回収する工程、ここでリガンドは、フォールドしたポリペプチドに結合し、凝集したポリペプチドに結合せず、回収したポリペプチドは融点(Tm)を有し、Ts>Tm>Tc、およびTs>Tm>Trである、
を含む、方法。
[28]回収されたポリペプチドがリガンドに結合することを確認する工程をさらに含む[27]記載の方法。
[29]前記リガンドが一般リガンドまたは標的リガンドである[28]記載の方法。
[30]Tm<Tsであることを確認する工程をさらに含む[27]記載の方法。
[31]Tm>37℃である[27]記載の方法。
[32]TcがTrと実質的に同一である[27]記載の方法。
[33]前記ポリペプチドディスプレイシステムが複数の複製可能な遺伝子ディスプレイパッケージを含む[27]記載の方法。
[34]前記ポリペプチドディスプレイシステムがファージディスプレイシステムである[27]記載の方法。
[35]前記ファージディスプレイシステムが多価ファージディスプレイシステムである[34]記載の方法。
[36]冷却されたレパートリーの凝集した少なくともポリペプチドの部分が、ファー時間凝集物を形成する[34]記載の方法。
[37]冷却されたレパートリーの凝集したポリペプチドが、ファージ間凝集物およびファージ内凝集物を形成する[36]記載の方法。
[38]前記レパートリーが少なくとも約103個のメンバーを含む[27]記載の方法。
[39]ポリペプチドのレパートリーから、リガンドに結合し、可逆的にアンフォールドする少なくとも1つのポリペプチドを回収する方法であって、該方法が:
前記レパートリーを含むポリペプチドディプレイシステムを提供する工程、ここで該レパートリーが、ディプレイされるポリペプチドの少なくとも一部がアンフォールドする温度(Ts)に加熱されており、およびTsよりも低い温度(Tc)に冷却されており、冷却されたレパートリーが、アンフォールドおよびリフォールドしたポリペプチドの部分および凝集したポリペプチドの部分を少なくとも含む;および
リガンドに結合し、可逆的にアンフォールドする少なくとも1つのポリペプチドを温度(Tr)で回収する工程、ここでリガンドはフォールドしたポリペプチドに結合し、凝集したポリペプチドには結合せず、回収したポリペプチドは融点(Tm)を有し、Ts>Tm>Tc、およびTs>Tm>Trである、方法。
[40]リガンドに結合し、可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されたレパートリーを製造する方法であって、該方法が:
リガンドに結合するポリペプチドのレパートリーを含むポリペプチドディスプレイシステムを提供する工程;
ディスプレイされるポリペプチドの少なくとも一部がアンフォールドする温度(Ts)にレパートリーを加熱する工程;および
Tsよりも低い温度である温度(Tc)にレパートリーを冷却する工程、ここで冷却したレパートリーは、アンフォールドおよびリフォールドしたポリペプチドの少なくとも一部ならびに凝集したポリペプチドの部分を含有し、それによりリガンドに結合し、可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されたレパートリーが製造される、方法。
[41]可逆的にアンフォールドするポリペプチドをコードする核酸のライブラリーを調製する方法であって、
(a)親ポリペプチドの1つ以上の変異体を提供する工程、ここで親ポリペプチドは、フォールド親ポリペプチドとアンフォールドまたはミスフォールド親ポリペプチドとを区別する選択可能特徴を有し、該変異体は、1つ以上のアミノ酸残基残基が置換された親ポリペプチドのアミノ酸配列を含む;
(b)該1つ以上の変異体をアンフォールドし、次いでリフォールドする工程;
(c)親ポリペプチドの選択可能特徴を保有する1つ以上のリフォールド変異体ポリペプチドを選択すること
(d)(c)において選択された1つ以上のリフォールドした変異体ポリペプチドのアミノ酸配列を決定し、親アミノ酸配列の対応する残基と同一でないリフォールド変異体のアミノ酸配列の1つ以上のアミノ酸残基を同定する工程;および
(e)(d)において同定されたアミノ酸残基で少なくとも1つのアミノ酸残基が置換された該親ポリペプチドのアミノ酸配列を含むポリペプチドをコードする核酸のライブラリーを調製する工程
を含む、方法。
[42]ポリペプチドが、可逆的にアンフォールドしないアンフォールドしたポリペプチドの凝集を実質的に阻害しないアンフォールド因子を用いてアンフォールドされる[41]記載の方法。
[43]変異体ポリペプチドが、変異体ポリペプチドの融点(Tm)よりも高い温度に加熱することによりアンフォールドし、冷却によりリフォールドする[41]記載の方法。
[44]前記親ポリペプチドが抗体可変ドメインである[41]記載の方法。
[45]熱凝集に耐性である可変ドメインが富化された抗体可変ドメインライブラリーを製造する方法であって、
(a)複数のディスプレイされる抗体可変ドメインを含むファージディスプレイシステムを提供する工程、ここでディスプレイされる可変ドメインの少なくとも一部がアンフォールドおよびリフォールドされている;
(b)該ファージディスプレイシステムからアンフォールド、リフォールドおよび回復した結合機能を有する可変領域をディスプレイする少なくとも1つのファージを選択する工程;
(C)(b)で選択されたファージにおいてディスプレイされる可変ドメインのCDR1および任意にCDR2をコードする核酸を得る工程;
(d)抗体可変ドメインをコードする核酸のライブラリーを調製する工程、ここで(c)で得られた該核酸が少なくとも1つの他の核酸と作動可能に連結され、CD1および任意にCDR2が(c)で得られた核酸によりコードされる抗体可変ドメインをコードする核酸構築物のライブラリーを製造される、
を含む、方法。
[46](a)のディスプレイされる可変領域の実質的に全てが約80℃に加熱することによりアンフォールドしており、冷却によりリフォールドしている[45]記載の方法。
[47](d)で構築された核酸のライブラリーが、CDR3がランダム化されているか、または加熱の際に可逆的にアンフォールドする能力について選択された抗体可変領域に由来しない抗体可変ドメインをコードする[45]記載の方法。
[48]親ポリペプチドのアミノ酸配列を提供する工程;
疎水性である該アミノ酸配列の領域を同定する工程;
同定された疎水性領域を選択する工程;
選択された疎水性領域の1つ以上のアミノ酸を置換し、領域の疎水性が減少している可変アミノ酸配列を生成する工程;および
該変異体アミノ酸配列を含む変異体ポリペプチドを生成する工程
を含む、可逆的にアンフォールドした変異体ポリペプチドを調製する方法。
[49]変異体ポリペプチドのアンフォールドおよびリフォールドを評価する工程をさらに含む[48]記載の方法。
[50]変異体ポリペプチドが、変異体ポリペプチドの融点(Tm)よりも高い温度に変異体ポリペプチドを加熱することによりアンフォールドし、冷却によりリフォールドする[48]記載の方法。
[51]前記疎水性領域が、親アミノ酸配列に対してSweet-Eisenberg疎水性スコアを用いることにより同定される[48]記載の方法。
[52]親VHドメインのアミノ酸配列を提供する工程;
該親VHのH1ループの1つ以上のアミノ酸を置換し、H1ループのSweet-Eisenberg(S/E)疎水性スコアが、親VHのH1ループと比べて減少している変異体VHを生成する工程、ここで該H1ループは、AbMアミノ酸ナンバリングシステムにより規定されるものである;または
該親VHのアミノ酸配列の22位〜36位の1つ以上のアミノ酸を置換し、22位〜36位のアミノ酸に関するS/E疎水性スコアが、親VHの22位〜36位の配列に関するS/Eスコアと比べて減少している変異体VHを生成する工程、ここで22〜36位は、Kabatアミノ酸ナンバリングシステムに従って割り当てられている;および
該変異体VHを含有する変異体ポリペプチドを生成する工程、
を含む、可逆的にアンフォールドする変異体抗体重鎖可変ドメイン(VH)を含有するポリペプチドを調製する方法。
[53]変異体VHのアンフォールディングおよびリフォールディングを評価する工程をさらに含む[52]記載の方法。
[54]ポリペプチドが、可逆的にアンフォールドしないアンフォールドしたポリペプチドの凝集を実質的に阻害しないアンフォールド因子を用いてアンフォールドする[52]記載の方法。
[55]変異体VHが、変異体VHの融点(Tm)よりも高い温度にかねつすることによりアンフォールドする[52]記載の方法。
[56]前記親VHがヒトVHである[52]記載の方法。
[57]前記変異体VHが、生殖細胞系配列によりコードされるラクダ免疫グロブリン可変ドメインにユニークである1つ以上のフレームワークアミノ酸を含まない[52]記載の方法。
[58]前記変異体VHの1つ以上のフレームワーク領域(FR)が、(a)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列、(b)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列の少なくとも8つの連続したアミノ酸、または(c)ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされるアミノ酸配列を含み、該フレームワーク領域がKabatにより規定されるものである[56]記載の方法。
[59]前記可変VHドメインの1つ以上のフレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または1つ以上の該フレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて合計で5つまでのアミノ酸差異を含む[56]記載の方法。
[60]前記可変VHのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、またはFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて、合計で10個までのアミノ酸差異を含む[56]記載の方法。
[61]変異体VHが、FR1、FR2およびFR3領域を含み、該FR1、FR2、FR3のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一である[56]記載の方法。
[62]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、DP47生殖細胞系VH遺伝子セグメントを含む[58]〜[61]いずれか記載の方法。
[63]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、DP4、DP7、DP8、DP9、DP10、DP31、DP33、DP45、DP46、DP49、DP50、DP51、DP53、DP54、DP65、DP66、DP67、DP68およびDP69からなる群より選ばれるVH遺伝子セグメントを含む[58]〜[61]いずれか記載の方法。
[64]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、JH1、JH2、JH3、JH4、JH4b、JH5およびJH6からなる群より選ばれるヒト生殖細胞系JH遺伝子セグメントをさらに含む[62]または[63]記載の方法。
[65]親VLのアミノ酸配列を提供する工程;
該親VLのFR2-CDR2の1つ以上のアミノ酸を置換し、FR2-CDR2領域に関するSweet/Eisenberg疎水性スコア(S/Eスコア)が、親VLドメインの対応する領域と比べて減少している変異体VLを生成する工程;または
該親VLのFR3の1つ以上のアミノ酸を置換し、FR3に関するS/Eスコアが親VLドメインの対応する領域と比べて減少している変異体VLを生成する工程;または
該親VLのアミノ酸配列の44位〜53位の1つ以上のアミノ酸を置換して、44位〜53位のアミノ酸配列に関するS/Eスコアが、親VLドメインの対応する部分に関するS/Eスコアと比べて減少している変異体VLを生成する工程;または
該親VLのアミノ酸配列の73位から76位の1つ以上のアミノ酸配列を置換して、73位〜76位のアミノ酸配列に関するS/Eスコアが親VLドメインの対応する部分に関するS/Eスコアと比べて減少している変異体VLを生成する工程;および
該変異体VLを含む変異体ポリペプチドを生成する工程、
を含み、FR2-CDR2領域、FR3、44〜53位および73〜76位がKabatアミノ酸ナンバリングシステムに従って割り当てられている、可逆的にアンフォールドする変異体抗体軽鎖可変ドメイン(VL)を含むポリペプチドを調製する方法。
[66]変異体VLのアンフォールドおよびリフォールドを評価する工程をさらに含む[65]記載の方法。
[67]ポリペプチドが、可逆的にアンフォールドしないアンフォールドしたポリペプチドの凝集を実質的に阻害しないアンフォールド因子を用いてアンフォールドされる[1]記載の方法。
[68]変異体VLが、変異体VLの融点(Tm)よりも高い温度に加熱することによりアンフォールドし、冷却によりリフォールドする[65]記載の方法。
[69]前記親VLがヒトVLである[65]記載の方法。
[70]前記変異体VLが生殖細胞系配列によりコードされるラクダ免疫グロブリン可変ドメインにユニークである1つ以上のフレームワークアミノ酸を含まない[65]記載の方法。
[71]前記変異体VLの1つ以上のフレームワーク領域(FR)が、(a)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列、(b)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列の少なくとも8つの連続したアミノ酸、または(c)ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされるアミノ酸配列を含み、該フレームワーク領域がKabatにより規定されるものである[69]記載の方法。
[72]前記可変VLドメインの1つ以上のフレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または1つ以上の該フレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて合計で5つまでのアミノ酸差異を含む[69]記載の方法。
[73]前記可変VLのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、またはFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて、合計で10個までのアミノ酸差異を含む[69]記載の方法。
[74]変異体VLが、FR1、FR2およびFR3領域を含み、該FR1、FR2、FR3のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一である[69]記載の方法。
[75]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、DPK1、DPK2、DPK3、DPK4、DPK5、DPK6、DPK7、DPK8、DPK9、DPK10、DPK12、DPK13、DPK15、DPK16、DPK18、DPK19、DPK20、DPK21、DPK22、DPK23、DPK24、DPK25、DPK26およびDPK28からなる群より選ばれるVL遺伝子セグメントを含む[71]〜[74]いずれか記載の方法。
[76]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、JK1、JK2、JK3、JK4、JK4b、およびJK5からなる群より選ばれるヒト生殖細胞系JK遺伝子セグメントをさらに含む[75]記載の方法。
[77]複数のディスプレイされるポリペプチドを含むポリペプチドディスプレイシステムを提供する工程;
該ディスプレイされるポリペプチドをアンフォールドする工程;
該ポリペプチドの少なくとも一部をリフォールドする工程;および
可逆的にアンフォールドするポリペプチドのコレクションを該一部から回収する工程、
を含む、可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されたライブラリーを製造する方法であって、可逆的にアンフォールドする該ポリペプチドが、フォールドしたポリペプチドとアンフォールドまたはミスフォールドしたポリペプチドとを区別する共通の選択可能特徴を有する、方法。
[78]該ポリペプチドディスプレイシステムが、核酸のコードする機能を、それがコードするポリペプチドの物理、化学および/または機能的特徴に関連付ける[77]記載の方法。
[79]前記ポリペプチドシステムが、バクテリオファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、乳剤分画化およびディプレイ、酵母ディスプレイ、ピューロマイシンディスプレイ、細菌ディスプレイ、プラスミド上のポリペプチドディスプレイおよび共有結合ディスプレイからなる群より選ばれる[77]記載の方法。
[80]前記ポリペプチドディスプレイシステムがバクテリオファージディスプレイである[77]記載の方法。
[81]ポリペプチドが、可逆的にアンフォールドしないアンフォールドしたポリペプチドの凝集を実質的に阻害しないアンフォールド因子を用いてアンフォールドする[77]記載の方法。
[82]アンフォールドが、ポリペプチドディスプレイシステムの温度を上昇させること、ポリペプチドディスプレイシステムの圧力を調整すること、ポリペプチドディスプレイシステムのpHを調整すること、ポリペプチドディスプレイ中のカオトロピック薬剤の濃度を増大すること、および/またはポリペプチドディスプレイシステム中の有機溶媒の濃度を増大させることにより達成される[77]記載の方法。
[83]アンフォールドが、少なくとも約50%のディスプレイされるポリペプチドがアンフォールドするアンフォールド温度にポリペプチドディスプレイシステムの温度を上昇させることにより達成され、リフォールドが、アンフォールドしたポリペプチドの少なくとも一部がリフォールドするリフォールド温度にポリペプチドディスプレイシステムの温度を減少させることにより達成される[77]記載の方法。
[84]ポリペプチドディスプレイシステムが、実質的に全てのディスプレイされるポリペプチドがアンフォールドされるアンフォールド温度に加熱される[83]記載の方法。
[85]アンフォールド温度および該リフォールド温度が少なくとも約10℃異なる[84]記載の方法。
[86]前記ポリペプチドディスプレイシステムがバクテリオファージディスプレイであり、可逆的にアンフォールドするポリペプチドのコレクションが、伝染性バクテリオファージまたは伝染性バクテリオファージの子孫を回収することにより回収される[84]記載の方法。
[87]前記共通の選択可能特徴が、リガンドへの結合、触媒活性およびタンパク質分解に対する耐性からなる群より選ばれる選択可能な機能的特徴である[1]記載の方法。
[88]前記抗可変ドメインがヒト抗体可変ドメインを含む[77]記載の方法。
[89]前記抗体可変ドメインがヒト抗体可変ドメインである[88]記載の方法。
[90]抗体可変ドメインが、生殖細胞系配列によりコードされるラクダ免疫グロブリン可変ドメインにユニークである1つ以上のフレームワークアミノ酸を含まない[77]記載の方法。
[91]可逆的にアンフォールドするポリペプチドのコレクションが標的リガンドへの結合により回収される[77]記載の方法。
[92]可逆的にアンフォールドするポリペプチドのコレクションが、一般リガンドへの結合により回収される[77]記載の方法。
[93]ポリペプチドディスプレイシステムが、各々のディスプレイされるポリペプチドが抗体可変ドメインを含む多価バクテリオファージシステムであり、
アンフォールドが、約80℃のアンフォールド温度に多価バクテリオファージシステムの温度を増大させることにより達成され;
リフォールドが、該アンフォールド温度よりも約10℃低いリフォールド温度に該多価バクテリオファージシステムの温度を減少させることにより達成される、[77]記載の方法。
[94]免疫グロブリン可変ドメインを含む単離されたポリペプチドであって、該免疫グロブリン可変ドメインが標的リガンドに対して結合特異性を有し、適切なアンフォールド温度に加熱されると可逆的にアンフォールドし、大腸菌で発現される場合、分泌可能であるが、但し、該可変ドメインが、生殖細胞系配列によりコードされるラクダ免疫グロブリン可変ドメインにユニークである1つ以上のフレームワークアミノ酸を含まない、単離されたポリペプチド。
[95]前記適切なアンフォールド温度が、免疫グロブリン可変ドメインの融点(Tm)よりも高い[94]記載の単離されたポリペプチド。
[96]前記適切なアンフォールド温度が約80℃である[94]記載の単離されたポリペプチド。
[97]前記可変ドメインがヒト免疫グロブリン重鎖可変ドメイン(VH)である[94]記載の単離されたポリペプチド。
[98]前記可変ドメインがヒト免疫グロブリン軽鎖可変ドメインである[94]記載の単離されたポリペプチド。
[99]標的リガンドがヒト抗原またはエピトープである[94]記載の単離されたポリペプチド。
[100]前記ポリペプチドが抗体の形式である[94]記載の単離されたポリペプチド。
[101]前記ポリペプチドが単一のVHからなる[100]記載の単離されたポリペプチド。
[102]前記可変ドメインが、約50nM〜約20pMの解離定数(Kd)および約5×10−1s-1〜約1×10−7s-1のKoffを有する前記標的リガンドに結合する[94]記載の単離されたポリペプチド。
[103]前記可変ドメインが、大腸菌で発現される場合、少なくとも約0.5mg/Lの量で分泌される[94]記載の単離されたポリペプチド。
[104]前記可変ドメインが、大腸菌で発現される場合、少なくとも約1mg/L〜少なくとも約1g/mLの量で分泌される[94]記載の単離されたポリペプチド。
[105]可逆的にアンフォールドする変異体免疫グロブリン重鎖可変領域ドメイン(VH)を含む単離されたポリペプチドであって、
該変異体VHが親VHのアミノ酸配列のアミノ酸配列を含み、ここでH1ループの少なくとも1つのアミノ酸残基が、Sweet/Eisenberg(S/E)疎水性スコアが親VHのH1ループと比べて減少しているように置換されている、ここで該H1ループはAbMアミノ酸ナンバリングシステムによって規定されているものである;または
該変異体VHが、親VHのアミノ酸配列を含み、ここで22位〜36位の少なくとも1つのアミノ酸残基のS/Eスコアが、親VHの22位〜36位の配列に関するS/Eスコアと比べて減少しているように置換されている、ここで23〜36位はKabatアミノ酸ナンバリングシステムに従って割り当てられている、単離されたポリペプチド。
[106]変異体VHのH1ループのS/Eスコアが0以下であるか、または該変異体Hの位置22〜位置36のアミノ酸配列が0以下である[105]記載の単離されたポリペプチド。
[107]可逆的にアンフォールドする可変免疫グロブリン重鎖可変領域ドメイン(VH)を含む単離されたポリペプチドであって、
該変異体VHが、H1ループの少なくとも1つのアミノ酸残基がProまたはGly残基と置換されている親VHのアミノ酸配列を含み、該H1ループはAbMアミノ酸ナンバリングシステムによって規定されている;または
該変異体VHが、22位〜36位の少なくとも1つアミノ酸残基がProまたはGly残基で置換されている親VHのアミノ酸配列を含み、該位置が、Kabatアミノ酸ナンバリングシステムに従って割り当てられている、単離されたポリペプチド。
[108]前記変異体VHが、その融点(Tm)よりも高い温度に加熱されると可逆的にアンフォールドする[105]〜[107]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[109]前記変異体VHが約80℃に加熱されると可逆的にアンフォールドする[105]〜[107]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[110]前記変異体VHが、生殖細胞系配列によりコードされるラクダ免疫グロブリン可変ドメインにユニークである1つ以上のフレームワークアミノ酸を含まない[105]〜[107]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[111]親VHがヒトVHである[105]〜[107]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[112]前記単離されたポリペプチドが抗体の形式である[105]〜[107]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[113]前記可変ドメインの1つ以上のフレームワーク領域(FR)が、(a)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列、(b)ヒトワークフレーム領域のアミノ酸配列の少なくとも8個の連続したアミノ酸配列、または(c)ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされるアミノ酸配列を含む、該フレームワーク領域がKabatにより規定されるものである[105]から[107]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[114]前記可変ドメインの1つ以上のフレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または1つ以上の該フレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて合計で5つまでのアミノ酸差異を含む[105]〜[107]いずれか記載の方法。
[115]前記変異体VHのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または前記可変ドメインのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて、合計で10個までのアミノ酸差異を含む[105]〜[107]いずれか記載の方法。
[116]変異体VHが、FR1、FR2およびFR3領域を含み、該FR1、FR2、FR3のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一である[105]〜[107]いずれか記載の方法。
[117]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、DP47生殖細胞系VH遺伝子セグメントを含む[113]〜[116]いずれか記載の方法。
[118]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、DP4、DP7、DP8、DP9、DP10、DP31、DP33、DP45、DP46、DP49、DP50、DP51、DP53、DP54、DP65、DP66、DP67、DP68およびDP69からなる群より選ばれるVH遺伝子セグメントを含む[113]〜[116]いずれか記載の方法。
[119]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、JH1、JH2、JH3、JH4、JH4b、JH5およびJH6からなる群より選ばれるヒト生殖細胞系JH遺伝子セグメントをさらに含む[117]または[118]記載の方法。
[120]可逆的にアンフォールドする変異体免疫グロブリン軽鎖可変ドメイン(VL)を含む単離されたポリペプチドであって、
該変異体VLが親VLのアミノ酸配列を含み、ここでFR2-CDR2領域の少なくとも1つのアミノ酸残基が、FR2-CDR2領域のSweet/Eisenberg疎水性スコア(S/Eスコア)が親VLのFR2-CDR2領域のS/Eスコアと比べて減少しているように置換されている;
該変異体VLが親VLのアミノ酸配列を含み、ここで44位〜53位の少なくとも1つのアミノ酸残基が、S/Eスコアが親VLの44位〜53位のアミノ酸配列のS/Eスコアと比べて減少しているように置換されている;および/または
該変異体VLが親VLのアミノ酸配列を含み、ここで73位〜76位の少なくとも1つのアミノ酸残基が、S/Eスコアが親VLの73位〜76位のアミノ酸配列のS/Eスコアと比べて減少しているように置換されている;
ここでFR2-CDR2領域、FR3,44〜53位および73〜76位はKabatアミノ酸ナンバリングシステムに従って割り当てられている、単離されたポリペプチド。
[121]前記VLのFR2-CDR2領域のS/Eスコアが0.23以下であり;
前記VLのFR3のS/Eスコアが0.35以下であり;
前記変異体VLの44位〜53位のアミノ酸配列のS/Eスコアが0.23以下であり;および/または
前記VLの44位〜53位のアミノ酸配列のS/Eスコアが0.23以下であり;および/または
前記VLの73位〜76位のアミノ酸配列が0.35以下である、
[120]記載の単離されたポリペプチド。
[122]可逆的にアンフォールドする変異体免疫グロブリン軽鎖可変領域ドメイン(VL)を含む単離されたポリペプチドであって、
該変異体VLが、FR3の少なくとも1つのアミノ酸残基がProまたはGly残基で置換されている親VLのアミノ酸配列を含み;および/または
該変異体VLが、44位〜53位の少なくとも1つのアミノ酸残基がProまたはGly残基で置換されている、
ここで、FR3および44位〜53位がKabatアミノ酸ナンバリングシステムに従って割り当てられている、単離されたポリペプチド。
[123]前記変異体VLが、その融点(Tm)よりも高い温度に加熱されると可逆的にアンフォールドする[120]〜[122]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[124]前記変異体VHが約80℃に加熱されると可逆的にアンフォールドする[120]〜[122]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[125]前記単離されたポリペプチドが抗体の形式である[120]〜[122]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[126]前記変異体VLの1つ以上のフレームワーク領域(FR)が、(a)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列、(b)ヒトワークフレーム領域のアミノ酸配列の少なくとも8個の連続したアミノ酸、または(c)ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされるアミノ酸配列を含む、該フレームワーク領域がKabatにより規定されるものである[120]〜[122]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[127]前記変異体VLの1つ以上のフレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または1つ以上の該フレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて合計で5つまでのアミノ酸差異を含む[120]〜[122]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[128]前記変異体VLのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または前記可変ドメインのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて、合計で10個までのアミノ酸差異を含む[120]〜[122]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[129]変異体VLドメインが、FR1、FR2およびFR3領域を含み、該FR1、FR2、FR3のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一である[120]〜[122]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[130]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、DPK1、DPK2、DPK3、DPK4、DPK5、DPK6、DPK7、DPK8、DPK9、DPK10、DPK12、DPK13、DPK15、DPK16、DPK18、DPK19、DPK20、DPK21、DPK22、DPK23、DPK24、DPK25、DPK26およびDPK28からなる群より選ばれるVL遺伝子セグメントを含む[126]〜[129]いずれか記載の単離されたポリペプチド。
[131]前記ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントが、JκセグメントJκ1、Jκ2、Jκ3、Jκ4およびJκ5からなる群より選ばれるヒト生殖細胞系Jκ遺伝子セグメントをさらに含む[130]記載の単離されたポリペプチド。
[132]前記レパートリーの少なくとも約10%のポリペプチドが可逆的にアンフォールドし、大腸菌で発現される場合、分泌可能であるポリペプチドのレパートリー。
[133]ポリペプチドが抗体可変ドメインを含む[132]記載のレパートリー。
[134]前記抗体可変ドメインが抗原結合部位を含む[133]記載のレパートリー。
[135]前記抗体可変ドメインがヒト抗体可変ドメインである[133]記載のレパートリー。
[136]前記可変ドメインが、生殖細胞系配列によりコードされるラクダ免疫グロブリン可変ドメインにユニークである1つ以上のフレームワークアミノ酸を含まない[133]記載のレパートリー。
[137]前記可変ドメインの1つ以上のフレームワーク領域(FR)が、(a)ヒトフレームワーク領域のアミノ酸配列、(b)ヒトワークフレーム領域のアミノ酸配列の少なくとも8つの連続したアミノ酸配列、または(c)ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされるアミノ酸配列を含む、該フレームワーク領域がKabatにより規定されるものである[135]記載のレパートリー。
[138]前記可変ドメインの1つ以上のフレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または1つ以上の該フレームワーク領域のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて合計で5つまでのアミノ酸差異を含む[135]記載のレパートリー。
[139]前記可変ドメインのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一であるか、または前記可変ドメインのFR1、FR2、FR3およびFR4のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域と比べて、合計で10個までのアミノ酸差異を含む[135]記載のレパートリー。
[140]各々のディスプレイされるポリペプチドが、FR1、FR2およびFR3領域を含有する抗体可変ドメインを含み、該FR1、FR2、FR3のアミノ酸配列が、ヒト生殖細胞系抗体遺伝子セグメントによりコードされる対応するフレームワーク領域のアミノ酸配列と同一である[135]記載のレパートリー。
[141]可逆的にアンフォールドするポリペプチドが、フォールドした場合、共通の選択可能特徴を有し、該共通の選択可能特徴がアンフォールドまたはミスフォールドしたポリペプチドには存在しない[132]記載のレパートリー。
[142]前記選択可能な機能的特徴が、リガンドへの結合、触媒活性およびタンパク質分解に対する耐性からなる群より選ばれる選択可能な機能的特徴である[141]記載のレパートリー。
[143]前記ポリペプチドが、バクテリオファージディスプレイ、リボソームディスプレイ、乳剤分画化およびディプレイ、酵母ディスプレイ、ピューロマイシンディスプレイ、細菌ディスプレイ、プラスミド上のポリペプチドディスプレイおよび共有結合ディスプレイからなる群より選ばれるポリペプチドディスプレイにおいてディスプレイされる[132]記載のレパートリー。
[144]可逆的にアンフォールドするポリペプチドをコードする核酸のライブラリーであって、ライブラリーの各々のメンバーが、少なくとも1つのアミノ酸残基がフォールディングゲートキーパー残基で置換され、少なくとも1つの他のアミノ酸残基が置換、付加または欠失されている親ポリペプチドのアミノ酸配列を含む少なくとも1つのポリペプチドをコードする、ライブラリー。
[145]前記親ポリペプチドが抗体可変ドメインである[144]記載のライブラリー。
[146]前記抗体可変ドメインがヒトVHである[145]記載のライブラリー。
[147]前記フォールディングゲートキーパー残基がCDR1に存在する[146]記載のライブラリー。
[148]前記抗体可変ドメインがヒトVLである[145]記載のライブラリー。
[149]可逆的にアンフォールドする抗体可変ドメインをコードする核酸のライブラリーであって、該ライブラリーの各メンバーが可逆的にアンフォールドする抗体可変ドメインのCDR1をコードする、ライブラリー。
[150]ライブラリーの各メンバーが可逆的にアンフォールドする抗体可変ドメインのCDR2をコードするヌクレオチド配列を含む[149]記載のライブラリー。
[151]ライブラリーのメンバーが、CDR3が多様化または無作為化されている抗体可変ドメインをコードする[149]記載のライブラリー。
[152]ライブラリーがヒト抗体重鎖可変ドメイン(VH)をコードする[149]記載のライブラリー。
[153][48]〜[76]いずれか記載の方法に従って製造される可逆的にアンフォールドする単離されたポリペプチドであって、該ポリペプチドが、大腸菌で産生される場合、分泌可能であり、但し、ポリペプチドはラクダ抗体可変ドメインではない、単離されたポリペプチド。
[154]可逆的にアンフォールドする単離されたポリペプチドであって、該ポリペプチドが[1]〜[39]いずれか記載の方法により選択可能であり、該ポリペプチド大腸菌において産生される場合、選択可能であり、但し、ポリペプチドはラクダ抗体可変ドメインではない、単離されたポリペプチド。
[155][94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチドをコードする単離された核酸。
[156][41]〜[47]および[77]〜[93]いずれか記載の方法により製造される可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されたライブラリー。
[157]前記ライブラリーが、可逆的にアンフォールドする前記ポリペプチドをコードする異種核酸のコレクションを含む[156]記載のライブラリー。
[158][40]および[132]〜[143]いずれか記載のポリペプチドのレパートリーをコードする核酸のライブラリー。
[159][94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチドを含有してなる組成物。
[160]前記ポリペプチドが約5重量%〜約99重量%の範囲で存在する[159]記載の組成物。
[161]前記組成物が溶液である[159]記載の組成物。
[162]前記組成物が医薬組成物である[159]記載の組成物。
[163]前記組成物が生物学的粉末洗剤である[159]記載の組成物。
[164][94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドする凍結乾燥ポリペプチドを含有してなる組成物。
[165]前記可逆的にアンフォールドする噴霧乾燥ポリペプチドが、再水和された場合、その活性の約20%以下を喪失する[164]記載の組成物。
[166][94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチドを含有してなる密封包装。
[167]無菌器具をさらに含有してなる[166]記載の密封包装。
[168]前記無菌器具が医学的器具である[167]記載の密封無菌包装。
[169]前記医学的器具が外科器具である[168]記載の密封無菌包装。
[170][94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチドを含有してなる、被験体への可逆的にアンフォールドするポリペプチドの投与に使用するためのキット。
[171]前記ポリペプチドが噴霧乾燥されている[170]記載のキット。
[172]前記薬物送達装置が、注射器、吸入器、鼻内投与装置、眼投与装置および無針注射装置からなる群より選ばれる[171]記載のキット。
[173][94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチドの治療有効量を、それを必要とする被験体に投与することを含む、疾患または障害を有する被験体を治療または診断する方法。
[174]治療または診断における[94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチドの使用。
[175]診断を治療するための医薬の製造のための[94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチドの使用。
[176]治療または診断において使用するための[94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチド。
[177]サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素、酵素補因子、またはDNA結合タンパク質により媒介される疾患または医学的状態の治療および/または予防および/または抑制のための医薬の製造のための[94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチド。
[178]サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素、酵素補因子、またはDNA結合タンパク質を標的化するため、該サイトカイン、サイトカイン受容体、酵素、酵素補因子、またはDNA結合タンパク質により媒介される疾患または医学的状態を治療および/または予防および/または抑制するための免疫グロブリン可変ドメインを含有する[94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチド。
[179]疾患または医学的状態が、炎症状態、アレルギー性過敏症、癌、細菌またはウイルス感染、および自己免疫疾患からなる群より選ばれる[176]〜[178]いずれか記載のポリペプチド。
[180]疾患または医学的状態が、喘息、乾癬、I型糖尿病、多発性硬化症、リウマチ様関節炎、全身性エリテマトーデス、クローン病、重症筋無力症、白血病または固形腫瘍からなる群より選ばれる[179]記載のポリペプチド。
[181][94]〜[131]、[153]または[154]いずれか記載の可逆的にアンフォールドするポリペプチドをコードする組換え核酸を含む組換え宿主細胞であって、該組換え核酸が発現制御配列に作動可能に連結されている、組換え宿主細胞。
[182]前記組換え核酸の発現に適した条件下で[181]記載の宿主細胞を維持する工程を含み、それにより前記組換え核酸が発現され、前記可逆的にアンフォールドするポリペプチドが製造される、可逆的にアンフォールドするポリペプチドの製造方法。
[183]可逆的にリフォールドするポリペプチドを選択するための[40]、[144]〜[148]および[156]〜[158]いずれか記載のライブラリーまたはレパートリーの使用。
[184]前記可逆的にリフォールドするポリペプチドが、可逆的にアンフォールドする抗体可変ドメインを含む[183]記載の使用。
[185]前記可逆的にリフォールドするポリペプチドが抗体の形式を含む[183]記載の使用。
[186]複数のディスプレイされるポリペプチドを含むバクテリオファージディスプレイライブラリーを提供する工程、ここで該ライブラリーのディスプレイされるポリペプチドの一部がアンフォールドおよびリフォールドされている;
宿主細胞とバクテリオファージディスプレイライブラリーとをせっしょくさせ、感染宿主細胞を生成する工程;および
感染宿主細胞から伝染性バクテリオファージまたは伝染性バクテリオファージの子孫を回収する工程、それにより可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されたバクテリオファージディスプレイライブラリーが製造される、
可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されたバクテリオファージディスプレイライブラリーの製造方法。
[187]複数のディスプレイされるポリペプチドを含むバクテリオファージディスプレイライブラリーを提供する工程;
該ライブラリーのディスプレイされるポリペプチドの少なくとも一部をアンフォールドし、次いでリフォールドする工程;
得られたアンフォールドおよびリフォールドしたディスプレイされるポリペプチドを含むバクテリオファージディスプレイライブラリーと宿主細胞を接触させて感染祝細胞を生成する工程;および
感染祝細胞から伝染性バクテリオファージまたは伝染性バクテリオファージの子孫を回収する工程、それにより、可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されたバクテリオファージディスプレイライブラリーが製造される、
可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されたバクテリオファージディスプレイライブラリーの製造方法。
[188]前記ディスプレイされるポリペプチドが加熱によりアンフォールドされ、冷却によりリフォールドされているか、またはされる[186]または[187]記載の方法。
[189]前記バクテリオファージディスプレイライブラリーが多価バクテリオファージfdディスプレイライブラリーであり、前記適切な宿主細胞が大腸菌である[186]または[187]記載の方法。
[190][186]〜[189]いずれか記載の方法により製造されるバクテリオファージディスプレイライブラリー。
[191]複数のディスプレイされるポリペプチドを含むバクテリオファージディプレイライブラリーを提供する工程、ここで該ライブラリーのディプレイされるポリペプチドの少なくとも一部がアンフォールドおよびリフォールドされている;
宿主細胞と該バクテリオファージディスプレイライブラリーとを接触させて、感染宿主細胞を生成する工程;および
感染宿主細胞から少なくとも1つの伝染性バクテリオファージまたは伝染性バクテリオファージの子孫を回収する工程、それによって可逆的にアンフォールドするポリペプチドが回収される、
を含む、バクテリオファージディスプレイライブラリーから可逆的にアンフォールドする少なくとも1つのポリペプチドを回収する方法。
[192]複数のディスプレイされるポリペプチドを含むバクテリオファージディプレイライブラリーを提供する工程;
該ライブラリーのディプレイされるポリペプチドの少なくとも一部をアンフォールドさせ、次いでリフォールドさせる工程;
得られるバクテリオファージディスプレイライブラリーと宿主細胞とを接触させて感染宿主細胞を生成する工程;および
感染宿主細胞から少なくとも1つの伝染性バクテリオファージまたは伝染性バクテリオファージの子孫を回収する工程、それによって可逆的にアンフォールドするポリペプチドが回収される、
を含む、バクテリオファージディスプレイライブラリーから可逆的にアンフォールドする少なくとも1つのポリペプチドを回収する方法。
[193]複数のディスプレイされるポリペプチドを含むバクテリオファージディスプレイライブラリーを提供する工程、ここで該ライブラリーのディスプレイされるポリペプチドの少なくとも一部が、アンフォールドしたポリペプチドの少なくとも一部が凝集する条件下でアンフォールドおよびリフォールドしている、
可逆的にアンフォールドするポリペプチドが富化されているバクテリオファージディスプレイシステム。
[194]上記凝集したバクテリオファージが、適切な宿主細菌を遠心分離することにより、または適切な宿主細胞を感染させることにより回収される[193]記載の方法。
[195](a) [4]記載の方法により決定された可逆的にアンフォールドするポリペプチドのアミノ酸配列、(b)それに同一なアミノ酸配列、および(c)1〜約10個のアミノ酸の置換、欠失または挿入によりそれとは異なるアミノ酸配列からなる群より選ばれるアミノ酸配列を提供する工程;および
該アミノ酸配列を含むポリペプチドを合成する工程または該アミノ酸配列をコードする核酸を発現させる工程、それによって可逆的にアンフォールドするポリペプチドが製造される、
を含む、可逆的にアンフォールドするポリペプチドを製造する方法。
[196]合成したポリペプチドが可逆的にアンフォールドすることを確認する工程をさらに含む[195]記載の方法。
[197]前記ポリペプチドが加熱の際に可逆的にアンフォールドする[195]記載の方法。
[198]免疫グロブリン可変(V)ドメインを含む単離されたポリペプチドであって、該VドメインがCDR2のシステインとCDR3のシステインとの間にジスルフィド結合を含み、CDR2およびCDR3がKabatアミノ酸ナンバリングシステムを用いて規定される、単離されたポリペプチド。
[199]前記ジスルフィド結合が52a位のシステイン残基と98位との間;51位と98位との間;または51位と100b位との間にあり、該位置がKabatアミノ酸ナンバリングシステムを用いて規定される[198]記載の単離されたポリペプチド。
[200]前記ジスルフィド結合が、51位のシステインとCDR3のシステインとの間;またはCDR2のシステインと98位のシステインとの間にあり、CDR2、CDR3および該位置がKabatアミノ酸ナンバリングシステムを用いて規定される[198]記載の単離されたポリペプチド。
Claims (3)
- 熱凝集に耐性である可変ドメインが濃縮された抗体可変ドメインライブラリーを製造する方法であって、該方法は、
(a)複数のディスプレイされる抗体可変ドメインを含むファージディスプレイシステムを提供する工程、ここでディスプレイされる可変ドメインの少なくとも一部がアンフォールドおよびリフォールドされており、アンフォールド温度が80〜100℃である;
(b)該ファージディスプレイシステムから、アンフォールドし、リフォールドし、かつ結合機能を回復した可変領域をディスプレイする少なくとも1つのファージを選択する工程;
(c)(b)で選択されたファージにおいてディスプレイされる可変ドメインのCDR1および任意にCDR2をコードする核酸を得る工程;および
(d)抗体可変ドメインをコードする核酸のライブラリーを調製する工程、ここで(c)で得られた該核酸が1つ以上の他の核酸と作動可能に連結され、CDR1および任意にCDR2が(c)で得られた核酸によりコードされる抗体可変ドメインをコードする核酸構築物のライブラリーが製造される、
を含む、方法。 - (a)のディスプレイされる可変ドメインの実質的に全てが、80℃まで加熱することによりアンフォールドしており、冷却によりリフォールドしている請求項1記載の方法。
- (d)で構築された核酸のライブラリーが、CDR3がランダム化されているか、またはCDR3が加熱の際に可逆的にアンフォールドする能力について選択された抗体可変ドメインに由来しない抗体可変ドメインをコードする請求項1記載の方法。
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