JPWO2013171810A1 - 耐熱性抗体提示ファージを得る方法 - Google Patents

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Abstract

バイオパニング法を用いて、耐熱性抗体提示ファージを得る。より具体的には、まず、複数種類の抗体提示ファージを含有する抗体提示ファージライブラリ水溶液を、ポリペプチドを表面に含む担体上に供給し、複数種類の抗体提示ファージをポリペプチドに特異的に結合させる。次に、担体を37℃以上70℃以下の温度に加熱し、一部の抗体提示ファージを担体から解離させ、かつ他の抗体提示ファージを担体に選択的に残す。最後に、前の工程において担体に選択的に残された他の抗体提示ファージを担体から回収し、耐熱性抗体提示ファージを得る。

Description

本発明は、耐熱性抗体提示ファージを得る方法に関する。
図1Bは、抗体提示ファージを示す。抗体提示ファージは、ファージの1種である。抗体提示ファージは、ファージミドベクターを内部に含有するタンパク質を含む。言い換えれば、このタンパク質は、ファージミドベクターを包囲する。抗体提示ファージは、外表面に抗体フラグメントを含む。2以上の抗体フラグメントが含まれ得る。ファージミドベクターは、この抗体フラグメントをコードする遺伝子配列を有している。
図2は、複数の種類の抗体提示ファージを含有する抗体ファージライブラリを用いて、所定の性質を有する抗体提示ファージを選択する方法を示す。この方法は、「バイオパニング法」と言われる。(特許文献1の特に段落番号0040、特許文献2の15頁、特許文献3の特に第160頁第33行目〜第162頁第31行目、その中でも特に第162頁第8〜9行目を参照)
抗体ファージライブラリに含有される各抗体提示ファージは、異なる抗体フラグメントおよびその抗体をコードする異なる遺伝子配列を有している。
バイオパニング法が以下、簡単に説明される。
図2に示されるように、まず、抗体ファージライブラリを含有する水溶液が、所定の性質に対応する抗原を表面に有する担体に供給される。所定の性質を有する抗体提示ファージが、抗原に特異的に結合する。しかし、所定の性質を有しない抗体提示ファージは、洗浄により除去される。
担体に特異的に結合した抗体提示ファージが回収された後、回収された抗体提示ファージは増殖される。増殖の後、必要に応じて、再度、抗体提示ファージは、抗体を表面に具備する担体に供給される。
この手順が繰り返される。このようにして、所定の性質を有する抗体提示ファージが、抗体ファージライブラリから選択的に回収される。
特開2009−280616号公報 国際公開第96/040749号 国際公開第2003/099999号
本発明の目的は、耐熱性抗体提示ファージを得る新規な方法を提供することである。
本発明は、耐熱性抗体提示ファージを得る方法であって、以下の工程:

(a)複数種類の抗体提示ファージを含有する抗体提示ファージライブラリ水溶液を、ポリペプチドを表面に具備する担体上に供給し、複数種類の抗体提示ファージをポリペプチドに特異的に結合させる工程であって、
各抗体提示ファージは、ファージミドベクターを内部に含有するタンパク質を含み、
各抗体提示ファージは、外表面に抗体フラグメントを含み、かつ
前記ファージミドベクターは、前記抗体フラグメントをコードする遺伝子配列を有している工程;

(b)担体を37℃以上70℃以下の温度に加熱し、一部の抗体提示ファージを担体から解離させ、かつ他の抗体提示ファージを担体に選択的に残す工程;および

(c)工程(b)において担体に選択的に残された他の抗体提示ファージを回収し、耐熱性抗体提示ファージを得る工程、

を含む、方法に関する。

一の実施形態において、前記ポリペプチドは、配列番号:01により表されるアミノ酸配列からなる。

一の実施形態において、前記方法は、工程(a)および工程(b)の間にさらに以下の工程:
工程(a)においてポリペプチドに特異的に結合しなかった抗体提示ファージを除去する工程、を含む。

一の実施形態において、前記方法は、工程(b)および工程(c)の間にさらに以下の工程:
前記担体を洗浄する工程、を含む。

一の実施形態において、前記方法は、工程(c)の後にさらに以下の工程:
工程(c)において回収された耐熱性抗体提示ファージを増幅させる工程、を含む。

本発明は、耐熱性抗体フラグメントを得る方法であって、以下の工程:

(a)複数種類の抗体提示ファージを含有する抗体提示ファージライブラリ水溶液を、ポリペプチドを表面に具備する担体上に供給し、複数種類の抗体提示ファージをポリペプチドに特異的に結合させる工程であって、
各抗体提示ファージは、ファージミドベクターを内部に含有するタンパク質を含み、
各抗体提示ファージは、外表面に抗体フラグメントを含み、かつ
前記ファージミドベクターは、前記抗体フラグメントをコードする遺伝子配列を有している工程;

(b)担体を37℃以上70℃以下の温度に加熱し、一部の抗体提示ファージを担体から解離させ、かつ他の抗体提示ファージを担体に選択的に残す工程;

(c)工程(b)において担体に選択的に残された他の抗体提示ファージを回収し、耐熱性抗体提示ファージを得る工程、

(d)工程(c)において回収された耐熱性抗体提示ファージに細胞を接触させ、感染細胞を生成する工程;および

(e)工程(d)において生成された感染細胞を培養して、耐熱性抗体フラグメントを得る工程、
を含む、方法に関する。

配列番号:01によって表されるアミノ酸配列からなる耐熱性ペプチドは、本発明の精神に含まれる。

一の実施形態において、前記ペプチドは、70℃に加温されても安定である。
本発明は、耐熱性抗体提示ファージを得る新規な方法を提供する。
図1Aは、抗体を示す。 図1Bは、抗体提示ファージを示す。 図2は、バイオパニング法を示す。 図3は、実施形態による耐熱性抗体提示ファージを選択的に得る方法を示す。 図4は、実施例によるファージミドベクターを得る方法を示す。 図5は、実施例2−2〜実施例2−30による実験結果のグラフを示す。
本発明の実施形態が、以下、説明される。
(用語の説明)
まず、本明細書において用いられる用語が説明される。
図1Aは、抗体を示す。広く知られているように、抗体1は「Y」文字の形状を有する。抗体1は2つのFab領域および1つのFc領域からなる。抗体1は、2本の重鎖2および2本の軽鎖3からなる。各重鎖2は、重鎖定常領域1(参照符号:22)、重鎖定常領域2(参照符号:23)、重鎖定常領域3(参照符号:24)、および重鎖可変領域21からなる。各軽鎖3は、軽鎖可変領域31および軽鎖定常領域32からなる。
各Fab領域は、1つの重鎖可変領域21、1つの重鎖定常領域1(参照符号:22)、1つの軽鎖可変領域31、および1つの軽鎖定常領域32からなる。軽鎖3はリンカー4を介して重鎖2に連結されている。重鎖2は先端に1つの重鎖可変領域21を有している。軽鎖3は先端に1つの軽鎖可変領域31を有している。抗体1には抗原が特異的に結合する。より詳細には、抗原は重鎖可変領域21および軽鎖可変領域31からなるFv領域に特異的に結合する。
抗体フラグメントの例は、Fab抗体フラグメント、F(ab’)抗体フラグメント、またはscFv抗体フラグメントである。
Fab抗体フラグメントは、1つのFab領域からなる。言い換えれば、Fab抗体フラグメントは、1つの軽鎖可変領域31、1つの重鎖可変領域21、1つの軽鎖定常領域32、1つの重鎖定常領域1(参照符号:22)、およびリンカー4からなる。軽鎖定常領域32は、リンカー4を介して重鎖定常領域1(参照番号:22)に連結している。
F(ab’)抗体フラグメントは、2つのFab領域からなる。上記の通り、各Fab領域は、1つの軽鎖可変領域31、1つの重鎖可変領域21、1つの軽鎖定常領域32、1つの重鎖定常領域1(参照符号:22)、およびリンカー4からなる。これらの2つのFab領域は、他のリンカー(図示せず)を介して互いに連結されている。好ましくは、一方の重鎖定常領域1(参照番号:22)が、他のリンカー(図示せず)を介して他方の重鎖定常領域1(参照番号:22)に連結している。
scFv抗体フラグメントは、軽鎖可変領域31、重鎖可変領域21、およびリンカーからなる。軽鎖可変領域31は、リンカー(図示せず)を介して重鎖可変領域21に連結している。
リンカーの例は5〜20のアミノ酸からなるペプチドである。より具体的には、リンカーの例は、GGGGSGGGGSGGGGS(配列番号:59)により表されるアミノ酸配列である。リンカーの他の例は、ジスルフィド結合(−硫黄原子(S)−硫黄原子(S)−)である。
(工程(a))
図3は、実施形態による耐熱性抗体提示ファージを選択的に得る方法を示す。
工程(a)では、まず、抗体提示ファージライブラリ水溶液が用意される。抗体提示ファージライブラリ水溶液は、複数種類の抗体提示ファージを含有する。
図1Bに示されるように、抗体提示ファージライブラリ水溶液に含まれる各抗体提示ファージは、抗体フラグメントをその表面に有している。各抗体提示ファージは、scFv抗体フラグメントをその表面に有することが望ましい。各scFv抗体フラグメントは、それぞれ複数の種類の重鎖可変領域21および複数の種類の軽鎖可変領域31の中からランダムに選択された1つの重鎖可変領域21および1つの軽鎖可変領域31からなる。
複数種類の抗体提示ファージは、互いに異なる抗体フラグメントを有している。
各抗体提示ファージは、ファージミドベクターを含有する。ファージミドベクターは、その表面に付加された抗体フラグメントをコードする遺伝子配列を有する。望ましくは、ファージミドベクターは、scFv抗体フラグメントの1つの重鎖可変領域21をコードするVH遺伝子およびscFv抗体フラグメントの1つの軽鎖可変領域31をコードするVL遺伝子を有する。
非特許文献3、非特許文献4、および非特許文献5は、このような抗体提示ファージライブラリ水溶液を調製する方法を開示している。非特許文献3、非特許文献4、および非特許文献5を読んだ当業者は、抗体提示ファージライブラリ水溶液を容易に調製し得るであろう。
[非特許文献3]Greg Winter, Andrew D. Griffiths, Robert E. Hawkins, and Hennie R. Hoogenboom(1994) Making Antibodies by Phage Display Technology, Annual Review of Immunology, Vol. 12,433−455
[非特許文献4]Takayuki Okamoto, Yohei Mukai, Yasuo Yoshioka, Hiroko Shibata, Maki Kawamura, Yoko Yamamoto, Shinsaku Nakagawa, Haruhiko Kamada, Takao Hayakawa, Tadanori Mayumi, Yasuo Tsutsumi (2004) Optimal construction of non−immune scFv phage display libraries from mouse bone marrow and spleen established to select specific scFvs efficiently binding to antigen, Biochemical and Biophysical Research Communications, Vol.323(2), 583−91
[非特許文献5]Phage Display: A Practical Approach (The Practical Approach Series), Oxford University Press, USA (2004/5/6), ISBN 978−0199638734
図3に示されるように、抗体提示ファージライブラリ水溶液は、ポリペプチドを表面に具備する担体上に供給される。ポリペプチドは、抗原として機能する。抗体提示ファージの表面に付加された抗体フラグメントは、ポリペプチドに特異的に結合する。このようにして、複数種類の抗体提示ファージの少なくとも一部はポリペプチドに特異的に結合する。ポリペプチドに結合しなかった抗体提示ファージは、洗浄により除去されることが望ましい。洗浄のために、緩衝液が用いられることが望ましい。緩衝液の例は、0.1重量%の濃度でTween20を含有するPBS緩衝液である。
ポリペプチドは、担体に固定化されている。共有結合を介してポリペプチドは担体に固定化されていることが望ましい。例えば、ポリペプチドの末端にシステイン残基が導入される。一方、担体には、金膜が形成される。システイン残基に含まれる硫黄原子が金膜と反応して、ポリペプチドおよび金膜の間にスルフィド結合が形成される。このようにして、ポリペプチドは担体に固定化され得る。他の固定化方法も、用いられ得る。
担体の例は、基板、マイクロビーズ、および不織布である。基板の材料の例は、プラスチックである。ポリプロピレンが望ましい。より具体的には、担体の例は、ELISAプレートである。
(工程(b))
次に、担体が、37℃以上70℃以下の温度に加熱される。加熱温度が高い場合には、加熱時間が短い。一方、加熱温度が低い場合には、加熱時間は長い。より具体的には、担体は、60℃でおよそ30分間、加熱されることが望ましい。
本発明者らは、配列番号:01によって表されるアミノ酸配列からなるペプチドが、耐熱性を有することを見出した。配列番号:01によって表されるアミノ酸配列からなるペプチドは、70℃に加熱されても、変性しない。後述される実施例2を参照せよ。
一部の抗体提示ファージが、加熱によって担体から解離される。担体から解離した抗体提示ファージは、耐熱性抗体提示ファージではない。緩衝液に担体が接触されながら、担体が加熱されることが望ましい。なぜなら、担体から解離した抗体提示ファージが、容易に緩衝液内に分散または溶解するからである。
一方、他の抗体提示ファージが、加熱によって担体から解離しない。言い換えれば、他の抗体提示ファージは、加熱されても担体に残される。担体に残された他の抗体提示ファージは、耐熱性抗体提示ファージである。このようにして、耐熱性抗体提示ファージが選択的に担体に残される。
工程(b)の最後には、担体を洗浄することが望ましい。洗浄のために、緩衝液が用いられることが望ましい。緩衝液の例は、0.1重量%の濃度でTween20を含有するPBS緩衝液である。
(工程(c))
最後に、担体に選択的に残された耐熱性抗体提示ファージが回収される。担体から耐熱性抗体提示ファージを回収するために、蛋白質を変性させる薬剤が用いられる。薬剤の例は、塩酸のような酸性水溶液または尿素水溶液である。薬剤の好ましい例は、0.1M グリシン塩酸緩衝液(pH:2.2)である。
担体は、0.1M グリシン塩酸緩衝液(pH:2.2)に10分から30分間、浸漬され、担体から耐熱性抗体提示ファージが解離する。このようにして、耐熱性抗体提示ファージを含有するグリシン塩酸緩衝液が得られる。
その後、グリシン塩酸緩衝液のpHは、アルカリ性水溶液を用いて調整される。このpHは、7に調整されることが望ましい。アルカリ性水溶液の例は、1M トリス塩酸緩衝液(pH:9.1)である。
図2に示されるように、回収された耐熱性抗体提示ファージは、増幅されることが望ましい。
最後に、回収された耐熱性抗体提示ファージを用いて、耐熱性抗体フラグメントが以下のように得られる。
まず、回収された耐熱性抗体提示ファージに細胞(望ましくは大腸菌TG−1)を接触させ、感染細胞を生成する。感染により、大腸菌TG−1は、抗生物質耐性を獲得する。
次に、この感染細胞が培養されて、耐熱性抗体フラグメントを得る。
以下の実施例は、本発明をより詳細に説明する。
(実施例1)
表1、表2、表3、および表4は、実施例1において用いられたプライマーを示す。
表1は、軽鎖可変領域を増幅させるためのフォワードミックスプライマーA(プライマー1〜21、配列番号:02〜配列番号:22)を示す。
表2は、重鎖可変領域を増幅させるためのフォワードミックスプライマーB(プライマー22〜44、配列番号:23〜配列番号:45)を示す。
表3は、軽鎖可変領域を増幅させるためのリバースミックスプライマーC(プライマー45〜49、配列番号:46〜配列番号:50)を示す。
表4は、重鎖可変領域を増幅させるためのリバースミックスプライマーD(プライマー50〜55、配列番号:51〜配列番号:56)を示す。
Figure 2013171810
Figure 2013171810
Figure 2013171810
Figure 2013171810
工程(a−1)ヒト心筋由来トロポニンIを免疫したマウス脾臓からの全RNAの調製
ヒト心筋由来のトロポニンIに含有されるポリペプチド(配列番号:01、シグマアルドリッチジャパン株式会社から入手、CAPAPIRRRSSNYRAYATEPHAKKKSKISASRKLQLKTLLLQIAK)が、sulfo−SMCCクロスリンカー(サーボフィッシャーサイエンティフィック株式会社より購入)を用いて、ヒト血清アルブミン(シグマ・アルドリッチから購入)に連結された。
より具体的には、sulfo−SMCCクロスリンカー(0.5mg)が、100マイクロリットルのリン酸緩衝生理食塩水に溶解され、第1水溶液を得た。この第1水溶液は、50℃の温度下で10分、放置された。
ヒト血清アルブミン(10mg)が1ミリリットルのリン酸緩衝生理食塩水に溶解され、第2水溶液を得た。
第1水溶液は第2水溶液と混合され、混合物を得た。混合物は、30分間、静置された。このようにして、sulfo−SMCCクロスリンカーがヒト血清アルブミンに結合された。
混合物は、カラム(GEヘルスケアより商品名:PD10として入手)に通され、未反応のsulfo−SMCCクロスリンカーを除去した。
上記ポリペプチド(配列番号:01、1.5mg)がジメチルスルホキシド(以下、DMSOという)により溶解され、DMSO溶液を得た。2mg/mlの濃度を有する混合物(1mL)にDMSO溶液(100マイクロリットル)が添加された。その後、一晩、混合物は放置され、sulfo−SMCCクロスリンカーがアミノ酸(配列番号:01)に結合された。
このようにして、トロポニンIに含まれるポリペプチド(配列番号:01)が修飾されたヒト血清アルブミンが得られた。以下、このヒト血清アルブミンは「トロポニン修飾HSA」という。
完全フロイトアジュバント(和光純薬工業株式会社から購入)およびトロポニン修飾HSAが混合され、混合物を得た。この混合物がBALB/cマウスに注入した。BALB/cマウスとは、アルビノマウスの一種である。
2週間後、リン酸緩衝生理食塩水(以下、「PBS」という)およびトロポニン修飾HSAの混合物がBALB/cマウスに注入された。これをもう一度繰り返した。このようにして、1ヶ月かけて、BALB/cマウスはトロポニン修飾HSAにより免疫された。言い換えれば、上記混合物をBALB/Cマウスに与えることによって、BALB/cマウスの体内において、トロポニン修飾HSAに対する抗体が産生された。
免疫されたBALB/cマウスの脾臓が摘出された。1mLのTRIzol(インビトロジェン株式会社より入手)が、脾臓に添加され、充分に攪拌された。
次に、0.2mLの体積を有するクロロホルム液(純度:99.9%)が脾臓を含む混合液に添加され、そして再度、充分に攪拌された
混合液は、117600m/sの重力加速度で、4℃の温度下、15分間、遠心分離に供された。上清(500マイクロリットル)が取得された。得られた上清にイソプロパノール(500マイクロリットル)を添加し、室温下で10分間、静置された。
上清は、再度、上記の条件と同一の条件を有する遠心分離に供され、沈殿物を得た。得られた沈殿物に75%エタノール水溶液(1mL)を添加し、エタノール溶液を得た。
エタノール溶液は、73500m/sの重力加速度で、5分間、遠心分離に供された。沈殿物は、乾燥された。このようにして、全マウスRNAが得られた。
工程(a−2)マウス脾臓由来全RNAからのmRNAの抽出
OligotexTM−dT30<Super>mRNA Purification kit (タカラバイオ株式会社から購入)を用いて、工程(a−1)において得られた全マウスRNAからmRNAが抽出された。
RNaseフリーの水(100マイクロリットル)が1本のマイクロチューブに注入された。このマイクロチューブは、ブロックインキュベーター(アステック株式会社より入手)にセットされ、1時間、70℃に加温された。
全マウスRNAが、RNaseフリーの水(100マイクロリットル)に溶解された。
キットに含まれている2×バインディング緩衝液(100マイクロリットル)およびキットに含まれているオリゴテックス(10マイクロリットル)がRNaseフリーの水(100マイクロリットル)に混合された。その後、混合物は70℃の温度下で3分間、静置された。さらに室温で10分間、混合物は静置された。
混合物は、147000m/sの重力加速度で、5分間、遠心分離に供された。上清が除去され、キットに含まれている洗浄バッファー(350マイクロリットル)に沈殿物が懸濁された。懸濁液は、キットに含まれているカラムに供給された。カラムは、147000m/sの重力加速度で、30秒間、遠心分離に供された。
カラムを洗浄するために、カラムに洗浄バッファー(350マイクロリットル)が供給された。再度、カラムは、147000m/sの重力加速度で、30秒間、遠心分離に供された。
カラムの底部にサンプル採取用のマイクロチューブが装着された。
カラムに含有されているmRNAを抽出するために、マイクロチューブに含有されているRNaseフリーの水(20マイクロリットル)がカラムに供給された。その後、カラムは、147000m/sの重力加速度で、3分間、遠心分離に供された。再度、RNaseフリーの水(20マイクロリットル)がカラムに供給され、カラムは、147000m/sの重力加速度で、3分間、遠心分離に供された。
このようにして、mRNAを含有する抽出液がマイクロチューブ内に得られた。
工程(a−3) mRNAからcDNAへの逆転写
得られた抽出液に含まれるmRNAが、逆転写酵素(商品名:PrimeScript、タカラバイオ株式会社から購入)を用いて逆転写され、cDNAを含む溶液を得た。
工程(a−4−1) cDNAを用いた、軽鎖可変領域をコードする遺伝子の増幅
溶液に含まれるcDNA、フォワードミックスプライマーA(配列番号:02〜22)、およびリバースミックスプライマーC(配列番号:46〜50)を用いるPCR法により、軽鎖可変領域をコードする遺伝子断片(以下、「VL遺伝子断片」という)が増幅された。このPCR法において用いられるポリメラーゼは、商品名:TaKaRa Ex Taq Hot start Versionとしてタカラバイオ株式会社から購入された。
このPCR法のプロトコールは表5の通り。
Figure 2013171810
サイクル回数:35回。
最後に溶液は68℃で4分間放置された。このようにして、PCR溶液が得られた。このPCR溶液は、増幅されたVL遺伝子断片を含有していた。
増幅されたVL遺伝子断片の確認および精製のために、得られたPCR溶液は、2重量%の濃度を有するアガロースを含有するゲルを用いた電気泳動に供された。
工程(a−4−2) cDNAを用いた、重鎖可変領域をコードする遺伝子の増幅
溶液に含まれるcDNA、フォワードミックスプライマーB(配列番号:23〜45)、およびリバースミックスプライマーD(配列番号:51〜56)を用いるPCR法により、重鎖可変領域をコードする遺伝子断片(以下、「VH遺伝子断片」という)が増幅された。このPCR法において用いられるポリメラーゼは、商品名:TaKaRa Ex Taq Hot start Versionとしてタカラバイオ株式会社から購入された。
このPCR法のプロトコールは、VL遺伝子断片のプロトコールと同一であった。
最後に溶液は68℃で4分間放置された。このようにして、PCR溶液が得られた。このPCR溶液は、増幅されたVH遺伝子断片を含有していた。
VH遺伝子断片の生成の確認およびVH遺伝子断片の精製のために、得られたPCR溶液は、2重量%の濃度を有するアガロースを含有するゲルを用いた電気泳動に供された。
工程(a−5) VL遺伝子断片およびVH遺伝子断片の連結
精製されたVH遺伝子断片は、精製されたVL遺伝子断片にオーバーラップエクステンションPCR法によって連結された。このようにして、scFv抗体フラグメントをコードする遺伝子断片(以下、「scFv遺伝子断片」という)を得た。得られた遺伝子断片の5末端および3末端は、それぞれ制限酵素サイトSfiIおよびNotIによって修飾されていた。
工程(a−6) scFv遺伝子のベクターへの導入
scFv遺伝子断片は、アンピシリン耐性遺伝子を有するファージミドベクターにライゲーションされた。
具体的には、非特許文献6に開示されているファージミドベクターと同等のべクターが使用された。scFv抗体フラグメントは、g3pファージコート蛋白質の融合蛋白質として発現された。
[非特許文献6]Huan Qi, Haiqin Lu, Hua−Ji Qiu, Valery Petrenko,Aihua Liu (2012) Phagemid Vectors for Phage Display: Properties, Characteristics and Construction, Journal of Molecular Biology ,Vol.417(3), 129-143
最初に、scFv遺伝子断片は、制限酵素SfiIおよびNotI(いずれもタカラバイオ株式会社より購入)によって処理された。scFv遺伝子断片は、電気泳動法により精製され、scFv遺伝子断片を含有する水溶液を得た。
ファージミドベクターもまた、制限酵素SfiIおよびNotI(いずれもタカラバイオ株式会社より購入)によって処理された。ファージミドベクターも、電気泳動により精製され、ファージミドベクターを含有する水溶液を得た。
これら2つの水溶液が混合され、混合液を得た。
混合液に、酵素(東洋紡株式会社より商品名:Ligation High ver.2として購入)が添加され、そして混合液は16℃の温度下で2時間放置された。このようにして、scFv遺伝子断片がファージミドベクターにライゲーションされた。
エレクトロポレーション法により、このライゲーション産物で、大腸菌TG−1が形質転換された。その後、大腸菌は2TYAGプレート培地上で一晩培養された。
2TYAGプレート培地は、表6に示される試薬を含有する寒天培地であった。
Figure 2013171810
工程(a−7) 抗体提示ファージライブラリ水溶液の調製
2TYAGプレート培地に形成された全てのコロニーが回収された。回収されたコロニーは、15重量%の濃度でグリセロールを含有するPBS溶液に懸濁された。
回収された大腸菌溶液の一部が、30mLの容量を有する2TYAG液体培地に添加された。その後、大腸菌は、対数増殖期(log−phase)に到達するまで培養された。M13K07 ヘルパーファージ(Invitrogenより入手)が大腸菌溶液に添加され、感染多重度(MOI)が10とされた。大腸菌溶液は、37℃で30分間、静置された。さらに、大腸菌溶液は、37℃で30分振とう培養された。遠心分離により上清が除去された。その後、大腸菌を含有する沈殿物は、再度、2TYAK液体培地に懸濁された。大腸菌は30℃の温度下で一晩、培養された。
2TYAK液体培地は、表7に示される試薬を含んでいた。
Figure 2013171810
次に、培養液が遠心分離され、上清を回収した。2.5Mの濃度を有するNaCl水溶液および20%(重量/体積)の濃度を有するポリエチレングリコール6000の水溶液がこの上清に添加された。混合物がよく攪拌された後、混合物は4℃で6時間、静置された。
その後、混合物が遠心分離され、沈殿物を回収した。この沈殿物は、約1mLの容積を有するPBS水溶液に溶解された。さらに、PBS水溶液が遠心分離され、大腸菌の沈殿物を除去した。このようにして、上清が抗体提示ファージライブラリ水溶液として得られた。
工程(a−8) 担体への抗体提示ファージライブラリの結合
ELISAプレート(Maleimide Activated 96−well plates、Termoscoenmtific社)を用いて、ポリペプチドが固定化された担体が以下のように用意された。
配列番号:01によって表されるアミノ酸配列からなるポリペプチドが、ELISAプレートのプロトコールに従って、以下のように、ELISAプレート上に固定された。
まず、ELISAプレートは、Tween20(0.05%)およびNaCl(150mM)を含有する0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH:7.2)で3回洗浄された。
ポリペプチド(配列番号:01、粉末、1ミリグラム)が、DMSO(100マイクロリットル)に溶解され、ポリペプチド溶液を得た。
次に、以下の表8に示される試薬を含有するポリペプチド水溶液が調製された。
Figure 2013171810
ポリペプチド水溶液は、ELISAプレートに供給され、そして4℃の温度下で一晩、静置された。このようにして、ポリペプチド固定化担体が調製された。
ELISAプレートは、Tween20(0.05%)およびNaCl(150mM)を含有する0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH:7.2)で3回洗浄された。
次に、以下の表9に示される試薬を含有するシステイン水溶液が調製された。
Figure 2013171810
ELISAプレートにシステイン水溶液が供給された。その後、システイン水溶液は室温下で1時間放置された。
ELISAプレートは、Tween20(0.05%)およびNaCl(150mM)を含有する0.1Mリン酸ナトリウム緩衝液(pH:7.2)で3回洗浄された。
次に、5%(重量/容積)の濃度を有するウシ血清アルブミン(以下、「BSA」という、15マイクロリットル)および工程(a−7)において調製された抗体提示ファージライブラリ水溶液(75マイクロリットル)が、PBS水溶液に混合された。PBS溶液中では、抗体提示ファージの個数は、1×10^11 CFUであった。混合されたPBS水溶液(150マイクロリットル)が、ELISAプレート上に添加された。
ELISAプレートは室温で1時間、震とうされた。その後、ELISAプレートは、0.1重量%の濃度でTween20を含有するPBS水溶液(以下、「PBST水溶液」という)で10回、洗浄された。
洗浄後、ELISAプレートにPBST水溶液(200マイクロリットル)が添加された。その後、ELISAプレートプレートは密閉された。
工程(b):加熱処理
工程(a−8)において得られたELISAプレートが、60℃の温度下で30分間放置された。
工程(c):耐熱性抗体提示ファージの回収
工程(b)の後、ELISAプレートからPBST水溶液が除去された。ELISAプレートは、60℃の温度を有するPBST水溶液で5回、洗浄された。
次に、ELISAプレートに0.1Mの濃度を有するグリシン塩酸緩衝液(pH:2.2、200マイクロリットル)が添加された。その後、ELISAプレートは、室温で10分間、放置された。これにより、耐熱性抗体提示ファージがELISAプレートから解離した。グリシン塩酸緩衝液は、耐熱性抗体提示ファージを含有していた。
その後、グリシン塩酸緩衝液がELISAプレートから回収され、すぐに1Mの濃度を有するトリス塩酸緩衝液(pH:9.1)がグリシン塩酸緩衝液に添加され、グリシン塩酸緩衝液のpHをおよそ7.0に調整した。このようにして、耐熱性抗体提示ファージが得られた。
耐熱性抗体提示ファージを増殖させるために、得られた耐熱性抗体提示ファージは、大腸菌TG−1培養液(30mL)によく混合された。この培養液中では、大腸菌TG−1は対数増殖期(log−phase)に到達するまで予め培養されていた。
混合後、この培養液は、37℃の温度下で30分静置された。その後、培養液は遠心分離され、上清を除去した。
大腸菌TG−1を含有する沈殿物は、2×TY液体培地(1mL)を用いて再度、懸濁された。このようにして、耐熱性抗体提示ファージによって感染された大腸菌TG−1が調製された。
この大腸菌TG−1は、2TYAGプレート培地上で一晩、培養された。
次に、工程(a−7)が繰り返された。具体的には、まず、2TYAGプレート培地上に形成された全てのコロニーが回収された。最後に、抗体提示ファージライブラリ水溶液が再度、得られた。
得られた抗体提示ファージライブラリ水溶液を用いて、バイオパニング法が実施された。具体的には、ヒト心筋由来のトロポニンI(フナコシより購入)の水溶液(150マイクロリットル)が用意された。この水溶液の濃度は、予め、0.1M NaHCO(pH:8.3)水溶液を用いて、6.7μg/mlに調整されていた。
ヒト心筋由来のトロポニンIの水溶液(150マイクロリットル)は、ELISAプレート(Costarより購入)に添加された。その後、このELISAプレートは、4℃の温度下で一晩放置された。
ELISAプレートは、PBS水溶液で洗浄された後、0.5%(重量/容量)の濃度でBSAを含有するPBS水溶液(400マイクロリットル)がELISAプレートに添加された。その後、ELISAプレートは、室温で2時間放置された。このようにしてトロポニンIが固定化されたELISAプレートが調製された。
次に、5%(重量/容積)の濃度を有するBSA(30マイクロリットル)が抗体提示ファージライブラリ水溶液(120マイクロリットル)に混合された。水溶液中では、抗体提示ファージの個数は、0.2×10^10 CFUであった。混合後、水溶液(150マイクロリットル)が、ELISAプレート上に添加された。
ELISAプレートは室温で1時間、震とうされた後、ELISAプレートは、0.1重量%の濃度を有するPBST水溶液で10回、洗浄された。
その後、PBST水溶液がELISAプレートから回収され、すぐに1Mの濃度を有するトリス塩酸緩衝液(pH:9.1)がPBST水溶液に添加され、PBST水溶液のpHをおよそ7.0に調整した。このようにして、耐熱性抗体提示ファージが得られた。
耐熱性抗体提示ファージを増殖させるために、得られた耐熱性抗体提示ファージは、大腸菌TG−1培養液(30mL)に混合された。この培養液中では、大腸菌TG−1は対数増殖期(log−phase)に到達するまで予め培養されていた。
混合後、この培養液は、37℃の温度下で30分静置された。その後、培養液は遠心分離され、上清を除去した。
大腸菌TG−1を含有する沈殿物は、2×TY液体培地(1mL)を用いて再度、懸濁された。このようにして、耐熱性抗体提示ファージによって感染された大腸菌TG−1が調製された。
この大腸菌TG−1は、2TYAGプレート培地上で一晩、培養された。このようにして、バイオパニング法が実施された。
2TYAGプレート培地上に形成されたコロニーが回収された。大腸菌TG−1に含有される耐熱性抗体遺伝子の配列が解析された。その結果、回収された耐熱性抗体遺伝子の軽鎖可変領域塩基配列、リンカー塩基配列、および重鎖可変領域塩基配列は、それぞれ、配列番号:60、配列番号:61、および配列番号:62と特定された。
軽鎖可変領域塩基配列(配列番号:60)
GACGTGGTGATCACTCAGTCTCCACTCACTTTGTCGGTTACCATTGGACAACCAGCCTCCATCTCTTGCAAGTCAAGTCAGAGCCTCTTAGATAGTGATGGAAAGACATATTTGAATTGGTTGTTACAGAGGCCAGGCCAGTCTCCAAAGCGCCTAATCTATCTGGTGTCTAAACTGGACTCTGGAGTCCCTGACAGGTTCACTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTGAAAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATTTGGGAGTTTATTATTGCTGGCAAGGTACACATTTTCCTCAGACGTTCGGTGGAGGCACCAAGCTGGAAATAAAACGG

リンカー塩基配列(配列番号:61)
GGTGGTGGTGGTAGCGGCGGCGGCGGCTCTGGTGGTGGTGGATCC

重鎖可変領域塩基配列(配列番号:62)
GAGGTTCAGCTTCAGCAGTCTGGGGCGGAGCTTGCGAGGTCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACTACTATATGAACTGGATGAGGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGATGGATTGATCCTGCGAATGGTGATACTGCATATGCCCCGAGGTTCCAGGTCAAGGCCACTATGACTGCAGACAAATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGAAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTAATGCTGATCTCCCTATGGACCAGTGGGGTCAAGGAACCACGGTCACCGTTTCCTCG
軽鎖可変領域塩基配列(配列番号:60)、リンカー塩基配列(配列番号:61)、および重鎖可変領域塩基配列(配列番号:62)を用いて細胞が形質転換され、軽鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号:63)、リンカーアミノ酸配列(配列番号:64)、および重鎖可変領域アミノ酸配列(配列番号:65)からなるscFv抗体フラグメントを得る。
(実施例2−1、加熱処理なし)
工程(a−8)に従って、ELISAプレートが用意された。このELISAプレートに、A2抗体提示ファージを含有する水溶液が供給され、A2抗体提示ファージがELISAプレート上のポリペプチド(配列番号:01)に固定された。A2抗体提示ファージを含有する水溶液を調製する方法は、後述される。A2抗体提示ファージは、図1Bに示されるように、A2遺伝子配列を有するプラスミドベクターを含有する。A2抗体提示ファージは、図1Bに示されるように、外周面にA2抗体フラグメントを具備する。
ELISAプレートは室温で1時間、震とうされた。その後、ELISAプレートは、0.1重量%の濃度を有するPBST水溶液で10回、洗浄された。
5%(重量/容積)の濃度を有するBSA(500マイクロリットル)およびHRP修飾抗M13抗体(GEヘルスケア社より入手、1マイクロリットル)が、PBS水溶液に混合された。混合されたPBS水溶液の一部(150マイクロリットル)が、ELISAプレート上に添加された。
ELISAプレートは室温で1時間、震とうされた。その後、ELISAプレートは、0.1重量%の濃度を有するPBSTで5回、洗浄された。
3,3’,5,5’−テトラメチルベンジジン(以下、「TMB」という、商品名:1−Step Ultra TMB − ELISA Substrate、Thermo Scientific株式会社より入手)がELISAプレートに添加された。5分後、硫酸が添加された。450ナノメートルの波長でのELISAプレートの吸光度が、マイクロプレートリーダー(装置名:インフィニットM200 PRO、入手先:テカンジャパン株式会社)を用いて、3回測定された。測定された吸光度は表10に示される。より詳細には、1回目、2回目、および3回目の測定により得られた吸光度が、それぞれ、表10のN=1、N=2、およびN=3の欄に示される。
(実施例2−2、25℃かつ5分)
工程(a−8)に従って、ELISAプレートが用意された。このELISAプレートに、A2抗体提示ファージを含有する水溶液が供給され、A2抗体提示ファージがELISAプレート上のポリペプチド(配列番号:01)に固定された。
ELISAプレートは室温で1時間、震とうされた。その後、ELISAプレートは、0.1重量%の濃度を有するPBST水溶液で10回、洗浄された。
洗浄後、PBST水溶液(200マイクロリットル)がELISAプレートに添加された。その後、ELISAプレートプレートは密閉された。
その後、ELISAプレートが、25℃の温度下で5分間放置された。
ELISAプレートからPBST水溶液が除去された。ELISAプレートは、25℃の温度を有するPBST水溶液で5回、洗浄された。
その後、ELISAプレートに、5%(重量/容積)の濃度を有するBSA(500マイクロリットル)およびHRP修飾抗M13抗体(GEヘルスケア社より入手、1マイクロリットル)が、PBS水溶液に混合された。混合されたPBS水溶液の一部(150マイクロリットル)が、ELISAプレート上に添加された。
ELISAプレートは室温で45分間、震とうされた。その後、ELISAプレートは、0.1重量%の濃度を有するPBST水溶液で5回、洗浄された。
TMBがELISAプレートに添加された。5分後に硫酸が添加された。最後に、実施例2−1と同様に、ELISAプレートの吸光度が測定された。
(実施例2−3、25℃・10分)
ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが25℃の温度下で10分間放置されたこと以外は、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(実施例2−4、25℃・15分)
ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが25℃の温度下で15分間放置されたこと以外は、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(実施例2−5、25℃・20分)
ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが25℃の温度下で20分間放置されたこと以外は、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(実施例2−6、25℃・30分)
ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが25℃の温度下で30分間放置されたこと以外は、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(実施例2−7、25℃・60分)
ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが25℃の温度下で60分間放置されたこと以外は、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(実施例2−8、37℃・5分)
以下の(a)および(b)を除き、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(a) ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが37℃の温度下で5分間放置されたこと、および
(b) 25℃の温度を有するPBST水溶液を用いてELISAプレートを洗浄したことに代えて、37℃の温度を有するPBST水溶液を用いてELISAプレートを洗浄したこと。
(実施例2−9、37℃・10分)
得られたELISAプレートを37℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが37℃の温度下で10分間放置されたこと以外は、実施例2−8と同様の実験が行われた。
(実施例2−10、37℃・15分)
得られたELISAプレートを37℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが37℃の温度下で15分間放置されたこと以外は、実施例2−8と同様の実験が行われた。
(実施例2−11、37℃・20分)
得られたELISAプレートを37℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが37℃の温度下で20分間放置されたこと以外は、実施例2−8と同様の実験が行われた。
(実施例2−12、37℃・30分)
得られたELISAプレートを37℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが37℃の温度下で30分間放置されたこと以外は、実施例2−8と同様の実験が行われた。
(実施例2−13、37℃・60分)
得られたELISAプレートを37℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが37℃の温度下で60分間放置されたこと以外は、実施例2−8と同様の実験が行われた。
(実施例2−14、50℃・5分)
以下の(a)および(b)を除き、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(a) ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが50℃の温度下で5分間放置されたこと、および
(b) 25℃の温度を有するPBST水溶液を用いてELISAプレートを洗浄したことに代えて、50℃の温度を有するPBST水溶液を用いてELISAプレートを洗浄したこと。
(実施例2−15、50℃・10分)
得られたELISAプレートを50℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが50℃の温度下で10分間放置されたこと以外は、実施例2−14と同様の実験が行われた。
(実施例2−16、50℃・15分)
得られたELISAプレートを50℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが50℃の温度下で15分間放置されたこと以外は、実施例2−14と同様の実験が行われた。
(実施例2−17、50℃・20分)
得られたELISAプレートを50℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが50℃の温度下で20分間放置されたこと以外は、実施例2−14と同様の実験が行われた。
(実施例2−18、50℃・30分)
得られたELISAプレートを50℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが50℃の温度下で30分間放置されたこと以外は、実施例2−14と同様の実験が行われた。
(実施例2−19、50℃・60分)
得られたELISAプレートを50℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが50℃の温度下で60分間放置されたこと以外は、実施例2−14と同様の実験が行われた。
(実施例2−20、60℃・5分)
以下の(a)および(b)を除き、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(a) ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが60℃の温度下で5分間放置されたこと、および
(b) 25℃の温度を有するPBST水溶液を用いてELISAプレートを洗浄したことに代えて、60℃の温度を有するPBST水溶液を用いてELISAプレートを洗浄したこと。
(実施例2−21、60℃・10分)
得られたELISAプレートを60℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが60℃の温度下で10分間放置されたこと以外は、実施例2−20と同様の実験が行われた。
(実施例2−22、60℃・15分)
得られたELISAプレートを60℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが60℃の温度下で15分間放置されたこと以外は、実施例2−20と同様の実験が行われた。
(実施例2−23、60℃・20分)
得られたELISAプレートを60℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが60℃の温度下で20分間放置されたこと以外は、実施例2−20と同様の実験が行われた。
(実施例2−24、60℃・30分)
得られたELISAプレートを60℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが60℃の温度下で30分間放置されたこと以外は、実施例2−20と同様の実験が行われた。
(実施例2−25、60℃・60分)
得られたELISAプレートを60℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが60℃の温度下で60分間放置されたこと以外は、実施例2−20と同様の実験が行われた。
(実施例2−26、70℃・5分)
以下の(a)および(b)を除き、実施例2−2と同様の実験が行われた。
(a) ELISAプレートを25℃の温度下で5分間放置することに代えて、ELISAプレートが70℃の温度下で5分間放置されたこと、および
(b) 25℃の温度を有するPBST水溶液を用いてELISAプレートを洗浄したことに代えて、70℃の温度を有するPBST水溶液を用いてELISAプレートを洗浄したこと。
(実施例2−27、70℃・10分)
得られたELISAプレートを70℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが70℃の温度下で10分間放置されたこと以外は、実施例2−26と同様の実験が行われた。
(実施例2−28、70℃・15分)
得られたELISAプレートを70℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが70℃の温度下で15分間放置されたこと以外は、実施例2−26と同様の実験が行われた。
(実施例2−29、70℃・20分)
得られたELISAプレートを70℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが70℃の温度下で20分間放置されたこと以外は、実施例2−26と同様の実験が行われた。
(実施例2−30、70℃・30分)
得られたELISAプレートを70℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが70℃の温度下で30分間放置されたこと以外は、実施例2−26と同様の実験が行われた。
(実施例2−31、70℃・60分)
得られたELISAプレートを70℃の温度下で5分間放置することに代えて、得られたELISAプレートが70℃の温度下で60分間放置されたこと以外は、実施例2−26と同様の実験が行われた。
Figure 2013171810
Figure 2013171810
吸光度は、加熱した後における、配列番号:01により示されるアミノ酸配列からなるペプチドを表面に有するELISAプレート上に残存したA2抗体提示ファージの量に対応する。高い吸光度は、多くのA2抗体提示ファージが残存したことを意味する。逆に、低い吸光度は、少ないA2抗体提示ファージが残存したことを意味する。
以下の式(I)に基づいて表10からファージ結合比が算出された。
ファージ結合比(%)=各実施例の平均吸光度/実施例2−1による平均吸光度×100 (I)
図5は、実施例2−2〜実施例2−31において算出されたファージ結合比のグラフを示す。
図5から明らかなように、70℃以下かつ5分以下、60℃以下かつ10分以下、50℃以下かつ20分以下、または37℃以下かつ60分以下の条件下で、40%以上のファージ結合比が得られる。従って、配列番号:01に示されるアミノ酸配列からなるペプチドが、70℃以下かつ5分以下の加熱条件、望ましくは60℃以下かつ10分以下の加熱条件、より望ましくは50℃以下かつ20分以下の加熱条件、最も望ましくは37℃以下かつ60分以下の加熱条件で実施されるバイオパニング法に好適に用いられ得る。加熱温度の下限は25℃であることが望ましい。
(A2抗体提示ファージを含有する水溶液の調製)
上述のように、A2抗体提示ファージは、A2遺伝子配列を有するプラスミドベクターを含有する。A2抗体提示ファージは、その表面にA2抗体フラグメント(scFv抗体フラグメントの1種)を具備する。
A2遺伝子配列が以下に記述される。
GACGTGGTGCTCACTCAGTCTCCACTCACTTTGTCGGTTACCATTGGACAACCAGCCTCCATCTCTTGCAAGTCAAGTCAGAGCCTCTTAGATAGTGATGGAAAGACATATTTGAATTGGTTGTTACAGAGGCCAGGCCAGTCTCCAAAGCGCCTAATCTATCTGGTGTCTAAACTGGACTCTGGAGTCCCTGACAGGTTCACTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTGAAAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATTTGGGAGTTTATTATTGCTGGCAAGGTACACATTTTCCTCTCACGTTCGGTGCTGGGACAAAGTTGGAAATTAAACGGGGTGGTGGTGGTAGCGGCGGCGGCGGCTCTGGTGGTGGTGGATCCCAGCTGCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCAGAGCTTGTGAGGTCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACTACTATATGAACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGATGGATTGATCCTGCGAATGGTGATACTGCATATGCCCCGAGGTTCCAGGTCAAGGCCACTATGACTGCAGACAAATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTAATGCTGATCTCCCTATGGACCAGTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA(配列番号:66)
実施例1の工程(a−1)〜工程(a−4)に従って、精製されたVH遺伝子断片および精製されたVL遺伝子断片が得られた。
精製されたVH遺伝子断片は、精製されたVL遺伝子断片にオーバーラップエクステンションPCR法によって連結された。このようにして、scFv抗体フラグメントをコードする遺伝子断片(以下、「scFv遺伝子断片」という)を得た。得られた遺伝子断片の5末端および3末端は、それぞれ制限酵素サイトNcoIおよびNotIによって修飾されていた。
scFv遺伝子断片は、タンパク質発現用ベクター(商品名:pET22b(+)、タカラバイオ株式会社より購入)にライゲーションされた。ライゲーションの詳細は以下に記述される。
最初に、scFv遺伝子断片は、制限酵素NcoIおよびNotI(いずれもタカラバイオ株式会社より購入)によって処理された。scFv遺伝子断片は、電気泳動法により精製され、scFv遺伝子断片を含有する水溶液を得た。
タンパク質発現用ベクターもまた、制限酵素NcoIおよびNotI(いずれもタカラバイオ株式会社より購入)によって処理された。タンパク質発現用ベクターも、電気泳動により精製され、タンパク質発現用ベクターを含有する水溶液を得た。
これら2つの水溶液が混合され、混合液を得た。
混合液に、酵素(東洋紡株式会社より商品名:Ligation High ver.2として購入)が添加され、そして混合液は16℃の温度下で2時間放置された。このようにして、scFv遺伝子断片がタンパク質発現用ベクターにライゲーションされた。
このようにしてscFv遺伝子断片がライゲーションされたタンパク質発現用ベクターを用いて、大腸菌(商品名:DH5αコンピテントセル、タカラバイオ株式会社より入手)が形質転換された。
その後、大腸菌は、100μg/mLの濃度を有するアンピシリンを含有するLBプレート培地上で16時間、インキュベートされた。インキュベートの後、LBプレート培地上に形成されたシングルコロニーがピックアップされた。シングルコロニーは、100μg/mLの濃度を有するアンピシリンを含有するLB液体培地(5mL)に供給され、そして16時間インキュベートされた。
このLB液体培地からタンパク質発現ベクターpET22b(+)が、キット(株式会社キアゲンより商品名:QIAprep spin miniprep kitとして入手)を用いて抽出された。
抽出されたタンパク質発現ベクターpET22b(+)に含有されるA2抗体遺伝子の軽鎖可変領域塩基配列、リンカー塩基配列、および重鎖可変領域塩基配列は、それぞれ、配列番号:67、配列番号:68、および配列番号:69と特定された。

軽鎖可変領域塩基配列(配列番号:67)
GACGTGGTGCTCACTCAGTCTCCACTCACTTTGTCGGTTACCATTGGACAACCAGCCTCCATCTCTTGCAAGTCAAGTCAGAGCCTCTTAGATAGTGATGGAAAGACATATTTGAATTGGTTGTTACAGAGGCCAGGCCAGTCTCCAAAGCGCCTAATCTATCTGGTGTCTAAACTGGACTCTGGAGTCCCTGACAGGTTCACTGGCAGTGGATCAGGGACAGATTTCACACTGAAAATCAGCAGAGTGGAGGCTGAGGATTTGGGAGTTTATTATTGCTGGCAAGGTACACATTTTCCTCTCACGTTCGGTGCTGGGACAAAGTTGGAAATTAAACGG

リンカー塩基配列(配列番号:68)
GGTGGTGGTGGTAGCGGCGGCGGCGGCTCTGGTGGTGGTGGATCC

重鎖可変領域塩基配列(配列番号:69)
CAGCTGCAGCTGCAGCAGTCTGGGGCAGAGCTTGTGAGGTCAGGGGCCTCAGTCAAGTTGTCCTGCACAGCTTCTGGCTTCAACATTAAAGACTACTATATGAACTGGGTGAAGCAGAGGCCTGAACAGGGCCTGGAGTGGATTGGATGGATTGATCCTGCGAATGGTGATACTGCATATGCCCCGAGGTTCCAGGTCAAGGCCACTATGACTGCAGACAAATCCTCCAACACAGCCTACCTGCAGCTCAGCAGCCTGACATCTGAGGACACTGCCGTCTATTACTGTAATGCTGATCTCCCTATGGACCAGTGGGGTCAAGGAACCTCAGTCACCGTCTCCTCA
次に、抽出されたタンパク質発現ベクターpET22b(+)、フォワードプライマー56(配列番号:57)、およびリバースプライマー57(配列番号:58)を用いたPCR法により、scFv抗体フラグメントをコードする遺伝子断片が増幅された。このPCR法において用いられるポリメラーゼは、商品名:TaKaRa Ex Taq Hot start Versionとしてタカラバイオ株式会社から購入された。
Figure 2013171810
このPCR法のプロトコールは表12に記述される。
Figure 2013171810
サイクル回数:30回。
このようにして、scFv抗体フラグメントをコードする遺伝子断片を得た。以下、この遺伝子断片を「scFv遺伝子断片」という。scfv遺伝子断片の5’末端および3’末端は、それぞれ、制限酵素サイトSfiIおよびNotIによって修飾されていた。
scFv遺伝子断片は、アンピシリン耐性遺伝子を有するファージミドベクターにライゲーションされた。
具体的には、非特許文献6に開示されているファージミドベクターと同等のべクターが使用された。scFv抗体フラグメントは、g3pファージコート蛋白質の融合蛋白質として発現された。
最初に、scFv遺伝子断片は、制限酵素SfiIおよびNotI(いずれもタカラバイオ株式会社より購入)によって処理された。scFv遺伝子断片は、電気泳動法により精製され、scFv遺伝子断片を含有する水溶液を得た。
ファージミドベクターもまた、制限酵素SfiIおよびNot(いずれもタカラバイオ株式会社より購入)によって処理された。ファージミドベクターも、電気泳動により精製され、ファージミドベクターを含有する水溶液を得た。
これら2つの水溶液が混合され、混合液を得た。
混合液に、酵素(東洋紡株式会社より商品名:Ligation High ver.2として購入)が添加され、そして混合液は16℃の温度下で2時間放置された。このようにして、scFv遺伝子断片がファージミドベクターにライゲーションされた。
エレクトロポレーション法により、このライゲーション産物で大腸菌TG−1が形質転換された。その後、大腸菌は2TYAGプレート培地(表6を参照せよ)上で一晩培養された。
2TYAGプレート培地に形成されたシングルコロニーがピックアップされた。
シングルコロニーは、30mLの容量を有する2TYAK液体培地(表7を参照せよ)に添加された。その後、大腸菌は、対数増殖期(log−phase)に到達するまで培養された。M13K07 ヘルパーファージ(Invitrogenより入手)が大腸菌溶液に添加され、感染多重度(MOI)が10とされた。大腸菌溶液は、37℃で30分間、静置された。さらに、大腸菌溶液は、37℃で30分振とう培養された。遠心分離により上清が除去された。その後、大腸菌を含有する沈殿物は、再度、2TYAK液体培地に懸濁された。大腸菌は30℃の温度下で一晩、培養された。
次に、培養液が遠心分離され、上清を回収した。2.5Mの濃度を有するNaCl水溶液および20%(重量/体積)の濃度を有するポリエチレングリコール6000の水溶液がこの上清に添加された。混合物がよく攪拌された後、混合物は4℃で6時間、静置された。
その後、混合物が遠心分離され、沈殿物を回収した。この沈殿物は、約1mLの容積を有するPBS水溶液に溶解された。さらに、PBS水溶液が遠心分離され、大腸菌の沈殿物を除去した。このようにして、上清が得られた。この上清は、A2遺伝子配列を含有する抗体提示ファージを含有する水溶液であった。
本発明の耐熱性抗体提示ファージを得る方法は、医薬分野及び臨床検査薬分野における抗体開発のために有用である。

Claims (8)

  1. 耐熱性抗体提示ファージを得る方法であって、以下の工程:
    (a)複数種類の抗体提示ファージを含有する抗体提示ファージライブラリ水溶液を、ポリペプチドを表面に具備する担体上に供給し、複数種類の抗体提示ファージをポリペプチドに特異的に結合させる工程であって、
    各抗体提示ファージは、ファージミドベクターを内部に含有するタンパク質を含み、
    各抗体提示ファージは、外表面に抗体フラグメントを含み、かつ
    前記ファージミドベクターは、前記抗体フラグメントをコードする遺伝子配列を有している工程、
    (b)担体を37℃以上70℃以下の温度に加熱し、一部の抗体提示ファージを担体から解離させ、かつ他の抗体提示ファージを担体に選択的に残す工程、および
    (c)工程(b)において担体に選択的に残された他の抗体提示ファージを回収し、耐熱性抗体提示ファージを得る工程、
    を含む、方法。
  2. 前記ポリペプチドが、配列番号:01により表されるアミノ酸配列からなる、請求項1に記載の方法。
  3. 工程(a)および工程(b)の間にさらに以下の工程:
    工程(a)においてポリペプチドに特異的に結合しなかった抗体提示ファージを除去する工程、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  4. 工程(b)および工程(c)の間にさらに以下の工程:
    前記担体を洗浄する工程、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(c)の後にさらに以下の工程:
    工程(c)において回収された耐熱性抗体提示ファージを増幅させる工程、
    を含む、請求項1に記載の方法。
  6. 耐熱性抗体フラグメントを得る方法であって、以下の工程:
    (a)複数種類の抗体提示ファージを含有する抗体提示ファージライブラリ水溶液を、ポリペプチドを表面に具備する担体上に供給し、複数種類の抗体提示ファージをポリペプチドに特異的に結合させる工程であって、
    各抗体提示ファージは、ファージミドベクターを内部に含有するタンパク質を含み、
    各抗体提示ファージは、外表面に抗体フラグメントを含み、かつ
    前記ファージミドベクターは、前記抗体フラグメントをコードする遺伝子配列を有している工程、
    (b)担体を37℃以上70℃以下の温度に加熱し、一部の抗体提示ファージを担体から解離させ、かつ他の抗体提示ファージを担体に選択的に残す工程、
    (c)工程(b)において担体に選択的に残された他の抗体提示ファージを回収し、耐熱性抗体提示ファージを得る工程、
    (d)工程(c)において回収された耐熱性抗体提示ファージに細胞を接触させ、感染細胞を生成する工程、および
    (e)工程(d)において生成された感染細胞を培養して、耐熱性抗体フラグメントを得る工程、
    を含む、方法。
  7. 配列番号:01によって表されるアミノ酸配列からなる耐熱性ペプチド。
  8. 70℃に加温されても安定である、請求項7に記載の耐熱性ペプチド。
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