この種のガスセンサの代表的なものの1例としては、図11に示したような構造をなす特許文献1に記載のものがある。この酸素センサ1は、内外面に、それぞれ内部電極(層)及び外部電極(層)を有する、先端(同図下端)が閉塞された中空軸状(筒状)の固体電解質からなる検出素子(以下、単に素子ともいう)21と、この検出素子21を内側に保持して、排気ガス管に取付けられる金具本体(主体金具ともいわれる)11等からなっている。この酸素センサ1は、金具本体11を介して内燃機関の排気ガス管に取付けられ、検出素子21の内周面(内壁面)の内部電極(基準電極)を基準ガス(大気)に、外周面(外壁面)の外部電極(測定電極)を排気ガスに接触させ、検出素子21の内外面の酸素濃度差に対応して両電極間に起電力を生じさせ、この起電力に基づく信号を制御回路に出力し、排気ガス中の酸素濃度を検知して空燃比制御するのに使用される。
同図に示したセンサ1は、検出素子21の内、外周面に形成された、内部電極及び外部電極(以下、それぞれ単に電極ともいう)に端子金具71,91を接続し、各端子金具の後端(同図上端)に出力取り出し用のリード線41を接続した構成とされている。このような端子金具71,91のうち、検出素子21の後端寄り部位の内周面に形成された電極と接続される端子金具(出力端子)71は、図2に示したように、金属板を曲げるなどして、母線に沿って切れ目状の開口Mのある円筒状部(横断面がC字形又はランドルト環形状を有する筒状部)からなる嵌合部73を備えており、この嵌合部73を検出素子21の後端からその内側に圧入して嵌合することで、内部電極に圧接され、接続されるように構成されている。また、素子21の外周面に形成された電極と接続される端子金具(アース端子)91は、図3に示したように、その先端寄り部位に、金属板を曲げるなどして、母線に沿って切れ目状の開口Mのある円筒状部からなる嵌合部93を備えており、この嵌合部93を検出素子21の後端からその外側に圧入して嵌合することで、外部電極に圧接され、接続されるように構成されている。このいずれの端子金具71,91とも、素子21の後端部に嵌合される円筒状の嵌合部73,93の一側から後方(図示上方)に向けて延びる中継線部74、94を備えており、その中継線部74、94における嵌合部73,93と反対側(図上側)には、リード線41の端をカシメによって接続する接続端部(カシメ用端部)75,95を備えている。そして、いずれの端子金具71,91も、その嵌合部73,93を検出素子21の内、外に圧入により嵌合した後は、各嵌合部73,93自身をそのバネ性によって検出素子21の内、外の電極にそれぞれ押付けることで電気的接続をとるようにされている。
ところで、このような電気的接続を伴うセンサ1の組立ては次のようにして行われていた。図12の左側に示したように、素子21を筒状をなす金具本体11内にシール53材等を用いて固定してなる素子側半組立体(本体側組立体)201と、同図右側に示したように、筒状(段付き円筒状)の保護筒31内に、各リード線41の先端に各端子金具71,91を接続してなる端子金具側半組立体301を組立てておく。このとき、端子金具側半組立体301における端子金具71、91は、絶縁材からなる円柱状のセパレータ111内に、その先後に貫通するように設けられた複数の端子金具挿通用空孔(リード線挿通孔ないし保持孔)113を通されている。これは、端子金具71,91相互間及びケーシングをなす保護筒31との間の絶縁を保持するためである。図12の右側の端子金具側半組立体301におけるセパレータ111を先端(図下端)側からみたときは、図13に示されるように形成されている。同図に示したように、筒状の嵌合部73,93はそのセパレータ111の先端面112の中心と中心を同じとする同心か、同心に近い状態となるようにして配置されており、その先端において、各嵌合部73,93はいわば二重の環状を呈している。なお、図12では、端子金具側半組立体301の下方において軸線Gに沿って軸状をなすヒータ61が、端子金具71の嵌合部73内に把持される形で突出状に設けられているが、ここではそれに関する説明を省略する。
センサ1の組立てにおいては、図12に示したように、素子側半組立体201の素子21の軸線Gに、端子金具側半組立体301における端子金具71、91の各嵌合部73,93の中心(軸線G)を一致させ、或いは略一致させるようにしてから、両半組立体が近接するように相互にその軸線方向に移動する。そして、端子金具71、91の各嵌合部73,93を検出素子21の後端25の内側、外側に同時に嵌合する。なお、この嵌合を容易とするため、素子21の後端25と、その内周面と外周面との各角にはそれぞれ面取り26,27が付けられている一方、端子金具71、91の嵌合部73,93の先端には、ガイドをなすようにそれぞれ先細り部84、外広がり状の歯98が設けられている。これらの嵌合においては、同時に、保護筒31の先端側が金具本体11の後端側の厚肉円筒部17に外嵌されるようになっている。
ところで、このようなセンサの組立てに使用される端子金具側半組立体301は、概略次のような工程を経て組み立てられる。リード線41の先端寄り部位をシール材131内を貫通状に通すと共に、セパレータ111内の端子金具挿通用空孔113を通し、その通したリード線41の先端に、端子金具71,91の後端の接続端部(コネクタ部)75、95をカシメによって接続する。その後、各リード線41の後端(基端)側をセパレータ111及びシール材131の後端(図上端)側に引張り出し、各端子金具71,91の先端側の嵌合部73、93をセパレータ111の先端面112で係止させて、その位置決めをする。
一方、このような端子金具側半組立体301の組み立てにおいては、各端子金具71、91における筒状の各嵌合部73,93は、セパレータ111の先端面112にて、素子側半組立体201の素子21の後端に対応する所定の位置に所定の精度で位置決めがされていないといけない。このように位置決めされていなければ、両半組立体201,301を相互に近接するようにして組立てる際には、各嵌合部73,93が素子21の後端25の内、外周面に円滑に嵌合できないためである。従来、素子側半組立体201の組み立てにおいては、比較的容易に設計通りに組立てられるのであるが、端子金具側半組立体301の組み立てにおいては、各端子金具71、91における筒状の各嵌合部73,93が、セパレータ111の先端面112において設計上の位置に精度よく位置決めするのは容易ではなかった。これは、各端子金具71、91における各中継線部74,94がセパレータ111内の各端子金具挿通用空孔113内において振れたり動いたりする、いわゆる振れ動きを生じることがあるためである。
このため、上記した特許文献1に記載のセンサにおいては、使用される各端子金具71,91と、これが通されるセパレータ111におけるの端子金具挿通用空孔113との関係を次のように構成していた。各端子金具71,91については、セパレータ111内の各端子金具挿通用空孔113において安定して位置決めされるように、その各端子金具71,91とも、その先端の嵌合部73,93と、後端の接続端部75、95との間を中継する中継線部74,94に、図2,図3に示したように、先後に延びる板部位76,96を形成する一方、その板部位76,96の幅方向における中間において、その板部位76,96の一方の主面76a,96a側に、端部77a、97aを有して突出するようにU形又は舌片状に形成された突出片部77,97を打抜きにより切起こす形で形成していた。こうすることで、端子金具71,91の中継線部74,94を各端子金具挿通用空孔113に通したときに、図12、図14に示したように、この突出片部77,97を自身のバネ性を利用して同空孔113の内壁面(内面)に押付させる一方で、板部位76,96を同空孔113の対向する内壁面に押付させるようにしていた。この押付けにより、中継線部74,94が同空孔113内において振れ動くのが防止される。
ところで、セパレータ111におけるの端子金具挿通用空孔113は、同特許文献1の図3−bなどにも示されているように、軸線回りに所定の配置で、先後に貫通するように形成されているものの、各空孔(同特許文献1の図3−bにおけるリード線挿通孔31a)の横断面形状は、軸線G側が山をなす略三角形を呈していた。このため、前記した振れ動きの防止手段において、突出片部77,97は、図14に示したように、同空孔113の内壁面のうち、軸線Gから離間する方の内壁面に押付けられる一方で、板部位76,96の反対面76b,96b側はその両外側の端縁のコーナー(角)76c,96cを同空孔113の対向する内壁面に押付けられていた。すなわち、各端子金具71,91は、このようにして各端子金具挿通用空孔113内において位置決めされ、先端の嵌合部73,93は図13に示したようにセパレータ111の先端面112に配置される構成とされていた。
以下、本発明のガスセンサを実施するための形態(実施形態)を説明する前に、本発明の基礎となる、本発明とは別の参考発明に係る形態(以下、本参考形態という)について、図1〜図9に基づいて詳細に説明する。ただし、本参考形態では、排気ガス中の酸素濃度を検出する酸素センサにおいて具体化したものであり、したがって、まずこのセンサの全体の構成について詳細に説する。酸素センサ1は、段付円筒状をなす金具本体11の内側に、内外壁面にそれぞれ電極(層)(図示せず)を有し先端が閉塞された筒状(中空円軸状)の検出素子21が気密を保持して固定されている。素子21は、中間部に外径が大径とされた大径部23を備えており、先端は金具本体11の先端から突出している。この素子21は、金具本体11の内側の段部にワッシャ51を介してセラミックホルダ52を配置し、このセラミックホルダ52の図示上部内周縁の凹部に、その大径部23を板パッキン(図示せず)を介して受けさせ、さらにシール材(滑石)53、及び押圧用リング54等を介在させ、シール材53を圧縮して気密状に金具本体11内に固定されている。
この固定は、金具本体11の後端(図示上端)の内側において、押圧用リング54の後端に平ワッシャ55を配置し、金具本体11の後端の薄肉筒部18の端部を内側に曲げて先端側に圧縮するようにかしめることによっている。なお、金具本体11は、図示上下方向の中間部位の外周にねじ込み用多角形部12を備えており、それより先端側には、排気管へのねじ込み用のねじ部14、小径筒部16を順次一体的に備えており、この小径筒部16には、突出する素子21の先端を保護する通気孔付の保護カバー20が取り付けられている。また、多角形部12と後端の薄肉円筒部18との間には厚肉円筒部17を備えており、厚肉円筒部17には、詳しくは後述するケーシングをなす保護筒31の先端側の大径部32が外嵌され、同保護筒31の先端面31aをねじ込み用多角形部12の後端側フランジ面13に当接した状態の下で、全周レーザー溶接されている。なお、金具本体11のねじ込み用多角形部12とねじ部14との間には、シール用ワッシャー9が嵌められている。ここまでに説明した構成のうち、保護筒31が金具本体11の厚肉円筒部17に外嵌されて溶接によって固定される前の状態が、図5の左側に示した素子側半組立体201の部位に相当する。
なお、検出素子21の内側である中空部は、横断面が円形で先端に向かって若干縮径するテーパ状とされ、金具本体11の軸線Gと同心で形成されている。また、検出素子21の後端(後端部)25と、内外周面の各角には面取り26、27が付けられており、端子金具71,91を同後端25に内嵌又は外嵌して組立てる際のガイドをなすようにされている。なお、端子金具71,91は、上記において図2、図3に基づいて説明したのと同じものである。本参考形態では、中空部の中には同検出素子21を加熱するため、円断面で棒状(軸状)をなすヒータ61が内挿されている。また、このヒータ61は、素子21の内面(内壁面)22の電極に接続されるように配置された端子金具(以下、内面用端子金具ともいう)71における筒状の嵌合部73の内側を通されている。
検出素子21の内面(内側)22に形成された電極には、内面用端子金具71における筒状の嵌合部73が内嵌され、嵌合部73自身のもつバネ性によってその内面の電極に押付けられて電気的な接続がとられている。なお、この電極はその内面22において素子21の先端に延びている。他方、素子21の外面(外側)に形成された電極には、別の端子金具(以下、外面用端子金具ともいう)91の筒状の嵌合部93が外嵌され、嵌合部93自身のもつバネ性によってその外面を締付けるようにしてその電極との電気的な接続がとられている。なお、この電極はその外面において素子21の先端に延びている。
このような各端子金具71,91の嵌合部73,93の後方(図示上)には、それぞれ中継線部74,94が延びており、その後端(図1上端)の接続端部(コネクタ部)75,95には、それぞれリード線41が接続されている。内面用端子金具71及び外面用端子金具91についてはさらに後述するが、これらにおける嵌合部73,93より後方には、アルミナ等の電気的な絶縁材からなるセパレータ111が配置されており、その内部に形成された各端子金具挿通用空孔113内に、中継線部74,94及び各リード線41の先端寄り部位が通されている。そして、各リード線41は、その先端寄り部位は、酸素センサ1後端に配置された円柱状のシール材131に形成された各リード線挿通用空孔を通されて、その後端部から引き出されている。
セパレータ111についての詳細は後述するが、本参考形態ではセパレータ111およびシール材131ともに略円柱状ないし円筒状に形成されている。そして、いずれも、軸線Gの回りに等角度間隔で、先後(図示上下)に向けて貫通する4つの空孔を備えており、そのうちの対向する2つが、端子金具挿通用空孔113とされ、他の2つがヒータ61への通電用の一対のリード線41を通すための空孔とされている。すなわち、ヒータ61は、その先端部(図1下端部)の一側(図1右側)に発熱部62を備えており、その後端部の側面には、この発熱部62に連なる通電用の一対の端子(図1ではその1つのみ図示)64を備えており、同端子64にはそれぞれ各リード線41が接続されている。この各リード線41も上記した端子金具71、91に接続されたリード線41と同様にして、同セパレータ111に形成された空孔、及びシール材131の空孔を通され、その後端部から引き出されている。なお、セパレータ111の先端面(下面)112の中央にはヒータ61の後端寄り部位を内挿可能の空孔が形成されおり、その奥所の底にヒータ61の後端面が当接して配置されている。
セパレータ111及びシール材131は、段付き円筒状をなす保護筒31によってカバーされている。この保護筒31は、上記もしたように金具本体11の厚肉円筒部17に先端側を外嵌し、同保護筒31の先端面31aをねじ込み用多角形部12の後端側フランジ面13に当接した状態の下で、全周レーザー溶接されている。この保護筒31は、本参考形態では先端側(図1の下側)の約半分が大径部32で、後端側の約半分がテーパ部34を介して小径部33とされ、その小径部33におけるシール材131の外側37をかしめてそれを固定している。また、本参考形態では、セパレータ111はその外周面121であって軸線G方向の中間位置に、固定用のフランジ122を突出状に備えている。一方、保護筒31は、軸線方向の先後位置でこのフランジ122を挟むようにして形成されている。ただし、本参考形態では保護筒31の内側であってフランジ122の先端(図示下端)向き面には、上端部が内側に折り返し状に曲げられた円筒部材141が介在されており、また、フランジ122の後端(図示上端)向き面を規制するように、保護筒31の小径部33の外周面に凹部36が設けられている。そして、この円筒部材141の図示上端部にてフランジ122の先端向き面を後方(図示上方)に押圧するとともに、保護筒31の小径部33の外周面を絞り込むようにかしめることで、円筒部材141を径方向に圧縮してセパレータ111を保持している。図1中の102は、キャップ状に形成された撥水性のある通気部材であり、金属パイプに被せた状態で、シール材131中に貫通状に配置され、素子21の内側に大気を導入するようにされている。
さて次にこのような構成をなしている本参考形態の酸素センサ1のうち、本発明の要旨をなすべきところである端子金具(内面用端子金具71、外面用端子金具91)及びセパレータ111の詳細について、それぞれ図面に基づいて詳細に説明する。まず、各端子金具71,91について説明するが、これらは上記もしたように、すでに一応の説明をしたところであるが、さらに詳細に説明する(とくに図1、図2、図3参照)。なお、本参考形態では、これらはいずれも所定の形状に打ち抜かれた金属薄板(耐食耐熱超合金板)を曲げ加工するなどして形成されたものである。
内面用端子金具71は、先端に検出素子21の後端部の中空部内に配置され、その内周面の電極に押付けられて電気的に接続される円筒状の嵌合部73を備えている。ただし、その一側は母線に沿って切れた切れ目Mを有しており、したがって、軸線Gに直角な平面(横断面)で切断したときは、上記もしたように、概ねC字形を呈している。なお、嵌合部73の自由状態における外径は素子21の内径より大き目に形成されており、中空部内に圧入されて嵌合された際には、自身のバネ性によって素子21の内面の電極に押付けられるように形成されている。そして、図2に示したように、嵌合部73の後端(図示上端)であって軸線Gを挟んだ開口Mの反対側には、中継線部74が外向きに傾斜する屈曲部74aを介して若干外側に傾斜するようにして上に延びており、中継線部74の上端にはリード線41の芯線端部をカシメにより把持して接続するためのツメ付の接続端部(コネクタ部)75を備えている。また、中継線部74におけるその長手方向の中間部位には、他部位より相対的に幅が広い板部位76を備えており、その幅方向の中間には、その板部位76の一方の主面76a側であり嵌合部73の外側に、自由状態で先端側に端部77aを有して斜めに突出するようにU形又は舌片状に形成された突出片部77を打抜き加工により切起こす形で形成している。
詳細は後述するが、この内面用端子金具71の嵌合部73がセパレータ111の先端面112の中心に概ね同心状に配置されて、中継線部74がセパレータ111の端子金具挿通用空孔113を通されて後端側に引出されたときに、突出片部77が自身のバネ性によってその端子金具挿通用空孔113の内壁面に押し付けられるように設定されている。一方、嵌合部73の後端(図示上縁)には、外向きに突出する複数の歯78が設けられており、中継線部74がセパレータ111の端子金具挿通用空孔113を通されて後端側に引出されたときに、セパレータ111の先端面112にその歯78が当接して係止するように設定されている。
なお、本参考形態の内面用端子金具71においては、図2に示したように、嵌合部73の下端部には、嵌合部73を素子21の中空部内に押し込むときのガイドをさせるため、先端側が素子21の内径より小さくされて先細りテーパ状をなす先細り部84を備えている。そして、この先細り部84の下に、内挿したヒータ61の側面(図1左側)部分を素子21の中空部の内壁面22の一側(図1右側)に押し付けるためのヒータ押し付け部(押圧部)88を、切れ目状の開口Mを挟んで両側に一体的に備えている。
さて次に、外面用端子金具91について図3等に基づいて詳細に説明するが、この外面用端子金具91は、上記もしたように、先端に検出素子21の後端部の外周面の電極に押付けられて電気的に接続される円筒状の嵌合部93を備えている。ただし、その一側は母線に沿って切れた切れ目Mを有している。したがって、軸線Gに直角な平面(横断面)で切断したときは、上記もしたように、概ねC字形を呈している。なお、嵌合部93の自由状態における外径は素子21の外径より小さ目に形成されており、素子21の後端部に圧入により外嵌めされた際には、自身のバネ性によって電極に押付けられるように設定されている。また、嵌合部93の先端(図示下端)には、外広がり状に突出する複数の歯98が設けられており、素子21の後端部に圧入する際のガイドをなすようにされている。
そして、図3に示したように、嵌合部93の後端(図示上端)であって軸線Gを挟んだ開口Mの反対側には、中継線部94が内向きに傾斜する屈曲部94aを介して若干外側に傾斜するようにして上に延びており、中継線部94の上端にはリード線41の芯線をカシメ把持して接続するためのツメ付の接続端部(コネクタ部)95を備えている。また、中継線部94における嵌合部93と接続端部(コネクタ部)95との間には、それより幅が広い板部位96を備えており、その幅方向の中間には、その板部位96の一方の主面96a側に、自由状態で先端側に端部97aを有して斜めに突出するようにU形又は舌片状に形成された突出片部97を打抜き加工により切起こす形で形成している。なお、両端子金具71、91は、嵌合部73,93を含めてそれより先端側の形状寸法は上記したように異なるものの、これ以外の中継線部74,94等の形状寸法は屈局部74a,94aを除いて基本的に同一に設定されている。
この外面用端子金具91の嵌合部93がセパレータ111の先端面112の中心に概ね同心状に配置されて、中継線部94がセパレータ111の端子金具挿通用空孔113を通されて後端側に引出されたときに、突出片部97が自身のバネ性によってその端子金具挿通用空孔113の内壁面に押し付けられるように設定されている。そして、中継線部94がセパレータ111の端子金具挿通用空孔113を通されて後端側に引出されたときに、セパレータ111の先端面112に嵌合部93の後端(図示上端)が当接するように設定されている。
次に、本参考形態のセパレータ111の詳細について、図4−A〜Dに基づいて詳細に説明するが、これは前記もしたように円柱状を呈しており、その先後(図示上下)の中間部の外周面121に、周方向にフランジ122が突出状に形成されている。そして、軸線Gの回りに等角度間隔で、先後に向けて貫通する4つの空孔113,123を備えている。そのうちの対向する2つは、素子21の電極に接続される端子金具71,91用の空孔113とされ、他の対向する2つがヒータ通電用の一対のリード線41の挿通用の空孔123とされ、それぞれ軸線Gを挟んで対称に配置されている。このような空孔のうち、端子金具挿通用空孔113は、図9に示すように、それぞれ横断面において、外周の接線方向に沿って長い矩形孔114をベースにして、その長辺の中央において、軸線G側を向く内向きと、その反対側を向く外向きとにそれぞれ凹状をなす溝115,116が軸線Gに沿って形成されている。
この矩形孔114は横断面においてその長辺の長さL1が、前記した端子金具71,91の板部位76,96の幅W1より若干大き目とされている。そして、その矩形孔114の長辺の中央において外向き形成された凹状をなす溝(外溝とも言う)116の幅L2は、端子金具71,91の突出片部77,97の幅W2より若干大き目とされており、次記するように各突出片部77,97の端部(先端)77a,97a寄り部位がその内壁面である溝底117に押付けられるように構成されている。一方、矩形孔114の長辺の中央において内向き形成された凹状をなす溝115は、横断面において、軸線Gに向かって幅狭状に形成されているが、矩形孔114の長辺に沿う部分での溝幅L3は、板部位76,96の幅W1より小さくされている。こうして、矩形孔114の内壁面である溝115の両側には、前記した溝底117に対向して平面からなる棚状の支持部118が形成されている。なお、端子金具挿通用空孔113は、このような一定の横断面形状で、セパレータ111の先後に貫通している。そして、この棚状の支持部118から、外向きに形成された凹状をなす溝116の溝底117までの横断面における寸法H1、すなわち、矩形孔114の短辺と外向きに形成された凹状をなす溝116の深さをあわせた寸法H1は、端子金具71,91の板部位76,96における突出片部77,97の自由状態における突出量T1,T2(図6参照)より小さくなるように設定されている。
しかして、横断面がこのように形成された各端子金具挿通用空孔113に対して、各端子金具71,91を、その接続端部75,95側から各突出片部77,97が外溝116内を通るようにし、かつ中継線部74,94における板部位76,96が矩形孔114を通るようにしてセパレータ111の先端面112側から入れ込み、接続端部75,95に接続した各リード線41をセパレータ111の後端側から引っ張ることで、突出片部77,97の先端寄り部位がそれ自身のバネ(板バネ)性により外溝116の溝底117に押付けられる。と同時に、板部位76,96の両側の反対面76b,96bが、支持部118に押付けられるようにして位置決めされるように設定されている。ただし、支持部118に押付けられる反対面76b,96bは、本参考形態では板部位76,96の先後にわたる一部であり、突出片部77,97の先端寄り部位に対応する部分とされている。なお、本参考形態では外溝116の溝底117から立ち上がる側壁119が板部位76,96の幅方向に動くのを規制している。
図4に戻り、本参考形態の酸素センサ1はヒータ付きのものであるため、セパレータ111にはヒータ用のリード線41を挿通するための空孔123も形成されているが、このものは、横断面が円形を成すように形成されている。ただし、後端寄り部位は、その内径が小さくされている。また、本参考形態では上記もしたように、セパレータ111の先端面(下面)112の中央にはヒータ61の後端寄り部位が内挿可能の空孔125が形成されており、同空孔125が前記した4つの空孔113,123の軸線G寄りの周面に切り込んで連なっており、セパレータ111を先端側(図1下側)から見たときはヒータ用の空孔125を中心として十字状を呈する空間をなしている(図4−D参照)。これは、中央のヒータ用の空孔125と、周囲の他の各空孔113,123との間に壁を設けると、その壁の肉厚が薄くなって構造が複雑化するためと、内面端子金具71を空孔113に通した際に、嵌合部73に連なる屈曲部74aが干渉しないようにするためである。したがって、こうした問題がなければ、軸線G側を向く溝115はなくともよい。
しかして、本参考形態の酸素センサ1の組み立てにおいては、図5の左側に示した、金具本体11に固体した素子21を含む素子側半組立て品201とは別に、図5の右側に示した端子金具側半組立体301を組立てておく。この端子金具側半組立体301の組立ては、図6に示したように、各リード線41をシール材131を通してセパレータ111の後端側からその各空孔を通し、そのうちの2本のリード線の先端を各端子金具71,91の接続端部75,95に接続するとともに、他の2本のリード線の先端をヒータ61の後端の各端子64に接続する。なお、この接続に当っては予めセパレータ111に保護筒31を被せておく。そして、各端子金具71,91の嵌合部73,93がセパレータ111の先端面112の設定位置(本参考形態では中心)に保持されるようにして、接続端部75,95及び中継線部74,94がセパレータ111の端子金具挿通用空孔113に入り込むようにし、各リード線41を後端側に引出す(図7参照)。ただし、この引出しに当っては、端子金具71,91は、その板部位76,96が矩形孔114を通り、突出片部77,97が外溝116を通るようにするとともに、ヒータ61の後端がセパレータ111の先端面112の中心の空孔125に入り込むようにする。このようにして、各リード線41を後端側に引出した後、保護筒31をセパレータ111に被せてシール材131を保護筒31の後端部内に押込むことで、図5の右側に示した端子金具側半組立体301が組立てられる。なお、保護筒31を被せる前に、セパレータ111のフランジ122の先端向き面に当接するように、円筒部材141をセパレータ111の外周にその先端側から嵌め込んでおく。
この組み立てにおいて端子金具71,91は、端子金具挿通用空孔113内において、突出片部77,97が自身のバネ(板バネ)性により外溝116の溝底117に押付けられる。一方、板部位76,96については、従来のようにその主面と外側面とのなすコーナーが略三角形の空孔内の傾斜面状をなす内壁面に当って支持されるものではなく、本参考形態では、板部位76,96の両側の側端部寄り部位の反対面76b,96bが平面をなす棚状の支持部118に押付けられる。そして、嵌合部73,93は、ともにその後端をセパレータ111の先端面112に当接させ、その先端面112の所定位置(本参考形態では中心に同心状)に配置される(図8参照)。
このような組み立てにおいて本参考形態では、端子金具71,91は、端子金具挿通用空孔113内において、突出片部77,97が外溝116の溝底117に押付けられると同時に、突出片部77,97の両側の板部位76,96は、その反対面76b,96bを両側の平面をなす棚状の支持部118に押付けられて支持された形で引き込まれる。このため、端子金具71,91は、その引き込み過程も含め、横断面において中継線部74,94を軸として回転することもないので、嵌合部73,93をセパレータ111の先端面112の所望とする位置に簡易に、しかも安定して配置することができる(図4参照)。なお、上記もしたように、端子金具71の先端側には先細り部84が、そして端子金具91の先端側には複数の外広がり状の歯98が、それぞれ設けられており、素子21の後端部に圧入する際のガイドをなすようにされているため、基本的に若干の誤差は許容されている。また、その位置決め後においてはその位置に狂いがでることもない。すなわち、本参考形態においては、センサの組立て過程において各端子金具挿通用空孔113の内壁面である支持部118に、板部位76,96におけるコーナーでなく、その板部位の反対面76b,96bを押付ける構造を有しているため、同空孔内における板部位76,96の支持が、従来の支持構造に比較して安定しており、したがって、セパレータ111の先端において、端子金具71,91の嵌合部73,93の位置の安定を図ることができる。しかも、本参考形態では、突出片部77,97が押付けられるのが、各端子金具挿通用空孔113内における外溝116の溝底117であり、突出片部77,97がその溝底117から立ち上がる側壁119にて幅方向に動くのを規制されているため、より安定性の高い支持が図られる。
かくして得られた端子金具側半組立体301と、金具本体11内に固定された検出素子21を含む検出素子側半組立体201とを、両者の軸線Gが一致するように位置決めし、検出素子21の後端部に端子金具71,91の嵌合部73,93を嵌合する(図5参照)。こうすることで、センサとして組立てられるが、本参考形態においては、その端子金具側半組立体301における端子金具71,91の嵌合部73,93がセパレータ111の先端面112において位置ずれを生じない。このため、その組み立てにおいては、検出素子21の後端部に端子金具71,91の嵌合部73,93が円滑に嵌合される。したがって、センサの組み立てにおいて、端子金具71,91の嵌合部73,93の先端が素子21の後端に当るなどして潰れたり、或いは、素子21の後端にカケ、割れが発生したり、さらにはこれらに起因する接合不良を起こすことを有効に防止することができる。
なお、嵌合部73,93を素子21の後端に嵌合した後は、保護筒31の先端側外周を本体の17に溶接し、保護筒31のうちの小径部33における円筒部材141に対応する部位及びシール材131の外周面の適所を絞り込むように加締めることで、図1に示した酸素センサ1として組み立てられる。
前記参考形態の酸素センサでは、支持部118を棚状の平面としたが、この支持部は平面でなくともよい。突出片部77,97の両側に位置する板部位76,96における反対面76b,96bを支持可能であればよいためである。図10は、その一例であり本発明を具体化した実施形態を示したものであり、同図に示した端子金具挿通用空孔113のように、その横断面において、突出片部77,97の両側に位置する板部位76,96における反対面76b,96bを支持可能に、凸部118bが両側に形成されているものとしてもよい。このようにしても、従来のように板部位76,96の両側の端のコーナーとは異なり、その反対面に接触して支持することになるためである。すなわち、本発明では、セパレータにおける端子金具挿通用空孔の突出片部が押付けられる内壁面に対向する内壁面に、その突出片部の両側に位置する板部位における反対面に接触して支持可能の支持部が形成されており、この支持部に、突出片部の両側に位置する板部位における反対面を押付けてなる範囲で、変更して具体化することができる。
また、上記形態において端子金具挿通用空孔113は、セパレータ111を先端側から見たときはヒータ用の空孔125側に切り込む形として、軸線G側を向く溝115を有するものとしたが、上記もしたように、センサがヒーターを備えず、或いは、内面端子金具71を空孔113内に通すのに支障もなければ、そのような溝115はなくともよい。したがって、そのような場合には、端子金具挿通用空孔113の横断面は、外溝116がある場合には、凸字形状のものとすることができるし、外溝116を設けない場合には、端に方形としてもよい。
本発明のガスセンサは、上記した実施の形態のものに限定されるものではない。本発明の要旨を逸脱しない限りにおいて、適宜にその構造、構成を設計変更できる。上記においては、ヒータつきのセンサで具体化したが、本発明はその有無に関係なく具体化できる。また、上記においては、酸素センサにおいて具体化したが、その他のガスセンサにおいても同様に具体化できる。