JP5046262B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置に関するものであり、詳しくは、トナー像転写後のシート状の記録媒体を像担持体から除電分離し易くした画像形成装置に関するものである。
一般に、電子写真方式の複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置は、感光体ドラムや中間転写体等である像担持体の表面にトナー像が形成または転写され、その像担持体の表面に形成または転写されたトナー像をシート状の記録媒体(コピー用紙やプラスチックフィルム等)に転写した後、その記録媒体を分離手段によって像担持体の表面から分離し、その像担持体から分離した記録媒体を定着手段に送り込み、この定着手段によってトナー像を記録媒体に定着した後、その定着後の記録媒体を排出トレイや両面印刷用の中間トレイ等に搬送するようになっている。
このような画像形成装置の分離手段としては、例えば、図8に示すような除電分離方式のもの(特許文献1参照)、図9に示すような除電分離方式のもの(特許文献2参照)、図10に示す除電分離方式のもの(特許文献3参照)が公知である。このうち、図8及び図9に示す分離手段100,101は、分離針102,103を記録媒体搬送方向上流側に位置する上流側壁部104,105と記録媒体搬送方向下流側に位置する下流側壁部106,107とにより保持するようになっており、分離針102,103を記録媒体搬送方向に対して直交する方向(以下、通紙幅方向と略称する)に複数配置するようになっている。また、図10に示す分離手段108は、像担持体114と対向して配置された転写帯電器109のシート搬送方向の下流側に、像担持体114の長手方向に沿って所定間隔で複数の放電先端部110aを有する分離針110が配列されていて、この分離針110に電圧が印加されると、分離針110から放電電流が流れて記録媒体112が像担持体114から分離されるようになっている。
このような画像形成装置の分離手段100,101,108のうち、特許文献1に開示された分離手段100は、トナー像が記録媒体111に転写された後、所定のタイミングで分離針102に分離電圧が印加されると、分離針102と像担持体113との間でコロナ放電を生じさせて、転写ローラ117による転写作業で記録媒体111に帯電した静電気を除電し、記録媒体111をそれ自体の腰の強さや自重等により像担持体113から分離させるようになっている。
また、特許文献2に開示された分離手段101は、記録媒体115の裏面側からアースされた分離針103側に過剰な電荷を放電させ、転写ローラ120による転写作業で記録媒体115に帯電した静電気を除電するようになっている。このような、従来から知られている特許文献2に開示されたような分離手段101を使用した場合であっても、記録媒体115自体の腰が強い場合には、記録媒体115と像担持体116との除電分離を行うことが可能であった。
更に、特許文献3に開示された分離手段108は、像担持体114上のトナー像が記録媒体112上に転写された後、記録媒体112が像担持体114から分離されるが、この時の分離条件として、分離針110に所定電圧を印加し、分離針110と像担持体114との間隔を所定値にすると、転写帯電器109によって転写コロナが発生したときに周囲のインピーダンスが変動して分離針110から放電電流が観測され、記録媒体112が像担持体114から分離される。
ところで、近年、資源を有効に利用する等の観点から、記録媒体の両面に印刷することが多くなっている。このように記録媒体の両面印刷を施す場合、従来の特許文献2に開示されたような分離手段101では良好に記録媒体115を像担持体116から分離できない虞がある。ここで、記録媒体115の両面に印刷する態様として、記録媒体115の一方の面に印刷した後、両面印刷ユニット等を使用し、片面印刷済みの記録媒体115を表裏反転し、記録媒体115の印刷していない他面にも連続して印刷を施すような両面印刷はもちろんのこと、片面印刷した後のコピー紙等を記録媒体115として再利用し、その再利用する記録媒体115の未印刷面に印刷を施すような態様もある。
すなわち、このような両面印刷を施す場合には、コピー用紙等の記録媒体115のカール(湾曲変形)が片面印刷のみの記録媒体115のカールに比較して大きくなりやすく、その記録媒体115のカールが感光体ドラム等の像担持体116側に巻き付きやすいものである場合(像担持体116側に向かってカールしている場合)に、そのカールが大きくなった分だけ像担持体116から分離しにくくなり、記録媒体115が像担持体116側に巻き上げられ、ジャム(紙詰まり)等の不具合を生じる虞がある。
このような不具合を解消するためには、例えば、特許文献1及び特許文献3の分離手段100、108において、分離針102、110に転写電流と逆極性の電圧を印加し、分離針102、110と像担持体113、114との間でコロナ放電させることによって記録媒体111、112を除電し、像担持体113、114からの記録媒体111、112の分離効率を上げるようにすることが有効である。
特開平9−218623号公報 特開平8−137358号公報 特公平7−40158号公報
しかしながら、特許文献1の分離手段100において、上流側壁部104及び下流側壁部106が絶縁性樹脂で形成されていると、分離針102と像担持体113との間に生じるコロナ放電によって絶縁性樹脂製の上流側壁部104及び下流側壁部106が帯電し、複数の分離針102の回りの電界(通紙幅方向における電界)が通紙幅方向の位置により不均一になることがある。この際、各分離針102への印加電圧を高くして、記録媒体111の所望の分離性能を得ようとすると、分離針102と像担持体113との間で異常放電が発生し、感光体ドラム等の像担持体113の絶縁破壊を生じる虞がある。
同様に、特許文献3の分離手段108においても、分離針110と像担持体114との間隔等を所定の値にして、放電電流を発生させるようにしたのでは、転写帯電器109や分離針110への印加電圧の値によって分離条件が変わるため、分離針110と像担持体114との間隔等を高精度に設定しなければならない。また、記録媒体の分離不良を防ぐために分離電圧を高くすると、例えば感光体ドラムとしてアモルファスシリコン(A−si)系のものを用いた場合、感光体ドラムが絶縁破壊を起こし、画像不良が発生する虞がある。
そこで、本発明は、分離手段の放電効率を上げることで放電電圧を下げ、分離手段の通紙幅方向の放電を均一化して、像担持体の絶縁破壊を防止し、記録媒体を像担持体から良好に分離できるようにした画像形成装置を提供する。
請求項1の発明の画像形成装置は、
トナー像を担持して回転する像担持体と、
この像担持体との間を通過するシート状の記録媒体に転写電流を印加し、トナー像を前記記録媒体に転写する転写手段と、
この転写手段よりも記録媒体搬送方向下流側に位置し、記録媒体搬送方向に対して直交する方向に沿って複数配置された分離針に分離電圧が印加されると、前記記録媒体を除電して前記像担持体から分離する分離手段とを備えている。
また、この画像形成装置は、前記分離針よりも記録媒体搬送方向下流側に前記記録媒体
の搬送部を備え、
この搬送部は、記録媒体搬送方向に対して直交する方向に配置されて前記記録媒体の搬
送をガイドする複数の搬送板と、この複数の搬送板間に配置された導電性部材とを有し、
分離電圧が印加される前記分離針の先端から記録媒体搬送方向下流側を見た場合に、前
記導電性部材が障壁なく見えるようになっており、
前記導電性部材が装置本体のアース部に接続されている、ことを特徴としている。
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記複数の分離針間の距離をW1(mm)とすると、7≧W1≧2となるように前記W1が決定され、
前記複数の分離針間に、前記分離針に前記記録媒体が引っかからないように前記記録媒体の搬送をガイドするリブを配置し、このリブと前記分離針との最短距離をW2(mm)とすると、4≧W2≧2となるように前記W2が決定されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記像担持体がアモルファスシリコンで形成されたことを特徴としている。
本発明によれば、記録媒体搬送方向に対して直交する方向に配置されて記録媒体の搬送をガイドする複数の搬送板と、この複数の搬送板間に配置された導電性部材とを有し、この導電性部材を、分離針から障壁なく見えるようにして装置本体のアース部に接続したことにより、この導電性部材によって分離針と像担持体との間のコロナ放電をし易くし、分離手段の放電効率を上げて放電電圧を下げ、放電の安定化を図ることができる。また、放電電圧を下げることができるため、像担持体の絶縁破壊に伴う画像品質の低下(黒点の発生)を防止することができる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
(画像形成装置の構造)
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示すものであり、この図1において感光体ドラム(像担持体)2は、図の矢印A方向に回転し、帯電手段3によって表面が一様に帯電され、制御手段4からの制御信号に基づき作動する露光手段5によってレーザー光が照射され、その表面に静電潜像が形成された後、その表面に現像手段6によって現像剤としてのトナーが供給され、静電潜像がトナー像として可視化される。
そして、給紙トレイ7,8から給紙ローラ10,11によって送り出されたシート状の記録媒体(コピー用紙、プラスチックフィルム等であり、以下単にシートという)12が、レジストローラ13によって感光体ドラム2と転写ローラ(転写手段)14との間の転写位置Pに送り込まれる。転写ローラ14は、トナーと逆極性の転写バイアスをシート12に印加することにより、感光体ドラム2の表面に付着したトナー像を転写位置(感光体ドラム2と転写ローラ14のニップ部)Pでシート12に転写する。なお、感光体ドラム2は、シート12に転写されずに表面に残留したトナーがクリーニング手段15によって取り除かれるようになっている。また、感光体ドラム2としては、アモルファスシリコン系のものが使用されている。
転写位置Pよりもシート搬送方向下流側の所定位置には、分離手段16が配置されている。この分離手段16は、後に詳述するように、分離針17に分離電圧が印加されることにより、感光体ドラム2との間にコロナ放電を生じさせ、シート12を感光体ドラム2から除電分離する。また、感光体ドラム2の周囲で、且つ、分離手段16とクリーニング手段15との間には、分離手段16で分離できなかったシート12を感光体ドラム2の表面から剥がして分離する分離爪18が配置されている。
分離手段16によって感光体ドラム2から除電分離されたシート12は、定着手段20に送り込まれ、定着手段20によって加熱・加圧されて、トナーが定着される。そして、定着手段20から送り出されたシートは、排紙ローラ21によって排紙トレイ22に排出され、排紙トレイ22上に積載される。
図2は、分離手段16の詳細を示すものである。この図2において、分離手段16は、転写ローラ14を回転可能に支持する転写ハウジング24と、この転写ハウジング24のシート搬送方向下流側に位置する上流側壁部27と、この上流側壁部27よりも下流側に位置する搬送部23とを備えている。また、上流側壁部27の下流側端面に、シート搬送方向に対して直交する方向に板状の分離電極部30を載置し、この分離電極部30を、取付部材25により上流側壁部27との間に挟むようにして固定している。また、搬送部23は、シート搬送方向と直交する方向に所定の間隔をあけて複数配置されてシート12の搬送をガイドする搬送板26と、この搬送板26間に配置されたアース板(導電性部材)40とを有している。
図3に示すように、この分離電極部30には、通紙幅方向に複数の分離針17が突出形成されている。また、この分離針17,17間の切り欠き32には、後述するリブ31が係合されるようになっている。なお、分離針17、17間の寸法W1と、分離針17の先端とリブ31の通紙幅方向の寸法W2の最適値は、後述する実験により求める。
分離電極部30は、導電性材料(例えば、SUS304等)で形成されており、少なくとも、印刷に使用されるシート12のうちの最大寸法のシートの通紙幅方向寸法(シート12の搬送方向と直交する方向の寸法)と同様の長さ寸法に形成されている。また、分離針17は、搬送方向に沿って見た形状が略三角形状であり(図3参照)、感光体ドラム2側に向かうにしたがって収斂し、その先端と感光体ドラム2との間で放電が生じるようになっている。
図4及び図5に示すように、上流側壁部27には、シート12の通紙幅方向の寸法(はがき大、B5、A4、B4、A3等の通紙幅方向寸法)に応じて、シート搬送方向を向いたリブ31が通紙幅方向に複数形成されている。このリブ31は、シート12が分離針17に接触することがないように、搬送される(印刷に使用される)各種のサイズのシート12を支持できるように、印刷に使用されるシート12のサイズに対応するように配置されている。
また、搬送板26は、分離針17よりもシート搬送方向下流側に伸びていて、通紙幅方向に複数設けられている。そして、この隣接する搬送板26間に、上述のアース板40が設けられていて、このアース板40は、例えば鉄板(SPCC)やステンレス板(SUS304)から成っている。このアース板40は、少なくとも分離針17の先端から障壁なく見えるようにして(少なくともアース板40が分離針17の先端に向かって露出していて)、装置本体のアース部(不図示)に接続されている。これは、画像転写後のシート12に蓄積された静電気を、シート搬送時にアース板40で逃がすためであり、また、分離針17とアース板40との間に障壁があると、この障壁に静電気が蓄積されてシート12の搬送性が悪くなるためである。更に、分離針17とアース板40との間に障壁があると、この障壁に蓄積された静電気が分離針17と感光体ドラム2との間のコロナ放電の支障になるためである。このため、分離針17から障壁なく見えるようにしたアース板40により、分離針17と感光体ドラム2との間のコロナ放電をし易くし、放電効率を上げ、分離針17に印加する放電電圧を低くして放電均一性を向上させることができる。なお、このアース板40を設けないと、シート12に蓄積された静電気を除去することができないために、シート12上に形成されたトナー像を定着する際に、静電気が定着ローラに向けて放出されるため、トナーが飛散してしまい、所謂「静電飛散」という画像品質の劣化が起こる。
図6は、分離針17と上流側壁部27の関係を示す図である。
この図6において、分離針17と上流側壁部27との最短距離をa(mm)として表している。ジャム処理時には、作業者は感光体ドラム2と上流側壁部27間に手を入れてシート12を引き出すが、分離針17と上流側壁部27間の距離aが大きいと、これらの間に指が入り込む虞が生じる。そして、この最短距離aの最適値は、後述する実験により求める。
(実験の結果)
この実験では、分離針17と上流側壁部27間の距離aを変化させて、ジャム処理時における安全性の実験を行った。また、分離針17,17間の寸法W1、及び上流側壁部27のリブ31と分離針17間の寸法W2を変化させて、シート12の感光体ドラム2からの分離性と、放電電圧による感光体ドラム2の絶縁破壊について実験を行った。その測定結果を図7に示している。
この図7に示す安全性は、ジャム処理時にシート12を取り除く際に、分離針17と上流側壁部27の間に作業者の指が入るか否かで評価しており、分離針17と上流側壁部27との最短距離aの寸法によって決定される。そして、分離針17と上流側壁部27の間に、容易に指が入らない場合は○の評価をし、分離針17と上流側壁部27の間に、容易に指が入る虞がある場合は作業者が怪我をする可能性があるので×の評価をしている。
また、図7に示す分離性は、シート12の搬送性で判断し、転写済みのシート12が分離爪18に衝突して、シート12に転写されたトナー像に分離爪18の爪跡がついた場合には、転写されたトナー像に乱れを生じるので×の評価をする。評価は10000枚のハーフ画像をシート12に印刷して試験した。また、図7で◎と○はシート12に転写されたトナー像に分離爪18の爪跡がつかない場合で、◎は分離爪18と搬送されるシート12の最短距離の平均が10mm以上で分離爪18に接触するようなシート12がない場合を、○は分離爪18と搬送されるシート12の最短距離の平均が10mmより近いが分離爪18に接触するようなシート12がない場合を示している。この分離針17とシート12の間の間隔の測定は高速度ビデオを用いて1000枚のシート12に関して行った。図7で△はシート12に目視で許容できる程度の爪跡が10枚以下生じた場合、×は許容できないような爪跡が生じたシート12があるか、または許容できる程度ではあるが爪跡が11枚以上に生じた場合である。なお、他の評価も含めて評価には感光体ドラム2に巻き付く可能性の高い薄紙である坪量が64g/mのシート12を用いた。
また、図7に示す絶縁破壊は、シート12を50万枚の5%の印字率の文字画像を印刷したときに、分離に起因して感光体ドラム2の保護層の絶縁破壊に伴う画像黒点が、シート12に発生するか否かで判断した。この絶縁破壊は、分離針17の通紙幅方向における放電を均一化することにより防止できるとされている。そして、以下の測定方法でトナー像に画像黒点が発生しなければ○の評価をし、画像黒点が1枚のシートに5点以下の場合を△、6点以上発生した場合には×の評価をしている。画像黒点の測定方法は50万枚目以降5枚のシート12に何も印刷せずに出力し、シート12上の黒点数をドットアナライザー(王子計測機器株式会社製、DA−5000S)を用いてカウントし、感光体膜の絶縁破壊を評価した。測定した黒点数の測定範囲はA4横方向、210mm×5mmの領域とし5枚の平均を求めた。
さらに、図7に示す静電飛散は、上記の絶縁破壊の試験時に抜き取りで500枚チェックし、文字部の周りにトナーが飛散しているかどうかを目視で確認し、静電飛散が認められない場合を○、静電飛散が認めらるシート12が5枚以下を△、静電飛散が認められるシート12が5枚を超える場合を×とした。
なお、本実施の形態で使用されるアモルファスシリコン系の感光体ドラム2は、その表面に電荷保持の役割を兼ねた保護層がある。この感光体ドラム2の保護層は、その厚さが約1μmであって、その耐電圧が数百Vである。それゆえ、膜厚の大きな有機感光体ドラムと比較して、絶縁破壊が生じ易く、高精度の設計が要求される。そして、このような感光体ドラム2において、多数枚のシート12を感光体ドラム2から分離する際に、放電電圧によって保護層が破壊されると、その表面に帯電電荷を保持できなくなるので、その部分にトナーが付着し、画像上に不要な黒点が生じ短寿命化することが知られている。
この図7によれば、アース板40を設け、分離針17,17間の寸法W1が、7≧W1≧2であり、かつ、リブ31と分離針17との最短距離W2(mm)が、4≧W2≧2であれば、分離性と絶縁破壊の評価は良好である。この条件であれば、長期使用においてもコロナ放電が均一となり、放電ムラが生じないで分離性が良好となる。これにより、分離針17に印加する放電電圧を低くすることができ、絶縁破壊も生じなくなる。また、分離針17と上流側壁部27との最短距離a(mm)が、1.0≧a≧0.5であれば、分離針17と上流側壁部27間に作業者の指が入らないで安全である。
なお、アース板40の無い比較例1では、W1とW2が上述の範囲内であったとしても、分離針17の周囲の電界が不安定になるため、分離性の評価は×となる。また絶縁破壊の評価が×となるが、その理由は分離針17の周囲の電界が不安定であるため、局所的に電界密度が高くなって分離針17と感光体ドラム2との間で放電が生じ、絶縁破壊が発生するものと考えられる。さらに、転写工程や分離工程などにおいてシート12に蓄積した静電気を除去することができないために静電飛散に関しても×の評価になっている。
また、比較例2では、アース板40は設けられているがアース板40と分離針17の先端の間に障壁がある場合には、アース板40が無い場合と同様に分離針17の周囲の電界が不安定であるため、W1とW2が上述の範囲内であったとしても、分離性と絶縁破壊がともに×の評価となっている。また、比較例3に示すように、7≧W1≧2かつ4≧W2≧2の範囲から若干W1とW2が外れた値の分離針17を用いたとしても、評価は△にとどまり、実用的には支障のないレベルとなっている。ここで、W1とW2が例えば15mm等極端に大きい場合は、分離針17の間の電界が弱くなるので分離性能に支障をきたすことは言うまでもない。また、W1とW2が1mm以下など極端に小さい場合は、分離針17からの放電が不安定となってしまい、感光体ドラム2に絶縁破壊を起こす虞があり分離針17を製作することが困難になる。
本発明の一実施例を図2に基づき説明する。この図2は本実験に用いた構成を示すものである。本実施例において、アモルファスシリコン系感光体ドラム2の直径Dを30mmとし、転写ローラ14の直径dを15.75mmとしている。そして、転写ローラ14を感光体ドラム2側に0.2mm程度くい込ませて、転写ローラ14と感光体ドラム2との間にニップ部Pが生じるようになっており、このニップ部Pが転写位置となる。転写ローラ14は、電気抵抗が7.0(logΩ)でゴム硬度(アスカC)が35°の材料(例えば、導電性カーボンブラック等を配合したEPDM)で形成されている。
また、図2の水平線L2に対し、感光体ドラム2の回転中心と転写ローラ14の回転中心を結ぶ線L3がなす角度αは30度、シート12がニップ部Pに進入する角度θは60度となっている。そして、分離針17の先端は、感光体ドラム2の回転中心から垂直方向にv=2.29mmに位置し、且つ、感光体ドラム2の表面から水平方向にh=7.43mmに位置している。
そして、感光体ドラム2の線速を135mm/sec、感光体ドラム2の現像位置における表面電位を250V、転写出力を50μA(定電流)、分離針17に印加される分離出力を40μA(定電流),約4.8KVに設定されている。また、現像バイアスは、直流150Vが印加されると共に、交流1.7KV・3KHzが印加されるようになっている。
なお、本実施例に示す各数値は、本発明の一実施例を示すものであり、これに限定されるものではない。
この発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に広く適用できる。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 分離手段、感光体ドラム及び転写ローラとの関連を示す構成図である。 分離針の正面図である。 分離手段の搬送部の斜視図である。 同上の要部拡大図である。 上流側壁部と分離針との位置関係を示す図である。 実験の結果を示す図である。 第1の従来例を示す画像形成装置の一部構成図である。 第2の従来例を示す画像形成装置の一部構成図である。 第3の従来例を示す画像形成装置の一部構成図である。
符号の説明
1……画像形成装置、2……感光体ドラム、12……シート、14……転写ローラ、16……分離手段、17……分離針、23……搬送部、26……搬送板、27……上流側壁部、31……リブ、40……アース板

Claims (3)

  1. トナー像を担持して回転する像担持体と、
    この像担持体との間を通過するシート状の記録媒体に転写電流を印加し、トナー像を前
    記記録媒体に転写する転写手段と、
    この転写手段よりも記録媒体搬送方向下流側に位置し、記録媒体搬送方向に対して直交
    する方向に沿って複数配置された分離針に分離電圧が印加されると、前記記録媒体を除電
    して前記像担持体から分離する分離手段と、
    を備えた画像形成装置において、
    前記分離針よりも記録媒体搬送方向下流側に前記記録媒体の搬送部を備え、
    この搬送部は、記録媒体搬送方向に対して直交する方向に配置されて前記記録媒体の搬
    送をガイドする複数の搬送板と、この複数の搬送板間に配置された導電性部材とを有し、
    分離電圧が印加される前記分離針の先端から記録媒体搬送方向下流側を見た場合に、前
    記導電性部材が障壁なく見えるようになっており、
    前記導電性部材が装置本体のアース部に接続されている、
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記複数の分離針間の距離をW1(mm)とすると、7≧W1≧2となるように前記W
    1が決定され、
    前記複数の分離針間に、前記分離針に前記記録媒体が引っかからないように前記記録媒
    体の搬送をガイドするリブを配置し、このリブと前記分離針との最短距離をW2(mm)
    とすると、4≧W2≧2となるように前記W2が決定されている、
    ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記像担持体がアモルファスシリコンで形成されたことを特徴とする請求項1又は2に
    記載の画像形成装置。
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