JP4573581B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

この発明は、複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置に関するものであり、詳しくは、トナー像転写後のシート状の記録媒体を像担持体から除電分離し易くした画像形成装置に関するものである。
一般に、電子写真方式の複写機,プリンター,ファクシミリ等の画像形成装置は、感光体ドラムや中間転写体等である像担持体の表面にトナー像が形成または転写され、その像担持体の表面に形成または転写されたトナー像をシート状の記録媒体(コピー用紙やプラスチックフィルム等)に転写した後、その記録媒体を分離手段によって像担持体の表面から分離し、その像担持体から分離した記録媒体を定着手段に送り込み、この定着手段によってトナー像を記録媒体に定着した後、その定着後の記録媒体を排出トレイや両面印刷用の中間トレイ等に搬送するようになっている。
このような画像形成装置の分離手段としては、例えば、図8に示すような除電分離方式のもの(特許文献1参照)、図9に示すような除電分離方式のもの(特許文献2参照)、図10に示す除電分離方式のもの(特許文献3参照)が知られている。このうち、図8及び図9に示す分離手段100,101は、分離針102,103を記録媒体搬送方向上流側に位置する上流側壁部104,105と記録媒体搬送方向下流側に位置する下流側壁部106,107とにより保持するようになっており、分離針102,103を記録媒体搬送方向に対して直交する方向(以下、通紙幅方向と略称する)に複数配置するようになっている。また、図10に示す分離手段108は、像担持体114と対向して配置された転写帯電器109のシート搬送方向の下流側に、像担持体114の長手方向に沿って所定間隔で複数の放電先端部110aを有する分離針110が配列されていて、この分離針110に電圧が印加されると、分離針110から放電電流が流れて記録媒体112が像担持体114から分離されるようになっている。
このような画像形成装置の分離手段100,101,108のうち、特許文献1に開示された分離手段100は、トナー像が記録媒体111に転写された後、所定のタイミングで分離針102に分離電圧が印加されると、分離針102と像担持体113との間でコロナ放電を生じさせて、転写ローラ117による転写作業で記録媒体111に帯電した静電気を除電し、記録媒体111をそれ自体の腰の強さや自重等により像担持体113から分離させるようになっている。
また、特許文献2に開示された分離手段101は、記録媒体115の裏面側からアースされた分離針103側に過剰な電荷を放電させ、転写ローラ120による転写作業で記録媒体115に帯電した静電気を除電するようになっている。このような、従来から知られている特許文献2に開示されたような分離手段101を使用した場合であっても、記録媒体115自体の腰が強い場合には、記録媒体115と像担持体116との除電分離を良好に行うことが可能であった。
更に、特許文献3に開示された分離手段108は、像担持体114上のトナー像が記録媒体112上に転写された後、記録媒体112が像担持体114から分離されるが、この時の分離条件として、分離針110に所定電圧を印加し、分離針110と像担持体114との間隔等を所定値にすると、転写帯電器109によって転写コロナが発生したときに周囲のインピーダンスが変動して分離針110から放電電流が観測され、記録媒体112が像担持体114から良好に分離される。
ところで、近年、資源を有効利用し、環境保護を図るという観点から、記録媒体の両面に印刷することが多くなっている。このような記録媒体の両面に印刷を施す場合において、従来の特許文献2に開示されたような分離手段101では良好に記録媒体115を像担持体116から分離できない虞がある。ここで、記録媒体115の両面に印刷する態様としては、記録媒体115の一方の面に印刷した後、両面印刷ユニット等を使用し、片面印刷済みの記録媒体115を表裏反転し、記録媒体115の印刷していない他方の面にも連続して印刷を施すような両面印刷はもちろんのこと、片面印刷した後のコピー紙等を記録媒体115として再利用し、その再利用する記録媒体115の未印刷面に印刷を施すような態様もある。
すなわち、このような両面印刷を施す場合には、コピー用紙等の記録媒体115のカール(湾曲変形)が片面印刷のみの記録媒体115のカールに比較して大きくなりやすく、その記録媒体115のカールが感光体ドラム等の像担持体116側に巻き付きやすいものである場合(像担持体116側に向かってカールしている場合)に、そのカールが大きくなった分だけ像担持体116から分離しにくくなり、記録媒体115が像担持体116側に巻き上げられ、ジャム(紙詰まり)等の不具合を生じる虞がある。
このような不具合を解消するためには、例えば、特許文献1及び特許文献3の分離手段100、108において、分離針102、110に転写電流と逆極性の電圧を印加し、分離針102、110と像担持体113、114との間でコロナ放電させることによって記録媒体111、112を除電し、像担持体113、114からの記録媒体111、112の分離効率を上げるようにすることが有効である。
特開平9−218623号公報 特開平8−137358号公報 特公平7−40158号公報
しかしながら、特許文献1の分離手段100において、上流側壁部104及び下流側壁部106が絶縁性樹脂で形成されていると、分離針102と像担持体113との間に生じるコロナ放電によって絶縁性樹脂製の上流側壁部104及び下流側壁部106が帯電し、複数の分離針102の回りの電界(通紙幅方向における電界)が通紙幅方向の位置により不均一になることがある。この際、各分離針102への印加電圧を高くして、記録媒体111の所望の分離性能を得ようとすると、分離針102と像担持体113との間で異常放電が発生し、感光体ドラム等の像担持体113の絶縁破壊を生じる虞がある。
同様に、特許文献3の分離手段108においても、分離針110と像担持体114との間隔等を所定の値にして、放電電流を発生させるようにしたのでは、転写帯電器109や分離針110への印加電圧の値によっても分離条件が変動し、不安定である。
そこで、本発明は、分離手段の放電効率を上げることで放電電圧を下げ、かつ分離手段の通紙幅方向の放電を均一化して、像担持体の絶縁破壊を防止し、記録媒体を像担持体から良好に分離できるようにした画像形成装置を提供する。
請求項1の発明は、(1)トナー像を担持して回転する像担持体と、(2)この像担持体との間を通過するシート状の記録媒体に転写電流を印加し、トナー像を前記記録媒体に転写する転写手段と、(3)この転写手段よりも記録媒体搬送方向下流側に位置し、記録媒体搬送方向に対して直交する方向に沿って複数配置された分離針に分離電圧が印加されると、前記像担持体と前記分離針との間で放電させ、前記転写手段によって帯電させられた前記記録媒体を除電して前記像担持体から分離する分離手段と、を備えている。このうち、前記分離手段が前記分離針を内部に収容する放電分離部ホルダを有している。
また、この放電分離部ホルダは、前記記録媒体を搬送可能に支持する搬送ガイドと、前記分離針よりも記録媒体搬送方向上流側に離間して位置する上流側壁部と、前記分離針よりも記録媒体搬送方向下流側に離間して位置する下流側壁部と、を有している。そして、下流側壁部の分離針に面していない背面側には、アース電極を配置した。このアース電極は、分離針の先端と下流側壁部の先端とを結ぶ線よりも像担持体側に突出するように、且つ、前記搬送ガイドを越えて前記像担持体側に突出しないようにすると共に、前記放電分離部ホルダに蓄積された静電気を逃がすようにした
請求項2の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記分離針間の寸法をW1(mm)とすると、前記各分離針が7≧W1≧2となるように配置されていることを特徴とする。
請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の画像形成装置において、前記複数の分離針間に、前記分離針に前記記録媒体が引っかからないように、前記記録媒体の搬送をガイドするリブを配置し、このリブと前記分離針の先端との最短距離の寸法が1mm〜4mmとなるように、前記分離針と前記リブが位置していることを特徴としている。
請求項4の発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記像担持体がアモルファスシリコンで形成されたことを特徴としている。
本発明によれば、分離手段の放電効率を上げることで放電電圧を下げ、放電の安定化を図ることができ、かつ通紙幅方向の放電を均一化することができるため、像担持体の絶縁破壊に伴う画像品質の低下(黒点の発生)を防止することができる。しかも、本発明によれば、記録媒体を像担持体から良好に放電分離することができ、定着前の画像を乱すようなことがなく、高品質の画像形成が可能になる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき詳述する。
(画像形成装置の構造)
図1は、本実施の形態に係る画像形成装置1の概略構成を示すものであり、この図1において感光体ドラム(像担持体)2は、図の矢印Aの方向に回転し、帯電手段3によって表面が一様に帯電され、制御手段4からの制御信号に基づき作動する露光手段5によってレーザー光が照射され、その表面に静電潜像が形成された後、その表面に現像手段6によって現像剤としてのトナーが供給され、静電潜像がトナー像として可視化される。
そして、給紙トレイ7,8から給紙ローラ10,11によって送り出されたシート状の記録媒体(コピー用紙、プラスチックフィルム等であり、以下単にシートという)12が、レジストローラ13によって感光体ドラム2と転写ローラ(転写手段)14との間の転写位置Pに送り込まれる。転写ローラ14は、トナーと逆極性の転写バイアスをシート12に印加することにより、感光体ドラム2の表面に付着したトナー像を転写位置(本実施の形態においては感光体ドラム2と転写ローラ14のニップ部)Pでシート12に転写する。なお、感光体ドラム2は、シート12に転写されずに表面に残留したトナーがクリーニング手段15によって取り除かれるようになっている。また、感光体ドラム2としては、アモルファスシリコン系のものが使用されている。
転写位置Pよりもシート搬送方向下流側の所定位置には、分離手段16が配置されている。この分離手段16は、後に詳述するように、分離針(分離電極部)17に分離電圧が印加されることにより、感光体ドラム2との間にコロナ放電を生じさせ、シート12を感光体ドラム2から除電分離する。また、感光体ドラム2の周囲で、且つ、分離手段16とクリーニング手段15との間には、分離手段16で分離できなかったシート12を感光体ドラム2の表面から剥がして分離する分離爪18が配置されている。
分離手段16によって感光体ドラム2から除電分離されたシート12は、定着手段20に送り込まれ、定着手段20によって加熱・加圧されて、トナーが定着される。そして、定着手段20から送り出されたシートは、排紙ローラ21によって排紙トレイ22に排出され、排紙トレイ22上に積載される。
図2は、分離手段16の詳細を示すものである。この図2において、分離手段16は、放電分離部ホルダ23内に分離針17が保持されている。この放電分離部ホルダ23は、転写ローラ14を回転可能に支持する転写ハウジング24と、板状のスペーサ25と、搬送ガイド26とを備えている。また、放電分離部ホルダ23は、転写ハウジング24の上流側壁部27にスペーサ25を貼り付け、このスペーサ25と搬送ガイド26の下流側壁部28との間に略板状の分離電極部30を挟んだ状態で保持するようになっている。
また、本実施の形態では、下流側壁部28の分離針17に面していない背面側に、この分離針17の先端と下流側壁部28の先端とを結ぶ線よりも感光体ドラム2側に突出するようにアース電極33を配置している。そして、アース電極33の先端と分離針17の先端とを結ぶ直線上には何らの障壁も存在しないようにしている。
分離電極部30は、導電性材料(例えば、SUS304等)で形成されており、少なくとも、印刷に使用されるシート12のうちの最大寸法のシートの通紙幅方向寸法(シート12の搬送方向と直交する方向の寸法)と同様の長さ寸法に形成されている。そして、この分離電極部30の感光体ドラム2側の端縁には、通紙幅方向に複数の分離針17が突出形成されている(図3参照)。この分離針17は、通紙方向に沿って見た形状が略三角形状であり(図3参照)、感光体ドラム2側に向かうにしたがって収斂し、その先端と感光体ドラム2との間で放電が生じるようになっている。
また、この分離針17の先端は、感光体ドラム2の直径を1とした場合に、感光体ドラム2の回転中心から垂直方向上側(略シート搬送方向下流側)にv=0.05〜0.06(好ましくは、v=0.057)だけ離れた位置に配置され、且つ、感光体ドラム2の表面から水平方向にh=0.18〜0.27(好ましくは、h=0.21)だけ離れた位置に配置されている。また、図3に示す複数の分離針17,17間の寸法W1の最適値を、後述の実験により求めた。
アース電極33は、基端側が装置本体のアース部(図示せず)に接続されていて、下流側壁部28から感光体ドラム2側に向けて突出されていると共に、その先端側は、例えば通紙方向に沿って見た形状が平板状となっている。このアース電極33は、搬送ガイド26と干渉しないようにするため、必要に応じて切り欠いても良い。このアース電極33は、放電分離部ホルダ23に蓄積された静電気を逃がし、分離針17と感光体ドラム2との間でのコロナ放電をし易くし、放電効率を上げ、分離針17に印加する放電電圧を低くして放電均一性を向上させ得る。そして、アース電極33の先端側は、分離針17の先端側から見える程度に下流側壁部28の先端から突出されていて、アース電極33の先端と分離針17の先端とを結ぶ直線上には何らの障壁も存在しないようにする。但し、アース電極33の先端とシート12とが接触しないように、アース電極33の先端は搬送ガイド26を越えて感光体ドラム2側に突出するまでは延長されていない。もしも、アース電極33の先端がシート12と接触すると、シート12の搬送性が不安定になるからである。
図4(a)〜(c)は、上述したアース電極33の先端の断面形状を示すもので、同図(a)のように、先端部33aの形状を切断して面取りしたものでも良いが、好ましくは、同図(b)のように先端部33aを外側に折って密着させたもの(ヘミング曲げ)や、同図(c)のように先端部33aを外側に鋭角に折曲したもの(鋭角曲げ)が良い。これは、切断して面取りしたものよりも、上述したヘミング曲げや鋭角曲げの方が、より安全性の向上が図られるためである。
なお、アース電極33の先端部33aを、切断したままの形状とした場合は、分離針17と同様に、通紙方向に沿って見た形状を略三角形状とすることもできる。また、本実施の形態では、アース電極33を下流側壁部28に配置した場合について説明したが、これに限らず、転写ローラ14に印加した転写電流が流れ込む虞がない場合には、アース電極33を上流側壁部27に配置しても良い。
搬送ガイド26は、シート12の通紙幅方向の寸法(はがき大、B5、A4、B4、A3等の通紙幅方向寸法)に応じ、シート搬送方向に延びるリブ31が複数形成されている(図3参照)。この搬送ガイド26のリブ31は、シート12が分離針17に接触することがないように、搬送される(印刷に使用される)各種のサイズのシート12を支持できるように、印刷に使用されるシート12のサイズに対応するように、通紙幅方向に複数配置されている。この搬送ガイド26のリブ31は、分離針17,17間の切り欠き32に係合されるようになっており、図3に示す分離針17の先端との通紙幅方向の寸法W2a,W2bの最適値を後述する実験により求めた。
(分離手段のシート搬送方向に沿った構成)
次に、どのようにして、分離針17に印加する放電電圧を下げ、かつ分離手段16の分離針17の通紙幅方向における放電を均一化して感光体ドラム2の絶縁破壊を防止したか、また、シート12を感光体ドラム2から分離可能として、作業者がジャム処理時等に分離手段16の分離針17で怪我をしないようにしたかを説明する。尚、この分離手段のシート搬送方向に沿った構成の検討において、図3に示すW1,W2a,W2bの各寸法は、W1=4mm、W2a,W2b=1〜4mmとした。
先ず、図5は、上流側壁部27及び下流側壁部28、分離針17、アース電極33の関係を示す図である。この図5において、分離針17は、上流側壁部27及び下流側壁部28との位置関係のうち、上流側壁部27との最短距離をa(mm)とし、下流側壁部28との最短距離をb(mm)とし、上流側壁部27の先端と下流側壁部28の先端とを結ぶ線L1とその先端(分離針17の先端)との最短距離をc(mm)として表している。また、下流側壁部28の分離針17に面していない背面側に、分離針17の先端と下流側壁部28の先端とを結ぶ線よりも感光体ドラム2側に突出するようにアース電極33を配置している。
次いで、アース電極33を取り付けた場合と取り付けない場合、及び上記各寸法a,b,cの各数値を変えて、ジャム処理時における安全性、感光体ドラム2からのシートの分離性、絶縁破壊に伴う黒点発生の状況による感光体ドラム2の寿命について測定した結果を図6の表に示している。
この図6の表に示す安全性は、ジャム処理時に上流側壁部27と下流側壁部28の間に作業者の指が入るか否かで評価しており、上流側壁部27と下流側壁部28との間に指が入らない場合は○の評価をし、上流側壁部27と下流側壁部28との間に指が入る場合は作業者が怪我をする可能性があるので×の評価をしている。
また、図6の表に示す分離性は、転写済みのシート12が分離爪18に衝突して、シート12に転写されたトナー像に分離爪18の爪跡がついた場合には、転写されたトナー像に乱れを生じるので×の評価し、シート12に転写されたトナー像に分離爪18の爪跡がつかない場合には○の評価をしている。
また、図6の表に示す寿命(絶縁破壊による寿命)は、放電している分離電極部30が80%以上である場合には、評価を◎とし、放電している分離電極部30が60%以上80%未満である場合には、評価を○としている。この評価◎,○は、共に絶縁破壊に伴う黒点が画像に発生することがない。また、放電している分離電極部30が30%以下の場合には、絶縁破壊に伴う黒点が画像に目立って生じることがあるため、評価を×としている。なお、放電している分離電極部30が30%を越え60%未満の場合には、絶縁破壊に伴う黒点が画像に生じるおそれがあるため、評価が△となる。
本実施の形態で使用されるアモルファスシリコン系の感光体ドラム2は、その表面に電荷保持の役割を兼ねた保護層がある。この感光体ドラム2の保護層は、その厚さが約1μmであって、その耐電圧が数百Vである。それゆえ、膜厚の大きな有機感光体ドラムと比較して、絶縁破壊が生じ易く、高精度の設計が要求される。そして、このような感光体ドラム2において、その保護層が破壊されると、その表面に帯電電荷を保持できなくなるので、その帯電電荷を保持できなくなった部分にトナーが付着し、画像上に不要な黒点が生じ短寿命化することが知られている。
この図6の表の「実施例」に示すように、画像形成装置1は、アース電極33を有する場合は、a≧0.5及びb≧1で、且つ、4≧a+b≧2の条件を満たし、更に、2≧c≧0の条件を満たす構成を採用すれば、安全性,分離性及び寿命(絶縁破壊による寿命)のいずれに関しても、良好な効果を得ることができる。なお、アース電極33の無い比較例1では、アース電極33を有する場合と同じ条件としても、安全性、分離性、寿命(絶縁破壊による寿命)のいずれかにおいて不適当(評価が×)となっており、所望の効果が得られない。また、比較例2によると、アース電極33が有る場合でも、上記条件を満たさなければ、安全性,分離性、寿命のいずれかで不適当(評価が×)となる。本実験によって、アース電極33を設けたほうが設けない場合より他の条件が同じでも良好な結果が得られることが判明した。
(分離手段の通紙幅方向に沿った構成)
また、本実施の形態では、下流側壁部28の背面側にアース電極33を取り付け、かつ分離手段16の通紙幅方向に所定間隔で配置された分離針17,17間の寸法及び分離針17への印加電圧を工夫して、分離針17の放電効率を向上させ、シート12の感光体ドラム2からの分離性向上のための実験を行い、その実験結果を画像形成装置1に適用した。なお、本実験において、図5のa,b,cの各寸法は、a=2mm、b=2mm、c=0mmとした。
先ず、図7の表は、分離針17へ印加する放電出力を40μAとして、分離針17,17間の寸法W1を変えると共に、アース電極33の有無、並びに放電電圧を変えて、分離性及び放電均一性を測定した結果を示すものである。この表において、分離性は、シート12の搬送性で判断し、未転写のシート12を用いて分離するか否かを判断基準とした。また、放電均一性は、分離手段16に対向する電極としてのアルミ管への軸方向の放電分布を測定して判断した。
この図7の表によれば、分離針17,17間の寸法をW1(mm)とすると、W1を大きくする程、放電電圧は低くて良いことがわかる。また、アース電極33を取り付けた場合は、取り付けない場合に比較して、寸法W1が同じであれば、放電電圧を略500Vほど下げることができる。放電電圧が低くて済むということは、その分、絶縁破壊に伴う黒点を生じにくくなるため、高品質の画像形成が可能になる。
また、分離針17,17間の寸法W1は、7≧W1≧2であれば、転写後における感光体ドラム2からのシート12の分離性及び放電均一性が良好である。例えば、比較例1(W1=1)と実施例(W1=2)では、アース電極33があっても、比較例1(W1=1)ではW1の条件を満たさず放電均一性が不適当(評価が×)であるが、W1の条件を満たす実施例(W1=2)では放電均一性も含めてOKである。また、比較例1(W1=2)では、アース電極33が無いため、W1の条件を満たしても放電均一性が不適当(評価が×)である。更に、比較例2(W1=8)と実施例(W1=7)では、アース電極33があっても、比較例2(W1=8)ではW1の条件を満たさず分離性が不適当(評価が×)であるが、W1の条件を満たす実施例(W1=7)では放電均一性も含めてOKである。本実験によって、アース電極33を設けたほうが設けない場合より他の条件が同じでも良好な結果が得られることが判明した。
上述した本実施の形態において、アース電極33はその先端形状を鋭くせず、例えば外側に略180度折曲して密着させるヘミング曲げや鋭角曲げ等にすることで、より一層安全性の向上が図られる。更に、分離針17は、板状の分離電極部30に略三角形状の分離針17を一体形成する構成であるため、分離針17を一本づつ各別々に形成する場合に比較し、部品点数を削減でき、組立工数を削減することができる。
本発明の一実施例を図2に基づき説明する。本実施例において、アモルファスシリコン系感光体ドラム2の直径Dを40mmとし、転写ローラ14の直径dを21.5mmとしている。そして、転写ローラ14を感光体ドラム2側に0.2mm程度くい込ませて、転写ローラ14と感光体ドラム2との間にニップ部Pが生じるようになっており、このニップ部Pが転写位置となる。転写ローラ14は、電気抵抗が7.0(logΩ)でゴム硬度(アスカC)が35°の材料(例えば、導電性カーボンブラック等を配合したEPDM)で形成されている。
また、図2の水平線L2に対し、感光体ドラム2の回転中心と転写ローラ14の回転中心を結ぶ線L3がなす角度αは30度、シート12がニップ部Pに進入する角度θは60度となっている。そして、分離針17の先端は、感光体ドラム2の回転中心から垂直方向にv=2.29mmに位置し、且つ、感光体ドラム2の表面から水平方向にh=7.43mmの位置している。更に、下流側壁部28の分離針17に面していない側壁部にアース電極33を配置した。
そして、感光体ドラム2の線速を178mm/sec、感光体ドラム2の現像位置における表面電位を250V、転写出力を50μA(定電流)、分離針17に印加される分離出力を40μA(定電流),約4.8KVに設定されている。また、現像バイアスは、直流150Vが印加されると共に、交流1.7KV・3KHzが印加されるようになっている。
また、上流側壁部27及び下流側壁部28と分離針17との関係は、図5に示す寸法aを2mmとし、bを2mmとし、a+b=4mmとし、cを0mmとした。また、図3に示す寸法W1を4mmとした。
このように構成した本実施例の画像形成装置1は、分離針17へ印加する放電電圧を5.5KV以下とし、分離手段16の分離針17の通紙幅方向における放電を均一化することができ、アモルファスシリコン系の感光体ドラム2の絶縁破壊を効果的に防止することができる。しかも、本実施例の画像形成装置1によれば、シート12を感光体ドラム2から良好に放電分離することができ、定着前の画像を乱すことがなく、高品質の画像形成が可能になる。さらに、本実施例の画像形成装置1によれば、作業者がメンテナンス時等に分離手段16の分離針17で怪我をするのを効果的に防止できる。すなわち、本実施例によれば、安全性及び分離性に優れ、しかも絶縁破壊の虞もない、高品質の画像形成が可能になる画像形成装置1を提供することができる。
なお、本実施例に示す各数値は、本発明の一実施例を示すものであり、これに限定されるものではない。
この発明は、電子写真方式の複写機、プリンタ、ファクシミリ、これらの複合機等の画像形成装置に広く適用できる。
本発明の実施の形態に係る画像形成装置の概略構成図である。 分離手段、感光体ドラム及び転写ローラとの関連を示す構成図である。 分離手段の分離針の形状をシート搬送方向に直交する方向から見た図であり、分離針の正面図である。 (a)(b)(c)は、それぞれアース電極の先端の断面形状を示す図である。 上流側壁部及び下流側壁部と分離針との位置関係を示す図である。 分離手段のシート搬送方向に沿った構成に関する実験結果を表で示す図である。 分離手段の通紙幅方向に沿った構成に関する第1の実験結果を表で示す図である。 第1の従来例を示す画像形成装置の一部構成図である。 第2の従来例を示す画像形成装置の一部構成図である。 第3の従来例を示す画像形成装置の一部構成図である。
符号の説明
1……画像形成装置、2……感光体ドラム(像担持体)、12……シート(記録媒体)、14……転写ローラ(転写手段)、16……分離手段、17……分離針、27……上流側壁部、28……下流側壁部、31……リブ、33……アース電極

Claims (4)

  1. トナー像を担持して回転する像担持体と、
    この像担持体との間を通過するシート状の記録媒体に転写電流を印加し、トナー像を前記記録媒体に転写する転写手段と、
    この転写手段よりも記録媒体搬送方向下流側に位置し、記録媒体搬送方向に対して直交する方向に沿って複数配置された分離針に分離電圧が印加されると、前記像担持体と前記分離針との間で放電させ、前記転写手段によって帯電させられた前記記録媒体を除電して前記像担持体から分離する分離手段と、
    を備えた画像形成装置において、
    前記分離手段が前記分離針を内部に収容する放電分離部ホルダを有し、
    この放電分離部ホルダは、前記記録媒体を搬送可能に支持する搬送ガイドと、前記分離針よりも記録媒体搬送方向上流側に離間して位置する上流側壁部と、前記分離針よりも記録媒体搬送方向下流側に離間して位置する下流側壁部と、を有し、
    前記下流側壁部の前記分離針に面していない背面側にはアース電極を配置し、
    前記アース電極は、前記分離針の先端と前記下流側壁部の先端とを結ぶ線よりも前記像担持体側に突出するように、且つ、前記搬送ガイドを越えて前記像担持体側に突出しないようにすると共に、前記放電分離部ホルダに蓄積された静電気を逃がすようにした
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 前記分離針間の寸法をW1(mm)とすると、前記各分離針が7≧W1≧2となるように配置されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 前記複数の分離針間に、前記分離針に前記記録媒体が引っかからないように、前記記録媒体の搬送をガイドするリブを配置し、このリブと前記分離針の先端との最短距離の寸法が1mm〜4mmとなるように、前記分離針と前記リブが位置していることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 前記像担持体がアモルファスシリコンで形成されたことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
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