JP5046138B2 - アタッチメントホースのクランプ構造 - Google Patents

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Description

本発明は、油圧ショベルなどの建設機械において、アタッチメント作動用に配索されたアタッチメントホースのクランプ構造に関する。
図5〜図6に従来技従の油圧ショベルを示す。
図5(a)は油圧ショベルの側面図であり、図5(b)は油圧ショベルの平面図であって、参考として機器のレイアウトが分かるようにカバー類を適宜削除している。
図6(a)はアタッチメントを下方に倒したときの側面図であり、図6(b)はアタッチメントを上方に起こしたときの側面図である。図6も本発明の説明に不要な機器は適宜削除している。
図5において、アタッチメント4はブーム4a、アーム4b、バケット4cで構成されており、ブーム4aはメインフレーム5に構成された左右一対の縦板6の間に貫通支持されているピンを軸として回動自在に取付けられており、アーム4bはブーム4aに、バケット4cはアーム4bにそれぞれとピンを軸として回動自在に取付けられている。(特に注釈しない限り、図5(a)(b)に示した方向を用いて説明する。)
アタッチメント4は、それぞれブーム4a、アーム4b、バケット4cに備えられた油圧シリンダ9a、9b、9c(以下、これらをまとめて油圧シリンダ9という)をそれぞれ伸縮させることで上下に起伏し、油圧シリンダ9の伸縮は油圧コントロールバルブ10で制御された圧油が油圧ホース12(以下「アタッチメントホース12」とする)を介して給排されることで制御されている。
例えば、後方小旋回タイプの油圧ショベル1では、機械の後ろ側に機器配置のスペースが十分確保できないことから、油圧コントロールバルブ10は機械右側に配置されているため、一部のアタッチメントホース12は油圧コントロールバルブ10から縦板6の上側を越えて、アタッチメント4に近接し、その後はアタッチメント4に沿って油圧シリンダ9まで配索されることとなる。
また、油圧コントロールバルブ10は外観から直視できないようにガード11等で覆い、土砂からの保護や油圧コントロールバルブ10自体の駆動音の発散防止としている。(以下、ガード11内の油圧コントロールバルブ10の周辺域を「バルブ室11」とする)
アタッチメントホース12はアタッチメント4の回動に追従して動くため可撓性を備えているが、無軌道に動いてアタッチメント4やガード11などに接触して破損しないように、メインフレーム5やアタッチメント4に様々な方法で固定されている。
油圧コントロールバルブ10を機械右側に配置された油圧ショベル1において、アタッチメントホースの固定箇所は少なくとも、図6(a)(b)に示すアタッチメント4の回動支点近傍(以下「クランプ位置A」とする)とブーム4a右側面(以下「クランプ位置B」とする)の2箇所で固定されている。また、AからBの間ではアタッチメントホース12はアタッチメント4の回動に追従して自由に挙動できることとなる。(AからBの間のアタッチメントホース12を「アタッチメント側ホース12a」とする)
なお、見栄え上の観点から、クランプ位置Aでのアタッチメントホース12のクランプ部材22の上面側とバルブ室ガード11の外面とは、略同一面となるようにレイアウトされ、さらにアタッチメントホース12のクランプ部材21とガード11との隙間には、インシュレーションやゴムラバー、トリムなどの弾性部材29で隙間詰めをしており、油圧コントロールバルブ10の駆動音が外部へ漏洩することを防止している。また、雨水や泥などがバルブ室11内へ侵入することも防止している。
また、アタッチメント4の回動支点と、アタッチメント側ホース12aの挙動基点(クランプ位置Aに相当)は異なるため、アタッチメント4の回動位置によって必要なアタッチメント側ホース12aの長さが異なってくる。例えば、個々のアタッチメントホース12に設定されている最小曲げ半径を考慮せずに、図6(a)(b)にそれぞれ示しているアタッチメント位置Cとアタッチメント位置Dでの最低限必要なホース長さ(実線)を、それぞれLc、Ldとすると「Lc−Ld」分の差が生じる。
しかし、実際にはアタッチメントホース12に設定されている最小曲げ半径を考慮しなければならないし、アタッチメント4の位置にかかわらずクランプ位置Aからクランプ位置Bまでのアタッチメント側ホース12aの長さは一定であるため、それらを考慮したアタッチメント側ホース12aの長さでの位置Cと位置Dのアタッチメント側ホース12aの配索ラインは、点線で示すようなものとなる。つまり、この差分が大きくなるほど、位置Dでのアタッチメント側ホース12aのたわみが発生しやすく、またアタッチメント側ホース12aと他部品(アタッチメント4やガード11など)やアタッチメント側ホース側12a同士での干渉が発生し易くなり、アタッチメント側ホース12aの破損が発生する恐れがある。
そのような破損を防ぐ為に、「Lc−Ld」の差分を小さくすればよいが、従来のホースクランプ構造21であると、ホースクランプ部材22はクランプ位置A、Bでそれぞれ縦板6とアタッチメント4に動かないように固定されており、例えば、図6(b)の実線で示すアタッチメント側ホース12a長さであるときに、アタッチメント4を位置Dから位置Cに回動させると、アタッチメント側ホース12aが図6(a)の点線に例示する配索ラインとなる。つまり、クランプ位置A付近でのアタッチメント側ホース12aが最小曲げ半径以下となるため、アタッチメント側ホース12aに過剰な負荷がかかりアタッチメント側ホース12aの破損が発生する。
特許文献1では、クランプ位置Aでのアタッチメントホース12の固定において、機械左右方向(アタッチメント4の回動軸と同方向)を支軸とした回動自在のホースクランプ構造21とすることにより、アタッチメント4の動きに追従したアタッチメント側ホース12aの挙動に応じたホースクランプ部材22の回動を可能としている。
そうすることで、従来のホースクランプ構造に比べてアタッチメント側ホース12aのたわみ量が低減し、かつアタッチメント側ホース12aの長さも短くすることができることが開示されている。
また、アタッチメント側ホース12aがたわむときの曲げ半径をなるべく大きくするために、クランプ位置Bはクランプ位置Aに対してできるだけ離れた位置に設定される。さらに、図6に示されるように油圧ショベル1の機器配置のバランスを考慮すると、油圧コントロールバルブ10からクランプ位置Aまでのホース長さより、クランプ位置Aからクランプ位置Bまでのホース長さのほうが長く設定される。
特開2008−7951
前述したように、後方小旋回タイプの油圧ショベル1は機器配置のスペース確保が難しく、機械の構成要件によってはバルブ室11内に十分なアタッチメントホース12配索のスペースが確保できないこともある。そのような場合、油圧コントロールバルブ10からクランプ位置Aまでのホース配索(以下、「バルブ側ホース12b」とする)も最小限の長さしか確保できなくなる。
そうなると、特許文献1に記載された回動ホースクランプ構造21では、以下に記載するような問題が懸念される。
1.アタッチメント側ホース12aの挙動によりホースクランプ部材22が回動しようとしても、バルブ側ホース12bが最小限であるため、ホースクランプ部材22の回動に合わせて挙動する余裕がバルブ側ホース12bになく、ホースクランプ部材22が回動できずクランプ位置A及びBでアタッチメント側ホース12aが屈曲するという、従来の固定ホースクランプと同様の問題がおきる。
2.1.とは逆に、アタッチメント側ホース12aの挙動によりホースクランプ部材22が回動できたとしても、特許文献1に記載の技術ではホースクランプ部材22の回動を制限する機構の開示が無い。つまり、ホースクランプ部材22の回動によりバルブ側ホース12bは引っ張りや曲げを受けるが、油圧コントロールバルブ10は固定されているため、それらの負荷はすべてバルブ側ホース12bにかかるため破損する恐れがあるし、油圧コントロールバルブ10に接触することも考えられる。(図7(a))
また、1.2.を鑑み、バルブ側ホース長さ12bをホースクランプ部材22の回動に対応可能な長さに配索できたとしても、次のような問題が考えられる。
3.整備等で油圧ショベル1の上に昇る必要があるため、バルブ室のガード11を利用しバルブ室内に向けて凹となった階段状のステップ13を構成している。そのため、ホースクランプ部材22の回動によってバルブ側ホース12bがたわみ、ステップ13や油圧コントロールバルブ10などの他部品に干渉し破損する恐れがある。(図7(b))
4.3.での干渉対策としてホースガードなどを取り付けることなどが挙げられるが、部品点数増加による組立性悪化やコストアップに繋がる。
また、ホースクランプ部材22自体の問題として、
5.ホースクランプの回動支持するための支軸14をホースクランプ部材22に貫通させて設けていることから、従来の固定クランプ寸法Eより支軸14の貫通に必要なスペースF分だけホースクランプ部材22自体の構造が大きくなる。(図7(c))
さらに、従来の固定クランプ構造では、ホースクランプ21とガード11との隙間が密閉可能となっていたため、防塵性や防水性、防音性などの効果があった。しかし、ホースクランプ部材22を回動させるためには、ホースクランプ部材22とその周囲部材との間での隙間が必須となる。そうすると、次のような問題が発生する。
6.バルブ室内で発生するバルブ駆動音等が隙間から漏れるため、周囲騒音増大の要因となる。(図7(d))
7.隙間から雨水や泥などが浸入し、バルブ室内の機器が汚れる。(図7(d))
請求項1の発明では、下部走行体2と、上部旋回体3と、上部旋回体3に回動自在に取付けられたアタッチメント4と、アタッチメント4を作動させるためアタッチメント4に備えられた油圧シリンダ9と、上部旋回体3に搭載された油圧コントロールバルブ10と、油圧シリンダ9から油圧コントロールバルブ10に接続される複数の油圧ホース(アタッチメントホース12のみ図示)と、油圧ホースのうち油圧シリンダ9に接続されるアタッチメントホース12をアタッチメント4の回動支持部近傍でアタッチメントホース12の軸方向を同方向に揃えて保持しているホースクランプ構造21を備えた建設機械において、
ホースクランプ構造21は、
ホースクランプ部材22とホースクランプ支持部材31とを有し、
アタッチメントホース12はホースクランプ部材22に保持され、
ホースクランプ支持部材31は上部旋回体3に固定されホースクランプ部材22を内包し、アタッチメントホース12の軸方向と直交する方向に対してホースクランプ部材22の移動範囲を制限する周壁部34と、アタッチメントホース12の軸方向に対してホースクランプ部材22の移動範囲を制限する縁部35および縁部35に囲まれてアタッチメントホース12が挿通される開口部36を少なくとも2箇所備え、ホースクランプ部材22は周壁部34と縁部35に囲まれた空間内に少なくともアタッチメントホース12の軸方向および軸と直交する方向の一方向に移動可能遊嵌され、開口部36は対向するホースクランプ部材22の当接面より小さく、ホースクランプ部材22と周壁部34との当接時にアタッチメントホース12が縁部35と一定の距離を備えていることを特徴とするアタッチメントホースのクランプ構造21である。
請求項2の発明では、請求項1において、前記ホースクランプ支持部材31に対してホースクランプ部材22が移動可能となる空間に弾性部材29を設け、弾性部材29はホースクランプ部材22もしくはホースクランプ支持部材31のいずれか一方又はその両方に貼付したことを特徴とするアタッチメントホース12のクランプ構造21である。
請求項3の発明では、請求項2において、ホースクランプ支持部材31の下部開口部の端部37から、端部37を下端とし上方に向かって延設された壁部38を備え、壁部38の上端はアタッチメントホース12の軸方向へのホースクランプ部材22の移動範囲を制限し、ホースクランプ支持部材31の周壁部34と、前記縁部35は上部縁部35aと下部縁部35bを備え前記ホースクランプ支持部材31の下部に設けられた下部縁部35bと、壁部38と、で溝39を形成したことを特徴とするアタッチメントホース12のクランプ構造21である。
請求項4の発明では、請求項3において、溝39を形成する周壁部34と下部縁部35bと壁部38のうち、少なくとも下部縁部35bに切欠き40を設けたことを特徴とするアタッチメントホース12のクランプ構造21である。
請求項5の発明では、請求項5において、切欠き部40をガイドホース41の一端で覆い、ガイドホース41の他端を上部旋回体3の外側へ配索し、溝39と油圧ショベル1の外側とを連通させたことを特徴とするアタッチメントホース12のクランプ構造21である。
請求項1の発明では、ホースクランプ部材22をホースクランプ支持部材31内で遊嵌させることで、制限された範囲内で自由に揺動可能とさせる。
つまり、特許文献1に記載されている支軸(機械左右方向)の軸回りのみの回動しかできないホースクランプ構造とは異なり、アタッチメント側ホース12aの動きに応じて、少なくともアタッチメントホース12の軸方向及び軸と直交する方向への移動可能であり、また回動も可能であることから、より柔軟なホースクランプ部材22の挙動が可能であり、アタッチメント側ホース12aのたわみや局部曲げの発生を従来技術より抑える効果が高いホースクランプ構造21となる。また、ホースクランプ部材22はホースクランプ支持部材31の周壁部34および縁部35により挙動範囲を制限できるため、バルブ側ホース12bにも無理な力が掛からず、バルブ側ホース12bの挙動についてもレイアウトを考慮した範囲でホースクランプ部材22の揺動範囲を設定できる。また、アタッチメントホース12を挿通させる開口部36の大きさを、ホースクランプ部材22当接面より小さくすることで、ホースクランプ部材22の抜け出しを防ぎ、ホースクランプ部材22と周壁部34が当接した際に、ホースクランプ部材22に狭持されたアタッチメントホース12と縁部35との間に所定の距離を設けることで、アタッチメントホース12とホースクランプ支持部材31の接触を防ぎ、アタッチメントホース12の破損防止としている。
請求項2の発明では、ホースクランプ部材22とホースクランプ支持部材31間に弾性部材29を介在させることで、ホースクランプ部材22とホースクランプ支持部材31が接触した際の衝突音や振動の伝達を防ぐとともに、前記隙間からバルブ室で発生した油圧コントロールバルブ10の騒音が漏れる量を低減させ、さらにはバルブ室内に雨水等が侵入することも防ぐことができる。
請求項3の発明では、ホースクランプ支持部材31の下部を、溝39とすることで前記隙間からの侵入を防止できなかった雨水や泥の受け皿とすることができる。そのため、下部開口部36bから雨水や泥がバルブ室内に拡散し、機器類が汚染されることを防止できる。
請求項4の発明では、溝39を形成する部材のうち、少なくとも下部縁部35bに切欠き40を設けたことで、溝39に堆積した雨水や泥の排出口とすることができる。
請求項5の発明では、溝39の切欠きから上部旋回体3の外に連通させたガイドホース41を設けることで、溝39で受けた雨水や泥を効果的にバルブ室外に排出させることができる。
右斜め後方から見た本発明に係るホースクランプ構造を用いたアタッチメントホース取付け図である。 本発明に係るホースクランプ構造のうち、(a)はホースクランプ部材のみの組立図、(b)はホースクランプ支持部材のみの組立図、である。 本発明に係るホースクランプ構造の分解図である。 本発明におけるホースクランプ部材の挙動の様子であり、(a)は前後方向の挙動、(b)は上下方向の挙動、(c)は回動時の挙動、である。 後方小旋回タイプの油圧ショベル1であり、(a)は側面図、(b)は平面図、である。 アタッチメントホース12aの配索図であり、(a)はアタッチメント4の倒伏時、(b)はアタッチメント4の起立時、である。 従来技術での問題点を示す図であり、(a)はホースクランプ部材22が回動しアタッチメント側ホース12aに負荷が掛かる状態、(b)はホースクランプ部材22が挙動しバルブ側ホース12bが他部品に接触する状態、(c)は特許文献1と本発明とのホースクランプ部材22の大きさを比較した状態、(d)はホースクランプ部材22とホースクランプ支持部材31との隙間からの騒音漏れや雨水や泥の侵入をあらわした図、である。
本発明のアタッチメントホースのクランプ構造の実施形態を後方小旋回タイプの油圧ショベルを例にとり、図1〜4を用いて説明する。
実施形態において、基本構成は図5、図6に示す従来技術と同じであるため、同一の機能を備える部品は同一の符号にて説明する。
図5において、油圧ショベル1の主な構成として、下部走行体2と、下部走行体2に対して旋回自在に取付けられた上部旋回体3と、上部旋回体3に回動自在に取付けられ掘削等の作業をおこなうアタッチメント4で成り立っている。
後方小旋回タイプの油圧ショベル1は、上部旋回体3が旋回した時に、その後端が下部走行体2よりはみ出す量を極力小さく抑える形状としている。
そのため、上部旋回体3の後部において機器配置スペースの確保が困難であることから、次のような機器配置となることが多い。即ち、左右一対の縦板6を備えたメインフレーム5の後側にエンジン7などの駆動装置、縦板6より左側前方にオペレータが乗り込んで油圧ショベル1を操作するための操縦席を擁したキャブ8、縦板6より右側に油圧シリンダ9の制御をおこなう油圧コントロールバルブ10を搭載した構成となっている。
また、エンジン7や油圧コントロールバルブ10の周囲はガード11で覆われており、土砂等が直接接触して破損することや駆動音が周囲に漏れることを防いでいる。
メインフレーム5の前側に取り付けられたアタッチメント4は、ブーム4a、アーム4b、バケット4cで構成されており、ブーム4aはメインフレーム5に構成された左右一対の縦板6の間に貫通支持されているピンを軸として回動自在に取付けられており、アーム4bはブーム4aに、バケット4cはアーム4bにそれぞれとピンを軸として回動自在に取付けられている。
なお、アタッチメント4は、それぞれブーム4a、アーム4b、バケット4cに備えられた油圧シリンダ9a、9b、9c(以下、これらをまとめて油圧シリンダ9という)をそれぞれ伸縮させることで上下に起伏し、油圧シリンダ9の伸縮は油圧コントロールバルブ10で制御された圧油がアタッチメントホース12を介して給排されることで制御されている。
この圧油の給排は、油圧コントロールバルブ10とアタッチメント4に接続されたアタッチメントホース12によりおこなわれ、アタッチメントホース12は1本の油圧シリンダ9に付き、ロッド側とヘッド側それぞれに接続されるため、少なくとも2本必要である。
これらアタッチメントホース12の中でも特にアームシリンダ9b及びバケットシリンダ9cへと配索されるアタッチメントホース12は、油圧コントロールバルブ10から右側縦板6を越えて、ブーム4aの右側面に接近し、ブーム4aに沿いながら先端に向かって配索され、アームシリンダ9b、バケットシリンダ9cにそれぞれ接続される。
アタッチメントホース12は、ブーム4aの回動に追従して動く必要があるため可撓性を備えている。そのため、アタッチメントホース12が無軌道に挙動してブーム4aやガード11などの他部品への接触することの防止や、アタッチメントホース12同士が擦れて破損したりすることを回避するために適宜固定をおこなっている。
図6において、そのアタッチメントホース12の固定箇所を説明すると、アタッチメントホース12が右側縦板6を越える前の右側縦板6の右側面でありブーム4aの回動支点近傍部(クランプ位置A)と、ブーム4aの右側面側(クランプ位置B)の少なくとも2箇所で固定されている。
本発明は、クランプ位置Aでのアタッチメントホース12のクランプ構造についてであり、以下にその詳細を説明する。
前述したようにアタッチメントホース12は複数本で構成されており(図1及び図4〜6では、2本のアタッチメントホース12のみ図示する)、図1において、それらのアタッチメントホース12を固定するホースクランプ構造21は、アタッチメントホース12を直接狭持するホースクランプ部材22と、ホースクランプ部材22を支持するホースクランプ支持部材31とで構成されている。
図2及び図3において、ホースクランプ部材22の構造について説明する。
ホースクランプ部材22は、アタッチメントホース12を保持した状態で略直方体形状となっており、複数のアタッチメントホース挿通孔24として略長穴形状の孔が上下方向に貫通し前後方向に並んでいる。それら挿通孔24は、ホースクランプ部材22の左右方向のほぼ中心に形成されており、ホースクランプ部材は左右方向の中心面で2分割可能な構造となっている。つまり、挿通孔24も分割されるためアタッチメントホースを分割された挿通孔24で挟み込んで保持する構造となり、容易にアタッチメントホースを挿通孔24に通すことが可能となる。
アタッチメントホース12をホースクランプ部材22で保持する際に、アタッチメントホース12にグロメット25を取付けることで、アタッチメントホース12とホースクランプ部材22との隙間を無くし、しっかりと固定させることができる。さらに、グロメット25を用いることでアタッチメントホース12の保護になり、また、ホース径が異なるものに対してもグロメット25の形状を変更するだけで容易に対応可能となる。
アタッチメントホース12を挟んだホースクランプ部材22は、その左右側面の前後2箇所にボルト挿通孔26を設けており、ボルト27、ナット28を用いて分割されたホースクランプ部材22を締結している。
ホースクランプ部材22にはその前後・左右の全面と上下面の外枠部に弾性部材29を貼付けている。これにより、ホースクランプ部材22がホースクランプ支持部材31と接触したときの衝撃の緩和や衝撃音の発生抑制、バルブ室内に配置された油圧コントロールバルブ10の駆動音の外部への漏洩低減などの効果がある。これは、ホースクランプ支持部材31とホースクランプ部材22が直接接触しなければよいため、弾性部材29の貼付けはホースクランプ支持部材31側でもよく、またはホースクランプ部材22とホースクランプ支持部材31の両側に貼付けてもよい。
次に、ホースクランプ支持部材31の構造について説明する。
ホースクランプ支持部材31は、ホースクランプ部材22を内包する略直方体形状であり、ホースクランプ部材22が容易に着脱可能となるようにホースクランプ支持部材31の左側を開口とした本体部材32と、その開口部を塞ぐ蓋部材33とで構成されている。
まず、本体部材32と蓋部材33を縦板6に取り付けた状態として、ホースクランプ支持部材31の構造について説明する。
前述したように、ホースクランプ支持部材31はホースクランプ部材22を内包する略直方体形状であり、前後左右面の周壁部34と上下面の縁部35とで構成されている。ホースクランプ支持部材31の前後・左右・上下それぞれの内径寸法は、ホースクランプ部材22の前後・左右・上下それぞれの外形寸法よりも大きく設定されているため、ホースクランプ支持部材31で制限された範囲において、ホースクランプ部材22は前後・左右・上下方向の移動や回動など自在に挙動可能になる。
ホースクランプ支持部材31には、その上下面にホースクランプ部材22で保持したアタッチメントホース12を通すための開口部36があり、その開口部36は縁部35によって形成されている。縁部35は周壁部34の上端34aおよび下端34bから、それぞれ内向きにほぼ同寸ずつ伸びた板状部材であるため、縁部35により形成される開口部36は略矩形となる。この開口部36の前後・左右それぞれの寸法はホースクランプ部材22の前後・左右それぞれの寸法よりも小さく設定されているため、ホースクランプ部材22はホースクランプ支持部材31内から抜け出せないようになっている。
縁部35の幅寸法Gは、ホースクランプ部材22の前後左右面それぞれからホースクランプ部材22のアタッチメントホース挿通孔24までの寸法H1、H2より小さく設定されているため、ホースクランプ部材22がホースクランプ支持部材31の周壁部34に当接した場合でも、アタッチメントホース12とホースクランプ支持部材31が接触しないようになっている。
周壁部34と、下部縁部35bと、下部開口部の端部37から上方に向かって周壁部34と略並行になる壁部38とで溝39を形成する。そして、その溝39の一部に切欠き40を設け、その切欠き40からメインフレーム5に設けた貫通孔を通って、油圧ショベル1の外側まで連通するガイドホース41を取り付ける(図1)。そうすることで、ホースクランプ部材22とホースクランプ支持部材31との隙間から浸入した雨水や泥を溝で受け止め、ガイドホース41により効果的に機体外部に排出することができるため、バルブ室内の油圧コントロールバルブ10等の機器が汚染されるのを防止できる。
また、ホースクランプ支持部材31を構成する本体部材32と蓋部材33について、蓋部材33は本体部材32の左側に取付けるようになっており、それらの部材高さはほぼ同寸となっている。蓋部材33の前後方向の寸法について、ホースクランプ支持部材31の前面周壁部34aよりも前方に突出し、同後面周壁部34bよりも後方に突出した突出部42を備えている。突出部42には縦板6にボルト43で締結するためのボルト挿通孔44が前後それぞれに設けられている。
本体部材32にも蓋部材33と同様、前面周壁部34a及び後面周壁部34bの左端から、それぞれ蓋部材33の前後突出部42に対向した突出部45が形成され、蓋部材33を挟んで縦板6に取り付けるためのボルト挿通孔46が蓋部材33のボルト挿通孔44と一致する位置に設けられている。
また、前述したように、ホースクランプ支持部材31からホースクランプ部材22着脱可能とするために、上部縁部35a及び下部縁部35b及び壁部38のうち左側に形成される部分は、蓋部材33と一体となっており、本体部材32と分離可能となっている。
また、縦板6に固定されたホースクランプ支持部材31の上面と、油圧コントロールバルブ10を覆うガード11の上面とは略同一面となるように取付けられており、ホースクランプ支持部材31とガード11との間にはラバーやトリムなどで隙間詰めされている。
(その他の実施形態)
以上の実施形態は一例に過ぎず、以下に他の実施形態を例示する。
アタッチメント4の先端に取付けられる作業機は、バケット4cに限るものではない。また、アタッチメント4の回動に追従する必要があるものであれば、油圧ホースだけではなく電気ケーブル等にも適宜利用できる。
油圧コントロールバルブ10から油圧シリンダ9へ配索されるアタッチメントホース12は、1本で形成されたものでも、分割されたホースでもかまわないし、配索箇所に応じて鋼管を用いてもよい。
ホースクランプ支持部材31を形成する蓋部材33を省略し、ホースクランプ部材22が縦板6に当接するように取付けてもかまわない。
ホースクランプ支持部材31の縁部35は、前後左右の四辺全てに形成しなくとも、ホースクランプ部材22がホースクランプ支持部材31から抜け出さなければいずれか一辺のみの構成でもかまわない。
ホースクランプ部材22の形状は、図1で例示した直方体形状でなく、多角柱や球形など、周囲のレイアウトにあわせて自由に設定可能である。
また図6では、クランプ位置Aでのアタッチメントホース12の軸方向の取付けが、ほぼ鉛直となる構成となっているが、油圧コントロールバルブ10がアタッチメント4の取付け位置に対して前方あるいは後方にある場合などには、油圧コントロールバルブ10からホースクランプ構造21までの配索性を考慮し、ホースクランプ構造21を傾斜させて取付けてもよい。
オプション機器の増設等により、ホースクランプ支持部材31を縦板6に取り付けられない場合も有るので、その際にはホースクランプ支持部材31を取り付けるためのブラケット等の取付け部材を別途設定することも考えられる。
ホースクランプ支持部材31に形成する溝32の構成について、壁部は周壁部と平行である必要はなく、また、別途壁部を設定せずにホースクランプ支持部材の下部縁部35bをホースクランプ支持部材の内側に向けて傾斜させてもよい。少なくとも溝としての機能を備えていればよい。
なお、このホースクランプ構造21は、油圧コントロールバルブ10からブーム4aに固定されるまでのアタッチメントホース12の固定だけではなく、ブーム4aとアーム4bの回動位置やオフセットアタッチメントの傾倒位置など、油圧ホースが挙動する可能性のある部位にて利用可能である。
1 油圧ショベル
2 下部走行体
3 上部旋回体
4 アタッチメント
9 油圧シリンダ
10 油圧コントロールバルブ
12 アタッチメントホース
21 ホースクランプ構造
22 ホースクランプ部材
29 弾性部材
31 ホースクランプ支持部材
34 周壁部
35 縁部
35b 下部縁部
36 開口部
37 下部開口部の端部
38 壁部
39 溝
40 切欠き
41 ガイドホース









Claims (5)

  1. 下部走行体と、上部旋回体と、該上部旋回体に回動自在に取付けられたアタッチメントと、該アタッチメントを作動させるため前記アタッチメントに備えられた油圧シリンダと、前記上部旋回体に搭載された油圧コントロールバルブと、該油圧シリンダから該油圧コントロールバルブに接続される複数の油圧ホースと、該油圧ホースのうち前記油圧シリンダに接続されるアタッチメントホースを前記アタッチメントの回動支持部近傍で該アタッチメントホースの軸方向を同方向に揃えて保持しているホースクランプを備えた建設機械において、
    該ホースクランプは、
    ホースクランプ部材とホースクランプ支持部材とを有し、
    前記アタッチメントホースは該ホースクランプ部材に保持され、
    該ホースクランプ支持部材は前記上部旋回体に固定され該ホースクランプ部材を内包し、前記アタッチメントホースの軸方向と直交する方向に対して前記ホースクランプ部材の移動範囲を制限する周壁部と、前記アタッチメントホースの軸方向に対して前記ホースクランプ部材の移動範囲を制限する縁部および該縁部に囲まれて前記アタッチメントホースが挿通される開口部を少なくとも2箇所備え、前記ホースクランプ部材は該周壁部と前記縁部に囲まれた空間内に少なくとも前記アタッチメントホースの軸方向および軸と直交する方向の一方向に移動可能遊嵌され、該開口部は対向する前記ホースクランプ部材の当接面より小さく、前記ホースクランプ部材と前記周壁部との当接時に前記アタッチメントホースが前記縁部と一定の距離を備えていることを特徴とするアタッチメントホースのクランプ構造。
  2. 請求項1において、
    前記ホースクランプ支持部材に対して前記ホースクランプ部材が移動可能となる空間に弾性部材を設け、該弾性部材は前記ホースクランプ部材もしくは前記ホースクランプ支持部材のいずれか一方又はその両方に貼付したことを特徴とするアタッチメントホースのクランプ構造。
  3. 請求項2において、
    前記ホースクランプ支持部材の下部開口部の端部から、該端部を下端とし上方に向かって延設された壁部を備え、該壁部の上端は前記アタッチメントホースの軸方向への前記ホースクランプ部材の移動範囲を制限し、前記ホースクランプ支持部材の前記周壁部と、前記縁部は上部縁部と下部縁部を備え前記ホースクランプ支持部材の下部に設けられた該下部縁部と、前記壁部と、で溝形状を形成したことを特徴とするアタッチメントホースのクランプ構造。
  4. 請求項3において、
    前記溝形状を形成する前記周壁部と前記下部縁部と前記壁部のうち、少なくとも前記下部縁部に切欠きを設けたことを特徴とするアタッチメントホースのクランプ構造。
  5. 請求項4において、
    前記切欠き部をガイドホースの一端で覆い、該ガイドホースの他端を前記上部旋回体外へ導出させ、前記溝と前記油圧ショベルの外側とを連通させたことを特徴とするアタッチメントホースのクランプ構造。
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