JP5045089B2 - ラッピング加工方法およびラッピング加工装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ワークの加工面を砥粒付きのフィルム(ラッピングフィルム)によりラッピング加工するラッピング加工方法およびラッピング加工装置に関する。
たとえば、車両のエンジン部品であるカムシャフトのカムロブ部やジャーナル部あるいはクランクシャフトのジャーナル部やピン部等のような断面円弧状の外周面を有するワークを仕上げ加工する場合は、最近、一面に砥粒が設けられた帯状をした長尺なラッピングフィルムを用いて、ラッピング加工されている。
このラッピング加工は、ワークの加工面をラッピングフィルムで覆い、上下に対向配置されたシューでラッピングフィルムを背面側から加圧し、ラッピングフィルムをワークに押付けた状態でワークに回転を与え、ラッピングフィルムの砥粒面でワークを加工するマイクロフィニッシュによる超仕上げ加工である。
このラッピング加工によるワークの加工面の形状と粗面度は、ワークの作用面の摩擦の大小に直結する。特に自動車用エンジンの動弁システムにおける、カムシャフトにより直接バルブリフターを作動させる直動式のものでは、カムシャフトとバルブリフターとの間に作用する摩擦力が、燃費に直接影響することから、この摩擦力の低減が求められる。そこで燃費向上のため、最も摩擦力が発生するカムロブ部の先端部の形状を、ワークの軸方向で所定の湾曲率の凸形状とすることが行われる(たとえば、特許文献1参照。)。
特開2005−212075号公報(図1参照)
しかしながら、ハードシューを上下に対向配置した一対のハードシューでラッピングフィルムを背面側から押圧するという構成の下では、ワークの加工面の軸方向の形状の創生と加工面の軸方向全体の表面粗さ(面粗度)の低減とをバランス良く行うことは非常に困難である。すなわち、カムロブ部のノーズトップ内に当たり難い場所ができ、それによりカムロブ部全体の面粗度が上がらないという問題がある。
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、ワークの加工面の軸方向の形状の創生と加工面の軸方向全体の面粗度の低減とを、バランス良く実行することが可能なラッピング加工方法およびラッピング加工装置を提供することを目的とする。
本発明は、断面非真円の円弧状の加工面を有する回転するワークにラッピングフィルムの砥粒面を押付けてラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、対向配置された一対のシューを用い、一対の前記シューは、ワークの回転軸を含む平面で見て、先端部がそれぞれ湾曲して形成され、その湾曲の湾曲率が互いに異なり、一対の前記シューにより、前記ラッピングフィルムをその背面側から前記加工面に向けて押圧し、その状態下でワークを回転駆動する、ことを特徴とするラッピング加工方法である。
また本発明は、断面非真円の円弧状の加工面を有するワークに対してラッピング加工を施す、薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、前記ワークを回転駆動する回転駆動手段と、前記ラッピングフィルムの背面側からワークを押圧すべく対向配置された凹形状の一対のシューと、当該凹形状のシューをワークに向けて押付けて、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けるシュー押付手段と、を有するラッピング加工装置であって、前記対向配置された凹形状の一対のシューは、ワークの回転軸を含む平面で見て、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付ける先端部がそれぞれ湾曲して形成され、その湾曲の湾曲率が互いに異なっている、ことを特徴とするラッピング加工装置である。
本発明に係るラッピング加工方法およびラッピング加工装置によれば、対向配置されたシューの先端部における湾曲面の湾曲率が互いに異なっているので、ワークの加工面の軸方向の形状の創生と加工面の軸方向全体の面粗度の低減とを、バランス良く実行することが可能である。
特に、ラッピングフィルムが一方のシューを通過してから他方のシューを通過する形態において、上記一方のシューの先端部における湾曲面の湾曲率を、他方のシューの先端部よりも小さく設定した場合には、相対的に、上記一方のシューによりラッピングフィルムが作用する面圧分布が均一化されるので、ワークの軸方向全体の面粗度の低減が効果的に達成される。また上記他方のシューでは、このラッピングフィルムが再利用される形となるため、従来の面圧分布が不均一な状態で使用された後のラッピングフィルムを再利用する場合に比べ、ワークの加工面における軸方向の形状が効果的に創生される。よって、本発明によれば、上記対向配置されたシューの一方で加工面の軸方向全体の面粗度を低減し、他方のシューで加工面の軸方向の形状を創生することが可能である。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ説明する。
図1は本発明に係るラッピング加工方法の加工状態を示し、(A)はラッピング加工状態の要部を示す側面図、(B)は図1(A)のB−B線に沿う断面図である。本実施形態では、ワークWとして、図1(A),図1(B)に示すように、断面非真円の円弧状の加工面を有するもの、たとえば、カムロブ部61を有するカムシャフト60であり、機械加工などにより成形されたものを使用する。
なお、本明細書における「断面非真円の円弧状」とは、回転中心から一の部位までの半径が他の部位までの半径と異なる円弧形状をいい、楕円形状や、図示したカムロブ部61のような卵形状が含まれることはもちろんのこと、外形は円形状であるが回転中心が円中心から偏心したものも含まれる。
このカムロブ部61は、まず、薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルム11により覆われた状態でマイクロフィニッシュ加工機にセットされ、その上下に対向配置された上側のシュー71と下側のシュー72により、当該ラッピングフィルム11の背面側から、所定の加圧力で押圧される。
図3は、シュー71、72の形状を示したもので、(A)は側面図、(B)は正面図であり、(C)は図3(B)のST部の拡大図である。
ここで使用されるシュー71、72は、図3(A)に示す側面図で見て、ラッピングフィルム11に当接する側(先端部73)の、ワーク回転方向中央に凹部74を有する凹形状のシュー(以下、単に凹シューと称すことがある)であり、図1(A)に示すように、支持軸である揺動ピン29を中心として揺動可能に支持されている。このシュー71、72は、比較的柔軟なソフトシューではなく、固いハードシューである。
また、シュー71、72の先端部の形状、正確にはワークWの軸方向に見た形状は、図3(C)に拡大して示すように、所定の湾曲率K(K=1/曲率半径r)を持つ凹形状面となっている。このため、シューを正面から見た幅方向の場所によって、ラッピングフィルム11に当接するワークWの面圧が変わることになる。
図4はこの関係を下側のシュー72について示したもので、ワークWとしてのカムロブ部61の加工面に軸方向に中高状となる形状(クラウニング形状)を創生する場合、一方では、凹形状のシュー72の両側端部A、Bがラッピングフィルム11を介してカムロブ部61のエッジに強く当たって面圧が高くなり、他方、シュー72の中央部Cにおいてはラッピングフィルム11への当たりが弱くなって面圧が低くなる。
ここで、上側のシュー71と下側のシュー72の先端部が同じ形状である場合、つまり先端部の凹形状面の上記湾曲率Kが同一である場合には、上側のシュー71と下側のシュー72の双方において面圧の分布が同じになる。従って、このままでは、上側のシュー71と下側のシュー72のいずれの側においても、上記凹形状化の傾向を伴う同程度の形状の創生と面粗度の低減がなされるだけで、加工面の軸方向全体としてのフラットな面粗度の改善がなされない。
そこで、本発明に従い、この実施形態では、上側のシュー71の先端部における湾曲面の湾曲率K1と、下側のシュー72の先端部における湾曲面の湾曲率K2とを、互いに異ならせている。具体的には、図2に拡大して示すように、上側のシュー71の先端部における凹形状面の湾曲率K1よりも、下側のシュー72の先端部における凹形状面の湾曲率K2を大きくし、K1<K2の関係に設定している。
このように先端部の湾曲率Kが異なる(K1<K2の関係にある)一対のシュー71、72によりラッピングフィルム11を背面側から押圧し、その状態下で、ワークWを回転駆動する(図1(A)の矢印)とともに、軸方向にオシレーション(図1(B)の白抜き矢印)すると、相対的ではあるが、湾曲率の小さい方の上側のシュー71(湾曲率K1)では先端部での面圧分布が均一になり、面粗度の改善がなされる。他方、湾曲率の大きい方の下側のシュー72(湾曲率K2)では、横方向に比較的均一な面圧下で使用されたラッピングフィルム11を扱うことになるので、ラッピングフィルム11の幅方向に均一な仕事量が確保される。このため、同じ湾曲率の凹形状面を有するシューを上下に対向配置した構成の場合に比べ、カムロブ部61のノーズトップ部の軸方向の形状の創生とカムロブ部61の軸方向全体の面粗度の低減が、バランス良く実行される。
また、この実施形態では、搬送手段(詳しくは後述する)の一要素としてのガイドローラR1、R2、R4により、上側のシュー71を通過してから下側のシュー72を通過するように、ラッピングフィルム11が搬送される。ラッピングフィルム11が先に通過する上側のシュー71では、その先端部における湾曲面の湾曲率K1を比較的小さく設定しているため、相対的ではあるが、上側のシュー71で押圧される際のラッピングフィルム11の面圧分布は、ラッピングフィルム11の幅方向により均一になっている。このため、続いて、このラッピングフィルム11が下側のシュー72に到来する場合は、上記面圧分布が幅方向に均一なラッピングフィルム11が到来することになるため、下側のシュー72においては、ラッピングフィルム11の幅方向に均一な仕事量が確保されることになる。
このような作用の下で、本実施形態では、湾曲率の小さい方の上側のシュー71(湾曲率K1)と、湾曲率の大きい方の下側のシュー72(湾曲率K2)とにより、カムロブ部61の加工面の軸方向の形状の創生とその加工面の軸方向全体の面粗度の改善がバランス良く行われる。この作用効果は、上側のシュー71の先端部の湾曲率K1を非常に小さく設定し、例えばシューの先端部の湾曲面がほぼ平坦に近い面となるような小さな湾曲率値に設定した場合にも得ることができる。
上記実施形態では、ワークWの加工面を中凸状のいわゆるクラウニング形状にする場合について説明したが、狙いとするワークWの形状が中凹状の場合にも適用することができ、この場合には、シューの先端部における湾曲面を凸形状面とし、一方のシューの凸形状面の湾曲率を他方のシューの凸形状面の湾曲率と異ならせる。図5では、上側のシュー71の凸形状面の湾曲率K1を下側のシュー72の凸形状面の湾曲率K2よりも小さくして、K1<K2の関係に設定している。この実施形態の場合にも、上側のシュー71の凸形状面の湾曲率K1は、シューの先端部の湾曲面がほぼ平坦に近い面となるような値にまで小さく設定することができる。
[ラッピング加工装置]
次に、前記方法に使用する具体的なラッピング加工装置について説明する。
図6はラッピング加工装置の概略図、図7は同ラッピング加工装置の上下アーム閉状態を示す概略断面図、図8は同上下アームの開状態を示す概略断面図、図9(A)はラッピング加工されるワークWの一例であるカムシャフトを示す斜視図、図9(B)は同カムシャフトのカムロブ部各部位の説明図である。
なお、前記図1に示す部材と共通する部材には同一符号を付すこととし、また、説明の便宜上、カムシャフト60の軸線方向(図1において左右方向)をX方向、X方向に対して直交する水平方向(図1において紙面に直交する方向)をY方向、X方向に対して直交する鉛直方向(図1において上下方向)をZ方向とする。
図6〜図8において、ラッピング加工装置1は、非伸縮性でかつ変形可能な薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルム11と、ラッピングフィルム11の背面側に配置されラッピングフィルム11の砥粒面をワークWに押付けるラッピング加工用の一対のシュー71、72と、ワークWを回転駆動する回転駆動ユニット40と、ワークWおよびラッピングフィルム11のうちの少なくとも一方にワークWの軸線方向に沿うオシレーションを付与するオシレーションユニット50と、を有し、回転するワークWの加工面にラッピングフィルム11を押圧しラッピング加工を施している。前記シュー71、72は、所定の軸を中心に回動自在に保持されるとともにラッピングフィルム11を介して加工面に複数箇所で当接する凹状先端部を有する凹シューから構成されている(図1(A)参照)。
上記一対のシュー71、72は、その先端部をワークWに向け、ワークWを挟むように上下に対向して配置されている。この上側のシュー71と下側のシュー72とでは、その先端部の軸方向での湾曲面の湾曲率Kが異なっており、上側のシュー71の湾曲率K1の方が下側のシュー72の湾曲率K2よりも小さく設定されている。
ここでワークWとしては、図9(A)に示すように、カムシャフト60を挙げることができ、このカムシャフト60におけるカムロブ部61の外周面62が、ラッピング加工を施す加工面となる。
このカムロブ部61は、図9(B)に示すように、ベースサークルをなすベース部d、カムのリフトを定めるトップ部a、トップ部aの両側に連続し、エンジンのバルブを開き始めたり、閉じ始めたりするイベント部b1,b2、ベース部dからイベント部b1,b2へのアプローチをなすランプ部c1,c2の複数の部位を有し、軸心O(回転中心)から加工面までの半径は部位ごとに変化している。また、ベース部dは曲率半径が一定であるが、イベント部b1,b2はほぼ直線的であるため曲率半径が非常に大きく、トップ部aは曲率半径が比較的小さくなる。このため、カムロブ部61では、トップ部aで最も摩擦力が発生することになるので、本来的にはこのトップ部aがクラウニング形状であればよい。
さらに、ラッピング加工装置1につき詳述する。図6において、前記回転駆動ユニット40は、主軸41を回転自在に支持するヘッドストック42と、主軸41の先端に連結されカムシャフト60の一端を把持するチャック43と、主軸41にベルト44を介して接続される主軸モータM1と、カムシャフト60の他端を支持するセンタ45を備えるテールストック46と、を有している。
カムシャフト60は、主軸モータM1の回転動がベルト44および主軸41を介して伝達されて回転駆動される。主軸モータM1の回転速度を変えることにより、ワーク回転速度が所望の速度に設定される。主軸41には、加工中におけるワークWの回転位置を検出するロータリエンコーダS1が取付けられている。
ヘッドストック42およびテールストック46のそれぞれは、Y方向に沿ってスライド移動自在なテーブル47,テーブル48上に設けられ、これらテーブル47,48は、X方向に沿ってスライド移動自在なテーブル49上に配置されている。カムシャフト60をヘッドストック42とテールストック46との間にセットしたり、カムシャフト60を加工位置に移動したりするために、各テーブル47,48,49が移動される。
前記オシレーションユニット50は、テーブル49の端面に当接する偏心回転体51と、偏心回転体51を回転駆動するオシレーション用モータM2と、を有している。オシレーションユニット50には、テーブル49の端面と偏心回転体51とを常時当接させるためにテーブル49を偏心回転体51に向けて押圧する弾発力を付勢するバネなどの弾性手段52が設けられている。オシレーション用モータM2の回転速度を変えることにより、オシレーション速度が所望の速度(たとえば、10Hz)に設定される。
オシレーションの振幅は、オシレーション用モータM2の軸心に対する偏心回転体51の偏心量に基づいて定まる。
なお、偏心回転体51の偏心量は、たとえば調整プレート(図示せず)の挿入枚数を変えるなどの公知の手段により調整自在となっている。偏心回転体51の軸には、偏心回転体51の回転位置を検出するロータリエンコーダS2が取付けられている。また、図6中の符号「200」は、ラッピング加工装置1の作動を制御するコントローラである。
前記ラッピングフィルム11は、種々のタイプがあるが、本実施形態では、基材が非伸縮性の高い材料、たとえば、板厚が25μm〜130μm程度のポリエステルなどから構成され、この基材の一面には、数μm〜200μm程度の粒径を有する多数の砥粒(具体的には、酸化アルミニウム、シリコンカーバイト、ダイアモンドなどからなる)が接着剤により取付けられている。砥粒は、基材の一面に全面にわたって接着してもよく、また、所定幅の無砥粒領域を間欠的に形成したものであってもよい。基材の他面には、シュー71、72に対する滑り止めのため、ゴムあるいは合成樹脂等からなる抵抗材料(図示せず)を取付けるバックコーティングか、場合によっては滑り止め加工が施されている。
図7および図8において、ラッピングフィルム11は、供給リール15から引き出され、上アーム22の先端に設けられた一対の第1ガイドローラR1と、上アーム22の内方位置に取付けられている第2ガイドローラR2と、下アーム23の内方位置に取付けられている第3ガイドローラR3と、下アーム23の先端に設けられた一対の第4ガイドローラR4などにガイドされ、巻取りリール16に巻き取られる。巻取りリール16にはモータM3が接続されている。モータM3を作動し巻取りリール16を回転すると、供給リール15からラッピングフィルム11が順次繰り出される。ラッピングフィルム11の繰り出し量を検出するために、巻取りリール16の軸には、回転量を検出するロータリエンコーダS3が取付けられている。供給リール15および巻取りリール16の近傍にはロック装置(図示せず)が設けられ、このロック装置の作動によりラッピングフィルム11全体に所定のテンションが付与される。なお、上記供給リール15、第1ガイドローラR1、第2ガイドローラR2、第3ガイドローラR3、第4ガイドローラR4、巻取りリール16、およびモータM3により、上記ラッピングフィルム11の搬送手段が構成される。
前記対をなす上アーム22および下アーム23は、シュー71、72を配置する先端部がZ方向に相対的に開閉自在となるように、支持ピン24に回動自在に支持されている。上アーム22の後端部には、油圧あるいは空気圧などにより作動する流体圧シリンダ25の一端がピン連結され、下アーム23の後端部にはピストンロッド26の先端がピン連結されている。ピストンロッド26を突出すると、上下のアーム22,23は、支持ピン24を中心として先端部が閉じ回動し、図7に示す閉状態となる。一方、ピストンロッド26を後退させると、上下のアーム22,23は、図8に示す開状態となる。上下のアーム22,23の回動は、ラッピングフィルム11と共に行なわれ、閉じ回動によりシュー71、72がラッピングフィルム11を介してカムロブ部61に当接し、開き回動によりカムロブ部61とシュー71、72との当接を解除する。
前記シュー71、72は、ワークWの回転方向中央が凹状とされた凹シューであり、カムロブ部61の加工面とは円弧状の2点での線接触となる。上下のシュー71、72によりカムロブ部61は4点支持されることから、当該カムロブ部61を安定的に回転させることができる。
シュー71、72は、首を振るフローティング運動が自在になるように、揺動ピン29を介してシューケース28に保持されている。シューケース28は、上下のアーム22,23の先端部に形成した凹部27の中に、ワークWに対して進退移動自在に収納され、外側面が凹部27の内側面にガイドされながら移動する。シューケース28の背面には、圧縮コイルバネからなるワーククランプ用バネ33が配置され、このバネ33の弾発力でシュー71、72が付勢され、ラッピングフィルム11を介して加工面に押付けられる。上下の揺動ピン29は、カムシャフト60の軸心O(図9(B))を通る線上に位置し、シュー押付け力が効果的にラッピングフィルム11に作用するようにしてある。
ところで、従来では、上側のシュー71と下側のシュー72に、先端部における軸方向の湾曲面が同じ形状のシューが用いられている。このため加工面の軸方向の形状の創生と軸方向全体の面粗度の低減をバランス良く行うことに困難があった。
そこで、本実施形態に係るシュー71、72は、図1(B)に示すように、少なくとも先端部側表面のワークWの軸方向での湾曲率Kを、上側のシュー71の湾曲率K1の方が下側のシュー72の湾曲率K2よりも小さくなる関係(K1<K2)に設定し、これにより上側のシュー71における面圧の不均一性の度合を減少させ、加工面の軸方向の形状の創生と加工面の軸方向全体の面粗度の低減がバランス良く行えるようにしている。
[ラッピング加工方法]
次に、前記ラッピング加工装置を用いるラッピング加工方法について説明するが、必要に応じ、このラッピング加工を第1工程とし、この後に第2工程としてソフトシューを用いた仕上げ加工を行うこともできる。
ラッピング加工は、まず、ヘッドストック42とテールストック46との間にカムシャフト60をセットする。そして、流体圧シリンダ25を作動し、ピストンロッド26を突出すると、上下のアーム22,23が閉じ回動し、ラッピングフィルム11をカムロブ部61の加工面上にセットする。
上下のアーム22,23が開状態の間に、モータM3を作動して巻取りリール16を回転する。ラッピングフィルム11は、所定量移動し、新規な砥粒面が加工面上にセットされる。供給リール15近傍に設けられたロック装置をロックし、巻取りリール16を回転すると、ラッピングフィルム11に所定のテンションが付与され、巻取りリール16近傍のロック装置をロックすると、所定のテンションが付与された弛みのないラッピングフィルム11となる。
カムロブ部61をクランプすると、ハードシュー71、72がワーククランプ用バネ33に付勢され、カムロブ部61に押付けられ、ラッピングフィルム11の砥粒面が加工面に押付けられる。そして、オシレーションユニット50によりカムシャフト60を軸方向にオシレーションしつつ、回転駆動ユニット40によりカムシャフト60を回転すると、ハードシュー71、72がカムロブ部61に倣って進退移動しながらラッピング加工が行なわれる。なお、カムシャフト60は、多数のカムロブ部61を有しているが、これらが一斉にラッピング加工される。
前記カムシャフト60は、機械加工が完了した状態のものであり、カムロブ部61の両側端部は略90度のエッジ部を有しており、また、ハードシュー71、72は、図1(B)に示すように先端部が円弧状の凹形状面を有しており、その凹形状面の湾曲率は上側のシュー71の方が小さくなっている。
このハードシュー71、72を用いてラッピング加工が行なわれる。まず上側のシュー71の箇所において、ラッピングフィルム11がその背面側から押圧されて、カムロブ部61の加工面に接触する。この上側のシュー71はその先端部が比較的小さな湾曲率K1の凹形状面に設定されている。このため、大きな湾曲率に設定されている場合に比べ面圧が均一化され、軸方向にわたりフラットに面粗度の低減が行われる。
次に、下側のシュー72の箇所においては、上側のシュー71よりも先端部の凹形状面が比較的大きな湾曲率K2に設定されている。このため一方では、面圧の不均一性の度合が、上側のシュー71の場合よりも大きくなるが、他方では、下側のシュー72の方が、上側のシュー71よりも形状の創生に寄与する度合が大きくなる。しかも、一度上側のシュー71を経て使用されて下側のシュー72に到達するラッピングフィルム11は、上記したように幅方向に比較的均一な面圧下で使用されたものであるので、幅方向に均一な仕事量が確保される。
この結果、上下のシューに関し、先端部の軸方向での湾曲率Kを、上側のシュー71の湾曲率K1の方が下側のシュー72の湾曲率K2よりも小さくなる関係(K1<K2)に設定することで、加工面の軸方向の形状の創生と軸方向全体の面粗度の低減が、バランス良く行われる。
本発明の一実施形態にかかるラッピング加工方法を示したもので、(A)はラッピング加工状態の要部を示す側面図、(B)は図(A)のB−B線に沿う断面図である。 図1(B)の一部を拡大して示した部分拡大図である。 本発明で用いたシューを示したもので、(A)はシュー近傍の側面図、(B)は正面図、(C)はそのST部の拡大図である。 ワークとラッピングフィルムとシューの形状の関係を示した概略図である。 本発明のラッピング加工方法の他の実施形態を示した、図2と同様の断面図である。 ラッピング加工装置の概略図である。 同ラッピング加工装置の上下アーム閉状態を示す概略断面図である。 同上下アームの開状態を示す概略断面図である。 (A)はラッピング加工されるワークの一例であるカムシャフトを示す斜視図、(B)は同カムシャフトのカムロブ部各部位の説明図である。
符号の説明
1 ラッピング加工装置、
11 ラッピングフィルム、
15 供給リール、
16 リール、
22 上アーム、
23 下アーム、
24 支持ピン
25 流体圧シリンダ、
26 ピストンロッド、
27 凹部、
28 シューケース、
29 揺動ピン、
33 バネ、
40 回転駆動ユニット、
41 主軸、
42 ヘッドストック、
43 チャック、
44 ベルト、
45 センタ、
46 テールストック、
47、48、49 テーブル、
50 オシレーションユニット、
51 偏心回転体、
52 弾性手段、
60 カムシャフト、
61 カムロブ部、
62 外周面(加工面)
71 シュー(一方のシュー)、
72 シュー(他方のシュー)、
73 先端部、
74 凹部、
W ワーク。

Claims (10)

  1. 断面非真円の円弧状の加工面を有する回転するワークにラッピングフィルムの砥粒面を押付けてラッピング加工を施すラッピング加工方法であって、
    対向配置された一対のシューを用い、
    一対の前記シューは、ワークの回転軸を含む平面で見て、先端部がそれぞれ湾曲して形成され、その湾曲の湾曲率が互いに異なり、
    一対の前記シューにより、前記ラッピングフィルムをその背面側から前記加工面に向けて押圧し、その状態下でワークを回転駆動する、
    ことを特徴とするラッピング加工方法。
  2. 前記シューの先端部における前記湾曲面を凹形状面とし、一方のシューの凹形状面の湾曲率を他方のシューの凹形状面の湾曲率と異ならせることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工方法。
  3. 前記シューの先端部における前記湾曲面が凸形状面とし、一方のシューの凸形状面の湾曲率を他方のシューの凸形状面の湾曲率と異なせることを特徴とする請求項1に記載のラッピング加工方法。
  4. 前記シューを対向配置し、その一方のシューを通過してから他方のシューを通過するように前記ラッピングフィルムを搬送し、
    前記一方のシューの先端部における前記湾曲面の湾曲率を前記他方のシューの先端部における前記湾曲面の湾曲率よりも小さく設定する、
    ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のラッピング加工方法。
  5. 前記一方のシューの先端部における前記湾曲面の湾曲率を、ほぼ平坦に近い面となる小さい値に設定することを特徴とする請求項4に記載のラッピング加工方法。
  6. 断面非真円の円弧状の加工面を有するワークに対してラッピング加工を施す、薄肉基材の一面に砥粒が設けられたラッピングフィルムと、
    前記ワークを回転駆動する回転駆動手段と、
    前記ラッピングフィルムの背面側からワークを押圧すべく対向配置された凹形状の一対のシューと、
    当該凹形状のシューをワークに向けて押付けて、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付けるシュー押付手段と、
    を有するラッピング加工装置であって、
    前記対向配置された凹形状の一対のシューは、ワークの回転軸を含む平面で見て、前記ラッピングフィルムの砥粒面を前記ワークに押付ける先端部がそれぞれ湾曲して形成され、その湾曲の湾曲率が互いに異なっている、
    ことを特徴とするラッピング加工装置。
  7. 前記シューの先端部における前記湾曲面が凹形状面から成り、一方のシューの凹形状面の湾曲率が他方のシューの凹形状面の湾曲率と異なっている、ことを特徴とする請求項6に記載のラッピング加工装置。
  8. 前記シューの先端部における前記湾曲面が凸形状面から成り、一方のシューの凸形状面の湾曲率が他方のシューの凸形状面の湾曲率と異なっている、ことを特徴とする請求項6に記載のラッピング加工装置。
  9. 前記シューが対向配置されており、その一方のシューを通過してから他方のシューを通過するように前記ラッピングフィルムを搬送する搬送手段を有し、
    前記一方のシューの先端部における前記湾曲面の湾曲率が前記他方のシューの先端部における前記湾曲面の湾曲率よりも小さく設定されている、
    ことを特徴とする請求項6ないし8のいずれかに記載のラッピング加工装置。
  10. 前記一方のシューの先端部における前記湾曲面の湾曲率が、ほぼ平坦に近い面となる小さい値に設定されている、ことを特徴とする請求項9に記載のラッピング加工装置。
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