JP4378915B2 - ラッピングシューを用いた研摩加工方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ラッピングシューおよびラッピングシューを用いた研摩加工方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
精度の高い仕上げ加工の一つにラッピング加工がある。ラッピング加工を行う装置として、特開平8−309652に示されるラッピング装置が知られている。ラッピング加工には、研摩剤を含んだ研摩用テープをワークと相対運動させることによってワークを研摩する方法があり、研摩用テープとワークとを圧接するために用いられる手段としてラッピングシューがある。ラッピングシューは単一の材質で形成されており、加工面の表面粗さを小さく仕上げるためには、ウレタン等の樹脂からなるラッピングシューを用いることが一般的である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の樹脂製のラッピングシューを用いた場合、ワークが圧接することによってラッピングシューが弾性変形するので、ワークのエッジが研摩用テープに接する部分で応力集中が発生し、研摩剤が剥がれ易くなる。そして、ワークのエッジが接する部分の研摩剤が少なくなるため、ワークのエッジが加工しきれずに残ることになる。一方、ワークのエッジ以外の部分は研摩剤が十分に存在するために研摩加工が進行し、加工面が凹形状になったり、精度が低下したりすることがあり、その場合には、ラッピングテープ等を交換して再度加工を行う必要がある。また、たとえば、ワークが自動車部品の一つであるカムロブの場合、加工面が凹形状であると、カムとカムロブとの接触部分が中心に位置せずに摩擦抵抗が大きくなるので、自動車の燃費向上面で好ましくない。自動車の燃費向上には、カムロブのバルブリフタとの摺動面の形状は少なくとも平面、できれば凸形状であることが望ましい。
【0004】
本発明は、上記従来技術の課題を解決するためになされたものであり、設計に対して精度の高い加工面を形成するためのラッピングシューおよびラッピングシューを用いた研摩加工方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、下記する手段により達成される。
【0010】
)研摩用の砥粒を有する研摩用テープと、ワークと前記研摩用テープとを圧接させるラッピングシューとを用いて、前記ワークと前記研摩用テープとを圧接しつつ相対的に運動させることによって前記ワークに対して研摩加工を行う研摩加工方法において、
前記ラッピングシューは、前記ワークの圧接位置に対応させて硬さの異なる複数の層を有し、前記複数の層は、少なくとも、弾性変形し難い第1の層と、前記第1の層よりも軟らかく且つ加工面に沿って弾性変形可能な第2の層とを有し、
前記第1の層を、前記ワークのエッジ部に対して前記研摩用テープを介して接する部分に配置し、前記ワークと前記研摩用テープとの運動方向に対して直交する方向に、前記ワークと前記ラッピングシューとを相対的にオシレート運動させるとともに前記オシレート運動の量を、前記ワークのエッジが前記ラッピングシューのうち加工の開始時に前記研摩用テープを介して接している前記第1の層から脱落しない量にすることを特徴とする研磨加工方法。
【0012】
)前記ワークは、カムロブ、クランクシャフト、ジャーナルのいずれか一つであることを特徴とする()に記載の研摩加工方法。
【0013】
【発明の効果】
上記のように構成した本発明は以下の効果を奏する。
【0016】
請求項に記載の発明によれば、第2の層が研摩用テープと接する方向に第1の層よりも突出しており、突出量を変化することよって、圧接されるときの第2の層の弾発力を調整することができる。第2の層の突出量を変化させることによって、同じ材質からなる第2の層であっても、加工面を所望の形状に形成することができる。
【0017】
請求項に記載の発明によれば、研摩用テープとラッピングシューとの間のすべりを防止することができ、研摩用テープとワークとの相対運動が良好に行われ、ワークの加工を確実に行うことができ、研摩用テープに予期しない負荷がかかることが無く、研摩用テープの損傷を防止することができる。
【0018】
請求項に記載の発明によれば、少なくとも、弾性変形し難い第1の層と、前記第1の層よりも軟らかく且つ加工面に沿って弾性変形可能な第2の層とを有した硬さの異なる複数の層を有するラッピングシューをいてワークを研摩加工するため、加工面の精度を高くすることができ、様々な形状のワークの加工面を作製することができる。そして、第1の層がワークのエッジを支えており、研摩用テープにワークのエッジが食い込むことを防止することができ、研摩用テープのエッジと接触する部分における応力集中を防止することができ、研摩用テープの研摩剤の剥離の発生を防止することができ、エッジ部分の削り残りの無い加工面を形成することができる。さらに、第2の層は、加工面の形状に沿って弾性変形するため、加工面のうち高い精度が求められる部分に対して表面粗さの良い研摩加工を行うことができる。ワークのエッジがワークのエッジ部分による研摩用テープの研摩剤の剥離を防止し、ラッピングシューの層を剥離する力を防止することができる。また、ワークと研摩用テープとの運動方向に対して直交する方向に運動するため、研摩加工の効率を向上することができる。
【0020】
請求項に記載の発明によれば、カムロブ、クランクシャフト、ジャーナルなど、様々な形状の加工面を高精度に仕上げることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を参照しつつ説明する。
【0022】
(第1の実施形態)
図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係るラッピング装置を示す正面図であり、図1(B)は同図(A)の側面図である。図2(A)は、本発明に係るラッピング装置の要部を示した断面図であり、図2(B)は、対比例に係るラッピング装置の要部を示した断面図である。
【0023】
図1(A)(B)に示すように、ラッピング装置10は、研摩用の砥粒を有するラッピングテープ11(研摩用テープに相当する)と、カムロブ12(ワークに相当する)とラッピングテープ11(以下、「テープ11」と言う)とを圧接させるラッピングシュー20とを有しており、カムロブ12とテープ11とを圧接しつつ相対的に運動させることによってカムロブ12の加工面14に対して研摩加工を行う装置である。
【0024】
前記テープ11は、加工の間、図1(A)の左右方向に対して静止している。テープ11に塗布された研摩用の砥粒が摩滅して加工に適さなくなると、図示しないテープ供給手段から新しいテープ11が供給され、使用済みの部分は図示しないテープ巻取り手段に回収される。
【0025】
前記カムロブ12は、自動車のエンジン部品で、カムシャフト15と一体的に形成され、ラッピング装置10に設けた回転駆動機構(図示せず)により、図1(A)に示す矢印aの方向へカムシャフト15を中心に回転させる様になっている。
【0026】
本発明のラッピングシュー20は、カムロブ12の圧接位置に対応させて、硬さの異なる複数の層を有している。本実施形態の複数の層は、スチールの層21(第1の層に相当する)と、スチールの層21よりも軟らかく且つ弾性変形可能なウレタンの層22(第2の層に相当する)とを少なくとも有している。スチールの層21は、ラッピングシュー20の両端に配置されている。ウレタンの層22は、スチールの層21によって挟持されている。スチールの層21はテープ11を介したカムロブ12への押圧によっては弾性変形せず、エッジ13の食い込みが発生しない。
【0027】
ラッピングシュー20において、テープ11と接する面が平滑であると、加工面14が移動する力によって、テープ11がカムロブ12の回転方向に引っ張られ、加工面14とテープ11との間の相対運動の力が弱まったり、テープ11がラッピングシュー20に対して相対的に静止している場合よりも強い張力がかかったりする虞がある。そこで、本発明のラッピングシュー20は、複数の層のうち少なくとも一つの層は、テープ11に接触する面にテープ11とラッピングシュー20との摺動を防止するすべり止めを有している。一般的に、ウレタンなどの樹脂の場合は、テープ11に接する面に溝を施してもすべり止めの効果は少ない。そこで、本実施形態ではスチールの層21のテープ11に接する面23にすべり止めを施している。すべり止めを施すには様々な手段があり、例としてダイヤモンド電着が挙げられる。
【0028】
次に、本実施形態の作用を説明する。
【0029】
カムシャフト15をラッピング装置10に支持させる。ラッピングシュー20をテープ11を介してカムロブ12の加工面14に圧接させる。ラッピング装置10に設けた回転駆動機構(図示せず)によりカムシャフト15を回転し、カムロブ12を矢印aの方向に回転運動させることによって、テープ11と加工面14との間に相対運動を発生させる。カムロブ12は偏心しており、テープ11と加工面14とを常に圧接させるため、ラッピングシュー20を図1(A)の矢印bの方向に運動させる。テープ11がカムロブ12の加工面14に常に圧接される状態で研摩加工を行う。
【0030】
スチールの層21は、ラッピングシュー20の両端に位置している。スチールの層21は、中央部分に位置するウレタンの層22よりも変形し難いため、カムロブ12のエッジ13がテープ11に引っかかることが無く、研摩加工の効率が高くなる。スチールの層21はウレタンの層22と比較して変形しないことから、テープ11を介した加工面14からの圧接の力が大きくなり、ウレタンの層22よりも加工面14を研摩する量が多くなる。
【0031】
ウレタンの層22は、カムロブ12の加工面14の形状に沿って弾性変形する。加工面14とテープ11とラッピングシュー20とがそれぞれ面接触になることから、加工面14に対してテープ11の作用する砥粒が多くなり、スチールの層21よりも表面粗さが良くなる。ウレタンの層22の弾性変形によって、加工面14の中央部分がラッピングシュー20に食い込むことになり、加工面14の断面を凸形状にすることができる。これにより、自動車に用いる際には、カムロブ12の接触部分が常にカムシャフト15の軸方向の中心で点接触になり、摩擦抵抗が小さくすることができ、経時的な特性変化を小さくすることができる。
【0032】
対比例に示されるウレタンなどの樹脂の層のみからなるラッピングシュー25の場合は、テープ11を介したカムロブ12との圧接によって弾性変形をするため、図2(B)左図に示すように、カムロブ12のエッジ13がテープ11に食い込んでしまう。このため、テープ11にはエッジ13と接する部分において応力集中が発生し、テープ11に塗布された研摩剤がテープ11の他の部分よりも剥離し易くなる。研摩剤の量が多い中央部分がより多く研摩されることになり、加工面14の断面は図2(B)右図に示す凹形状になる。
【0033】
本実施形態のラッピングシュー20は変形し難いスチールの層21を有しているため、対比例のラッピングシュー25と比較して、テープ11がエッジ13と接触する部分において研摩剤の剥離が発生し難く、エッジ13の削り残しを防止することができる。また、ウレタンの層22は、加工面14の形状に沿って変形するため、複雑な形状のラッピングシューを用いなくても、加工面14のうち高い精度が求められる部分に対して表面粗さの良い研摩加工を行うことができる。
【0034】
対比例のラッピングシュー25は、テープ11と加工面14との間で滑りが生じやすい。そのため、テープ11の保持が確実ではなく、テープ11と加工面14との間の相対運動に影響を与え、加工が予定通りに進まないことがある。
【0035】
一方、本実施形態のラッピングシュー20は、面23にすべり止めが施されており、テープ11と加工面14との間ですべりが発生せず、テープ11と加工面14との相対運動に影響を与えないため、加工を設計の予定通りに行うことができる。また、テープ11に働く張力を一定にすることができ、テープ11の損傷を防止することができる。
【0036】
ラッピングシュー20は、矩形状の板材を積層することによって形成することができ、容易に作製できる。
【0037】
第1の実施形態では、カムロブの加工面について研摩加工することを取り上げたが、クランクシャフト、ジャーナル、カムシャフトなど、表面粗さを良くする必要があるどのような部材に対しても、本発明のラッピングシューを用いることができる。
【0038】
第1の層の材質について、スチールのみを例示しているが、すべり止めをつけることが可能であり、且つ、圧接する力によって弾性変形し難い材質であれば、他の金属あっても構わない。第2の層の材質について、ウレタンのみを例示しているが、弾性変形可能な樹脂であればよく、ウレタンに限定されるものではない。
【0039】
(第2の実施形態)
図3(A)は、ラッピングシューとカムロブとのオシレート運動を示した図であり、図3(B)は、オシレート運動の量が大きすぎる場合を示した図である。
【0040】
第2の実施形態は、カムロブ12とテープ11との相対的な運動方向に直交する方向に、カムロブ12とラッピングシュー20とを相対的にオシレート運動させた点において、第1の実施形態と相違している。カムロブ12とラッピングシュー20とを相対的にオシレート運動させることにより、カムロブ12の加工面14が偏ってテープ11に接触することを防止し、さらに研摩加工の効率を向上することができる。
【0041】
図示例では、カムロブ12が図3(A)の左右方向に固定されており、ラッピングシュー20が図3(A)に示す矢印の方向にオシレート運動をしている。オシレート運動の量は、研摩加工の効率のみを考慮した場合、大きいほうが好ましい。
【0042】
しかし、オシレート運動の量が大きすぎ、エッジ13がラッピングシュー20のスチールの層21から脱落すると、図3(B)に示す状態になる。エッジ13がウレタンの層22に食い込み、テープ11に応力集中が発生することによって、テープ11に含まれる砥粒が剥離する虞がある。加工面14のうち、テープ11に接触する面14aと接触しない面14bとが生じ、加工面14の加工形状と表面粗さとに影響を及ぼす。また、エッジ13がオシレート運動の際にラッピングシュー20の両端の層が剥離する方向に力を加えることによって、ラッピングシュー20を破壊する虞がある。
【0043】
そこで、オシレート運動の量は、カムロブ12のエッジ13がラッピングシュー20のうち、加工の開始時にテープ11を介して接している層から脱落しない量にするのが好ましい。本実施形態のカムロブ12を加工する場合のオシレート運動の量は、0.8mmから4mm程度が適している。したがって、本実施形態のスチールの層21は少なくとも0.8mmから4mm以上の厚みが必要となる。
【0044】
第2の実施形態に示すオシレート運動の量であれば、エッジ13がテープ11を介してウレタンの層22に食い込まないため、テープ11に含まれる砥粒を剥離する力を防止することができる。加工面14がテープ11から離れることを防止でき、精度の良い研摩加工ができる。また、ラッピングシュー20が、層の剥離によって破損することを防止することができる。
【0045】
(第3の実施形態)
図4(A)〜(C)は、中央に配置される樹脂製の層の突出量によって加工面の形状が変化することを示した図である。図4(A)は、加工面を水平にする場合を示した図であり、図4(B)は、第1の実施形態の加工面よりもなだらかな凸形状にする場合を示した図であり、図4(C)は、第1の実施形態のラッピングシューを示した図である。
【0046】
第3の実施形態のラッピングシュー20a、20bにおいて、ウレタンの層22a、22bは、スチールの層21よりも突出している。突出の方向は、テープ11と接する方向である。突出させる量の違いによって、図4(A)(B)に示す加工面14の形状に加工される。
【0047】
ラッピングシュー20a、20bに対してテープ11を介して伝わるカムロブ12が圧接する力は、所定の値で一定にされている。ウレタンの層22aと22bとは、材質は同じであるが突出量が異なる。ウレタンの層22a、22bは弾性変形するとともに弾発力が蓄積され、弾発力は圧縮量に比例する。ウレタンの層に一定以上の弾発力が蓄積されると、弾発力と圧接する力とが平衡状態となり、ウレタンの層22a、22bがそれ以上は変形しなくなる。係る性質を活用し、突出量を調整することによって、様々な形状の加工面14を形成することができる。
【0048】
図4(A)に示す突出量がtaの場合は、スチールの層21とウレタンの層22aとの高さが同じになる位置で弾発力と圧接する力とが平衡状態となり、加工面14の断面は水平に加工される。図4(B)に示す突出量がtbの場合は、ウレタンの層22bがスチールの層21よりも低くなる位置で平衡状態となるが、第1の実施形態のウレタンの層22よりも低くならず、加工面14の断面はなだらかな凸形状となる。
【0049】
加工面の断面が水平または凸形状になることを示したが、ワークの種類によっては、突出量をより多くすることによって加工面の断面を凹形状にすることもできる。
【0050】
(第4の実施形態)
図5(A)〜(C)は、複数の層の配置の構成によってワークの加工面の形状を変化させることを示した図である。
【0051】
第4の実施形態のラッピングシュー50、55、56は、3層よりも多い複数の層を有している。本実施形態では、硬質ウレタンの層53と、軟質ウレタンの層52、54と、スチールの層51、51a、51bとの3種類の層を用いた。硬質ウレタンの硬度はHS90程度であり、軟質ウレタンの硬度はHS50〜70程度である。第1の実施形態の装置に、ラッピングシュー50を使用することにより、ワークの断面形状をより複雑にコントロールすることができる。
【0052】
図5(A)のラッピングシュー50は、両端にスチールの層51と、スチールの層51に隣接する硬質ウレタンの層53と、中央部に軟質ウレタンの層52とを有している。第1の実施形態のラッピングシュー20と比較し、ワーク57aの加工面58aの形状を所望の形状により精度良く近づけることができる。
【0053】
図5(B)のラッピングシュー55は、両端にスチールの層51と、スチールの層51に隣接して突出されている軟質ウレタンの層52と、中央部に突出されたスチールの層51aとを有している。表面粗さの良い凹形状の断面を作製することができる。中央部の層を硬質ウレタンや、突出させた軟質ウレタンなどにすることで、ワーク57bの加工面58bの中央部の表面粗さを向上することもできる。
【0054】
図5(C)のラッピングシュー56は、図の左から、スチールの層51と、硬質ウレタンの層53と、軟質ウレタンの層52と、軟質ウレタンの層52よりも軟らかい軟質ウレタンの層54と、テープ11に接する面が低くなっているスチールの層51bとを有している。各ウレタンの層の圧縮される量の違いを利用し、図5(C)に示すワーク57cの加工面58cを形成することができる。もちろん、同じ硬度のウレタンの層を用いて突出する量を変えることによっても、同じ形状にすることができる。表面粗さを最も良くすべき面に対して、軟質ウレタンなどの軟らかい層をテープ11を介して接することが好ましい。
【0055】
図5(A)〜(C)に示したラッピングシューは5層であるが、この数に限定されず、これよりも多い層を有するラッピングシューであってもよい。
【0056】
(第5の実施形態)
図6は、本発明の第5の実施形態に係るラッピング装置を示す正面図である。
【0057】
本発明は、図1に示すラッピング装置10のみならず、図6に示すラッピング装置60においても用いることができる。ラッピング装置60のラッピングシュー61は、カムロブ12が矢印aの方向に回転運動する際に、矢印bの方向に運動しつつ、軸62を中心に矢印cの方向にも運動し、カムロブ12の形状に追従しつつテープ11を介して接することができる。テープ11に接する面は、加工面14と4点で接触することができる凹形状を有しており、装置10のラッピングシュー20よりも効率よく研摩加工を行うことができる。
【0058】
(第6の実施形態)
図7は、エッジ部分を複数有するワークを加工する場合のラッピング装置の要部を示した図である。
【0059】
本実施形態のラッピングシュー40は、エッジ部分を4つ有するワーク32に適したものである。ラッピングシュー40は、スチールの層41、43とウレタンの層42とを有している。エッジ33はスチールの層41にテープ31を介して接しており、テープ31に食い込むことがない。テープ31の研摩剤がエッジ33によって剥離されないため、エッジ33の加工が十分に行われる。ウレタンの層42を有しているため、加工面34の表面粗さを良くすることができる。
【0060】
(第7の実施形態)
図8は、本発明の第7の実施形態に係るラッピング装置の要部を示した図である。
【0061】
第1から第6の実施形態では、ワークを回転させることによって、テープとの間に相対運動を発生させ、研摩加工を行っている。加工面がカムロブのように周全体に存在する場合には係る方法が好ましい。
【0062】
第7の実施形態では、ワーク82を矢印dで示される方向に往復移動させることによってテープ81と相対運動を発生させ、加工面84に対して研摩加工を行っている。ラッピングシュー90は、スチールの層91とウレタンの層92とを有している。ラッピングシュー90を、矢印eの方向にオシレート運動させてもよい。加工面がワークの一部の面のみである場合やワークを回転させることが困難な場合などであっても、本発明のラッピングシューを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1(A)は、本発明の第1の実施形態に係るラッピング装置を示す正面図であり、図1(B)は同図(A)の側面図である。
【図2】 図2(A)は、本発明に係るラッピング装置の要部を示した断面図であり、図2(B)は、対比例に係るラッピング装置の要部を示した断面図である。
【図3】 図3(A)は、ラッピングシューとカムロブとのオシレート運動を示した図であり、図3(B)は、オシレート運動の量が大きすぎる場合を示した図である。
【図4】 図4(A)〜(C)は、中央に配置される樹脂製の層の突出量によって加工面の形状が変化することを示した図であり、図4(A)は、加工面を水平にする場合を示した図であり、図4(B)は、第1の実施形態の加工面よりもなだらかな凸形状にする場合を示した図であり、図4(C)は、第1の実施形態のラッピングシューを示した図である。
【図5】 図5(A)〜(C)は、複数の層の配置の構成によってワークの加工面の形状を変化させることを示した図である。
【図6】 図6は、本発明の第5の実施形態に係るラッピング装置を示す正面図である。
【図7】 図7は、エッジ部分を複数有するワークを加工する場合のラッピング装置の要部を示した図である。
【図8】図8は、本発明の第7の実施形態に係るラッピング装置の要部を示した図である。
【符号の説明】
10、60…ラッピング装置
11、81…ラッピングテープ(研摩用テープ)
12…カムロブ(ワーク)
13、33…エッジ
20、20a、20b、50、55、56、61、90…ラッピングシュー
21、51、51a、51b、91…スチールの層(第1の層)
22、22a、22b、52、53、54、92…ウレタンの層(第2の層)
32、57a、57b、57c、82…ワーク

Claims (2)

  1. 研摩用の砥粒を有する研摩用テープと、ワークと前記研摩用テープとを圧接させるラッピングシューとを用いて、前記ワークと前記研摩用テープとを圧接しつつ相対的に運動させることによって前記ワークに対して研摩加工を行う研摩加工方法において、
    前記ラッピングシューは、前記ワークの圧接位置に対応させて硬さの異なる複数の層を有し、前記複数の層は、少なくとも、弾性変形し難い第1の層と、前記第1の層よりも軟らかく且つ加工面に沿って弾性変形可能な第2の層とを有し、
    前記第1の層、前記ワークのエッジ部に対して前記研摩用テープを介して接する部分に配置、前記ワークと前記研摩用テープとの運動方向に対して直交する方向に、前記ワークと前記ラッピングシューとを相対的にオシレート運動させるとともに前記オシレート運動の量を、前記ワークのエッジが前記ラッピングシューのうち加工の開始時に前記研摩用テープを介して接している前記第1の層から脱落しない量にすることを特徴とする研磨加工方法。
  2. 前記ワークは、カムロブ、クランクシャフト、ジャーナルのいずれか一つであることを特徴とする請求項1に記載の研摩加工方法。
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