JP5042690B2 - 鋳片の幅圧下設備 - Google Patents
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例えば、特許文献1には、1基の連続鋳造機に加熱炉が設置され、加熱炉出側であってその上流側にプレス式幅圧下装置を配置し、加熱炉出側であってその下流側にスラブの厚みを調整する圧延機を配置した設備が開示されている。
また、特許文献2には、プレス式幅圧下装置の下流側にロール式幅圧下装置を設置した設備が開示されている。
そして、特許文献3には、プレス式幅圧下装置をロール式幅圧下装置に近接配置した設備が開示されている。
特許文献1の設備の場合、設備構成をコンパクトにはできるが、スラブの搬送方向全長に渡って幅圧下を上流側のプレス式幅圧下装置でのみ行い、下流側の圧延機では厚み圧下のみを行っている。このため、スラブの幅圧下ライン全体の生産性は、圧延機よりも処理に時間を要するプレス式幅圧下装置に依存するため、悪くなるという欠点があった。このため、加熱炉の上流側に連続鋳造機を1台しか設置できなく、複数の連続鋳造機を設置して生産性を向上させる設備構成には適用できなかった。
また、特許文献2の設備の場合についても、特許文献1の場合と同様、プレス式幅圧下装置でスラブの搬送方向全長に渡って幅圧下を行うため、生産性が悪かった。
そして、特許文献3の設備の場合、加熱炉の上流側で、かつプレス式幅圧下装置の直後にロール式幅圧下装置が配置されているため、プレス式幅圧下装置とロール式幅圧下装置で、それぞれ別のスラブを同時に加工することができないため、生産性が悪かった。
前記複数の連続鋳造機で製造された鋳片を加熱する加熱炉と、
鋳片の幅方向両側に対向配置される一対の金型を備え、前記加熱炉から抽出した鋳片の搬送方向両端部をそれぞれプレスするプレス式幅圧下装置と、
鋳片の幅方向両側に対向配置される圧下用ロールを備え、前記プレス式幅圧下装置でプレスした鋳片の搬送方向に渡って該鋳片の幅を圧下するロール式幅圧下装置とを有する鋳片の幅圧下設備であって、
前記プレス式幅圧下装置と前記ロール式幅圧下装置は、鋳片の幅圧下ラインの上流側と下流側にそれぞれ配置され、該プレス式幅圧下装置と該ロール式幅圧下装置との間には、幅圧下される鋳片が侵入可能な領域が設けられ、前記連続鋳造機から鋳片を送り出す複数の送出しラインと前記幅圧下ラインとを平行に配置し、しかも、該幅圧下ラインの前記領域と前記送出しラインとの間に前記加熱炉を配置し、該送出しラインと該加熱炉との間に鋳片を前記送出しラインから前記加熱炉へ移動させる第1の搬送装置を設置し、前記ロール式幅圧下装置で鋳片を幅圧下する際に、該鋳片が前記幅圧下ラインの上流側へ移動するとき、前記加熱炉から前記領域へ搬出された鋳片を前記プレス式幅圧下装置へと移動させ、前記プレス式幅圧下装置で鋳片の先端部の幅圧下が終了し、該鋳片を前記幅圧下ラインの下流側へ移動させて該鋳片の後端部の幅圧下を行うとき、前記ロール式幅圧下装置で幅圧下される鋳片を前記幅圧下ラインの下流側へ移動させた。
そして、送出しラインの加熱炉より上流側の位置と、幅圧下ラインのプレス式幅圧下装置の上流側の位置との間に、鋳片を移動させる第3の搬送装置を設ける場合には、鋳片がプレス式幅圧下装置で加工可能な温度を備えているときに、連続鋳造機から送り出された鋳片を、プレス式幅圧下装置の上流側へ直接移動させることに対応できる。
このように、状況に応じた処理が可能な設備構成とすることで、製品の生産性を更に向上できる。
ここで、図1は本発明の第1の実施の形態に係る鋳片の幅圧下設備の説明図、図2は本発明の第2の実施の形態に係る鋳片の幅圧下設備の説明図、図3は本発明の第3の実施の形態に係る鋳片の幅圧下設備の説明図、図4(A)、(B)はそれぞれ本発明の第1の実施の形態に係る鋳片の幅圧下設備のプレス式幅圧下装置を使用してスラブの先端部を幅圧下する説明図、後端部を幅圧下する説明図、図5は同鋳片の幅圧下設備のロール式幅圧下装置を使用してスラブの幅圧下を行う方法の説明図、図6(A)はプレス式幅圧下装置のみで幅圧下を行った場合のスラブの平面図、(B)はロール式幅圧下装置のみで幅圧下を行った場合のスラブの平面図、(C)はプレス式幅圧下装置でスラブの先後端部の幅圧下を行った後にロール式幅圧下装置で所定幅となった先後端部以外の幅圧下を行った場合のスラブの平面図である。
また、加熱炉14は、各連続鋳造機で製造された複数のスラブ13を収納可能な容積を備えており、このスラブ13を予め設定した温度、例えば、900℃以上1300℃以下の温度範囲内まで昇温可能な装置である。
プレス式幅圧下装置15は従来公知のものであり、スラブ13の幅方向両側に対向配置される一対の金型21、22を備えている。
この金型21、22は、図4(A)、(B)に示すように、一対の先端部圧下用金型部23、24と一対の後端部圧下用金型部25、26とが、上下方向に重ねて配置されたものである。
これにより、スラブ13の搬送方向を変えるのみで、前記した温度範囲内まで昇温したスラブ13の搬送方向両端部をそれぞれ幅圧下できる。
これにより、プレス式幅圧下装置15でプレスされ(予成形され)たスラブ33を、ロール式幅圧下装置16に対して往復移動させることにより、スラブ13の搬送方向に渡って幅方向と厚み方向を圧下できる。
プレス式幅圧下装置15とロール式幅圧下装置16との間には、幅圧下されるスラブ13が侵入可能な領域34が設けられ、しかもこの領域34と送出しライン17(最も幅圧下ライン20に近い側に配置された)との間に加熱炉14が配置されている。
このため、領域34は、加熱炉14からのスラブ13の搬出領域(抽出領域)、プレス式幅圧下装置15でスラブ13の後端部19をプレスする際のスラブ13の侵入領域、およびロール式幅圧下装置16でスラブ13を幅圧下する際のスラブ33の侵入領域を共用することになる。なお、この領域34の長さは、加熱炉14の長さLより長くスラブ13の長さの例えば、1.5倍以上2倍以下程度である。
従って、各領域をそれぞれ個別に設ける場合と比較して、設備構成をコンパクトにできる。
なお、送出しライン17と加熱炉14との間には、スラブ13を送出しライン17から加熱炉14へ移動させる図示しない第1の搬送装置(例えば、クロークレーンまたはスキッド)を設置している。
まず、各連続鋳造機でそれぞれスラブを製造して切断する。なお、スラブの鋳造速度は、例えば、0.5〜2.5m/分(ここでは、1.8m/分)程度であり、プレス式幅圧下装置15のプレス速度(例えば、5〜25m/分程度:ここでは10m/分)と比較して遅いので、複数の連続鋳造機でスラブを製造することにより、製品の生産性が高められる。
次に、第1の搬送装置により、送出しライン17まで搬送されてきたスラブ13を、加熱炉14に供給し、例えば、900℃以上1300℃以下の温度範囲内まで昇温する。
そして、昇温が完了したスラブ13を、幅圧下ライン20の領域34へ図示しない搬送手段(例えば、クロークレーンまたはスキッド)により搬出(抽出)する。
次に、図4(B)に示すように、このスラブ13を幅圧下ライン20の下流側へ搬送し、スラブ13の後端部19(上流側端部)がプレス式幅圧下装置15の金型21、22まで移動したところで停止する。そして、金型21、22の後端部圧下用金型部25、26により、スラブ13の後端部19の幅圧下を行う。
このように、スラブ13の先端部18の幅圧下を行った後に、スラブ13の後端部19の幅圧下を行うことで、先に鋳造され、後端部よりも温度が低下している先端部の幅圧下を先に実施できるため、スラブの過剰な加熱が不要となり、製品の生産性が高められるとともに、熱エネルギーコストの低減も図れる。
なお、ロール式幅圧下装置16は、幅圧下速度が、例えば、60〜100m/分程度であるので、プレス式幅圧下装置15の幅圧下速度の約3〜5倍程度である。従って、ロール式幅圧下装置16で幅圧下する回数が片側3回であれば、プレス式幅圧下装置15とロール式幅圧下装置16の処理時間を同等にでき、各装置を連続的に使用できる。
加熱炉14からのスラブ13の搬出時期は、プレス式幅圧下装置15で幅圧下したスラブ33がロール式幅圧下装置16へと移動した後である。そして、ロール式幅圧下装置16でスラブ13を幅圧下する際に幅圧下ライン20の上流側へ移動するとき、領域34へ搬出されたスラブ13もプレス式幅圧下装置15へと移動させる。
そして、プレス式幅圧下装置15で幅圧下されたスラブ33がロール式幅圧下装置16へと送られ、続いて、加熱炉14内のスラブ13が幅圧下ライン20の領域34へ搬出される。
以上の各操作を繰り返し実施することで、コンパクト化された鋳片の幅圧下設備10により、幅圧下ライン20上でのスラブ13、33同士の接触を発生させることなく、スラブ13、33の幅圧下を実施できる。
そこで、本発明のように、スラブの先後端部をプレス式幅圧下装置で所定の幅まで圧下し、それ以外の部分をロール式幅圧下装置で所定の幅まで圧下することで、製品の生産性の低下を抑制しながら、図6(C)に示すように、スラブの先後端部の形状を良好にでき、歩留りの低下も抑制できることを確認できた。
連続鋳造機の下流側に設けられた送出しライン36は、加熱炉14より下流側の位置で、かつ幅圧下ライン20のロール式幅圧下装置16の下流側の位置まで延設されている。また、この各位置の間には、スラブ13を移動させる図示しない第2の搬送装置(例えば、クロークレーン、スキッド、または搬送テーブル)が設けられている。
このように構成することで、スラブ13の幅圧下が不要な場合(例えば、目標とする幅と厚みを備えたスラブ13が鋳造された場合)には、連続鋳造機から送り出されたスラブ13を、加熱炉14の側方よりも更に下流側位置の送出しライン36まで搬送して停止する。そして、スラブ13を、第2の搬送装置により、加熱炉14を通過させることなく、送出しライン36から幅圧下ライン20のロール式幅圧下装置16の下流側へ直接移動させる。
なお、この場合においても、幅圧下が必要なスラブは、前記した鋳片の幅圧下設備10と同様の方法で幅圧下できる。
連続鋳造機の下流側に設けられた送出しライン37の加熱炉14より上流側の位置と、幅圧下ライン20のプレス式幅圧下装置15の上流側の位置との間には、スラブを移動させる図示しない第3の搬送装置(例えば、クロークレーン、スキッド、または搬送テーブル)が設けられている。
このように構成することで、連続鋳造機で製造されたスラブ13が前記した予め設定した温度を有し、プレス式幅圧下装置15で加工可能な温度を備えている場合、連続鋳造機から送り出されたスラブ13を、加熱炉14の側方よりも更に上流側位置の送出しライン37まで搬送して停止する。そして、スラブ13を、第3の搬送装置により、加熱炉14を通過させることなく、送出しライン37から幅圧下ライン20のプレス式幅圧下装置15の上流側へ直接移動させる。
なお、この場合においても、昇温が必要なスラブは、前記した鋳片の幅圧下設備10と同様の方法で昇温できる。また、幅圧下が不要なスラブは、前記した鋳片の幅圧下設備11と同様の方法で第2の搬送装置により下流側へ搬送できる。
また、前記第3の実施の形態においては、送出しラインを、第2の実施の形態のように、加熱炉の側方よりも更に下流側まで延設した場合について説明したが、第1の実施の形態のように、加熱炉14の側方までとしてもよい。
Claims (3)
- 溶融金属を連続的に凝固させて鋳片を製造する複数の連続鋳造機と、
前記複数の連続鋳造機で製造された鋳片を加熱する加熱炉と、
鋳片の幅方向両側に対向配置される一対の金型を備え、前記加熱炉から抽出した鋳片の搬送方向両端部をそれぞれプレスするプレス式幅圧下装置と、
鋳片の幅方向両側に対向配置される圧下用ロールを備え、前記プレス式幅圧下装置でプレスした鋳片の搬送方向に渡って該鋳片の幅を圧下するロール式幅圧下装置とを有する鋳片の幅圧下設備であって、
前記プレス式幅圧下装置と前記ロール式幅圧下装置は、鋳片の幅圧下ラインの上流側と下流側にそれぞれ配置され、該プレス式幅圧下装置と該ロール式幅圧下装置との間には、幅圧下される鋳片が侵入可能な領域が設けられ、前記連続鋳造機から鋳片を送り出す複数の送出しラインと前記幅圧下ラインとを平行に配置し、しかも、該幅圧下ラインの前記領域と前記送出しラインとの間に前記加熱炉を配置し、該送出しラインと該加熱炉との間に鋳片を前記送出しラインから前記加熱炉へ移動させる第1の搬送装置を設置し、前記ロール式幅圧下装置で鋳片を幅圧下する際に、該鋳片が前記幅圧下ラインの上流側へ移動するとき、前記加熱炉から前記領域へ搬出された鋳片を前記プレス式幅圧下装置へと移動させ、前記プレス式幅圧下装置で鋳片の先端部の幅圧下が終了し、該鋳片を前記幅圧下ラインの下流側へ移動させて該鋳片の後端部の幅圧下を行うとき、前記ロール式幅圧下装置で幅圧下される鋳片を前記幅圧下ラインの下流側へ移動させたことを特徴とする鋳片の幅圧下設備。 - 請求項1記載の鋳片の幅圧下設備において、前記送出しラインの前記加熱炉より下流側の位置と、前記幅圧下ラインの前記ロール式幅圧下装置の下流側の位置との間には、鋳片を移動させる第2の搬送装置が設けられ、鋳片の幅圧下が不要な場合には、前記連続鋳造機から送り出された鋳片を、前記第2の搬送装置により、前記加熱炉を通過させることなく、前記送出しラインから前記幅圧下ラインの前記ロール式幅圧下装置の下流側へ直接移動可能としたことを特徴とする鋳片の幅圧下設備。
- 請求項1または2記載の鋳片の幅圧下設備において、前記送出しラインの前記加熱炉より上流側の位置と、前記幅圧下ラインの前記プレス式幅圧下装置の上流側の位置との間には、鋳片を移動させる第3の搬送装置が設けられ、前記連続鋳造機で製造された鋳片を前記加熱炉を通過させることなく、前記プレス式幅圧下装置で幅圧下する場合、前記連続鋳造機から送り出された鋳片を、前記第3の搬送装置により、前記送出しラインから前記幅圧下ラインの前記プレス式幅圧下装置の上流側へ直接移動可能としたことを特徴とする鋳片の幅圧下設備。
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