JP5042583B2 - 多孔質フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔質フィルムおよびその製造方法に関し、該多孔質フィルムは包装用品、衛生用品、畜産用品、農業用品、建築用品、医療用品、分離膜、光拡散板、反射シートまたは電池用セパレーターとして利用でき、特に各種電子機器等の電源として利用されるリチウムイオン二次電池等の非水電解質電池用セパレーターとして好適に用いられるものである。
多数の微細連通孔を有する高分子多孔体は、超純水の製造、薬液の生成、水処理などに使用する分離膜、衣類・衛生材料などに使用する防水透湿性フィルム、あるいは電池などに使用するセパレーターなど各種の分野で利用されている。
この種の高分子に微細な連通孔を多数設ける技術として、下記に記載するような種々の技術が提案されている。
例えば、特開平5−009332号公報(特許文献1)では、超高分子量ポリエチレンと無機微粉体及び可塑剤の混合物を混練・加熱溶融しながらシ−ト状に成形した後、無機微粉体及び可塑剤をそれぞれ抽出除去及び乾燥し、延伸して微多孔膜を得ることが提案されている。
当該方法では、抽出処理に要するコストが大きいという問題点がある。さらに、可塑剤の抽出除去が有機溶剤を用いて行われるため、有機溶剤が大量に必要となり、環境上好ましくない。
特開平10−50286号公報(特許文献2)では、高融点ポリオレフィンのフィルムと低融点ポリオレフィンのフィルムとを、それぞれ熱処理して複屈折および弾性回復率を調整した後、熱圧着して三層以上の積層フィルムを得、該積層フィルムを2段で延伸して多孔化した後熱固定することにより、電池用セパレーターとして用いる多孔性フィルムを製造することが提案されている。
このように結晶性高分子のフィルムを成形後、延伸で力学的性質の異なる非晶と結晶の界面を剥離して空孔を形成する一般に単一ポリマーによる開孔延伸法と呼ばれている当該方法においては、延伸温度や延伸倍率、多段延伸等の延伸条件において好ましい多孔構造を得ることができる条件が非常に狭く、押出や延伸による制御が容易ではないうえに、多孔化に要する工程が複雑で長時間を要することから生産性を上げることが難しい。具体的には、ドラフト比が低いと多孔化が困難となる一方、ドラフト比が高いと成形が困難となると共に、特殊な設備を要する。
このように、開孔延伸法による多孔性フィルムの生産性を上げることは容易ではないため、工業的規模での生産を考えると好ましくない。
前記ドラフト比とは、元の厚さ/延伸後の厚さ、即ち延伸率を指す。
特開2004−95550号公報(特許文献3)ではリチウム二次電池用セパレーターとして用いる多孔性フィルムを、熱可塑性樹脂と充填剤とを含む樹脂組成物から成形したシートを少なくとも一軸方向に延伸することにより得ている。
このように高分子に充填剤を加えてフィルムを成形後、延伸によって高分子と充填剤の界面を剥離して空孔を形成する、いわゆるフィラー添加法は、工程が単純で生産性は高くなるが、多孔質フィルムの強度、特に、局部的に負荷されるピン刺し強度を高める点で改良の余地がある。単純に充填剤の含有率を下げることで強度は向上するが、充填剤の含有率を下げると空孔率が低下し、それに伴い、例えば電池用セパレーターとして用いたときにイオン伝導が悪化して電池性能を満たすことができなくなる等の問題点が生じるおそれがある。
特開平5−009332号公報 特開平10−50286号公報 特開2004−95550号公報
本発明は前記課題に鑑みてなされたものであり、透気度と強度、特に、ピン刺し強度を兼ね備えている多孔質フィルム、特に、リチウム二次電池用セパレーター等として使用する際に十分な強度と透気度を有する多孔質フィルム及びその製造方法を提供することを課題としている。
前記課題を解決するため、本発明は、第一の発明として、
融点Tm℃のポリオレフィン樹脂100質量部に対して、平均粒径が0.0μmである無機充填剤を2〜質量部配合した樹脂組成物から原反フィルムを作製し、
前記原反フィルムを−20〜+50℃における1段以上の低温延伸により1.1〜3.0倍の延伸倍率で延伸した後、
(Tm−70)〜(Tm−5)℃における2段以上の高温延伸により1.1〜3.0倍の延伸倍率で延伸していることを特徴とする多孔質フィルムの製造方法を提供している。
本発明者らは、10〜1000秒/100ml程度の適度な透気度を保ちながらフィルムのピン刺し強度を向上させることのできる多孔質フィルムの製造方法について鋭意検討した。その結果、前記製造方法により多孔質フィルムを製造することにより、透気度が低く、かつ強度の高い多孔質フィルムの製造が可能となることを知見し、本発明に至った。 本発明の多孔質フィルムの製造方法では、無機充填剤(フィラー)添加によるポリオレフィン樹脂と充填剤の界面剥離による空孔の形成に加えて、開孔延伸によるポリオレフィン樹脂の非晶と結晶の界面剥離により微細孔を形成している。
このように、本発明は、フィラー添加法と開孔延伸法を併用し、さらに最適な無機充填剤の配合量及び延伸条件とすることにより、優れた透気度と強度を兼ね備えた多孔質フィルムを製造するものである。従って、従来のフィラー添加法で用いられる充填剤の配合量よりもかなり少ない配合量としながらも、開孔延伸による微細孔によりフィルムの透気度を保つことができる。かつ、充填剤の添加量を抑えることができるので、フィルム強度、特に、ピン刺し強度を低下させることもない。
即ち、前記のように、樹脂組成物から原反フィルムを作製した後に、該原反フィルムを−20〜+50℃の温度下で行なう低温延伸と、(Tm−70)〜(Tm−5)℃の温度下で行なう高温延伸を行っている。
前記低温延伸によりポリオレフィンのラメラ結晶間に剥離を生じさせ、そこで生じる微小空間を高温延伸によって拡大している。かつ、この低温延伸と高温延伸を行なう間に、ポリオレフィン樹脂と充填剤との界面剥離も発生させている。
低温延伸と高温延伸のいずれか一方の延伸だけでは十分な多孔化が得られないため、低温延伸と高温延伸の両方を行なうことが必須となる。
低温延伸時の温度は、前記のように−20〜50℃としており、特に0〜35℃とするのが好ましい。これは、−20℃未満では延伸できずに破断するおそれがあるために好ましくなく、50℃を超えると、次の高温延伸の工程で延伸多孔化を行っても、多孔化が不十分となるおそれがあることによる。
また、低温延伸は1段でも良いし、2段以上の複数段で延伸を行なってもよいが、1〜3段の延伸段数とするのが好ましい。
低温延伸における延伸倍率は1段につき1.05〜2.0倍とするのが好ましく、低温延伸全体としては延伸倍率を1.1〜3.0倍としており、1.2〜2.0倍とするのが好ましい。これは低温延伸の延伸倍率が全体で1.1倍未満では空孔率が低いフィルムしか得られず、3.0倍を超えると所定の空孔率と孔径が得られないことによる。
前記低温延伸の後に、低温延伸したフィルムを高温延伸している。
高温延伸の温度は(Tm−70)〜(Tm−5)℃としており、更に(Tm−60)〜(Tm−10)℃とするのが好ましい。
前記Tmの値はDSCの融解ピークのピークトップの温度より求めている。
高温延伸は2段以上の多段延伸で行っており、延伸段数は2〜20段とするのが好ましく、更に透気度とピン刺し強度を適切なバランスとするため、4〜10段とするのが更に好ましい。
2段以上としているのは、1段延伸ではラメラ結晶間に形成する微細孔が拡大できず、多孔化が不十分となるからであり、一方、20段を超えると過剰な延伸となり、空孔を拡げすぎて強度が低下する傾向にあるからである。
高温延伸の延伸倍率は1段につき1.05〜1.5倍とするのが好ましく、さらに1.1〜1.2倍とするのが好ましい。このように、低い延伸倍率で複数段延伸することにより、非晶部分が切断されることなく、適切なサイズの空孔を発現させることができる。
高温延伸全体では延伸倍率が1.1〜3.0倍となるようにしており、さらに1.4〜2.8倍とするのが好ましい。これは、高温延伸全体の延伸倍率が1.1倍未満では空孔率が低くなる一方、延伸倍率が3.0倍を超えると空孔の変形による縮小等が起こるために、多孔化が不十分となり好ましくないことによる。
前記本発明の多孔質フィルムの製造方法において、成形された原反フィルムは延伸する前に熱処理を行なうことが好ましい。
該熱処理により、ポリオレフィン樹脂の非晶部分を一部結晶化させ、結晶部分を増加させることができる。熱処理は、加熱空気循環オーブン、加熱ロールによる接触加熱等、公知の任意の方法で行うことができる。また、前述の延伸装置を転用することも可能である。
また、前記低温延伸後、高温延伸する間に、低温延伸したフィルムを高温延伸時と同等の温度で熱固定してもよい。
この熱固定は寸法が変化しないようにフィルムの延伸方向を固定した状態で、加熱空気循環オーブン等で加熱して行う。熱固定の時間は、通常1〜5分とし、2〜3分でもよい。
さらに、前記高温延伸後に熱処理を行うことが好ましい。
該熱処理は(Tm−55)〜(Tm−35)℃の温度で行なうのが好ましく、更に(Tm−50)〜(Tm−35)℃で行うのが好ましい。これは、(Tm−55)℃よりも低い温度では十分に多孔化せず、(Tm−35)℃よりも高い温度ではフィルムの溶融が生じるためである。
このように高温延伸後に熱処理を行なうのは、延伸時における残留応力による延伸方向への収縮防止のためであり、この処理によって寸法安定性を満たすことができる多孔質フィルムとなる。
前記熱処理の方法としては、寸法が変化しないように延伸方向を固定する熱固定や延伸後のフィルム幅が5〜50%減少する程度に熱収縮を行う方法がある。
前記低温延伸および高温延伸は、ロール延伸、テンター延伸、圧延等によって、少なくとも1軸方向に延伸処理を施すことで行なう。延伸はフィルムの流れ方向(MD)への一軸延伸が好ましく、特に、ロール延伸が好ましい。
前記低温延伸および高温延伸で延伸される原反フィルムの作製方法としては、まず、本発明の多孔質フィルムの樹脂組成物の溶融混練物を作製している。
詳細には、樹脂組成物を構成するポリオレフィン樹脂、充填剤及び所望により他の成分をヘンシェルミキサー等の粉体混合機で混合して、一軸あるいは二軸混練機、ミキシングロール、ニーダー等で加熱混練する。なお、充填剤の分散性を考えると二軸混練機を用いることが好ましい。
次に、加熱混練した樹脂組成物を、そのまま又は造粒した後、ポリオレフィン樹脂の融点以上分解温度未満の温度条件下で押出機等を用いて溶融・成形することによって、原反フィルムを得ている。
フィルム成形方法としては、Tダイ成形、インフレーション成形、カレンダー成形またはプレス成形等が挙げられ、本発明においてはいずれを用いてもよいが、Tダイ成形またはインフレーション成形を用いることが好ましい。
Tダイによる溶融成形法により原反フィルムを得る場合、溶融した樹脂組成物の吐出口の厚さに対する押し出し成形後の厚さであるドラフト比は、10〜300が好ましく、更に好ましくは20〜200である。
ドラフト比が10未満ではフィルムの流れ方向(MD)への配向が不充分となり、延伸による空孔形成が困難である。また、ドラフト比が300を超えるとTダイのリップギャップを広げてフィルムを引き取るために厚みムラが起こりやすく、特殊な設備を用いないと成形が困難である。
また、原反フィルムの引き取り速度は特に制限されないが、通常10〜50m/分で行なっている。
本発明の多孔質フィルムを構成する樹脂組成物は、ポリオレフィン樹脂を主成分とする。
該オレフォイン樹脂としては、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテン等のモノオレフィン重合体やエチレン、プロピレン、1−ブテン、1−ヘキセン、1−オクテンまたは酢酸ビニル等の他のモノマーとの共重合体等を主成分とするものが挙げられる。
例えば、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、ポリブテン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等が挙げられ、これらは1種または2種以上を混合して用いることができる。このなかでも、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン及びエチレン−プロピレン共重合体が好適に用いられる。
本発明のポリオレフィン樹脂としては、特に、高密度ポリエチレンあるいは/及びポリプロピレンを用いることが好ましい。
前記ポリオレフィン樹脂は、ホモポリマーポリオレフィンまたはコポリマーポリオレフィンのいずれであってもよいが、ホモポリマーポリオレフィンであることが好ましい。
コポリマーポリオレフィンである場合は、α−オレフィンコモノマー含量が2モル%以下のコポリマーポリオレフィンが好ましい。α−オレフィンコモノマーの種類には特に制限はなく、例えば、エチレン、プロピレン、1−ブテン、1−へキセン、1−オクテンまたは1−デセン等が挙げられる。
前記ポリオレフィンは、その重合方法についても特に制限はなく、一段重合、二段重合またはそれ以上の多段重合等いずれの重合方法で製造されたポリオレフィンも使用可能である。
また、ポリオレフィンの重合触媒にも特に制限はなく、チーグラー型触媒、フィリップス型触媒、カミンスキー型触媒等いずれのものでも使用可能である。
前記ポリオレフィン樹脂のメルトフローレートは、0.01以上20以下であることが好ましい。更に好ましくは0.03以上10以下である。メルトフローレートが0.01未満であるとフィルム成形が困難になるため好ましくない。一方でメルトフローレートが20を超えると、強度が低下するため好ましくない。
前記ポリオレフィン樹脂の重量平均分子量は、5万以上100万未満とするのが好ましい。更に好ましくは8万以上90万未満である。これは、重量平均分子量が5万未満であると機械的強度が低下するために好ましくなく、一方で100万以上であると、押出が困難になる傾向があるためである。重量平均分子量の測定については、GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)を用い、実施例に記載の方法で測定している。
本発明に用いられるポリオレフィン樹脂組成物における無機充填剤の配合量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜質量部としている。無機充填剤の配合量がポリオレフィン樹脂組成物100質量部に対して2質量部未満であると、フィルムを延伸時に充填剤由来の空孔が少なくなることから、連通性が乏しくなり、透気度が高くなるため好ましくない。また、質量部を超えると充填剤由来の空孔は多くなり透気度が低下するが、ピン刺し強度が低下する。
フィラー添加法では、透気度を満足させるため、樹脂成分100質量部に対し、充填剤が少なくとも50質量部以上、通常は100〜300質量部程度配合される。このため、ピン刺し強度の低下は避けられない。しかし、本発明では充填剤添加による空孔だけなく、前記開孔延伸法による微細孔が形成されるため、少ない充填剤添加量でフィルムの透気度と強度を保つことができる。
前記無機充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの塩化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカなどの酸化物;タルク、クレー、マイカなどのケイ酸塩等が挙げられる。なかでも、硫酸バリウムを使用することが好ましい。
無機充填剤はポリオレフィン樹脂中の分散性向上のため、表面処理剤で無機充填剤の表面を被覆して疎水化してもよい。この表面処理剤としては、例えばステアリン酸またはラウリル酸等の高級脂肪酸またはそれらの金属塩を挙げることができる。
本発明においては、電池用セパレーターとして使用する場合は、電解液との反応性より硫酸バリウムを用いることが好ましい。
前記無機充填剤の平均粒径は0.05〜1μmである。平均粒径が0.0μm未満であると延伸時に空孔が形成されにくいため、多孔化を補助する役割を果たすことができないことが多い。さらに充填剤同士の凝集により分散性が低下して延伸ムラを引き起こすとともに、ポリオレフィン樹脂と無機充填剤との界面の接触面積が増大して延伸による界面剥離が難しく多孔化が困難になることも多い。一方、平均粒径がμmを超えると、延伸で形成される孔径が大きくなりすぎ、強度低下を招くために好ましくない。
さらに、本発明の目的を損なわない程度の範囲であれば、ポリオレフィン樹脂に他の熱可塑性樹脂を配合してもよい。
例えば、電池用セパレーターを用途とした時にシャットダウン温度(空孔が閉塞する温度)や耐熱温度の調整等の機能付与を目的としたポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂を配合しても良い。前記熱可塑性樹脂として、具体的にはフッ素樹脂、ポリスチレン、酢酸ビニル樹脂、アクリル樹脂、ポリアミド樹脂、アセタール樹脂、ポリカーボネート等が挙げられる。
前記ポリオレフィン樹脂以外の熱可塑性樹脂の含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対し5〜40質量部が好ましく、更に好ましくは5〜30質量部である。熱可塑性樹脂の含有量が5質量部未満では添加した熱可塑性樹脂の効果が現れず、一方で40質量部を超えると目的とするピン刺し強度を満たすことができない。
その他、ポリオレフィン樹脂には必要に応じて熱可塑性樹脂との相溶性を有する低分子量化合物や一般に樹脂組成物に配合される添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤または着色剤等を配合してもよい。これら添加剤等を配合する場合は、樹脂組成物100質量部中に0.05〜1質量部配合されることが好ましい。
本発明の第二の発明として、第一の発明の多孔質フィルムの製造方法により製造された多孔質フィルムであって、
厚さ25μmあたりの透気度が10〜1000秒/100mlで、かつ、厚さ25μmあたりのピン刺し強度が2〜8Nであることを特徴とする多孔質フィルムを提供している。
第二の発明の多孔質フィルムは、開孔延伸法とフィラー添加法を併用した前記製造方法により得られているので、サイズ及び形状の異なる2種類の空孔が形成されている。
さらに、第三の発明として、ポリオレフィン樹脂と無機充填剤を含有する樹脂組成物からなる原反フィルムを延伸することにより得られる多孔質フィルムであって、
前記無機充填剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜質量部とされており、
厚さ25μmあたりの透気度が10〜1000秒/100mlで、かつ、厚さ25μmあたりのピン刺し強度が2〜8Nであることを特徴とする多孔質フィルムを提供している。
第三の発明の多孔質フィルムは、ポリオレフィン樹脂と少量の充填剤を含み、所要の透気度およびピン刺し強度とされていることを特徴とするものであり、該特徴を備えた多孔質フィルムであれば、前記製造方法により製造されたものに限定されない。
前記ポリオレフィン樹脂、充填剤、その他配合される成分は、前記多孔質フィルムの製造方法において使用したものと同様のものを使用することができる。
第二,第三の発明の多孔質フィルムは、厚さ25μmあたりの透気度が10〜1000秒/100mlであり、好ましくは50〜900秒/ml、さらに好ましくは100〜500秒/100mlである。
厚さ25μmあたりの透気度が10秒/100ml未満であると、電池用セパレーターとして使用した場合、電解液の保持性が低下して二次電池の容量が低くなったり、サイクル性が低下したりするおそれがあるためである。一方、透気度が1000秒/100mlを超えると、イオン導電性が低くなり、電池用セパレーターとして用いた場合、十分な電池性能を得ることができない。
前記多孔質フィルムは、前記透気度に加え、厚さ25μmあたりのピン刺し強度が2〜8Nとなる。好ましくは、2〜5Nである。
ピン刺し強度が2N未満であると、電池用セパレータとして使用した場合、製品組立時に破断等が起こり、生産歩留まりが低下するおそれがあるからであり、8Nを超えると他の物性に悪影響を及ぼし、特に透気度が目的の範囲内に達しなくなるために好ましくない。
前記透気度はJIS P 8117に従って、B型ガーレーデンソーメーターにより測定し、前記ピン刺し強度は曲率半径0.5mmの針を300mm/分の突き刺し速度で突き刺して穴が空いた時の最大荷重を測定し、得られた最大荷重として、それぞれ以下の式を用いて多孔質フィルムの厚さ25μmあたりの換算値として求めている。
換算値=実測値×(25/膜厚(μm))
膜厚は、1/1000mmのダイアルゲージにて測定している。
本発明の多孔質フィルムにおいては、空孔率も多孔構造を限定する為に重要なファクターである。本発明の多孔質フィルムの空孔率は5〜80%の範囲とすることが好ましい。これは空孔率が5%未満であれば実質的に連通性を得ることは困難であるためである。また、空孔率が80%よりも大きければ、強度的な点からハンドリングが難しくなってしまうので好ましくない。空孔率は20〜70%であることがより好ましく、特に25〜60%であることが好ましい。
空孔率の算出方法は、多孔質フィルムの実質量W1を測定し、各成分の密度、各成分の配合量、フィルムの厚み等から空孔率0%の場合の質量W0を計算し、多孔質フィルムの実質量との差から下記式に基づき空孔率を算出する。
空孔率(%)={(W0−W1)/W0}×100
前記透気度や空孔率は用途によって要求される範囲が異なるので、用途に合わせて透気度や空孔率を適宜調整している。例えば、おむつや生理用品などの衛生用品に使用する場合、透気度は10〜1,000秒/100mlであることが好ましい。
透気度や空孔率は、ポリオレフィン樹脂の種類、充填剤の含有率、延伸条件を調整することにより制御することができる。例えば、充填剤の含有量を増やしたり、延伸倍率を大きくすると、空孔率が大きくなるので、透気度は小さくなる。
第二、第三の発明の多孔質フィルムは、透気性が要求される種々の用途に応用することができる。
例えば、電池用セパレーター、使い捨て紙オムツ、生理用品等の体液吸収用パットもしくはベッドシーツ等の衛生材料、手術衣もしくは温湿布用基材等の医療用材料、ジャンパー、スポーツウエアもしくは雨着等の衣料用材料、壁紙、屋根防水材、断熱材、吸音材等の建築用材料、乾燥剤;防湿剤;脱酸素剤;使い捨てカイロ;鮮度保持包装もしくは食品包装等の包装材料等の資材として極めて好適に使用できる。
なかでも、本発明の多孔質フィルムは電池用セパレーターとして最適な性能を有しているため、第四の発明として、前記多孔質フィルムからなることを特徴とする電池用セパレーターを提供しており、第五の発明として該電池用セパレーターを使用することを特徴とする電池を提供している。
本発明の多孔質フィルムは、特に、各種電子機器等の電源として利用されるリチウムイオン二次電池等の非水電解液電池用セパレーターとして好適に用いられる。
前記電池用セパレーターとして使用する場合は、透気度を50〜900秒/100mlにすることが好ましく、100〜500秒/100mlにすることがより好ましい。透気度を50秒/100ml未満にすると、電解液保持性が低下して二次電池の容量が低くなったり、サイクル性が低下したりするおそれがある。一方、透気度が900秒/100mlを超えると、イオン伝導性が低くなり十分な電池特性を得ることができない。
また、本発明の多孔質フィルムを電池用セパレーターとして使用する場合、空孔率は25〜70%であることが好ましく、更には25〜65%であることがより好ましい。空孔率が25%未満ではイオン透過性が低く十分な電池性能を得ることが困難である。また空孔率が70%を越えると電池の安全性の観点から好ましくない。
前述したように、本発明の多孔質フィルムの製造方法によれば、充填剤として平均粒径が0.03〜3μmの充填剤を用い、その配合量を少量に抑えることでピン刺し強度の低下を抑制し、充填剤由来の空孔に、延伸により結晶間で形成する微細孔を加えることができるので、適度な透気度と優れた強度を兼ね備えた多孔質フィルムを製造することができる。
さらに、本発明の多孔質フィルムの製造方法は、製造条件の制御も容易であるため、工程管理が行いやすく、多孔質フィルムの生産性を上げることができる。また、製造工程において有機溶媒を大量に使用したりしないので、環境に対する負荷を軽減できる。
特に、本発明はリチウム二次電池用セパレーター等として使用する際に適した透気度と強度を有する多孔質フィルムとすることができる。
以下、本発明の実施形態について説明する。
実施形態の多孔質フィルムは、高密度ポリエチレンあるいは/及びポリプロピレンからなるポリオレフィン樹脂100質量部に対して、硫酸バリウム等からなる無機充填剤を2〜質量部配合している樹脂組成物からなる原反フィルムを、延伸して多孔質フィルムとしているものである。
該多孔質フィルムは、平均厚みが5〜100μm、厚さ25μmあたりの透気度が10〜1000秒/100mlで、かつ、厚さ25μmあたりのピン刺し強度が2〜8Nで、空孔率が5〜80%である。
透気度、空孔率及びピン刺し強度は、後述する実施例に記載の方法で測定している。
前記多孔質フィルムの製造方法の一例を、以下に詳述する。
ポリオレフィン樹脂、充填剤、所望により他の成分を含む樹脂組成物をヘンシェルミキサー等の粉体混合機で混合して、一軸あるいは二軸混練機、ミキシングロール、ニーダー等で加熱混練して樹脂組成物を調整する。
ポリオレフィン樹脂としては、重量平均分子量が5万以上100万未満、密度が0.89〜0.92g/cm、メルトフローレートが2.0〜4.0g/10min、融点が150〜180℃のホモポリマーポリプロピレンを用いている。
なお、ポリオレフィンの上記物性については、実施例に記載の方法で測定している。
充填剤は、平均粒径が0.1〜1μmである硫酸バリウムあるいは炭酸カルシウムを用いている。充填剤の含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜質量部としている。
その他、ポリオレフィン樹脂には一般に樹脂組成物に配合される添加剤、例えば、可塑剤、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤または着色剤等を配合してもよい。
これら添加剤等を配合する場合には、その配合量は樹脂組成物100質量部中に0.05〜1質量部となるように配合している。
前記混練した樹脂組成物を多層成形用のTダイを用いて、190〜220℃の温度条件下でフィルム状に押出成形し、原反フィルムを作製している。
このときのドラフト比は10〜300、好ましくは20〜200としている。本実施形態ではこのようにペレットを形成することなく、そのままフィルム成形工程に用いている。
ついで、得られた原反フィルムに熱処理を行なう。
本実施形態では熱風循環オーブンにより、110〜135℃の温度で10〜30時間加熱することにより行なっている。前記温度とすることで、フィルムを溶融させずに結晶化を促進させることができる。
次に、熱処理された原反フィルムを、延伸によって多孔化している。
延伸は、1段以上で低温延伸を行なった後に、2段以上で高温延伸を行っている。
前記低温延伸は−20〜+50℃で行い、本実施形態では延伸ロールの温度を0〜35℃に調節して、その周速差で延伸している。
本実施形態の低温延伸の延伸段数は1段または2段で行なっており、1段につき1.05〜2.0倍の延伸倍率とし、低温延伸全体で延伸倍率を1.1〜3.0倍となるようにしている。
続いて、低温延伸後に高温延伸を行っている。
高温延伸も低温延伸と同様に延伸ロールの温度を調節し、その周速差で延伸している。
高温延伸は少なくとも2段以上で行い、本実施形態では4〜10段の多段延伸で行なっている。高温延伸の温度はポリオレフィン樹脂の融点をTm℃とした場合に、(Tm−70)〜(Tm−5)℃で行なっている。本実施形態においては融点が160〜170℃のポリプロピレンを用いているので、延伸ロールの温度を90〜165℃としている。
高温延伸の延伸倍率は1段につき1.05〜1.5倍とし、高温延伸全体での延伸倍率が1.1〜3.0倍としている。
最後に、フィルムの寸法安定性を確保するため、低温延伸及び高温延伸が施されたフィルムに熱処理を行っている。本実施形態においては、熱処理は、寸法が変化しないように延伸方向を固定しながら、105〜145℃に調節した加熱循環オーブンで、30〜90秒間加熱している。
前記した製造方法で得られた本発明の多孔質フィルムは、前記したように、平均厚みは5〜100μmで、厚さ25μmあたりの透気度が100〜1000秒/100ml、空孔率が5〜80%、ピン刺し強度は厚さ25μmあたり2〜8Nである。
前記物性を有する本発明の多孔質フィルムは、用途に合わせて透気度や空孔率を適宜調整し、電池用セパレーター、おむつや生理用品などの衛生用品等、透気性が要求される種々の用途に用いることができる。特に、電池用セパレーターとして使用することが好ましい。
次に、本発明の前記多孔質フィルムを電池用セパレーターとして収容している非水電解液電池について、図1を参照して説明する。
正極板21、負極板22の両極をセパレーター10を介して互いに重なるようにして渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体としている。この渦巻き状に巻回する際、セパレーター10は厚さが5〜40μmであることが好ましい。厚みが5μm未満であるとセパレーターが破れやすくなることがあり、40μmを越えると電池用セパレーターとして所定の電池缶に捲回して収納する際、電池面積が小さくなり、ひいては電池容量が小さくなることがあるからである。
前記正極板21、セパレーター10および負極板22を一体的に巻き付けた捲回体を有底円筒状の電池ケース内に収容し、正極および負極のリード体24、25と溶接する。ついで、上記電解質を電池缶内に注入し、セパレーター10などに十分に電解質が浸透した後、電池缶の開口周縁にガスケット26を介して正極蓋27を封口し、予備充電、エージングを行い、筒型の非水電解液電池を作製している。
電解液としては、リチウム塩を電解液とし、これを有機溶媒に溶解した電解液が用いられる。有機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート、プロピオン酸メチルもしくは酢酸ブチルなどのエステル類、アセトニトリル等のニトリル類、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフランもしくは4−メチル−1,3−ジオキソランなどのエーテル類、またはスルホランなどが挙げられ、これらを単独でまたは二種類以上を混合して用いることができる。
なかでも、エチレンカーボネート1質量部に対してメチルエチルカーボネートを2質量部混合した溶媒中に六フッ化リン酸リチウム(LiPF)を1.4mol/Lの割合で溶解した電解質が好ましい。
負極としてはアルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物をステンレス鋼製網などの集電材料と一体化させたものが用いられる。前記アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウムなどが挙げられる。前記アルカリ金属を含む化合物としては、例えばアルカリ金属とアルミニウム、鉛、インジウム、カリウム、カドミウム、スズもしくはマグネシウムなどとの合金、さらにはアルカリ金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ金属と金属酸化物もしくは硫化物との化合物などが挙げられる。
負極に炭素材料を用いる場合、炭素材料としてはリチウムイオンをドープ、脱ドープできるものであればよく、例えば黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維、活性炭などを用いることができる。
本実施形態では、負極として、フッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液に平均粒径10μmの炭素材料を混合してスラリーとし、この負極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きな粒子を取り除いた後、厚さ18μmの帯状の銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥させ、その後、ロールプレス機により圧縮成形した後、切断し、帯状の負極板としたものを用いている。
正極としては、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウムもしくはクロム酸化物などの金属酸化物、二硫化モリブデンなどの金属硫化物などが活物質として用いられ、これらの正極活物質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、ステンレス鋼製網などの集電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。
本実施形態では、正極としては、下記のようにして作製される帯状の正極板を用いている。即ち、リチウムコバルト酸化物(LiCoO)に導電助剤としてリン状黒鉛を質量比90:5で加えて混合し、この混合物と、ポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液とを混合してスラリーにする。この正極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きな粒子を取り除いた後、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、その後、ロールプレス機により圧縮成形した後、切断し、帯状の正極板としている。
以下に、本発明の多孔質フィルムの実施例を説明する。なお、本発明は実施例に限定されるものではない。
参考実施例1)
ホモポリプロピレン((株)プライムポリマー社製 「F104A」、密度:0.90g/cm、メルトフローレート:3.2g/10min、融点165℃)100質量部に対して、充填剤として硫酸バリウム(堺化学工業(株)製 「B−55」、粒径:0.66μm)20質量部をブレンドしてコンパウンドを行い、200℃で溶融押出をした。リップ開度2mmのTダイで成形を行い、90℃のキャストロールに導かれて原反フィルムを得た。原反フィルムの厚みは平均40μmでドラフト比が50であった。
次に120℃に加熱された熱風循環オーブンで24時間熱処理を行った。
熱処理した原反は低温延伸として25℃で保持されたロールで1段の延伸を行い、1.2倍に延伸した。この時、供給側のロール速度が1.6m/minであった。
低温延伸したフィルムを高温延伸した。高温延伸は、低温延伸と同一方向に120℃の温度に保持されたロールで、1段につき1.1倍の延伸を6段、すなわち1.7倍に延伸した。
延伸したフィルムは、120℃で60秒間熱固定をして多孔質フィルムを得た。
参考実施例2)
ポリプロピレン100質量部に対して、充填剤として硫酸バリウムを11.1質量部配合した。それ以外は参考実施例1と同様として多孔質フィルムを得た。
(実施例
ポリプロピレン100質量部に対して、充填剤として硫酸バリウムを5質量部配合した。それ以外は参考実施例1と同様にして多孔質フィルムを得た。
(比較例1)
充填剤を添加せず、低温延伸の温度を35℃とし、さらに透気度の低下を試みるために高温延伸の条件を8段の延伸段数で2.0倍の延伸倍率とした。それ以外は参考実施例1と同様にして、比較例1の多孔質フィルムを得た。
(比較例2)
ポリプロピレン100質量部に対して、充填剤として硫酸バリウムを50質量部とした。それ以外は参考実施例1と同様にして多孔質フィルムを得た。
(比較例3)
ポリプロピレン100質量部に対して、充填剤として硫酸バリウムを1質量部とした。それ以外は参考実施例1と同様にして多孔質フィルムを得た。
実施例および比較例で得られた多孔質フィルムについて、フィルムの厚み(膜厚)、透気度およびピン刺し強度を以下の方法で測定した。
(1)フィルムの厚み(膜厚)
1/1000mmのダイアルゲージを用いて測定した。
(2)透気度
JIS P 8117に従って、B型ガーレーデンソーメーター((株)東洋精機製作所製)によって測定した。
なお、透気度は以下の式を用いて厚さ25μmあたりの換算値として求めた。
換算値=実測値×(25/膜厚(μm))
(3)ピン刺し強度
曲率半径0.5mmの針を300mm/分の突き刺し速度で突き刺して穴が空いた時の最大荷重を測定し、得られた最大荷重をピン刺し強度とした。
なお、ピン刺し強度は、上記透気度と同じの式を用いて厚さ25μmあたりの換算値として求めた。
また、実施例および比較例で使用した樹脂の重量平均分子量、密度およびメルトフローレートの測定方法を以下に示す。
(4)重量平均分子量
GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)により測定した。測定条件を下記に示す。
機器:WATERS 150−GPC
温度:140℃
溶媒:1,2,4−トリクロロベンゼン
試料濃度:0.05%(インジェクション量:500μl)
カラム:Shodex GPC AT―807/S 1本
Tosoh TSK−GEL GMH8−HT 2本
溶解条件:160℃、2.5時間
キャリブレーションカーブ:ポリスチレンの標準試料を測定し、ポリエチレン換算定数(0.48)を使用して3次計算
(5)密度
JIS K 7112に従って、密度勾配管法にて測定した。
(6)メルトフローレート
JIS K 7120に従って測定した。
その結果を下記表に示す。
Figure 0005042583
比較例1,3の多孔質フィルムのように、充填剤を配合しないか配合量が少ない場合、ピン刺し強度は目的とする2〜8Nとなったが、透気度が目的とする10〜1000秒/100mlよりもはるかに高くなった。
一方、比較例2の多孔質フィルムのように、充填剤の配合量をポリオレフィン樹脂100質量部に対して50質量部と高くした場合には、目的とする透気度は得られたが、ピン刺し強度が目的とするよりも低くなった。
このように、比較例1〜3の多孔質フィルムは、目的とする透気度とピン刺し強度を兼ね備えていなかった。
それに対し、実施例の本発明の多孔質フィルムは、目的とする10〜1000秒/100mlの透気度を満たすと同時に、ピン刺し強度も2〜8Nの範囲となり、透気度とピン刺し強度を兼ね備えていることが確認できた。
本発明の多孔質フィルムを非水電解質電池セパレーターとして収容している非水電解液電池の一部破断斜視図である。
符号の説明
10 セパレーター
20 非水電解質電池
21 正極板
22 負極板

Claims (8)

  1. 融点Tm℃のポリオレフィン樹脂100質量部に対して、平均粒径が0.0μmである無機充填剤を2〜質量部配合した樹脂組成物から原反フィルムを作製し、
    前記原反フィルムを−20〜+50℃における1段以上の低温延伸により1.1〜3.0倍の延伸倍率で延伸した後、
    (Tm−70)〜(Tm−5)℃における2段以上の高温延伸により1.1〜3.0倍の延伸倍率で延伸していることを特徴とする多孔質フィルムの製造方法。
  2. 前記高温延伸は原反フィルムを低温延伸する前に熱処理を行い、高温延伸後に熱処理を行う請求項1に記載の多孔質フィルムの製造方法。
  3. 請求項1または請求項2に記載の製造方法により製造された多孔質フィルムであって、
    厚さ25μmあたりの透気度が10〜1000秒/100mlで、かつ、厚さ25μmあたりのピン刺し強度が2〜8Nであることを特徴とする多孔質フィルム。
  4. ポリオレフィン樹脂と無機充填剤を含有する樹脂組成物からなる原反フィルムを延伸することにより得られる多孔質フィルムであって、
    前記無機充填剤は平均粒径が0.0μmであり、その含有量は、ポリオレフィン樹脂100質量部に対して2〜質量部とされており、
    厚さ25μmあたりの透気度が10〜1000秒/100mlで、かつ、厚さ25μmあたりのピン刺し強度が2〜8Nであることを特徴とする多孔質フィルム。
  5. 前記ポリオレフィン樹脂が高密度ポリエチレンあるいは/ 及びポリプロピレンからなる請求項3または請求項4に記載の多孔質フィルム。
  6. 前記無機充填剤が、硫酸バリウムである請求項3乃至請求項5のいずれか1項に記載の多孔質フィルム。
  7. 求項3乃至請求項6のいずれか1項に記載の多孔質フィルムからなることを特徴とする電池用セパレーター
  8. 請求項7に記載の電池用セパレーターを使用することを特徴とする電池。
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