JP5019699B2 - 多孔性フィルムおよび電池 - Google Patents

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Description

本発明は、多孔性フィルムに関し、電池用セパレータとして用いられ、特に、非水電解電池用セパレータとして好適に利用できるものである。
従来、小型の二次電池はOA、FA、家電、通信機器等のポータブル電子機器用電源として幅広く使用されている。特に、機器に装備した場合に容積効率がよく機器の小型化および軽量化につながることからリチウムイオン二次電池を使用したポータブル機器が増加している。
一方、大型の二次電池はロードレベリング、無停電電源(UPS)、電気自動車をはじめ環境問題に関連する多くの分野において研究開発が進められ、大容量、高出カ、高電圧および長期保存性に優れている点より非水電解質二次電池の一種であるリチウムイオン二次電池の用途が広がっている。
リチウムイオン二次電池の使用電圧は、通常4.1から4.2Vを上限として設計されている。このような高電圧では水溶液は電気分解を起こすので電解質として使うことができない。そのため、高電圧でも耐えられる電解質として有機溶媒を使用したいわゆる非水電解質が用いられている。
非水電解質用の溶媒としては、より多くのリチウムイオンを存在させることができる高誘電率有機溶媒が用いられ、該高誘電率有機溶媒としてポリプロピレンカーボネートやエチレンカーボネート等の有機炭酸エステルが使用されている。溶媒中でリチウムイオン源となる支持電解質として、6フッ化リン酸リチウム等の反応性の高い電解質を溶媒中に溶かして使用している。
リチウムイオン二次電池のセパレータは正極と負極と直接接触させて両極の間に介在させるために内部短絡の防止の点から絶縁性が要求され、かつリチウムイオンの通路となる透気性と電解質の拡散・保持機能を付与するために微細孔構造とし、該微細孔は異常発熱時に孔を溶融し遮断するシャットダウン機能が要求される。
この安全性の観点から、微細孔構造を有し、高温(140〜160℃)状態になると微細孔が閉塞され、その結果電池内部のイオン伝導を遮断し、その後の電池内部の温度上昇を防止できるシャットダウン機能を具備したポリオレフィン系樹脂からなるセパレータが提供されている。
しかし、シャットダウン後も何らかの理由で電池温度の上昇が続いてセパレータの耐熱温度を超えるとセパレータが溶融し正極と負極との隔離性が著しく低下するため、電池内でショートが発生する恐れがある。
上記問題に対して、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体または無機繊維とからなる混合物に対して、可塑剤として鉱物オイルが30〜70重量%配合された混練物からなる耐熱性に優れた無機質含有多孔膜のセパレータが、特開平10−50287号(特許文献1)で提供されている。
しかし、ポリオレフィン系樹脂と無機粉体を素材としてセパレータ用の多孔性フィルムを製造する際、上記ポリオレフィン樹脂と無機粉体に大量の鉱物オイルからなる可塑剤を混合し、この混合物をシート状に成形する一次加工、該シートを延伸・圧延等して空孔を設ける二次加工を行った後に、配合している鉱物オイルを有機溶媒で抽出除去する工程が必要となり、この抽出工程で多量の有機溶剤等を使用すると共に工程数が増加するなど生産性が悪いという問題がある。
また、特開2001−164015号(特許文献2)には、ポリプロピレン系樹脂、充填剤及びアミド系可塑剤からなる多孔性フィルムが提供されている。
しかしながら、ポリプロピレン系樹脂は融点が高く異常高温時での微細孔の閉塞が困難で、シャットダウン機能が期待できない。よって、大容量の電池システム用のセパレータとしては使用可能であるが、民生用電池のセパレータとしては使用されていなのが現状である。
また、特許文献2に開示された多孔性フィルムは、ポリプロピレンを用いているため均一な透過性を有するフィルムを形成することが困難で、かつ、フィルムを特定の厚みおよび特定の厚み精度に保持しにくい。よって、フィルムの厚さが均一になりにくいため、圧力が負荷された時に薄い部分が裂け易くなり絶縁性に問題がある。かつ、巻芯を用いて正極、セパレータおよび負極を渦巻状に捲回する際に、フィルムが裂け易いため、切断が困難で安定して電池を製造することができない。
さらに、特開2003−82139(特許文献3)には、高密度ポリエチレン樹脂、炭酸カルシウム等からなる充填剤、分子量200〜500の脂肪族炭化水素または高級アルコール等の低分子量化合物の可塑剤とからなる樹脂組成物の混練物からシートを成形し、該シートを延伸して形成する多孔性フィルムが提供されている。
しかしながら、本発明者が追試した結果、均一な孔径を有するセパレータを作ることが実際上困難であり、また厚み精度も目的とする精度に制御することは非常に困難であった。そのため、円筒形、菱形または扁平形等の巻芯を用いて正極、セパレータおよび負極を重ねて渦巻き状に捲回する際、所定のサイズに収めることができず、電池缶に収容できなかったり、収容できても局所的に圧力がかかり短絡が発生する場合があった。
特開平10−50287号公報 特開2001−164015号公報 特開2003−82139号公報
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、厚さを非常に薄くしても厚さ精度をだすことができ、その結果、電池用セパレータとして渦巻き状に捲回して電池缶に収容する際、所定のサイズに収めることができ、かつ、電池缶に収容した際に局所的に圧力がかからず、よって、短絡が発生する恐れがないようにすることを課題としている。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、電池用セパレータとする多孔性フィルムであり、少なくとも密度が0.94g/cm以上で、メルトフローレートが1g/10分以下である高密度ポリエチレン樹脂(A)と、充填剤(B)との2成分から構成される樹脂組成物からなるフィルムが延伸により空孔が設けられており、平均厚み5〜40μmで、厚みの最大値と最小値が平均厚みの±25%以下、透気度が50〜1000(sec/100cc)で、かつ、巻き込み電極群100個を速度10℃/分で昇温させ、160℃のオーブンに1時間入れ、正負電極間の絶縁抵抗が1MΩ以下となった数をyとした時、昇温後の絶縁不良率y%が20%以下であることを特徴とする多孔性フィルムを提供している。
本発明の多孔性フィルムは、その平均厚みを5μm以上40μm以下とし、厚みの最大値と最小値とを平均厚みの±25%以下に制御することにより、優れた絶縁性を発揮できる。具体的には、厚さが均一であるために圧力が負荷された時に薄い部分が裂けることが実質的にない。また、均一厚さとしているために、本発明の多孔性フィルムをセパレータとして用い、正極、セパレータおよび負極を重ねて渦巻き状に捲回する際に所定のサイズに収めることができ、その結果局所的な圧力がかかることがなく電池缶に容易に収容することでき、短絡の発生を防ぐことができる。
さらに、高密度ポリエチレン樹脂を含むことから非水電解質電池セパレータとして用いられた際に異常高温状態において優れたシャットダウン機能を発揮することができる。
その上、ポリオレフィン樹脂であるポリエチレン樹脂からなるため透気性および耐熱性にも優れたフィルムとなる。かつ、高密度ポリエチレンは、異常高温(140〜160℃)状態におけるシャットダウン機能をより有効に発揮するために、密度が0.94g/cm以上であり、さらに0.95g/cm以上であることがより好ましい。なお、密度の上限は0.97g/cmである。
また、上記高密度ポリエチレンについては、成形するフィルムの強度を所要に保持するために、メルトフローレートが1g/10分以下であり、好ましくは0.6g/10分以下、特に好ましくは0.1g/10分以下である。メルトフローレートが1g/10分より大きいと3倍以上の延伸が難しくなり、得られる多孔性フィルムの強度が低下する。なお、下限は0.01g/10分である。
上記高密度ポリエチレンとして、具体的にはホモポリマーポリエチレン或いはα−オレフィンコモノマー含量が2モル%以下のコポリマーポリエチレンが好ましく、ホモポリマーポリエチレンが更に好ましい。なお、α−オレフインコモノマーの種類には特に制限はない。
上記高密度ポリエチレンの重合触媒には特に制限はなく、チーグラー型触媒、フイリップス型触媒、カミンスキー型触媒等いずれのものでも良い。ポリエチレンの重合方法として、一段重合、二段重合もしくはそれ以上の多段重合等があり、いずれの方法でもよい。
上記充填剤(B)は、平均粒径0.1〜25μmとしていることが好ましい。
このように、延伸時に孔の起点となる充填剤として0.1〜25μm程度の極微小の充填剤を用いていることから、その厚さを5〜40μm程度の非常に薄いフィルムとしても、厚さ精度を高く保持することができる。
平均粒径を上記範囲内としているのは、樹脂組成物中に均一に分散させるため、および、所望の空孔の大きさを得るためである。平均粒径を0.1μm未満とすると、充填剤同士の凝集により分散性が低下して延伸むらを引き起こすとともに、熱可塑性樹脂と充填剤との界面の接触面積が増大して延伸による界面剥離が難しくなり、多孔化が困難になりやすいからである。一方、平均粒径が25μmを超えると、フィルムを薄くすることが困難となり、5〜40μm、好ましくは5〜30μmの非常に薄いフィルムの厚さ精度を上げることは困難となるのに加えフィルムの機械強度が低下するからである。充填剤の平均粒径は好ましくは0.5〜5μm程度である。
上記充填剤としては、無機系及び有機系のいずれ充填剤も使用でき、1種を単独で使用しても良いし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
無機充填剤の例としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸バリウムなどの炭酸塩;硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸バリウムなどの硫酸塩;塩化ナトリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウムなどの塩化物;酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、シリカ等の酸化物のほか、タルク、クレー、マイカなどのケイ酸塩等が挙げられる。これらの中でも炭酸カルシウムまたは硫酸バリウムがより好ましく、硫酸バリウムが最も好ましい。上記無機充填剤は樹脂中の分散性向上のため、表面処理剤で無機充填剤の表面を被覆して疎水化してもかまわない。この表面処理剤としては例えばステアリン酸もしくはラウリル酸等の高級脂肪酸またはそれらの金属塩を挙げることができる。
有機充填剤としては、延伸温度において充填剤が溶融しないように高密度ポリエチレンの融点よりも融点が高い樹脂粒子が好ましく、ゲル分が4〜10%程度の架橋した樹脂粒子がさらに好ましい。
有機充填剤の例としては、超高分子量ポリエチレン、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリイミド、ポリエーテルイミド、メラミン、ベンゾグアナミンなどの熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂が挙げられ、これらの中でも、特に架橋させたポリスチレンなどが好ましい。
上記高密度ポリエチレン樹脂(A)と充填剤(B)との配合比は、高密度ポリエチレン樹脂100質量部に対して充填剤(B)が50質量部以上400質量部以下とすることが好ましい。より好ましくは100〜200質量部である。
充填剤の配合量を50〜400質量部としているのは、50質量部未満とすると、目的とする良好な透気性が発現されにくくなり、外観および風合いも悪くなりやすく、充填剤の配合量が400質量部を超えると、フィルム成形の際に樹脂焼けなど工程上の不具合を起こしやすくなり、フィルム強度も大幅に低下するからである。
上記樹脂と充填剤とはフィルムの必須成分であるが、さらにこれらの原料を混合溶融した時に樹脂中への充填剤の分散性を向上させる目的で可塑剤を配合することが好ましい。
本発明で用いる可塑剤は、140℃以上で液体または固体であるものを用いている。通常は液体から気体となるため、実質的には沸点が140℃以上の可塑剤を用いている。沸点が140℃未満の場合は、本発明のフィルムを有する製品が何らかの原因で高温となったときに可塑剤が揮発し、当該製品が破裂するおそれがある。沸点が140℃以上の可塑剤とは、大気圧での沸点が140℃以上であるもの、または140℃で1時間加熱した後の重量が加熱前の重量に対して10%以上減少していないものと定義する。
さらに、上記可塑剤は、融点が25℃以上としている。融点が25℃以上の可塑剤を用いれば、常温で固体であるためフィルムの剛性が向上し、例えば電池などの本発明のフィルムを有する製品の組み立て工程でのハンドリングがより容易となる。ここで、融点が25℃以上の可塑剤とは、DSC(示差走査熱量測定)による測定で溶融時の吸熱ピークが明確に25℃以上であるもの、またはDSCによる測定で吸熱ピークを明確に有していないものは25℃の動粘度が100000mm/sec以上のものと定義する。
本発明における可塑剤に使用可能なものとして、融点25℃以上且つ140℃で固体あるいは液体であることを前提として、エステル化合物、アミド化合物、脂肪酸、アルコール化合物、アミン化合物、エポキシ化合物、エーテル化合物、鉱油、パラフィンワックス、液状シリコーン、フッ素オイル、液状ポリエーテル類、液状ポリブテン類、液状ポリブタジエン類、カルボン酸塩、スルホン酸塩、アミン塩、カルボン酸化合物、フッ素系化合物、スルホン結合を有する化合物等が挙げられる。可塑剤は1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を組み合わせて用いても良い。
具体的には、可塑剤としては、「プラスチックス配合剤」(株式会社 大成社発行 昭和62年11月30日 第2版発行)のP29〜64の可塑剤の項目に記載され、P49からP50の表4と、P52〜P54の表6に列挙されている可塑剤(TCP、TOP,PS ESBO等)が使用可能である。
上記エステル化合物としては、テトラグリセリントリステアレート、グリセリントリステアレート、ステアリルステアレート、グリセリンモノステアレート、ソルビタンモノステアレート、エチレンカーボネートまたはジステアリルカーボネート等が挙げられる。
上記アミド化合物としては、エチレンビスステアリン酸アミドまたはヘキサメチレンビスステアリン酸アミドなどが挙げられる。
上記アルコール化合物としては、ステアリルアルコール、オレイルアルコールまたはドデシルフェノールなどが挙げられる。
上記アミン化合物としては、ジヒドロジエチルステアリルアミンまたはラウリルアミンなどが挙げられる。
上記エポキシ化合物としては、エポキシ大豆油などが挙げられる。
上記エーテル化合物としては、トリエチレングリコールなどが挙げられる。
前記鉱油としては、灯油またはナフテン油などが挙げられる。
上記カルボン酸塩としては、ステアリン酸カルシウムまたはオレイン酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記スルホン酸塩としてはドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどが挙げられる。
上記アミン塩としては、ステアリルジメチルベタインまたはラウリルトリメチルアンモニウムクロリドなどが挙げられる。
上記カルボン酸化合物としては、ステアリン酸もしくはオレイン酸、またはこれらのエステル体などの誘導体(ただし塩は除く。)などが挙げられる。
上記スルホン結合を有する化合物としては、スルホランまたはジプロピルスルホン酸などが挙げられる。
本発明で用いる可塑剤としては、エステル化合物、アミド化合物またはスルホン結合を有する化合物がより好ましい。とくに、本発明においては、可塑剤として飽和脂肪酸からなるエステルもしくはアミドであり、更に好ましくは、エチレンカーボネートを主体とする可塑剤である。
本発明においては、可塑剤の配合比が高密度ポリエチレン樹脂100質量部に対し1〜30質量部であることが好ましい。より好ましい配合比は、樹脂100質量部に対し1〜20質量部である。可塑剤の配合比が1質量部未満であると、目的とする良好な延伸性が発現されにくく、かつ、外観および風合いも悪くなりやすい。一方、可塑剤の配合比が30質量部を超えるとフィルム成形の際に樹脂焼けなど工程上の不具合を起こしやすくなる。
さらに、本発明の多孔性フィルムでは、一般に樹脂組成物に配合される添加剤、例えば、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、中和剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、帯電防止剤、スリップ剤、着色剤等を、多孔性フィルムの特性を損なわない程度の範囲で配合してもよい。
具体的には、前記「プラスチックス配合剤」のP154〜P158に記載されている酸化防止剤、P178〜P182に記載されている紫外線吸収剤、P271〜P275に記載されている帯電防止剤としての界面活性剤、P283〜294に記載されている滑剤が必要に応じて適宜に配合される。
本発明の多孔性フィルムは、前記したように、上記樹脂組成物の溶融混練物をフィルムとして成形加工し、成形されたフィルムを延伸することにより充填剤を起点として空孔を設ている。該多孔性フィルムにおいては、平均厚みが5μm以上40μm以下、好ましくは30μm以下としている。これは、厚みが5μm未満であるとフィルムが破れやすくなり、一方40μmを越えると電池用セパレータとして所定の電池缶に捲回して収納する際、電池面積が小さくなり、ひいては電池容量が小さくなることによる。
また、厚みの最大値と最小値とが平均厚みの±25%以下、すなわち厚みの振れ(厚み精度)を±25%以下としている。厚みの最大値と最小値とが平均厚みの±20%以下がより好ましく、特に±15%以下であることが好ましい。厚みの振れが平均厚みの±25%を越えると、捲回した時に部分的に圧力がかかり、電池用セパレータとして用いたときに絶縁性が低下することとなる。
なお、上記多孔性フィルムの平均厚みは、1/1000mmのダイアルゲージにて面内を不特定に30箇所測定し、その平均を算出して得られる値である。また、厚みの最大値とは前記30箇所の測定値のうち最も大きい値をいい、厚みの最小値とは前記30箇所の測定値のうち最も小さい値をいう。厚みの振れとは、式;{(最大厚みまたは最小厚み−平均厚み)/平均厚み}×100(%)により算出される値である。
特に、本発明の好ましい態様においては、充填剤(B)を高密度ポリエチレン(A)100質量部に対し100〜200質量部と比較的大量に充填しており、充填剤(B)の配合が少ない場合もしくは充填剤が配合されていない場合と比較して強度が比較的低くなるため、厚みと厚み精度を十分に制御することが重要となる。
多孔性フィルムの厚さは、上記高密度ポリエチレン樹脂(A)、充填剤(B)および可塑剤(C)の種類もしくは配合量、延伸条件(延伸倍率、延伸温度等)によって自由に調整できる。
本発明の多孔性フィルムは例えば下記の方法で製造している。
まず、各成分をヘンシェルミキサー、スーパーミキサー、タンブラー型ミキサー等の粉体混合機で混合する。このとき、高密度ポリエチレンはパウダーあるいはペレット状、充填材はパウダー、可塑剤はパウダー、延伸補助財はペレット状に予めしておくことが好ましい。
ついで、1軸あるいは2軸混練機、ニーダー等で加熱混練する。その後、ペレット化して成膜工程に移行しても良いし、ペレット化せずに直接成型機で製膜してもよい。このペレットはサイロ、ホッパーフレコン等の原料を保存する設備、容器に一時的に保存しておいても良い。
本発明では、通常、上記ペレットの水分率が1000ppm以下、好ましくは700ppm以下にして溶融成形してフィルム化している。ペレットの水分が1000ppmより大きいとゲル、ピンボールが極度に発生して好ましくないためである。一方、溶融混合物をペレット化せずに直接成膜工程にもって行く場合も溶融混合物の水分率が1000ppm以下となるように溶融混練工程から成膜工程までの途中で真空脱気もしくは解放脱気を行うことが好ましい。
その後、高密度ポリエチレン樹脂の融点以上、好ましくは融点+20℃以上で分解温度未満の温度条件下において押出成形機等を用いて溶融、成膜することによりフィルム(原反シート)を得ている。成膜方法としては、具体的にはTダイ成形、カレンダー成形、プレス成形等が挙げられる。このようにして成形されるフィルム(原反シート)の厚さは延伸性等を損なわない範囲で適時選択できるが、0.02〜2mmの範囲内が好ましい。
上記成形された樹脂フィルム(原反シート)をロール延伸、テンター延伸、同時2軸延伸、圧延等の方法により、少なくとも1軸方向に延伸(1軸延伸)、好ましくはフィルム長手方向(縦方向)と直交する横方向の2軸方向に延伸(2軸延伸)する。かかる延伸処理は、上記樹脂の軟化点(JIS K6760による測定値)付近で行うことが好ましい。上記延伸により樹脂と充填剤との界面を剥離させることにより多数の空孔を設けることができる。なお、開孔径を安定させるために延伸後に熱処理してもよい。
上記延伸工程における延伸倍率は、延伸時のフィルムの破れ、得られるフィルムの透気度またはフィルムの硬さ等に対応させて適宜選択すればよい。具体的には、例えば2軸延伸の場合、縦横方向の延伸倍率は少なくとも一方向が1.5倍以上、好ましくは2倍以上である。
上記多孔性フィルムの延伸により形成される空孔は、三次元網状としフィルムの両面開口に連通させ、電池用セパレータとする場合には、気体または水蒸気は透過可能とし、液滴は透過不可としている。詳細には空孔径は0.3μm以下とし、100〜3000μmの水滴は透過させず0.0004μm程度の水蒸気は透過可能としている。
より具体的には、本発明の多孔性フィルムは、その透気度が50〜1000(sec/100cc)であり、100〜500(sec/100cc)であることがより好ましく、100〜300(sec/100cc)であることがさらに好ましい。
透気度を50〜1000(sec/100cc)としているのは、50(sec/100cc)未満とすると、電解質の含浸性・保持性が低下して二次電池の容量が低くなったり、サイクル性が低下したりする恐れがある。一方、透気度が1000(sec/100cc)を超えると、イオン伝導性が低くなり非水電解質電池用セパレータとして用いた場合に十分な電池特性を得ることができない。
なお、上記透気度(ガーレ値)はJIS P8117に準拠して気度(sec/100cc)を測定している。
こうして得られるフィルムは、包装用、衛生用、畜産用、農業用、建築用、医療用、分離膜、光拡散板用、電池用セパレータ等の多岐の用途に利用できるが、非水電解質電池セパレータとして好適に使用でき、良好な非水電解質電池が得られる。
本発明の多孔性フィルムからなる非電解質電池セパレータを収容している非水電解質電池は、安全性の観点から高温(140〜160℃)状態になるとセパレータに開孔された微細な孔を閉塞し、その結果、電池内部のイオン伝導を遮断し、その後の電池内部の温度上昇を防止できるシャットダウン機能が要求される。一方、シャットダウン温度が130℃よりも低い温度であると、充電中に温度が130℃以上に上がるとシャットダウンにより閉塞が発生し、これ以上繰り返し使用できなくなる。
よって、本発明の多孔性フィルムではシャットダウン温度を130℃以上で140℃以下としている。
かつ、本発明の電池用セパレータとする多孔性フィルムは、巻き込み電極群100個を速度10℃/分で昇温させ、160℃のオーブンに1時間入れ、正負電極間の絶縁抵抗が1MΩ以下となった数をyとした時、昇温後の絶縁不良率y%が20%以下としている。これは、昇温後の絶縁不良率が25%以上であると、電池としての初期不良率が増大するからである
上述した如く、本発明の多孔性フィルムは、5〜40μm程度の薄いフィルムとして、その厚さ精度を±25%以下と高めて厚さを略均一に保持しているため、電池用セパレータとして正極板と負極板の間に介在させて渦巻き状に巻回して電池缶内に収容したとき、セパレータに局部的に負荷がかかることを抑制でき、その結果セパレータの破損等が防止でき絶縁性を確実に保持することができる。かつ、セパレータの厚さを5〜40μmと薄くしているため電池缶内への正極板および負極板の充填量を増加でき、電池容量を高めることができる。
かつ、充填剤として0.1〜25μmと微小のフィラーを用いているため、上記5〜40μmで厚さ精度±25%以下の多孔性フィルムを延伸により形成することができる。
さらに、高密度ポリエチレン樹脂を主体とするため、非水電解質電池セパレータに用いられた際に高温状態において優れたシャットダウン機能を発揮することができる。かつ、高密度ポリエチレン樹脂を含むことから裂けにくくなっておりハンドリング性が向上している。その上、該ポリエチレン樹脂を用いることにより、透気性および耐熱性にも優れたフィルムとすることができる。
さらにまた、適性な透気性を保持する微細孔構造を持たせるために延伸法を採用しており、製造コストを低廉化できる。
そのうえ、本発明の多孔質フィルムの物性は、樹脂、充填剤および可塑剤の配合量や種類、延伸条件(延伸倍率、延伸温度等)によって自由に調整できる。そのため、該条件等を種々変化させることにより、用途に応じた所望の物性の多孔性フィルムを得ることができる。
以下、図面を用いて本発明を具体的に説明する。
図1は多孔性フィルムの断面模式図であり、実施形態の多孔性フィルム1は三次元網状の空孔1aを備え、該空孔1aは多孔性フィルムの両面1b、1cに連通し、多孔性フィルムの透気度は100〜1000(sec/100cc)の範囲内としている。
多孔性フィルム1aの厚さは5〜40μm、かつ、厚みの振れを平均厚さの±25%以下としている。
上記多孔性フィルムでは、樹脂として密度0.95g/cm以上0.97g/cm以下で且つメルトフローレートが1g/10分以下である高密度ポリエチレンと、平均粒径0.1〜25μmの硫酸バリウムまたは炭酸カルシウムからなる無機フィラーを用い、可塑剤として融点が25℃以上で且つ140℃で液体または固体であるエチレンカーボネート、ソルビタンモノステアレート、エチレンビスステアリン酸アミドまたはグリセリントリステアレートを用いている。充填剤と可塑剤の配合比は、本実施形態では高密度ポリエチレン100質量部に対して充填剤が100〜200質量部、可塑剤が5〜10質量部としている。
上記原料を混合、混練して充填剤を樹脂中に分散させる。この混練物を所要温度で加熱して溶融した後、Tダイで成形してフィルム(原反シート)を作成する。成形温度は、樹脂の種類などに応じて適宜選択することができるが、120〜200℃である。得られたフィルム(原反シート)の厚さは0.02〜2mmとされている。
上記フィルムを2軸延伸機で、まずフィルムの長手方向(MD方向)に延伸倍率2〜4.5倍で延伸し、ついで長手方向と直交方向(TD方向)に延伸倍率2〜4.5倍で延伸する。このような縦・横方向の2軸延伸により、図2に示すように樹脂11中に充填剤12が分散されているフィルム10は樹脂11と充填剤12との界面で剥離が生じ、この剥離した部分が空孔1aとなり、多孔性フィルム1が得られる。その際、多孔性フィルム1の厚さは前記したように5〜40μmで、厚さの振れが±25%以下となっている。このような多孔性フィルム1は連続材として得られ、コイル状に巻き取られる。
なお、延伸は2軸延伸に限らず、1軸延伸でもよく、その場合には長手方向に5倍延伸している。
本実施形態では得られた多孔性フィルム1を所要長さに切断して非水電解質電池用のセパレータ1’としている。セパレータ1’は正極板21と負極板22との間に介在させて渦巻き状に巻回され図3に示す円筒型のリチウム二次電池20の内部に収容されている。
本発明の多孔性フィルムをセパレータとして収容するリチウム二次電池について詳細に説明する。
電解質としては、例えばリチウム塩を支持電解質とし、これを有機溶媒に溶解した電解質が用いられる。有機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えばプロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、ジメチルカーボネート、プロピオン酸メチル、酢酸ブチルなどのエステル類;アセトニトリル等のニトリル類;1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジメトキシメタン、ジメトキシプロパン、1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、4−メチル−1,3−ジオキソランなどのエーテル類;さらにはスルホランなどが使用できる。これら溶媒は1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上の混合溶媒としてもよい。
本実施形態においては、セパレータを装着するリチウム二次電池缶に充填する電解質は、エチレンカーボネート1質量部に対してメチルエチルカーボネートを2質量部配合した混合溶媒中にL1PF6を1.4mol/Lの割合で溶解した電解質としている。
負極としてはアルカリ金属またはアルカリ金属を含む化合物をステンレス銅製網などの集電材料と一体化したものが用いられる。その際、アルカリ金属としては、例えばリチウム、ナトリウムまたはカリウムなどが挙げられる。上記アルカリ金属を含む化合物としては、例えばアルカリ金属とアルミニウム、鉛、インジウム、カドミウム、スズもしくはマグネシウムなどとの合金、さらにはアルカリ金属と炭素材料との化合物、低電位のアルカリ金属と金属酸化物もしくは硫化物との化合物などが挙げられる。負極に炭素材料を用いる場合、該炭素材料としてはリチウムイオンをドープ・脱ドープできるものであればよく、例えば黒鉛、熱分解炭素類、コークス類、ガラス状炭素類、有機高分子化合物の焼成体、メソカーボンマイクロビーズ、炭素繊維または活性炭などを用いることができる。
本実施形態においては、セパレータを装着するリチウム二次電池缶における負極板は、フッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液と平均粒径10μmの炭素材料を混合してスラリーにし、この負極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ18μmの帯状の銅箔からなる負極集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、その後ロールプレス機により圧縮成形し切断し、帯状の負極板としている。
正極としては、正極活物質に導電助剤やポリテトラフルオロエチレンなどの結着剤などを適宜添加した合剤を、ステンレス銅製網などの集電材料を芯材として成形体に仕上げたものが用いられる。前記正極活物質としては、例えばリチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、二酸化マンガン、五酸化バナジウム、クロム酸化物などの金属酸化物、二硫化モリブデンなどの金属硫化物などが挙げられる。
本実施形態においては、セパレータを装着するリチウム二次電池缶における正極板は、より好ましい実施形態では、リチウムコバルト酸化物(LiCoO2)に導電助剤としてリン状黒鉛を重量比90:5で加えて混合し、この混合物とポリフッ化ビニリデンをN−メチルピロリドンに溶解させた溶液とを混合してスラリーにし、この正極合剤スラリーを70メッシュの網を通過させて大きなものを取り除いた後、厚さ20μmのアルミニウム箔からなる正極集電体の両面に均一に塗布して乾燥し、その後ロールプレス機により圧縮成形した後、切断し帯状の正極板としている。
上記正極板21、負極板22の両極をセパレータ1’を介して互いに重なるようにし、渦巻き状に捲回し、巻き止めテープで外側を止めて捲回体としている。
上記正極板21、セパレータ1’および負極板22を一体的に巻き付けた捲回体を有底円筒状の電池ケース内に充填し、正極及び負極のリード体24、25と溶接する。ついで、上記電解質を電池缶内に注入し、セパレータ1’などに十分に電解質を浸透させた後、電池缶の開口周縁にガスケット26を介して正極蓋27を封口し、予備充電、エージングを行い、筒型の二次リチウム電池を作製している。
上記多孔性フィルム1からなるセパレータは絶縁性を有するため両面に直接接触する正極板21と負極板22との短絡を防止し、リチウムイオンは空孔1aを透過する一方で液は透過できないため、電解質の拡散・保液を図ることができる。
本発明の多孔性フィルムと比較例の多孔性フィルムを作製し、得られた多孔性フィルムの厚み、厚み精度、透気度、シャットダウン温度、昇温後の絶縁不良率を測定した。
「実施例1」
高密度ポリエチレン[日本ポリケム株式会社製 HY430P、密度:0.955g/cm、メルトフローレート:0.8g/10min]100質量部、平均粒径が0.66μmの硫酸バリウム[堺化学社製 B−55]150質量部をブレンドしてコンパウンドを行い、次に、温度200℃でTダイ成形を行い原反シートを得た。原反シートの厚みは平均100μmであった。
次に得られた原反シートを80℃でシ−トのMD方向に5.0倍で1軸延伸して多孔性フィルムを得た。
得られた多孔性フィルムは、厚み平均14μm、厚み振れ±25%、透気度560sec/100ccであった。
「実施例2」
高密度ポリエチレン[三井住友ポリオレフイン株式会社製 7000FP、密度:0.954g/cm、メルトフローレート:0.04g/10min]100質量部、硫酸バリウム[堺化学社製 B−55]160質量部、可塑剤としてハイカスターワックス[豊国精油社製 HCOP
融点86℃ 140℃1時間加熱後の重量減少率が2.4%]7質量部とした以外は実施例1と同様にして平均厚さ100μmの原反シートを成形した。該シートをMD方向に4.5倍延伸し、次いでTD方向2.9倍に2軸延伸して多孔性フィルムを得た。
得られた多孔性フィルムは延伸後の厚み平均27μm、厚み精度±14%、透気度75sec/100ccであった。
「実施例3」
硫酸バリウムの添加量を105質量部、ハイカスターワックス[豊国精油社製HCOP]5質量部とした以外は実施例2と同様にして原反シートを成形した。該シートをMD方向に4.5倍延伸し、次いでTD方向2.9に延伸して多孔性フィルムを得た。
得られた多孔性フィルムは厚み平均23μm、厚み精度±17%、透気度220sec/100ccであった。
「実施例4」
硫酸バリウムの添加量を84質量部、ハイカスターワックス[豊国精油社製 HCOP]3質量部とした以外は実施例2と同様にして原反シートを成形した。該シートをMD方向に5.5倍延伸し、次いでTD方向3.4に延伸して多孔性フィルムを得た。
得られた多孔性フィルムは、厚み平均27μm、厚み精度±5%、透気度90sec/100ccであった。
「実施例5」
可塑剤としてトリメット酸トリオクタノエート[ジェイプラス社製 ダイヤサイザーD600 融点ー45℃ 140℃1時間加熱後の重量減少率が0.9%]を変えた以外は、実施例2と同様にして原反シートを成形した。該シートをMD方向に4.0倍延伸し、次いでTD方向に2.8倍延伸して多孔性フィルムを得た。
得られた多孔性フィルムは厚み平均26μm、厚み精度±8%、透気度150sec/100ccであった。
「実施例6」
可塑剤としてエチレンカーボネート[和光純薬工業社製 試薬 融点36℃ 沸点238℃]10質量部を加えた以外は実施例1と同様とした。
得られた多孔性フィルムは厚み平均21μm、厚み精度±11%、透気度250sec/100ccであった。
「比較例1」
線状低密度ポリエチレン[三井化学社製 ウルトゼックス2023FP、密度:0.920g/cm メルトフローレート:2.1g/10min]100質量部に対して、硫酸バリウム[堺化学社製 B−55]160質量部、ハイカスターワックス7質量部をブレンドしてコンパウンドを行い、次に温度200℃でTダイ成形を行い原反シートを得た。原反シートの厚みは平均60μmであった。
次に得られた原反シートを60℃でシートの長手方向(MD)に4.0倍延伸を1軸延伸を多孔性フィルムとした。
得られた多孔性フィルムは厚み平均30μm、厚み振れ±20%、透気度1800sec/100ccであった。
「比較例2」
可塑剤をグリセリントリオクタノエート[和光純薬工業社製 試薬 融点ー5℃、140℃1時間加熱後の重量減少率が2%]3質量部加えた以外は実施例1と同様に成形した。
得られた多孔性フィルムは厚み平均35μm、厚み振れ±39%、透気度250sec/100ccであった。
「比較例3」
可塑剤としてジメチルシリコーンに[GE東芝シリコーン社製 商品名TSF451−100 25℃での動粘度 100mm2/S 140℃1時間の加熱後の重量減少率が0.2%]5質量部加えた以外は実施例1と同様に成形した。
得られた多孔性フィルムは厚み平均31μm、厚み振れ±45%、透気度155sec/100ccであった。
実施例1〜6および比較例1〜3の厚み、厚み振れおよび透気度を以下のように測定した。
(厚みの測定)
1/1000mmのダイアルゲージにて面内の厚みを不特定に30箇所測定し、その平均値を算出した。
(厚み振れ=厚み精度の測定)
上記測定方法で測定した30箇所の測定値のうち最も大きい値(最大厚み)、最も小さい値(最小厚み)および算出された平均値から次式に基づき厚み振れを算出した。なお、表中には次式で算出される値のうち絶対値の大きい方を記載した。
(最大厚み−平均厚み)/平均厚み×100(%)
(最小厚み−平均厚み)/平均厚み×100(%)
(透気度)
JIS P 8117に準拠して、気度(秒/100cc)を測定した。
実施例1〜6および比較例1〜3の多孔性フィルムを電池用セパレータとして用いた場合におけるシャットダウン温度、絶縁性を下記の方法で測定した。
(シャットダウン温度の測定)
多孔性フィルムを100mmφの孔をあけたアルミ板に挟み、オーブン中に2分間放置後、透気度を測定した。3000秒/100cc以上となるオーブン温度をシャットダウン温度とする。
この温度が140℃より高いと電池として組み込んだ場合、充放電時異常に温度が上がって多孔性フィルムの透過性が落ちないため、発煙、発火の危険性がある。
(絶縁性)
上記巻き込み電極群100個を速度10℃/分で昇温させ、160℃のオーブンに1時間入れ、正負電極間の絶縁抵抗を測定し、1MΩ以下となった数を数えた。1MΩ以下となった数をyとすると昇温後の絶縁不良率はy%となる。この比率が大きいと電池としての初期不良率が増大する。前記絶縁不良率が20%以下は○で示し、20%を越える場合は×として表1に示す。
上記実施例1〜6、比較例1〜3の素材、配合割合、上記方法で測定した多孔性フィルムの平均厚さ、厚さの振れ、透気度、シャットダウン温度、昇温後の絶縁不良率を下記の表1に示す。なお、表中、充填剤および可塑剤の配合割合は高密度ポリエチレン(但し、比較例1については線状低密度ポリエチレン)100質量部に対する割合(質量部)を示す。
Figure 0005019699
実施例1〜6の多孔性フィルムは、その平均厚さおよび厚さの振れともに本発明に規定する数値範囲内であった。一方、比較例1の多孔性フィルムは高密度ポリエチレンを用いずに低密度ポリエチレンを用いたため透気度が1800[sec/100cc]となっていた。
また、シャットダウン温度は実施例1〜6は130℃以上140℃以下であった。昇温後の絶縁性については実施例1〜6は○であったが、比較例1〜3は×であった。
上記した点から実施例1〜6の多孔性フィルムは比較例1〜3の多孔性フィルムに対して、特に電池用セパレータとして用いた場合に優れていることが確認できた。
こうして得られるフィルムは、包装用、衛生用、畜産用、農業用、建築用、医療用、分離膜、光拡散板用、電池用セパレーター等の多岐の用途に利用できるが、非水電解質電池セパレーターとして好適に使用でき、良好な非水電解質電池が得られる。
上記多孔性フィルムの断面模式図である。 延伸による孔が形成される方法を示す説明図である。 電池内でのセパレータを示す一部破断斜視図である。
符号の説明
1 多孔性フィルム
1a 空孔
1’セパレータ
10 フィルム
11 樹脂
12 充填剤
20 電池
21 正極板
22 負極板

Claims (8)

  1. 電池用セパレータとする多孔性フィルムであり、少なくとも密度が0.94g/cm以上で、メルトフローレートが1g/10分以下である高密度ポリエチレン樹脂(A)と、充填剤(B)との2成分から構成される樹脂組成物からなるフィルムが延伸により空孔が設けられており、平均厚み5〜40μmで、厚みの最大値と最小値が平均厚みの±25%以下、透気度が50〜1000(sec/100cc)で、かつ、巻き込み電極群100個を速度10℃/分で昇温させ、160℃のオーブンに1時間入れ、正負電極間の絶縁抵抗が1MΩ以下となった数をyとした時、昇温後の絶縁不良率y%が20%以下であることを特徴とする多孔性フィルム。
  2. 上記充填剤(B)は、平均粒径0.1〜25μmである請求項1に記載の多孔性フィルム。
  3. 上記充填剤(B)は硫酸バリウムあるいは炭酸カルシウムからなる無機フィラーである請求項1または請求項2に記載の多孔性フィルム。
  4. 上記高密度ポリエチレン樹脂(A)100質量部に対して、充填剤(B)を50〜400質量部配合している請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の多孔性フィルム。
  5. 融点が25℃以上且つ140℃で液体もしくは固体の可塑剤(C)が添加されている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の多孔性フィルム。
  6. 上記可塑剤(C)は、ハイカスターワックス、トリメット酸オクタンノエートまたはエチレンカーボネートである請求項5に記載の多孔性フィルム。
  7. 上記延伸は1軸延伸あるいは2軸延伸とし、少なくとも一方向に1.5倍以上延伸されている請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の多孔性フィルム。
  8. 請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の多孔性フィルムからなる電池用セパレータを収容している電池
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