JP5042229B2 - ワイヤ放電加工用電極線、その製造方法及びその母線製造装置 - Google Patents

ワイヤ放電加工用電極線、その製造方法及びその母線製造装置 Download PDF

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Description

本発明は、改善されたワイヤ放電加工用電極線及びその製造方法並びにその母線製造装置に関するものである。
ワイヤ放電加工とは放電加工用電極線と被加工物との間で放電現象を起こさせ、放電によって引き起こされる熱エネルギーによって被加工物を切断していくもので、特に金型等の複雑な形状を有する金属加工に適している。
このような放電加工において、 a、加工速度が速いこと、 b、電極線を連続的に走行させた時の金属粉の発生量が少ないこと、 c、被加工物の表面の仕上がり状態や寸法精度が良好であること、 d、電極線と被加工物との相対位置を計測する位置決め性が良好であること等が要求される。
この電極線として、従来から広く使われているものに、電極線が亜鉛濃度35〜40重量%の層構造を有しない黄銅線単一体より製作されたものがある。
この黄銅製電極線は、亜鉛含有量を増やせないという理由により、放電加工速度を速くすることに限界がある。
そこで、この黄銅製電極線よりも放電加工速度を速くしようとする研究が種々行われてきているが、電極線の組成中の亜鉛濃度が高いほど、放電加工速度を向上できることは良く知られている。
これらを方法として大別すると、電極線の黄銅組成中の亜鉛濃度を40重量%以上に高くする第一の方法と、電極線の表層のみ亜鉛濃度が40重量%以上の銅―亜鉛合金層、或いは亜鉛層を設ける第二の方法と、が知られている。
日本特許第3303296号公報には、電極線の黄銅組成中の亜鉛濃度を40質量%以上に高くする、上記第一の方法が開示されている。しかしながら、この銅―亜鉛合金は、図10の二元状態図に示すように、α、β、γ、εおよびη相の固溶体を作るが、実用的には、亜鉛の最大固溶度約39重量%のα相でしか冷間伸線加工ができないため、β相以上の亜鉛濃度では硬く脆くなり、冷間伸線時にクラックが生じ、細線への加工が困難になるという問題が生じる。
そこで、この特許公報の中ではこの問題を解決するため、ジルコニウム等の金属を添加してβ相を細分化して冷間での伸線加工性を改善することが記載されているが、この方法では、銅―亜鉛―その他金属の多元合金になり、製造コストが高くなるという新たな問題が生じる。
また、表層に亜鉛濃度が40重量%以上の銅―亜鉛合金層或いは亜鉛層を設けた多孔性電極線が、日本特許第3718617号公報に開示されている。
この多孔性電極線は、溶融めっきにより銅含有芯線の表層に銅-亜鉛合金層および亜鉛層を設け、伸線することによって表層に積極的にクラックを形成させ、電極線の表面積を大きくし、放電加工時に加工液との接触面積を増加させ、冷却速度を一層早くして加工速度を改善することが記載されている。
しかしながら、電極線表層にクラックが形成されることによって、次のような問題点が生じる。
a、ワイヤ放電加工は、電極線と被加工物との間で放電を行わせながら、被加工物を溶断して糸鋸式の加工を行うものであるが、電極線の表層にクラックがあることによって、放電が不安定になり、被加工物の表面の仕上がり状態が悪くなる。
b、冷間伸線加工によって表層にクラックが生じるほど表層が脆いため、加工時に電極線を連続的に走行させた場合に加工機のガイド、プーリー等との摩擦・擦れ等により金属粉の発生量が多くなり、メンテナンス性を悪化させる。
c、ワイヤ放電加工機に被加工物と電極線の相対位置を認識させるため、被加工物と電極線との間で電気的な導通を利用しているが、電極線の表層にクラックがあることによって接触面積が少なくなり、位置決め精度が悪くなる。
d、表層にクラックがあることによって、取り扱い時または加工時に断線が発生し易くなり信頼性が悪くなる。
さらに、表層に亜鉛濃度が40重量%以上の銅−亜鉛合金層と亜鉛層を設けたワイヤ電極が、日本特許公報第3602402号に開示されている。
このワイヤ電極は、導電性で、かつ主として張力を受け止める芯と、2つの層からなり侵食の際に摩耗する外被とを有する放電加工切断のためのワイヤ電極において、外被の内層がほぼ均質な合金からなり、高速切断のために役立つ40〜48質量%の亜鉛割合を有する組成を有しており、かつ外被の外層は精密切断のために適切な、80%〜100重量%の亜鉛割合を有する組成を有しており、層厚さは、内層が少なくとも2.5μm以上、外層は0.5〜5μmとされ、外層の層厚さは、内層の層厚さの5分の1以内とされている。
しかしながら、亜鉛濃度が40〜48重量%の硬く・脆い銅−亜鉛合金層の表層の内層厚に比べて、亜鉛が100重量%までからなる表層の外層を極端に薄くした構造のため、冷間伸線することによって表層にクラックが生じ、上記日本特許3718617号公報に記載したものと同様なクラックによる問題点が発生する。
さらにまた、日本特許公報第3405069号には、表層に銅―亜鉛合金層を2層形成し、内部をβ相、最表層をα相にして冷間伸線時に、電極線の最表層にクラックを生じさせない方法が開示されている。
しかしながら、この方法は亜鉛粉末を主体にしたスラリーを塗布、乾燥させた後、更に前記より亜鉛濃度が低い亜鉛粉末を主体にしたスラリーを塗布、乾燥、熱処理し、その後、冷間伸線するという複雑な工程が必要になり、製造コストを増大させる。
上記したように、従来の高速加工ワイヤ放電加工用電極線は、加工速度を向上することができるものの、加工速度以外の放電加工に必要な他の特性が悪くなるか(日本特許公報第3718617号・日本特許公報第3602402号)、製造コストが高くなる(日本特許公報第3303296号・日本特許公報第3405069号)という問題点が生じる。
本発明は、これら問題点を解決するためになされたもので、複雑な工程を経ることなく製造可能で、電極線表面にクラックを生じさせない放電加工用電極線を提供することを目的とする。
さらに、放電加工時の加工速度を向上するとともに被加工物の面粗度を良好とし、電極線を連続的に走行させた時の金属粉の発生量が少なく、かつ電極線と被加工物との相対位置を計測する位置決め性が良好で、取り扱い時または加工時に断線が発生することがない放電加工用電極線を提供することを目的としている。
加えて本発明は、上記放電加工用電極線を製造するための方法と製造装置を提供することを目的とするものである。
この出願の請求項1に係る発明は、銅または銅合金からなる芯線の外周面に溶融亜鉛めっき層が形成され、溶融亜鉛めっき層と芯線の境界で相互に熱拡散により生成された熱拡散層と、熱拡散層の内外に位置する、芯線の銅または銅合金及び純亜鉛層とから構成されたワイヤ放電加工用電極線において、前記純亜鉛層を前記熱拡散層より厚く形成されているとともに電極線表面にクラックが存在しないものとした。
この出願の請求項2に係る発明は、純亜鉛層が冷間伸線加工時にクラックが発生しない厚みを有する母線から製造され、電極線表面にクラックが存在しないものとした。
この出願の請求項3に係る発明は、請求項1乃至請求項2のいずれかに係る発明の純亜鉛層の前記ワイヤ放電加工用電極線の径に対する割合を、少なくとも1.2%とした。
この出願の請求項4に係る発明は、請求項1乃至請求項3のいずれかに係る発明の銅または銅合金を、黄銅とした。
この出願の請求項5に係る発明は、溶解、鋳造、伸線工程を経た黄銅線を芯線とし、この芯線を表面洗浄して純亜鉛を所定温度に保持しているめっき槽内を、最外層が所定厚を超える純亜鉛層とする浸漬時間通過せしめた後冷却することにより、黄銅線と純亜鉛が接触する境界面で相互に熱拡散させて銅―亜鉛合金層を生成させて電極線のめっき母線を製造し、該めっき母線を冷間伸線加工するワイヤ放電加工用電極線の製造方法とした。
この出願の請求項6に係る発明は、最外層が所定厚を超える純亜鉛層とする浸漬時間を、前記純亜鉛層の前記ワイヤ放電加工用電極線の径に対する割合が少なくとも1.2%となるように、1.2秒を超えないように制御した。
この出願の請求項7に係る発明は、めっき槽内温度を、前記純亜鉛層が前記熱拡散層より厚くなるように500℃を超えないように制御した。
この出願の請求項8に係る発明は、溶融亜鉛めっき槽の芯線出口の浴面に対して非酸化性ガスを噴射する純亜鉛化処理を施すこととした。
この出願の請求項9に係る発明は、前記純亜鉛層周囲を溶融亜鉛よりも高い温度まで加温された非酸化性ガスを通過させるワイピング処理を施すこととした。
この出願の請求項10に係る発明は、予熱処理された銅または銅合金からなる芯線の外周面に溶融亜鉛めっき層を形成して、ワイヤ放電加工用電極線の母線を製造する母線製造装置において、溶融亜鉛めっき槽の芯線出口の浴面に対向してジェットブロー装置の噴射部先端を臨ませ、該噴射部から非酸化性ガスを噴射することにより、酸化膜やフラックスとの反応生成物等の不純物層を除去して、浴面を純亜鉛状態に保つ母線製造装置とした。
この出願の請求項11に係る発明は、ワイピング管中に前記芯線周囲を取り囲んで芯線引上げ方向と逆向きに非酸化性ガスを圧流させることにより、亜鉛めっき厚さを一定にするとともに偏肉しないようめっき膜制御するものとした。
この出願の請求項12に係る発明は、浴面純亜鉛化・ワイピング装置を、非酸化性ガスを亜鉛の融点以上の温度に加温する加熱手段を備えた前記ワイピング管と、その下方に位置し下端部を亜鉛浴面に臨ませた前記ジェットブロー装置と、前記ワイピング管上方から中空部内に非酸化性ガスを供給する第一のガス供給手段と、前記ジェットブロー装置に加温された非酸化性ガスを供給する第二のガス供給手段とから構成した。
請求項1乃至請求項4に係る発明によれば、複雑な工程を経ることなく製造可能であるとともに、電極線の表面にクラックが存在しない。このことにより、放電加工時における放電加工速度を向上することができるとともに、被加工物の面粗度を極めて良好とすることができる。
また、電極線を連続的に走行させた時の金属粉の発生量が少なく、電極線と被加工物との相対位置を計測する位置決めを精度良く行うことができ、取り扱い時または加工時に断線がし難くなり信頼性が良くなる。
加えて、銅または銅合金を黄銅とすれば、放電性を良好にするとともに製造コストをダウンすることができる。
請求項5乃至請求項9に係る発明によれば、溶融亜鉛めっき層に厚い純亜鉛層を生成することができ、電極線表面にクラックのないワイヤ放電加工用電極線を製造することができる。
また、浸漬時間を1.2秒を超えない範囲にとどめる、あるいはめっき層内の温度を500℃を超えないようにする、という簡単な工程管理により、純亜鉛層の厚みを冷間伸線加工時にクラックが発生しない厚みを有する母線を製造することができる。
また、溶融亜鉛めっき槽の芯線出口の浴面に対して非酸化性ガスを噴射することにより、酸化膜やフラックスとの反応生成物等の不純物層を除去して浴面を純亜鉛状態に保ち、芯線に形成されるめっき亜鉛層をピュアにすることができる。
さらにまた、ワイピング処理を行うことにより、めっき層のダレ、偏肉を防止するとともに、冷間伸線加工時において表面クラックの発生を確実に防止することができる。
請求項10乃至請求項12に係る発明によれば、溶融亜鉛めっき槽の芯線出口の浴面に対向してジェットブロー装置の噴射部先端を臨ませ、該噴射部から非酸化性ガスを噴射することにより、簡単に酸化膜やフラックスとの反応生成物等の不純物層を除去して、芯線にめっきされる部位における溶融亜鉛浴面を純亜鉛状態に保つことができ、めっき母線及びワイヤ放電加工用電極線に被覆されるめっき層に純亜鉛の層を簡単に形成することができる。
また、芯線周囲を取り囲んで芯線引上げ方向と逆向きに非酸化性ガスを高圧で通過させることにより、亜鉛めっき厚さを一定にするとともに偏芯しないように皮膜制御することができる。
図1は、本発明の電極線の断面図を示す図である。 図2は、電極線の径方向に対する亜鉛濃度を示す図である。 図3は、溶融めっき装置を示す図である。 図4は、浴面純亜鉛化・ワイピング装置の拡大図である。 図5は、実施例No2のめっき後の黄銅芯線の横断面の1000倍拡大光学顕微鏡写真である。 図6は、実施例No2の電極線の横断面の1000倍拡大光学顕微鏡写真である。 図7は、実施例No2の電極線の表面の350倍拡大電子顕微鏡写真(SEM)である。 図8は、比較例No1の電極線の横断面の1000倍拡大光学顕微鏡写真である。 図9は、比較例No1の電極線の表面の350倍拡大電子顕微鏡写真(SEM)である。 図10は、銅―亜鉛の二元合金状態を示す図である。
本発明の電極線は、図1に示されるように、芯材1となる銅または銅合金と熱拡散層2と純亜鉛層3とから構成される。
本発明の電極線を製造する方法は、芯線6となる銅または銅合金の組成や外径、亜鉛めっき浴の温度や浸漬時間、温度や時間などを適切に選ぶことにより、図2に示すような電極線の径方向に対する亜鉛濃度を有する電極線を製造する。
ここで、非酸化性ガスをめっき槽浴面に吹き付けて非酸化性処理して芯線に溶融亜鉛めっきを純度高く施した後、めっき層表面の酸化、めっき層のダレ、偏肉を防止するため、めっき層に対するワイピング処理をしてめっき母線を製造した後に冷間伸線加工を行う。
本発明においては、最表層が銅-亜鉛拡散層に比べて展延性の良好な比較的厚い純亜鉛層で被覆されているため、冷間伸線加工後に表層にヒビ・クラックが発生しない電極線が得られる。
このような電極線は、クラックの存在しない最表層の純亜鉛層の存在によって、放電が起こり易くなり、そのため放電安定性が向上し、またその下層の銅―亜鉛合金層の熱拡散層によって加工速度が増加するため、加工速度だけでなく、併せて金属粉の発生が少なく、かつ被加工物の面粗度が良く、位置決め性が良好な電極線が得られる。
以下本発明を実施例によって具体的に説明する。
〔放電加工用電極線〕
〔第1の実施例〕
(実施例No1〜No4)
溶解、鋳造、伸線工程を経た線径1.2mmの65/35黄銅線(銅65重量%/亜鉛35重量%)を芯線6とし、図3に示された溶融めっき装置の一部を構成する酸洗・水洗・フラックス槽4において表面洗浄してから、純亜鉛を460℃に保持しているめっき槽内5を通過せしめた後、めっき槽内5を垂直に引き上げ、ワイピング処理することにより、黄銅線と亜鉛が接触する境界面において、相互に熱拡散によって銅―亜鉛合金層を生成させ、かつこの銅―亜鉛合金層の上層が純亜鉛層になるような浸漬時間の領域を検討するため、浸漬時間を0.5秒、0.7秒、1.0秒、1.2秒と変化させた4例について電極線のめっき母線7を製造した。
なお、ワイピング処理については、表面の酸化・めっき層のダレ、偏肉を防止するため、図4の拡大図に示すように、溶融めっき槽5上方に浴面純亜鉛化・ワイピング装置8を配置し、窒素ガス、アルゴンガス等の非酸化性ガスを吹き付けてめっき槽浴面の非酸化性処理とワイピング処理を行った。詳細は後述する。
次に、めっき母線7を冷間伸線加工して、直径0.25mmφの電極線を製造した。
なお、後述する実施例を含むすべての実施例と後述する比較例においては、溶融めっき槽内の亜鉛は、電気分解によって製造された純粋な電気亜鉛を用いた。
〔第2の実施例〕
(実施例No5およびNo6)
溶融めっき槽の温度を440℃、浸漬時間を0.5秒、1秒としたこと以外は、上記第1の実施例と同じ条件で直径0.25mmφの電極線を製造した。
〔第3の実施例〕
(実施例No7およびNo8)
溶融めっき槽の温度を500℃、浸漬時間を0.5秒、1秒としたこと以外は、上記第1の実施例と同じ条件で直径0.25mmφの電極線を製造した。
〔第1の比較例〕
(比較例No1〜No7)
溶融めっき槽の温度を、実施例No1〜No7に各々対応する温度と同一に保持して、巻き取り速度を実施例より遅くすることにより浸漬時間を長くし、ワイピング処理してめっき母線を製造し、次に冷間伸線加工をして直径0.25mmφの電極線を製造した。
〔第2の比較例〕
(比較例No8)
溶融めっき槽の温度を520℃とし、浸漬時間を1秒にしてワイピング処理してめっき母線を製造し、次に冷間伸線加工をして直径0.25mmφの電極線を製造した。
このようにして製造した実施例No1〜No8及び比較例No1〜No8電極線について、次の評価を行った。
a、放電加工特性(加工速度、金属粉の発生量、被加工物の面粗度、位置決め精度)
b、芯線及び溶融亜鉛の熱拡散による銅―亜鉛合金層及び純亜鉛層の厚さ
c、表面クラックの有無
なお、放電加工特性は、三菱電機製ワイヤ放電加工機 SX10 を使用し、表1に示す加工条件を用い、表2に示す評価方法で行った。
評価結果については、表3に示す。
Figure 0005042229
Figure 0005042229
Figure 0005042229
図1は、本発明の実施例の電極線の横断面図であり、図2は、電極線の径方向に対する亜鉛濃度を示す図である。
この実施例No1〜No8の電極線の表面組成について調べてみると、その表面組成は図1、2に示されるように、表面から亜鉛100%の純亜鉛層と、その内部の熱拡散によって生成された、亜鉛濃度50重量%以上100重量%未満の銅―亜鉛合金の熱拡散層とから構成されている。
表3に詳しく示されるように、最表層の純亜鉛層は、平均層厚が、3.0〜8.0μm、電極線外径に対する割合にして1.2〜3.2%である。
この厚みは、比較例No1〜No8の同割合0.08〜1.04%に比較して著しく厚い。
また、熱拡散層は、芯線素材6に対してその表面から溶融した亜鉛が熱拡散して形成された亜鉛濃度50重量%〜80重量%の銅―亜鉛合金内層Aと、芯線素材6自体の銅が溶融した亜鉛に熱拡散して形成された銅―亜鉛合金外層Bとからなり、銅―亜鉛合金内層Aは、平均層厚が0.4〜1.5μmであり、銅―亜鉛合金外層Bは、平均層厚が0.5〜1.2μmである。
これら内外層を合計した銅―亜鉛合金層、すなわち熱拡散層A+Bは、平均層厚が0.9〜2.7μmであり、電極線の外径0.25mmに対する割合にして0.36%〜1.08%である。
一方、比較例No1〜No8の亜鉛濃度50重量%以上100重量%未満の銅―亜鉛合金の熱拡散層A+Bは、平均層厚が1.4〜3.0μm、電極線の外径0.25mmに対する割合にして0.56〜1.20%であり、実施例と比較して若干厚めに形成されている。
この熱拡散層A+Bは、電気めっき層と芯線の境界面で現れる亜鉛濃度の急激な変化は認められず、亜鉛濃度が、電極線表面、すなわち、芯線から亜鉛めっき層に向かって徐々に高くなる勾配を有している。
図5は、実施例No2の黄銅芯線に溶融めっきを施しためっき母線の1000倍拡大光学顕微鏡横断面写真であり、図6は、冷間伸線加工後の電極線の1000倍拡大光学顕微鏡横断面写真であり、図7は、同じく冷間伸線加工後の電極線の表面を観察した350倍拡大電子顕微鏡(SEM)写真である。
これらをみると、実施例No2は、熱拡散によって生成された内部の硬く、脆い銅―亜鉛合金層を展延性の良い純亜鉛層が囲む構造になっていることから、冷間伸線加工後の電極線の表面にヒビ、クラックが発生していないのが判る。
表3から明らかなように、加工速度については、本発明の条件を満たす実施例No1〜No4は、従来例の65/35黄銅電極線に比べ約20%向上する。
被加工物の面粗度(十点平均粗さ)は、本発明の電極線が16.2μm〜16.3μmであるのに対して、従来例の65/35黄銅電極線は18.4μmであり加工面粗度にも優れている。これは本発明の電極線の最表層の純亜鉛層が厚く形成されることによって、放電が起こり易くなり、そのため放電安定性が向上することにより被加工物の面粗度が向上している。
金属粉の発生量と位置決め精度については、本発明の電極線と従来例の65/35黄銅電極線は同等の特性であった。
溶融亜鉛温度を第1の実施例より20℃低い440℃に、浸漬時間を1秒と0.5秒に設定した実施例No5〜No6は、表3から明らかなように、第1の実施例であるNo1〜No4と同様、黄銅芯線と溶融亜鉛が接触する境界面で、熱拡散によって銅―亜鉛合金が生成された熱拡散層A+Bが、平均層厚が電極線外径の約0.4%生成され、かつこの熱拡散層の上層に純亜鉛層が、平均層厚で電極線外径の1.8〜3.2%形成され、冷間伸線加工後の電極線の表面に、ヒビ、クラックが発生していないのが判る。
放電加工特性は、第1の実施例と同特性であり、従来例の65/35黄銅電極線に比べ加工速度が約20%向上し、被加工物の面粗度も18.4μmから16.3μmに向上した。
表3から明らかなように、溶融亜鉛温度を第1の実施例より40℃高い500℃に、浸漬時間を1秒と0.5秒に設定した実施例No7〜No8は、上記第1の実施例と同様、黄銅芯線と溶融亜鉛が接触する境界面で、熱拡散によって銅―亜鉛合金が生成された熱拡散層が、平均層厚が電極線外径の約0.72〜1.08%生成され、かつこの熱拡散層の上層に純亜鉛層が、平均層厚で電極線外径の1.20〜2.84%形成され、冷間伸線加工後の電極線の表面に、ヒビ、クラックが発生していないのが判る。
放電加工特性は、第1の実施例と同特性であり、従来例の65/35黄銅電極線に比べ加工速度が約20%向上し、被加工物の面粗度も18.4μmから16.2μm〜16.3μmに向上した。
同じく、比較例1として製造した電極線について、実施例と同様の評価を行った。評価結果を表3に示す。
表3から明らかなように、比較例No1〜No6はいずれも、溶融めっき槽温度が同一の実施例に比べて、浸漬時間が1.4〜6.0秒と長いことから、熱拡散層である銅―亜鉛合金層が厚く、また最表層の純亜鉛層が薄いことが判る。
特に、実施例No1と比較例No1は、めっき槽温度が同一であるにも拘らず、浸漬時間が1.2秒と1.4秒と異なることにより、純亜鉛層の厚さが臨界的に変化し、ヒビ、クラックの発生の有無に影響していることが判る。
図8は、比較例No1の電極線の横断面の1000倍拡大光学顕微鏡写真であり、図9は、比較例No1の電極線の表面の350倍拡大電子顕微鏡(SEM)写真である。
これらをみると、比較例No1は、展延性の良い純亜鉛層が薄く、冷間伸線加工後に電極線の表面に、ヒビ、クラックが発生しているのがよく判る。
次いで、本発明の実施例と比較例の放電加工特性を比較してみると、加工速度については、従来例の65/35黄銅電極線より約20%向上しており、実施例と比較例は同等であるが、本発明の実施例は、展延性の良い純亜鉛層が熱拡散層よりも厚く形成されて電極線表面にヒビ、クラックが発生していないことから、比較例に比べて、金属粉の発生量は20〜45分から10時間以上に、位置決め精度は1.6μmから0.8μmに、被加工物の面粗度は17.8〜18.1μmから16.2〜16.3μmと向上していることが判る。
さらに、第2の比較例として製造した電極線について、実施例と同様な評価を行った。評価結果を表3に示す。
この表3から明らかなように、比較例No7は、溶融めっき槽温度が500℃であるが、浸漬時間が1.2秒を超える2秒であるため、また比較例No8は、溶融めっき槽温度が520℃を越える高温のため、実施例No2、No5、No7のめっき槽温度が500℃を越えないものに比べて、また浸漬時間が1秒で同じ長さのものに比べて、展延性の良い純亜鉛層が薄く形成されていること、及び硬く、脆い拡散合金層が厚く生成されていることによって、冷間伸線時に電極線表面にヒビ、クラックが発生している。
比較例No7、8の放電加工特性は、電極線表面にヒビ、クラックが発生しているため比較例No1〜No6と同等であり、実施例と比較して金属粉の発生量、位置決め精度、被加工物の面粗度の特性は著しく劣る。
なお、以上の説明では、65/35黄銅電極線を従来例として対比してきたが、電気亜鉛めっき電極線と対比しても、これは電気めっき層と芯線の境界面で亜鉛濃度が急激に変化し、芯線から亜鉛めっき層に向かって徐々に高くなる勾配を有する熱拡散層が存在せず、亜鉛層のみからなるため、放電安定性がよいことから面粗度は良好であるが、亜鉛が低融点のため消耗が激しくすぐに亜鉛が消耗してしまうため、拡散合金層があるものに比べて、本発明の第一の目的である放電加工速度を高めることができない。
また、溶融めっきに比べて電気めっきは、めっき速度が遅く、かつ、一回のめっき工程で厚いめっき層を形成することができないため、めっき工程を複数回実行する必要があり、溶融めっきに比べて製造コストが高くなる。
〔製造方法〕
これら実施例及び比較例の結果から、溶融めっき槽の温度と浸漬時間を調整するによって、熱拡散層である銅―亜鉛合金層と純亜鉛層の層厚を変化させることが可能であり、これらから次の傾向があることが判る。
(1)熱拡散層(銅―亜鉛合金層)
・同一温度であれば、浸漬時間が短いほど熱拡散合金層が薄くなる。
・同一浸漬時間であれば、温度が低いほど熱拡散合金層が薄くなる。
(2)純亜鉛層
・同一温度であれば、浸漬時間が短いほど純亜鉛層が厚くなる。
・同一浸漬時間であれば、温度が低いほど純亜鉛層が厚くなる。
本発明の電極線製造方法は、上記知見に基づいて創作されたもので、溶融めっき槽の温度や浸漬時間を適切に選んで、熱拡散層の厚さ、亜鉛濃度の勾配、最表層の純亜鉛層の厚さを調整することにより、放電加工用電極線を複雑な工程を経ることなく製造することが可能で、かつ製造された電極線は、その表面にヒビ、クラックが存在していないので、放電加工特性に優れている。
以上のように、本発明者らは、同じくこれら実施例及び比較例の結果から、電極線表面にヒビ、クラックを発生させない製造方法とするためには、純亜鉛層を厚くすることと純亜鉛層を熱拡散層よりも厚くすることが有効な因子であることを見出した。
そこで本発明の製造方法は、芯線の溶融亜鉛槽への浸漬時間を所定時間を越えないようにすることにより純亜鉛層を厚くすること、及び、溶融亜鉛槽温度を所定温度を越えないようにして熱拡散層を薄くすることを基本原理とするものである。
〔製造装置〕
図3、図4を参照して本発明の製造装置の実施例について説明する。
図3において図示を省略しているが、亜鉛溶融めっき槽5の後部の芯線引上げ位置に、図4に拡大して示すワイピング管9とジェットブロー装置10とからなる浴面純亜鉛化・ワイピング装置8が配設されている。
この浴面純亜鉛化・ワイピング装置8は、第1に、芯線に付着形成されるめっき層の亜鉛濃度を100%、つまり純亜鉛にするための工夫と、第2に、付着形成された純亜鉛層の肉ダレや偏肉の発生を防止するための工夫が施されている。
第1の工夫は、溶融亜鉛めっき槽の芯線出口の浴面に対向してジェットブロー装置10の噴射部先端を臨ませ、該噴射部から非酸化性ガスを噴射することにより、酸化膜やフラックスとの反応生成物等の不純物層を除去して、浴面を純亜鉛状態に保つことである。
第2の工夫は、浴面純亜鉛化・ワイピング装置8のジェットブロー装置10に、芯線に向かって非酸化性ガスを高速で衝突させ、また、その中空ワイピング管9に、芯線周囲を取り囲んで芯線引上げ方向と逆向きに非酸化性ガスを高速で通過させることである。
ワイピング装置部は、長さ100mm、内径18mmを有する中空ワイピング管9と、600℃に加温されたヒーターと、ワイピング管9上方から窒素ガス、アルゴンガス等の非酸化性ガスを供給するガス供給装置とから構成され、窒素ガス等はワイピング管9を通過中に、A点で示す位置にて低くても亜鉛の融点以上の温度、例えば420℃、まで前記ヒーターにて加温される。
ワイピング管9の下方には、純亜鉛化装置部を構成するジェットブロー装置10が接続されており、このジェットブロー装置10は、長さ15mm、内径9.6mmの管状体の壁部に放射状に複数本のガス供給管11が接続され、このガス供給管11から上記の温度まで加温された非酸化性ガスが供給される。
ガス供給管11から中心方向へ流れる非酸化性ガスは、ワイピング管9内を下方へ流れる流量の多い窒素ガス等に合流し下向きの流れに変更されて、溶融めっき槽5の亜鉛浴面に吹き付けられ、溶融亜鉛の浴面上に形成されている酸化亜鉛やフラックスの膜を風圧によって除去し純亜鉛の面を露出させ、芯線引上げ部位の浴面状態を酸化膜やフラックスとの反応生成物がない純亜鉛状態に保つ。
この装置はこの作用により、電極線に表層に形成される純亜鉛層をピュアにしている。
本実施例の装置では、純亜鉛の面を露出させるため、ジェットブロー装置10出口でガス流量20ml以上を確保している。
ジェットブロー装置10の内部では、上記ガス供給装置によって供給され、ワイピング管9内でヒーターにより加温されて下向きに流れる気流と、上記ガス供給管11にて中心に向かう気流とにより、溶融めっき槽5から引上げられた芯線表面に付着しているめっきが、その厚さが均一に整えられて肉ダレや偏肉を防止する。
なお、ワイピング管9の上方には図示を省略しているが、非酸化性ガス又は空気により急速に冷却する通常の強制冷却部が設けられており、めっき母線はワイピング処理後即座に冷却され、次の巻取工程においてめっき層が損傷することはない。
以上の工程で、最表層にその下層の熱拡散層よりも厚い、ヒビ、クラックが存在しない純亜鉛層が形成されたワイヤ放電加工用電極線の母線を製造することができる。
この母線を冷間伸線加工して製品を製作するのであるが、この冷間伸線加工においては、母線の層構造がそのままの層厚比率で縮径されて、層構造のプロポーションが維持される。
したがって、母線製造時において、層構造の層厚比率について厳密に製造管理しておけば、そのままその比率が製品の品質を決定し、ワイヤ放電加工用電極線表面にヒビ、クラックの存在しない製品を簡単に製造することができる。
そして、以上の実施例及び比較例では、完成品として製造した放電加工用電極線の外径が0.25mmのものが示されているが、上記の理由からいかなる外径のもの、例えば0.1〜0.3mmの外径の電極線においても同様の品質を確保することができる。

Claims (7)

  1. 銅または銅合金からなる芯線の外周面に純粋な亜鉛の溶融めっき層が形成され、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層と前記芯線の間で相互に熱拡散により生成された熱拡散層を有するワイヤ放電加工用電極線において、
    前記熱拡散層は、芯線素材に対してその表面から溶融した亜鉛が熱拡散して形成された銅―亜鉛合金内層と、芯線素材自体の銅が溶融した純粋な亜鉛に熱拡散して形成された銅―亜鉛合金外層とからなり、
    前記純粋な亜鉛の溶融めっき層は前記熱拡散層より厚く形成されて、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層の前記ワイヤ放電加工用電極線の径に対する割合が、少なくとも1.2%とされているとともに、電極線表面にクラックが存在しないことを特徴とするワイヤ放電加工用電極線。
  2. 前記純粋な亜鉛の溶融めっき層が冷間伸線加工時にクラックが発生しない厚みを有する母線から製造され、電極線表面にクラックが存在しないことを特徴とする請求の範囲1に記載されたワイヤ放電加工用電極線。
  3. 前記銅または銅合金が黄銅であることを特徴とする請求の範囲1又は請求の範囲2に記載されたワイヤ放電加工用電極線。
  4. 溶解、鋳造、伸線工程を経た黄銅線を芯線とし、この芯線を表面洗浄して純粋な亜鉛を所定温度に保持しているめっき槽内を、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層の前記ワイヤ放電加工用電極線の径に対する割合が少なくとも1.2%となるように、1.2秒を超えない浸漬時間通過せしめた後冷却することにより、黄銅線と純粋な亜鉛の溶融めっき層の間で相互に熱拡散させて銅−亜鉛合金層を生成させて電極線のめっき母線を製造し、該めっき母線を冷間伸線加工することを特徴とする黄銅からなる芯線の外周面に純粋な亜鉛の溶融めっき層が形成され、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層と前記芯線の間で相互に熱拡散により生成された熱拡散層を有し、前記熱拡散層は、芯線素材に対してその表面から溶融した亜鉛が熱拡散して形成された銅−亜鉛合金内層と、芯線素材自体の銅が溶融した純粋な亜鉛に熱拡散して形成された銅−亜鉛合金外層とからなり、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層は前記熱拡散層より厚く形成されて、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層の前記ワイヤ放電加工用電極線の径に対する割合が、少なくとも1.2%とされているとともに、電極線表面にクラックが存在しないワイヤ放電加工用電極線の製造方法。
  5. 前記所定温度は、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層が前記熱拡散層より厚くなるように、500℃を超えないことを特徴とする請求の範囲4に記載されたワイヤ放電加工用電極線の製造方法。
  6. 純粋な亜鉛の溶融めっき槽の芯線出口の浴面に対して非酸化性ガスを噴射することにより、酸化膜やフラックスとの反応生成物等の不純物層を除去して、浴面を純粋な亜鉛状態に保つことを特徴とする請求の範囲4又は請求の範囲5のいずれかに記載されたワイヤ放電加工用電極線の製造方法。
  7. 予熱処理された銅または銅合金からなる芯線の外周面に純粋な亜鉛の溶融めっき層を形成して、ワイヤ放電加工用電極線の母線を製造する母線製造装置において、
    前記溶融めっき槽の芯線出口の浴面に対向してジェットブロー装置の噴射部先端を臨ませ、該噴射部から非酸化性ガスを噴射させることにより、酸化膜やフラックスとの反応生成物等の不純物層を除去して、浴面を純粋な亜鉛状態に保つことを特徴とする、銅または銅合金からなる芯線の外周面に純粋な亜鉛の溶融めっき層が形成され、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層と前記芯線の間で相互に熱拡散により生成された熱拡散層を有し、前記熱拡散層は、芯線素材に対してその表面から溶融した亜鉛が熱拡散して形成された銅−亜鉛合金内層と、芯線素材自体の銅が溶融した純粋な亜鉛に熱拡散して形成された銅−亜鉛合金外層とからなり、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層は前記熱拡散層より厚く形成されて、前記純粋な亜鉛の溶融めっき層の前記ワイヤ放電加工用電極線の径に対する割合が、少なくとも1.2%とされているとともに、電極線表面にクラックが存在しないワイヤ放電加工用電極線の母線製造装置。
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