JP2001225228A5 - - Google Patents

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JP2001225228A5
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【書類名】 明細書
【発明の名称】 電気的侵食加工用電極およびその製造方法
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属製コア(10)と、少なくとも一種類の他の金属からなるクラッド層(11)とを具える、電気的侵食加工により加工を行うためのワイヤ型またはロッド型の電極であって、
前記クラッド層(11)を、マンガンおよび、Zn、Co、Cu、Ag、Fe、Mo、Ni、Se、Sn、Wを具える金属の組から選択した少なくとも一種類の第二の金属による合金の少なくとも一つの堆積物により形成し、前記堆積物がマンガンを重量で5〜85%の割合で含み、かつ、厚さが1μmよりも厚いことを特徴とする電気的侵食加工用電極。
【請求項2】 前記堆積物がマンガンと亜鉛からなる二元合金であり、マンガンの割合が、重量で5〜85%、好ましくは10〜60%、より好ましくは15〜40%であることを特徴とする、請求項1記載の電気的侵食加工用電極。
【請求項3】 前記堆積物が電気分解による堆積物であることを特徴とする、請求項1または2記載の電気的侵食加工用電極。
【請求項4】 前記堆積物が、Cu、Ag、Sn、Ni、Coを具える金属の組から選択した一種類または複数の他の金属を所定の濃度で含むマンガンおよび亜鉛の合金からなることを特徴とする、請求項2記載の電気的侵食加工用電極。
【請求項5】 前記コア(10)が、銅の中心部と、前記堆積物を支持する真鍮の周辺層による同心構造を有する事を特徴とする、請求項1記載の電気的侵食加工用電極。
【請求項6】 前記コア(10)が、真鍮、銅、銅およびマンガンの合金、または鉄、あるいはこれらの内少なくとも二つの層のいずれかにより構成されることを特徴とする、請求項1記載の電気的侵食加工用電極。
【請求項7】 前記コア(10)が、前記合金化した堆積物を支持する亜鉛層で覆われていることを特徴とする、請求項5または6記載の電気的侵食加工用電極。
【請求項8】 前記クラッド層の厚さが2〜40μm、好ましくは3〜15μmであることを特徴とする、請求項1記載の電気的侵食加工用電極。
【請求項9】 請求項1記載のワイヤまたはロッド型電極の製造方法であって、
金属コア(10)形成のためのワイヤ(18)またはロッドの処理を、マンガンと、Zn、Co、Cu、Ag、Fe、Mo、Ni、Se、Sn、Wを具える組より選択した少なくとも一種類の第二の金属を同時に堆積させるために配置した電解槽(32)で行うことを特徴とする、電気的侵食加工用電極の製造方法。
【請求項10】 前記電解槽(32)を、マンガンと亜鉛を、マンガンの割合が重量で5〜85%として同時に堆積させるために配置し、かつ、処理時間を、電気分解による堆積層が厚さ1μmより大きくなるように予め設定することを特徴とする、請求項8記載の電気的侵食加工用電極の製造方法
【請求項11】 前記電解槽(32)が、
濃度20〜120g/l、望ましくは30g/lの硫化マンガンの一水化物
濃度15〜80g/l、望ましくは65g/lの硫化亜鉛の七水化物
濃度60〜300g/l、望ましくは170g/lのクエン酸ナトリウムの二水化物
の各成分を含む水溶液を収容することを特徴とする、請求項10記載の電気的侵食加工用電極の製造方法。
【請求項12】 電気分解による堆積層形成に先立つ前処理工程(15)において、電極表面の脱脂を溶剤(20)によって行い、かつ、酸化物除去のための酸食処理(21)を行うことを特徴とする、請求項9〜11のいずれか1項記載の電気的侵食加工用電極の製造方法。
【請求項13】 電気分解による堆積層形成後、希釈した酸溶液(44)、クロム処理またはリン酸処理による不動態化(49)、乾燥、熱処理、表面処理および/または補助周辺層の堆積からなる後処理(17)を行うことを特徴とする、請求項9〜12のいずれか1項記載の電気的侵食加工用電極の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属製コアと、少なくとも一種類の他の金属からなるクラッド層とを具える、電気的侵食加工により加工を行うためのワイヤ型またはロッド型の電極に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
こうした電極は、特開平1-78724号公報に記載されている。この電極は真鍮製コアと、厚さ約1μmの純マンガンクラッド層とを具える。この電極により精密仕上げ加工を行うことができる。この電極で粗加工を行うと、クラッド層はワイヤ表面から完全に除去されてしまい、そのため加工の改善をもたらさない。より厚いマンガン層を得ようと考えた場合、ワイヤをかなり剛性および強度の高いものとしなければならず、ワイヤ製造時に問題を生じさせ、ワイヤの良好な引き抜き加工を妨げることとなる。さらに、電気分解により堆積させたマンガン層は準安定相状態にあるため、時間の経過と共に表面状態は劣化し、コアの接着性も低下する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこれらの欠点を克服することを目的とし、本発明は、クラッド層をマンガンおよび、Zn、Co、Cu、Ag、Fe、Mo、Ni、Se、Sn、Wを具える金属の組から選択した少なくとも一種類の第二の金属による合金の少なくとも一つの堆積物により形成し、前記堆積物がマンガンを重量で5〜85%の割合で含み、かつ、厚さが1μmよりも厚いことを特徴とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
この第二の金属、特に亜鉛は、ワイヤを、その外層をより簡単に変形可能とする。それゆえ、外層の厚さが数十μmのワイヤを引き抜き加工により製造することが可能となる。この層は粗加工においても除去されず、粗加工の品質を大きく向上させることを可能にする。得られた合金は、形成した層の安定化を可能とし、それによって時間経過に伴うマンガンによる劣化をもはや生じさせない。本発明はまた、合金中のマンガンの存在により、被覆をさせたワイヤの引っ張り強度の増加を可能とする。したがって、得られた電極用ワイヤは、加工中により大きく引っ張ることができ、それによって、より良い形状を有する切断加工品と、加工中のワイヤの破損の遅れがもたらされる。
【0005】
本発明の好適な実施形態によれば、堆積物はマンガンと亜鉛からなる二元合金であり、マンガンの割合が、重量で5〜85%、好ましくは10〜60%、より好ましくは15〜40%である。
【0006】
このクラッド合金は、特に加工性能の好ましい特性、変形のし易さ、引っ張り抵抗および経時的安定性をもたらす。
【0007】
好ましくは、コアは、銅の中心部と、前記堆積物を支持する真鍮の周辺層による同心構造を有する。
【0008】
この特性は、非常に高い加工速度を可能とする。
【0009】
本発明はまた、電気的侵食加工用電極の製造方法に関するものであり、金属コア形成のためのワイヤまたはロッドの処理を、マンガンと、Zn、Co、Cu、Ag、Fe、Mo、Ni、Se、Sn、Wを具える組から選択した少なくとも一種類の第二の金属を同時に堆積させるために配置した電解槽で行うことを特徴とする。この電気分解による同時堆積は、適切なコストによる高速かつ精密な生産を可能とする。
【0010】
好ましくは、前記電解槽を、マンガンと亜鉛を、マンガンの割合が重量で5〜85%として同時に堆積させるために配置し、かつ、処理時間を、電気分解による堆積層が厚さ1μmより大きくなるように予め設定する。
【0011】
好ましくは、前記電解槽に、以下の成分を含む水溶液を収容する。
濃度20〜120g/l、望ましくは30g/lの硫化マンガンの一水化物
濃度15〜80g/l、望ましくは65g/lの硫化亜鉛の七水化物
濃度60〜300g/l、望ましくは170g/lのクエン酸ナトリウムの二水化物
【0012】
こうした特性により、適切な価格を維持しつつも、非常に規則的かつ安定したクラッド層が得られる。
【0013】
【発明の実施の形態】
従属請求項に示された特徴および、本発明を模式的に示す図面の助けにより、また一実施形態の例によって、より詳細に後述される本発明の記載から、他の利点が明らかになろう。
【0014】
本発明の一実施形態に係る電極は、図1に示すように、金属部品を放電加工または電解加工で切断するためのワイヤの型をなす。このワイヤは、金属製のコア10および、電気分解により堆積させた合金のクラッド層11を具える。
【0015】
金属製のコアは、例えば真鍮、銅、銅とマグネシウムの合金、または鉄によって形成することができる。さらに、このコアはクラッド層11を支持する亜鉛層で覆うことが可能である。したがって、亜鉛層は通常数μm、例えば5μmの厚さとなる。コア10はまた、銅製の中心部とその周囲の真鍮層からなる同心構造とすることもできる。このコアは銅製の中心部を亜鉛層で被覆し、熱拡散を得るために熱処理を行うことによって得られ、それによって銅製の中心部と真鍮の表面層が得られることとなる。
【0016】
クラッド層11はマンガンと亜鉛の二元合金の電気分解による堆積から得られ、この合金は、同時に行われる電気分解における同時堆積(co-deposition)によって得られる。得られた合金中でのマンガンの割合は、重量で5〜85%の間、好ましくは10〜60%、より好ましくは15〜40%である。亜鉛はまた、後述するように他の金属に部分的、あるいは完全に置き換えることも可能である。
【0017】
この二元合金においては、マンガンの割合は重量でほぼ20%であることが望ましい。これは、電気分解による堆積の容易さ、変形し易いワイヤを得るため、および電気的侵食加工の優れた性能を得るためである。
【0018】
ZnMn合金のクラッド層11は、電気加工の加工速度増加を得ることを許容し、通常、コア10に対して14%〜32%の間にある。この加工性能は、勿論、このコアの構成にも依存する。
【0019】
図3は、鋼材の粗い切断速度の測定値を比較して示すものである。
【0020】
この速度は、直径0.25mmのCuZn37の標準的な真鍮ワイヤに対して標準化したものであり、このガラスワイヤでの速度を1.00に固定している。
【0021】
図3の第1欄は実験の番号であり、第2欄はこの実験に使用したワイヤまたはワイヤのコアを示す。
・実験1は真鍮CuZn37
・実験2は厚さ5μmのZn層を有する銅、
・実験3は厚さ5μmのZn層を有する真鍮CuZn37
・実験4は銅と亜鉛層の熱拡散により得られたCuZn50真鍮の表面層を有する銅
である。
【0022】
実験4のCu(CuZn50)は、本発明以前の、利用可能な最良のものである点に留意されたい。この厚さ5μmの純亜鉛の堆積層は、その後にコアの直径0.25mmへの引き抜き加工を行っているが、亜鉛−マンガンの二元合金の堆積層に対して、粗い切断において何ら速度の増加を与えるものではない。
【0023】
図3の第3欄と第4欄は、それぞれ、本発明によるクラッド層を有していない場合と、厚さ5μmのZnMn30のクラッド層を有する場合の標準化された粗い切断速度を示したものである。
【0024】
全てのワイヤは、引き抜き加工により、標準的な直径0.25mmに形成されている。
【0025】
最終行は本発明によるZnMn30のクラッド層により得られる速度増加量を示すものである。ここでZnMn30の濃度は直接的に選択されているが、加工性能の観点からは必ずしも最適な濃度が示されている訳ではない。
【0026】
これら比較測定値は、ZnMn二元合金のクラッド層で被覆した4番目のワイヤのコアにより最高の性能が得られることを示している。
【0027】
CuZn37の真鍮製のワイヤコアにより、最高の速度増加の値32%が得られている。
【0028】
特開平1-78724号公報に記載された、最大厚さ1μmのMn層で被覆されたコアを具えるワイヤに対し、本発明による、亜鉛とマンガンの同時堆積により得られるクラッド層によって、外層がより簡単に成型できるワイヤを得ることが可能である。したがって本ワイヤは、ZnMnの外層が1μmよりも厚い数十μm、例えば2〜40μm、好ましくは3〜15μmのものを製造かつ引き抜き加工ができる。さらに、クラッド層11の合金中の亜鉛とマンガンの濃度は、所望の特性の関数として変化させることができる。
【0029】
こうした利点は、上述した日本国特許出願公開公報に記載されたワイヤでは不可能である。なぜならば、マンガンは非常に硬い材料だからである。1μmよりも厚い層の堆積は、変形中、特に引き抜き加工中に問題を生じさせる。
【0030】
さらに、前記日本国特許出願公開公報に記載されたような、ワイヤのコアの外側に純マンガンを堆積させたものは、主として純安定相状態の金属である。したがって、その性質は時間と共に変化し、表面状態は劣化してコアとの接着性も低下する。こうした欠点は本発明により排除される。なぜならば、マンガンと共に同時に堆積された亜鉛の存在が、形成された合金の安定化を許容し、時間の経過に伴う純マンガンによって影響を受ける劣化にさらされることがなくなるからである。
【0031】
本発明は主としてクラッド層11の厚さが1μmより厚いワイヤによる加工、特に粗加工での使用に適したものである。これに対して、上述した日本国特許出願公開公報のマンガンクラッド層は、マンガン層の厚さが約1μmの細密な層のワイヤを用いた、仕上げ加工を行うために開発されたものである。したがって、この層は細密な加工には耐えうるが、粗加工においては、この層は破壊かつ除去されてしまう。それゆえ、上述した日本国特許出願公開公報のおけるワイヤのマンガン層は粗加工には使用できない。
【0032】
従来のワイヤと比較して、ZnMn合金クラッド層は、ワイヤの引っ張り応力をかなり増加させることが可能である。したがって、本発明におるワイヤは、加工中により強く伸ばすことができ、また、それによって切断した加工品のより良い幾何学形状を得ることができ、さらに加工中のワイヤの破損を遅らせることができる。
【0033】
標準的な直径0.25mmのCuZn37真鍮ワイヤと比較した標準化した加工速度、すなわちCuZn37真鍮ワイヤのそれを1.00とした場合の速度は、異なるマンガン濃度を具えるZnMnクラッド層11を有するCuZn37真鍮製のコア10からなるワイヤに対して実験的に決定される。その結果を図4に示し、ここでは標準化した粗加工速度Vを、重量%によるマンガン濃度の関数として示している。マンガン量は最大20%、最適な領域が15%〜40%、非常に好ましい領域が10%〜60%であり、有利な領域は5%〜85%であることに留意されたい。
【0034】
また、マンガンを含まないクラッド層またはマンガン含有量の非常に高いクラッド層は、より遅い加工速度をもたらし、最適なマンガン含有量は約20%であることにも留意されたい。こうした結果は驚くべきかつ予見できなかったことであるが、否定し難い技術的進歩を許容するものである。
【0035】
本発明の変形例によれば、Cu、Ag、Sn、Ni、Coを具える組から選択した一種類または複数の金属を、実験的に求めた、予め定めた濃度を有するZnMn合金のベースに追加することが可能である。
【0036】
他の変形例によれば、クラッド層11の亜鉛を、Co、Cu、Ag、Fe、Mo、Se、Sn、Wを具える組から選択した一種類または複数の代替金属に置き換えることも可能である。
【0037】
本発明によるワイヤの製造工程を、図2を参照して説明する。本工程は、コア10を形成するワイヤの前処理部15、ZnMn合金のクラッド層11の堆積部16および後処理部17を含む。
【0038】
コア10を構成するワイヤ18は、供給用スプール19から繰り出されて前処理部15に到達する。前処理はZnMn合金を電気分解による堆積を行う前にコア10の表面を用意するために必要なものである。第一の前処理は、脱脂セル20において、アセトン、メチレンクロライド他の溶剤でワイヤ表面を脱脂する工程からなる。この脱脂に続いて、酸浴槽21で酸化物を除去するために酸食処理(acid attack)が行われる。酸食処理は、銅または銅合金の場合には、適切な温度の硫酸溶液を用いることが望ましい。
【0039】
酸溶液の濃度は、重量で5〜30%、望ましくは20%である。この酸化物除去工程を加速する必要がある場合には、酸浴槽を80℃に加熱する。酸溶液の濃度と温度の関数として、酸食時間を1〜10分の間で変化させることができる。前処理は、水供給部23、撹拌用空気導管24および水排出部25を具える前処理槽22中ですすぎ洗いすることにより完了する。
【0040】
ZnMn合金の堆積は電気分解装置30での電気分解による同時堆積によって発生し、装置30は、例えば直径100mmのパイレックスガラス製で電解溶液または電解液32を入れた電解槽31を具える。電解槽31中でワイヤを支持するプーリ33はテフロン製であることが望ましい。
【0041】
陽極34は電解槽31内に吊り下げられ、この陽極は亜鉛またはステンレス鋼、あるいは白金クラッド層を有するチタンまたはニオブからなる。例えば、陽極は直径20mmの巻き線を形成するように巻いた純亜鉛ワイヤから成り、その内部を陰極を構成するワイヤ18を通過させる。調整可能なDC発電機をワイヤおよび陽極に接続する。
【0042】
電流計36と電圧計37により、電流と電圧を測定することができる。本設備は、溶液のpHを測定するための装置38および加熱要素40の温度のための制御要素39をさらに具える。
【0043】
電解液供給部41は電解槽31内の溶液を更新させることができ、電解槽31は電解液のための排出管42を具える。電解槽内の撹拌は、ニッケル−銅合金製のノズル43により窒素または空気を放出することによって確保される。
【0044】
電解液32は、以下の配合による水溶液である。
・濃度20〜120g/l、望ましくは30g/lの硫化マンガンの一水化物
・濃度15〜80g/l、望ましくは65g/lの硫化亜鉛の七水化物
・濃度60〜300g/l、望ましくは170g/lのクエン酸ナトリウムの二水化物
【0045】
電解液の温度は20〜60℃の間に保たれる。高温は電解液の安定を増加させ、電解液の更新の流れを減少させることを可能とする。
【0046】
与えられた条件の下で、電解槽の温度が上昇したとき、堆積物のマンガン濃度は減少する。それゆえ、この場合、所望の成分を得るためには、他の条件を再調整する必要がある。
【0047】
溶液のpHは3.5〜6の間に固定することができる。これは硫酸溶液および水酸化ナトリウム溶液を調整することにより可能である。5.4より大きいpHは電解液の安定性を促進する。溶液のpHが減少すると、与えられた条件下での堆積物中のMn濃度が減少する。
【0048】
電流密度は2〜50A/dm2の間で変化させることができ、例えば10A/dm2に固定することができる。堆積物中のMn濃度は、使用する電流密度と共に上昇する。高い電流の場合。堆積物生成に対する電流効率は減少する。所定の厚さを得るために、もし電流密度を上昇させるとすれば、他のパラメータ、例えば堆積時間を調整する必要がある。
【0049】
堆積のための電流密度、溶液のpH、溶液の温度、溶液を更新するための流速の変化は、所望の合金成分の関数として固定される。
【0050】
電解槽中を通るワイヤの通過速度は、堆積時間と堆積物の最終的な厚さを規定する。堆積時間はまた、溶液を更新する速度の関数としても最適化することができる。この速度を増加させることにより、電流効率は増加するが、堆積物中のMn濃度は減少する。
【0051】
その後、後処理工程を経てワイヤが得られる。後処理工程は、水浴槽でのすすぎ洗いに始まる一連の操作を具えることができ、この操作は水槽45で行われる。水槽45は、入口管46、出口管47および撹拌用空気導入管48を有する。ここで、類似の槽に入れた濃度0.25〜0.5%の薄い硝酸溶液による酸処理を行うことも可能である。その後、不動態化、熱処理、ワイヤ引き抜きおよび表面処理などの一連の後処理部49を続けることができる。
【0052】
ワイヤのクラッド層表面の不動態化は、異なる媒体における摩耗または腐食に対する抵抗を強化することを考慮した場合、行うことが望ましい。本件において使用可能な不動態化処理工程は、クロム処理およびリン酸処理である。
【0053】
クロム処理の場合、例えば3g/lのクロム酸と5g/lの水酸化ナトリウムを具える水溶液を用いる経済的かつ効率的な方法となる。クラッド層の表面に、ベース材料の酸化物ならびに6価および3価のクロムを含む非常に薄い保護薄膜を形成するためには、ワイヤを5〜30秒浸せば十分である。この処理の後には、最終的な巻き取りの前に加熱空気による乾燥を行う。この場合、ワイヤは引き抜き加工によって直径を減少させなければならず、この引き抜きはクロム化処理の前に行わなければならない。
【0054】
リン酸処理は、ワイヤを腐食および低温変形の双方に対して保護するのに有利である。したがって、この工程はワイヤ引き抜き加工前に行うことが可能である。リン酸処理は、例えばワイヤをリン酸溶液に浸漬することによって行うことができる。この処理は、クラッド層のベース材料のリン酸化物の薄い層をクラッド層表面に形成する。これら化合物はクラッド層表面におけるクラッド層のベース材料よりも不活性の傾向にあり、その板状、繊維状または他の形状により、ワイヤ引き抜き加工を容易にするための潤滑をもたらす。
【0055】
可能な熱処理は不動態化処理後に行うことが望ましく、この目的のための装置は、熱処理の温度レベルが可能なオーヴンからなる。この装置はまた、ある一定の間隔で離間した二つの接点の形を取ることができ、ジュール効果によってワイヤを加熱するための電流を流すことが可能である。熱処理は、ワイヤ表面に堆積した金属の拡散を可能とする。
【0056】
ワイヤ18の直径はワイヤ引き抜き加工装置で減少される。この装置は、ワイヤの最終的な直径を得るための一つまたは複数のダイを具える。
【0057】
表面処理は、ワイヤの引き抜き加工の前もしくは後に行われ、この処理工程は、例えば酸素の豊富な雰囲気を含む加熱装置および/または表面の陽極酸化処理によって行われる表面酸化処理を具えることができる。
【0058】
陽極酸化処理によって、酸化物層をワイヤの堆積物層上に形成することができる。陽極酸化処理工程は、酸化するワイヤを陽極として用いる電気分解装置で行うことができる。この場合、電解液は、濃度50〜100g/l、望ましくは75g/lのシュウ酸溶液からなる。
【0059】
陰極としてはアルミニウム、ステンレス鋼またはグラファイトが可能である。この工程は適切な温度で行われる。
【0060】
酸化層の厚さは陽極と陰極との間に印加した電圧に依存する。そのため、後者は堆積物の表面状態に依存する。もし後者がクロム化、リン酸化、あるいは加熱または化学処理による予備的な酸化処理によって不動態化が行われていれば、所望の厚さを得るのに必要な電圧は、処理していない堆積物の場合よりも高くなる。なぜならば、予備的な処理に起因する表面の抵抗が上昇するからである。こうした形式の陽極酸化のためには、5〜60Vの電圧を使用することができる。処理を行っていないワイヤの場合、この電圧は0.1〜3Vとなる。
【0061】
ワイヤの通過速度の関数として、異なる陽極酸化電流および陽極酸化物の異なる特性が得られる。この速度は1〜30秒の間で陽極酸化処理を行うために調整することができる。陽極酸化処理時間としては、2〜5秒のオーダーを用いることが望ましい。こうした条件で発生する平均電流は10〜200mA/cm2である。得られる陽極酸化物の厚さは、通常0.1〜2μmである。
【0062】
異なる後処理を行った後、ワイヤは、脱脂後、収容スプール51に巻き取られる。スプール51は、制御駆動装置52によって速度が制御される。好適な実施形態においては、ZnMn合金クラッド層11の最終的な厚さは通常8μmである。
【0063】
勿論、上述した実施形態は本質的に限定されるものではなく、請求項1で定義される範囲内での全ての望ましい変形を行うことが可能である。特に、電極はワイヤ以外の形状、例えば浸漬による電気的侵食加工のための設備での使用に適合させたロッドの形を取ることができる。
【0064】
電極のコア10は上述した以外の成分、例えば鉄または鉄合金を有することができる。この電極のコア10は、それ自体が複数の表面層、例えばFe、Cu、Znからなる層によって形成することが可能である。
【0065】
クラッド層11はまた、亜鉛−マンガンのみ、または他の成分からなる二種類またはそれ以上の堆積物を有することも可能である。これら堆積物は中間層により分離されていても、また直接接触していても良い。クラッド層11にはさらに、例えば亜鉛またはスズの外側周辺層を設けることもできる。
【0066】
製造設備の特性は、他の形状または他のクラッド層成分を有する電極に適合させることが可能である。したがって、電解液の成分は製造するクラッド層11に対して変更することができる、この場合のクラッド層は、マンガンおよび、Co、Cu、Ag、Fe、Mo、Ni、Se、Sn、Wを具える金属の組から選択した他の第二の金属を具える。
【0067】
電解液の成分もまた、Cu、Ag、Sn、Ni、Coを具える金属の組から選択した一種類または複数の金属を予め定めた濃度で含む亜鉛およびマンガン被覆を行うために選択することが可能である。
【0068】
電解槽の物理化学的な条件は、合金層のより速い、あるいはより遅い形成に適合させることが可能である。
【0069】
クラッド層11の製造工程もまた、異なる形式を取ることができ、例えば、個別の電解槽で亜鉛およびマンガンの表面層を連続して形成し、その後電極の熱処理を行い、それによって、熱拡散によるZnMn層を形成しても良い。
【0070】
電気分解によるクラッド層の堆積に代えて、他の形式の同時、あるいは連続型の堆積、例えば適切な熱処理を伴う同時または連続した気相による堆積もまた考えられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電極の断面図である。
【図2】 本電極の製造工程を実現する装置を示す図である。
【図3】 粗加工のための標準化した加工速度の比較を示す表である。
【図4】 粗加工のための標準化した加工の速度を、ZnMn合金中のマンガンの重量%に対して示す図である。
【符号の説明】
10 コア
11 クラッド層
15 前処理部
16 堆積部
17 後処理部
18 ワイヤ
19 供給用スプール
20 脱脂セル
21 酸浴槽
22 前処理槽
23 水供給部
24 撹拌用空気導管
25 水排出部
30 電気分解装置
31 電解槽
32 電解液
33 プーリ
34 陽極
36 電流計
37 電圧計
38 pH測定装置
39 制御要素
40 加熱装置
41 電解液供給部
42 排出管
43 ノズル
45 水槽
46 入口管
47 出口管
48 撹拌用空気導入管
49 後処理部
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