JP5041398B2 - 防護衣料 - Google Patents

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Description

本発明は、鋭利な突起などによる突き刺しに対して人体などを保護するための防護衣料で、防護用手袋などに好適である防護衣料に関する。
鋭利な突起による突き刺しに対して人体や物品を防護する防護用品として、金属材料の加工品が古くから用いられている。近年、アイスピック、目打ち、カスタムナイフなど、鋭利な突起物や先突の刃物を用いる作業の際に、危険から人体などを保護する防護衣料として、軽量で作業性の良い点から、合成繊維を用いたものが開発されている。
アラミド繊維を用いた防護衣料は、十分な防御性を有し、金属繊維製品に比べて作業性も良好であるため、広範に用いられているが、織物面に対して垂直に鋭い刃物で刺したときには、防刃性効果が小さい。その欠点を改良しうる素材として例えば、特開2005−144886号公報には、アラミド系繊維で編まれた編物地の生地面を合わせ、複数枚重ねた素材が提案されている(特許文献1)。
一方、極細繊維よりなる布帛(特許文献2等)は、メガネ拭き布や皮膚洗浄用布として利用されており、それを手袋の一部に応用したメガネ拭き付き手袋(特許文献3)、手の平側に極細繊維糸から編成された素材を用いた清浄用手袋(特許文献4)なども提案されている。
特開2005−144886号公報 特公昭61−58573号公報 特開平9−322875号公報 実開昭63−71860号公報
しかしながら、特許文献1に開示された素材は、突き刺し抵抗性を付与するために編物地を重ねているため、ごわごわ感が有り作業性に劣る欠点がある。特許文献3に開示された手袋は金属繊維製であるため、耐切創性は有るが柔軟性に欠け、素手感覚に近いハンドリング性が要求される用途には不向きである。一方、特許文献4に開示された手袋は、従来の作業用手袋やワイピングクロスでは拭き取ることのできなかった油膜でも容易に拭き取ることができる点で優れているが、耐切創性に欠ける。
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑みてなされたもので、突き刺し抵抗性かつ耐切創性に優れ、しかも、ごわごわ感がなく柔軟性が有り、作業性に優れた、防護衣料を提供することを目的とする。
本発明者等は、かかる課題を解決するため鋭意検討した。そして、単繊維繊度が0.001デシテックス以上1.5デシテックス以下の極細繊維からなる繊維織編物で、該織編物の糸内のみ、または糸−糸間および糸内の両方で極細繊維が絡みあっている織編物は、これを多層に重ねて用いれば、鋭利な先端を有する物の侵入を防止することが可能になり、しかも極細繊維が有する柔軟性を損なうことがないので、ごわごわ感がなく突き刺し抵抗性に優れる防護衣料となり得ることを見いだし、本発明に到達した。また、かかる繊維織編物は、高圧流体処理によって得ることができ、該処理により織編物表面の繊維がほぐれ、繊維が絡まり合い、糸条間の距離が狭まって来ることに着目した。
すなわち、本発明は、以下の通りである。
(1)単繊維繊度が0.001デシテックス以上1.5デシテックス以下の極細繊維で構成された繊維織編物であって、該織編物の糸内のみ、または糸−糸間および糸内の両方で該極細繊維が絡まりあっている繊維織編物と、10質量%以上が高強度繊維で構成されている布帛と、を含む多層積層体からなり、前記繊維織編物が2〜20枚積層されていることを特徴とする突き刺し抵抗性に優れた防護衣料。
(2)高圧流体処理が施された繊維織編物と、10質量%以上が高強度繊維で構成されている布帛と、を含む多層積層体からなり、該繊維織編物を構成する極細繊維の単繊維繊度が、0.001デシテックス以上1.5デシテックス以下であり、前記繊維織編物が2〜20枚積層されていることを特徴とする突き刺し抵抗性に優れた防護衣料。
(3)極細繊維が、海島構造または剥離構造を有する複合繊維から得られたものである前記(1)または(2)に記載の防護衣料。
(4)極細繊維が、ポリエステル系繊維または/およびポリアミド系繊維である、前記(1)〜(3)のいずれかに記載の防護衣料。
(5)高強度繊維が、JIS L 1013に基づいて測定される引張強度が10cN/デシテックス以上である前記(1)〜(4)のいずれかに記載の防護衣料。
(6)高強度繊維が、高圧流体処理することによって布帛表面の繊維がマイクロフィラメント化して絡み合う繊維である前記(1)〜(5)のいずれかに記載の防護衣料。
(7)高強度繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である前記(1)〜(6)のいずれかに記載の防護衣料。
(8)さらに、前記の繊維織編物および布帛とは異なる、第3の布帛が積層されてなる前記(1)〜(7)のいずれかに記載の防護衣料。

本発明によれば、突き刺し抵抗性かつ耐切創性に優れ、しかも、ごわごわ感がなく、作業性に優れた、防護衣料を提供することができる。本発明の防護衣料を着用することにより、鋭利な突起物や先突の刃物などから身体を保護することが可能になる。
また、織編物に高圧流体処理を施すことにより、極細繊維の絡まり合いによって突き刺し抵抗性が向上すると共に、ごわごわ感のない防護衣料を提供することができる。
また、高圧流体処理することによって布帛表面の繊維がマイクロフィラメント化して絡まり合う高強度繊維で布帛を構成することにより、布帛の突き刺し抵抗性がより一層向上すると共に、耐熱性、耐切創性にも優れた防護衣料を提供することができる。
本発明の防護衣料は、単繊維繊度が0.001デシテックス以上1.5デシテックス以下の極細繊維で構成された繊維織編物であって、該織編物の糸内のみ、または糸−糸間および糸内の両方で極細繊維が絡まりあっている繊維織編物と、少なくとも一部(10質量%以上)または全部が高強度繊維で構成されている布帛(織編物)と、を含む多層積層体からなる。
織編物は従来公知の方法によって作製したものであれば良く、特に限定されない。織物は平織、綾織、朱子織等のいずれであっても良い。編物はよこ編み、たて編み等のいずれであっても良い。なかでも、平織織物が最も好ましく、繊維が拘束される箇所が最も多いからである。ここで、織編物が「糸内で絡まり合っている」とは、糸内の繊維が乱れ絡まり合い(交絡)、糸の長さ方向で交絡の距離が狭まっている状態を言い、「糸−糸間で絡まり合っている」とは、隣接する糸の繊維同士、例えば、織物であれば隣接する経糸または緯糸の繊維の一部が絡まり合っている状態を言う。更に詳細に言えば、糸表面にある繊維の一部が急に糸内部に潜り込む、または糸表面にある繊維の一部が隣接する糸表面の繊維の一部と交絡する状態を言う。この状態のものが、糸の長さ方向または織編物で、断続(点在)または連続(全面)して存在する。
上記の極細繊維で構成された繊維織編物としては、長繊維織編物または短繊維織編物が用いられる。該繊維織編物は、例えば、繊維織編物に高圧流体処理を施し繊維間を微細に絡ませる、または糸にタスラン加工やインターレース加工などの高圧流体処理を施し繊維間を微細に絡ませた後に繊維織編物にすることによって、製造することができる。高圧流体処理の方法は特に限定されず、空気流体処理、液流体処理、または織編物への流体処理、糸での流体処理のいずれであっても良いが、繊維を絡まり合わせる方法として最も効果的な方法は、織編物へのウォータージェットパンチによる高圧水流処理である。
高圧水流処理の最大処理水圧は5〜30MPaが好ましく、より好ましくは5〜25MPaである。ここでいう最大処理水圧とは、高圧水流処理装置に設置された複数本のノズル中、最も高い水圧を意味するものである。最大処理水圧が5MPa未満の場合、織編物の表面の糸が糸内で充分絡み合わないのに加え、糸間の絡合も充分でないため、好ましくない。一方、最大処理水圧が30MPaを超える場合は、糸の絡合化が進みフィブリル化した繊維の脱落が増えるのに加えて、糸の強度が低下するため、好ましくない。最大処理水圧は、前記範囲の中で繊維の強度やその時の繊維束の太さなどによって、適宜決定すれば良い。
高圧水流処理は、例えば孔径が0.05〜2.0mmの噴射孔を、孔間隔0.3〜10mmで一列あるいは複数列に多数配列した装置であって、噴射圧力を5〜30MPaとして高圧水流を噴射させるウォータージェットパンチ装置を用いて、従来の方法に従って行うことができる。噴射孔と布帛との距離は、1cm〜10cm程度とするのが良い。
本発明では、織編物の単繊維繊度が0.001デシテックス以上、1.5デシテックス以下であることが必要である。普通の繊維織編物に、絡まり合わせるために高圧水流処理を施すと、繊維自身をフィブリル化させてしまうとか切断を伴ったりするため、殆んど絡まない、硬い、外観が悪い、タッチが悪いなどの問題がある。これに対し、0.001〜1.5デシテックスの極細繊維を用いれば、高圧流体処理の作用で長繊維かつ織編物状態であっても繊維が絡合し、十分に緻密な織編物を提供することができる。単繊維繊度は、より好ましくは0.001デシテックス以上1.0デシテックス以下、さらに好ましくは0.005デシテックス以上0.9デシテックス以下であり、特に好ましくは0.01デシテックス以上0.8デシテックス以下である。0.001デシテックス未満の場合は、細すぎるため、単繊維が爪や指先に引っかかり、単糸切れなどが発生し、耐久性に劣るものになる。
織編物を構成する糸としては、海島構造または剥離構造を有する複合繊維から作製した糸を用いることが好ましい。
極細繊維を構成する素材としては、例えば、ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維、ポリアクリロニトリル系繊維、ポリウレタン系繊維、ポリビニルアルコール系繊維、ポリ塩化ビニル系繊維等が用いられる。極細化可能な繊維であればいかなる繊維でも良いが、中でも極細繊維とすることができ、布帛にした時に洗濯前後で寸法変化が小さい点でポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維が好ましく用いられる。ポリエステル系繊維、ポリアミド系繊維はそれぞれ単独で用いても良いが、両方を組み合わせて使用しても良い。ポリエステル系繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びこれらの共重合体などからなる繊維が挙げられる。ポリアミド系繊維としては、例えば、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン66及びこれらの共重合体などからなる繊維が挙げられる。
上記の繊維織編物は、目付が50〜200g/mのものが好ましく、該織編物を構成する糸は40〜400デシテックスが好ましい。糸が太すぎる場合は、織編物ひいては防護衣料の柔軟性に欠けることになる。
また、本発明で用いる、10質量%以上が高強度繊維で構成されている布帛は、織物や編物のいずれでも良い。少なくとも一部、例えば、緯糸又は経糸、又は経糸もしくは緯糸を構成する糸の一部に、高強度繊維が用いられており、該高強度繊維の布帛に占める割合が10質量%以上のものであれば良い。一部が高強度繊維で構成されている布帛を作製する場合は、例えば、混紡糸、合撚糸、カバリング糸、エアー交絡糸などを用いることができ、交織、交編などで布帛にすることができる。布帛全部が高強度繊維で構成されていても良い。高強度繊維は長繊維、短繊維のいずれでも良い。布帛を構成する繊維の単繊維繊度は、0.1〜10デシテックス、好ましくは0.4〜5デシテックスである。0.1デシテックス未満の場合は、製糸効率が低くコストアップとなり、10デシテックスを超える場合は、剛性が高くなり、柔軟性の求められる布帛には向かなくなる。上記の高強度繊維としては、JIS L 1013に基づいて測定される引張強度が10cN/デシテックス以上の繊維が好ましく、15cN/デシテックス以上の繊維がより好ましい。
少なくとも一部または全部が高強度繊維で構成されてなる布帛(以下、「高強度繊維布帛」)は、製織、製編した状態のものを多層積層体に用いることができる。また、製織、製編した高強度繊維布帛に、上記の繊維織編物と同様の方法にて高圧流体処理を施し、糸をマイクロフィラメント化したものを、多層積層体に用いることもできる。該高強度繊維布帛を構成する繊維は、高圧流体処理によってマイクロフィラメント化可能な高強度繊維であることが好ましいが、中でも、突き刺し抵抗性に加えて布帛に耐切創性も付与できる点より、高強度かつ高弾性率の高機能繊維が好ましく用いられる。
高機能繊維としては、上記の高引張特性と、JIS L 1013に基づいて測定される引張り弾性率が400cN/デシテックス以上という高弾性率とを満足する繊維が好ましく使用される。引張強度が10cN/デシテックス以上、かつ、引張り弾性率が400cN/デシテックス以上の高機能繊維を用いることにより、布帛に高度の耐摩耗性、耐鉤裂き性を付与することができるからである。
かかる高機能繊維を構成する素材としては、アラミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維(例えば株式会社クラレ製、商品名「ベクトラン」)、ポリパラフェニレンベンゾビスオキサゾール繊維(例えば東洋紡株式会社製、商品名「ザイロン」)、超高分子量ポリエチレン繊維(例えば東洋紡株式会社製、商品名「ダイニーマ」)、LCP(液晶ポリマー)繊維などが挙げられる。本発明の布帛は、上記高機能繊維の1種類からなっていても良いし、任意の2種以上からなっていても良い。
これらの繊維のなかでも、耐切創性に優れている点から、アラミド繊維が好ましい。
前記アラミド繊維としては、メタ系アラミド繊維とパラ系アラミド繊維があり、メタ系アラミド繊維としては、例えば、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維(デュポン社製、商品名「ノーメックス」)などのメタ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。また、パラ系アラミド繊維としては、例えば、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維(東レ・デュポン株式会社製、商品名「ケブラー」)およびコポリパラフェニレン−3,4'−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人株式会社製、商品名「テクノーラ」)などのパラ系全芳香族ポリアミド繊維が挙げられる。
これらの中でも、高強度で高弾性率であり、耐切創性、耐熱性に優れると共に、高圧水流処理によってマイクロフィラメント化し易い点から、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維が特に好ましい。アラミド繊維は、公知またはそれに準ずる方法で製造でき、また、上記のような市販品を用いても良い。
本発明に係る防護衣料は、高圧流体処理が施された、極細繊維で構成された繊維織編物と、高強度繊維布帛とを含む多層積層体からなる。前記の繊維織編物と高強度繊維布帛とを積層する場合は、これらを組合せ、適宜な順序で積層する。多層積層体における積層枚数は、特に制限はないが、十分な突き刺し抵抗性を付与するためには、繊維織編物は通常2枚以上、好ましくは5枚以上、20枚以下を重ね合わせて用いる。また、高強度繊維布帛は、ごわごわ感がなく突き刺し抵抗性に優れたものにするためには、通常1枚以上、好ましくは1枚から数枚用いる。
重ね合せる順序としては、極細繊維で構成された繊維織編物を表層にし、内層を高強度繊維布帛にすれば、突き刺し抵抗性および耐切創性を有し、さらに拭き取り性に優れた防護衣料となる。一方、高強度繊維布帛を表層にし、内層を極細繊維で構成された繊維織編物にすれば、突き刺し抵抗性および耐切創性を有し、さらに柔軟でタッチの良い防護衣料となる。
本発明の多層積層体には、さらなる耐切創性や突き刺し抵抗性、あるいは耐切断性、断熱性、形態安定性などを付与するために、任意の場所に、前記の繊維織編物および高強度布帛とは異なる第3の布帛を積層することもできる。かかる第3の布帛としては、例えば、金属繊維や金属メッキを施した繊維から構成される布帛、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタンなどの繊維製布帛などが挙げられる。また、吸水速乾性などを付与するために、天然繊維、ポリエステルやポリアミドなどの異形断面糸使いの布帛などを積層することもできる。また、細菌もしくは化学物質不透過性の布帛を積層することもできる。
本発明の多層積層体を用いて防護衣料を作製する場合は、例えば該積層体を所望の形状に裁断し、その周囲を縫製または接着する、または裁断した積層体をキルティングする等の方法で行うことができる。
以下、実施例および比較例を用いて本発明を更に具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。なお、以下の実施例および比較例における各特性値の測定方法は次の通りである。
[突き刺し抵抗力]
オートグラフSD−100装置を用いて、針が試料を突き刺さるときの抵抗力(g)を測定した。試料のセット(固定)は、次の治具を使用し測定した。中央部に幅10mm長さ18mmのスリットを有する板状のサンプル支持板2枚の間に、しわ及びたるみが生じないように試料をはさんで固定し、針を試験片に90°(垂直)の角度で突き刺さるようにセットし、針先を試料に100mm/分の速度で押し付け、針が試料を突き刺さるときの最大荷重を測定し、n=3〜5の平均値で示した。
針は、ぬい針(クローバー社製0.64mm径)を使用した。
[耐切創性試験]
ISO13997「防護服−機械的特性−鋭利物に対する切創抵抗性試験方法」に準拠し、切創抵抗値(N)を測定した。カット方向は45度方向とした。
(実施例1〜2)
海島型ポリエステル複合繊維で、島成分がポリエチレンテレフタレートで、海成分がポリエステルの酸成分としてテレフタル酸と5−ナトリウムイソフタル酸の共重合体からなるアルカリ熱水可溶性ポリエステルからなる繊維(海/島比は20/80、単繊維1本の島数は70)で、トータル66dtex(9フィラメント)のフィラメントヤーンを経糸と緯糸に用い、織密度110本/2.54cmの平組織の織物(目付62g/m)にし、脱海処理をした(織物A)。この織物Aの片面に、処理速度5m/min、最大処理水圧10MPaで1回ウォータージェットパンチ(WJP)処理を施し、織物(目付68g/m)を得た(織物B)。
織物B(WJP処理有り)の表面の電子顕微鏡写真(倍率200,30)を図1〜図2に示した。織物A(WJP処理無し)の表面の電子顕微鏡写真(倍率200,30)を、図3〜図4に示した。図の写真から明らかなように、織物Bの表面には糸内の絡まり合い(図1:aの糸)と糸−糸間の絡まり合い(図1:bの糸)が見られた。また、織物Bは織物Aと比べて、糸−糸間の距離が明らかに狭くなっていることがわかる。
上記織物とは別に、東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維フィラメント糸条(「KEVLAR(登録商標)29」、引張強度20.3cN/dtex、引張弾性率490cN/dtex、単糸繊度1.65dtexのカットステープル(繊維長51mm)100%から得た紡績糸20番双糸(綿番手)を経糸と緯糸に用い、タテ密度58本/2.54cm、ヨコ密度47本/2.54cm、目付230g/mの2/1ツイル組織のアラミド繊維100%織物を得た。
[WJP処理の処理条件]
・処理装置:PERFOJET社「JETLACE(登録商標)」
・ノズル径:直径0.1mm
・ノズル列:1列
・ノズルピッチ:0.6mm
・ノズル噴射孔と布帛との距離:1.5cm
上記の織物B及びアラミド繊維100%織物をそれぞれ、表1に示す枚数を重ねたもの(織物Bを内側に配置)を用意し、しわ、たるみが生じないように均一な張力を加えてからオートグラフSD−100に取り付け、針が試料を突き破るときの抵抗力(g)と、耐切創性を測定した。測定結果を表1に示す。
(実施例3)
実施例1で作製した織物Bとアラミド繊維100%織物の配置を逆にした(アラミド繊維100%織物を内側に配置)以外は、実施例1と同様の方法にて試験した。測定結果を表1に示す。
(実施例4)
アラミド繊維10%織物として、東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維フィラメント糸条(「KEVLAR(登録商標)29」、引張強度20.3cN/dtex、引張弾性率490cN/dtex、単糸繊度1.65dtexのカットステープル(繊維長51mm)と綿のステープルとの混紡比(重量比)10/90から得た紡績糸20番双糸(綿番手)を経糸と緯糸に用い、タテ密度58本/2.54cm、ヨコ密度47本/2.54cm、目付235g/mの2/1ツイル組織の織物を得た。
上記のアラミド繊維10%織物以外は、実施例1同様の方法にて試験した。測定結果を表1に示す。
(実施例5)
アラミド繊維50%織物として、東レ・デュポン(株)製のポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維フィラメント糸条(「KEVLAR(登録商標)29」、引張強度20.3cN/dtex、引張弾性率490cN/dtex、単糸繊度1.65dtexのカットステープル(繊維長51mm)と綿のステープルとの混紡比(重量比)50/50から得た紡績糸20番双糸(綿番手)を経糸と緯糸に用い、タテ密度58本/2.54cm、ヨコ密度47本/2.54cm、目付233g/mの2/1ツイル組織の織物を得た。
上記のアラミド繊維50%織物以外は、実施例1同様の方法にて試験した。測定結果を表1に示す。
(比較例1〜2)
実施例1で作製した織物Aとアラミド繊維100%織物を、表1に示す枚数を重ねたものを用意し、実施例1と同様の方法にて試験した。測定結果を表1に示す。
(比較例3)
アラミド繊維0%織物として、綿100%から得た紡績糸20番双糸(綿番手)を経糸と緯糸に用い、タテ密度58本/2.54cm、ヨコ密度47本/2.54cm、目付240g/mの2/1ツイル組織の織物を得た。
上記のアラミド繊維0%織物以外は、比較例1同様の方法にて試験した。測定結果を表1に示す。
(比較例4)
市販の牛床革手袋(厚み0.8mm)を用い、実施例1と同様の方法にて試験した。測定結果を表1に示す。
Figure 0005041398
表1から明らかなように、本発明の防護衣料はWJP処理を施していない繊維織編物を積層した多層積層体に比べて、明らかに突き刺し抵抗力に優れていた。また、積層する織物中のアラミド繊維の比率が高くなるほど耐切創性も向上し、しかもごわごわ感がなく柔軟性の有る防護衣料が得られた。
本発明に係る防護衣料は、炊事用手袋、掃除用手袋、ゴルフ用手袋、登山やキャンプ、岩登り等アウトドア用手袋、切創防止等多目的手袋、ドライバー用手袋、園芸や農作業等作業用手袋、テニスや剣道等トレーニング用手袋、工場・作業現場で使用する作業用手袋、指サック、エプロン、前掛け、作業服、手甲、脚絆などとして使用できるだけでなく、保護を必要とする個所へ適用して使用することもできる。また、インナー素材として使用することもできる。また、刃物等の貫通を防止する必要のある場所に、カバー布として使用することもできる。
織物Bの表面の電子顕微鏡写真(×200)である。 織物Bの表面の電子顕微鏡写真(×30)である。 織物Aの表面の電子顕微鏡写真(×200)である。 織物Aの表面の電子顕微鏡写真(×30)である。
符号の説明
a 糸内で絡まり合っている糸
b 糸−糸間で絡まり合っている糸

Claims (8)

  1. 単繊維繊度が0.001デシテックス以上1.5デシテックス以下の極細繊維で構成された繊維織編物であって、該織編物の糸内のみ、または糸−糸間および糸内の両方で該極細繊維が絡まりあっている繊維織編物と、10質量%以上が高強度繊維で構成されている布帛と、を含む多層積層体からなり、前記繊維織編物が2〜20枚積層されていることを特徴とする突き刺し抵抗性に優れた防護衣料。
  2. 高圧流体処理が施された繊維織編物と、10質量%以上が高強度繊維で構成されている布帛と、を含む多層積層体からなり、該繊維織編物を構成する極細繊維の単繊維繊度が、0.001デシテックス以上1.5デシテックス以下であり、前記繊維織編物が2〜20枚積層されていることを特徴とする突き刺し抵抗性に優れた防護衣料。
  3. 極細繊維が、海島構造または剥離構造を有する複合繊維から得られたものである請求項1または2に記載の防護衣料。
  4. 極細繊維が、ポリエステル系繊維または/およびポリアミド系繊維である請求項1〜3のいずれかに記載の防護衣料。
  5. 高強度繊維が、JIS L 1013に基づいて測定される引張強度が10cN/デシテックス以上である請求項1〜4のいずれかに記載の防護衣料。
  6. 高強度繊維が、高圧流体処理することによって布帛表面の繊維がマイクロフィラメント化して絡み合う繊維である請求項1〜5のいずれかに記載の防護衣料。
  7. 高強度繊維が、ポリパラフェニレンテレフタルアミド繊維である請求項1〜6のいずれかに記載の防護衣料。
  8. さらに、前記の繊維織編物および布帛とは異なる、第3の布帛が積層されてなる請求項1〜7のいずれかに記載の防護衣料。
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