JP5040713B2 - 反射スクリーンの製造方法 - Google Patents
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例えば蒸着により反射面を形成する場合、真空装置等の高価な設備が必要になり、製造コストが増加するという問題が生じる。
本発明の反射スクリーンの製造方法は、スクリーン基板の観察面に複数の反射部を有し、前記観察面の法線に対して垂直方向にずれた位置に配置された投影部から、前記観察面に向けて斜めに射出された投影光を、観察側に反射する反射スクリーンの製造方法であって、前記反射部を形成する工程では、凹または凸の球状面を形成する工程と、
光硬化性材料及び光反射性材料を用いて前記球状面の表面に光反射層を形成する工程と、前記球状面に向けて露光した領域の前記光反射層を除去する工程と、を順次行うことを特徴とするものである。
従って、本発明の反射スクリーンの製造方法では、光硬化性材料及び光反射性材料を用いて前記球状面の表面に形成された光反射層について、前記球状面に向けて露光した領域の前記光反射層を除去することにより、未露光領域に反射層を形成することができる。そのため、本発明では、蒸着法を用いた場合のように高価な設備が不要になり、製造コストの増加を防ぐことが可能になる。
また、本発明では、このように特定の領域に光反射層を形成できるため、その他の領域については、外光等の反射に起因した不要な映り込みのない画像を表示できる。
これにより、本発明では、球状面のうち、投影光で照射される領域には光反射層を残存して形成でき、効果的に投影光を観察側に反射させることが可能になる。
これにより、本発明では、前記球状面に対して投影光が照射される領域以外の領域を連続的に露光することが可能になる。
これにより、本発明では、露光範囲の光反射性材料をエッチング等により除去することで、光反射性材料も併せて除去することができ、また、露光範囲外は、光反射性材料を含む光硬化性材料が残存して反射層として機能させることができる。
これにより、本発明では、スクリーン基板に塗布した光反射性材料のうち、露光範囲に塗布された光反射性材料は、予め露光範囲の光硬化性材料が露光されて硬化しているため、当該露光範囲(例えば投影部からの投影光が照射されない範囲)には付着せず、未露光範囲(すなわち光反射面)で未硬化の光硬化性材料に付着することになる。そのため、本発明では、例えばエアーブロー等の除去手段で光反射性材料を除去することにより、露光範囲の光反射性材料を容易に除去することができ、また未露光範囲の光反射性材料を残存させて光反射層を形成することができる。
前記光反射層を除去する工程は、前記光反射性材料を静電塗布した前記スクリーン基板に前記第2電位を付与して、前記光硬化性材料が硬化した範囲の前記光反射性材料を除去する工程を有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、スクリーン基板の電位を第1電位、第2電位に切り換えることにより、スクリーン基板への光反射性材料の塗布、及び未露光範囲の光反射性材料の除去を容易に実施できる。また、本発明では、エアーブロー等を用いた場合のように、粉体の光反射性材料の粉塵が飛散せず、環境にも配慮した塗布・除去作業を実現できる。
これにより、本発明では、金属粉の表面、またはビーズ体の表面で反射した投影光を観察側に導くことが可能となる
これにより、本発明では、光反射層以外の領域に入射した外光等の光を吸収し観察側へ反射することを抑制できるため、表示特性が低下することを防止できる。
これにより、本発明では、光反射性材料の定着固定を確実に行うことが可能になる。
上記未露光範囲の前記光硬化性材料及び前記光反射性材料を定着硬化させる工程を有する場合には、前記光硬化性材料が、熱硬化性を有することが好ましい。
これにより、本発明では、光反射性材料に覆われた光硬化性材料に光を照射することが困難であるが、熱を付与することにより、光硬化性材料を容易に硬化させることが可能になる。
図1に示すように、反射スクリーン100は、反射スクリーン100の観察面100aの中心点Cを通る法線NLに対して垂直方向(Y軸方向)にずれた位置に配置されたプロジェクタPから、観察面100aに向けて斜めに射出された投影光Lpを、反射スクリーン100の観察側(Z軸正方向側)に反射するものである。反射スクリーン100は、法線NLがZ軸と平行になるように配置されている。
本実施形態では、熱硬化性を有する光硬化性材料を用いる。また、ブラックカーボン等の光吸収性材料を含む光硬化性材料を用いて光硬化層40を形成する。
まず、図4(a)に示すように、平板状のスクリーン基板1上にマスクMを形成する。このマスクMとしては、例えばクロム(Cr)を、スパッタ等により成膜して形成されたものである。
続いて、このようにスクリーン基板1上に形成されたマスクMに対して、図4(b)に示すように、凹部2を形成する位置に開口部Kを形成する。開口部Kは、フォトエッチングやレーザ加工等により形成することができる。
この後、スクリーン基板1からマスクMを除去することにより、図4(d)に示すように、凹部2を有するスクリーン基板1を得ることができる。
続いて、図5(a)に示すように、スプレー塗布により、スクリーン基板1の観察面1a側の表面全面に光硬化性材料を塗布して付着させ光硬化層40を形成する。
これにより、未露光範囲に位置する金属粉末PDが残存し、図3に示した反射層3が形成される。
以上、本実施形態の反射スクリーン100の製造方法によれば、図3に示すような反射スクリーン100を製造することができる。
図1に示すように、プロジェクタPはミラーMに向けて投影光Lpを射出する。ミラーMに向けて射出された投影光Lpは、ミラーMによって反射され、仮想光源位置PVから射出されたと仮定した投影光Lpと同様に、スクリーン基板1の観察面1aに対して斜めに入射する。このとき、反射スクリーン100の中心点Cに入射する投影光Lpと、反射スクリーン100の観察面100aとのなす角度θは、約36°となっている。
保護層4に入射した投影光Lpは、保護層4を透過して凹部2の内壁面2aに形成された反射層3に到達する。反射層3に到達した投影光Lpは、反射層3によって反射スクリーン100の観察側に反射される。また、保護層4を透過して観察面1aに到達した投影光Lpは、光硬化層40に含まれる光吸収性材料により吸収される。
ここで、反射スクリーン100には、反射防止層5が形成されているので、観察面100aの上方から観察面100aに入射した外光Loが、保護層4の表面4aで観察側に反射することが防止される。
ここで、スクリーン基板1は、上述のように可視光を吸収可能な光吸収面7を有しているので、凹部2の内壁面2aの反射層3の非形成領域にある光吸収面7に到達した外光Loは、スクリーン基板1(光吸収面7)または光硬化層40に含まれる光吸収性材料により吸収される。また、スクリーン基板1の凹部2の非形成領域に到達した外光Loも、同様にスクリーン基板1(または光硬化層40に含まれる光吸収性材料)によって吸収される。さらに、反射層3は凹部2の上方側の、投影光Lpが入射する部分のみに形成されているので、外光Loは反射層3に入射しない。
したがって、反射スクリーン100の観察面100aに入射した外光Loが、観察側に反射されることが防止できる。
また、本実施形態では、仮想光源位置PVとは異なる位置から露光光ELを照射することにより、凹部2の仮想光源位置PVを臨む位置に反射層3を形成するため、投影光Lpが照射される位置にのみ反射層3を形成し、外光Loが入射するその他の凹部2(球状面6)については光吸収面7を設定できるため、外光Loが、観察側に反射されることを効果的に防止でき、投影品質を向上させることが可能になる。
しかも、本実施形態では、金属粉で反射層3を形成しているため、これら金属粉の材質、大きさ等を調整することにより、投影光Lpの反射特性を容易に調整することも可能になる。
加えて、本実施形態では、光硬化層40が熱硬化性を有しているため、反射層3に覆われた未露光(未硬化)の光硬化層40を容易に定着硬化させることが可能である。
しかも、本実施形態では、反射部が凹で形成されているため、凸のように投影光Lpが遮られることなく、凹部2に到達することができ、全体的に輝度を向上させることができる。
さらに、スクリーン基板1が可撓性を有する材料によって形成されているので、可撓性を有する反射スクリーン100を形成することができ、反射スクリーン100の巻き取りを可能とし、反射スクリーン100をコンパクトに収納することができる。
続いて、反射スクリーンの第2実施形態について、図7を参照して説明する。
本実施形態では上述の第一実施形態で説明した反射スクリーン100に対して、スクリーン基板11に凹部2ではなく凸部21がされている点で異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略、または簡略化する。
図7に示す反射スクリーン200は、プロジェクタPに対して、図1に示す第一実施形態の反射スクリーン100と同様に配置されている。反射スクリーン200のスクリーン基板11は、第一実施形態のスクリーン基板1と同様に、可視光を吸収可能に形成されている。
凸部21の表面21a上の光硬化層40には、プロジェクタPからの投影光Lpが照射される範囲に反射層(光反射層)31が形成されている。より詳細には、球状面26のうち、投影光Lpが照射されない範囲に対して後述する露光光を照射した範囲以外の領域に、反射層31が形成されている。反射層31は、例えば、マグネシウムや酸化チタン等の金属粉を用いて膜厚が10nm以上かつ5μm以下程度で形成されている。
また、球状面26のうち、反射層31が形成されていない領域は、スクリーン基板11の光吸収性及び光硬化層40の光吸収性による光吸収面27となっている。
他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
そして、凸部21が形成されたスクリーン基板11に対しては、上記第1実施形態と同様に、凸部21の表面21a及び観察面11aに対してスプレー塗装により全面的に光硬化性材料を塗布して付着させ光硬化層40を形成する。
そして、スクリーン基板11の観察面側にマグネシウム、酸化チタン等の金属の粉末を堆積させ押さえた後に、エアブロー等によりスクリーン基板11の観察面側をエアーで吹くことにより、光硬化層40に付着していない金属粉末を除去する。
これにより、未露光範囲に位置する金属粉末が残存し、図7に示した反射層31が形成される。
この後の工程は、上記第1実施形態と同様である。
図7に示す仮想光源位置PVから射出されたと仮定した投影光Lpは、反射スクリーン200の観察面200aに対して斜めに入射する。
観察面200aに到達した投影光Lpは、反射防止層5に入射する。反射防止層5に入射した投影光Lpは、反射防止層5を透過して保護層4に入射する。
このとき、第1実施形態と同様に、反射防止層5によって投影光Lpが保護層4の表面4aで反射することが防止される。
保護層4に入射した投影光Lpは、保護層4を透過して凸部21に形成された反射層31に到達する。反射層31に到達した投影光Lpは、凸状の反射層31によって反射スクリーン200の観察側に反射される。また、保護層4を透過して観察面11aに到達した投影光Lpは、光硬化層40に含まれる光吸収性材料により吸収される。
このように、本実施形態でも反射層31は、光硬化性材料に対する露光処理と光反射性材料とを用いて形成されるため、高価な設備が不要になり、製造コストの増加を抑制することができ、上記第1実施形態と同様の効果が得られる。
続いて、反射スクリーンの第3実施形態について、図8を参照して説明する。
本実施形態では上述の第1実施形態で説明した反射スクリーン100に対して、反射層3が光反射性材料を含む光硬化性材料によって形成されている点で異なっている。その他の点は第一実施形態と同様であるので、同一の部分には同一の符号を付して説明は省略する。
そして、第1実施形態と同様に、光硬化層における仮想光源位置PVからの投影光Lpが照射されない位置に露光光を照射して露光する。このときも、観察面11aに対する露光光ELの照射角度θsが、観察面1aの各凹部2に対する仮想光源位置PVからの投影光Lpの入射角度θpと等しくした状態で、露光光の光源とスクリーン基板11とを法線回り相対的に回転させればよい。
これにより、スクリーン基板1、11の電位を逆電位に切り換えることにより、スクリーン基板1、11への光反射性材料の塗布、及び未露光範囲の光反射性材料の除去を容易に実施でき、エアーブロー等を用いた場合のように、粉体の光反射性材料の粉塵が飛散せず、環境にも配慮した塗布・除去作業を実現できる。
この場合、ビーズ体の粒径としては、5〜100μm程度のものを用いることが好ましい。
さらに、仮想光源位置PVからの距離に応じて疎となる分布で配置されていれば、一様に配置する必要はなく、例えば観察面からの投影光Lpの反射分布に偏りが生じている場合には、当該偏りを有する領域の配置分布を調整することにより、反射分布(輝度分布)を補正してもよい。
Claims (9)
- スクリーン基板の観察面に複数の反射部を有し、前記観察面の法線に対して垂直方向にずれた位置に配置された投影部から、前記観察面に向けて斜めに射出された投影光を、観察側に反射する反射スクリーンの製造方法であって、
前記反射部を形成する工程では、
凹または凸の球状面を形成する工程と、
光硬化性材料及び光反射性材料を用いて前記球状面の表面に前記投影光を前記観察側へ反射させる光反射層を形成する工程と、
前記球状面に形成された少なくとも前記光硬化性材料を含む層の露光された領域に対応する前記光反射層を除去する工程と、
を順次行うことを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項1記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記球状面に対して、前記投影部の位置とは異なる位置から露光光を照射することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項2記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記スクリーン基板と前記露光光の照射部とを前記法線回りに相対的に回転させることを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記光反射層を形成する工程では、前記光反射性材料を含む前記光硬化性材料を前記球状面の表面に配置し、
前記光反射層を除去する工程は、当該光反射層の所定範囲を露光する工程を含むことを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項1から3のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記光反射層を形成する工程は、前記球状面の表面に前記光硬化性材料を配置する工程と、前記光硬化性材料の所定範囲を露光して硬化させる工程と、前記スクリーン基板に前記光反射性材料を塗布する工程とを有し、
前記光反射層を除去する工程では、露光により前記光硬化性材料が硬化した範囲の前記光反射層を除去することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項5記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記スクリーン基板に前記光反射性材料を塗布する工程は、第1電位の前記スクリーン基板に、前記第1電位とは逆電位の第2電位を付与した前記光反射性材料を静電塗布する工程を有し、
前記光反射層を除去する工程は、前記光反射性材料を静電塗布した前記スクリーン基板に前記第2電位を付与して、前記光硬化性材料が硬化した範囲の前記光反射性材料を除去する工程を有することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項1から6のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記光反射性材料は、金属粉とビーズ体との少なくとも一つを有することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項1から7のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記スクリーン基板は光吸収性を有することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。 - 請求項1から8のいずれか一項に記載の反射スクリーンの製造方法において、
前記光硬化性材料は、さらに熱硬化性を有することを特徴とする反射スクリーンの製造方法。
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