次に、本発明の実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下の実施の形態における図面の記載では、同一の構成を有する箇所には同一の符号を付して重複する説明を省略する。また、以下の実施の形態において、不揮発性半導体記憶装置は、積層ゲート構造のメモリセルを用いたNAND型フラッシュメモリであるものとして説明する。しかし、この構成はあくまでも一例であって、本発明がこれに限定されるものでないことは言うまでもない。
(第1の実施の形態)
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成]
以下、本発明の第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成について、図1を参照して説明する。
図1は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのメモリセルアレイ及び制御回路を示す図である。NAND型フラッシュメモリのNANDセルユニット1は、ソース側選択ゲートトランジスタSTS、及びドレイン側選択ゲートトランジスタSTDと、選択ゲートトランジスタSTS、STDにそれぞれ接続されたダミーセルDCと、ダミーセルDCの間に直列接続された複数個のメモリセルMCn(n=0〜63)とを有する。NANDセルユニット1内において、複数個のメモリセルMCnは隣接するもの同士でソース/ドレイン領域を共有し、メモリストリングを形成している。メモリセルアレイは、複数のNANDセルユニット1が行列上に設けられることにより構成されている。
メモリセルMCは、シリコン基板のP型ウェルに形成されたN型ソース/ドレイン領域を有し、制御ゲート電極と電荷蓄積層としての浮遊ゲート電極とを有する積層ゲート構造であるものとする。NAND型フラッシュメモリは、この浮遊ゲート電極に保持する電荷量を書き込み動作、消去動作で変化させる。これにより、メモリセルMCのしきい値電圧を変化させて、1ビット或いは多ビットのデータを1つのメモリセルに記憶する。ここで、メモリセルMC0、MC63が直接選択ゲートトランジスタSTS、STDと接続されている場合、NANDセルユニット1の端部にあるメモリセルM0、M63と、それ以外のメモリセルMCとで動作特性がばらつく。そのため、通常のデータ保持には用いないダミーセルDCをNANDセルユニット1の端部に設け、データ保持に用いるメモリセルMCの特性を均一にしている。
なお、NANDセルユニット1の端部にダミーセルDCを設けずに、メモリセルアレイを構成することもできる。この場合、NANDセルユニット1の端部に設けられることになるメモリセルMC0、MC63も情報の記憶に供される。以下の実施の形態においては、NANDセルユニット1の端部にダミーセルDCが設けられた構成を前提として説明するが、本発明に係るNAND型フラッシュメモリは、これに限定されるものではない。すなわち、NANDセルユニット1の端部のメモリセルMCをダミーセルDCではなく、データ記憶用のセルとして用いたものにも、本発明は適用可能である。
図1中X方向に配列された複数のメモリセルMCnの制御ゲート電極は、ワード線WLn(n=0〜63)により共通接続されている。また、複数のソース側選択ゲートトランジスタSTSのゲート電極は、ソース側選択ゲート線SGSにより共通接続されている。そして、複数のドレイン側選択ゲートトランジスタSTDのゲート電極は、ドレイン側選択ゲート線SGDにより共通接続されている。図1中X方向に配列された複数のダミーセルDCの制御ゲート電極は、ドレイン側ダミーワード線WLDD、又はソース側ダミーワード線WLDSにより共通接続されている。NAND型フラッシュメモリにおいては、ワード線WLnを共有する複数のNANDセルユニット1の集合がブロックを構成する。
ドレイン側選択ゲートトランジスタSTDのドレイン領域にはビット線コンタクトBLCが接続されている。このビット線コンタクトBLCは図1中Y方向に伸びるビット線BLに接続されている。また、ソース側選択ゲートトランジスタSTSは、ソース領域を介して図1中X方向に伸びるソース線SLに接続されている。ビット線BLの一端側に、セルデータの読み出し、書き込み、消去、及びソフトプログラムの各動作に供されるセンスアンプ回路SAが配置される。ワード線WLの一端側に、ワード線WL、ダミーワード線WLDS、WLDD、及び選択ゲート線SGS、SGDの選択駆動を行うロウデコーダ/ドライバ2が配置される。
そして、NAND型フラッシュメモリには、メモリセルアレイに対する読み出し動作、書き込み動作及び消去動作を制御するとともに、後に詳述するソフトプログラム動作に供される制御回路3が設けられている。制御回路3は、各種の情報に基づきNANDセルユニット1に設けられたダミーセルDCやメモリセルMCの特性が初期状態にあるか、劣化した状態にあるか、又はどの程度劣化した状態にあるかを判定する。一例として、制御回路3は、消去動作時のパルス印加回数、NAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作回数、書き込み動作時のパルス印加回数、又はソフトプログラム動作時のパルス印加回数等に基づいてこの判定を実行する。また、制御回路3は、センスアンプ回路SA及びロウデコーダ/ドライバ2の動作に基づいて、NAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作回数や、書き込み動作時、ソフトプログラム動作時のパルス印加回数を記憶する。
次に、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのデータ記憶状態について、図2を参照して説明する。図2は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのメモリセルMCのしきい値電圧分布を示す図である。
NAND型フラッシュメモリのメモリセルMCが2値データ(1ビット/セル)を記憶する場合、データのしきい値電圧分布は図2(a)のようになる。しきい値電圧が負の状態がデータ“1”(消去状態)であり、しきい値電圧が正の状態がデータ“0”である。また、NAND型フラッシュメモリのメモリセルMCが4値データ(2ビット/セル)を記憶する場合、データのしきい値電圧分布は図2(b)のようになる。この場合、しきい値電圧の低い方から、4種類のしきい値電圧分布(E、A、B、C)が設けられる。これらのしきい値電圧分布に対して、4通りのデータ“11”、“01”、“00”、“10”が割り付けられる。ここで、しきい値電圧分布Eは、一括ブロック消去により得られる負しきい値電圧状態である。
NAND型フラッシュメモリのデータ読み出し動作では、メモリセルアレイ内の非選択ワード線WLには、データによらず非選択メモリセルが導通する読み出しパス電圧Vreadが印加される。なお、それぞれの非選択メモリセルに加えられる読み出しパス電圧Vreadは異なっていても良い。また、ダミーワード線WLDD、WLDS及び選択ゲート線SGS、SGDには、ダミーセルDC及び選択ゲートトランジスタSTS、STDが導通する読み出しパス電圧がそれぞれ印加される。なお、この読み出しパス電圧は、ダミーセルDC及び選択ゲートトランジスタSTS、STDで異なっていても良い。
2値データの読み出し動作時には、選択メモリセルMCに接続された選択ワード線WLに、2つのしきい値電圧分布の間の電圧(例えば、電圧0V)を印加する。この電圧印加により、NANDセルユニット1に電流が流れるか否かを検出してデータ読み出しが実行される。一方、4値データの読み出し動作時には、選択ワード線WLに印加される電圧の電圧値は、選択メモリセルMCの4通りのしきい値電圧分布に対応して、各しきい値電圧分布の間の電圧AR、BR、又はCRに設定される。電圧ARは最も低い電圧で、BR、CRの順に電圧値が大きくなる。4値データの読み出し動作時では、電圧AR、BR、CRのいずれのときにNANDセルユニット1に電流が流れるか否かを検出することによりデータ読み出しが実行される。
“0”データの書き込み動作時には、選択ワード線WLに書き込み電圧Vpgm(例えば、15V〜20V)が印加される。また、ビット線BLに電圧Vssを与えて、これを導通させたドレイン側選択ゲートトランジスタSTDを介して選択メモリセルMCのチャネル(以下「セルチャネル」と称する)まで転送する。このとき、選択メモリセルMCでは浮遊ゲート電極とセルチャネルとの間に大きな電界がかかり、FNトンネリングによりセルチャネルから浮遊ゲート電極に電子が注入される。多値データ記憶の場合、書き込みパルスの印加回数を異ならせ、浮遊ゲートに注入される電子の量を調整することにより、しきい値電圧分布を複数個、設けることができる。
“1”データの書き込み動作(非書き込み)時には、ビット線BLに電源電圧Vddを与えて、これを導通させたドレイン側選択ゲートトランジスタSTDを介して選択メモリセルMCのセルチャネルまで転送する。セルチャネルを電圧Vdd−Vth(Vthは選択ゲートトランジスタのしきい値電圧)まで充電した後、選択ゲートトランジスタが非導通状態になりセルチャネルをフローティング状態にする。この場合、選択ワード線WLに書き込み電圧Vpgmが印加されたとしても、セルチャネルが選択ワード線WLとの容量結合により電位上昇して、浮遊ゲート電極へは電子が注入されない。その結果、メモリセルMCは、“1”データを保持する。
NAND型フラッシュメモリにおけるデータ消去動作は、ブロック単位で実行される。データ消去動作は、選択ブロックのダミーワード線WLDD、WLDSを含む全ワード線WLを0Vとし、メモリセルアレイが形成されたP型ウェルに正の昇圧された消去電圧(例えば、18V〜20V)を印加して行われる。これにより、選択ブロックの全メモリセルMCで浮遊ゲート電極の電子が放出された負のしきい値電圧状態(消去状態)が得られる。この後、必要に応じて消去ベリファイ動作を行う。消去ベリファイ動作は、NANDセルユニット1の全メモリセルMCが負のしきい値電圧まで消去されているか否かを確認する動作として行われる。具体的に消去ベリファイ動作は、全ワード線に所定の電圧(例えば0V)を与え、NANDセルユニット1に電流が流れるか否かを検出する。
次に、図3を参照してNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作について説明する。上述の消去動作では通常、しきい値電圧分布の下限値制御は行われない。そのため、消去後のメモリセルMCのしきい値電圧分布は、図3の左方に示すしきい値電圧分布EBSのようになる。この場合、NANDセルユニット1内には、過消去状態のメモリセルMCが含まれ得る。メモリセルMC間でしきい値電圧に違いがあると、その後の動作において、隣接するメモリセルMCの浮遊ゲート電極間の容量結合によるデータ変化(誤書き込み)が発生する可能性がある。そこで、全メモリセルMC及びダミーセルDCに対し、弱い書き込み条件、即ち通常の書き込み電圧(例えば、15V〜20V)より低い書き込み電圧Vspgm(例えば、10V〜15V)を用いるソフトプログラム動作を行って、過消去状態を解消させる。これにより、メモリセルMCのしきい値電圧分布は、図3の右方に示すしきい値電圧分布EASのようになる。ソフトプログラム動作の結果、メモリセルMCのしきい値電圧分布の範囲を全体として狭くすることができる。
このソフトプログラム動作の後にソフトプログラムベリファイ動作を行う。これは、所定個数のメモリセルMC又はダミーセルDCのしきい値電圧がソフトプログラムベリファイレベル1(電圧Vspv1)を超えたかを確認する動作として行われる。所定個数のメモリセルMC又はダミーセルDCのしきい値電圧が、図3に示すソフトプログラムベリファイレベル1(電圧Vspv1)を超えたことをもって、ベリファイパスとする。また、ソフトプログラム動作において、メモリセルMC又はダミーセルDCのしきい値電圧が上がりすぎると、消去状態と書き込み状態との判別ができない。そのため、所定個数のメモリセルMC又はダミーセルDCのしきい値電圧が、ソフトプログラムベリファイレベル2(電圧Vspv2)を超えたことをもって、ベリファイフェイルとする。
ここで、ソフトプログラム動作において、全てのワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSに同一のソフトプログラム電圧Vspgmを印加する動作とすると、以下のような問題が生じる。次に、この問題について、図4及び図5を参照して説明する。
まず、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作回数が少なく、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態(第1状態)にある場合について、図4を参照して説明する。書き込み/消去動作回数が少ない場合、メモリセルMC及びダミーセルDCは両者とも劣化しておらず、特性の差は少ない。ここで、ソフトプログラム動作において、全てのワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSに、同一のソフトプログラム電圧Vspgm(例えば10V)が印加されるものとする(図4(a)参照)。また、ドレイン側選択ゲート線SGDにはドレイン側選択ゲート電圧Vsgd(例えば2.5V)が印加され、ソース側選択ゲート線SGSには、ソース側選択ゲート電圧Vsgs(例えば0V)が印加される。
ここで、選択ゲート電圧Vsgd、Vsgsは、ソフトプログラム電圧Vspgmよりも低い。ダミーセルDCは、この選択ゲート電圧Vsgd、Vsgsがゲート電極に印加される選択ゲートトランジスタSTD、STSに隣接している。そのため、ダミーセルDCは、両隣のワード線WLにソフトプログラム電圧Vspgmが印加される通常のメモリセルMCよりも、ソフトプログラム動作による書き込みが遅くなる。その結果、ソフトプログラム動作後において、ダミーセルDCと、通常のメモリセルMCとでしきい値電圧の値がばらつく。すなわち、図4(b)に実線(After SPROG)で示すように、通常のメモリセルMCのしきい値電圧よりも、ダミーセルDCのしきい値電圧のほうが低い状態となる。
この状態で、読み出し動作が複数回実行されると、リードディスターブによりメモリセルMC及びダミーセルDCのしきい値電圧が上昇する(図4(b)の破線(After Read Disturb)参照)。このとき、ダミーセルDCのしきい値が低いためリートディスターブの影響を受けやすく、ダミーセルDCのしきい値電圧の上昇幅が、通常のメモリセルMCのしきい値電圧の上昇幅よりも大きくなる。リードディスターブの発生時にダミーセルDCのしきい値電圧の上昇幅が大きいと、ダミーセルDCに隣接するメモリセルMC0、MC63との間でセル間干渉が生じ、メモリセルM0、MC63のしきい値電圧が上昇する。その結果、メモリセルM0、MC63のデータの意図しない変化(誤書き込み)が生じるという問題がある。
次に、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作が複数回繰り返され、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態(第2状態)にある場合について、図5を参照して説明する。メモリセルMCへの書き込み/消去動作が複数回繰り返されると、NANDセルユニット1の端部近傍のダミーセルDCは、選択ゲートトランジスタSTS、STDの影響により、NANDセルユニット1内の通常のメモリセルMCよりも早くトンネル絶縁膜が劣化する。ダミーセルDCのトンネル絶縁膜が劣化すると、同じソフトプログラム動作でも過剰な電子が浮遊ゲート電極に注入され、書き込み速度が通常のメモリセルMCよりも速くなる。
ここでもソフトプログラム動作において、図5(c)に示すように、全てのワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSに同一のソフトプログラム電圧Vspgmを印加するものとする。ダミーセルDCが劣化している場合、書き込み速度が通常のメモリセルMCよりも速くなるため、図5(a)に示すように、通常のメモリセルMCのしきい値電圧よりも、ダミーセルDCのしきい値電圧のほうが高い状態となる。その結果、図5(b)に示すように、ソフトプログラム動作後のしきい値電圧分布において、一部のダミーセルDCが、過書き込み状態(OP:オーバープログラム状態)となる。もし、しきい値電圧がソフトプログラムベリファイレベル2(電圧Vspv2)を超える過書き込み状態OPのダミーセルDCの数が所定数を超えている場合、ソフトプログラム動作を正常に終了できない。そのため、そのNANDセルユニット1が含まれるブロックが、ブロック不良と判定されてしまう問題がある。
これらの問題を解決するため、本実施の形態の不揮発性半導体記憶装置は、以下に示すようなソフトプログラム動作を実行する。
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作]
図6及び図7は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作を説明する図である。図6は、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去回数が少なく、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合のソフトプログラム動作を示している。図7は、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作が複数回繰り返され、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態にある場合のソフトプログラム動作を示している。
まず、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去回数が少なく、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合について、図6を参照して説明する。本実施の形態のNAND型フラッシュメモリは、制御回路3によりダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期状態にあるか、劣化した状態にあるかを判定することができる。この制御回路3の動作については、後に詳述する。制御回路3により、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にあると判定された場合、図6(a)に示すように、通常のメモリセルMCに接続されたワード線WLには、ソフトプログラム電圧Vspgmが印加される。このソフトプログラム電圧Vspgmは、例えば10Vに設定される。また、ダミーセルDCに接続されたダミーワード線WLDD、WLDSには、ダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1が印加される。このダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1は、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合、ソフトプログラム電圧Vspgm(例えば10V)より所定の値だけ高い電圧値(例えば11V)に設定される。また、ドレイン側選択ゲート線SGDにはドレイン側選択ゲート電圧Vsgd(例えば2.5V)が印加され、ソース側選択ゲート線SGSには、ソース側選択ゲート電圧Vsgs(例えば0V)が印加される。
上記の電圧値はソフトプログラム動作における1つの例であり、ワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSに印加される各電圧の電圧値の大小関係は、電圧Vwld_spgm1が電圧Vspgmより大きければよい。本実施の形態のNAND型フラッシュメモリにおいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合には、ワード線WLにこのような電圧を印加してソフトプログラム動作を実行する。ソフトプログラム動作は、ワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSへのソフトプログラム電圧印加を複数回繰り返す動作としても良い。
ここで、選択ゲート電圧Vsgd、Vsgsは、ソフトプログラム電圧Vspgmよりも低いため、選択ゲートトランジスタSTD、STSに隣接するダミーセルDCの書き込み速度が遅くなるおそれがある。しかし、ダミーワード線WLDD、WLDSに電圧Vspgmより大きいダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1が印加されている。そのため、ダミーセルDCの書き込み速度は、通常のメモリセルMCと同程度の速度となる。その結果、ソフトプログラム動作後において、ダミーセルDCと、通常のメモリセルMCとでしきい値電圧の値がばらつくことがない。すなわち、図6(b)に実線(After SPROG)で示すように、ソフトプログラム動作後のダミーセルDCのしきい値電圧と、通常のメモリセルMCのしきい値電圧とが略同一の値となる。
次に、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作が複数回繰り返され、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態にある場合について、図7を参照して説明する。制御回路3により、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が劣化した状態にあると判定された場合も、図7(b)に示すように、通常のメモリセルMCに接続されたワード線WLには、ソフトプログラム電圧Vspgm(例えば10V)が印加される。また、ダミーセルDCに接続されたダミーワード線WLDD、WLDSには、ダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm2が印加される。このダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm2は、ダミーセルDCが劣化した状態にある場合、ソフトプログラム電圧Vspgmより所定の値だけ低い電圧値(例えば9V)に設定される。また、ドレイン側選択ゲート線SGDにはドレイン側選択ゲート電圧Vsgd(例えば2.5V)が印加され、ソース側選択ゲート線SGSには、ソース側選択ゲート電圧Vsgs(例えば0V)が印加される。
上記の電圧値はソフトプログラム動作における1つの例であり、ワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSに印加される各電圧の電圧値の大小関係は、電圧Vwld_spgm2が電圧Vspgmより小さければよい。本実施の形態のNAND型フラッシュメモリにおいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が劣化した状態にある場合には、ワード線WLにこのような電圧を印加してソフトプログラム動作を実行する。ソフトプログラム動作は、ワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSへのソフトプログラム電圧印加を複数回繰り返す動作としても良い。
上述の実施の形態は、ダミーセルDCの状態を、初期状態及び劣化状態の2つの状態として説明した。これは、劣化状態の進展具合により、3つ以上の複数の状態に分けることもできる。ダミーセルDCの状態が複数の状態にある場合について、図8A〜図9を参照して説明する。図8A及び図9は、ソフトプログラム動作におけるワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSへの印加電圧(各図の(a)に相当)と、ソフトプログラム動作後のメモリセルのしきい値電圧の値とを示す図(各図の(b)に相当)である。図8Aは、ダミーセルDCの特性が初期の状態にある場合を示し、図9は、ダミーセルDCの特性が劣化した状態にある場合を示している。
図8Bに示す状態は、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作が複数回繰り返され、ダミーセルDCがやや劣化した状態(第3状態)にある場合である。ダミーセルDCがやや劣化した状態とは、初期状態から劣化状態に移る中間の状態である。このダミーセルDCがやや劣化した状態(第3状態)では、ワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSに印加される各電圧の電圧値の大小関係において、電圧Vwld_spgmと電圧Vspgmとを等しくすることができる。この場合に、ダミーワード線WLDD、WLDSに加わる電圧を電圧Vwld_spgm3とする。
ここで、ソフトプログラム動作時におけるダミーワード線WLDD、WLDSに加わる電圧は、ダミーセルDCの劣化状態が進むにつれて、電圧Vwld_spgm1→電圧Vwld_spgm3→電圧Vwld_spgm2のように変化する(図8A(a)、図8B、図9(a))。ダミーセルDC及びメモリセルMCの劣化状態の進展に基づいて、ソフトプログラム動作時におけるワード線WLに加わる電圧Vspgmと、ダミーワード線WLDD、WLDSに加わる電圧との関係は、それぞれ
電圧Vwld_spgm1>電圧Vspgm
電圧Vwld_spgm3=電圧Vspgm
電圧Vwld_spgm2<電圧Vspgm
となる。
言い換えると、ソフトプログラム動作時におけるダミーワード線WLDDに加わる電圧は、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作が複数回繰り返されるに従い、電圧Vwld_spgm1>電圧Vwld_spgm3>電圧Vwld_spgm2と変化するといえる。
上述のように、NAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作が繰り返されて劣化したダミーセルDCは、書き込み速度が通常のメモリセルMCよりも速くなる。しかし、図7(b)に示すように、本実施の形態に係るソフトプログラム動作では、ダミーセルDCの劣化状態においてダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm2が、ソフトプログラム電圧Vspgmよりも低い電圧に設定される。また、図8Bに示すように、ダミーセルDCがやや劣化した状態において、ダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm3はソフトプログラム電圧Vspgmと同程度の電圧に設定される。そのため、ダミーセルDCへの書き込み速度は、通常のメモリセルMCと同程度の速度となる。その結果、ソフトプログラム動作後において、ダミーセルDCと、通常のメモリセルMCとでしきい値電圧の値がばらつくことがない。図7(a)に示すように、ソフトプログラム動作後のしきい値電圧分布において、過書き込み状態(OP:オーバープログラム状態)のセルが発生することがない。
[第1の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果]
本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作の効果を、図8A乃至図9を参照して説明する。
図8A(a)及び図9(a)に示すように、本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリでは、ソフトプログラム動作時に、ワード線WLと、ダミーワード線WLDS、WLDDとに異なる電圧を印加している。すなわち、ワード線WLにはソフトプログラム電圧Vspgm、ダミーワード線WLDS、WLDDにはダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1、Vwld_spgm2を印加している。また、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合と、ダミーセルDCが劣化した状態にある場合とで、ソフトプログラム電圧Vspgmとダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1、Vwld_spgm2との電圧値の大小関係を変化させている。その結果、図8A(b)及び図9(b)に示すように、本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリでは、ソフトプログラム動作後のメモリセルMCとダミーセルDCとのしきい値電圧のばらつきを抑えることができる。
ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合、図8A(b)に示すように、ソフトプログラム動作後のダミーセルDCのしきい値電圧と、通常のメモリセルMCのしきい値電圧とが略同一の値となる。この状態で、読み出し動作が実行された場合、リードディスターブによりメモリセルMC及びダミーセルDCのしきい値電圧が上昇する(図8A(b)の破線(After Read Disturb)参照)。ここで、リードディスターブによるダミーセルDCのしきい値電圧の上昇幅は、ダミーセルDCのしきい値が通常のメモリセルMCのしきい値電圧とほぼ同じであるため、通常のメモリセルMCのしきい値電圧の上昇幅とほぼ等しい。このため、リードディスターブの発生時においても、ダミーセルDCに隣接するメモリセルMC0、MC63に及ぼす影響が少なくなり、メモリセルM0、MC63への誤書き込みを防ぐことができる。
また、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態にある場合も、図9(b)に示すように、ソフトプログラム動作後のダミーセルDCのしきい値電圧と、通常のメモリセルMCのしきい値電圧とが略同一の値となる。すなわち、ソフトプログラム動作後のしきい値電圧分布において、過書き込み状態(OP:オーバープログラム状態)のセルが発生することがない(図7(a)のしきい値電圧分布参照)。その結果、しきい値電圧がソフトプログラムベリファイレベル2(電圧Vspv2)を超える過書き込み状態OPのダミーセルDCやメモリセルMCの数が所定数を超えることがなく、ソフトプログラム動作を正常に終了することができる。このように、本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリは、ソフトプログラム動作を確実に実行することができる。
また、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態にある場合において、ダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm2をソフトプログラム電圧Vspgmと同じにして、ダミーワード線にダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm2を加える回数を、ワード線にソフトプログラム電圧Vspgmを加える回数より少なくすることも考えられる。しかし、劣化状態において、ダミーワード線にダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm2(=Vspgm)を一回加えただけで、ダミーセルDCのしきい値がソフトプログラムベリファイレベル2(電圧Vspv2)を超えてしまう場合には対応できない。
(第2の実施の形態)
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成]
次に、本発明の第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置について説明する。第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるため、その説明を省略する。第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置は、ワード線WLに印加するソフトプログラム電圧Vspgmの電圧値を変化させる点において、第1の実施の形態と異なる。
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の動作]
図10は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作を説明する図である。図10(a)は、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合のソフトプログラム動作時におけるワード線WL、及びダミーワード線WLDD、WLDSへの電圧印加状態を示している。図10(b)は、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態にある場合のソフトプログラム動作時におけるワード線WL、及びダミーワード線WLDD、WLDSへの電圧印加状態を示している。本実施の形態に係るソフトプログラム動作においては、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合と、劣化した状態にある場合とで、ワード線WLに印加するソフトプログラム電圧Vspgmの電圧値を変化させている。
まず、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去回数が少なく、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合について、図10(a)を参照して説明する。制御回路3により、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にあると判定された場合、図10(a)に示すように、通常のメモリセルMCに接続されたワード線WLには、ソフトプログラム電圧Vspgmが印加される。このソフトプログラム電圧Vspgmは、例えば10Vに設定される。また、ダミーセルDCに接続されたダミーワード線WLDD、WLDSには、ダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1が印加される。このダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1は、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合、ソフトプログラム電圧Vspgmより所定の値だけ高い電圧値(例えば11V)に設定される。また、ドレイン側選択ゲート線SGDにはドレイン側選択ゲート電圧Vsgd(例えば2.5V)が印加され、ソース側選択ゲート線SGSには、ソース側選択ゲート電圧Vsgs(例えば0V)が印加される。
上記の電圧値はソフトプログラム動作における1つの例であり、ワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSに印加される各電圧の電圧値の大小関係は、電圧Vwld_spgm1が電圧Vspgmより大きければよい。本実施の形態のNAND型フラッシュメモリにおいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合には、ワード線WLにこのような電圧を印加してソフトプログラム動作を実行する。
次に、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作が複数回繰り返され、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態にある場合について、図10(b)を参照して説明する。制御回路3により、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が劣化した状態にあると判定された場合、図10(b)に示すように、通常のメモリセルMCに接続されたワード線WLには、ソフトプログラム電圧Vspgm’が印加される。ここで、本実施の形態におけるソフトプログラム動作では、ダミーセルDC及びメモリセルMCの状態が初期状態にある場合と、劣化状態にある場合とでワード線WLに印加するソフトプログラム電圧の電圧値を変化させる。すなわち、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が劣化した状態にある場合、ソフトプログラム電圧Vspgm’の電圧値を、初期状態の場合のソフトプログラム電圧Vspgmより、所定の値だけ低い電圧値(例えば9V)に設定する。
また、ダミーセルDCに接続されたダミーワード線WLDD、WLDSには、ダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm2が印加される。このダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm2は、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態にある場合、ソフトプログラム電圧Vspgm’より所定の値だけ低い電圧値(例えば8V)に設定される。また、ドレイン側選択ゲート線SGDにはドレイン側選択ゲート電圧Vsgd(例えば2.5V)が印加され、ソース側選択ゲート線SGSには、ソース側選択ゲート電圧Vsgs(例えば0V)が印加される。
上記の電圧値はソフトプログラム動作における1つの例であり、ワード線WL及びダミーワード線WLDD、WLDSに印加される各電圧の電圧値の大小関係は、電圧Vwld_spgm2が電圧Vspgm’より小さければよい。本実施の形態のNAND型フラッシュメモリにおいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が劣化した状態にある場合には、ワード線WLにこのような電圧を印加してソフトプログラム動作を実行する。また、電圧Vwld_spgm2は電圧Vwld_spgm1より小さくなり、電圧Vspgm’は電圧Vspgmよりも小さくなる。
[第2の実施の形態に係る不揮発性半導体記憶装置の効果]
本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリでも、ソフトプログラム動作時に、ワード線WLと、ダミーワード線WLDS、WLDDとに異なる電圧を印加している。また、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合と、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化した状態にある場合とで、ソフトプログラム電圧Vspgmとダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1、Vwld_spgm2との電圧値の大小関係を変化させている。その結果、本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリでも、ソフトプログラム動作後のメモリセルMCとダミーセルDCとのしきい値電圧のばらつきが抑えられる。
ここで、NAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作が複数回繰り返されると、ダミーセルDCのみならず通常のメモリセルMCも劣化する。すなわち、メモリセルMCのトンネル絶縁膜も、書き込み/消去動作が繰り返されるにつれ劣化し、書き込み速度が速くなる。メモリセルMCの特性が初期の状態にある場合と、メモリセルMCが劣化した状態にある場合とで、ソフトプログラム電圧Vspgmの電圧値を同じ値にした場合、ソフトプログラム動作において一部のメモリセルMCが、過書き込み状態(OP:オーバープログラム状態)となるおそれがある。もし、しきい値電圧がソフトプログラムベリファイレベル2(電圧Vspv2)を超える過書き込み状態OPのメモリセルMCの数が所定数を超えている場合、ソフトプログラム動作を正常に終了できない。
しかし、本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリにおいては、図10に示すように、ワード線に印加するソフトプログラム電圧Vspgm’を、ソフトプログラム電圧Vspgmよりも低い電圧にしている。そのため、劣化状態のメモリセルMCへの書き込み速度が抑えられ、過書き込み状態(OP:オーバープログラム状態)のセルが発生することがない。その結果、しきい値電圧がソフトプログラムベリファイレベル2(電圧Vspv2)を超える過書き込み状態OPのダミーセルDCやメモリセルMCの数が所定数を超えることがなく、ソフトプログラム動作を正常に終了することができる。このように、本実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリは、ソフトプログラム動作を確実に実行することができる。
また、第1の実施の形態と同様に、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作が複数回繰り返され、ダミーセルDCがやや劣化した状態(第3状態)が存在していても良い。この場合も第1の実施の形態と同様に、電圧Vwld_spgm1>電圧Vwld_spgm3>電圧Vwld_spgm2と変化する。
以上、本発明の実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリを説明した。このNAND型フラッシュメモリは、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期の状態にある場合と劣化した状態にある場合とで、ワード線に印加するソフトプログラム電圧Vspgmとダミーワード線用ソフトプログラム電圧Vwld_spgm1、Vwld_spgm2との電圧値の大小関係を変化させている。このダミーセルDC及びメモリセルMCの特性が初期状態にあるか、劣化した状態にあるかの判定は、制御回路3により行われている。以下では、制御回路3によるダミーセルDC及びメモリセルMCの特性の判定動作について説明する。ここで、以下に説明する制御回路3による判定動作は、第1及び第2の実施の形態のいずれにおいても適用され得るものである。
[制御回路3による判定動作1]
図11は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作時における、制御回路3の動作を説明するフローチャートである。
第1及び第2の実施の形態に係るNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作は、消去動作に続いて実行される。ここで、上述のように、データの消去は、メモリセルMCの制御ゲート電圧を0Vとし、メモリセルMCが形成されているウェルに高電圧の消去パルスを与える。これにより、浮遊ゲート電極からトンネル絶縁膜を通して半導体基板に電子を放出し、メモリセルMCのしきい値電圧を負の方向にシフトさせる。この消去パルスの印加は、電圧値を増加させつつ複数回実行される。制御回路3は、この消去パルスの印加回数に基づいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性を判定することができる。以下、図11を参照して説明する。
NAND型フラッシュメモリの消去動作時には、ウェルに印加する消去パルス電圧を、所定の電圧値だけ増加させつつ複数回印加する。(ステップS11)。この後、消去が完了したかどうかを調べるベリファイ動作により消去動作が完了したことを確認する。この際、制御回路3は消去パルスが何回印加されたかを検知する(ステップS12)。制御回路3は、消去動作時の消去パルスの印加回数と、あらかじめ設定された判定値とを比較する(ステップS13)。
ここで、ダミーセルDC及びメモリセルMCは、NAND型フラッシュメモリの動作を繰り返すたびに、トンネル絶縁膜が劣化する。ダミーセルDC及びメモリセルMCは、トンネル絶縁膜が劣化するにつれ、浮遊ゲート電極から電子を放出する消去動作の速度が遅くなる。そのため、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化するにつれ、消去動作に必要なパルス印加回数が増える。制御回路3は、この消去動作時の消去パルス印加回数と判定値とを比較する。
制御回路は、消去動作時の消去パルスの印加回数と判定値とに基づいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの状態を判定する(ステップS14)。例えば、消去動作時の消去パルスの印加回数が所定値を超えている場合に、制御回路3は、ダミーセルDC及びメモリセルMCは劣化状態にあると判定する一方、消去動作時の消去パルスの印加回数が所定値以下である場合に、制御回路3は、ダミーセルDC及びメモリセルMCは初期状態にあると判定する。また、制御回路3は複数の判定値を有し、その判定値との比較により初期状態、やや劣化した状態、劣化状態等の複数の状態を判定することができる。
センスアンプ回路SA及びロウデコーダ/ドライバ2は、この制御回路3の判定結果に基づいて、上述の実施の形態の電圧印加方法を実行する。なお、このリセットパルス印加回数に基づく判定動作は、リセット動作時にリセットパルス印加回数を直接検知するため、制御回路3にリセットパルス印加回数を保持する必要がない。この場合、制御回路3内に情報を記憶する領域を設ける必要がなく、NAND型フラッシュメモリをより簡易な構成とすることができる。
[制御回路3による判定動作2]
図12は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作時における、制御回路3の動作を説明するフローチャートである。図12は、制御回路3が、NAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作回数に基づいて判定動作を実行する場合を示している。
この場合、NAND型フラッシュメモリに対して書き込み/消去動作が実行されるたびに、センスアンプ回路SA及びロウデコーダ/ドライバ2から制御回路3内へと書き込み/消去動作が実行されたという情報が送られる。制御回路3は、この情報に基づきNAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作が実行された回数を記憶する。制御回路3は、このNAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作回数に基づいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性を判定することができる。以下、図12を参照して説明する。
制御回路3による判定動作が開始されると、制御回路3は内部の記憶領域から、NAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作回数についての情報を取得する(ステップS21)。ここで、書き込み/消去動作回数の情報は、ソフトプログラム動作が実行されるブロックに対して、過去に何回書き込み/消去動作が実行されたかを表す。制御回路3は、このNAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作回数と、あらかじめ設定された判定値とを比較する(ステップS22)。
上述のように、ダミーセルDC及びメモリセルMCは、NAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作を繰り返すたびに、トンネル絶縁膜が劣化する。制御回路3は、このNAND型フラッシュメモリの書き込み/消去動作回数と判定値とに基づいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの状態を判定する(ステップS23)。
例えば、制御回路3は、NAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作回数が所定値を超えている場合に、ダミーセルDC及びメモリセルMCは劣化状態にあると判定する。一方、制御回路3は、NAND型フラッシュメモリへの書き込み/消去動作回数が所定値以下である場合に、ダミーセルDC及びメモリセルMCは初期状態にあると判定する。また、制御回路3は複数の判定値を有し、その判定値との比較により初期状態、やや劣化した状態、劣化状態等の複数の状態を判定することができる。センスアンプ回路SA及びロウデコーダ/ドライバ2は、この制御回路3の判定結果に基づいて、上述の実施の形態の電圧印加方法を実行する。
[制御回路3による判定動作3]
図13は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作時における、制御回路3の動作を説明するフローチャートである。図13は、制御回路3が、NAND型フラッシュメモリへの書き込み動作時のパルス印加回数に基づいて判定動作を実行する場合を示している。
データ書き込み動作時には、選択ワード線WLに書き込み電圧(例えば、15V〜20V)が印加される。また、選択メモリセルMCのチャネルに電圧Vssを印加する。これにより、選択メモリセルMCの浮遊ゲート電極とセルチャネルとの間に大きな電界をかけて、セルチャネルから浮遊ゲート電極に電子を注入する。この書き込みパルスの印加は、電圧値を増加させつつ複数回実行される。この書き込み動作が実行される際、センスアンプ回路SA及びロウデコーダ/ドライバ2から制御回路3へと書き込みパルスを何回印加したかという情報が送られる。制御回路3は、この情報に基づき書き込み動作時のパルス印加回数を記憶する。制御回路3は、この書き込み動作時のパルス印加回数に基づいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性を判定することができる。以下、図13を参照して説明する。
制御回路3による判定動作が開始されると、制御回路3は内部の記憶領域から、書き込み動作時のパルス印加回数についての情報を取得する(ステップS31)。ここで、書き込み動作時のパルス印加回数の情報は、ソフトプログラム動作が実行されるブロックに対して、前回書き込み動作が実行された際のパルス印加回数を表す。制御回路3は、書き込み動作時のパルス印加回数と、あらかじめ設定された判定値とを比較する(ステップS32)。
上述のように、ダミーセルDC及びメモリセルMCは、トンネル絶縁膜が劣化するにつれ、浮遊ゲート電極に電子を注入する書き込み動作の速度が速くなる。そのため、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化するにつれ、書き込み動作に必要なパルス印加回数は減少する。制御回路3は、この書き込み動作時のパルス印加回数と判定値とに基づいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの状態を判定する(ステップS33)。
例えば、制御回路3は、書き込み動作時のパルス印加回数が所定値未満である場合に、ダミーセルDC及びメモリセルMCは劣化状態にあると判定する。一方、制御回路3は、書き込み動作時のパルス印加回数が所定値以上である場合に、ダミーセルDC及びメモリセルMCは初期状態にあると判定する。また、制御回路3は複数の判定値を有し、その判定値との比較により初期状態、やや劣化した状態、劣化状態等の複数の状態を判定することができる。センスアンプ回路SA及びロウデコーダ/ドライバ2は、この制御回路3の判定結果に基づいて、上述の実施の形態の電圧印加方法を実行する。
[制御回路3による判定動作4]
図14は、本実施の形態のNAND型フラッシュメモリのソフトプログラム動作時における、制御回路3の動作を説明するフローチャートである。図14は、制御回路3が、NAND型フラッシュメモリへのソフトプログラム動作時のパルス印加回数に基づいて判定動作を実行する場合を示している。
書き込み動作時と同様に、ソフトプログラム動作時も、ソフトプログラム電圧の電圧値を増加させつつ複数回パルスを印加する。このソフトプログラム動作が実行される際、センスアンプ回路SA及びロウデコーダ/ドライバ2から制御回路3へとソフトプログラムパルスを何回印加したかという情報が送られる。制御回路3は、この情報に基づきソフトプログラム動作時のパルス印加回数を記憶する。制御回路3は、例えば、このソフトプログラム動作時のパルス印加回数に基づいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの特性を判定することができる。以下、図14を参照して説明する。
制御回路3による判定動作が開始されると、制御回路3は内部の記憶領域から、ソフトプログラム動作時のパルス印加回数についての情報を取得する(ステップS41)。ここで、ソフトプログラム動作時のパルス印加回数の情報は、ソフトプログラム動作が実行されるブロックに対して、前回ソフトプログラム動作が実行された際のパルス印加回数を表す。制御回路3は、ソフトプログラム動作時のパルス印加回数と、あらかじめ設定された判定値とを比較する(ステップS42)。
上述のように、ダミーセルDC及びメモリセルMCは、トンネル絶縁膜が劣化するにつれ、浮遊ゲート電極に電子を注入する書き込み動作の速度が速くなる。そのため、ダミーセルDC及びメモリセルMCが劣化するにつれ、ソフトプログラム動作に必要なパルス印加回数は減少する。制御回路3は、このソフトプログラム動作時のパルス印加回数と判定値とに基づいて、ダミーセルDC及びメモリセルMCの状態を判定する(ステップS43)。
制御回路3は、ソフトプログラム動作時のパルス印加回数が所定値未満である場合に、ダミーセルDC及びメモリセルMCは劣化状態にあると判定する。一方、制御回路3は、ソフトプログラム動作時のパルス印加回数が所定値以上である場合に、ダミーセルDC及びメモリセルMCは初期状態にあると判定する。また、制御回路3は複数の判定値を有し、その判定値との比較により初期状態、やや劣化した状態、劣化状態等の複数の状態を判定することができる。センスアンプ回路SA及びロウデコーダ/ドライバ2は、この制御回路3の判定結果に基づいて、上述の実施の形態の電圧印加方法を実行する。
以上、制御回路3によるセルの特性の判定動作について説明した。ここで、NAND型フラッシュメモリにおいて、制御回路3の判定動作は上述の動作のいずれか1つであってもよいし、複数の判定動作を組み合わせてもよい。
[その他]
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更、追加、組み合わせ等が可能である。例えば、NANDセルユニット1の端部にダミーセルDCを設けずに、メモリセルアレイを構成することもできる。この場合、実施の形態における説明のうち、ダミーセルDCをメモリセルMC0、MC63とし、ダミーワード線WLDD、WLDSとすることによりダミーセルDCが設けられていない場合の説明となる。
選択トランジスタSTD、STSの間に直列接続されるメモリセルMCnの数は複数(2のべき乗)であればよく、その数は64個に限定されるものではない。そして、メモリセルに記憶されるデータは2値データ、又は4値データであるものとして説明したが、これはその他の値のデータ(例えば8値データ)であってもよい。
また、ダミーセルDCはNANDセルユニット1のドレイン側選択ゲート線SGD側のみ、または、ソース側選択ゲート線SGS側のみに配置されている場合でも、本発明の実施の形態を適用できる。また、ダミーセルDCはNANDセルユニット1の端部に1つ設けられる場合だけでなく2つ以上設けられていても良い。この場合、ドレイン側選択ゲート線SGD及びソース側選択ゲート線SGSに隣接するダミーセルDCにのみ本発明の実施の形態を適用しても良いし、全てのダミーセルDCに本発明の実施の形態を適用しても良い。