以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
まず、本発明の第1の実施の形態に係る撮像装置の一例について説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態による撮像装置の一例をであるビデオカメラ100の概略構成を示すブロック図である。
図1において、101は被写体を撮影するためのレンズユニット、102はレンズユニット101により結像された被写体像を光電変換するCCD、103はCCD102で得られた信号に所定の処理を施し記録可能な映像信号を生成するカメラ信号処理回路である。また、104はカメラ信号処理回路103で生成された映像信号を記録メディアに記録する記録装置(記憶部)であり、DVDドライブ104aを含んでいる。105はビデオカメラ100の機器本体の振れを検出するための振れ検出センサであり、本実施の形態においては角速度センサを使用している。106は振れ検出センサ105の出力信号(角速度信号)から直流成分を除去するハイパスフィルタ(以下HPFと称する)、107はシステム制御マイコン(以下マイクロコンピュータと称する)であり、振れ補正信号をカメラ信号処理回路103へと出力する。
次に、マイクロコンピュータ107内の処理ブロック構成について説明する。
図1において、108はHPF106からの出力信号をアナログ信号からデジタル信号へ変換するA/D変換器、109はA/D変換器108における処理によって生じた直流成分を除去するHPFである。また、110はHPF109によって直流成分が除去された信号の通過周波数帯域を制限する(遮断周波数を可変する)可変HPF、111は可変HPF110の出力に積分処理を施す積分器であり、積分器111において角速度信号が角変位信号へと変換される。
また、図1において、112はA/D変換器108の出力から手ぶれ周波数帯を抽出した後に手ぶれ周波数を検出し、機器本体の振れを判定する静止判定装置である。静止判定装置112は、手ぶれ周波数帯を抽出するLPF112aと、手ぶれ(ブレともいう)周波数を検出する周波数検出部112bと、機器本体の振れを判定する静止判定部112cとを備える。113はA/D変換器108の出力から記録装置104の振動周波数帯を抽出して振動周波数を検出し、記録装置104の振動(振動状態)の有無を判定する記録装置振動判定装置(記録部振動判定手段)である。記録装置振動判定装置113は、記録装置104の振動周波数帯を抽出するHPF113aと、振動周波数を検出する周波数検出部113bと、記録装置104の振動の有無を判定する記録装置振動判定部113cとを備える。114は静止判定装置112と記録装置振動判定装置113との判定結果に基づいて可変HPF110の遮断周波数の設定を行うカットオフ周波数設定装置である。
本実施の形態によるビデオカメラ100が備える振れ補正機能は、少なくとも縦方向と横方向の2方向の振れ補正を行うものである。これら2方向の振れ補正は同様の補正制御及び動作を行うものである。このため、説明を分かりやすくするために、以下の説明においては1方向の補正制御及び動作のみ説明する。
続いて、図1を参照してビデオカメラ100の動作について説明する。
ビデオカメラ100において、レンズユニット101を通過した入射光はCCD102の撮像面上で光学像として結像され、CCD102によって光電変換される。カメラ信号処理回路103は、CCD102の出力をA/D変換した後、ガンマ補正及びホワイトバランス等の所定の信号処理を行って規格化された映像信号として出力する。また、カメラ信号処理回路103は、電子式振れ補正を行う。具体的には、カメラ信号処理回路103は、CCD102の出力をメモリ(不図示)に取り込む。
次いで、カメラ信号処理回路103は、マイクロコンピュータ107から出力される振れ補正信号に基づいて、撮像画素数よりも少ない画素数で切り出したエリア(画像読み出し範囲)を上記メモリに取り込んだ撮影画像(撮像画像ともいう)において水平方向や垂直方向へと移動させる処理を行う。なお、撮像素子は、出力する撮像画像のイメージサイズよりも大きな撮像面を有している。
そして、振れ補正信号に基づいて移動された切り出しエリアによって抽出される映像信号が出力される。カメラ信号処理回路103から出力される映像信号は、記録装置104へと出力され、DVDの記録メディアに記録される。
次に、振れ補正信号の演算処理について説明する。
振れ検出センサ105である角速度センサにより検出されたビデオカメラ100本体の振れ量を示す角速度信号はHPF106にて直流成分が除去され、マイクロコンピュータ107に取り込まれ、マイクロコンピュータ107内において処理される。
以下に、マイクロコンピュータ107における処理について説明する。
マイクロコンピュータ107内に取り込まれた角速度信号は、A/D変換器108によってデジタル信号に変換され、HPF109によってデジタル化された角速度信号の直流成分の除去が行われる。また、A/D変換器108の出力は静止判定装置112及び記録装置振動判定装置113にも同時に供給される。静止判定装置112、記録装置振動判定装置113における処理ついては後述する。
HPF109において直流成分が除去された角速度信号は、さらに、可変HPF110の遮断周波数に応じて通過帯域制限が施されて出力される(フィルタ出力)。可変HPF110の遮断周波数は、後述するカットオフ周波数設定装置114において角速度信号から算出可能な周波数や振幅等に基づいて設定される。具体的には、設定したい遮断周波数に対応するインデックスデータが計算され、この計算されたインデックスデータに対応する遮断周波数が実際に使用する遮断周波数に設定される。
図6は、遮断周波数とインデックスデータとの関係を示す図である。そして、図6(A)は、インデックスデータに対応する遮断周波数を設定するテーブルデータを示す図であり、図6(B)は図6(A)に示すテーブルデータの遮断周波数とインデックスデータとの関係を示す図である。可変HPF110の遮断周波数として、図6に示すインデックスデータを求めることにより、対応する遮断周波数が設定されることになる。このようにして、可変HPF110は、入力された角速度信号から設定された遮断周波数帯を遮断して、角速度信号から所定の手ぶれ周波数を抽出し、積分器111に出力する。
次いで、積分器111が、可変HPF110において抽出した所定の手ぶれ周波数を積分し、積分して得た角変位信号を振れ補正信号としてカメラ信号処理回路103に出力する。
カメラ信号処理回路103は、積分器111から出力された振れ補正信号に基づいて、前述したとおり、図示しないメモリにおいて、切り出したエリアを撮影画像の全撮像画素内で上下左右に移動させる。これにより、ビデオカメラ100本体のブレ(手ぶれ)により発生する像ぶれの電子的な補正が可能となる。このように、ビデオカメラ100においては、像ぶれ補正処理が行われる。
上述のように、ビデオカメラ100はカメラ信号処理回路103により電子式像ぶれ補正を行うものとしたが、ビデオカメラ100は光学式像ぶれ補正を行うものであってもよい。この場合、ビデオカメラ100の撮像光学系としてのレンズユニット100に光軸と垂直に移動可能であって通過光束を偏向するシフトレンズと、これを移動させる駆動装置とを設ける。そして、上述のようにマイクロコンピュータ107内で生成された振れ補正信号に基づいて駆動装置がシフトレンズを移動させることにより、ビデオカメラ100本体のブレ(手ぶれ)により発生する像ぶれの光学的な補正が可能になる。
次に、A/D変換器108の出力が供給される静止判定装置112、記録装置振動判定装置113の動作について説明する。
静止判定装置112は、主に撮影時に生じる手ぶれの周波数を検出し、検出された周波数に応じてビデオカメラ100が静止状態であるか否かを判定する。振れ検出センサ105から出力される角速度信号(振れ信号)には、撮影者の手ぶれに起因する周波数帯と、記録装置104の回転振動に起因する周波数帯が含まれる。このため、静止判定装置112は、具体的には、振れ検出センサ105からの角速度信号から手ぶれの周波数帯と記録装置104の回転振動周波数帯とを分離し、手ぶれ周波数を検出して、ビデオカメラ100の本体が静止状態にあるか否かを判定する。
記録装置振動判定装置113は、記録装置104が動作しているときの振動周波数を検出し、当該検出した周波数に応じて記録装置104が駆動状態であるか否かを判定する。具体的には、記録装置振動判定装置113は、振れ検出センサ105からの角速度信号から手ぶれの周波数帯と記録装置104の回転振動周波数帯とを分離し、回転振動周波数を検出して、ビデオカメラ100に内蔵されている記録装置104が駆動状態にあるか否かを判定する。
次いで、マイクロコンピュータ107が実行する処理について説明する。図2は、マイクロコンピュータ107が実行する処理のフローチャートである。
本処理においては、まず、A/D変換器108においてA/D変換処理を実行し、HPF106を介して入力された振れ検出センサ105からの角速度信号(アナログブレ信号)をデジタルブレ信号に変換する(ステップS201)。次いで、HPF109においてHPF処理を実行し、A/D変換されたブレ信号からA/D変換処理によって生じた直流成分を除去する(ステップS202)。
次いで、静止判定装置112において静止状態判定処理を実行し、ビデオカメラ100本体が静止状態であるか否かを判定する(ステップS203)。静止状態判定処理の詳細については後述する。そして、記録装置振動判定装置113において記録装置振動判定処理を実行し、ビデオカメラ100本体に内蔵する記録装置104が駆動状態であるか否かを判定する(ステップS204)。記録装置振動判定処理の詳細については後述する。
次いで、カットオフ周波数設定装置114においてカットオフ周波数設定処理を実行し、ステップS203による静止状態判定処理の判定結果、及びステップS204による記録装置振動判定処理の判定結果に基づいて可変HPF110の遮断周波数を設定する(ステップS205)。
そして、可変HPF110において可変HPF処理を実行して、ステップS202においてHPF109から出力されたブレ信号に対して、ステップS205のカットオフ周波数設定処理において設定された遮断周波数によって所定の周波数帯域制限を施す(ステップS206)。
次いで、積分器111において積分処理を実行して、ステップS206において周波数帯域制限が施されたブレ信号を積分し、角変位信号を算出する(ステップS207)。そして、ステップS207において算出された角変位信号を振れ補正目標値(振れ補正信号)としてマイクロコンピュータ107から出力し(ステップS208)、本処理を終了する。
本処理によって出力された振れ補正目標値はカメラ信号処理回路103に供給され、前述したとおり図示しないメモリにおいて切り出したエリアを全撮像画素内で上下左右に移動させることを可能にし、ビデオカメラ100本体の手ぶれ(ブレ)により発生する像ぶれの電子的な補正を可能にする。
次いで、図2の処理のステップS203において実行される静止状態判定処理について図3を参照して説明する。図3は、図2の処理のステップS203において実行される静止状態判定処理のフローチャートである。
本処理においては、まず、図2のステップS201においてA/D変換器108から出力されたデジタルブレ信号を取り込み(ステップS301)、LPF112aにおいてデジタル化された角速度信号であるデジタルブレ信号に対してLPF処理を実行する(ステップS302)。ステップS302によるLPF処理においては、取り込んだブレ信号をLPF112aに通過させて、手ぶれ周波数帯のみを通過させて手ぶれの周波数帯として抽出する。
ここで、LPF112aについて具体的に説明する。例えば、DVDを記憶媒体とするDVDドライブ104aの回転駆動周波数が28〜46[Hz]であるとする。ビデオカメラ100において手ぶれとして補正すべき周波数帯域は上述のように1〜20[Hz]であり、この補正すべき帯域はDVDドライブ104aの回転駆動周波数と近接しているためDVDドライブ104aの回転駆動周波数による振動を補正すべき振動であると誤検出してしまう。LPF112aは、この誤検出を防止するために記録装置104のDVDドライブ104aの回転駆動に起因する振動成分の周波数を除去するためのフィルタであり、高次のLPFである。具体的には、高次LPFの遮断周波数を25[Hz]とした2次LPFを3段設定すれば、25[Hz]付近でのゲイン特性は、補正すべき帯域でもっとも回転駆動周波数に近接した周波数(20[Hz])に比べて約0.1倍の利得となり、回転駆動周波数帯と手ぶれ周波数帯との分離ができる。
次いで、ステップS302において機器本体内のメカニズムによる振動が除去された手ぶれ周波数帯のブレ信号から周波数検出部112bによって手ぶれ周波数を検出し(ステップS303)、検出された手ぶれ周波数と予め設定された所定の周波数とを比較して検出された手ぶれ周波数がこの所定の周波数以下であるか否かを静止判定部112cにより判定する(ステップS304)。
手ぶれ周波数が上記所定の周波数以下であれば、ビデオカメラ100本体が静止状態であると判定してこの判定結果をカットオフ周波数設定装置114に出力して(ステップS305)、本処理を終了する。一方、手ぶれ周波数が上記所定周波数より大きければ、ビデオカメラ100本体が静止状態でないと判定してこの判定結果をカットオフ周波数設定装置114に出力して(ステップS306)、本処理を終了する。
なお、上記予め設定された所定の周波数は、ビデオカメラ100本体が静止状態であると判断することができる周波数に設定されている。また、この所定の周波数は、例えば、静止判定部112cに設定されている。
上述のように、静止判定装置112は、記録装置104(DVDドライブ104a)の回転駆動帯域の振動を手ぶれによる振動であると誤検出することなく、実際のビデオカメラ100本体の手ぶれ周波数を検出し、この検出した実際のビデオカメラ100の手ぶれ周波数に基づいてビデオカメラ100本体が静止状態であるか否かを判定することができる。
次いで、図2の処理のステップS204において実行される記録装置振動判定処理について図4を参照して説明する。図4は、図2の処理のステップS204において実行される記録装置振動判定処理のフローチャートである。
本処理においては、まず、図2のステップS201においてA/D変換器108から出力されたデジタルブレ信号を取り込み(ステップS401)、HPF処理を実行して、取り込まれたブレ信号から記録装置104の回転駆動周波数帯を抽出する(ステップS402)。記録装置振動判定装置113の備えるHPF113aは、記録装置104の回転駆動によって発生する振動の回転駆動周波数帯を通過させるように構成されており、ステップS402のHPF処理は、ステップS401において取り込まれたブレ信号をこのHPF113aに通過させることにより実行される。
ここで、HPF113aについて具体的に説明する。上述のように、DVDを記憶媒体とするDVDドライブ104aの回転駆動周波数が28〜46[Hz]であるとする。DVDドライブ104aの回転駆動周波数帯を抽出できればDVDドライブ104aの駆動状態は判定可能であるので、HPFフィルタ113aのカットオフは例えば25Hz以上とすればよい。また、本実施の形態においては、記録装置振動判定装置113は記録装置104の回転駆動周波数の抽出にHPF113aを用いているが、記録装置振動判定装置113は、HPF113aに代えてBPFを備えるものであってもよい。
次いで、ステップS402において機器本体内のメカニズム振動による回転駆動周波数帯を抽出したブレ信号から周波数検出部113bによって記録装置104の回転駆動周波数(振動周波数)を検出する(ステップS403)。そして、ステップS403において検出された振動周波数と予め設定された所定の周波数とを記録装置振動判定部113cによって比較して、検出された振動周波数が上記所定の周波数以上であるか否かを判定する(ステップS404)。
ステップS403において検出した振動周波数が上記所定周波数以上であれば、記録装置104が駆動状態であると判定して、この判定結果をカットオフ周波数設定装置114に出力して(ステップS405)、本処理を終了する。一方、検出した振動周波数が上記所定周波数より小さければ、記録装置104が駆動状態でないと判定し、つまり停止状態と判定して(ステップS406)、本処理を終了する。
なお、上記予め設定された所定の周波数は、記録装置104が停止状態であると判断することができる周波数に設定されている。また、この所定の周波数は、例えば、記録装置振動判定部113cに設定されている。
このように記録装置振動判定装置113は、記録装置104の回転駆動帯域の振動を検出して、この検出した記録装置104の回転駆動帯域の振動に基づいて記録装置104が駆動状態か否かを判定することができる。
次いで、図2の処理のステップS205において実行されるカットオフ周波数設定処理について図5を参照して説明する。図5は、図2の処理のステップS205において実行されるカットオフ周波数設定処理のフローチャートである。
カットオフ周波数設定装置114では、静止判定装置112の判定結果(ステップS305、S306)と記録装置振動判定装置113の判定結果(ステップS405,S406)とに基づいて可変HPF110の遮断周波数の設定を行う。
本処理においては、まず、静止判定装置112においてビデオカメラ100本体が静止状態であると判定されたか否かの判定を行う(ステップS501)。ビデオカメラ100本体が静止状態でない場合は、ビデオカメラ100を手持ちにして撮影している状態であるため、像ぶれ補正を可能とするためにステップS504の処理に進む。ステップS504においては、可変HPF110の遮断周波数を像ぶれ補正制御時の通常の遮断周波数に設定し、本処理を終了する。一方、ステップS501において、ビデオカメラ100本体の手ぶれがなく静止状態の場合は、ステップS502の処理に進む。
ステップS502においては、記録装置振動判定装置113において記録装置104が駆動状態であると判定されたか否かの判定を行う。記録装置104が回転しておらず駆動されていない場合は、ビデオカメラ100本体が振動のないところに置かれた状態であり且つ記録動作も行われていない状態であるため、ステップS505の処理へ進み静止時の遮断周波数を設定し、本処理を終了する。ビデオカメラ100本体が振動のないところに置かれた状態であり且つ記録動作も行われていない状態では、振れ補正を行う必要がないので、ステップS505においては、例えば、可変HPF110の遮断周波数を200[Hz]等の高域の遮断周波数に設定にしても問題ない。高域の遮断周波数に設定することで振れ補正を行う信号が通過しなくなり、カメラ信号処理回路103が図示しないメモリにおいて上記切り出しエリアを移動させる動作をする必要がなくなる。
一方、ステップS502において、記録装置104が回転駆動されていると判定された場合は、ビデオカメラ100本体が振動のないところに置かれた状態であり且つ記録装置104による記録動作が行われている状態であるため、ステップS503において、可変HPF110の遮断周波数を記録装置104駆動時の遮断周波数に設定し、本処理を終了する。ステップS503においては、具体的には、振れ検出センサ105の低域周波数による揺らぎ等が除去された状態で、且つ記録装置104の回転駆動による振動によって引き起こされる画像のぶれ(像ぶれ)を補正可能とする。例えば、可変HPF110の遮断周波数を130[Hz]程度の遮断周波数に設定する。従って、低域の周波数成分は除去しながらも記録装置104の回転駆動振動による周波数成分に起因する像ぶれを補正することとなり、ビデオカメラ100本体が固定された状態で記録装置104の回転駆動振動によって引き起こされる撮影画像のぶれ(像ぶれ)の量を低減することが可能となる。
以上説明したように、本発明の実施の形態に係るビデオカメラ100によれば、ビデオカメラ100本体が三脚等に固定された状態であって静止状態と判定されている間、且つ記録装置104の回転駆動周波数から記録装置104が駆動状態と判定されている間は、記録装置104の回転駆動振動による像ぶれが補正される。このため、記録装置104の振動によってビデオカメラ100本体が振動することによって生ずる像ぶれの量を低減することが可能となる。このように、本発明の実施の形態に係るビデオカメラ100によれば、振れ補正の精度を向上させることができる。
なお、HPF109、可変HPF110、積分器111は、補正精度を上げるためにサンプリング周波数を比較的高く(例えば1[kHz])しなければならない。一方、静止判定装置112、記録装置振動判定装置113、カットオフ周波数設定装置114は比較的遅い周期(例えば100[Hz]:制御周期)の処理でよく、特に高次LPF処理を含む静止判定装置112はマイクロコンピュータ107の処理負荷が大きいので、処理負荷を軽減する目的でサンプリング周波数を低く設定しても良い。
次いで、本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置について説明する。
図7は、本発明の第2の実施の形態に係る撮像装置としてのビデオカメラ700の概略構成を示すブロック図である。本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と発明の意図する内容は同一であり、回路構成が異なるものである。以下、上記第1の実施の形態と同一の構成部材には同一の符号を付して重複した説明を省略し、異なる部分のみ説明する。
図7において、701は焦点距離を変更可能とする変倍レンズ(以下ズームレンズと称する)、702はズームレンズ701の位置を検出するエンコーダ、703はエンコーダ702の出力から焦点距離を判定する焦点距離判定装置、704はカメラ信号処理装置103への出力を積分器111からの出力と後述するz補正中心値との間で切り替る補正信号スイッチである。また、705は、静止判定装置112、記録装置振動判定装置113、及び焦点距離判定装置703の出力に応じて、可変HPF110の遮断周波数を設定すると共に補正信号スイッチ704の設定を変更する補正制御装置である。上記のエンコーダ702及び焦点距離判定装置703は焦点距離検出手段として機能する。
図7に示すように、ビデオカメラ700は、図1のビデオカメラ100に対して、レンズユニット601がズームレンズ701を備える点でレンズユニット101と異なる。また、ビデオカメラ700は、図1のビデオカメラ100に対して、マイクロコンピュータ602が焦点距離判定装置703、補正信号スイッチ704、及び補正制御装置705を備え、カットオフ周波数設定装置114を備えない点が異なる。
次に、ビデオカメラ700の動作について図8及び図9を参照して説明する。図8は、マイクロコンピュータ602が実行する処理のフローチャートであり、図9は、図8の処理のステップS806において実行される補正制御設定処理のフローチャートである。
最初にマイクロコンピュータ602において実行される処理について図8のフローチャートを参照して説明する。
本処理においては、まず、A/D変換器108においてA/D変換処理を実行し、HPF106を介して入力された振れ検出センサ105からの角速度信号(アナログ振れ信号)をデジタルブレ信号に変換する(ステップS801)。次いで、HPF109においてHPF処理を実行し、A/D変換されたブレ信号からA/D変換処理によって生じた直流成分を除去する(ステップS802)。
次いで、静止判定装置112において静止状態判定処理を実行し、ビデオカメラ700本体が静止状態であるか否かを判定する(ステップS803)。ステップS803における静止状態判定処理は、上記第1の実施の形態と同様に行われる(図3参照)。
次いで、記録装置振動判定装置113において記録装置振動判定処理を実行し、ビデオカメラ700本体に内蔵する記録装置104が駆動状態であるか否かを判定する(ステップS804)。ステップS804における記録装置振動判定処理は、上記第1の実施の形態と同様に行われる(図4参照)。
次いで、焦点距離判定装置703において焦点距離読み込み処理を実行し、エンコーダ702の出力信号が示すズームレンズ701の位置情報から焦点距離情報を読み込む(ステップS805)。
そして、補正制御装置705において補正制御設定処理を実行し、ステップS803の静止状態判定処理の判定結果、ステップS804の記録装置振動判定処理の判定結果、及びステップS805の焦点距離読み込み処理の読み込み焦点距離情報から、可変HPF110の遮断周波数を設定する(ステップS806)。ステップS806における補正制御設定処理の詳細については後述する。
次いで、可変HPF110において可変HPF処理を実行し、ステップS802においてHPF109から出力されたブレ信号に対して、ステップS806の補正制御設定処理において設定された遮断周波数によって所定の周波数帯域制限を施す(ステップS807)。
そして、積分器111において積分処理を実行し、ステップS807において周波数帯域制限が施されたブレ信号を積分し、角変位信号を算出する(ステップS808)。
次いで、補正制御装置705及び補正信号スイッチ705によって、設定された補正量出力処理を実行し(ステップS809)、本処理を終了する。ステップS809の設定された補正量出力処理においては、補正制御装置705が補正信号スイッチ704を切り替えて、ステップS808の積分処理で算出した角変位信号、又は像ぶれ補正OFF時に設定されるぶれ補正中心値をマイクロコンピュータ107からぶれ補正目標値として出力する。補正制御装置705は、補正信号スイッチ704の切り替えを、ステップS803の静止状態判定処理の判定結果、ステップS804の記録装置振動判定処理の判定結果、及びステップS805の焦点距離読み込み処理における読み込み焦点距離情報に基づいて行う。尚、ぶれ補正目標値としてぶれ補正中心値を出力した場合は、像ぶれ補正OFFと同じ状態となる。
ステップS809において出力されたぶれ補正目標値はカメラ信号処理回路103に供給される。そして、前述したとおり図示しないメモリにおいて、切り出したエリアを全撮像画素内で上下左右に移動させる。これにより、ビデオカメラ700本体の像ぶれにより起因する像ぶれの電子的な補正が可能なる。尚、ぶれ補正目標値としてぶれ補正中心値が出力され場合は、像ぶれ補正OFFと同じ状態になり、像ぶれの補正動作は行われない。
ここで、出力するぶれ補正目標値を切り替える補正信号スイッチ704について図10を用いて説明する。図10は、補正信号スイッチ704の概略構成を示す回路図である。
図10に示すように、補正信号スイッチ704は、接点a、接点b、及び接点cを有する切り替えスイッチ704aを備える。切り替えスイッチの接点aには積分器111の出力が入力され、切り替えスイッチの接点bには所定の目標値が入力される。切り替えスイッチの接点bに入力される上記所定の目標値としては、上記ぶれ補正中心値が設定されている。また、接点cには補正制限装置705が接続されている。切り替えスイッチ704aは、補正制御装置705からコントロール信号が接点cに供給されることによって、接点a及び接点bの入力のいずれかを選択可能に構成されている。切り替えスイッチ704aによって選択された入力は振れ補正目標値として出力される。
次いで、図8の処理のステップS806において実行される補正制御設定処理について図9を用いて説明する。
本処理は、補正制御装置705が、静止判定装置112及び記録装置振動判定装置の113の各判定結果、並びに焦点距離判定装置703の読み込み焦点距離情報に基づき、可変HPF110の遮断周波数の設定、及び補正信号スイッチ704の切り替えを行うものである。
まず、静止判定装置112の判定結果(図3参照)からビデオカメラ700本体が静止状態であるか否かの判定を行う(ステップS901)。ビデオカメラ700本体が静止状態でない場合は、ビデオカメラ700を手持ちにして撮影している状態であるため、可変HPF110の遮断周波数を通常のぶれ補正制御時の値に設定し(ステップS908)、ステップS906の処理へ進む。ステップS906においては、補正信号スイッチ704の入力切り替えを行う処理を実行する。ステップS906においては、ビデオカメラ700本体が静止状態でない場合は、補正制御装置705は積分器111の出力を出力するように補正信号スイッチ704の入力を設定する(切り替える)。そして本処理を終了する。
ステップS901においてビデオカメラ700本体が静止状態であると判定された場合、可変HPF110の遮断周波数を静止時の値に設定する(ステップS902)。ステップS902においては、ビデオカメラ700本体が静止状態であり振れ補正を行う必要がないため、可変HPF110の遮断周波数は200[Hz]程度の高域側に設定し、振れ検出センサ105から出力される低域の周波数成分を通さなくする。
次いで、図8の処理のステップS805の焦点距離読み込み処理で読み込まれたレンズユニット101の焦点距離が予め設定された所定値以上(所定の距離以上)であるか否かを判定する(ステップS903)。焦点距離が上記所定値より小さい場合はステップS907の処理へ進む。ステップS907の処理は、補正信号スイッチ704の入力切り替えを行う処理であり、焦点距離が上記所定値より小さい場合は、補正信号スイッチ704の入力を積分器111の出力から上記所定の値(ぶれ補正中心値)に切り替える。この場合は、振れ補正手段(例えば、上記図示しないメモリにおける切り出しエリアやシフトレンズ)が光軸中心となるように、補正信号スイッチ704の入力(振れ補正目標値)がぶれ補正中心値に設定される。振れ補正手段を光軸中心に固定する理由は、電子的な振れ補正を行う機器では読み込まれた撮像素子内を移動する上記エリアの静止した位置が画素ピッチの画素間にあるよりも整数画素の位置に停止していた方が、解像度が向上するためである。
ステップS903において、焦点距離が上記所定値以上(所定の距離以上)であった場合は、ビデオカメラ700本体に内蔵される記録装置104が駆動中であるか否かを判定する(ステップS904)。記録装置104が駆動中でないと判定された場合は、ステップS907に進み、振れ補正手段の停止位置をぶれ補正中心値に設定する。
ステップS904において記録装置104が記録動作中であると判定された場合には、ビデオカメラ700本体に内蔵する記録装置104の回転駆動による振動を補正可能な遮断周波数を可変HPF110の遮断周波数に設定する(ステップS905)。具体的には、振れ検出センサ105から出力される低域の周波数成分を通さなくすることで、静止状態且つ焦点距離がテレ端寄り(上記所定の値以上)且つ記録装置104が駆動中に画像の揺らぎが発生することなく記録装置104の回転振動による画像のぶれが補正されることになる。
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態によれば、ビデオカメラ700本体が三脚等に固定された状態で、且つ焦点距離がテレ端寄り(上記所定の値以上)、且つ記録装置104が駆動中である場合には、手ぶれ周波数帯域の振れ補正を行わず、記録装置104の回転振動によって発生する機器本体の振れによる像ぶれを補正可能となる(ステップS905,906)。このように、記録装置104のDVDドライブ104aの振動によって生ずる機器本体の振動で発生する像ぶれの量を、テレ端寄りの焦点距離で撮影中であっても低減することが可能となる。また、機器本体が静止状態、且つ焦点距離が上記所定値より小さい場合、または、機器本体が静止状態、且つ焦点距離が上記所定値以上、且つ記録装置104が駆動状態でない場合は、振れ補正信号をぶれ補正中心値に切り替えるようにし(ステップS907)、撮影画像の解像度の劣化を防止することを可能にしている。このように、本発明の第2の実施の形態によれば、振れ補正の精度を向上させることができる。
また、上記本発明の実施の形態によれば、ビデオカメラのフレーム構造、及び外装のデザインの自由度を損なうことなく、各機構や外装設計の複雑化の解消、小型・軽量化にも効果がある。
また、本発明は、上述の本発明の第1及び第2の実施の形態に限定されるものではなく、その内容を逸脱しない範囲で様々な変更が可能なことは言うまでもない。