以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。先ず、図1には、本発明の流体封入式防振装置に係る一実施形態としての自動車用エンジンマウント10が示されている。この自動車用エンジンマウント10は、第一の取付部材としての第一の取付金具12と、第二の取付部材としての第二の取付金具14が、本体ゴム弾性体16で連結された構造とされている。そして、第一の取付金具12が図示しない自動車のパワーユニット側に取り付けられると共に、第二の取付金具14が図示しない自動車のボデー側に取り付けられる。これにより、パワーユニットが車両ボデーに対してエンジンマウント10を介して弾性的に支持されるようになっている。
なお、図1では、自動車に装着する前のエンジンマウント10の単体での状態が示されているが、自動車へのマウント装着状態では、パワーユニットの分担支持荷重がマウント軸方向(図1中、上下)に入力されることにより、第一の取付金具12と第二の取付金具14がマウント軸方向で相互に接近する方向に変位して、本体ゴム弾性体16が弾性変形する。また、かかる装着状態下、防振すべき主たる振動は、略マウント軸方向に入力されることとなる。以下の説明中、特に断りのない限り、上下方向は、マウント軸方向となる図1中の上下方向をいう。
より詳細には、第一の取付金具12は、逆有底円筒形状乃至は円柱形状を呈している。また、第一の取付金具12の中央部分には、上端面に開口する螺子穴18を備えており、図示しないパワーユニット側の部材が固定ボルトを介して螺子穴18に螺着固定されることにより、第一の取付金具12が、パワーユニットに固定的に取り付けられるようになっている。
また、第二の取付金具14は、大径の略段付き円筒形状を有しており、円環板形状の段部20の内周縁部から上方に向かって小径部22が延びていると共に、段部20の外周縁部から下方に向かって大径部24が延びている。小径部22の軸方向寸法が、大径部24の軸方向寸法に比して大きくされている。
これら第一の取付金具12と第二の取付金具14が、相互に同一中心軸上に配設されていると共に、第一の取付金具12が第二の取付金具14の小径部22側の開口部分と軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。第一の取付金具12と第二の取付金具14の間には、本体ゴム弾性体16が介装されている。
本体ゴム弾性体16は、全体として略裁頭円錐台形状を呈する厚肉のゴム弾性体であって、その下端中央部分には、下方に開口する逆すり鉢形状乃至は半球形状の大径凹所26が形成されている。本体ゴム弾性体16の上端部に対して第一の取付金具12の軸方向中間部から下端部に至る部分が埋め込まれるように加硫接着されていると共に、本体ゴム弾性体16の下端部の外周面に対して第二の取付金具14の小径部22の上端部分から軸方向中間部分にかけての内周面が重ね合わされて加硫接着されている。これにより、本体ゴム弾性体16が第一の取付金具12と第二の取付金具14を一体的に備えた一体加硫成形品として形成されていると共に、第二の取付金具14の一方(図1中、上)の開口部が本体ゴム弾性体16によって流体密に閉塞されている。また、第二の取付金具14の小径部22における軸方向中間部分から下端部分にかけての内周面には、本体ゴム弾性体16と一体形成された薄肉のシールゴム層28が全体に亘って被着形成されている。なお、本体ゴム弾性体16における大径凹所26の開口端面の外周縁部がシールゴム層28の内周面よりも軸直角方向内側に位置せしめられていることによって、本体ゴム弾性体16とシールゴム層28の境界部分には、円環形状の環状段差部30が形成されている。
また、第二の取付金具14の軸方向下側の開口部分には、仕切部材32が組み付けられている。仕切部材32は、全体として略円形ブロック形状を呈しており、仕切部材本体34、第一隔壁板36および第二隔壁板38を含んで構成されている。本実施形態では、仕切部材32は、アルミ合金やスチール等の金属材を用いて形成されているが、例えば硬質の合成樹脂材等で形成されても良い。
仕切部材本体34は、図2〜4にも示されているように、略円形ブロック形状を呈しており、仕切部材本体34の上端部分には、大径円環形状の外フランジ状部40が一体形成されている。また、仕切部材本体34の外周面が上方から下方に向かって径寸法が次第に小さくなるテーパ形状を有している。
仕切部材本体34の中央部分には、円形状の中央孔42が軸方向に延びるように形成され、仕切部材本体34の上下の端面を貫通している。中央孔42の軸方向略中央部分の周壁部には、円環形状の段差部44が形成されており、段差部44を挟んで中央孔42の上側部分の径寸法が、下側部分の径寸法に比して大きくされている。この中央孔42における小径の下側部分によって、本実施形態に係る透孔46が形成されている。
透孔46の下側開口部分には、ストッパ48が一体形成されている。ストッパ48は、透孔46の下端周縁部から軸直角内方に向かって所定の断面(本実施形態では矩形断面)で延び出して、透孔46の周縁部の全周に亘って形成されていることにより、仕切部材32において内フランジ状を呈している。なお、上述の説明からも明らかなように、仕切部材32(仕切部材本体34)の中央部分において透孔46が軸方向に延びるように形成されていると共に、仕切部材32における透孔46の周りの外周部分が、軸方向一方(図1中、上)から他方に向かって小径となるテーパ形状とされている。
仕切部材本体34における中央孔42の上側開口周縁部の周りや段差部44には、周方向に所定距離を隔てて複数の螺子穴50が設けられている。また、外フランジ状部40の径方向中間部分乃至は外周部分には、連通窓52が厚さ方向(図1中、上下)に貫設されている。
また、第一隔壁板36は、浅底の略円形皿状を呈しており、底部には、複数の小孔からなる第一連通孔58が貫設されている一方、上端周縁部には、円環形状の鍔状部60が一体形成されている。鍔状部60は、第一隔壁板36の底部よりも上方において底部と平行に延びている。なお、第一隔壁板36の底部の外径寸法が、仕切部材本体34の中央孔42の上側の大径部分の径寸法に比して大きくされていると共に、底部の外周部分において仕切部材本体34における中央孔42の上側開口周縁部の螺子穴50と対応する位置には、挿通孔64が貫設されている。
一方、第二隔壁板38は、浅底の略有底円筒形状を有していると共に、開口周縁部には、大径の外フランジ状部66が形成されている。換言すると、第二隔壁板38は、薄肉円板形状の中央部分に円形の凹所が形成された形態を有している。外フランジ状部66の外径寸法は、仕切部材本体34の外フランジ状部40の外径寸法と略同じとされていて、第一隔壁板36の鍔状部60の外径寸法に比して大きくされている。また、第二隔壁板38の周壁部の外径寸法が、仕切部材本体34の中央孔42の上側の大径部分の径寸法よりも僅かに小さくされている。更に、第二隔壁板38の周壁部の軸方向長さが、かかる大径部分の軸方向長さに比して小さくされている。また、第二隔壁板38の底部には、複数の小孔からなる第二連通孔68が貫設されている。更に、外フランジ状部66の径方向中間部分乃至は内周部分において仕切部材本体34における中央孔42の上側開口周縁部の螺子穴50や第一隔壁板36の挿通孔64と対応する位置には、挿通孔70が貫設されている。
この第二隔壁板38の周壁部が仕切部材本体34の中央孔42の上側開口部分に嵌め込まれて、第二隔壁板38の外フランジ状部66が仕切部材本体34の外フランジ状部40に重ね合わせられている。更に、第一隔壁板36の底部の外周部分が第二隔壁板38の外フランジ状部66の径方向内周部分乃至は中間部分に重ね合わせられると共に、仕切部材本体34の螺子穴50と第二隔壁板38の挿通孔70と第一隔壁板36の挿通孔64とが軸方向で互いに重なり合う位置に配されて、固定用ボルトが第一および第二隔壁板36,38の挿通孔64,70を貫通して仕切部材本体34の螺子穴50に螺着固定されている。これにより、仕切部材本体34の中央孔42の上側開口部が第一及び第二隔壁板36,38で覆われた形態をもって、仕切部材32が構成されている。なお、第二隔壁板38の底部と仕切部材本体34における中央孔42の段差部44が、軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。
また、第一隔壁板36の鍔状部60と第二隔壁板38の外フランジ状部66が軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられており、これら鍔状部60の下端面と第一隔壁板36の周壁部の外周面と外フランジ状部66の上端面が協働して、仕切部材32の外周部分を径方向外方に向かって凹状に開口する断面で周方向の全周に亘って連続して延びる周溝62を形成している。
さらに、第二隔壁板38の開口部分が第一隔壁板36の底部で覆蓋せしめられることによって、第一隔壁板36の底部中央と第二隔壁板38の中央部分の間には、軸方向に略一定の円形断面で延びる円形領域72が形成されている。
このような仕切部材32が第二の取付金具14の下側開口部から軸方向に差し入れられ、第一隔壁板36の鍔状部60が本体ゴム弾性体16の環状段差部30に重ね合わされると共に、第二隔壁板38の外フランジ状部66の外周部分が、第二の取付金具14のシールゴム層28を介して段部20に重ね合わせられている。これにより、仕切部材32の第二の取付金具14に対する軸方向の挿入端が規定されている。
仕切部材32の下方には、可撓性膜としてのダイヤフラム74が配設されている。ダイヤフラム74は、充分な弛みを有する薄肉の円形ゴム膜で形成されている。また、ダイヤフラム74の外周縁部には、固定金具76が加硫接着されている。固定金具76は、大径リング状の下端部分に径方向内方に延び出す内フランジ状部が一体的に設けられた形態を有している。固定金具76の内周縁部にダイヤフラム74の外周縁部が加硫接着されていると共に、固定金具76の内周面にはダイヤフラム74と一体成形された薄肉のシールゴム層78が略全面に亘って加硫接着されている。
固定金具76が第二の取付金具14の下側(大径部24側)の開口部から軸方向に内挿されて、固定金具76の上端部がシールゴム層78を介して第二の取付金具14の段部20の内周部分に軸方向で重ね合わされていると共に、固定金具76の下側の内周縁部がシールゴム層78を介して仕切部材本体34の外フランジ状部40の外周部分に軸方向で重ね合わされている。
さらに、第二の取付金具14には、円筒形状のブラケット部材80が外挿固定されており、かかるブラケット部材80を利用して、仕切部材32とダイヤフラム74が第二の取付金具14に固定されている。即ち、ブラケット部材80は、厚肉の略円筒形状を有する中間筒金具82と中間筒金具82の軸方向両端部に重ね合わせられた円環板形状の端部板金具84a,84bとを含んで構成されており、それら金具82,84a,84bが軸方向で合わせられて相互にボルト固定されるようになっている。この上側の端部板金具84aと中間筒金具82の軸方向間に第二の取付金具14の段部20およびダイヤフラム74の固定金具76が嵌め込まれて、端部板金具84aと中間筒金具82のボルト固定に基づきブラケット部材80が第二の取付金具14に固定されている。また、端部板金具84aと中間筒金具82のボルト固定に伴い、第二の取付金具14の段部20と固定金具76が軸方向に挟圧配置されて、第一隔壁板36の鍔状部60と本体ゴム弾性体16の環状段差部30や、第二隔壁板38の外フランジ状部66の外周部分と第二の取付金具14の段部20の径方向内周部分乃至は中間部分、固定金具76の上端部分と段部20の外周部分が、それぞれシールゴム層28,78等を介して流体密に重ね合わせられている。これにより、ブラケット部材80の第二の取付金具14への固定に基づいて、仕切部材32とダイヤフラム74が第二の取付金具14に固定的に組み付けられていると共に、仕切部材32およびダイヤフラム74によって、第二の取付金具14の下側開口部が流体密に閉塞されている。また、ブラケット部材80が図示しない車両ボデー側の部材に固定されることで、第二の取付金具14が車両ボデーに対して固定的に取り付けられるようになっている。
このようにして仕切部材32とダイヤフラム74が第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に組み付けられることにより、仕切部材32を挟んだ軸方向一方(図1中、上)の側において、本体ゴム弾性体16の大径凹所26が仕切部材32で閉塞された領域には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成されて振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室86が形成されている。また、仕切部材32を挟んだ軸方向他方(図1中、下)の側には、壁部の一部がダイヤフラム74で構成されて容積変化が容易に許容される平衡室88が形成されている。これら受圧室86と平衡室88には、非圧縮性流体が封入されている。封入される非圧縮性流体としては、例えば水やアルキレングリコール、ポリアルキレングリコール、シリコーン油等が採用されるが、特に流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果を有効に得るためには、0.1Pa・s以下の低粘性流体を採用することが望ましい。また、受圧室86や平衡室88への非圧縮性流体の封入は、例えば、第一及び第二の取付金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の一体加硫成形品に対する仕切部材32やダイヤフラム74の組み付けを非圧縮性流体中で行うことによって、好適に実現される。また、上述の説明からも明らかなように、仕切部材32(仕切部材本体34)における透孔46の周りのテーパ形状を有する外周部分によって、平衡室88の壁部の一部が構成されている。
仕切部材32が第二の取付金具14に組み付けられることに伴い、仕切部材32の周溝62の開口部分が、第二の取付金具14に被着されたシールゴム層28を介して第二の取付金具14の内周面に流体密に重ね合わされることによって、周溝62が流体密に閉塞されている。これにより、第二の取付金具14の内周面や周溝62の壁面が協働して、仕切部材32の外周部分を周方向に所定の長さで延びる第一のオリフィス通路90が形成されている。第一のオリフィス通路90の一方の端部が、第一隔壁板36の周壁部に貫設された図示しない連通窓を通じて受圧室86に接続されていると共に、第一のオリフィス通路90の他方の端部が、軸方向で互いに位置合わせされた第二隔壁板38に貫設された連通窓と仕切部材本体34の連通窓52を通じて平衡室88に接続されている。それによって、受圧室86と平衡室88が第一のオリフィス通路90を通じて相互に連通せしめられて、それら両室86,88間で、第一のオリフィス通路90を通じての流体流動が許容されるようになっている。特に本実施形態では、第一のオリフィス通路90を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、例えば、該流体の共振作用に基づいてエンジンシェイク等に相当する10Hz前後の低周波数域の振動に対して有効な防振効果(高減衰効果)が発揮されるようにチューニングされている。
さらに、仕切部材32の透孔46には、加振板92が配設されている。加振板92は、図5,6にも示されているように、薄肉の略円板形状を有していると共に、硬質の合成樹脂材や金属材等を用いて形成されている。加振板92の中央部分には、小径の円筒形状を有するボス状突部94が上方に向かって突設されており、ボス状突部94の内孔が加振板92の下端面に開口していることによって、加振板92の中心軸上に挿通孔96が形成されている。また、加振板92の外周縁部には、軸方向下方に向かって突出する略円筒形状のリム状突部98が一体形成されている。
このような加振板92のリム状突部98が仕切部材32の透孔46の周壁部に沿って配設されて、加振板92と透孔46が同軸的に配されている。そして、加振板92が、仕切部材本体34の中央孔42の上側開口部を覆蓋せしめる第二隔壁板38の底部と軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。ここで、リム状突部98を備えた加振板92の外周部分と透孔46の周壁部の間には、全周に亘って微小な隙間100が形成されており、かかる隙間100の存在によって加振板92の軸方向変位が好適に許容されるようになっている。
また、仕切部材32における加振板92と第二隔壁板38の間の領域が、第一及び第二隔壁板36,38に貫設された第一及び第二連通孔58,68や第一隔壁板36と第二隔壁板38の間の円形領域72を通じて受圧室86と相互に連通せしめられており、当該領域にも受圧室86と同一の非圧縮性流体が封入されている。即ち、加振板92と第二隔壁板38の間の領域には、第一及び第二連通孔58,68や円形領域72を通じて受圧室86の圧力が及ぼされることから、当該領域が受圧室86の一部として機能する。このことからも明らかなように、受圧室86において本体ゴム弾性体16と異なる壁部の別の一部が、加振板92で構成されている。
換言すれば、仕切部材32において可動板108を収容配置した第一及び第二隔壁板36,38を挟んだ一方の側(図1中、上)には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された主液室102が形成されていると共に、可動板108を収容配置した第一及び第二隔壁板36,38挟んだ他方の側(図1中、下)には、壁部の一部が加振板92で構成された副液室104が形成されており、これら主液室102と副液室104を含んで受圧室86が構成されている。主液室102と副液室104は、第一及び第二隔壁板36,38に形成された第一及び第二連通孔58,68や円形領域72を含んでなるフィルタオリフィスを通じて相互に連通せしめられている。また、加振板92が副液室104と平衡室88を仕切るように仕切部材32の透孔46に配されていることによって、主液室102および副液室104からなる受圧室86の圧力が、加振板92の一方(図1中、上)の面に及ぼされるようになっていると共に、平衡室88の圧力が加振板92の他方(図1中、下)の面に及ぼされるようになっている。
特に本実施形態では、上述の第一及び第二連通孔58,68や円形領域72からなるフィルタオリフィスを通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、加振板92による能動的な防振効果を得ようとする、中速乃至は高速こもり音等に相当する80〜100Hz程度の高周波数域にチューニングされている。
また、仕切部材32の円形領域72には、可動部材としての可動板108が収容配置されている。この可動板108は、円形領域72よりも一回り小さな略円板形状を有していると共に、ゴム弾性体を用いて形成されている。円形領域72の周壁部、即ち第二隔壁板38の周壁部と可動板108の外周縁部との間には、全周に亘って隙間が設けられている。また、可動板108の厚さ寸法が、円形領域72の軸方向寸法に比して小さくされている。そして、可動板108の一方(図1中、上)の面には、第一隔壁板36の第一連通孔58を通じて主液室102の圧力が及ぼされるようになっていると共に、可動板108の他方(図1中、下)の面には、第二隔壁板38の第二連通孔68を通じて副液室104の圧力が及ぼされるようになっている。これにより、可動板108が、主液室102と副液室104の相対的な圧力差に基づいて、円形領域72内を軸方向に変位可能とされている。
なお、可動板108の中央部分には、案内軸部110,110がそれぞれ軸方向両側の外方に向かって突設されており、可動板108が円形領域72に収容配置される際に、各案内軸部110が、円形領域72の上壁部を構成する第一隔壁板36と下壁部を構成する第二隔壁板38の各中央部分に貫設された挿通孔を変位可能に挿通せしめられることによって、可動板108の円形領域72に対する軸直角方向の位置決めがされて、可動板108の中心軸が略エンジンマウント10の中心軸(マウント軸)上に位置せしめられている。また、可動板108の両面が凹凸形状を有していることで、可動板108の第一隔壁板36および第二隔壁板38への打ち当たり部分が小さくされていることに基づき打音が抑えられることに加えて、可動板108の有効面積が大きく確保されていることにより、第一及び副液室102,104の圧力が可動板108に効率的に及ぼされるようになっている。
特に本実施形態では、可動板108の共振周波数が、アイドリング振動や中速こもり音等の中周波数域にチューニングされており、加振板92の加振周波数の高い領域やフィルタオリフィスの共振周波数に比して低い周波数域に設定されている。
また、ダイヤフラム74の中央部分には、連結ロッド112が加硫接着されている。連結ロッド112は、軸方向に延びる硬質のロッド状部材であり、軸方向一方(図1中、上)の端部には、一方の端面に開口する螺子穴114が設けられていると共に、軸方向他方の側は、軸方向に長く延びており、その先端部分に雄螺子部116が形成されている。また、連結ロッド112の軸方向中間部分には、径方向外方に広がる鍔部118が一体形成されていて、鍔部118の表面の略全体に亘ってダイヤフラム74の中央部分が加硫接着されている。これにより、連結ロッド112本体がダイヤフラム74の中央部分を貫通する形態をもってダイヤフラム74に加硫接着されている。
第二の取付金具14の下方には、加振板92を加振駆動する電磁式アクチュエータ120が配設されている。本実施形態に係る電磁式アクチュエータ120には、公知の構造のものが採用可能であり、例えば特開2003−339145号公報に開示される如きアクチュエータ等が採用され得ることから、その詳細な説明を省略するが、可動子としての駆動部材122の外周側に固定子としてのヨーク部材124が離隔配置されている。また、ヨーク部材124にコイル126,127と永久磁石128が組み付けられて、コイル126,127への通電により駆動部材122とヨーク部材124の間に生ぜしめられる電磁力の作用によって、駆動部材122が固定子(ヨーク部材124)に対して軸方向に駆動せしめられるようになっている。
具体的に、ヨーク部材124は、強磁性材からなる積層鋼板によって形成されており、図面に明示されていないが、環状の外周磁路から内周面上に一対の磁極部130,130が軸直角方向の一方向で対向して突設された構造を有している。また、一対の磁極部130,130には、それぞれの突出先端部分の外周に巻き付けられるようにしてコイル126,127が装着されている。各コイル126,127の周りは、電気絶縁層132で被覆されている。更に、ヨーク部材124における一対の磁極部130,130の内周面には、積層鋼板の積層方向に沿って重ね合わされた4つの永久磁石128が固着されている。永久磁石128の内周面にSN両極の一方が着磁されていると共に、永久磁石128の外周面にSN両極の他方が着磁されており、それら4つの永久磁石128の磁極が重ね合わせ方向で交互に異ならされている。本実施形態では、各コイル126,127の軸方向略中央に収容状態で、各4つの永久磁石128が配設されている。
ヨーク部材124の外周側には、電磁式アクチュエータ120のハウジング136が設けられている。ハウジング136は、軸方向に延びる大径の筒状部138と筒状部138の上端部分に固定されて周方向に広がる略円環板形状の環状板部140とを含んで構成されている。そして、ヨーク部材124が、筒状部138の内側に収容され、且つ一対の外側筒状ワッシャ(スペーサ)141,141で軸方向に挟み込まれた形態で、長軸状の固定用ボルト139を軸方向に貫通せしめて、先端にナット135を締め付けることにより、環状板部140に対して吊り下げ状態で固定的に支持されている。
ハウジング136には、リード線142が設けられていて、リード線142の一方の端部がハウジング136の内部においてコイル126,127に接続されていると共に、リード線142の他方の端部がハウジング136の外周面から外部に延びて電源装置144に接続されている。これにより、電源装置144からリード線142を通じてコイル126,127に通電可能となっている。なお、電源装置144には、例えば、装着される自動車の電気系統の電源等が採用される。
一方、ヨーク部材124の内側には、駆動部材122が設けられている。駆動部材122は、長手筒状の駆動ロッド154や複数の磁性プレート155、駆動ロッド154よりも大径円筒形状の複数の内側筒状ワッシャ(スペーサ)156を含んで構成されている。駆動ロッド154の上部には径方向外方に広がるカラー158が一体形成されている。
磁性プレート155は板形状を有する強磁性材からなり、その中央に挿通孔が形成されている。この挿通孔の内径寸法が駆動ロッド154よりも僅かに大きくされている。また、磁性プレート155の両端縁部の長さ(図1中の左右方向の長さ)は、軸直角方向で対向位置せしめられた一対の永久磁石128,128の対向面間距離に比して所定量だけ小さくされている。また、各内側筒状ワッシャ156の外径寸法は、コイル126,127の軸直角方向の対向面間距離に比して小さくされている。
磁性プレート155の3つが軸方向で重ね合わされたものの一対が中央の内側筒状ワッシャ156bを挟んで軸方向で対向位置せしめられ、且つ各磁性プレート155の重ね合わせ構造体の軸方向外方にそれぞれ内側筒状ワッシャ156a,156cが重ね合わされた形態で、磁性プレート155や内側筒状ワッシャ156a,b,cが駆動ロッド154に外挿されている。これにより、磁性プレート155が駆動ロッド154から軸直角方向外方に突設されており、磁性プレート155における軸直角方向の突出先端部(外周の両端縁部)が、各コイル126,127の軸方向中間部分に位置せしめられていると共に、永久磁石128と軸直角方向で対向位置せしめられている。また、磁性プレート155の3つが軸方向で重ね合わされたものの一対における軸方向の離隔距離は、各コイル126,127の内径寸法に比して小さくされている。
また、連結ロッド112における鍔部118を挟んで螺子穴114と反対側が駆動ロッド154に内挿されており、駆動ロッド112から軸方向外方に突出せしめられた連結ロッド112の先端部分の雄螺子部116に対して、円環形状のスペーサ159が外挿装着されていると共に、固定用ナット160が螺着固定されている。この固定用ナット160が連結ロッド112に螺着される固定力に基づき、各磁性プレート155と各内側筒状ワッシャ156が、駆動ロッド154のカラー158と固定用ナット160の間で軸方向に挟圧されて、駆動ロッド154に固定されている。
さらに、駆動部材122とヨーク部材124の間には、複数の支持板ばね146が配設されている。支持板ばね146は、図7,8にも示されているように、ばね鋼等によって形成された薄肉の円環板形状を有しており、中央部分に円形状の中央孔147が設けられている。また、支持板ばね146の径方向中間部分には、肉抜き部分としてのスリット148が複数形成されており、スリット148の形状や大きさ、数、位置等が適宜に設計変更されることによって、支持板ばね146の実質的な有効ばね長を調節し、ばね特性をチューニングすることが可能とされている。また、支持板ばね146の外周部分には、ボルト挿通孔150の複数が貫設されている。特に本実施形態では、複数のスリット148と複数のボルト挿通孔150がそれぞれ同一形態とされていると共に、それぞれ周方向で等間隔に形成されていることから、支持板ばね146の周方向の位置決めが不要とされている。
これら支持板ばね146の少なくとも一つがコイル126,127を挟んだ軸方向一方の側(図1中、上)に位置せしめられて、支持板ばね146の中央孔147に駆動ロッド154が内挿されて、支持板ばね146の内周部分が、駆動ロッド154のカラー158と内側筒状ワッシャ156の間に挟圧固定されて、駆動部材122に支持されている。また、支持板ばね146の少なくとも一つがコイル126,127を挟んだ軸方向他方の側(図1中、下)に位置せしめられて、支持板ばね146の中央孔147に駆動ロッド154が内挿されて、支持板ばね146の内周部分が、内側筒状ワッシャ156とスペーサ159の間に挟圧固定されて、駆動部材122に支持されている。
また、各支持板ばね146の外周部分に形成された挿通孔150には、ヨーク部材124をハウジング136に固定する固定用ボルト139が挿通されている。この支持板ばね146の外周部分が、リング状ワッシャ161を介して外側筒状ワッシャ141と環状板部140の間や、また別のリング状ワッシャ161を介して外側筒状ワッシャ141とナット135の間に挟み込まれて、固定用ボルト139とナット135の螺着固定に基づき、各支持板ばね146の外周部分が軸方向に挟圧固定されて、ヨーク部材124に支持されている。
これにより、駆動部材122の軸方向両側が、軸直角方向に広がる支持板ばね146によって弾性支持されており、駆動部材122が、ヨーク部材124を備えたハウジング136と同軸的に配置され、且つヨーク部材124の内側で軸方向に変位可能に支持せしめられている。また、磁性プレート155の3つが軸方向で隣り合うように重ね合わされたものの一対が、ヨーク部材124の永久磁石128と軸直角方向に僅かな隙間を隔てて対向位置せしめられている。
特に本実施形態では、駆動部材122の軸方向両側を支持せしめる支持板ばね146が、各軸方向一方の側で、それぞれ2枚採用されて、駆動部材122の軸方向に対して密接状態で重ね合わせられている。また、各支持板ばね146に形成されたスリット148が軸方向で投影する位置に配されていることによって、各スリット148が相互に連通する状態で重ね合わせられている。
また、ハウジング136の筒状部138の開口部分には皿状の蓋部材163が組み付けられており、筒状部138の開口部分が覆蓋せしめられている。これにより、電磁式アクチュエータ120の内部にある駆動部材122やヨーク部材124が、筒状部138や蓋部材163によって外部に対して保護せしめられている。
このような電磁式アクチュエータ120におけるハウジング136の環状板部140の外周部分の下端面が、ブラケット部材80の下側の端部板金具84bの内周部分の上端面に重ね合わせられて、ボルト固定されている。それによって、電磁式アクチュエータ120がブラケット部材80を介して第二の取付金具14に固定的に支持されている。
また、前述の如く、連結ロッド112における鍔部118を挟んで螺子穴114と反対側が駆動ロッド154に内挿されて、連結ロッド112の先端部分が固定用ナット160に螺着固定されていることにより、連結ロッド112と駆動ロッド122が、マウント10の略中心軸上で相互に連結されている。
さらに、連結ロッド112の上端面が加振板92の中央部分の下端面に重ね合わせられて、固定用ボルト162が、加振板92のボス状突部94の上方から挿通孔96に挿通せしめられて、連結ロッド112の螺子穴114に螺着固定されている。それによって、電磁式アクチュエータ120の駆動部材122が、連結ロッド112を介して加振板92に固定されている。換言すれば、加振板92が、電磁式アクチュエータ120を介して第二の取付金具12に支持されているのである。なお、上述の説明からも明らかなように、電磁式アクチュエータ120が加振板92を挟んで受圧室86と反対側に位置せしめられている。また、ダイヤフラム74を貫通して加振板92に連結される出力部材が、駆動部材122や連結ロッド112を含んで構成されている。
このような電磁式アクチュエータ120におけるコイル126,127に対して磁極部130の径方向の軸周りの一方に向かって通電することにより、ヨーク部材124の径方向内方にN極が発生すると共に、径方向外方にS極が発生する。また、コイル126,127に対して逆向きに通電すると、駆動部材122に組み付けられた複数の永久磁石128のN極とS極が交互に一方を弱められ、他方を強めることとなる。その結果、駆動部材122に対して軸方向の一方に向かう力と他方に向かう力が交互に作用せしめられて、駆動部材122が、非通電状態下での釣り合い位置(図1に示される如き状態、位置)から軸方向両側に往復駆動せしめられる。かかる駆動部材122の往復駆動に伴い、加振板92が仕切部材32の透孔46内を軸方向に加振駆動せしめられる。
特に本実施形態では、加振板92の上端部分に突設されたボス状突部94が、板ばね164を介して仕切部材32に連結されている。この板ばね164は、図9にも示されているように、ばね鋼等によって形成された薄肉の円環板形状を有しており、中央部分に円形状の中央孔165が設けられている。板ばね164の内径寸法が加振板92のボス状突部94の外径寸法よりも小さくされている一方、板ばね164の外径寸法が、仕切部材32の中央孔42の段差部44の外径寸法に比して僅かに小さくされている。また、板ばね164の径方向中間部分には、肉抜き部分としてのスリット166が板厚方向に貫通して複数形成されていると共に、外周部分において仕切部材32の中央孔42の段差部44に形成された螺子穴50と対応する位置には、ボルト挿通孔168の複数が形成されている。本実施形態では、各3つのスリット166とボルト挿通孔168が、それぞれ周方向に等間隔に形成されている。
かかる板ばね164の中央孔165と加振板92の挿通孔96が軸方向で互いに投影する位置に重ね合わせられて、固定用ボルト162が中央孔165および挿通孔96を通じて連結ロッド112の螺子穴114に螺着固定され、板ばね164の内周部分が固定用ボルト162の頭部とボス状突部94の間に挟圧配置されている。また、板ばね164の外周部分が中央孔42の段差部44に載置されると共に、板ばね164のボルト挿通孔168が段差部44の螺子穴50に位置合わせされて、板ばね164の外周部分が仕切部材本体32にボルト固定されている。これにより、板ばね164が加振板92を挟んで電磁式アクチュエータ120と反対側で軸直角方向に広がるように配設されて、かかる板ばね164により、加振板92が仕切部材32に対して軸方向で弾性的に連結支持せしめられている。即ち、駆動部材122により加振板92が軸方向に駆動せしめられることに伴い、板ばね164も軸方向に弾性変形することによって、加振板92が仕切部材32の透孔96を軸方向に変位可能とされていると共に、加振板92が、板ばね164によって軸直角方向に位置決めされている。その結果、本実施形態に係る加振板92は、電磁式アクチュエータ120の出力部材および板ばね164によって仕切部材32に対して軸方向両側で軸直角方向に位置決め支持されている。
また、板ばね164のスリット166を通じて板ばね164と加振板92の間の領域にも、板ばね164と第二隔壁板38の間の領域と同様に、非圧縮性流体が封入せしめられることとなり、副液室104の一部とされている。
ここで、仕切部材32の透孔46の下側開口部に形成されたストッパ48と加振板92のリム状突部98における下方に延びる突出先端部分とが、加振板92の駆動方向となる軸方向で対向位置せしめられている。加振板92およびリム状突部98の外径寸法が、透孔46の径寸法に比して小さくされていると共に、加振板92の外周縁部およびリム状突部98の外周縁部が、仕切部材32におけるストッパ48の突出側基端部よりも軸直角方向内側に位置せしめられていることによって、加振板92の外周面と透孔46の内周面の間に形成される隙間100が、略一定の矩形断面で周方向に連続して延びている。隙間100の軸方向長さは、特に限定されるものでないが、本実施形態では、透孔46の軸方向長さの1/4〜2/3とされている。また、リム状突部98の内周縁部が、ストッパ48の内周縁部よりも軸直角方向外方に位置せしめられている。
特に本実施形態では、ストッパ48において加振板92のリム状突部98と向かい合う面に緩衝部材としての緩衝ゴム層170が被着形成されている。緩衝ゴム層170は、図10にも示されているように、略円環形状を有していると共に、ゴム弾性体を用いて形成されている。この緩衝ゴム層170の下端面が、ストッパ48における加振板92の対向面に重ね合わされていると共に、緩衝ゴム層170の外周面が、透孔46の内周面に重ね合わされており、各重ね合わせ面が加硫接着等で仕切部材32に固定されている。また、緩衝ゴム層170の内周縁部が、ストッパ48の内周縁部と軸直角方向で略同じ位置に位置せしめられていて、リム状突部98の内周縁部よりも軸直角方向内側に位置せしめられている。これにより、緩衝ゴム層170の上端面が、リム状突部98においてストッパ48と対向する下端面よりも、大きな面積をもってかかる下端面と軸方向で対向位置せしめられている。
また、緩衝ゴム層170には、凹所172が設けられている。凹所172は、緩衝ゴム層170の軸方向中間部分乃至は下端部分から上端面に向かって略矩形凹状に開口する断面で径方向に連続して延びており、径方向の両端面(部)が緩衝ゴム層170の内周縁部と外周縁部にまでそれぞれ延びている。即ち、凹所172の径方向内方の端部が、加振板92の外周縁部や加振板92のリム状突部98の外周縁部よりも径方向内方に位置せしめられている一方、凹所172の径方向外方の端部が、加振板92の外周縁部やリム状突部98の外周縁部よりも径方向外方に位置せしめられて、且つ加振板92と透孔46の間の隙間100と軸方向で対向位置せしめられている。特に本実施形態では、また、凹所172が周方向で等間隔に複数(本実施形態では4つ)設けられている。緩衝ゴム層170の周方向に広がる凹所172の幅寸法は、特に限定されるものでなく、本実施形態では、周方向で隣り合う凹所172の周方向間の離隔距離よりも小さくされている。
加振板92が透孔46の軸方向中間部分に位置せしめられて、板ばね164が略円板形状に保たれた状態(図1参照。)や、加振板92が透孔46内を軸方向に加振駆動する状態では、加振板92と透孔46の間の隙間100の軸方向両端が、透孔46内で開口せしめられている。
一方、図11にも示されているように、加振板92が受圧室86側(副液室104側)から平衡室88側に向かって変位して、リム状突部98が緩衝ゴム層170を介してストッパ48に重ね合わせられると、加振板92の軸方向一方(図1,11中、下)の変位端が規定される。このことからも明らかなように、本実施形態に係るストッパ48は、透孔46において加振板92が受圧室86側から平衡室88側に向けて変位する側に設けられている。
そこにおいて、加振板92(リム状突部98)が緩衝ゴム層170を介してストッパ48に軸方向で重ね合わされた状態では、リム状突部98の下端面が緩衝ゴム層170の径方向中間部分の上端面に対して、全周に亘って流体密に重ね合わされている。これにより、緩衝ゴム層170の各凹所172の径方向中間部分が流体密に閉塞されて、リム状突部98の下端面と凹所172の壁面が協働して緩衝ゴム層172を径方向にトンネル状に延びる連通路174を構成している。連通路174は、凹所172の径方向中間部分がリム状突部98で覆蓋せしめられた数(本実施形態では、4つ)だけ形成されている。連通路174の径方向外方の端部が、凹所172の径方向外周側に接続されていると共に、連通路174の径方向内方の端部が、加振板92を挟んで副液室104と反対側に位置する平衡室88に開口している。
また、加振板92(リム状突部98)が緩衝ゴム層170を介してストッパ48に軸方向で重ね合わされることに伴い、加振板92の外周面と透孔46の内周面との間における隙間100の下方の開口端面が、緩衝ゴム層170の径方向外周側の上端面に重ね合わされていると共に、連通路174の径方向外方に位置せしめられた凹所172の外周縁部(面)に重ね合わされている。
その結果、加振板92のリム状突部98とストッパ48の緩衝ゴム層170の当接部分において当接状態で発現される連通路174の複数と、加振板92の外周面と透孔46の内周面の間の隙間100が、相互に接続されており、これら隙間100と連通路174によって協働して第二のオリフィス通路176を構成している。即ち、加振板92とストッパ48の当接状態で第二のオリフィス通路176が発現されるのであり、第二のオリフィス通路176の一方の端部が、隙間100の上方の開口端面を通じて副液室104に接続されていると共に、第二のオリフィス通路176の他方の端部が、各連通路174の径方向内方の端面を通じて平衡室88に接続されている。それによって、副液室104と平衡室88の間で、第二のオリフィス通路176を通じての流体流動が許容されるようになっている。
特に本実施形態では、第二のオリフィス通路176を通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、例えば該流体の共振作用に基づいてアイドリング振動や低速こもり音等に相当する20〜40Hz程度の中周波数域の振動に対して有効な防振効果が得られるようにチューニングされている。即ち、第二のオリフィス通路176のチューニング周波数が、第一のオリフィス通路90のチューニング周波数に比して高周波数域に設定されていると共に、前述の第一及び第二連通孔58,68や円形領域72で構成されるフィルタオリフィスのチューニング周波数が、第一及び第二のオリフィス通路90,176に比して高周波数域に設定されている。 第一のオリフィス通路90や第二のオリフィス通路176、フィルタオリフィスのチューニングは、例えば、受圧室86や平衡室88の各壁ばね剛性、即ちそれら各室86,88を単位容積だけ変化させるのに必要な圧力変化量に対応する本体ゴム弾性体16やダイヤフラム74等の各弾性変形量に基づく特性値を考慮しつつ、各オリフィス通路の通路長さと通路断面積を調節することによって行うことが可能であり、一般に、オリフィス通路を通じて伝達される圧力変動の位相が変化して略共振状態となる周波数を、オリフィス通路のチューニング周波数として把握することが出来る。
なお、第二のオリフィス通路176の一部を構成する隙間100を通じての流体の共振周波数も、略20〜40Hz程度の中周波数域の振動に対して有効な防振効果が得られるように、通路長さや断面積等がチューニングされている。一方、加振板92の加振周波数が第二のオリフィス通路176のチューニング周波数に比して充分に高周波数域に設定されている。このことから、加振板92を透孔46内で軸方向に加振駆動せしめた際には、隙間100を通じての流体流動が殆ど生ぜしめられないようになっている一方、加振板92をストッパ48に当接させて静止させた状態下、第二のオリフィス通路176のチューニング周波数域の振動が入力された際には、隙間100および連通路174からなる第二のオリフィス通路176を通じての流体流動作用が有効に生ぜしめられるようになっている。
上述の如き構造とされた自動車用エンジンマウント10においては、エンジンシェイク等の低周波数域の振動が入力された際に、可動板108の共振周波数がかかる周波数よりも高周波数域に設定されていて、可動板108の変位が有効に生ぜしめられないことから、可動板108の変位による主液室102の圧力吸収が抑えられている。その結果、主液室102と平衡室88との相対的な圧力差が有利に生ぜしめられて、第一のオリフィス通路90を通じての流体流動量が充分に確保されることにより、かかる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が有効に発揮され得る。
また、例えば、パワーユニットのエンジン点火信号を参照信号とすると共に、車両ボデー等の防振すべき部材の振動検出信号をエラー信号として適応制御等のフィードバック制御を行うこと等によって、コイル126,127への通電を制御し、駆動部材122を軸方向に加振駆動せしめる。その結果、例えばエンジンシェイク等の低周波振動の入力時に、副液室104の圧力変動が可動板108の変位に基づき主液室102に及ぼされて、主液室102と平衡室88の間に圧力変動が有効に生ぜしめられるように加振板92を駆動制御せしめることによって、第一のオリフィス通路90による防振効果を一層有利に得ることも可能である。
また、本実施形態では、加振板92のボス状突部94に固定された固定用ボルト162の頭部と可動板108の案内軸部110が軸方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられている。そこで、例えば、加振板92を平衡室88側から受圧室86側に向かって駆動させて、案内軸部110を固定用ボルト162で押圧せしめ、可動板108を第一隔壁板36に当接した状態に保持せしめることも可能である。これにより、第一隔壁板36の第一連通孔58が可動板108で覆蓋されると共に、可動板108の変位が拘束せしめられることから、第二のオリフィス通路176を通じての流体の流動作用を実質的に生ぜしめないようにすること、即ち第二のオリフィス通路176を遮断状態にすることが可能となる。それ故、エンジンシェイク等の低周波数域の振動入力時に、第二のオリフィス通路176を遮断状態に保持しておくことで、受圧室86の第二のオリフィス通路176を通じての圧力漏れを確実に抑え、第一のオリフィス通路90による防振効果を一層効果的に得ることも出来る。
また、第一及び第二のオリフィス通路90,176のチューニング周波数域よりも高周波数域の中速乃至は高速こもり音等の高周波振動が入力された際に、第一及び第二のオリフィス通路90,176は実質的に目詰まり状態となる。ここで、かかる高周波振動の周期に対応した周波数で加振板92を加振駆動せしめることにより、主液室102および副液室104からなる受圧室86の内圧が制御されることとなり、当該高周波振動に対して積極的乃至は能動的な防振効果が有効に発揮され得る。
特に本実施形態では、第一及び第二連通孔58,68や円形領域72からなるフィルタオリフィスを通じて流動せしめられる流体の共振周波数が、加振板92による能動的な防振効果を得ようとする、中速乃至高速こもり音等の高周波数域にチューニングされていることと相俟って、加振板92の加振駆動に基づいて主液室102および副液室104に生ぜしめられる圧力変動が、フィルタオリフィスによる流体の共振作用等を利用して、効率的に伝達されるようになっている。そして、主液室102および副液室104の圧力変動が積極的に乃至は能動的に制御されることにより、本体ゴム弾性体16で連結された第一の取付金具12と第二の取付金具14の振動伝達特性が調節されて、目的とする防振効果が有利に発揮され得るのである。
そこにおいて、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10では、アイドリング振動等の中周波振動の入力時に、加振板92を受圧室86側から平衡室88側に向かって駆動変位せしめて、加振板92のリム状突部98を仕切部材32の緩衝ゴム層170に当接せしめて緩衝ゴム層170を介してストッパ48に重ね合わせた状態を保持している。これにより、加振板92とストッパ48の当接状態で発現される連通路174と、加振板92と透孔46の間の隙間100とが協働して、第二のオリフィス通路176が構成される。従って、主液室102の圧力変動が可動板108の変位に基づき副液室104に及ぼされて、副液室104と平衡室88の相対的な圧力差により、第二のオリフィス通路176を通じての流体流動量が確保される。特に、可動板108の共振周波数がアイドリング振動等の中周波振動にチューニングされていることで、可動板108の共振作用を利用して、副液室104の圧力変動をより有効に生ぜしめることが出来、それによって、第二のオリフィス通路176の流体流動が一層大きく確保される。それ故、第二のオリフィス通路176を通じての共振作用等の流動作用に基づく防振効果が効果的に得られる。
すなわち、本実施形態に係る第二のオリフィス通路176が、加振板92と透孔46の隙間100を利用して構成されることに加え、加振板92とストッパ48の当接状態で発現されることから、仕切部材32において第二のオリフィス通路176の形成スペースを常に確保しておく必要がなくなり、仕切部材32における第二のオリフィス176の形成スペースの小形化が図られ得る。
しかも、加振板92がストッパ48に当接して加振板92の変位が拘束されることに基づき、加振板92の変位に起因する受圧室86(副液室104)の圧力吸収が抑えられて、第二のオリフィス通路176を通じての流体流動量が充分に確保されると共に、第二のオリフィス通路176の形状や大きさが安定する。
特に本実施形態では、加振板92の外周縁部に軸方向に延びるリム状突部98が一体形成されていることによって、ピストン状の加振板92とシリンダ状の透孔46における対向部分の軸方向長さを大きく設定することが出来る。これにより、加振板92による有効ピストン面積が増大して、受圧室の圧力制御の効率が図られ得ると共に、隙間100の軸方向の通路長さが充分に確保されて、第二のオリフィス通路176のチューニング自由度の向上が図られ得る。
また、本実施形態では、加振板92が緩衝ゴム層170を介してストッパ48に重ね合わされるようになっていることから、緩衝ゴム層170の弾性作用を利用して、加振板92のストッパ48への打ち当たりに伴う打音の発生が抑えられる。また、特に、加振板92(リム状突部98)と緩衝ゴム層170が互いに対向する面において、緩衝ゴム層170の対向面が加振板92の対向面に比して大きくされていることから、加振板92が緩衝ゴム層170に安定して当接せしめられることに加え、加振板92を緩衝ゴム層170に対して食い込むように押圧せしめて、緩衝ゴム層170を軸方向に圧縮変形させつつ、加振板92に当接させることも可能となる。それによって、隙間100と連通路174の接続部分の流体密性が向上されて、第二のオリフィス通路176を通じての流体流動作用が有効に発揮され得る。
また、本実施形態では、加振板92の軸方向一方の側が板ばね164により仕切部材32を介して第二の取付金具14に支持されていると共に、加振板92の軸方向他方の側が電磁気式アクチュエータ120の出力部材を介して第二の取付金具14に支持されている。特に、電磁式アクチュエータ120の出力部材における駆動部材122の軸方向両側が支持板ばね146を介して第二の取付金具14に支持されている。これにより、加振板92の軸直角方向の変位だけでなくこじり変位も効果的に抑えられて、加振板92が第二の取付金具14に対して安定して位置決め支持せしめられる結果、加振板92の透孔46への干渉等が防止されて、加振板92の駆動変位の更なる安定化が図られ得ることに加え、第二のオリフィス通路176における形状や大きさの更なる安定も図られ得る。
それ故、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント10によれば、目的とする第二のオリフィス通路176による防振効果が有効に発揮され得ると共に、仕切部材32の小型化が図られて、延いてはマウント10のコンパクト化が達成され得るのである。
以上、本発明の一実施形態について詳述してきたが、かかる実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでなく、当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、加振板92や板ばね164、ストッパ48、緩衝ゴム層170、第一のオリフィス通路90、第二のオリフィス通路176、フィルタオリフィス、可動板108等における形状や大きさ、構造、数、配置等の形態は、例示の如き形態に限定されるものではない。特に、板ばね164や緩衝ゴム層170等は、必要に応じて配されるものであって、必須の構成要件でない。以下に前記実施形態と異なる本発明の具体例について図面を参照しつつ説明するが、前記実施形態と実質的に同一の構造とされた部材および部位については、前記実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
例えば、図12にも示されているように、円板形状の加振板178の外周部分に立ち上がるように大径の円筒状部180を一体形成すると共に、円筒状部180の上端部分に外フランジ状部182を一体形成して、円筒状部180の外周面と外フランジ状部182の下端面にて加振板178の外周部分を周方向に延びる周溝184を形成しても良い。更に、外フランジ状部182の外周面と透孔の内周面の間に、加振板178を軸方向に可動とする隙間100を設ける一方、加振板178の下端面の外周部分における周上の一箇所又は複数箇所において、下方に開口する切り欠き状の凹所186を設けて、加振板178の外周縁部を緩衝ゴム層170の径方向中間部分に重ね合わせることに基づいて、切り欠き状の凹所186と周溝184によって連通路188を構成し、これら連通路188と隙間によって第二のオリフィス通路190を構成しても良い。ここで、前記実施形態に係る緩衝ゴム層170に設けられた凹所172は、必須の構成用件でなく、緩衝ゴム層が、ストッパ48の周方向に連続して延びていても良い。即ち、前記実施形態では、ストッパ48側に設けられた凹所172と隙間100だけによって第二のオリフィス通路176が構成されていたが、本具体例に示されるように、加振板178側に設けた凹所186や周溝184と隙間100によって第二のオリフィス通路190を構成することも可能である。
また、前記実施形態では、ストッパ48が周方向に連続して延びる円環形状を有していたが、例えば図13,14にも示されているように、透孔46の内周面から径方向内方に突出して、周方向に所定距離を隔てて(本具体例では等間隔)複数設けられる小突部192によってストッパ194を構成し、各小突部192の上面に緩衝ゴム層196を設けると共に、周方向で隣り合う小突部192の各周方向端部と透孔46の下端開口側の内周面によって、透孔46の内周面から径方向内方に向かって凹状に開口する断面で加振板178と平衡室88の対向方向に延びる凹所198を設けても良い。そして、加振板178の外周縁部を各緩衝ゴム層196の径方向中間部分に重ね合わせて、加振板178の外周面と透孔46の内周面の間に隙間100を設けると共に、各凹所198の上側開口部を加振板178の外周部分で覆蓋せしめることによって複数の連通路200を形成して、かかる隙間100と複数の連通路200が協働して第二のオリフィス通路202を構成しても良い。
さらに、図15,16にも示されているように、略円板形状の加振板178において径方向中間部分から外周縁部に向かって膨らむように変形せしめられた膨出部204を、周方向に所定距離を隔てて複数設けて、膨出部204の内面によって径方向に延びる凹溝206を形成し、これら膨出部204の外周縁部を含んで加振板178の外周縁部が構成されることにより、透孔46の内周面と加振板178の外周面の間に形成される隙間208が、周方向に波打つような形状とされても良い。また、加振板178の外周縁部がストッパ48の緩衝ゴム層170の径方向中間部分に重ね合わされた際に、膨出部204が緩衝ゴム層170から上方に離隔しており、膨出部204の内側に形成された凹溝206と緩衝ゴム層170の間に連通路210を形成して、隙間208と複数の連通路210を含んで第二のオリフィス通路212を構成しても良い。
また、前記実施形態では、ストッパ48が、透孔46において加振板92が受圧室86側から平衡室88側に向けて変位する軸方向一方(図1,11中、下)の側に設けられていたが、加振板92が平衡室88側から受圧室86側に向けて変位する軸方向他方の側に設けることも可能である。これにより、加振板を平衡室側から受圧室側に向けて変位させて、加振板の外周部分の上端をストッパに当接せしめることにより、透孔の軸方向中間部分乃至は他方の側に第二のオリフィス通路を形成しても良い。
また、前記実施形態では、可動部材として、例えば、特開平01−93638号公報や特開2005−273684号公報、特開2006−97823号公報等に示される可動板機構と同様に、円形領域72からなる所定の収容領域に対して可動板108を非接着に収容配置して、収容領域内で板厚方向に微小変位可能とすると共に、収容領域に形成した通孔(第一及び第二連通孔58,68)によって、主液室102の圧力を可動板108の一方の面に及ぼすと共に副液室104の圧力を可動板108の他方の面に及ぼすことにより、主液室102と副液室104の相対的な圧力差を収容領域内での可動板108の微小変位に基づいて吸収させると共に、可動板108の変位許容量以上の圧力吸収を阻止するようにした可動板機構が採用されていた。しかし、本発明に採用される可動部材は例示の如き可動板機構に限定されるものでなく、主液室102と副液室104の間での流体流動量を制限する各種機構が採用可能である。具体的に、例えば、特開2000−213586号公報や特開平07−71506号公報、特開平11−101294号公報等にも示されているように、可動板の少なくとも外周部分を仕切ゴム弾性板で構成し、仕切ゴム弾性板の外周縁部を仕切部材や第二の取付金具に固定することにより、主液室と副液室を流体密に仕切るように構成することで、仕切ゴム弾性板の各一方の面に及ぼされる主液室と副液室の圧力差に基づく仕切ゴム弾性板の弾性変位乃至は弾性変形に基づいて主液室と副液室の相対的な圧力差を吸収させると共に、仕切ゴム弾性板の弾性変形によって大きな圧力吸収を阻止するようにした可動膜機構なども、採用可能である。或いは、例えば特開2006−17134号公報にも示されているように、可動板の両面に複数の弾性突部を突設して、弾性突部を可動板の収容領域の壁部で挟圧保持せしめることで、可動板を部分的に拘束すると共に、可動板の弾性突部が形成されていない部分と収容領域の壁部の間に主液室と副液室を相互に連通せしめる流体流路を設けた可動板乃至は可動膜機構を、採用しても良い。
また、仕切部材本体34は例示の如き単一部材である必要はない。例えば複数の部材を組み合わせることにより、第二のオリフィス通路の形状や長さ、断面積等のチューニング自由度の向上も図られ得る。
また、採用される電磁式アクチュエータには、例示の如き可動子側に永久磁石128を配設すると共に、固定子側にコイル126,127とヨーク部材124を配設することにより、コイル126,127への通電によって生ぜしめられる磁界によって、可動子側のN極とS極を交互に増減させて、可動子を往復駆動せしめるようにした構造のものの他、特開2000−213586号公報や特開2001−1765号公報等に示されるように、単一の永久磁石を用いてコイルの通電による磁界の作用により可動子を軸方向一方に駆動せしめると共に、コイルスプリング等の付勢力を利用して可動子を軸方向他方に駆動せしめる従来構造の電磁式アクチュエータ等を採用することも可能である。
さらに、前記実施形態で採用された電磁式アクチュエータ120に代えて、前述したような大気や負圧を利用した空気圧式アクチュエータを採用することも可能である。
更にまた、電磁式アクチュエータや空気圧式アクチュエータ等の駆動手段を第二の取付金具14に固定することにより、マウント10を完成することは必須の構成要件でなく、例えば、マウントを完成した後に、駆動手段を第二の取付金具に固定して出力部材を加振板に連結しても良い。
加えて、前記実施形態では、本発明を自動車用エンジンマウントに適用したものの具体例について説明したが、本発明は、自動車用ボデーマウントやデフマウント等の他、自動車以外の各種振動体の防振装置に対して、何れも、適用可能である。
10:自動車用エンジンマウント、12:第一の取付金具、14:第二の取付金具、16:本体ゴム弾性体、32:仕切部材、46:透孔、48:ストッパ、74:ダイヤフラム、86:受圧室、88:平衡室、90:第一のオリフィス通路、92:加振板、100:隙間、102:主液室、104:副液室、108:可動板、174:連通路、176:第二のオリフィス通路