JP5034094B2 - 光走査装置、および画像形成装置 - Google Patents
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これに対し、近年シリコンマイクロマシニングを利用した偏向装置の研究がすすめられており、Si基板で振動ミラーとそれを軸支するねじり梁を一体形成した方式が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2 参照。)。
この方式によれば、ミラー面サイズが小さく小型化できるうえ、共振を利用して往復振動させるので高速動作が可能であるにもかかわらず、低騒音で消費電力が低いという利点があるうえ、低振動で、発熱がほとんどないために、光走査装置を収容するハウジングを薄肉化でき、ガラス繊維の配合率が少ない低コストな樹脂成形材を用いても画像品質への影響が発生し難いといった利点もある。
また、共振周波数は温度によってねじり梁のバネ定数の変化、あるいは大気圧による空気の粘性抵抗が変化すること等により、振れ角が変化してしまうという問題がある。そのため、走査されたビームを検出することで振れ角を検出し、振動ミラーに与える印加電流を加減することで、振れ角を安定的に保つ制御が行われている(例えば、特許文献5 参照。)。
像高によってビームスポット径が変化すると、例えば、このような光走査装置を画像形成装置に用いた場合、画像の劣化を引き起こし、高品位な画像形成を行うことができない。
面精度を向上させるにはミラー基板を厚くすれば良いが、質量の増加に伴い、同じ走査周波数で比較すると、振れ角が小さくなってしまうという問題があり、単純に厚くすることはできない。
本発明では、振動ミラー面の面精度が所望の精度でない形状のときでも、光ビームの入射位置を調整することにより、像高によってビームスポット径を均一にし、高品位な画像形成が可能な光走査装置、および画像形成装置を提供することを第一の目的とする。
振動ミラーをポリゴンミラーの代わりとして用いることで、低騒音化や低消費電力化が可能となり、オフィス環境に適合した画像形成装置の提供を目的とする。
振動ミラーを用いることによる低消費電力化で、地球環境にも適合した画像形成装置の提供を目的とする。
低振動化に伴うハウジング薄肉化による、軽量化や低コスト化を目的とする。
請求項2に記載の発明では、請求項1に記載の光走査装置において、前記振動ミラーに対する光ビームの入射位置を主走査方向において可変な入射位置調整手段を備え、前記主走査領域の各端部における光ビームのスポット径がほぼ一致するように、前記入射位置を調整することを特徴とする。
請求項4に記載の発明では、請求項2または3に記載の光走査装置において、前記調整は、光ビームのウェスト位置を合わせることによって行うことを特徴とする。
請求項6に記載の発明では、請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記振動ミラーにより走査された光ビームを検出して、振幅θ0が一定となるように、振幅θ0を制御する振動ミラー駆動手段を備えたことを特徴とする。
請求項8に記載の発明では、
請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記振動ミラーの静的面精度として、極値を3個以上有している場合、前記照射位置を前記ずらした位置に調整することを特徴とする。
請求項9に記載の発明では、請求項1ないし8のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記光源手段は、複数の発光源を備え、単一の振動ミラーによって、各光ビームに対応した複数の主走査領域を走査することを特徴とする。
請求項11に記載の発明では、請求項1ないし10のいずれか1つに記載の光走査装置と、感光体と、現像手段と、転写手段とを有し、画像情報に応じて前記光源手段を変調し、前記振動ミラーを所定の走査周波数により駆動して前記光源からの光ビームを前記感光体上に走査することによって、前記感光体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を前記現像手段によってトナーで顕像化し、該顕像を前記転写手段により記録媒体に転写して画像を形成する画像形成装置を特徴とする。
同図において符号101、102、103、104は感光体ドラム、105は転写ベルト、106は振動ミラー面、107、108はそれぞれ発光源を有する光源手段としての光源ユニット、111は入射ミラー、113はシリンダレンズをそれぞれ示す。その他の符号は説明文中で直接引用する。
各感光体ドラムを走査する光走査装置は一体的に構成され、転写ベルト105の移動方向に沿って等間隔で配列された4つの感光体ドラム101、102、103、104に対し、各々に対応した光源ユニットからのビームを、振動ミラーでの偏向後に再度分離して、導くことで同時に画像を形成する。
光源ユニット107、108は2ステーション分の光源が副走査方向に配列され、各光源からの光線のなす角度が2.4°となるように調整がなされ、振動ミラー面106で副走査方向に交差するように、一体的に支持されている。また、それぞれの光源は2つの発光点を有しているが、図1では代表する1つのビームに関する光路のみを記載している。
各ビームはシリンダレンズ113によって振動ミラー面の近傍で副走査方向に収束され、偏向後はビーム同士が分離するように間隔を拡げつつfθレンズ120に入射される。
fθレンズ120は全てのステーションで共用され、副走査方向には収束力を持たない。
fθレンズ120を通った各光源ユニットからのビームのうち、光源ユニット108からの下段のビーム204は、折返しミラー126で反射され、トロイダルレンズ122を介して感光体ドラム101上にスポット状に結像し、第1の画像形成ステーションとしてイエロー色の画像情報に基いた潜像を形成する。
fθレンズ120とトロイダルレンズ122の組み合わせは結像光学系として作用している。以下、各色に対応するトロイダルレンズに関しても同様である。
ビームの偏向装置がポリゴンミラーのように、等速回転する装置であれば、fθレンズを用いることで、被走査面上での画素が等間隔になる。しかし、振動ミラーでは振れ角の範囲で変位角が等速にならないため、通常ではfθレンズを用いてもがその等間隔は保証できない。本発明ではこの問題の解決を画素クロックの位相を補正することで解決している。詳しくは後述する。
光源ユニット107からの上段のビーム201は、折返しミラー129で反射され、トロイダルレンズ124、折返しミラー130を介して感光体ドラム103上にスポット状に結像し、第3の画像形成ステーションとしてシアン色の画像情報に基いた潜像を形成する。
光源ユニット107からの下段のビーム202は、折返しミラー131で反射され、トロイダルレンズ125、折返しミラー132を介して感光体ドラム104上にスポット状に結像し、第4の画像形成ステーションとしてブラック色の画像情報に基いた潜像を形成する。
振動ミラー441に副走査に斜入射する角度が大きいほど、走査線曲がりなどの光学性能が劣化しやすい。また、ブラック色の走査位置が劣化は、画像の劣化として最も目立ちやすいので、実施例では斜入射角の小さいビーム202でブラック色の画像形成を行っている。
同図において138は同期検知センサ、139は結像レンズ、154は照明用のLED素子、155はフォトセンサ、156は集光レンズをそれぞれ示す。
同期検知センサ138へは振動ミラー106で偏向された光ビームがfθレンズ120の脇をすり抜け、結像レンズ139により集束され、入射されるようにしており、その検出信号をもとにステーション毎の同期検知信号を生成している。
実施例では、有効走査率(θd/θ0)を所定値以下、0.6以下に抑えるため、同図に示すように、
θ0≧α/2>θd
θ0≧θs>θd
ここで、θdは感光体上を走査する有効振れ角、θsは同期検知時の振れ角、θ0は最大振れ角(振幅)をそれぞれ示す。
なる関係となるよう、光源からの光ビームの平均入射角αを設定している。有効走査率を0.6以下にしているのは、より等速に近い走査特性となる振れ角の範囲で用いるためである。
なお、同期検知センサを、θs>α/2なるように配置してもよい。
各光源はそれぞれ対応する出力すべき画像の画像情報によって変調され、振動ミラーによって走査された光ビームはそれぞれ対応する感光体に画像の静電潜像を形成する。これを画像書き込みという。静電潜像は現像装置によってそれぞれ対応する色画像に現像される。画像書き込みは、振動ミラーの往復動の両方において行っても良いし、一方向のみで行っても良い。どちらの場合も、信号処理に関しては従来公知の技術が使える。
同図では振幅中心が走査レンズの光軸と一致しない例、つまり、振幅中心を光源側にずらして振動させる例を示しているが、実施例では振幅中心を走査レンズの光軸と一致する配置としており、走査レンズ乃至はトロイダルレンズの面形状が主走査方向に沿って対称な曲面形状となるようにしている。
実施例では、照明用のLED素子154と反射光を受光するフォトセンサ155および一対の集光レンズ156とからなり、画像の左右両端と中央の3ヵ所に配備され、転写ベルトの移動に応じて基準色であるブラックとの検出時間差を読み取っていく。
同図において符号440は振動ミラー基板、441はミラー可動部、442はねじり梁、447は支持部材、448は実装基板、449は回路基板、451は位置決め部、452はエッジコネクタ部、453は押え爪、454はコネクタ、455は配線端子をそれぞれ示す。
本実施例では、振動ミラーの回転トルクの発生方法として電磁駆動方式の例を説明する。
図示するように、ミラー可動部441は、ねじり梁442で軸支されており、後述するように、単一のSi基板からエッチングにより外形を貫通して作製し、実装基板448に装着され、振動ミラー基板440を構成する。
実施例では、一対の振動ミラー基板440を背合わせで一体支持したモジュールをなす。
支持部材447は、樹脂で成形され、回路基板449の所定位置に位置決めされており、振動ミラー基板440を、ねじり梁が主走査平面に直交しミラー面が主走査方向に対し所定の角度、実施例では22.5°、傾くように位置決めする位置決め部451と、振動ミラー基板の実装基板448の一辺に形成されている配線端子455が、装着時に接触するように金属製端子群を配列したエッジコネクタ部452と、を一体で構成している。
こうして、振動ミラー基板440は、一辺を上記したエッジコネクタ部452に挿入し、押え爪453の内側に嵌め付け、基板裏側の両側面を位置決め部451に沿わせて支えられるとともに、電気的な配線が同時になされ、各々の振動ミラー基板440が個別に交換できるようにしている。
同図において符号257は側壁、258はカバー、259は透過窓をそれぞれ示す。
尚、回路基板449には、振動ミラーの駆動回路を構成する制御ICや水晶発振子等が実装され、コネクタ454を介して電源および制御信号が入出力される。
振動ミラーモジュールは、同図に示すように、振動ミラーモジュールを包囲するように立設された側壁257を一体的に形成する光学ハウジングに装着され、側壁の上端縁を上カバー258によって封止し、外気から遮断することで、外気の対流による振幅の変化を防止する。
光ビームを入出射する側壁の開口部には平板状の透過窓259を備えている。
次に、振動ミラー基板440の詳細について説明する。
図6は振動基板の分解斜視図である。
両図において符号443は振動板、450は一対の永久磁石、460は振動ミラー、461は基板、463はコイルパターン、464は端子、465はトリミング用のパッチ、466は台座をそれぞれ示す。
振動ミラー460は、表面にミラー面を形成し振動子をなす可動部と、それを支え回転軸をなすねじり梁と、支持部をなすフレームとからなり、Si基板をエッチングにより切り抜いて形成する。
実施例では、SOI基板と呼ばれる60μmと140μmとの2枚の基板が酸化膜を挟んであらかじめ接合されたウエハを用いて作製する。
まず、140μm基板(第2の基板)461の表面側からプラズマエッチングによるドライプロセスによって、ねじり梁442、平面コイルが形成される振動板443、可動部の骨格をなす補強梁444と、フレーム446とを残したそれ以外の部分を酸化膜まで貫通し、次に、60μm基板(第1の基板)462の表面側からKOHなどの異方性エッチングによって、ミラー可動部441と、フレーム447とを残したそれ以外の部分を酸化膜まで貫通し、最後に、可動部周囲の酸化膜を除去して分離し振動ミラーの構造体を形成する。
さらに、60μm基板462の表面側にアルミニウム薄膜を蒸着して反射面となし、140μm基板461の表面側には銅薄膜でコイルパターン463とねじり梁を介して配線された端子464、および、トリミング用のパッチ465を形成する。
当然、振動板443側に薄膜状の永久磁石を備え、フレーム447側に平面コイルを形成する構成とすることもできる。
振動ミラー460は、ミラー面を表に向けて台座466に装着され、各端子464間に電流を流すことによりコイルパターン463の回転軸に平行な各辺にローレンツ力が生じ、ねじり梁442をねじってミラー可動部441を回転する回転トルクTを発生し、電流を切るとねじり梁の戻り力により水平に戻る。
したがって、コイルパターン463に流れる電流の方向を交互に切り換えることによって、ミラー可動部441を往復振動させることができる。
そして、この電流の切り換える周期を、振動ミラーを構成する構造体の、ねじり梁を回転軸とした1次振動モードの固有振動数、いわゆる共振振動数f0に近づけると振幅が励起され大きな振れ角を得ることができる。
この共振振動数f0のばらつきは、プロセスの能力にもよるが、±200Hz程度あり、例えば、走査周波数fd=2kHzとすると、1/10ラインに相当する走査ラインピッチのずれが生じることになり、A4サイズを出力すると、最終端では数十mmもの副走査方向の倍率ずれになってしまう。
選別によって共振振動数f0の近いものを組み合わせることはできるが、生産効率が悪いうえ、交換を行う際には常に対で扱う必要があるためコストもかかる。
そこで、複数の振動ミラーを用いる場合、実装基板に装着する前に、可動部の裏側に形成したパッチ465に炭酸ガスレーザなどにより切り込みを入れて可動部の質量を徐々に減らしていくことで慣性モーメントIを調整し、個体間の寸法差があっても共振振動数f0が概略一致するように、実施例では±50Hzに入るように調整している。
そして、その周波数帯域内で、共振振動数f0によらず、走査周波数fdを設定している。
振動ミラーには、加振器により走査周波数に相当する振動が付与され、振動ミラーの裏側よりパッチ465に炭酸ガスレーザが照射され、共振によって急峻に振れ角が増大するまで切込みを入れていく。
共振状態の検出は振動ミラーの表側からビームをあて、反射されたビームの振れを検出することにより行うことができる。
なお、このような減量方式のトリミングによらずとも、バランスウエイトを付着していく増量方式の方法によってもよい。
このように共振周波数を±50Hzに調整した振動ミラーは、5Hz毎にランク分けされ、それぞれのランクの中心周波数で駆動される。その走査周波数によって、画素クロック周波数が決定され、マシン毎に倍率のばらつきがでないようにしている。
本発明により、主走査領域の走査時間・振動ミラーの振幅が一定となり、形成する画像の主走査領域の倍率偏差などによる品質の劣化を抑えることができる。また、振動ミラーの振幅に対する振れ角を一定とすることにより、有効走査領域での動的面変形量を一定に保ち、出荷時の調整量が過不足することなく、画像劣化の発生を低減することができる。
図9は電流の流れる方向を切り換える周波数fと振れ角θとの関係を示す図である。
上記したように、振動ミラー裏側に形成した平面コイルには、振動ミラー駆動手段から、交互に電流の流れる方向が切り換わるように、交流電圧、またはパルス波状電圧が印加され、振れ角θ0が一定となるように平面コイルに流す電流のゲインを調節して往復振動させる。
一般に、共振周波数f0をピークとした周波数特性となり、走査周波数fdを共振周波数f0に一致させれば、最も振れ角が大きくとれるが、共振周波数付近においては急峻に振れ角が変化する。
したがって、初期的には可動ミラーの駆動制御部において固定電極に印加する走査周波数を共振振動数に合うよう設定することができるが、温度変化に伴うバネ定数の変化などで共振周波数が変動した際には振れ角が激減してしまい、経時的な安定性に乏しいという欠点がある。
具体的には、共振周波数f0=2kHzに対し、走査周波数fdは2.5kHzとし、ゲイン調整により振れ角θ0が±25°になるように合わせている。
経時的には、振動ミラーにより走査されたビームを、走査領域の始端に配備した同期検知センサ604において復走査時に検出した検出信号と往走査時に検出した検出信号との時間差により検出し、振れ角θ0が一定となるように、振動ミラー駆動手段が制御している。
同図に示すように、振動ミラーは共振振動されるため、時間tとともにsin波状に走査角θが変化する。
したがって、振動ミラーの最大振れ角、つまり振幅がθ0とすると、
θ=θ0・sin2πfd・t
同期検知センサ604において走査角を2θsに対応したビームを検出するとすると、検出信号は復走査と往走査とで発生され、その時間差Tを用いると、
θs=θ0・cos2πfd・T/2
で表され、θsは固定であるので、Tを計測すれば最大振れ角θ0が検出できることがわかる。
なお、復走査でのビーム検出から往走査でのビーム検出に至る期間、振動ミラーの振れ角でいうと、
θ0>θ>θs
なる期間では発光源の発光を禁止するようにしている。
被走査面である感光体ドラム面では、時間に対して各画素の間隔が均一となるように主走査ドットを形成する必要がある。
振動ミラーは同図に示すように、時間とともに振れ角θの変化率が加速度的に小さくなるため、主走査領域の両端にいくに従って被走査面では画素間隔が狭まってしまう。
一般に、このずれは走査レンズにf・arcsinレンズを用いることによって補正するが、仮に、ポリゴンミラーでの走査と同様、画素クロックを単一の周波数で変調した際、時間に対して走査角2θが比例、つまり等速度で変化するようにするためには、主走査領域端で主走査位置の補正量が最も大きくなるように主走査方向に沿ったパワー(屈折力)を設定する必要がある。
H=ω・t=(ω/2πfd)・sin−1(θ/θ0)
となる。ここで、ωは定数である。
ところが、この画素間隔の疎密、いわゆるリニアリティの補正量が大きくなると、走査レンズの主走査方向に沿ったパワーの偏差が大きくなり、被走査面における各画素に対応したビームスポット径の変化も大きくなってしまう。また、上記したように振動ミラーの振幅中心と光軸とが一致していないことによって光軸に非対称な曲面を有する走査レンズが必要になるため、実施例では画素クロックの位相Δtを主走査位置に応じて可変することで、主走査方向に沿った走査レンズのパワーの偏差がなるべく小さくなるように、また、非対称成分を補正するようにしている。
H=(ω/2πfd)・sin−1{(θ−Δθ)/θ0}
Δθ/θ0=sin2πfdt−sin2πfd(t−Δt)
なる関係式となる。
ここで、走査レンズをfθレンズに近いパワー配分となるようにし、その残差を画素クロックの位相Δtにより補正する場合、
H=(ω/2πfd)・{(θ−Δθ)/θ0}
=(ω/2πfd)・sin−1(θ/θ0)
Δθ/θ0=θ/θ0−sin−1(θ/θ0)
なる関係式となり、主走査方向に沿った所定画素の位相Δt(sec)は、
(θ/θ0)−sin−1(θ/θ0)=sin2πfdt−sin2πfd(t−Δt)
なる関係式に基づいて決定されるように、発光源を変調すればよい。
同図において符号205は突起部、206はホルダ部材、207は円筒状の突起部、208は支軸、209は取付座面、210、211はカップリングレンズ、213はプリント基板、214は支柱をそれぞれ示す。
光源である半導体レーザ201、202は、ホルダ部材206に形成されたかん合穴203、204に裏側からステム外周を基準に、ステム外周に沿った回転方向を位置決めして、圧入固定される。
また、上下にU字状溝を有する突起部205には、カップリングレンズ210、211の光軸が各々半導体レーザ201、202の射出軸と一致するように、また、射出光束が平行光束となるように発光点との光軸方向の位置決めを行い、突起部とカップリングレンズとの隙間にUV接着剤を充填して、これを硬化させ固定する。
ここで、半導体レーザ201からの光線が、202からの光線に対して2.4°の交差角をもって交差するように、カップリングレンズ210の光軸を僅かに偏心させて配置している。
光源ユニットは、図示しない射出軸Cと直交するハウジング取付面に対し、ホルダ部材206に形成された円筒状の突起部207を位置決め基準とし、上下に支軸208を介して連結された取付座面209が、ホルダ部材と一体成形されており、ハウジング取付面に座面を当接してネジ固定する。
この際、ホルダ部材206の傾きは、同図に示すように、走査領域の両端にセンサ、例えば2次元CCDカメラを配備しておき、主走査方向のビームスポット径が合致するように調節する。1ラインの中で、ビームスポット径が10%以上変動すると画像の劣化を招く。そのため、プラス側とマイナス側の端部の像高でのビームスポット径をそれぞれr(+)、r(−)、また、r(+)とr(−)の平均値をrとしたときに、
|r(+)−r|<r×0.05
|r(−)−r|<r×0.05
の範囲に入るように調整する。こうすることにより、調整残差が最も大きい場合においても、r(+)とr(−)の偏差は10%未満に抑えることができる。
なお、ホルダ部材206の裏側には、半導体レーザ201、202がリード接続され、駆動回路が形成されるプリント基板213が支持される支柱214が配備され、2ステーション分に相当する光源とカップリングレンズと光源の駆動回路基板とが一体的に形成される構成としている。
以下に、主走査方向のビームスポット径が走査領域の両端で合致するような調整方法を説明する。
同図において符号502は振動ミラー、503はねじり梁
図14は振動ミラーの表面変形がある場合の問題を説明するための模式図である。
図15は変形のあるミラー面と光束の関係を説明するための図である。
(動的面変形)
振動ミラー502を駆動した際に、当該振動ミラー502の慣性モーメントと復元力に起因する動的面変形が、以下に示すように発生する。
図13に示された振動ミラー502の寸法を、縦2a、横2b、厚さd、ねじり梁503の長さをL、幅cとし、そして、Siの密度ρ、材料定数Gとすると、振動ミラー502の慣性モーメントIは、以下の式1で示される。
慣性モーメントI=(4abρd/3)×a2 ・・・式1
式1に示すように、振動ミラー502の局所的な慣性モーメントIは、振動ミラー502の回転軸からの距離の関数であり、回転軸からの距離が大きくなれば慣性モーメントが大きくなることがわかる。さらに、振動ミラー502自体の厚さが数百μmと薄いので、往復振動に伴う回転速度の変化と当該振動ミラー502にかかる慣性力に伴い、振動ミラー502のねじり梁503の近傍の箇所とねじり梁503から離れた端とで反対向きに力が働いて、図14に示すように、振動ミラー502が波状にうねって変形する。偏向器や光源などの組み付け誤差によって、図15に示すように、振動ミラー502での光ビームの照射位置が回転軸上からずれている場合には、結像位置におけるピントずれが生じる。
上述したように、走査領域の主走査方向のビームスポット径を合致させるように、光源ユニットをα方向へ角度調整する光源角度調整手段を設けることにより、振動ミラー502での光ビーム入射位置を略回転軸上に調整することができ、上記の主走査ビームスポット径の劣化を低減することができる。
調整手段としては、光源ユニットのα調整用だけではなく、その他の偏向器前光学素子のα方向調整手段であったり、主走査方向の平行移動調整手段でも同様の効果を得ることができる。
本発明により、像面上での主走査領域の両端のビームスポット径が略一致し、かつ、所望のビームスポット径を保証する深度を広く設定できることにより、環境変動や公差変動に強い、ロバスト性の高い光走査装置を提供することができる。
図17は振動ミラー上に投影される入射光束径を示す図である。
(静的面精度)
振動ミラーは、プロセス上、ミラー面の面精度にばらつきが発生する。本実施例の場合、両端の最周辺像高を走査する際の振動ミラー上のビームスポット径が異なる。これは、図17に示すように、平均入射角α、光束幅rで入射してくる光束を、振れ角θの振動ミラーで偏向する際の、振動ミラー上のビームスポット径rmが、rm=r/cos(α−θ)と表されるためである。実施例では有効走査領域でのθの範囲では、90°>α−θ>0°となり、rmは像高に対し、単調に減少する(図2にて上側をプラスとした場合)。ここで、最周辺像高を走査するときの振動ミラー上でのビームスポット径を、rmax、rminとしている。
ミラー面が曲率を有している場合、図15にも示したように、振動ミラーが光学的パワーを持つ。その光学的パワーは、振動ミラー上のビームスポット径の範囲における、2次関数近似曲線の曲率に比例する。振動ミラーが図16のような面変形がある場合、rmaxの範囲においては、2次関数近似曲線は略直線となり、振動ミラーは光学的パワーを略持たない。しかし、rminの範囲においては、振動ミラーは光ビームを収束させる光学的パワーを有する。
図16のような極値(極大値、極小値)を3個以上有している静的面精度である場合は、上述したような、振動ミラーでの光ビーム照射位置を回転軸上に調整するだけでは、動的面変形に起因するピントずれは低減できるが、静的面精度に起因するピントずれは残り、結果として像面でのビームスポット径が像高間で不均一となってしまう。
この場合、図15のように、わざと光ビーム照射位置を振動ミラーの回転軸上からずらした位置に調整することで、プラス像高を走査する際(図15(b))に動的面変形に起因するピント位置ずれをオーバー側に、静的面精度に起因するピント位置ずれをアンダー側にし、それぞれのピント位置ずれを相殺することができる。これにより、すべての像高でピント位置ずれを略0、もしくは、ピント位置ずれ量を一定とすることができ、像高間のビームスポット径偏差を低減することが可能となる。
像高間のピント位置ずれ偏差を発生させる静的面形状を有する振動ミラーを用いた場合でも、また、振動ミラーを駆動した際に反射面が波状に変形して像高間ピント位置ずれ偏差を発生する場合においても、その二つを相殺させ、有効走査領域全域にわたり、ビームスポット径を均一にし、高品質な画像形成が可能な光走査装置を提供できる。
以上のように調整する場合も、前述のように、走査領域の主走査方向のビームスポット径を合致させるように、光学素子を調整するとよい。主走査方向の両端像高にて主走査方向のビームスポット径を合致させることは、すなわち像高間でのピント位置ずれ偏差が大きくないことを示すためである。
図19はデフォーカスに対するビームスポット径のグラフである。
より好ましくは、二以上のデフォーカス位置にて、両端像高の主走査ビームスポット径を合致させるよう光学素子を調整しても良い。ここでいうデフォーカス位置とは、光軸方向の変位量であり、通常、理想結像面を0とする。
主走査ビームスポット径を一点、または二点のデフォーカス位置にて合致するように光学素子を調整したときの、デフォーカスに対するビームスポット径のグラフをそれぞれ図18、図19に示す。図18では、デフォーカス位置0mmで主走査ビームスポット径が略合致するように調整されているが、それぞれの像高のピント位置が3mm程度ずれており、主走査ビームスポット径80μm以下を保証する深度が5mm程度となっている。これに対し、図19では、デフォーカス位置−2mmと2mmの二点で主走査ビームスポット径が略合致するように調整されており、両端像高のピント位置が略一致し、主走査ビームスポット径80μm以下を保証する深度が8mm程度と広くなっている。このように調整することにより、環境変動や公差変動により像面位置が変動する場合にも、ビームスポット径の安定性が高い光走査装置を実現することができる。
さらに、走査領域両端像高のみならず、いくつかの像高にてビームスポット径を測定しながら、その値を設計値に近づけるよう調整、もしくは、ビームウェスト位置を合致させるよう調整することにより、よりビームスポット径の安定性の高い光走査装置を提供することが可能となる。
同図において符号401はクロックの生成部、402は高周波クロック生成部、403はカウンタ、404は比較回路、405は光源駆動部、406は書込制御部、407はラインバッファ、408はフレームメモリをそれぞれ示す。
各色毎にラスター展開された画像データはフレームメモリ408に各々一時保存され、画像処理部に順に読み出されて、前後の関係を参照しながら中間調に対応したマトリクスパターンに応じて各ラインの画素データが形成され、各発光源に対応したラインバッファ407に転送される。
書込制御回路は、ラインバッファ407から、同期検知信号をトリガとして各々読み出されて独立に変調する。
次に、各発光点を変調するクロックの生成部401について説明する。
カウンタ403では、高周波クロック生成回路402で生成された高周波クロックVCLKをカウントし、比較回路404ではこのカウント値と、デューティ比に基いてあらかじめ設定される設定値L、および、画素クロックの遷移タイミングとして外部から与えられ、位相シフト量を指示する位相データHとを比較し、カウント値が上記設定値Lと一致した際に画素クロックPCLKの立下りを指示する制御信号lを、位相データHと一致した際に画素クロックPCLKの立上がりを指示する制御信号hを出力する。この際、カウンタ403は制御信号hと同時にリセットされ再び0からカウントを行うことで、連続的なパルス列が形成できる。
こうして、1クロック毎に位相データHを与え、順次パルス周期が可変された画素クロックPCLKを生成する。実施例では、画素クロックPCLKは、高周波クロックVCLKの8分周とし、1/8クロックの分解能で位相が可変できるようにしている。
デューティ50%とすると設定値L=3が与えられ、カウンタ403で4カウントされ画素クロックPCLKを立ち下げる。1/8クロック位相を遅らせるとすると位相データH=6が与えられ、7カウントで立上げる。同時にカウンタがリセットされるので、4カウントで再び立ち下げる。つまり、隣接するパルス周期が1/8クロック分縮められたことになる。
こうして生成された画素クロックPCLKは、光源駆動部405に与えられ、この画素クロックPCLKに対してラインバッファ407から読み出された画素データを重畳させた変調データにより、半導体レーザを駆動する。
同図においてnは画素ピッチの分割数を示す。
主走査領域を複数、実施例では主走査領域を8つの領域に分割し、折れ線で近似することで各領域の境界で主走査位置ずれが0となるように、領域毎に位相シフト回数を設定し、階段状に補正する。
例えば、i領域の画素数をNi、各画素でのシフト量を例えば画素ピッチpの1/16単位とし、各領域の両端における主走査到達位置のずれがΔLiであったとすると、
ni=Ni・p/16ΔLi
となり、ni画素毎に位相をシフトしてやればよい。
画素クロックfcとすると、トータルでの位相差Δtは、位相シフト回数Ni/niを用い
Δt=1/16fc×∫(Ni/ni)di
となり、Nドット目の画素における位相差Δtについても同様に、それまでの位相シフトの累積回数により設定できる。
半導体レーザの出力は、一般に、背面光を同一パッケージ内に装着される光量モニタ用のセンサによって一走査毎に画像領域にかかる前に検出され、1ライン記録中は一定値を保持するように発光源に印加する電流量を制御する。
同図において符号250はハウジングケース、259は平板状の透過窓、258は上カバー、261、262は側板、263は補強板264は折返しミラー、265はロイダルレンズをそれぞれ示す。
光源ユニット251(図示せず)、252は各々樹脂成形によるハウジングケース250の外壁の設けられたかん合穴を基準として外側に取付けられ、振動ミラーモジュール253は、上記したように、一体的に形成され、平板状の透過窓259を備えた側壁257により包囲された小部屋に支持される。また、走査レンズ254は底面に接着固定される。ハウジング250は、上開口を上カバー258によって封止し、光ビームは射出窓255を通して放射される。
こうして、組立てられたハウジングは、板金により成形された側板261、262により挟持するようにネジ固定され、側板に形成された矩形穴に折返しミラー264、トロイダルレンズ265を架橋して支持する。
同図において符号900は光走査装置、901は感光体ドラム、902は帯電チャージャ、903は現像ローラ、904はトナーカートリッジ、905はクリーニングケース、906は転写ベルト、907は給紙トレイ、908は給紙コロ、909はレジストローラ対、910は定着ローラ、911は排紙トレイ、912は排紙ローラをそれぞれ示す。
感光体ドラム901の周囲には感光体を高圧に帯電する帯電チャージャ902、光走査装置900により記録された静電潜像に帯電したトナーを付着して顕像化する903、現像ローラにトナーを補給するトナーカートリッジ904、ドラムに残ったトナーを掻き取って備蓄するクリーニングケース905が配置される。感光体ドラムへは振動ミラーの往復走査により1周期で2ライン毎の画像記録が行われる。
上記した画像形成ステーションは転写ベルト906の移動方向に並列され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が転写ベルト上にタイミングを合わせて順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
各画像形成ステーションはトナー色が異なるだけで、基本的には同一構成である。
一方、記録紙は給紙トレイ907から給紙コロ908により供給され、レジストローラ対909により副走査方向の記録開始のタイミングに合わせて送りだされ、転写ベルトからトナー画像が転写されて、定着ローラ910で定着して排紙ローラ912により排紙トレイ911に排出される。
107、108 光源ユニット
120 fθレンズ
440 振動ミラー基板
441 振動ミラー
442 ねじり梁
449 回路基板
Claims (11)
- 光源手段と、該光源手段からの光ビームを偏向して主走査領域を往復走査させる、回転軸によって支持される振動ミラーと、該振動ミラーによって走査された光ビームを被走査面にスポット状に結像する結像光学系と、を有する光走査装置において、
前記光源手段からの光ビームの前記振動ミラーに対する照射位置を、前記振動ミラーの、前記回転軸上からずらした位置に調整することで、前記主走査領域の端部において、前記振動ミラーの面精度に起因するピントの位置ずれと、前記振動ミラーの駆動時の面変形に起因するピントの位置ずれとを相殺することを特徴とする光走査装置。 - 請求項1に記載の光走査装置において、前記振動ミラーに対する光ビームの入射位置を主走査方向において可変な入射位置調整手段を備え、前記主走査領域の各端部における光ビームのスポット径がほぼ一致するように、前記入射位置を調整することを特徴とする光走査装置。
- 請求項2に記載の光走査装置において、前記調整は、二以上のデフォーカス位置において行うことを特徴とする光走査装置。
- 請求項2または3に記載の光走査装置において、前記調整は、光ビームのウェスト位置を合わせることによって行うことを特徴とする光走査装置。
- 請求項2ないし4のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記入射位置調整手段は、光源手段の主走査方向における角度が可変な光源角度調整手段からなることを特徴とする光走査装置。
- 請求項1ないし5のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記振動ミラーにより走査された光ビームを検出して、振幅θ0が一定となるように、振幅θ0を制御する振動ミラー駆動手段を備えたことを特徴とする光走査装置。
- 請求項6に記載の光走査装置において、前記振動ミラー駆動手段は、前記主走査領域の走査時間が一定となるように走査周波数fdを制御することを特徴とする光走査装置。
- 請求項1ないし7のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記振動ミラーの静的面精度として、極値を3個以上有している場合、前記照射位置を前記ずらした位置に調整することを特徴とする光走査装置。
- 請求項1ないし8のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記光源手段は、複数の発光源を備え、単一の振動ミラーによって、各光ビームに対応した複数の主走査領域を走査することを特徴とする光走査装置。
- 請求項1ないし9のいずれか1つに記載の光走査装置において、前記光源手段は、前記振動ミラーの往復動作のうちのいずれか一方向において、画像情報に応じて発光源を変調することを特徴とする光走査装置。
- 請求項1ないし10のいずれか1つに記載の光走査装置と、感光体と、現像手段と、転写手段とを有し、画像情報に応じて前記光源手段を変調し、前記振動ミラーを所定の走査周波数により駆動して前記光源からの光ビームを前記感光体上に走査することによって、前記感光体上に静電潜像を形成し、該静電潜像を前記現像手段によってトナーで顕像化し、該顕像を前記転写手段により記録媒体に転写して画像を形成することを特徴とする画像形成装置。
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