以下、本発明の一実施形態を、図1ないし図18に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる画像形成装置の構成を正面からみた説明図である。図2は、図1に示された画像形成装置の本発明の一実施形態にかかる光走査装置としてのレーザ書き込みユニットの分解斜視図である。図3は、図1に示された画像形成装置のレーザ書き込みユニットと感光体ドラムなどの要部を示す斜視図である。
画像形成装置1は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像則ちカラー画像を、一枚の転写材としての記録紙7(図1に示す)に形成する。なお、イエロー、マゼンダ、シアン、黒の各色に対応するユニットなどを、以下、符号の末尾に各々Y,M,C,Kを付けて示す。画像形成装置1は、図1に示すように、装置本体2と、給紙ユニット3と、レジストローラ対10と、転写ユニット4と、定着ユニット5と、光走査装置としてのレーザ書き込みユニット22と、複数のプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kと、排紙部16と、を少なくとも備えている。
装置本体2は、例えば、箱状に形成され、フロア上などに設置される。装置本体2は、給紙ユニット3と、レジストローラ対10と、転写ユニット4と、定着ユニット5と、レーザ書き込みユニット22と、複数のプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kを収容している。
給紙ユニット3は、装置本体2の下部に複数設けられている。給紙ユニット3は、前述した記録紙7を重ねて収容するとともに装置本体2に出し入れ自在な給紙カセット23と、給紙コロ24とを備えている。給紙コロ24は、給紙カセット23内の一番上の記録紙7に押し当てられている。給紙コロ24は、前述した一番上の記録紙7を、レジストローラ対10の一対のローラ10a,10b間に送り出す。
レジストローラ対10は、給紙ユニット3から転写ユニット4に搬送される記録紙7の搬送経路に設けられており、一対のローラ10a,10bを備えている。レジストローラ対10は、一対のローラ10a,10b間に記録紙7を挟み込み、該挟み込んだ記録紙7を、トナー像を重ね合わせ得るタイミング(副走査方向(図1中の左右方向)の記録開始のタイミング)に合わせて、転写ユニット4とプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kとの間に送り出す。
転写ユニット4は、給紙ユニット3の上方に設けられている。転写ユニット4は、複数のローラ27と、転写ベルト29を備えている。ローラ27は、それぞれ、装置本体2に回転自在に設けられており、少なくとも一つが駆動源としてのモータなどによって回転駆動される。転写ベルト29は、無端環状に形成されており、前述した複数のローラ27に掛け渡されている。転写ベルト29は、前述した複数のローラ27に掛け渡されることで、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの下方でかつ近傍に位置付けられている。転写ベルト29は、モータなどによって少なくとも一つのローラ27が回転駆動されることで、前述した複数のローラ27の回りを循環(無端走行)する。
転写ユニット4は、転写ベルト29が給紙ユニット3から送り出された記録紙7を各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの感光体ドラム8の外表面に押し付けて、感光体ドラム8上のトナー像を記録紙7に転写する。転写ユニット4は、トナー像を転写した記録紙7を定着ユニット5に向けて送り出す。
定着ユニット5は、互いの間に記録紙7を挟む一対のローラ5a,5bを備えている。定着ユニット5は、一対のローラ5a,5b間に転写ユニット4から送り出されてきた記録紙7を押圧加熱することで、感光体ドラム8から記録紙7上に転写されたトナー像を、該記録紙7に定着させる。
レーザ書き込みユニット22は、装置本体2の上部即ち給紙ユニット3と転写ユニット4の上方に配置されている。レーザ書き込みユニット22は、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの後述の帯電チャージャ9により一様に帯電された感光体ドラム8の外表面にレーザ光を照射して、静電潜像を形成する。レーザ書き込みユニット22は、後述する振動ミラー85の1周期の往復走査により、感光体ドラム8の外表面に2ライン毎の画像記録を行う(静電潜像を形成する)。なお、このレーザ書き込みユニット22の詳細な構成は、後ほど説明する。
プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、それぞれ、転写ユニット4と、レーザ書き込みユニット22との間に設けられている。プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、装置本体2に着脱自在である。プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、記録紙7の搬送方向(図1中の左右方向)に沿って、互いに並設されている。
プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kは、図2に示すように、カートリッジケース11と、帯電装置としての帯電チャージャ9と、感光体(像担持体ともいう)としての感光体ドラム8と、クリーニング装置としてのクリーニングケース12と、現像装置13と、を備えている。このため、画像形成装置1は、帯電チャージャ9と、感光体ドラム8と、クリーニングケース12と、現像装置13と、を少なくとも備えている。
カートリッジケース11は、装置本体2に着脱自在で、かつ帯電チャージャ9と、感光体ドラム8と、クリーニングケース12と、現像装置13と、を収容している。帯電チャージャ9は、感光体ドラム8の外表面を一様に帯電する。感光体ドラム8は、現像装置13の後述する現像ローラ15と間隔をあけて配されている。感光体ドラム8は、軸芯を中心として回転自在な円柱状又は円筒状に形成されている。
感光体ドラム8は、対応するレーザ書き込みユニット22Y,22M,22C,22Kにより、外表面上に静電潜像が形成される。感光体ドラム8は、外表面上に形成されかつ担持する静電潜像にトナーが吸着して現像し、こうして得られたトナー像を転写ベルト29との間に位置付けられた記録紙7に転写する。なお、感光体ドラム8の外表面は、特許請求の範囲に記載された被走査面をなしている。クリーニングケース12は、記録紙7にトナー像を転写した後に、感光体ドラム8の外表面に残留した転写残トナーを除去する。
現像装置13は、トナーカートリッジ17と、現像剤担持体としての現像ローラ15とを少なくとも備えている。
トナーカートリッジ17は、所望の色のトナーを収容して、当該トナーを現像ローラ15の外表面に供給する。
現像ローラ15は、感光体ドラム8と平行でかつ近接して配置されている。現像ローラ15と感光体ドラム8との間の空間は、トナーを感光体ドラム8に吸着させて、静電潜像を現像してトナー像を得る現像領域をなしている。
現像装置13は、トナーカートリッジ17内のトナーなどを十分に攪拌し、この攪拌したトナーを現像ローラ15の外表面に吸着する。そして、現像装置13は、現像ローラ15が回転して、トナーを感光体ドラム8に吸着させる。こうして、現像装置13は、トナーを現像ローラ15に担持し、現像領域に搬送して、感光体ドラム8上の静電潜像を現像して、トナー像を形成する。
排紙部16は、装置本体2の上面に設けられた排紙トレー18と、一対の排紙ローラ19とを備えている。排紙ローラ19は、互いの間に、定着ユニット5の一対のローラ5a,5b間に挟まれてトナー像が定着された記録紙7が供給される。排紙ローラ19は、トナー像が定着された記録紙7を排紙トレー18上に排出する。
前述した構成の画像形成装置1は、以下に示すように、記録紙7に画像を形成する。まず、画像形成装置1は、感光体ドラム8を回転して、この感光体ドラム8の外表面を一様に帯電チャージャ9により帯電する。感光体ドラム8の外表面にレーザ書き込みユニット22が光ビーム59,60,61,62を照射して、該感光体ドラム8の外表面に静電潜像を形成する。そして、静電潜像が現像領域に位置付けられると、現像装置13の現像ローラ15の外表面に吸着したトナーが感光体ドラム8の外表面に吸着して、静電潜像を現像し、トナー像を感光体ドラム8の外表面に形成する。
そして、画像形成装置1は、給紙ユニット3の給紙コロ24などにより搬送されてきた記録紙7が、プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの感光体ドラム8と転写ユニット4の転写ベルト29との間に位置して、各プロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6Kの感光体ドラム8の外表面上に形成されたトナー像を順次記録紙7に転写する。画像形成装置1は、定着ユニット5で、記録紙7にトナー像を定着して、この記録紙7を排紙部16の排紙トレー18上に排出する。こうして、画像形成装置1は、記録紙7にカラー画像を形成する。
以下、レーザ書き込みユニット22(以下、単にユニットと記す)を詳細に説明する。各感光体ドラム8を走査するユニット22は、図3に示すように、一体的に構成され、記録紙7の移動方向(図3中の矢印で示す)Kに沿って、等間隔で配列された4つの感光体ドラム8(以下、符号8Y,8M,8C,8Kで示す)に対し、各々に対応した後述する半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62を、振動ミラー85での偏向後に再度分離して、導くことで同時に静電潜像を形成する。なお、以下、図面において、感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの軸芯と平行な方向を矢印Xで示し、主走査方向とよび、後述する振動ミラー85で変更される光ビーム59,60,61,62の光軸と平行な方向を矢印Yで示し、光軸方向とよび、主走査方向Xと光軸方向Yとの双方に対し直交する方向を矢印Zで示し、副走査方向とよぶ。
ユニット22は、図2及び図3に示すように、ユニット本体30と、光源装置31と、結像光学系32と、調整手段としての調整機構33(図9に示す)と、を備えている。ユニット本体30は、図2に示すように、帯板状の板部材34を三つ備えている。板部材34は、互いに両端部が固定されて、平面形状がコ字状となった状態で装置本体2に取り付けられる。
光源装置31は、図4に示すように、光学ハウジング35と、光源部36と、入射ミラー37(図3に示す)と、線像形成レンズとしてのシリンダレンズ38(図3に示す)と、偏向ユニット39と、を備えている。光学ハウジング35は、各々合成樹脂で形成されたハウジングケース40と平板状の上カバー41とを備えている。ハウジングケース40は、平板状の底板42と、該底板42の外縁から立設した複数の側板43と、仕切板44とを一体に備えている。
互いに連なる三つの側板43には、それぞれ、後述する一方の光源ユニット48を取り付けるための嵌合孔45と、後述する他方の光源ユニット49を取り付けるための嵌合孔45と、射出窓46が設けられている。嵌合孔45は、丸形に形成されている。射出窓46は、扁平な四角形に形成されている。
仕切板44は、ハウジングケース40内即ち光学ハウジング35内の空間を、偏向ユニット39を収容するための空間と、偏向ユニット39以外の物品を収容する空間とに仕切っている。仕切板44には、矩形状の透過窓47が設けられている。上カバー41は、ハウジングケース40の側板43の底板42から離れた側の縁で形成される上方開口を塞いで光学ハウジング35を封止して、ハウジングケース40に取り付けられる。
光源部36は、図3に示すように、一対の光源ユニット48,49を備えている。一対の光源ユニット48,49は、図8(a)及び図8(b)に示すように、それぞれ、プリント基板50と、一対の半導体レーザ51,52と、ホルダ部材53と、一対のカップリングレンズ54,55と、調節ネジ56と、プリント基板50に実装された駆動回路58(図10に示す)と、を備えている。プリント基板50は、絶縁性の基板と、該基板の外表面に形成された配線パターンなどを備えている。
半導体レーザ51,52は、それぞれが特許請求の範囲に記載された発光源をなしており、副走査方向Zに沿って、互いに間隔をあけて配置されているとともに、それぞれがプリント基板50に実装されている。半導体レーザ51,52は、それぞれ、前述した感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kと1対1で対応している。即ち、各光源ユニット48,49は、2つのプロセスカートリッジ6Y,6M,6C,6K分の発光源としての半導体レーザ51,52を備えている。半導体レーザ51,52は、対応した感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kに向かって光ビーム59,60,61,62を発する。
各光源ユニット48,49は、二つの半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62同士のなす角度が、2.5度となり、かつ後述する振動ミラー85の偏向面95の近傍又は該偏向面95上で交差するように、これら二つの半導体レーザ51,52を配置している。
図示例では、一方の光源ユニット48は、該光源ユニット48の図示しない射出軸に対して、下方の半導体レーザ52からの光ビーム60が平行となり、上方の半導体レーザ51からの光ビーム59が2.5度傾くように、射出軸が主走査方向Xに対して下向きに1.25度傾くように配置されている。他方の光源ユニット49は、該光源ユニット49の図示しない射出軸に対して、上方の半導体レーザ51からの光ビーム61が平行となり、下方の半導体レーザ52からの光ビーム62が2.5度傾くように、射出軸が主走査方向Xに対して上向きに1.25度傾くように配置されている。こうして、各光源ユニット48,49の射出軸即ち各半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62が、振動ミラー85の偏向面95の近傍で交差するように、光源ユニット48,49が副走査方向Zに互いに高さを異ならせて配置されている。
また、各光源ユニット48,49の射出軸即ち各半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62が、振動ミラー85の偏向面95上で交差するように、光源ユニット48,49が副走査方向Zに互いに高さを異ならせて配置されるのが望ましい。
ホルダ部材53は、厚手の平板状のホルダ本体63と、一対の支柱64と、二つのレーザ用位置決め孔65と、二つの突起部66と、一つの突起部67と、二つの取付座面68と、調節用ねじ孔69と、を備えている。ホルダ本体63には、副走査方向Zの両端から該副走査方向Zに向かって突出した支軸70が設けられている。
支柱64は、ホルダ本体63の外縁部に設けられており、該ホルダ本体63からプリント基板50に向かって立設している。支柱64は、プリント基板50上に重ねられて、該プリント基板50を貫通したねじがねじ込まれることで、ホルダ部材53をプリント基板50に固定する。
二つのレーザ用位置決め孔65は、ホルダ本体63を貫通しており、副走査方向Zに沿って互いに間隔をあけて配置されている。レーザ用位置決め孔65は、内側に半導体レーザ51,52が侵入することで、当該半導体レーザ51,52を位置決めする。
突起部66は、ホルダ本体63からプリント基板50から離れる方向即ち偏向ユニット39に向かって凸に形成されている。二つの突起部66は、互いの間に二つのレーザ用位置決め孔65を位置付けている。突起部66の外縁は、前述した嵌合孔45の内縁に沿って形成されている。突起部66は、嵌合孔45内に嵌合して、光源ユニット48,49を光学ハウジング35に対して位置決めする。
一つの突起部67は、ホルダ本体63からプリント基板50から離れる方向即ち偏向ユニット39に向かって凸に形成されている。突起部67は、二つのレーザ用位置決め孔65間でかつ二つの突起部66間に配置されている。突起部67には、レーザ用位置決め孔65の内面と面一に形成された断面U字状の溝71が形成されている。
二つの取付座面68は、平板状に形成されかつ支軸70に連なっている。取付座面68は、その表面が、ホルダ本体63の外表面と略面一となっている。調節用ねじ孔69は、ホルダ本体63の主走査方向Xの一端部に設けられ、かつホルダ本体63を貫通している。
一対のカップリングレンズ54,55は、その光軸が半導体レーザ51,52の光軸と一致しかつ、射出する光ビーム59,60,61,62が平行光となるように半導体レーザ51,52との光軸方向Yの位置が調整されて、突起部67の溝71の内面との間にUV接着剤が充填されて、突起部67即ちホルダ本体63に固定される。このため、勿論、半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62の光軸同士が、2.5度傾くように、カップリングレンズ54,55は、互いに光軸を傾かせて、配置されている。
調節ネジ56は、調節用ねじ孔69内にねじ込まれる。調節ネジ56は、調節用ねじ孔69内へのねじ込み量を適宜調整されることで、ホルダ本体63から光学ハウジング35への突出量が適宜変更される。
駆動回路58は、図10に示すように、フレームメモリ72と、画像処理部73と、ラインバッファ74と、書込制御部75と、光源駆動部76と、画像クロック生成部77とを備えている。各色毎にクラスター展開された画像データはフレームメモリ72に各々一時保存され、画像処理部73に順に読み出されて、前後の関係を参照しながら中間調に対応したマトリクスパターンに応じて各ラインの画素データが形成され、各半導体レーザ51,52に対応したラインバッファ74に転送される。書込制御部75は、ラインバッファ74から、同期検知信号をトリガとして各々読み出されて独立に変調する。
画像クロック生成部77は、高周波クロック生成回路78と、カウンタ79と、比較回路80と、画素クロック制御回路81とを備えている。カウンタ79では、高周波クロック生成回路78で生成された高周波クロックVCLKをカウントし、比較回路80ではこのカウント値と、デューティ比に基いてあらかじめ設定される設定値fL、および、画素クロックの遷移タイミングとして外部から与えられ、位相シフト量を指示する位相データHとを比較し、カウント値が上記設定値Lと一致した際に画素クロックPCLKの立下りを指示する制御信号lを、位相データHと一致した際に画素クロックPCLKの立上がりを指示する制御信号hを出力する。この際、カウンタ79は制御信号hと同時にリセットされ再び0からカウントを行なうことで、連続的なパルス列が形成できる。
こうして、1クロック毎に位相データHを与え、順次パルス周期が可変された画素クロックPCLKを生成する。実施例では、画素クロックPCLKは、高周波クロックVCLKの8分周とし、1/8クロックの分解能で位相が可変できるようにしている。
図17は、任意の画素の位相をシフトした説明で、1/8クロックだけ位相を遅らせた例である。デューティ50%とすると設定値L=3が与えられ、カウンタ79で4カウントされ画素クロックPCLKを立ち下げる。1/8クロック位相を遅らせるとすると位相データH=6が与えられ、7カウントで立上げる。同時にカウンタがリセットされるので、4カウントで再び立ち下げる。つまり、隣接するパルス周期が1/8クロック分縮められたことになる。
こうして生成された画素クロックPCLKは、光源駆動部76に与えられ、この画素クロックPCLKに対してラインバッファ74から読み出された画素データを重畳させた変調データにより、半導体レーザ51,52を駆動する。
図18は、単一の周波数で変調した際の主走査方向Xに応じた各画素におけるビーム到達位置の補正量を示すが、主走査領域を複数、実施例では主走査領域を8つの領域に分割し、折れ線で近似することで各領域の境界で主走査位置ずれが0となるように、領域毎に位相シフト回数を設定し、階段状に補正する。
例えば、i領域の画素数をNi、各画素でのシフト量を画素ピッチpの1/16単位とし、各領域の両端における主走査到達位置のずれがΔLiであったとすると、
ni=Ni・p/16ΔLi
となり、ni画素毎に位相をシフトしてやればよい。
画素クロックfcとすると、トータルでの位相差Δtは、位相シフト回数Ni/niを
用い
Δt=1/16fc×∫(Ni/ni) di
となり、Nドット目の画素における位相差Δtについても同様に、それまでの位相シフ
トの累積回数により設定できる。
尚、分割された領域幅は均等であっても不均等であってもよく、分割数もいくつであっても構わないが、各画素でのシフト量が大きくなると、その段差が画像上目立ちやすくなるため、画素ピッチpの1/4単位以下とするのが望ましく、逆に位相シフト量が小さくなると位相シフト回数が増えメモリ容量が増えてしまう。また、分割数が少ないほどメモリ容量が少なくてすむため、主走査到達位置ずれが大きい領域の領域幅を小さく、小さい領域の領域幅を大きく設定することが効率的である。
尚、半導体レーザ51,52の出力は、一般に、背面光を同一パッケージ内に装着される光量モニタ用のセンサによって一走査毎に画像領域にかかる前に検出され、1ライン記録中は一定値を保持するように発光源に印加する電流量を制御する。
前述した構成の光源ユニット48,49は、光学ハウジング35の嵌合孔45内に突起部66が挿入されて、回転方向を位置決めして、圧入固定される。そして、光源ユニット48,49は、光学ハウジング35の側板43を貫通したねじが取付座面68にねじ込まれて、光学ハウジング35にネジ固定される。このとき、他方の光源ユニット49は、一方の光源ユニット49よりも副走査方向Zに低い位置に配置される。
このとき、調節ネジ56のホルダ本体63からの突出量を適宜変更しておく。すると、調節ネジ56が光学ハウジング35の側板43に当接して、その突出量に応じて、ホルダ部材53は、支軸70を回転軸として弾性変形させて矢印方向(α方向)の傾きが調節される。こうして、振動ミラー85の偏向面95に入射する光ビーム59,60,61,62の主走査位置を変更可能としている。
これにより、振動ミラー85の偏向面95への主走査方向Xの光ビーム59,60,61,62の入射位置が当該偏向面95の回転軸上となるように調整できるので、偏向面95が波状に変形する場合においても、偏向面95で反射された光ビーム59,60,61,62の波面収差を小さく抑え、また、スポット状の光ビームの結像位置のずれ(ピントずれ)を抑えることができ、形成する画質の劣化を抑制することができる。
また、ホルダ部材53の傾きは、図11に示すように、走査領域の両端にセンサ、例えば2次元CCDカメラ82を配備しておき、主走査方向Xのビームスポット径が合致するように調節する。主走査領域の両端のビームスポット径が略一致し、走査領域全体にわたり、ビームスポット径を均一に揃えることができ、また、ビームスポット径の小径化もはかることができるので、高品質な画像形成を行うことが可能となる。
入射ミラー37は、光学ハウジング35内に収容されている。入射ミラー37には、光源ユニット48,49の各半導体レーザ51,52からの四つの光ビーム59,60,61,62が入射して、当該四つの光ビーム59,60,61,62を出射する。入射ミラー37は、各半導体レーザ51,52からの四つの光ビーム59,60,61,62が上下一列に並び(副走査方向Zに沿って並び)かつ副走査方向Zに間隔をあける状態で、当該四つの光ビーム59,60,61,62を出射する。
シリンダレンズ38は、光学ハウジング35内に収容されている。シリンダレンズ38は、副走査方向に向きを偏向自在に設けられている。シリンダレンズ38は、入射ミラー37から出射された四つの光ビーム59,60,61,62が入射して、当該四つの光ビーム59,60,61,62を偏向ユニット39の振動ミラー85の偏向面95に向かって出射する。シリンダレンズ38は、振動ミラー85の偏向面95上で副走査方向Zに複数の光ビーム59,60,61,62を収束する。
このとき、振動ミラー85の偏向面95の法線に対して、主走査方向Xの入射角が各々22.5度(=α/2+θd)となり、かつ振動ミラー85の偏向面95の近傍又は偏向面95上で交差するように、光ビーム59,60,61,62が、振動ミラー85の偏向面95に入射する。
偏向ユニット39は、図5に示すように、回路基板83と、支持部材84と、振動ミラー85と、回路基板83に実装された駆動回路110(図13に示す)と、を備えている。本実施形態では、振動ミラー85の回転トルクの発生方法として電磁駆動方式の例を説明する。
回路基板83は、絶縁性の基板と、該基板の表面に形成された配線パターンとを備えている。尚、回路基板83には、振動ミラー85の駆動回路110を構成する制御ICや水晶発振子と、コネクタ86などが実装され、当該コネクタ86を介して電源からの電力および制御信号が入出力される。
支持部材84は、合成樹脂で成形されている、支持部材84は、回路基板83の所定位置に位置決めされて、当該回路基板83から立設している。支持部材84は、振動ミラー85が装着される。支持部材84は、振動ミラー85を、後述するねじり梁97が主走査方向Xに対して直交し、偏向面95が主走査方向Xに対し所定の角度、実施例では22.5度傾くように位置決めする位置決め部87と、振動ミラー85の実装基板90の外縁に係止する押え爪88と、振動ミラー85の後述する実装基板90の一辺に形成されている配線端子127が装着時に接触するように金属製端子群を配列したエッジコネクタ部89とを一体に備えている。
振動ミラー85は、図6(a)に示すように、偏向面95がねじり梁97で軸支されており、後述するように、Si基板からエッチングにより外形を貫通して作製し、実装基板90に装着されて得られる。本実施形態では、一対のSi基板を背合わせで、貼り合わせられて一体となったモジュールを示している。
こうして得られた振動ミラー85は、実装基板90の一辺を上記したエッジコネクタ部89に挿入し、かつ押え爪88によって外縁が係止されて、実装基板90の両側面を位置決め部87に沿わせて、支持部材84に支えられる。こうすることで、電気的な配線が同時になされ、各々の振動ミラー85が個別に交換できるようにしている。
振動ミラー85は、図6及び図7に示すように、実装基板90と、ミラー部91とを備えている。実装基板90上には、ミラー部91を装着する枠状の台座92と、ミラー部91を囲うように形成されたヨーク93が設けられている。上記ヨーク93には、一対の永久磁石94が取り付けられている。これら一対の永久磁石94は、S極とN極とが、ねじり梁97の長手方向に対して直交する方向に沿って、互いに相対している。一対の永久磁石94は、ねじり梁97の長手方向に対して直交する方向に磁界を発生する。
ミラー部91は、表面に偏向面95を形成して振動子をなす可動部96と、一端が可動部96の副走査方向Zの両端に連なりかつ該副走査方向Zの両端から該副走査方向Zに沿って立設した回転軸をなすねじり梁97と、内縁がねじり梁97の他端に連なった支持部をなす枠状のフレーム98(枠体に相当)とを備え、少なくとも一枚のSi基板をエッチングにより切り抜いて形成される。本実施形態では、ミラー部91は、SOI基板と呼ばれる厚みが60μmと140μmの2枚の基板105,106が酸化膜を挟んであらかじめ接合されたウエハを用いて得られる。
可動部96は、平面コイル99(図6(b)に示す)が形成される振動板100と、振動板100の主走査方向Xの両端から立設した補強梁101と、振動板100に積層されて前述した偏向面95が形成される可動ミラー102とを備えている。ねじり梁97は、ねじられるようになっており、ねじられることで、可動部96即ち偏向面95を回動自在とする。フレーム98は、一対のフレーム103,104が積層されて構成されている。このように、振動ミラー85は、枠体としてのフレーム98と、該フレーム98の内縁に一端が連なったねじり梁97と、ねじり梁97の他端に連なりかつ光源部36からの光ビーム59,60,61,62を偏向可能であるとともにねじり梁97を中心として回動自在な偏向面95と、を有して、ねじり梁97を中心として偏向面95が回動することで光源部36からの光ビーム59,60,61,62を偏向面95で偏向して被走査面上に主走査方向Xに往復走査させる。
前述したミラー部91は、まず、厚みが140μmの基板(第2の基板)105の表面側からプラズマエッチングによるドライプロセスによって、ねじり梁97、平面コイル99が形成される振動板100、可動部96の骨格をなす補強梁101と、フレーム103とを残したそれ以外の部分を酸化膜まで貫通させる。次に、厚みが60μm基板(第1の基板)106の表面側からKOHなどの異方性エッチングによって、可動ミラー102と、フレーム104とを残したそれ以外の部分を酸化膜まで貫通し、最後に、可動部96の周囲の酸化膜を除去して分離しミラー部91を形成する。
ここで、ねじり梁97、補強梁101の幅は40〜60μmとした。上記したように可動部96の慣性モーメントIは、当該可動部96即ち偏向面95の振れ角を大きくとるには小さい方が望ましく、反面、慣性力によって偏向面95が変形してしまうため、本実施形態では、可動部96を肉抜きした構造としている。
さらに、可動ミラー102の表面を含んだ厚みが60μmの基板106の表面にアルミニウム薄膜を蒸着して偏向面95を形成し、厚みが140μmの基板105の表面には銅薄膜で平面コイル99と、ねじり梁97を介して配線された端子107、および、トリミング用のパッチ108を形成する。当然、振動板100側に薄膜状の永久磁石を設け、フレーム104側に平面コイル99を形成する構成とすることもできる。
ミラー部91は、偏向面95を表に向けた状態で、台座92に装着される。ミラー部91は、各端子107間に電流を流すことにより平面コイル99のねじり梁97に平行な各辺にローレンツ力が生じ、ねじり梁97をねじって、可動部96即ち偏向面95を回転する回転トルクを発生し、電流を切るとねじり梁97の弾性復元力により、可動部96がフレーム98と面一となる位置に復帰する。
従って、平面コイル99に流れる電流の方向を交互に切り換えることによって、可動ミラー102を往復振動させることができる。また、ミラー部91の偏向面95の法線は、光ビーム59,60,61,62の光軸と同一平面上に位置するように、偏向ユニット39即ち振動ミラー85と光源部36の各光源ユニット48,49の半導体レーザ51,52とが配置されている。
そして、この電流の切り換える周期を、ミラー部91を構成する構造体のねじり梁97を回転軸とした1次振動モードの固有振動数、いわゆる共振振動数f0に近づけると、可動部96即ち偏向面95の振幅が励起されて、当該可動部96即ち偏向面95が大きな振れ角で回動することができる。
従って、通常は、光ビーム59,60,61,62を主走査方向Xに1往復させる走査周波数fdを、この共振振動数f0に合わせて設定、あるいは追従するように制御しているが、共振振動数f0は上記したように、ミラー部91を構成する可動部96の慣性モーメントIによって決定されるため、仕上がりの寸法精度にばらつきがあると、個体間で差が生じてしまい、複数のミラー部91を用いる場合、各々の走査周波数fdを揃えることが困難となる。
この共振振動数f0のばらつきは、エッチング(マイクロマシニング)のプロセスの能力にもよるが、±200Hz程度生じてしまう。例えば、走査周波数fd=2kHzとすると、1/10ラインに相当する走査ラインピッチのずれが生じることになり、A4サイズの画像を形成する際には、最終端では数十mmもの倍率ずれになってしまう。
選別によって共振振動数f0の近いものを組み合わせることはできるが、生産効率が悪いうえ、交換を行う際には常に対で扱う必要があるためコストもかかる。そこで、複数のミラー部91を用いる場合、実装基板90に装着する前に、可動部96の裏側に形成したパッチ108に炭酸ガスレーザなどにより切り込みを入れて可動部96の質量を徐々に減らしていくことで慣性モーメントを調整し、個体間の寸法差があっても共振振動数f0が概略一致させている。本実施形態では、共振振動数f0が±50Hzに入るように調整している。
そして、その周波数帯域内で、共振振動数f0によらず、走査周波数fdを設定している。前述した可動部96の質量を調整する際には、図12に示すように、ミラー部91に加振装置により走査周波数に相当する振動を付与しながら、ミラー部91の裏側よりパッチ108に炭酸ガスレーザを照射して、共振によって急峻に可動部96の振れ角が増大するまで切込みを入れていく。共振状態の検出はミラー部91の表側に光源装置からのビームをあて、偏向面95により反射されたビームを振幅検出装置で受光させることで、当該ビームの振れを検出することにより行うことができる。尚、このような減量方式のトリミングによらずとも、バランスウエイトを付着していく増量方式の方法によってもよい。
図13に示す駆動回路110は、駆動パルスを生成する駆動パルス生成部111と、PLL回路112と、ゲイン調整部113と、可動ミラー駆動部114とを備えて、上記したように、ミラー部91の裏側に形成した平面コイル99に交互に電流の流れる方向が切り換わるように、交流電圧、またはパルス波状電圧を印加して、可動部96の振れ角θが一定となるように平面コイル99に流す電流のゲインを調節する。
電流の流れる方向を切り換える周波数fと振れ角θとの関係は、図14に示すように、一般に、共振振動数f0をピークとした周波数特性となり、走査周波数fdを共振振動数f0に一致させれば、可動部96即ち偏向面95の振れ角を最も大きくすることができるが、共振振動数f0付近においては急峻に振れ角が変化する。従って、初期的には可動ミラー駆動部114において固定電極に印加する駆動周波数を共振振動数f0に合うよう設定することができるが、温度変化に伴うねじり梁97のバネ定数の変化などで、共振振動数f0が変動した際には振れ角が激減してしまい、経時的な安定性に乏しいという欠点がある。
そこで、本実施形態では、走査周波数fdを共振振動数f0から外した単一周波数に固定し、ゲイン調整を行うことで、振れ角θを増減できるようにしている。具体的には、共振振動数f0=2kHzに対し、走査周波数fdを2.5kHzとし、ゲイン調整により振れ角θが±25°になるように合わせている。
経時的には、振動ミラー85の偏向面95により走査された光ビーム59,60,61,62を、走査領域の始端に配備した同期検知センサ115において、復走査時に検出した検出信号と往走査時に検出した検出信号との時間差により検出し、振れ角θが一定となるように制御している。
ここで、ミラー部91の可動部96は共振振動されるため、図15に示すように、時間tとともにsin(サイン)波状に走査角θが変化する。従って、ミラー部91の可動部96即ち偏向面95の最大振れ角つまり振幅をθ0とすると、
θ=θ0・sin2πfd・tとなる。
同期検知センサ115において走査角を2θsに対応したビームを検出すると、検出信号は復走査と往走査とで発生され、その時間差Tを用いると、
θs=θ0・cos2πfd・T/2で表され、θsは固定であるので、Tを計測すれば最大振れ角θ0が検出できることがわかる。
尚、復走査での光ビーム59,60,61,62の検出から往走査での光ビーム59,60,61,62の検出に至る期間、振動ミラー85の可動部96の偏向面95の振れ角でいうと、θ0>θ>θsなる期間では、発光源としての半導体レーザ51,52の発光を禁止するようにしている。
被走査面である感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの外表面上では、時間に対して各画素の間隔が均一となるように主走査ドットを形成する必要がある。一方、振動ミラー85の可動部96即ち偏向面95は、図16に示すように、時間とともに振れ角θの変化率が加速度的に小さくなるため、主走査領域の両端にいくに従って感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの外表面上では画素の間隔が狭まってしまう。
一般に、このずれは、光源装置31から各感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kとの間に配置される走査レンズにf・arcsinレンズを用いることによって補正するが、仮に、ポリゴンミラーでの走査と同様に画素クロックを単一の周波数で変調した際、時間に対して走査角2θが比例、つまり等速度で変化するようにするためには、主走査領域端で主走査位置の補正量が最も大きくなるように主走査方向Xに沿ったパワー(屈折力)を設定する必要がある。
このとき、像高0、つまり画像中心から任意の像高Hまでの時間をtとすると、像高Hと振れ角θ(走査角2θ)との関係は、
H=ω・t=(ω/2πfd)・sin-1(θ/θ0)となる。ここで、ωは定数。
ところが、この画素の間隔の疎密、いわゆるリニアリティの補正量が大きくなると、走査レンズの主走査方向Xに沿ったパワーの偏差が大きくなり、感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの外表面における各画素に対応した光ビーム59,60,61,62のスポット径の変化も大きくなってしまう。また、上記したように振動ミラー85の可動部96の振幅中心と光軸とが一致していないことによって光軸に非対称な曲面を有する走査レンズが必要になるため、本実施形態では画素クロックの位相Δtを主走査位置に応じて可変することで、主走査方向Xに沿った走査レンズのパワーの偏差がなるべく小さくように、また、非対称成分を補正するようにしている。
いま、画素クロックの位相Δtを変化させることに伴う走査角の変化を2Δθとすると、
H=(ω/2πfd)・sin-1[(θ−Δθ)/θ0]
Δθ/θ0=sin2πfdt―sin2πfd(t−Δt)となる関係式となる。
ここで、走査レンズとしてfθレンズと同様のパワー配分となるようにし、その残差を画素クロックの位相Δtにより補正する場合、
H=(ω/2πfd)・[(θ−Δθ)/θ0]
=(ω/2πfd)・sin-1(θ/θ0)
Δθ/θ0=θ/θ0−sin-1(θ/θ0)となる関係式となり、
主走査方向に沿った所定画素の位相Δt(sec)は、
(θ/θ0)−sin-1(θ/θ0)=sin2πfdt−sin2πfd(t−Δt)となる関係式に基づいて決定されるように、半導体レーザ51,52を変調すればよい。
前述した偏向ユニット39は、光学ハウジング35内に収容されて、シリンダレンズ38から複数の光ビーム59,60,61,62が偏向面95に導かれる。そして、偏向ユニット39は、偏向面95上に収束された光ビーム59,60,61,62を偏向して、結像光学系32の後述するfθレンズ116に向かって出射する。このとき、偏向面95によって、偏向された後の光ビーム59,60,61,62は、互いに分離するように間隔を拡げつつfθレンズ116に入射する。偏向ユニット39は、光学ハウジング35内に収容されて、外気から遮断されることで、外気の対流による振幅の変化が防止される。
前述した光源装置31は、各光源ユニット48,49の半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62をfθレンズ116に向かって出射する。光源装置31は、互いに平行な一対の板部材34間に挟まれて、残りの一つの板部材34と間隔をあけて、当該一対の板部材34とねじなどによって固定される。
結像光学系32は、図3に示すように、走査レンズとしてのfθレンズ116と、四つのトロイダルレンズ117Y,117M,117C,117Kと、複数の折返しミラー118と、を備えている。fθレンズ116は、長手方向が感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの長手方向と平行な棒状に形成され、前述した光学ハウジング35の射出窓46内に取り付けられて、接着剤によって固定される。fθレンズ116は、主走査方向Xの中央部が光源装置31から端なれる方向に凸に形成されている。fθレンズ116は、全ての光ビーム59,60,61,62が通過するとともに、副走査方向Zには周速力を有していない。
トロイダルレンズ117Y,117M,117C,117Kは、感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kと1対1で対応して設けられている。トロイダルレンズ117Y,117M,117C,117Kは、長手方向が、感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの長手方向と平行な棒状に形成され、断面トロイダル形に形成されている。トロイダルレンズ117Y,117M,117C,117Kは、対応する感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの外表面上を走査する一つの光ビーム59,60,61,62のみが通過する。
複数の折返しミラー118は、長手方向が、感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの長手方向と平行な帯板状に形成されている。折返しミラー118は、fθレンズ116を通過した光ビーム59,60,61,62を、各トロイダルレンズ117Y,117M,117C,117Kを介して感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの外表面に導くように、適宜箇所に配置されている。
前述したトロイダルレンズ117Y,117M,117C,117K及び折返しミラー118は、互いに平行な一対の板部材34間に挟まれて、恰も当該一対の板部材34間に架橋された格好でユニット本体30に取り付けられている。
前述した構成の結像光学系32は、光源装置31の振動ミラー85の偏向面95からfθレンズ116に全ての光ビーム59,60,61,62が入射する。fθレンズ116を通った各光源ユニット48,49からの光ビーム59,60,61,62のうち、光源ユニット49の下方の半導体レーザ52からの光ビーム62は、折返しミラー118で反射され、トロイダルレンズ117Yを介して感光体ドラム8Y上にスポット状に結像し、イエロー色の画像情報に基いた静電潜像を形成する。
光源ユニット49の上方の半導体レーザ51からの光ビーム61は、折返しミラー118で反射され、トロイダルレンズ117M、折返しミラー118を介して感光体ドラム8M上にスポット状に結像し、マゼンタ色の画像情報に基いた静電潜像を形成する。
光源ユニット48の下方の半導体レーザ52からの光ビーム60は、折返しミラー118で反射され、トロイダルレンズ117C、折返しミラー118を介して感光体ドラム8C上にスポット状に結像し、シアン色の画像情報に基いた静電潜像を形成する。
光源ユニット48の上方の半導体レーザ51からの光ビーム59は、折返しミラー118で反射され、トロイダルレンズ117K、折返しミラー118を介して感光体ドラム8K上にスポット状に結像し、ブラック色の画像情報に基いた静電潜像を形成する。
前述した構成のユニット22は、光源装置31の振動ミラー85に対して、各光源ユニット48,49からの四つの光ビーム59,60,61,62を副走査方向Zに異なる入射角で斜入射させることで、各光源ユニット48,49からの四つの光ビーム59,60,61,62を、一括して偏向して、感動体ドラム8Y,8M,8C,8Kの外表面上に走査させている。
調整機構33は、図9に示すように、モータ119と、ピニオン120と、ラック121とを備えている。モータ119は、光源装置31の光学ハウジング35内に収容されて、当該光学ハウジング35に固定されている。モータ119としては、回転方向を切り替えることができ、且つ、回転量を容易に制御できるステッピングモータなどが用いられる。ピニオン120は、モータ119の出力軸に取り付けられている。ラック121は、シリンダレンズ38に固定され、かつピニオン120と噛み合っている。
調整機構33は、モータ119の駆動力によって、シリンダレンズ38の向きを副走査方向Zのみに変更する。そして、調整機構33は、光源部36の各光源ユニット48,49の各半導体レーザ51,52から偏向面95にいたる光ビーム59,60,61,62の向きを、副走査方向Zに変更する。そして、調整機構33は、振動ミラー85の偏向面95上の各光ビーム59,60,61,62の線像が、振動ミラー85の偏向面95の副走査方向Zの中央に位置するように調整する。こうして、調整機構33は、モータ119の駆動力によって、シリンダレンズ38の向きを副走査方向Zのみに変更して、光源部36から偏向面95に至る光ビーム59,60,61,62の向きを、副走査方向Zに変更して、当該光ビーム59,60,61,62が偏向面95の中央に照射されようにする。このように、調整機構33は、光ビーム59,60,61,62が振動ミラー85の偏向面95の中央に照射されることを可能として、振動ミラー85の偏向面95上で各光ビーム59,60,61,62のケラレが発生しないような構成としている。
また、前述したユニット22は、図6に示すように、光ビーム59,60,61,62の光束幅が振動ミラー85の偏向面95の径よりも小さくなるように、図示しないアパーチャ(図示せず)を設けている。
また、ユニット22は、各光源ユニット48,49の半導体レーザ51,52を同期させて駆動するための同期検知センサ115を備えている。同期検知センサ115へは振動ミラー85の偏向面95で偏向された光ビーム59,60,61,62が走査レンズとしてのfθレンズ116の脇をすり抜け、結像レンズ122により集束されて、入射される。同期検知センサ115は、その検出信号をもとに、各光源ユニット48,49の半導体レーザ51,52の同期検知信号を生成している。
従来、光源ユニット48,49から振動ミラー85の偏向面95への入射角αと振動ミラー85の可動部96即ち偏向面95の振れ角(振幅)θ0との関係は、α>2θ0であり、最大偏向角2θmax=α+2θ0としていた。
しかしながら、有効走査率(θd/θ0)を所定値以下、本実施形態では、0.6以下に抑えるために、
θ0≧α/2>θd
θ0≧θs>θd
ここで、θdは感光体ドラム8Y,8M,8C,8Kの外表面上を走査する有効振れ角、θsは同期検知時の振れ角である。
前述したθ0、α、θd、θsの関係を満たすように、半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62の平均入射角αを設定している。具体的には、本実施形態では、θ0=25°、θd=15°、α=45°、θs=18°としている。尚、同期検知センサ115を、θs>α/2となるように配置してもよい。
図11では、振幅中心が走査レンズとしてのfθレンズ116の光軸と一致しない例、つまり、振幅中心を光源ユニット48,49側にずらして振動させる例を示している。しかしながら、本実施形態では、振幅中心を走査レンズとしてのfθレンズ116の光軸と一致する配置としており、走査レンズとしてのfθレンズ116乃至トロイダルレンズ117Y,117M,117C,117Kの面形状が主走査方向に沿って対称な曲面形状となるようにしている。
上記したように、振動ミラー85の偏向面95は、可動部96の往復振動に伴なって波状に変形する。この変形量δは振幅θ0の時、最大となり、振れ角0からθ0への変化により比例的に変化量が大きくなるといった傾向がある。つまり、走査領域を走査する振れ角θdは、走査レンズとしてのfθレンズ116の画角により定まってしまうため、走査領域を走査する振れ角θdの振幅θ0に対する比、有効走査率(θd/θ0)が小さい方が偏向面95の変形の影響を受け難いということになる。
しかしながら、振幅θ0を大きくするにはミラー部91を構成する基板105,106の質量を小さくする必要があり、逆に、ミラー部91を構成する基板105,106を薄くすれば変形量が大きくなってしまうという相反する関係がある。
本実施形態では、ミラー部91の可動部96の角速度が比較的一定な振れ角の範囲内に有効走査率(θd/θ0)を設定し、被走査領域を走査する振れ角θdを振幅θ0の60%以下とすることで、変形を抑制している。
また、画像形成装置1は、図3に示すように、転写ベルト29の出口ローラー部に各ステーションで形成され重ね合わされた各色画像の重ね合わせ精度を検出するための検出手段123を設けている。検出手段123は、転写ベルト29上に形成したトナー像の検出パターンを読み取ることで、主走査レジスト、副走査レジストを基準となるステーションからのずれとして検出し、定期的に補正制御が行なわれる。
本実施形態では、検出手段123は、照明用のLED素子124と反射光を受光するフォトセンサ125および一対の集光レンズ126とを備え、転写ベルト29の幅方向の左右両端と中央の3ヵ所に配備されている。検出手段123は、転写ベルト29の移動に応じて基準色であるブラックと各色との検出時間差を読み取っていく。
本実施形態によれば、光ビーム59,60,61,62の副走査方向Zの向きを変更する調整機構33を備えているので、光ビーム59,60,61,62を振動ミラー85の偏向面95の中央に照射することができる。そのために、取付・加工公差などが生じたり、振動ミラー85を小型化しても、光ビーム59,60,61,62を振動ミラ85ーの副走査方向Zの中央に確実に導くことができる。
よって、振動ミラー85の偏向面95が恰も波うって変形しても、偏向面95の中央部の変形量が少ないため、振動ミラー85を厚くすることなく、結像位置の光ビーム59,60,61,62が太くなったりピントずれが生じることを防止でき、光ビーム59,60,61,62のケラレによるフレア光などの散乱光の発生を抑え、地汚れなどの画質の劣化がない、高品質な画像を形成することができるとともに、振動ミラー85の小型化による慣性モーメントの低減によって、高速化、広角化、高画質化を実現することができる。
調整機構33が光源部36と振動ミラー85との間に設けられているので、振動ミラー85よりも被走査面寄りの結像光学系に影響を与えることなく、振動ミラー85上の副走査方向Zにおける光ビーム59,60,61,62の光束位置を調整することができる。
また、シリンダレンズ38が光源部36と振動ミラー85との間に設けられているので、振動ミラー85の偏向面95上の副走査方向Zの光ビーム59,60,61,62の光束位置の調整を効率良く行うことができる。
半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62が振動ミラー85の近傍で交差するので、複数の半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62を振動ミラー85によって偏向走査する際にも、振動ミラー85を小型化することができ、小型化、高速化、広角化、高画質化を実現することができる。
複数の半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62が振動ミラー85の偏向面95上で交差するので、複数の半導体レーザ51,52からの光ビーム59,60,61,62を振動ミラー85によって偏向走査する際にも、振動ミラー85をさらに小型化することができ、小型化、高速化、広角化、高画質化を実現することができる。
画像形成装置1は、前述したユニット22を備えているので、光ビーム59,60,61,62のケラレによる画質の劣化がなく、振動ミラー85の小型化が可能となって、高画質、小型、高速化を図ることができる。
前述した実施形態では、調整機構33は、ラック121とピニオン120を備えている。しかしながら、本発明では、調整機構33は、リードスクリューなどを備えて構成されても良く、圧電素子などを備えていても良い。要するに、本発明では、調整機構33は、副走査方向Zに光ビーム59,60,61,62の向きを変更可能な手段であれば何でも良い。
また、本発明では、シリンダレンズ38ではなく、光源ユニット48,49、または、偏向ユニット39などに副走査方向Zに光ビーム59,60,61,62の向きを変更可能とする調整機構33を取り付けても良い。
また、前述した実施形態では、光源ユニット48,49のホルダ部材53に調節ネジ56をねじ込むことで、主走査方向Xに光ビーム59,60,61,62の向きを変更可能にしている。しかしながら、本発明では、主走査方向Xに光ビーム59,60,61,62の向きを変更する手段を、偏向ユニット39に設けても良く、振動ミラー85に入射前の光学系の光学素子のいずれかに設けても良い。また、主走査方向Xに光ビーム59,60,61,62の向きを変更するのではなく、主走査方向Xに光ビーム59,60,61,62を平行移動させる位置調整手段を、偏向ユニット39もしくは、偏向ユニット39前の光学系のいずれかの光学素子に設けて、振動ミラー85の偏向面95への光ビーム59,60,61,62の主走査方向Xの入射位置を調整しても良い。また、光ビーム59,60,61,62の振動ミラー85の偏向面95への主走査方向Xの入射位置を調整する手段として、アパーチャを振動ミラー85の近傍に配置して、より効率良く調整を行っても良い。
また、本発明では、図19に示すように、光源ユニット48,49の調節用ねじ孔69の位置を変更することで、光源ユニット48,49もしくはシリンダレンズ38を、主走査方向Xを中心として回転させることにより、光ビーム59,60,61,62の振動ミラー85の偏向面95上の副走査方向Zの照射位置を調整しても良い。この場合、ホルダ部材53の半導体レーザ51,52と副走査方向Zに沿って並ぶ位置に調節用ねじ孔69を設ける。なお、図19において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。これにより、振動ミラー85の偏向面95に入射する光ビーム59,60,61,62の副走査方向Zの位置を変更できるようにしている。また、本発明では、調節用ねじ孔69を複数設けて、光ビーム59,60,61,62の向きを副走査方向Zと主走査方向Xとの双方に変更可能としても良い。
また、本発明では、図20に示すように、一つの感光体ドラム8の外表面を、単一の振動ミラー85により走査する方式の光走査装置でも適用することができる。なお、図20において、前述した実施形態と同一部分には、同一符号を付して説明を省略する。図20に示された場合では、光源部36の光源ユニット48からの光ビーム59の光軸と振動ミラー85の偏向面95の法線とが同一平面上に位置するように、光源部36と振動ミラー85とが配置されている。勿論、この図20に示された場合において、図示しないが前述した実施形態と同様に、調整機構33を備えている。
図20に示された場合では、図示するように光源ユニット48からの光ビーム59を、振動ミラー85で偏向反射し、感光体ドラム8に導くことで静電潜像を形成する。図20において、光ビーム59の光軸と、振動ミラー85の偏向面95の法線とが、主走査面に対して等しい角度を成している。
光源ユニット48からの光ビーム59は、振動ミラー85の偏向面95の法線に対し主走査方向Xでの入射角が各々22.5°(=α/2+θd)となるように入射され、振動ミラー85上近傍にてシリンダレンズ38によって形成される線像を成す。振動ミラー85によって偏向された光ビームは、fθレンズ116を通過し、折返しミラー118で反射され、感光体ドラム8上にスポット状に結像し、画像情報に基いた静電潜像を形成する。
図20に示された場合においても前述した実施形態と同様に、光ビーム59の光束幅は振動ミラー85の偏向面95の径よりも小さくなるように、アパーチャを設けており、また、光ビーム59の振動ミラー85の偏向面95上における線像は、振動ミラー85の偏向面95の副走査方向Zの中央に位置するように調整し、光ビーム59のケラレが発生しないようにしている。
この場合によれば、光源部36からの光ビーム59と、振動ミラー85の偏向面95の法線とが同一平面上に配置されているので、光源部36や振動ミラー85の取付・加工公差などの振動ミラー85への副走査方向Zにおける光ビーム59の照射位置の変動を最小にできるとともに、振動ミラー85上での副走査方向Zの光ビーム59のビームスポット径を最小にすることができるので、必要な振動ミラー85をより小型化することができる。
振動ミラー85の偏向面95上の副走査方向Zの照射位置を調整する手段として、前述した実施形態と同様に、シリンダレンズ38や、光源ユニット48や、偏向ユニット39に取り付けられたラック121と、該ラック121と噛み合うピニオン120を回転するモータ119などを備えた調整機構33を備えている。
なお、本発明は上記実施例に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。