JP5169776B2 - 光走査装置及び画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、発光部から射出された光ビームを被走査面に走査させる光走査装置及び光走査装置の同期検知手段において光ビームを選択して同期検知の検出を行うための光量制御に関し、該光走査装置を用いた画像形成装置に関する。
従来の光走査装置においては光ビームを走査する偏向器としてポリゴンミラーやガルバノミラーが用いられるが、より高解像度な画像と高速プリントを達成するにはこの回転をさらに高速にしなければならず、軸受の耐久性や風損による発熱、騒音が課題となり、高速走査に限界がある。
これに対し、近年シリコンマイクロマシニングを利用した偏向装置の研究が進められており、特許文献1や特許文献2に開示されるようにSi基板で振動ミラーとそれを軸支するねじり梁を一体形成した方式(MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)振動ミラー(または振動ミラー))が提案されている。
この方式によれば、ミラー面サイズが小さく小型化できるうえ、共振を利用して往復振動させるので高速動作が可能であるにもかかわらず、低騒音で消費電力が低いという利点がある。
また、低振動で、発熱がほとんどないために、光走査装置を収容するハウジングを薄肉化でき、ガラス繊維の配合率が少ない低コストな樹脂成形材を用いても画像品質への影響が発生し難いといった利点もある。
また、特許文献3や特許文献4には、ポリゴンミラーの代わりに振動ミラーを配備した光走査装置の例が開示されている。
振動ミラーをポリゴンミラーの代わりとして用いることで、低騒音化や低消費電力化が可能となり、オフィス環境に適合した画像形成装置が提供できる。
また、低振動化に伴ってハウジングが薄肉化でき、軽量化や低コスト化が可能である。
ここで、振動ミラーにおいて、共振振動数は温度によってねじり梁のバネ定数が変化、あるいは大気圧による空気の粘性抵抗が変化すること等により、振れ角が変化してしまうという問題があった。
そのため、特許文献5に開示されるように、同期検知センサ及び終端検知センサにより走査されたビームを検出することで振れ角を検出し、振動ミラーに与える印加電流を加減することで、振れ角を安定的に保つ制御が行われている。
また、特許文献6,7には、光ビームに要求される各特性のうち深度を評価可能な光ビーム特性評価方法及び評価装置が開示されている。
ところで、画像形成装置は、更なる高速化とカラー化に対応するために、一つの像担持体に対して複数の光ビームを同時に走査して書込みを行うマルチビーム方式が用いられている。
ここにMEMS振動ミラーにより往復走査書込みを行う場合、画像形成領域外に設けられた光ビーム検出手段を、走査ビームは、振幅の中心から外側へ走査され検出面上を通過して、振幅の頂点に達した後に、光ビームは逆向きに走査され再び検出面上を通過する。
そのため、従来の偏向手段にポリゴンを用いた場合と異なり、往走査と副走査で、光ビーム検出手段の受光面を、逆方向に横切ることになり、光ビームの振れ角中心から両端の光ビーム検出手段の受光面を等距離に配置しなければ、両端で光ビーム通過を検出する像高が異なることになる。
例えば、画像領域外の主走査方向の両側の振れ角θsに光ビーム検出手段としてそれぞれPD+、PD−の同期検知を設置した場合に、往復走査において、像高0を通過する往復走査による往路走査時間と復路走査時間は、それぞれ像高方向に、進行方向と逆向きに受光面位置ずれ分ずれた区間を測定していることになる。
この検出データを元に、振動ミラーの姿勢制御や書込み開始位置の調整、往復走査ごとでの書込み条件(画素ピッチや画周波数等)の調整を行う場合には、光ビーム検出手段を固定するときの主走査方向の位置ずれ誤差は両端それぞれで倍になっていた。
特許第2924200号公報 特許第3011144号公報 特許第3445691号公報 特許第3543473号公報 特開2004−279947号公報 特開2000−9589号公報 特許第3594813号公報
本発明は、以上の従来技術における問題に鑑みてなされたものであり、複数の光ビーム検出手段を簡便に適切な位置に配置することが可能な光走査装置、及び該光走査装置を用いた画像形成装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために提供する本発明は、以下の通りである。
〔1〕 光ビームを射出する光源手段と、前記光源手段を変調駆動する光源駆動手段と、前記光源手段から射出された光ビームを振動ミラーにより偏向して主走査方向に往復走査させる偏向手段と、前記偏向手段における振動ミラーの駆動を制御する偏向制御手段と、前記偏向手段からの光ビームを被走査面上に導く走査結像光学系と、前記偏向手段からの光ビームの通過を検出する複数の光ビーム検出手段と、前記偏向手段からの光ビームの往復走査領域を長手方向とする1部材であって、前記複数の光ビーム検出手段を前記偏向手段からの光ビームの往復走査領域のうち画像形成領域外に配置するとともに、該複数の光ビーム検出手段の受光面同士が所望の間隔となるように前記複数の光ビーム検出手段を一体的に固定する検出手段固定部材と、前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線に対して前記検出手段固定部材及び走査結像光学系を所定の配置関係とするための位置決め部を有するハウジングと、を備え、前記検出手段固定部材と走査結像光学系のいずれかの光学素子は、それぞれ有する位置決め手段により、前記ハウジングの位置決め部で位置決めされ固定されるとともに、前記検出手段固定部材は、前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の中間点に位置決め手段を有し、前記走査結像光学系のいずれかの光学素子は、主走査方向の中央部に位置決め手段を有する光走査装置
〔2〕 前記走査結像光学系のうち、最も大きい主走査方向の光学パワーを有する光学素子が前記位置決め手段を有する前記〔〕に記載の光走査装置
〔3〕 前記検出手段固定部材は、前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線上に前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の中間点が位置するように前記ハウジングに位置決めされる前記〔1〕または〔2〕に記載の光走査装置。
〕 前記走査結像光学系のいずれかの光学素子は、前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線に該光学素子の光軸が一致するように前記ハウジングに位置決めされる前記〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の光走査装置。
〕 前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の距離を2*Hs、前記複数の光ビーム検出手段のうちいずれかの光ビーム検出手段の受光面の主走査方向の位置ずれをΔHとするとき、ΔH/(2×Hs)×100≦0.01を満たす前記〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の光走査装置。
〕 前記偏向制御手段は、前記光ビーム検出手段で検出された検出信号に基づいて求められる光ビームの最大振幅が一定になるように偏向手段を制御すること、前記光ビーム検出手段で検出された検出信号に基づいて求められる光ビームの振幅中心のシフト量分を補正するように偏向手段を制御すること、前記光ビーム検出手段で検出された検出信号に基づいて求められる光ビームの走査周波数の変動分を補正するように偏向手段を制御すること、から選択される1または2以上の制御を実行する前記〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の光走査装置。
〕 少なくとも一つの像担持体と、前記〔1〕〜〔〕のいずれかに記載の光走査装置であって、前記像担持体に画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの光走査装置と、を備える画像形成装置。
本発明の光走査装置(請求項1に係る発明)によれば、複数の光ビーム検出手段(同期検知センサ)を、あらかじめ受光面同士が所望の間隔となるように検出手段固定部材に固定するので、複数の光ビーム検出手段を個別に位置調整した場合に生じる位置ずれ誤差(光ビーム検出手段の数だけ累積する位置ずれ量)を削減でき、取り付け工程における調整作業を削減でき簡略化が可能である。また、光ビーム検出手段自体の位置ずれによる光ビームが通過するタイミング誤差を解消することができ、光ビーム検出手段の同期検知信号にもとづく振動ミラーの振れ角制御を適切に行うことができる。
また、光ビーム検出手段を配置した検出手段固定部材を粘着材などによりハウジングに固定することにより、各光ビーム検出手段間の位置関係を維持したままで、振動ミラー、光学素子と所定の配置関係とすることが容易にできる。さらに、環境変動による伸縮膨張が生じても、各光ビーム検出手段の位置は所定の配置関係が維持され、光ビームが光ビーム検出手段を通過する検出信号を基にして、振動ミラーを適切に制御することができる。
また、検出手段固定部材の位置決め手段とハウジングの位置決め部とにより、該検出手段固定部材の位置決めし、走査結像光学系の光学素子の位置決め手段とハウジングの位置決め部とにより、該光学素子の位置決めをして固定することによって、光ビーム検出手段及び光学素子の光軸を偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線に対して所定の配置関係に配置することができ、光ビーム検出手段の同期検知信号にもとづく振動ミラーの振れ角制御をより適切に行うことができる。またこれにより、光ビームの振幅中心と光ビーム検出手段の位置関係の調整工程を簡略化することができる。
また、検出手段固定部材の位置決め手段と、ハウジングの位置決め部とを、粘着層または板バネやネジ等の固定部材で一体的に固定することによって、環境変動による検出手段固定部材の変形(伸縮、膨張等)が生じた場合でも、振動ミラーの回転中心から各受光面までの距離(振れ角)は等しく保たれ、各受光面を光ビームが通過するタイミングは等しく変化するので、光ビームの通過タイミングの検出データによる偏向手段の振動状態の制御を適切に行うことができる。
また、検出手段固定部材では前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の中間点に設けた位置決め手段を用い、前記走査結像光学系のいずれかの光学素子では主走査方向の中央部に設けた位置決め手段を用いて、ハウジングの位置決め部に各々の位置決めして取り付けることによって、例えば検出手段固定部材において、受光面間の中心点の位置決め手段を粘着層または固定部材で固定すると、温度や湿度等により検出手段固定部材が伸縮してしまったときでも、固定箇所を基準として両端の受光面は対称性を維持することができる。これにより、光ビーム検出手段を通過する光ビームを検出するタイミングは、検出手段固定部材の一方の端部(+側)と他方の端部(−側)の等距離に置かれた光ビーム検出手段同士で、同一傾向で変動し片寄りを持たないようにすることができる。
また、光ビーム検出手段における受光面の位置が個体差を持つ場合でも、あらかじめ光ビーム検出手段内の受光面を基準として、検出手段固定部材を介して受光面同士が所望の位置関係となるように該検出手段固定部材に固定しておくことにより、その検出手段固定部材を光ビームの振幅中心に合わせると、光学素子の中央部の位置決め手段によりハウジングに固体された該光学素子の光軸上に、光ビーム検出手段の受光面間の中間点がくるようにすることができる。これにより、光ビーム検出手段の基板内での取付け位置、受光面自体の製造誤差を補正して、光走査装置に検出手段固定部材を介して一体化することができる。
請求項に係る発明によれば、前記走査結像光学系のうち、最も大きい主走査方向の光学パワーを有する光学素子が前記位置決め手段を有することによって、環境変動(温度や湿度)による光学素子の伸縮が生じた場合に、最も大きな影響を与える光学素子と、検出手段固定部材、ひいては光ビーム検出手段が位置決め手段により所定の配置関係を維持することができる。また、位置決め部材が前記光学素子の中央部にあるときには、仮に前記光学素子に膨張や収縮が生じても、光学素子用の位置決め部材により固定された中央部を基準にして、位置レイアウトは対称性を維持することができるので、光ビーム検出手段の受光面を光ビームが通過する検出信号を適切なものとすることができる。
請求項に係る発明によれば、前記検出手段固定部材は、前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線上に前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の中間点が位置するように前記ハウジングに位置決めされるので、偏向手段における振動ミラーの回転中心から左右両端の光ビーム検出手段の受光面までを等距離(等角度)にあわせることができ、左右の受光面を偏向走査された光ビームが通過するタイミングを調整することができる。
請求項に係る発明によれば、前記走査結像光学系のいずれかの光学素子は、前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線に該光学素子の光軸が一致するように前記ハウジングに位置決めされるので、両端の光ビーム検出手段の受光面を前記光学素子の光軸から等距離(等振れ角)に位置固定することができる。
請求項に係る発明によれば、前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の距離を2*Hs、前記複数の光ビーム検出手段のうちいずれかの光ビーム検出手段の受光面の主走査方向の位置ずれをΔHとするとき、ΔH/(2×Hs)×100≦0.01を満たすことにより、光ビーム検出手段の受光面間の距離に対する位置ずれ誤差(位置ずれ量)を0.01%以下にすることになるので、検出信号を画質に問題がないレベルで精度良く検出することができ、同期検知位置である光ビーム検出手段位置より内側に設けられた画像形成領域内ではより少ない位置ずれとなるので、ジャギーの許容限度0.01%内での画像ずれとすることができ、ジャギー(線のぎざぎざ)の目立たない高画質な画像を実現することができる。
請求項に係る発明によれば、光ビーム検出手段の受光面を検出手段固定部材を介して一体的に固定しているため受光面の間隔は常に等しくなっており、光走査装置の設置された環境変動により光ビームの最大振幅に変動が生じた場合(例えば、振動ミラーの外乱や連続駆動による最大振れ角の変動が発生した場合)でも、適切に検出される光ビームの検出信号のタイミングずれ量から正確に振幅状態を算出することができ、最大振幅を一定にする補正量を算出し、所望の最大振幅となるように偏向手段を制御することができ、安定した光ビームを走査することができるので、高画質の画像を像担持体上に形成することができる。
また、光ビーム検出手段の受光面を検出手段固定部材を介して一体的に固定しているので、光走査装置の設置された環境変動により光ビームの振幅中心がシフトした場合には、光ビームの検出信号のタイミングずれから、適切に振幅状態を算出することができ、従来の振幅中心からのシフト量に対する補正量を算出し、偏向手段を適切に制御することができ、高画質の画像を像担持体上に形成することができる。
また、光ビーム検出手段の受光面を検出手段固定部材を介して一体的に固定しているので、光走査装置の設置された環境変動により光ビームの走査周波数が変動した場合(例えば、振動ミラーが外乱や連続駆動により走査周波数が変動した場合)に、光ビームの検出信号のタイミングずれから、適切に走査周波数を補正するための印加電圧を算出することができ、偏向手段を適切に制御することができ、半導体レーザの高画質の画像を像担持体上に形成することができる。
さらに、前記3種類の偏向手段の制御を適宜組み合わせることによって、所望の光ビームの走査状態を維持することができる。
請求項に係る発明によれば、請求項1〜のいずれかに記載の光走査装置を用いた画像形成装置によって、光ビーム検出手段を検出手段固定部材を介して固定することによって、光ビーム検出手段の位置精度を高めると共に、取り付け工程を簡略化することが可能になる。また、温度変動等が生じても、各光ビーム検出手段は同一部材(検出手段固定部材)で固定されているので、同割合で伸縮するため、振動ミラーの回転中心軸から受光面までの距離は常に等しい距離にある。これにより、位置ずれを抑制した光ビームの通過を検出することが可能となり、より高精細な出力画像を形成することが可能となる。また、光ビーム検出手段により検出される同期検知の位置ずれ量を抑制することによってジャギー等の縦線揺らぎ等の抑制された高画質画像を提供することができる。

光走査装置において、振動ミラーにより主走査方向に往復走査された光ビームの同期検知に関する光ビーム検出手段(同期検知センサ)をハウジングに個別に取り付けていた場合には、それぞれの位置ずれ誤差が発生するばかりでなく、光ビーム検出手段の受光面同士の位置レイアウトの関係もそれぞれの固定箇所の位置ずれによって変動してしまう。
そこで、本発明に係る光走査装置は、光ビームを射出する光源手段と、前記光源手段を変調駆動する光源駆動手段と、前記光源手段から射出された光ビームを振動ミラーにより偏向して主走査方向に往復走査させる偏向手段と、前記偏向手段における振動ミラーの駆動を制御する偏向制御手段と、前記偏向手段からの光ビームを被走査面上に導く走査結像光学系と、前記偏向手段からの光ビームの通過を検出する複数の光ビーム検出手段と、前記複数の光ビーム検出手段を前記偏向手段からの光ビームの往復走査領域のうち画像形成領域外に配置するとともに、該複数の光ビーム検出手段の受光面同士が所望の間隔となるように固定する検出手段固定部材と、を備えるものである。このとき、前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線に対して前記検出手段固定部材及び走査結像光学系を所定の配置関係とするための位置決め部を有するハウジングを備え、前記検出手段固定部材と走査結像光学系のいずれかの光学素子は、それぞれ有する位置決め手段により、前記ハウジングの位置決め部で位置決めされ固定されていることが好ましい。
ここで、光ビーム検出手段の受光面の位置レイアウトを検出手段固定部材に固定することによって一意的に決定しておき、該検出手段固定部材の位置決め手段と各光学素子の位置決め手段をハウジングの位置決め部に各位置決め調整して固定することによって、光ビーム検出手段の受光面同士の中間点を、偏向手段による光ビームの振幅中心線上とし、さらに走査結像光学系のそれぞれの光学素子の光軸と合うように固定することができる。
これにより受光部の間隔を維持したまま、各光学素子の中心位置を合わせることができる。すなわち、光ビームが光ビーム検出手段(同期検知センサ)を通過し最大振幅に至り再び該光ビーム検出手段を通過するときに、ハウジング上の光ビーム検出手段の位置ずれにより、従来では+像高側の光ビーム検出手段と−像高側の光ビーム検出手段の位置ずれ分、光ビームの同期検知センサの受光面への進入像高に差違が生じていたものを、あらかじめ検出手段固定部材に光ビーム検出手段を固定することにより、光ビーム検出手段の位置関係が一意的に決まったまま、検出手段固定部材を介して一括で取り付け調整を行うことができる。
このとき、光ビーム検出手段の受光面を検出手段固定部材を介して一体固定することによって、受光面間隔は一定となるので、検出手段固定部材を介した位置ずれ量が、仮に10μm程度発生した場合でも、ジャギーは0.00875%となり、理想的なジャギー(線のぎざぎざ)条件を満たし、高画質画像が実現可能となる。
なお、偏向手段としてねじり梁によって支持された振動ミラーを用いることによって、従来のポリゴンスキャナを用いた偏向手段と比較して、低騒音、低発熱、低消費電力を実現することができ、特にポリゴンモータからの発熱による光学素子の温度変化による画像劣化を解決することができ、より高精度な描画画像を実現できる。また、このような正弦振動を行う偏向手段は、シリコン結晶等の半導体プロセスで製造することができ、理論上金属疲労がなく耐久性にも優れている。
以下に、本発明に係る光走査装置及び画像形成装置について図面を参照して説明する。
まず、本発明の一実施形態として、往復走査された光ビームを、一方の光ビーム検出手段(+像高)と他方の光ビーム検出手段(−像高)の受光面の間隔を部材を用いて一定に保ち、偏向手段による光ビームの振幅中心線上に受光面間の中心点が位置するように一体固定した光ビーム検出手段によって、検出位置ずれを抑制した光走査装置を用いた画像形成装置の一例を図に基づいて説明する。
図1は、本発明に係る画像形成装置の構成例として示す、4ステーション(色別の潜像形成ステーション)を単一の振動ミラー106により走査した方式(片側走査方式)の画像形成装置の概略図である。図示するように各感光体ドラム(像担持体)を走査する光走査装置は一体的に構成され、転写体としての中間転写ベルト105の移動方向に沿って等間隔で配列された4つの感光体ドラム101、102、103、104に対し、各々に対応した光源ユニット(光源手段)107、108からの光ビームを、偏向手段である振動ミラー106での偏向後に再度分離して、導くことで同時に画像(潜像)を形成する。
振動ミラー106に対して各光源ユニット107,108からのビームは副走査方向に異なる入射角で斜入射させることで、各光源ユニット107,108からの光ビームを一括して偏向、走査するようにしている。
光源ユニット107,108は2ステーション分の光源が副走査方向に配列され、各光源からの光線のなす角度が2.5°となるように調整がなされ、後述する振動ミラー面441で副走査方向に交差するように、一体的に支持されている。
本実施形態では、光源ユニット107は、光源ユニットの射出軸に対し、下側の光源からの光線(ビーム)202を平行に、上側の光源からの光線(ビーム)201を2.5°傾くようにし、射出軸が主走査平面に対して下向きに1.25°傾くように配置される。
一方、光源ユニット108は、射出軸に対し、上側の光源からの光線(ビーム)203を平行に、下側の光源からの光線(ビーム)204を2.5°傾くようにし、射出軸が主走査平面に対して上向きに1.25°傾くように配置され、各光源ユニット107,108の射出軸が振動ミラー面441で副走査方向に交差するように、各光源ユニット107,108は副走査方向に設置高さを変えて配置される。
光源ユニット108は、副走査方向に光源ユニット107より低い配置となるように配備され、入射ミラー111によって、各光源からのビーム204、203、202、201が上下一列に揃うように、副走査方向に高さを異ならせてシリンダレンズ113に入射され、振動ミラー106の法線に対し主走査方向での入射角が各々22.5°(=α/2+θd)となるように、また、振動ミラー106上で、副走査方向に交差するように入射される。
各ビームはシリンダレンズ113によって振動ミラー面の近傍で副走査方向に収束され、偏向後はビーム同士が分離するように間隔を拡げつつ走査レンズ120に入射される。ここで走査レンズ120は全てのステーションで共用され、副走査方向には収束力を持たない。
走査レンズ120を通った各光源ユニット107,108からの光ビームのうち、光源ユニット108からの下段のビーム204は、折返しミラー126で反射され、トロイダルレンズ122を介して感光体ドラム101上にスポット状に結像し、第1の画像形成ステーションとしてイエロー色の画像情報に基づいた潜像を形成する。
光源ユニット108からの上段のビーム203は、折返しミラー127で反射され、トロイダルレンズ123、折返しミラー128を介して感光体ドラム102上にスポット状に結像し、第2の画像形成ステーションとしてマゼンタ色の画像情報に基づいた潜像を形成する。
光源ユニット107からの下段のビーム202は、折返しミラー129で反射され、トロイダルレンズ124、折返しミラー130を介して感光体ドラム103上にスポット状に結像し、第3の画像形成ステーションとしてシアン色の画像情報に基づいた潜像を形成する。
光源ユニット107からの上段のビーム201は、折返しミラー131で反射され、トロイダルレンズ125、折返しミラー132を介して感光体ドラム104上にスポット状に結像し、第4の画像形成ステーションとしてブラック色の画像情報に基づいた潜像を形成する。
これらの構成部品は後述する単一のハウジングに一体的に保持される。
偏向手段を制御するための光ビーム検出手段としての同期検知センサ(「振動制御用PD(フォトダイオード)」または「同期検知」ともいう)140(−像高)、141(+像高)は、光源ユニット107,108からの光ビームの通過を検知する受光面を有するフォトダイオード(PD)などからなる光センサである。この同期検知センサ140,141に対して、振動ミラー106で偏向された光ビームが走査レンズ120を通過し、結像レンズ143(−像高),144(+像高)により集束され、入射され検出信号を出力するようになっており、その検出信号をもとに偏向制御手段において、偏向手段(振動ミラー106)を適切に制御している。
なお、同期検知センサ140,141の受光面には、結像レンズをすり抜けて入射するもの、走査レンズ120を透過後に入射するもの、トロイダルレンズ122〜124を透過後に入射するもののいずれの構成にしても良い。
偏向手段を制御するための同期検知センサ140,141で、ステーション毎の同期検知信号を検出できるように配置することもでき、同期検知センサの設置個数を削減することができる。
また、中間転写ベルト105の出口ローラ部(図1の左端部)には、各ステーションで形成されて重ね合わされた各色画像の重ね合わせ精度を検出するための重ね合わせ精度検出手段が配備されている。
重ね合わせ精度検出手段は中間転写ベルト105上に形成したトナー像の検出パターンを読み取ることで、主走査レジスト、副走査レジストを基準となるステーションからのずれとして検出し、定期的に補正制御が行われる。
本実施形態では、重ね合わせ精度検出手段は照明用のLED素子154と、反射光を受光するフォトセンサ155および一対の集光レンズ156とからなり、画像の左右両端と中央の3ヵ所に配備され、中間転写ベルト105の移動に応じて基準色であるブラックとの検出時間差を読み取っていく。
本発明の光走査装置は、以上のように、振動ミラー106に偏向され、像面上に走査された光ビームを検出する受光面としてのPDで構成された光ビーム検出手段(同期検知センサ140,141)と、上記受光面を光ビームが通過するタイミングに合わせ、LD光源部(光源ユニット107,108)をパルス状に点灯させる光源駆動手段と、を有している。
つぎに、半導体レーザの強制消灯する発光量制御期間を有する光走査装置の動作手順を説明する。説明の簡略化のためLD光源部のうち光源ユニット107のみパルス点灯させた場合で説明する。
光源駆動手段606によりパルス駆動された光源ユニット107から射出された光ビームが、振動ミラー106によって偏向走査され、光ビームが同期検知手段である同期検知センサ141上を通過したときに、光レーザの光源駆動手段606内における画素カウンタの値を0にリセットする。また、光ビームの走査領域の両側に設置された同期検知センサ140,141を起点として書込み開始位置と終了位置及びドット間隔等を適切に指定して光源ユニット107をパルス駆動することができ、画像形成領域内に所望の位置と幅でドットを形成することができる。
同期検知センサ140,141で光ビームを検出した信号にもとづいて、振動ミラー106の振幅、位相、周期、オフセット等を算出し、偏向制御手段610によって振動ミラー106の制御を行う。振動ミラー106の動作状況に応じて、光源駆動手段606によりLD光源部を駆動制御して、画像形成領域の書込みデータを反映さえたパルス点灯駆動としていく。
図2に、光ビーム検出手段として、同期検知センサ140(PD−),141(PD+)を光ビーム走査領域において画像形成領域外の両側に設置して、往復走査された光ビームの走査状態を検出し、偏向制御手段610により振動ミラー106を制御し、同時に光源駆動手段606により光ビームを変調駆動するブロック構成図を示す。
同期検知センサ140,141へは振動ミラー106で偏向された光ビームが走査レンズ120の端部を通過し、結像レンズ143,144により集束され、入射されるようにしており、その検出信号をもとにステーション毎の同期検知信号を生成している。
従来、光源ユニット107,108から振動ミラー面への入射角αと振動ミラー106の振れ角(振幅)θ0との関係は、α>2θ0であり、最大偏向角2θmax=α+2θ0 としていたが、有効走査率(θd/θ0)を所定値以下、例えば実施例では、0.6以下に抑えるために以下の式のように設定している。
θ0≧α/2>θd
θ0≧θs>θd
ここで、θdは感光体上を走査する有効振れ角、θsは同期検知時の振れ角であり、上記式の関係となるよう、光源ユニット107,108から振動ミラー面への光ビームの入射角(光源ユニット107,108から振動ミラー106による光ビーム振幅中心線に対する光ビームの入射角)αを設定している。具体的には、θ0=25°、θd=15°、α=45°、θs=18°である。
図2では、振動ミラー106による光ビームの振幅中心を走査レンズ120の光軸と一致する配置としており、走査レンズ120乃至はトロイダルレンズの面形状が主走査方向に沿って対称な曲面形状となるようにしている。尚、同期検知センサ140,141を、θs>α/2なるように配置してもよい。
また、装置のレイアウトによっては、図3に示すように、振動ミラー106による光ビームの振幅中心が走査レンズ120の光軸と一致しない例、つまり光ビームの振幅中心を光源ユニット107,108側にずらして振幅させる例もあり、その場合には光ビーム検出手段(同期検知センサ140,141)の検知結果に走査レンズ120の光軸とのずれ量を反映させて制御する必要がある。あるいは光ビーム検出手段(同期検知センサ140,141)の配置を走査レンズ120の光軸とのずれ量を反映させたものとしてもよい。
ところで、上記したように振動ミラー面は往復振動に伴なって波状に変形する。この変形量δは振幅θ0の時、最大となり、振れ角0からθ0への変化により比例的に変化量が大きくなるといった傾向がある。
つまり、走査領域を走査する振動ミラー106(すなわち光ビーム)の振れ角θdは、走査レンズ120の画角により定まってしまうため、走査領域を走査する振れ角θdの振幅θ0に対する比、有効走査率(θd/θ0)が小さい方がミラー変形の影響を受け難いということになる。
しかしながら、振幅θ0を大きくするには振動ミラー106の基板(ミラー基板)の質量を小さくする必要があり、逆に、ミラー基板を薄くすれば変形量が大きくなってしまうという相反する関係がある。
本発明では、振動ミラー106の角速度が比較的一定な振れ角の範囲内として有効走査率(θd/θ0)を設定し、被走査領域を走査する振れ角θdを振幅θ0の60%以下とすることで変形を抑制している。
一方、入射角αを大きくすると動的面変形の影響を受けやすい。具体的には、図2に示すように、最大振幅2・θ0=50°、入射角α=45°、走査角2・θd=30°、同期検知角2・θs=36°である。
そこで、本発明では、図2のように、まず光ビーム検出手段である同期検知センサ140,141を検出手段固定部材(図中斜線部の部材)142の長手方向の中間点からそれぞれ距離Hsだけ離れた両端部に固定しておく。また、光走査装置のハウジングにおいて、偏向手段(振動ミラー106)による光ビームの往復走査の振幅の中心線に対して検出手段固定部材142及び走査結像光学系(走査レンズ120)を所定の配置関係とするための検出手段固定部材142用の第1位置決め部(不図示)と走査レンズ120用の第2位置決め部を設ける。
つぎに、検出手段固定部材142において同期検知センサ140,141の受光面間の中間点にあたる部分に設けられた位置決め手段145をハウジングの第1位置決め部に取り付ける。これにより、検出手段固定部材142は、振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線上に光ビーム検出手段である同期検知センサ140,141の受光面間の中間点が位置するようにハウジングに位置決めされることになる。
また、走査レンズ120の主走査方向における中央部に設けられた位置決め手段146をハウジングに予め設けられた第2位置決め部に取り付ける。これにより、走査結像光学系のいずれかの光学素子である走査レンズ120は、振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線に走査レンズ120の光軸が一致するようにハウジングに位置決めされることになる。
以上の構成とすることにより、図2では、振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線上に検出手段固定部材142の同期検知センサ140,141の受光面間の中間点が位置し、かつ該中心線に走査レンズ120の光軸が一致する配置関係となる。また、同期検知センサ140,141の受光面は、走査レンズ120の光軸(振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線)から同じ高さHsとなる。
なお、位置決め手段145,146のハウジングの位置決め部への固定は、粘着層または位置決め治具(板バネ、ネジ等)を用いるとよい。これにより、位置決め手段145,146をハウジングに一体的に固定することができる。
従来のように、個別に同期検知センサをハウジングに固定した場合には、同期検知センサそれぞれの振れ角θsに対する位置ずれと、同期検知センサ同士の間隔に対する誤差が発生していたが、本発明では同期検知センサ140,141を検出手段固定部材142を介してハウジングと一体的に固定することにより、それらの位置ずれに起因する光ビームが受光面を通過するときの検出誤差を軽減することができる。
また主走査方向に最もパワーをもつ光学素子(走査レンズ120)の位置決め手段146と、受光面が固定された検出手段固定部材142の位置決め手段145をそれぞれハウジングの中心軸(振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線)上に合うように各々固定することによって、温度や湿度の変動によって光学素子(走査レンズ120)が膨張、伸縮した場合にも、該中心軸上の位置決め手段145,146でそれぞれ固定されているので、中心に対する対象性は維持されるので、安定した検出信号にもとづいて偏向手段(振動ミラー106)の制御を行うことができる。
これにより、光ビームが同期検知センサ140,141上を通過するタイミングをモニターすることによって、振動ミラー106の振動状況(位相、周期、振れ中心のシフト量、倍率誤差等)を把握することができる。
また、同期検知センサ140,141のいずれかにおける光ビーム通過からの画素クロックをカウントする画素クロックカウント計測手段611によって、書込み開始位置の同期検知と同様にして強制消灯する発光量制御期間の開始位置、終了位置、区間幅を適切に制御するように、光源駆動手段606を介して、光源(光源ユニット107,108)の駆動制御をおこなう。
また、前記振動ミラー106の振動状況が偏向制御手段610に送られ、駆動電圧と振動周波数等の制御パラメータにより振動ミラー106が所望の振動を行うように制御される。
なお、図2では、位置決め手段145,146がそれぞれ、検出手段固定部材142の中央部(同期検知センサ140,141の中間点)、走査レンズ120の主走査方向中央部(光軸)に設けられた場合を示したが、これに限定されるものではない。例えば、装置のレイアウトによっては、図4に示すように、位置決め手段145,146をそれぞれ、検出手段固定部材142の同期検知センサ140,141の中間点、走査レンズ120の主走査方向中央部(光軸)からずれた箇所に設けてもよい。このとき、ハウジングの位置決め部もそれに対応してずらして設けられており、図2と同様に、振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線上に検出手段固定部材142の同期検知センサ140,141の受光面間の中間点が位置し、かつ該中心線に走査レンズ120の光軸が一致する配置関係となる。また、同期検知センサ140,141の受光面は、走査レンズ120の光軸(振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線)から同じ高さHsとなる。
図5に、同期検知センサ140,141の個体差による受光部の位置ずれを示す。
同期検知センサ140,141における受光部は、受光部(受光面ともいう)の素子自体の作製位置ずれや、基板への実装位置ずれによって、個体差によって、受光部(図中央の太線の実線)140aと受光部(図中破線)140a’のように主走査方向にΔdだけずれている場合がある。
このまま、光走査装置の所定位置に同期検知センサ140,141を仮に位置ずれなく取り付けることができたとしても、同期検知センサ140,141における受光部はΔd主走査方向にずれた状態となってしまう。
また、この位置ずれΔdは、個体別に一定した値ではないために、その位置ずれに対応するために、偏向手段(振動ミラー106)の振幅データを調整することは非常に困難である。また、個体ごとにばらつきのある出力画像になってしまう。
そこで、図6に示すように、左右の同期検知センサ140,141を検出手段固定部材142を介してそれぞれの受光部140a,141aが所望の間隔になるように固定し、受光部140a,141aの中間となる中心点に位置決め手段145を設けてハウジングの位置決め部に固定することを行う。これにより、同期検知センサ140,141の受光部140a,141aは、位置決め手段146によりハウジングの位置決め部に固定された走査レンズ120との配置関係を安定化させることができる。
光ビーム検出手段である左右の同期検知センサ140、141において、受光部の個体差分を考慮して、左右の同期検知センサ140、141の間隔が、検出手段固定部材142の目標軸から距離Hsとなるように調整したうえで、位置決め手段145をハウジングの位置決め部に位置決め固定する。このとき、位置決め手段145は粘着層または固定部材(板バネ、ネジ等)で固定する。これにより、個体差による検出部の位置ずれ誤差を検出手段固定部材142に固定する段階で、補正して受光部を所望の間隔で固定することができる。
図7に、同期検知センサ141(PD+)が光ビーム走査領域の外側方向に位置ずれを起こしたときの同期検知センサ140,141の検出信号の模式図を示す。
図7(a)において、仮に太矢印のように同期検知センサ141の受光部141aが光ビームの振幅中心から外側にずれ量dwだけ移動したところに受光部141a’として固定されていたとすると、受光部141a’を光ビームが通過して最大振幅に至り再び受光部41a’を通過するまでの時間は、図7(b)において破線で示すような検出信号となってしまうため、同期検知センサ141の位置ずれによる点線で示す検出時間t1’は、受光部141aの場合の検出時間t1より短くなってしまう。
このとき、同期検知センサ140(PD−)側の通過時間(検出時間)はt1のままであるため、偏向手段(振動ミラー106)の制御プログラムでは、光ビームの走査状態が、同期検知センサ141側の振れ角が減少したあるいは振幅中心がシフトしたと誤って判断してしまうことになる。
例えば、振動ミラー106の走査周波数fdを2500Hzとし、最大振れ角2θ0=30°のときに像高±120mm、同期検知センサ140,141の光ビームの振幅中心に対する配置角度±2θs=25°のときに像高±100mmとした場合に、像高0から振れ角θに達するまでの時間をTとすると、以下の関係式となる。
T=(1/2πfd)*sin-1(θ/θ0)
このとき、像高100mmを通過する時間T100と、像高101mmまでの時間をT101とすると、T100=65.2554μs、T101=66.1782μsとなり、同期検知センサ140,141間の通過にかかる時間はT100の2倍であったとすると、受光面の位置ずれdw=1mmを光ビームが走査される時間は0.9228[μs]となり、受光面幅による誤差の割合は、0.9228/(2*T100)×100=0.707[%]となる。
これはジャギー(線のぎざぎざ)の許容限度である0.01%程度を大きく超えており、画像品質に与える影響は大きい。
現状では、同期検知センサ140,141を数μm程度の間隔で同一面上に配置することが可能になっており、光ビーム検出手段(同期検知センサ140,141)の位置ずれをdw=10μmに配置したとすると、光ビームの通過にかかる時間は0.0916μsとなり、境界幅による誤差の割合は、0.0087%に収まるので、ジャギーの許容限度を大きく下回り、同期検知センサ140,141の計測データにより、光ビームによるビームスポット位置の補正、書込み開始位置の補正、振動ミラーの姿勢制御への適切に行うことができる。
なお、図7(b)において、振動ミラー106の正弦波カーブの太線部(±2θd)が画像形成領域にあたり、該画像形成領域外(±2θs)に同期検知センサ140,141が設置され、光ビームの走査状態を検知している。光源手段(光源ユニット107,108)は同期検知センサ141(PD+)側に設けられているので、戻り光は同期検知センサ141(PD+)側に光ビームが走査されるときに発生することとなる。光源手段(光源ユニット107,108)から振動ミラー面への光ビームの入射角α付近は、振動ミラー106の振れ角がθs〜θ0(走査角2θs〜2θ0)であるので、この間に強制消灯する発光量制御期間を設けることによって、戻り光による光源手段(光源ユニット107,108)を構成する半導体レーザの発光発振が不安定になることを防ぐことができる。
図8,図9に振動ミラー106の振動状態が変化した場合の模式図を示す。
図8は、振動ミラーの振幅が標準的な状態(実線)に比べ大きくなった場合(点線)である。主走査方向の画像形成領域の外側の両側に設置された同期検知センサ140,141それぞれを走査された光ビームが通過して、最大像高まで到達し再び同期検知センサ140,141を通過するまでの時間は、A側(+側),B側(−側)ともに同じ傾向で変化している。振動ミラー106の振幅の傾向に比例する関係になっている。したがって、振動ミラー106の振幅の変化と同期検知センサ140,141の設置位置との関係式等をあらかじめデータベース化しておくことによって、振動ミラー106の振幅状況に応じて適切な強制消灯する発光量制御期間を設定することができる。
具体的にはA側の方向に光源手段(光源ユニット107,108)が配置されている場合には、図8(a)の点線では同期検知センサ140,141を光ビームが通過する時間間隔が増加し、入射角αに光ビームが到達する時間が早くなるので、強制消灯時間を早める必要がある(図8(b))。逆に光ビームが最大振幅から戻ってきて再び入射角αに到達する時間は遅くなるので、強制消灯する発光量制御期間の終端は遅らせる必要がある(図8(b))。
図9では、振動ミラー106の像面位置における振幅中心が+像高側にシフトしている場合を示す。+像高側の同期検知センサ141では走査ビームが通過して、最大像高に到達してから再び戻ってくるまでの時間が増加するが、反対側の同期検知センサ140では逆に減少している(図9(a))。
このように、振動ミラー106の振幅中心が片側に片寄る場合には、振動ミラー106の振幅中心と同期検知センサ140,141の設置関係における同期検知センサ140,141を光ビームが走査され通過する時間の関係式をデータベース化しておくことにより、所望の強制消灯する発光量制御期間を設定することが可能になる。
図10〜図12に、同期検知センサ141を走査された光ビームが通過して、最大振幅に至り再び戻ってくるまでの時間t1と、同期検知センサ141を走査された光ビームが同方向に通過するまでの時間t2との関係を示す。
図10は、振動ミラー106の振幅が標準的な状態(実線)に比べ大きくなった場合(点線)である。振動ミラー106の振れ角が実線の場合より点線の場合で大きくなっているために、実線における時間t1に対して点線における時間t1'が大きくなっているが、振動ミラー106の揺動周期は変わっていないため、時間t2(実線)と時間t2'(点線)は変わらない。このことから同期検知センサ140,141の検出信号により時間t1と時間t2を計測することにより振動ミラー106の振れ角、すなわち振動ミラー106による光ビームの最大振幅の変動を計測することができ、偏向制御手段は、その結果に基づいて、光ビームの最大振幅が一定になるように偏向手段(振動ミラー106)を制御することを行うとよい。また、同時にそれに対応した強制消灯する発光量制御期間の設定を変更するように光源駆動手段606により光源ユニット107,108を駆動変調するようにしてもよい。
図11に、振動ミラー106の振幅中心が像高+側にシフトした場合を示す。図10と同様に振動ミラー106の揺動周期は変わらないため、時間t2(実線)と時間t2'(点線)に変動はないが、点線の場合に実線の場合よりも像高+側にシフトした分だけ時間t1(実線)に対して時間t1'(点線)が大きくなっている。このとき、同期検知センサが主走査方向の一方の側の端部にだけ設置されていた場合には、反対側の端部では実線の場合の振幅の方が点線の場合より大きくなっていることを計測できず、振動ミラーの振幅中心がシフトしたのか振幅が増加したのか区別がつかない。振動ミラー106の振幅変動と振動中心の状態を観測するためには、本発明のように同期検知センサ140,141を主走査方向の画像形成領域の両外側に設置する必要がある。
本発明では、偏向制御手段は、同期検知センサ140,141で検出された検出信号に基づいて求められる光ビームの振幅中心のシフト量分を補正するように偏向手段(振動ミラー106)を制御することを行うとよい。また、同時にそれに対応した強制消灯する発光量制御期間の設定を変更するように光源駆動手段606により光源ユニット107,108を駆動変調するようにしてもよい。
図12に、振動ミラー106の揺動周期が変動した場合を示す。この場合には、実線の場合の時間t1と時間t2より、点線の場合の時間t1'と時間t2'が振動ミラー106の揺動周期が増加した分大きくなっている。これにより、光ビームの走査周波数の変動を検出することが可能である。本発明では、偏向制御手段は、同期検知センサ140,141で検出された検出信号に基づいて求められる光ビームの走査周波数の変動分を補正するように偏向手段(振動ミラー106)を制御することを行うとよい。また、同時にそれに対応して強制消灯する発光量制御期間の周期と期間の長さ増加させるように、光源駆動手段606により光源ユニット107,108のパルス変調駆動を行うようにしてもよい。
なお、図10〜図12の結果に基づく、偏向制御手段による制御は、いずれか1つだけ実行してもよいし、これらから選択される2以上の制御を実行してもよい。
図13に、温度変化等の環境変動より、経時的に振動ミラー106に生じる振動状態の揺らぎや乱れを抑制するための振動ミラー制御系の模式図を示す。
偏向制御手段(コントローラ)610は、同期検知センサ140,141で検出された検出信号から、振動ミラー106の振れ角である振幅量、像面位置における振幅中心のシフト量、検出信号間隔に基づく位相の変動量を把握し、目標とする振れ角、偏差となるように振動ミラー駆動部(ドライバ)603を通じて制御電圧(印加電圧)を調整して振動ミラー106に加えるというフィードバック制御を行い、振動ミラー106の安定した振動状態を実現することができる。
例えば、振動ミラー106の振幅が大きくなった場合には、図14に示すように、偏向制御手段(コントローラ)610は、同期検知センサ140,141の検出信号と基準位相クロックとの関係において、検出タイミングのずれを偏差として把握し、この偏差から増大した振幅(図14における点線の曲線)を減少させるために振動ミラー駆動部(ドライバ)603を通じて印加電圧を減少させて振動ミラー106を制御することになる。
図15に基づいて、本実施形態における光走査装置に用いる振動ミラーを説明する。
図15は振動ミラーモジュールの分解斜視図である。本実施形態では、振動ミラーの回転トルクの発生方法として電磁駆動方式の例を説明する。
図示するように、振動ミラーのミラー面をなす振動ミラー441は、ねじり梁442で軸支されており、後述するように、単一のSi基板からエッチングにより外形を貫通して作製し、実装基板448に装着され、振動ミラーを一体に備えたユニットとしての振動ミラー基板440を構成する(図15(a))。
本実施形態では、一対の振動ミラー基板440を背合わせで一体支持したモジュールを示している。この背合わせ構成は「対向走査方式」に対応したものを使用しており、本実施形態では上述のように「片側走査方式」を例示しているため、実際には一方の振動ミラー基板440は不要である。勿論、単一の振動ミラー基板440のみを支持する「片側走査方式」専用の構成としてもよい。
支持部材445は、樹脂で成形され、回路基板449の所定位置に位置決めされており、振動ミラー基板440を、ねじり梁442が主走査平面に直交しミラー面が主走査方向に対し所定の角度、ここでは22.5°傾くように位置決めする位置決め部451と、振動ミラー基板440の実装基板448の一辺に形成されている配線端子455が、装着時に接触するように金属製端子群を配列したエッジコネクタ部452と、を一体で構成している(図15(d))。
振動ミラー基板440は、一辺を上記したエッジコネクタ部452に挿入し、押え爪453の内側に嵌め付けられ、基板裏側の両側面を位置決め部451に沿わせて支えられるとともに、電気的な配線が同時になされ、各々の振動ミラー基板440が個別に交換できるようにしている。
回路基板449には、振動ミラーの駆動回路を構成する制御ICや水晶発振子等が実装され、コネクタ454を介して電源および制御信号が入出力される。
振動ミラー460は、表面にミラー面を形成し振動子をなす可動部と、それを支え回転軸をなすねじり梁と、支持部をなすフレームとからなり、Si基板をエッチングにより切り抜いて形成する。
本実施形態では、SOI基板と呼ばれる60μmと140μmとの2枚の基板が酸化膜を挟んで予め接合されたウエハを用いて作製している。
まず、140μm基板(第2の基板)461の表面側からプラズマエッチングによるドライプロセスによって、ねじり梁442、平面コイルが形成される振動板443、可動部の骨格をなす補強梁444と、フレーム446とを残したそれ以外の部分を酸化膜まで貫通し、次に、60μm基板(第1の基板)462の表面側からKOHなどの異方性エッチングによって、可動ミラー441と、フレーム447とを残したそれ以外の部分を酸化膜まで貫通し、最後に、可動部周囲の酸化膜を除去して分離し振動ミラーの構造体を形成する(図15(a)〜(c))。
ここで、ねじり梁442、補強梁444の幅は40〜60μmとした。上記したように振動子の慣性モーメントIは振れ角を大きくとるには小さい方が望ましく、反面、慣性力によってミラー面が変形してしまうため、本実施形態では可動部を肉抜きした構造としている。
さらに、60μm基板462の表面側にアルミニウム薄膜を蒸着して反射面となし、140μm基板461の表面側には銅薄膜でコイルパターン463とねじり梁を介して配線された端子464、および、トリミング用のパッチ465を形成する。
当然、振動板443側に薄膜状の永久磁石を備え、フレーム447側に平面コイルを形成する構成とすることもできる。
実装基板448上には、振動ミラー460を装着する図示しない枠状の台座と、振動ミラーを囲うように形成されたヨーク470が配備され、上記ヨークには可動ミラー端に対向して各々S極とN極とを向かい合わせ、回転軸と直交する方向に磁界を発生する一対の永久磁石450が接合されている。
振動ミラー460は、ミラー面を表に向けて上記台座に装着され、各端子464間に電流を流すことによりコイルパターン463の回転軸に平行な各辺にローレンツ力が生じ、ねじり梁442をねじって振動ミラー441を回転する回転トルクTを発生し、電流を切るとねじり梁の戻り力により水平に戻る。
従って、コイルパターン463に流れる電流の方向を交互に切り換えることによって、可動ミラー441を往復振動させることができる。
そして、この電流の切り換える周期を、振動ミラーを構成する構造体の、ねじり梁を回転軸とした1次振動モードの固有振動数、いわゆる共振振動数f0に近づけると振幅が励起され大きな振れ角を得ることができる。
従って、通常は、走査周波数fdをこの共振振動数f0に合わせて設定、あるいは追従するように制御しているが、共振振動数f0は上記したように、振動ミラーを構成する振動子の慣性モーメントIによって決定されるため、仕上がりの寸法精度にばらつきがあると個体間で差が生じてしまい、振動ミラー個々の走査周波数fdを揃えることが困難となる。
この共振振動数f0のばらつきは、プロセスの能力にもよるが、±200Hz程度あり、例えば、走査周波数fd=2kHzとすると、1/10ラインに相当する走査ラインピッチのずれが生じることになり、A4サイズを出力すると、紙端では数十mmもの倍率ずれになってしまう。
そのため、共振振動数f0の近いものを選別によってランク分けし、各ランクに応じて走査周波数fdを選択、設定しているが、共振振動数f0のばらつきが大きいとランク分けの数が増え、その分、振動ミラーの駆動回路も走査周波数fdの選択肢も増やさなければならないので、生産効率が悪いうえ、交換を行う際には同じランクの振動ミラーと入れ換える必要があるためコストもかかる。
そこで、本実施形態では、実装基板に装着する前に、可動部の裏側に形成したパッチ465に炭酸ガスレーザなどにより切り込みを入れて可動部の質量を徐々に減らしていくことで慣性モーメントIを調整し、個体間の寸法差があっても共振振動数f0が概略一致するように、ここでは±50Hzに入るように調整している。
そして、ランク分けした周波数帯域内で、共振振動数f0によらず、固定の走査周波数fdを設定している。
なお、振動ミラーには、前述のように、ミラーや梁の形状のばらつき、コイルとコアの取り付け誤差等の個体差によって、MEMS振動ミラーの振動状態は(振幅中心、振れ幅、振れ角)に一定のばらつきがある。そこで、ハウジングに振動ミラーを設置する際には、一旦振動ミラーを設定した状態で、光ビームを偏向走査させ、走査された光ビームが光ビーム検出手段を通過する検出信号をみながら、検出信号の波形が所望のタイミングとなるように、振動ミラーの回転中心を軸として、チルト角の調整を行い、振幅中心等の個体ごとにずれを補正して、振動ミラーを適切な位置に調整して固定するとよい。
図16は、振動ミラーを振幅させる駆動回路のブロック図である。
上記したように、振動ミラー106の裏側に形成した平面コイルには、振動ミラー駆動部603から交互に電流の流れる方向が切り換わるように、交流電圧、またはパルス波状電圧が印加される。このとき、ゲイン調整部602により振れ角θが一定となるように平面コイルに流す電流のゲインを調節して往復振動させている。
図17は、振動ミラー106の駆動に関して電流の流れる方向を切り換える周波数fと振れ角θとの関係を示す図である。一般に、共振周波数f0をピークとした周波数特性となり、走査周波数fdを共振周波数f0に一致させれば、最も振れ角が大きくとれるが、共振周波数付近においては急峻に振れ角が変化する。
従って、初期的には振動ミラー106の偏向制御手段610である駆動制御部(駆動パルス生成部601,ゲイン調整部602,振動ミラー駆動部603)において、振動ミラー106の固定電極に印加する駆動周波数を共振振動数に合うよう設定することができるが、温度変化に伴うバネ定数の変化などで共振周波数が変動した際には振れ角が激減してしまい、経時的な安定性に乏しいという欠点がある。
そこで、本実施形態では、走査周波数fdを共振周波数f0から外した単一周波数に固定し、ゲイン調整に応じて振れ角θが増減できるようにしている。
具体的には、共振周波数f0=2kHzに対し、走査周波数fdは2.5kHzとし、ゲイン調整により振れ角θが±25°になるように合わせている。
経時的には、振れ角θを、振動ミラー106により走査された光ビームを、走査領域の始端に配備した同期検知センサ141において復走査時に検出した検出信号と往走査時に検出した検出信号との時間差により検出し、振れ角θが一定となるように制御している。
これにより、測定中に温度変動が生じた場合にも振れ角θを一定に保つことができ、像面上での光ビームの線速を略一定に保つことができる。
また、図18に示すように、振動ミラー106は共振振動されるため、時間tとともにsin波状に走査角θが変化する。
従って、振動ミラーの最大振れ角、つまり振幅がθ0とすると、次の式で表される。
θ=θ0・sin2πfd・t
また、同期検知センサ141において、走査角2θsに対応した光ビームを検出すると、検出信号は往走査と復走査とで発生され、その時間差Tを用いると、次の式で表され、θsは固定であるので、Tを計測すれば最大振れ角θ0が検出できることがわかる。
θs=θ0・cos2πfd・T/2
なお、復走査でのビーム検出から往走査でのビーム検出に至る期間、振動ミラー106の振れ角でいうと、θ0>θ>θsとなる期間では発光源の発光を禁止するようにしている。
ところで、被走査面である感光体ドラム面では、時間に対して各画素の間隔が均一となるように主走査ドットを形成する必要がある。
一方、振動ミラー106は、図19に示すように、時間tとともに振れ角θの変化率が加速度的に小さくなるため、主走査領域の両端にいくに従って被走査面では画素間隔が間延びしてしまう。
一般に、このずれは走査レンズ120にf・arcsinレンズを用いることによって補正するが、仮に、ポリゴンミラーでの走査と同様、画素クロックを単一の周波数で変調した際、時間に対して走査角2θが比例、つまり等速度で変化するようにするためには、主走査領域端で主走査位置の補正量が最も大きくなるように主走査方向に沿ったパワー(屈折力)を設定する必要がある。
このとき、像高0、つまり画像中心から任意の像高Hまでの時間をtとすると、像高Hと振れ角θ(走査角2θ)との関係は、次の式となる。なお、ωは定数である。
H=ω・t=(ω/2πfd)・sin−1(θ/θ0)
また、外乱による振動ミラー106の動作状態に合わせて、2点同期による適切な書込み開始位置の指定、画素の位置と間隔を制御することにより、より位置ずれの少ない画質の高い画像を形成することができる。
ところが、この画素間隔の疎密、いわゆるリニアリティの補正量が大きくなると、走査レンズの主走査方向に沿ったパワーの偏差が大きくなり、被走査面における各画素に対応したビームスポット径の変化も大きくなってしまう。また、上記したように振動ミラー106の振幅中心と光軸とが一致していないことによって光軸に非対称な曲面を有する走査レンズが必要になるため、本実施形態では画素クロックの位相Δtを主走査位置に応じて可変することで、主走査方向に沿った走査レンズ120のパワーの偏差がなるべく小さくように、また、非対称成分を補正するようにしている。
いま、画素クロックの位相Δtを変化させることに伴う走査角の変化を2Δθとすると、次の関係式となる。
H=(ω/2πfd)・sin−1{(θ−Δθ)/θ0}
Δθ/θ0=sin2πfdt―sin2πfd(t−Δt)
ここで、走査レンズ120をfθレンズに近いパワー配分となるようにし、その残差を画素クロックの位相Δtにより補正する場合、次の関係式となる。
H=(ω/2πfd)・{(θ−Δθ)/θ0}
=(ω/2πfd)・sin−1(θ/θ0)
Δθ/θ0=θ/θ0−sin−1(θ/θ0)
このとき、主走査方向に沿った所定画素の位相Δt(sec)は、次の関係式に基づいて決定されるように、発光源(光源ユニット107,108)をパルス変調すればよい。
(θ/θ0)−sin−1(θ/θ0)=sin2πfdt−sin2πfd(t−Δt)
図20は、光源ユニット107,108における発光源である半導体レーザを変調する駆動回路のブロック図である。
画像データはフレームメモリに一時保存され、画像処理部に順に読み出され、前後の関係を参照しながら中間調に対応したマトリクスパターンに応じて各ラインの画素データが形成され、各発光源に対応したラインバッファに転送される。
また書込制御部は、ラインバッファから、同期検知信号をトリガとして各々読み出されて独立に変調する。
次に、図20の上半分のブロックにおいて、各発光点を変調するクロックの生成部について説明する。カウンタでは、高周波クロック生成部で生成された高周波クロックVCLKをカウントし、比較回路ではこのカウント値と、デューティ比に基いて予め設定される設定値L、および画素クロックの遷移タイミングとして外部から与えられる位相シフト量を指示する位相データ信号Hと、を比較し、カウント値が上記設定値Lと一致した際に画素クロックPCLKの立下りを指示する制御信号Lを、位相データHと一致した際に画素クロックPCLKの立ち上がりを指示する制御信号hを画素クック制御回路に出力する。このとき、カウンタは制御信号hと同時にリセットされ再び0からカウントを行うことで、連続的なパルス列が形成できる。
こうして、1クロック毎に位相データ信号Hを与え、順次パルス周期が可変された画素クロックPCLKを生成する。本実施形態では、画素クロックPCLKは、高周波クロックVCLKの8分周とし、1/8クロックの分解能で位相が可変できるようにしている。
図21は、図20の駆動回路において任意の画素の位相をシフトした説明で、1/8クロックだけ位相を遅らせた例である。
デューティ50%とすると設定値L=3が与えられ、カウンタで4カウントされ画素クロックPCLKを立ち下げる。1/8クロック位相を遅らせるとすると位相データH=6が与えられ、7カウントで立上げる。同時にカウンタがリセットされるので、4カウントで再び立ち下げる。つまり、隣接するパルス周期が1/8クロック分縮められたことになる。
こうして生成された画素クロックPCLKは、光源駆動部606に与えられ、この画素クロックPCLKに対してラインバッファから読み出された画素データを重畳させた変調データにより、半導体レーザを駆動する。
図22は、単一の周波数で変調した際の主走査位置に応じた各画素における主走査位置の補正量を示す。主走査領域を複数、図22では主走査領域を8つの領域に分割し、折れ線で近似することで各領域の境界で主走査位置ずれが0となるように、領域毎に位相シフト回数を設定し、階段状に補正する。
例えば、i領域の画素数をNi、各画素でのシフト量を画素ピッチpの1/16単位とし、各領域の両端における主走査位置のずれがΔLiであったとすると、次の関係式となり、ni画素毎に位相をシフトしてやればよい。
ni=Ni・p/16ΔLi
画素クロックfcとすると、トータルでの位相差Δtは、位相シフト回数Ni/niを用いて、次の関係式となり、Nドット目の画素における位相差Δtについても同様に、それまでの位相シフトの累積回数により設定できる。
Δt=1/16fc×∫(Ni/ni)di
なお、分割された領域幅は均等であっても不均等であってもよく、分割数もいくつであっても構わないが、各画素でのシフト量が大きくなると、その段差が画像上目立ちやすくなるため、画素ピッチpの1/4単位以下とするのが望ましく、逆に位相シフト量が小さくなると位相シフト回数が増えメモリ容量が増えてしまう。また、分割数が少ないほどメモリ容量が少なくてすむため、主走査位置ずれが大きい領域の領域幅を小さく、小さい領域の領域幅を大きく設定することが効率的である。
図23は、振動ミラー106の反射面が、回転軸を中心にδ分変形を起こした場合を示す。例えば、振動ミラー106の反射面441が図22(c)に示すように凸変形した場合には、平行にコリメートされた光ビームが振動ミラー106で偏向が拡散していき、像面上でのビーム径太りなどの画像劣化の原因となる。また、振動ミラーで反射する戻り光も入射角αよりも広い範囲で光源にも再度戻ってくることになるので、強制消灯する発光量制御期間を広めに設定したり、消灯できない場合にはAPC制御をおこなわないことにより、半導体レーザの安定した発振発光を行うことができる。
そこで、予め振動ミラー106の反射面での変形が予測される場合には、光源部(光源ユニット107,108)にビーム太りを補正するパルス変調駆動を加えることにより、略一定なビーム径を得ることができる。
また、リアルタイムでの補正を行うには、同期検知センサ140,141での光ビームの通過時間間隔の変動や、検出面で得られるビームプロファイルの情報から、適切なパルス駆動補正方法を算出する演算部を設ける必要がある。同時に強制消灯する発光量制御期間の開始,終了位置および期間についても同様に適切なパルス駆動補正方法を算出する演算部を設ける必要がある。
図24に、複数の同期検知センサ140,141を検出手段固定部材142を介してハウジングに固定した光走査装置のハウジング構成例を示す。図24において、符号250はハウジング本体を、255はビーム通過枠を示している。
ここで、ハウジング本体250には、振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線に対して検出手段固定部材142及び走査結像光学系(走査レンズ120)を所定の配置関係とするための検出手段固定部材142用の第1位置決め部(不図示)と走査レンズ120用の第2位置決め部(不図示)を設けている。
ハウジング本体250への振動ミラー106、走査レンズ120、同期検知センサ140,141の設置については、まず同期検知センサ140,141を検出手段固定部材(図中斜線部の部材)142の長手方向の中間点からそれぞれ距離Hsだけ離れた両端部に固定しておく。
ついで、ハウジング本体250に振動ミラー106を該振動ミラー106による光ビームの振幅中心線が目標位置を通るように配置する。このとき、振動ミラーモジュールである振動ミラー106は、これを包囲するように立設された側壁257が一体的に形成された光学ハウジングに装着され、側壁257の上端縁を上カバー258によって封止し、外気から遮断することで、外気の対流による振幅の変化を防止する。光ビームを入出射する側壁の開口部には平板状の透過窓259を備えている。
つぎに、走査レンズ120の主走査方向における中央部に設けられた位置決め手段146をハウジング本体の第2位置決め部に取り付ける。これにより、走査レンズ120は、振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線に走査レンズ120の光軸が一致するようにハウジング本体250に位置決めされることになる。
つぎに、検出手段固定部材142において同期検知センサ140,141の受光面間の中間点にあたる部分に設けられた位置決め手段145をハウジング本体250の第1位置決め部に取り付ける。これにより、検出手段固定部材142は、振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線上に光ビーム検出手段である同期検知センサ140,141の受光面間の中間点が位置するようにハウジングに位置決めされることになる。
以上の構成とすることにより、振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線上に検出手段固定部材142の同期検知センサ140,141の受光面間の中間点が位置し、かつ該中心線に走査レンズ120の光軸が一致する配置関係となる。また、同期検知センサ140,141の受光面は、走査レンズ120の光軸(振動ミラー106による光ビームの往復走査の振幅の中心線)から同じ高さHsとなる。
なお、本発明に係る光走査装置の構成例としては、偏向手段による光ビームの振幅中心線上に光ビーム検出手段の受光面間の中心点が位置する例を示したが、光走査装置によっては必ずしも受光面の中心位置をあわせる必要はなく、所望の位置で検出手段固定部材を介して一体的に固定することもできる。その場合には、一方の光ビーム検出手段(+像高)と他方の光ビーム検出手段(−像高)の受光面で光ビームが通過するタイミングがずれるので、そのずれ量分を制御プログラムの基準データに反映させる必要がある。
図25は、図1に示した光走査装置900を搭載した画像形成装置の例を示す。
ブラックの感光体ドラム901(図1においては感光体ドラム104)の周囲には、感光体ドラム901を高圧に帯電する帯電チャージャ902、光走査装置900により記録された静電潜像に帯電したトナーを付着して顕像化する現像装置904、感光体ドラムに残ったトナーを掻き取って備蓄するクリーニング装置905が配置される。他の感光体ドラム(図1における感光体ドラム101,102,103)の周囲構成も同様である。感光体ドラムへは振動ミラーの往復走査により1周期で2ライン毎の画像記録が行われる。
上記した画像形成ステーションは中間転写ベルト906の移動方向に並列され、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナー画像が中間転写ベルト906上にタイミングを合わせて順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
各画像形成ステーションはトナー色が異なるだけで、基本的には同一構成である。
一方、記録媒体としての記録紙は給紙トレイ907から給紙コロ908により供給され、レジストローラ対909により副走査方向の記録開始のタイミングに合わせて送り出され、中間転写ベルト105からトナー画像が転写される。その後、定着装置910で定着がなされ、排紙ローラ対912により排紙トレイ911に排出される。
なお、これまで本発明を図面に示した実施形態をもって説明してきたが、本発明は図面に示した実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態、追加、変更、削除など、当業者が想到することができる範囲内で変更することができ、いずれの態様においても本発明の作用・効果を奏する限り、本発明の範囲に含まれるものである。
本発明に係る本発明に係る画像形成装置の構成例を示す斜視図である。 本発明に係る光走査装置の構成例(1)を示す概略図である。 本発明に係る光走査装置の構成例(2)を示す概略図である。 本発明に係る光走査装置の構成例(3)を示す概略図である。 同期検知センサの個体差による受光部の位置ずれ例を示す図である。 同期検知センサ、検出手段固定部材、走査レンズの配置関係を示す概略図である。 同期検知センサが光ビーム走査領域の外側方向に位置ずれを起こしたときの同期検知センサの検出信号の模式図である。 振動ミラーの振動状態が変化した場合の同期検知センサの検出信号(1)の模式図である。 振動ミラーの振動状態が変化した場合の同期検知センサの検出信号(2)の模式図である。 同期検知センサを走査された光ビームが通過して、最大振幅に至り再び戻ってくるまでの時間t1と、同期検知センサを走査された光ビームが同方向に通過するまでの時間t2との関係(1)を示す図である。 同期検知センサを走査された光ビームが通過して、最大振幅に至り再び戻ってくるまでの時間t1と、同期検知センサを走査された光ビームが同方向に通過するまでの時間t2との関係(2)を示す図である。 同期検知センサを走査された光ビームが通過して、最大振幅に至り再び戻ってくるまでの時間t1と、同期検知センサを走査された光ビームが同方向に通過するまでの時間t2との関係(3)を示す図である。 振動ミラーの制御系の構成を示す模式図である。 振動ミラーの振幅変動が発生したときの同期検知センサの検出信号と基準位相クロックとの関係を示す図である。 振動ミラーの構成例を示す図である。 振動ミラーを振幅させる駆動回路のブロック図である。 振動ミラーの駆動に関して電流の流れる方向を切り換える周波数fと振れ角θとの関係を示す図である。 振動ミラーにおける振れ角θと同期検知センサの検出信号の関係を示す図である。 振動ミラーにおける振れ角θの変化率と時間tとの関係を示す図である。 光源ユニット半導体レーザを変調する駆動回路のブロック図である。 図20の駆動回路において任意の画素の位相をシフトした場合の説明図である。 単一の周波数で変調した際の主走査位置に応じた各画素における主走査位置の補正量を示す図である。 振動ミラーの反射面と反射状態の関係を示す図である。 本発明に係る光走査装置の構成例(4)を示す概略図である。 本発明に係る本発明に係る画像形成装置の構成例を示す断面図である。
符号の説明
101,102,103,104,901 感光体ドラム
105 中間転写ベルト
106 振動ミラー
107,108 光源ユニット
113 シリンダレンズ
120 走査レンズ
122,123,124,125 トロイダルレンズ
126,127,128,129,130,131,132 折返しミラー
140,141 同期検知センサ(光ビーム検出手段)
140a,140a’,141a 受光面(受光部)
142 検出手段固定部材
143,144 結像レンズ
145,146 位置決め手段
154 LED素子
155 フォトセンサ
156 集光レンズ
201,202,203,204 光ビーム
250 ハウジング本体
255 ビーム通過枠
257 側壁
258 上カバー
259 透過窓
440 振動ミラー基板
441 振動ミラー面
442 ねじり梁
443 振動板
444 補強梁
445 支持部材
446,447 フレーム
448 実装基板
449 回路基板
450 永久磁石
451 位置決め部
452 エッジコネクタ部
453 押え爪
454 コネクタ
461 第2の基板
462 第1の基板
463 コイルパターン
464 端子
465 パッチ
470 ヨーク
601 駆動パルス生成部
602 ゲイン調整部
603 振動ミラー駆動部(ドライバ)
606 光源駆動手段(光源駆動部)
607 書込制御部
608 画素クロック生成部
609 振幅演算部
610 偏向制御手段(コントローラ)
611 画素クロックカウント計測手段
900 光走査装置
902 帯電チャージャ
904 現像装置
905 クリーニング装置
907 給紙トレイ
908 給紙コロ
909 レジストローラ対
910 定着装置
911 排紙トレイ
912 排紙ローラ対

Claims (7)

  1. 光ビームを射出する光源手段と、
    前記光源手段を変調駆動する光源駆動手段と、
    前記光源手段から射出された光ビームを振動ミラーにより偏向して主走査方向に往復走査させる偏向手段と、
    前記偏向手段における振動ミラーの駆動を制御する偏向制御手段と、
    前記偏向手段からの光ビームを被走査面上に導く走査結像光学系と、
    前記偏向手段からの光ビームの通過を検出する複数の光ビーム検出手段と、
    前記偏向手段からの光ビームの往復走査領域を長手方向とする1部材であって、前記複数の光ビーム検出手段を前記偏向手段からの光ビームの往復走査領域のうち画像形成領域外に配置するとともに、該複数の光ビーム検出手段の受光面同士が所望の間隔となるように前記複数の光ビーム検出手段を一体的に固定する検出手段固定部材と、
    前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線に対して前記検出手段固定部材及び走査結像光学系を所定の配置関係とするための位置決め部を有するハウジングと、を備え、
    前記検出手段固定部材と走査結像光学系のいずれかの光学素子は、それぞれ有する位置決め手段により、前記ハウジングの位置決め部で位置決めされ固定されるとともに、
    前記検出手段固定部材は、前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の中間点に位置決め手段を有し、前記走査結像光学系のいずれかの光学素子は、主走査方向の中央部に位置決め手段を有する光走査装置。
  2. 前記走査結像光学系のうち、最も大きい主走査方向の光学パワーを有する光学素子が前記位置決め手段を有する請求項に記載の光走査装置。
  3. 前記検出手段固定部材は、前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線上に前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の中間点が位置するように前記ハウジングに位置決めされる請求項1または2に記載の光走査装置。
  4. 前記走査結像光学系のいずれかの光学素子は、前記偏向手段による光ビームの往復走査の振幅の中心線に該光学素子の光軸が一致するように前記ハウジングに位置決めされる請求項1〜のいずれかに記載の光走査装置。
  5. 前記複数の光ビーム検出手段の受光面間の距離を2*Hs、前記複数の光ビーム検出手段のうちいずれかの光ビーム検出手段の受光面の主走査方向の位置ずれをΔHとするとき、ΔH/(2×Hs)×100≦0.01を満たす請求項1〜のいずれかに記載の光走査装置。
  6. 前記偏向制御手段は、
    前記光ビーム検出手段で検出された検出信号に基づいて求められる光ビームの最大振幅が一定になるように偏向手段を制御すること、
    前記光ビーム検出手段で検出された検出信号に基づいて求められる光ビームの振幅中心のシフト量分を補正するように偏向手段を制御すること、
    前記光ビーム検出手段で検出された検出信号に基づいて求められる光ビームの走査周波数の変動分を補正するように偏向手段を制御すること、
    から選択される1または2以上の制御を実行する請求項1〜のいずれかに記載の光走査装置。
  7. 少なくとも一つの像担持体と、
    請求項1〜のいずれかに記載の光走査装置であって、前記像担持体に画像情報が含まれる光を走査する少なくとも1つの光走査装置と、を備える画像形成装置。
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