JP5033444B2 - 抜型用切刃 - Google Patents

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Description

この発明は、段ボール等のシート材に、全切部と半切部とが交互に断続する切目線を入れる抜型用切刃に関するものである。
一般に、飲料缶を包装するラップラウンド式段ボール箱として、図8に示すように、稜部罫線50を介して連設した各一対の立面板51と平面板52とを折り曲げ、集積した缶Cを包み込んで、継代片53での接合により周壁を形成し、立面板51及び平面板52からそれぞれ延びる端板54,55を貼り合わせて封緘するものが使用されている。
この段ボール箱の立面板51には、稜部罫線50に並行する開封用引裂帯56が端板54にかけて設けられ、また、立面板51の中央部には、開封時に引裂帯56の端部を摘む切始部57が設けられている。
ここで、引裂帯56は、対向する2本の直線状切目線56aにより形成され、この切目線56aは、一般に、材料の段ボールをコルゲータで製造する際、裏側のライナを切断するライナカットにより入れられるが、切始部57との位置ずれを防止するため、ブランクの打抜時に抜型により入れられることも考えられる。
この切目線を入れるには、図9及び図10に示すように、刃先部分において、高さが異なり、両側に傾斜面が設けられて刃先縁が刃厚方向に揃った高刃部61aと低刃部61bとが交互に形成され、高刃部61aと低刃部61bの間に凹部61cを備えた切刃61を使用する。
そして、切刃61を抜型Dに取り付けて、段ボールのシートSを打ち抜くと、高刃部61aがコルク等の支持材15で支持されたシートSを裏側から表側へ貫通し、低刃部61bがシートSを裏側から厚さ方向の途中まで切り込み、凹部61cはシートSを切り込むことがなく、図11に示すように、切目線56aとして、全切部56bと半切部56cとが交互に断続し、その間に繋部56dが設けられたものが入れられる。
しかしながら、上記のような切刃61を使用して切目線56aを入れた場合、切断しやすくするため繋部56dを短く設定すると、製箱時にブランクが稜部罫線50ではなく、切目線56aで折れ曲がってしまい、製箱不良が発生するおそれがある。
また、包装状態で複数個積み上げて、下段側の段ボール箱に上段側の段ボール箱の荷重が作用すると、立面板51に胴膨れが生じ、陳列販売時の美観が損なわれることがある。
そこで、この発明は、切断のしやすさを損なうことなく、全切部と半切部の間の繋部を長く確保できる抜型用切刃を提供することを課題とする。
上記のような課題を解決するため、この発明は、段ボール等のシート材に、その表裏に貫通する全切部と、厚さ方向の途中まで切り込まれた半切部とが交互に断続する切目線を入れるため、全切部を入れる高刃部と、半切部を入れる低刃部とを交互に形成した抜型用切刃において、高刃部の刃先から低刃部の刃先を刃厚方向にずらし、このずれは、高刃部を、両側面に傾斜面を設けて形成すると共に、低刃部を、それぞれいずれか一方の側面にのみ傾斜面を設けて形成することにより生ずるものとしたのである。
この発明に係る切刃を用いると、切目線において、全切部の線上から半切部がずれるので、切断しやすさを損なうことなく、繋部を長めに確保して、折れ曲りに対する強度を向上させたり、裂目が逸脱しやすい方向に半切部をずらして、切目線を途切れることなく確実に切断できるようにすることができる。
従って、この切刃をで引裂帯の切目線を入れた箱では、製箱時に稜部罫線でなく切目線に沿って折れ曲がるトラブルを防止でき、開封に際して、引裂帯が途中で千切れることなく確実に開封することができるほか、積み上げ時の胴膨れも防止される。
以下、この発明に係る抜型用切刃で引裂帯の切目線を入れた段ボール箱の実施形態について、添付図面に基づいて説明する。
この段ボール箱は、飲料缶の包装に使用されるラップラウンド式のものであり、図1に示すブランクから形成される。このブランクでは、稜部罫線1を介して各一対の立面板2及び平面板3が交互に連設され、一方の立面板2に稜部罫線1を介して継代片4が連設されている。立面板2及び平面板3の両端には端板5,6がそれぞれ連設されている。
立面板2には、稜部罫線1に並行する開封用の引裂帯7が設けられ、引裂帯7は、端板5の端縁まで達している。立面板2の中央部には、開封時に引裂帯7の端部を摘む切始部8が設けられている。
ここで、立面板2における引裂帯7は、対称な2本の波状切目線7aにより形成され、各切目線7aは、段ボールの表裏に貫通する全切部7bと、段ボールが裏側から厚さ方向の途中まで切り込まれた半切部7cとが交互に断続し、全切部7bと半切部7cの間に切り込みのない繋部7dが設けられたものとされている。また、切始部8は、段ボールの表裏に貫通する全切の切目8aを変形H字状に入れることにより形成されている。
また、立面板2には、段ボールの表側から押圧して裏側へ膨出させることにより、稜部罫線1と直交する段目方向の胴部押圧線9が複数本間隔をあけて平行に入れられている。
この段ボール箱を製造するダイカッタ用の押型において、図2に示すように、ブランクのシートを裏側から打ち抜く抜型Dには、立面板2と平面板3の稜部罫線1を入れる直線状の押圧部材10に並行して、引裂帯7の切目線7aを入れる波状の切刃11を設け、これに続いて、切始部8の切目8aを入れる切刃12を設ける。
また、打抜時にブランクのシートSを表側から受け止める面板には、胴部押圧線9を入れる押圧部材13を、抜型Dの押圧部材10に直交する方向に設け、切刃11が押圧部材10に最も接近する山部に対応して配置する。さらに、抜型Dには、押圧部材13の先端部が遊嵌される受溝部材14を設ける。
ここで、切刃11には、図3に示すように、その刃先部分において、高刃部11aと低刃部11bとが交互に形成され、高刃部11aと低刃部11bの間に凹部11cが設けられている。
また、図4に示すように、この切刃11では、高刃部11aの刃先から低刃部11bの刃先が刃厚方向の両側へ交互にずらされている。このずれは、高刃部11aを、両側面に傾斜面を設けて形成し、低刃部11bを、いずれかの側面に傾斜面を設けて形成することにより、生ずるものとされている。
このような押型でブランクのシートSを打ち抜く際、切刃11では、高刃部11aがコルク等の支持材15で支持されたシートSを裏側から表側へ貫通し、低刃部11bがシートSを裏側から厚さ方向の途中まで切り込み、凹部11cはシートSを切り込むことがなく、切目線7aの全切部7bと半切部7cとが入れられ、その間に切り込みのない繋部7dが設けられる。
このような切刃11を用いると、図5に示すように、切目線7aにおいて、全切部7bの線上から半切部7cが両側へ交互にずれるので、繋部7dを長めに確保して、折れ曲りに対する強度を向上させたり、裂目が逸脱しやすい方向に半切部7cをずらして、切目線7aを途切れることなく確実に切断できるようにすることができる。また、凹部11cを省略しても、繋部7dを設けることができる。
このような切刃は、ワイヤカット放電加工機により容易に製作でき、平板ダイカッタ用としてだけでなく、ロータリーダイカッタ用に製作することもできる。
いま、上記のような押型で打ち抜いたブランクを組み立てて飲料缶を包装する際には、ラップラウンドケーサーを用いて、図6に示すように、稜部罫線1に沿って各一対の立面板2及び平面板3を折り曲げ、集積した缶Cを包み込んで、継代片4での接合により周壁を形成し、端板5,6を貼り合わせて封緘する。
この製箱に際して、上記段ボール箱では、引裂帯7の切目線7aにおいて、半切部7cが全切部7bの線上にあるものに比べて、繋部7dが長めに確保されていることから、図7に示すように、切目線7aはヒンジとして作用せず、立面板2が切目線7aで内側へ折れ曲がりにくくなり、平面板3との稜部罫線1に沿って正確に折れ曲がるので、製箱不良の発生を防止することができる。
また、引裂帯7の切目線7aを波状とし、半切部7cを段ボールの裏側から入れていることも、立面板2の切目線7aでの折れ曲がり防止に寄与する。
さらに、上記段ボール箱のブランク製造時には、引裂帯7の切目線7aと切始部8の切目8aとを同一の抜型で入れることから、これらの位置関係がずれることがなく、従来のコルゲータでのライナカット後にダイカッタで切目8aを入れる製造方法に比べて、不良率を大幅に低下させることができる。
そして、開封に際し、引裂帯7を切始部8から引っ張ると、ライナカットで切目線を入れたもののように千切れて開封不能となることなく、半切部7cに沿って全切部7bが繋がるように段ボールが切断され、容易に開封することができ、繋部7dでの裂目が逸脱しやすい方向に半切部7cをずらすことにより、開封の確実性を高めることができる。
このように開封した状態では、立面板2が切目線7aに沿って不規則に破れることなく切断されて、波状の切断縁が視覚的に優美な印象を与え、美観に優れたものとなる。
一方、物流過程において、商品を包装した状態で複数個の段ボール箱を積み上げる際、下段の段ボール箱には大きな荷重が作用するが、切目線7aの繋部7dが長く確保されていることや、引裂帯7が対称な2本の波状切目線7aにより形成されていることにより、切目線7aでの立面板2の座屈が抑制され、胴膨れが防止される。
さらに、立面板2に入れられた胴部押圧線9が膨出側へ折れ曲がりにくいリブとして作用するので、胴部押圧線9によっても、胴膨れが防止される。
なお、上記各実施形態では、段ボール箱に引裂帯として波状の切目線を入れる場合を例示したが、直線状の切目線を入れる場合にも、上記のような切刃を使用すると、切目線の切断しやすさを損なうことなく、繋部を長く確保して、製箱時のトラブルや積み上げ時の胴膨れを防止することができる。
また、引裂帯の切目線において、全切部の線上から半切部が両側へ交互にずれるものを示したが、全切部の線上から半切部が一側へのみずれるものとしてもよく、複数の断続する半切部が一群となって、一側及び他側へずれるようなものとしてもよい。
また、段ボールだけでなく、板紙等の単紙や、ポリプロピレン等のプラスチック製シート材においても、同様の切目線を入れることができる。
この発明に係る切刃を使用した段ボール箱のブランクを示す裏図 同上の切刃を備えた抜型の要部を示す斜視図 同上の切刃を示す概略側面図 同上の切刃による切込状態を示す概略断面図 同上の切刃で入れた切目線を示す平面図 同上の段ボール箱の組立封緘状態を示す斜視図 同上の製箱過程を示す部分斜視図 従来の切目線を入れた段ボール箱の組立封緘状態を示す斜視図 従来の切刃を示す概略側面図 同上の切刃による切込状態を示す概略断面図 同上の切刃で入れた切目線を示す平面図
1 稜部罫線
2 立面板
3 平面板
4 継代片
5,6 端板
7 引裂帯
7a 切目線
7b 全切部
7c 半切部
7d 繋部
8 切始部
8a 切目
9 胴部押圧線
10 押圧部材
11 切刃
11a 高刃部
11b 低刃部
11c 凹部
12 切刃
13 押圧部材
14 受溝部材
15 支持材
D 抜型
S シート

Claims (2)

  1. シート材に、その表裏に貫通する全切部と、厚さ方向の途中まで切り込まれた半切部とが交互に断続する切目線を入れるため、全切部を入れる高刃部(11a)と、半切部を入れる低刃部(11b)とを交互に形成した抜型用切刃において、高刃部(11a)の刃先から低刃部(11b)の刃先を刃厚方向にずらし、このずれは、高刃部(11a)を、両側面に傾斜面を設けて形成すると共に、低刃部(11b)を、それぞれいずれか一方の側面にのみ傾斜面を設けて形成することにより生ずるものとしたことを特徴とする抜型用切刃
  2. 請求項1に記載の抜型用切刃において、低刃部(11b)の刃先を両側へ交互にずらしたことを特徴とする抜型用切刃
JP2007054416A 2007-03-05 2007-03-05 抜型用切刃 Active JP5033444B2 (ja)

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