JP5033104B2 - ダブルオフセット型等速ジョイント - Google Patents

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本発明は,シャフトとアウターレース間でのトルクを伝達するボールを保持するケージの外径球面と内径球面の中心とが等速自在継手の屈曲中心に対して左右にオフセットされているダブルオフセット型等速ジョイントの改良に係り,特に強度の向上を図りうる構造を採用したダブルオフセット型等速ジョイントに関するものである。
に関するものである。
従来,アウターレースの円筒形内面と,シャフトに連結されたインナーレースの球形外面とのそれぞれに軸方向に形成された直線状のボール溝が設けられ,上記アウターレースのボール溝とインナーレースのボール溝間にトルク伝達用のボールが組込み込まれ,上記ボールを保持するケージの外径球面と内径球面の中心とが等速自在継手の屈曲中心に対して左右にオフセットされているダブルオフセット型等速ジョイントが,例えば,特許文献1あるいは2において公知である。
図2は,前記特許文献1あるいは2に開示されたダブルオフセット型等速ジョイントの概略構造を示すための断面図である。
このような従来公知のダブルオフセット型等速ジョイントDOJは,図に示すように
アウターレースCの円筒形内面C2と,シャフトHとセレーションH1によって結合されたインナーレースEの外球面E2のそれぞれに軸方向に延びる直線状の複数のボール溝C1,E1を周方向に等間隔に設け,上記ボール溝C1とボール溝E1間にボールGを組込み,上記ボールGをアウターレースC・インナーレースE間に組込まれた保持器であるケージFによって保持するようにしている。
上記ケージFにはアウターレースCの円筒状内面C2およびインナーレースEの球形外面E2で接触案内される球形外面F2および球形内面F3を形成し,その球形外面F2および球形内面F3の中心F4及びF5を等速自在継手の屈曲中心B1に対して左右に等距離オフセットさせ,アウターレースCとインナーレースEとが作動角(屈曲角)をとってトルクを伝達する際でもシャフトHの角速度に等しい角速度でトルクを伝達し得るようにしている。
特開2003―176833号公報 実開平5−79058号公報
しかし,前記のような従来公知のダブルオフセット型等速ジョイントDOJでは,組み立ての便宜を考慮して,前記のようにシャフトHとインナーレースEとを一体化させるためにセレーション(スプラインと同義)H1を加工し,セレーションH1によって摺動自在に結合したインナーレースEが,シャフトHから抜けないように,止め輪H2を用いている。
これは,図2に示されるように,ケージFの球形外面F2の中心F4がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心B1の左側(矢印Y1で示す方向)にオフセットされ,更にケージFの球形内面F3の中心F5がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心B1の右側(矢印Y1とは反対方向)にオフセットされているため,ケージFの前記球形外面F2がシャフトHの軸先端方向(矢印Y1で示す方向)に向けて拡開するような形状となっており,インナーレースEのシャフトHへの組み立てに当って,インナーレースEを矢印Y1で示すように,シャフトHの根元側から先端に向かう方向に挿入しなければ組み立てが出来ないことに起因する。
このように従来公知のダブルオフセット型等速ジョイントDOJでは,シャフトHとインナーレースEとを一体化させるためにセレーションH1の加工が必要であるが,このようなセレーションH1の加工を行うために,シャフトHとインナーレースEとの結合部(セレーションH1の部分)の強度が必然的に低下することとなる。そのようなせレーションH1を設けることによる強度低下の影響は,大型から小型のダブルオフセット型等速ジョイントDOJに等しく生じるものであるが,特に小型であるために軸径の小さい小型のダブルオフセット型等速ジョイントDOJにおいて,大きいセレーションH1を形成することが難しいために著しい。また,本来的にセレーションH1を加工するために加工コストが高くなるという問題も存在する。従って,本発明は大型から小型のいずれのダブルオフセット型等速ジョイントについても適用される。
本発明は上記したような従来公知のダブルオフセット型等速ジョイントに内在する問題点の解消を目的とするもので,シャフトHとインナーレースEとの結合部にセレーションを形成しないようにすることが出来るためにこの部分の強度を低下させることのないダブルオフセット型等速ジョイントを提供するものであり,更にこのように構成することでセレーション加工のコストを低下させることの出来るダブルオフセット型等速ジョイントを提供するものである。
上記目的を達成するために本発明は,
アウターレースの円筒形内面と,シャフトに連結されたインナーレースの球形外面とのそれぞれに軸方向に形成された直線状のボール溝が設けられ,上記アウターレースのボール溝とインナーレースのボール溝間にトルク伝達用のボールが組込み込まれ,上記ボールを保持するケージの外径球面と内径球面の中心とが等速自在継手の屈曲中心に対して左右にオフセットされているダブルオフセット型等速ジョイントであって,
前記インナーレースが前記シャフトに一体成型されたインナーヘッドとして構成されてなることを特徴とするダブルオフセット型等速ジョイントにおいて,
ケージの球形外面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸元部の方向にオフセットされ,更にケージの球形内面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸先端部の方向にオフセットされてなると共に,前記アウターレースに形成された嵌入溝に嵌入され,前記アウターレースに前記ボール或いは前記ケージとの干渉によって該ボールをアウターレースから脱落することを防止する抜け止め部材を設け,前記抜け止め部材を,前記ボール或いは前記ケージと該抜け止め部材とが干渉した状態で,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接点が前記シャフト軸方向に見て前記抜け止め部材の前記嵌入溝のシャフト先端側端部の位置より前記シャフトの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けられてなることを特徴とするダブルオフセット型等速ジョイントとして構成されている。
これによって,シャフトとインナーレースとの結合部にセレーション形成されない(インナーヘッドとして構成されている)ために,この部分の強度を低下させることのないダブルオフセット型等速ジョイントが提供される。また,このように構成することでセレーション加工のコストを低下させること出来る。
即ち,本発明は,ケージの球形外面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸元部の方向にオフセットされ,更にケージの球形内面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸先端部の方向にオフセットされてなると共に,前記アウターレースに形成された嵌入溝に嵌入され,前記アウターレースに前記ボール或いは前記ケージとの干渉によって該ボールをアウターレースから脱落することを防止する抜け止め部材を設け,前記抜け止め部材を,前記ボール或いは前記ケージと該抜け止め部材とが干渉した状態で,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接点が前記シャフト軸方向に見て前記抜け止め部材の前記嵌入溝のシャフト先端側端部の位置より前記シャフトの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けるようにしたものである
のようにインナーレースが前記シャフトに一体成型されたインナーヘッドとして構成された場合,ケージをシャフトの軸元側から装着することが出来ないので,前記のように「ケージの球形外面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸元部の方向にオフセットされ,更にケージの球形内面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸先端部の方向にオフセットされる」ように構成する,つまり,従来のケージと同じものを従来ものとは向きを反対にしてシャフトに装着する。
その結果,追って詳述するように,抜け止め部材の位置が従来通りの構成では,ボールがアウターレースの先端部方向に移動した時に,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面とが接触せず,ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接触が不安定となる可能性がある。
そこで,発明では,上記のように,「前記アウターレースの円筒状内面に形成された嵌入溝に嵌入され,前記アウターレースに前記ボール或いは前記ケージとの干渉によって該ボールをアウターレースから脱落することを防止する抜け止め部材を設け,前記抜け止め部材を,前記ボール或いは前記ケージと該抜け止め部材とが干渉した状態で,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接点が前記シャフト軸方向に見て前記抜け止め部材の前記嵌入溝のシャフト先端側端部の位置より前記シャフトの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付ける」ようにしてケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面とが常に接触するようにして前記ケージがアウターレースから外れてしまうことによる不安定状態が生じないようにしている。
具体的には,ケージの球形外面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸元部の方向にオフセットされ,更にケージの球形内面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸先端部の方向にオフセットされてなると共に,前記抜け止め部材がサークリップである場合に,該サークリップの嵌入溝の底部の半径が,前記アウターレースのボール溝のアウターレース中心からの距離より短い位置に形成されていることによって,前記ボールと該抜け止め部材とが干渉した状態で,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接点が前記シャフト軸方向に見て前記抜け止め部材の前記嵌入溝のシャフト先端側端部の位置より前記シャフトの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けられてなるように構成することで,前記ボール或いは前記ケージと該抜け止め部材とが干渉した状態で,ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面とが常に接触することが出来,前記不安定状態が生じないようにすることが出来る。
また,前記抜け止め部材としては,前記アウターレースに形成されたボール溝の端部に設けられた嵌入溝に嵌入され,ケージとの干渉によってボールがアウターレースから抜けるのを防止するリング状の抜け止め板であってもよい。
さらに,前記抜け止め部材が,前記アウターレースに形成されたボール溝の端部に設けられた嵌入溝に嵌入され,前記ボールと該抜け止め部材とが干渉した状態で,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接点が前記シャフト軸方向に見て前記抜け止め部材の前記嵌入溝のシャフト先端側端部の位置より前記シャフトの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けられてなるリング状の抜け止め板であっても良い
本発明によれば,前記インナーレースが前記シャフトに一体成型されてなることを特徴とするダブルオフセット型等速ジョイントとして構成されているので,シャフトとインナーレースとの結合部にセレーション形成されないために,この部分の強度を低下させることがなく,また,セレーション加工のコストを低下させることが出来る。
以下添付図面を参照しながら,本発明の実施形態について説明し,本発明の理解に供する。尚,以下の実施形態は,本発明を具体化した一例であって,本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
ここに,図1は,本発明の第一実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントの構成を示す断面図,図2は,従来のダブルオフセット型等速ジョイントを示す断面図,図3及び図4は,図1に示したダブルオフセット等速ジョイントにおける軸が屈曲していない状態と屈曲している状態の全体断面図,図5は,図1に示した本発明の第1実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントのケージ部分の拡大断面図,図6は,本発明の第2実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントのケージ部分の拡大断面図,図7は,前記第1の実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントにおける抜け止め部材をリング状の抜け止め板として構成したケージ部分の拡大断面図,図8及び図9は,第1の実施形態及び仮想例に係るダブルオフセット型等速ジョイントにおいて,ボールがサークリップに接触している状態を説明するためのケージ部分の拡大断面図,図10は,第1の実施形態におけるサークリップをリング状の抜け止め板に置き換えた実施形態を説明するためのケージ部分の拡大断面図である。
[第1実施形態]
この実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントDOJの特徴を明らかにするために,図2に示す従来のダブルオフセット型等速ジョイントDOJと,図1に示す本発明の第1の実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントDOJの一致点及び相違点について説明する。いずれも,前記抜け止め部材としてサークリップKが用いられた場合を示しているが,本発明ではこれに限ることなく,種々の抜け止め部材が採用可能である。
図1に示すダブルオフセット型等速ジョイントDOJと図2に示す従来公知のダブルオフセット型等速ジョイントDOJを比較すると, 基本的に,軸方向に延びる直線状の複数のボール溝を周方向に等間隔に設け,上記ボール溝の間にボールGを組込み,上記ボールGをケージFによって保持するようにしている点,及び上記ケージFには球形外面および球形内面を形成し,その球形外面および球形内面の中心を等速自在継手の屈曲中心に対して左右に等距離オフセットさせ,アウターレースとインナーレースとが作動角(屈曲角)をとってトルクを伝達する際でも一定の角速度でトルクを伝達し得るようにしている点について共通である。
一方,アウターレースCの全体的形状は共通であるが,前記サークリップKを嵌入する嵌入溝KGの場所が図示のように異なる。詳細は後述される。
また,ケージそのものは同じ形状であるが,そのシャフトHの軸芯方向に見た装着方向が逆になっている。即ち,図2に示す従来装置では,ケージFの球形外面F2の中心F4がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心B1を中心として,シャフトHの軸先端部の方向にオフセットされ,更にケージFの球形内面F3の中心F5がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心B1を中心として,シャフトHの軸元部の方向にオフセットされているのに対して,図1に示すこの実施形態に係る装置では,ケージFの球形外面F2の中心F4がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心A1を中心として,シャフトHの軸元部の方向にオフセットされ,更にケージFの球形内面F3の中心F5がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心A1を中心として,シャフトHの軸先端部の方向にオフセットされている点が相違する。
さらに,図2に示す従来装置では,インナーレースEが,セレーションH1を介してシャフトHの先端部に装着され,インナーレースEのシャフトHからの抜け止めのために,止め輪H2が用いられているのに対して,図1に示す実施形態に係る装置では,インナーレースEがシャフトHの先端部に一体となったインナーヘッドDとして構成されている。従ってセレーションH1及び止め輪H2は省略されている点で両者は相違する。
前記のように従来装置で用いられたインナーレースEが,本実施形態のように前記シャフトHに一体成型されたインナーヘッドDとして構成された場合,シャフトHの先端方向に向けて拡開しているケージFを,そのままの向きではシャフトHの軸元側から装着することが出来ない。そのため本実施形態では,従来のケージFと同じものを従来ものとは向きを反対にしてシャフトに装着するようにしている。即ち,ケージFの球形外面F2の中心F4がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心A1を中心として,前記インナーヘッドDの軸元部の方向にオフセットされ,更にケージFの球形内面F3の中心F5がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心A1を中心として,前記インナーヘッドDの軸先端部の方向にオフセットされるように構成されている。
その結果,図9に示すように,サークリップKの嵌入溝KGの位置が図2に示す従来通りの構成では,ボールGがアウターレースCの先端部方向に移動し,ボールGがサークリップKと接触した時に,前記ケージFの外径球面F2の外周部F6と上記アウターレースCの円筒状内面C2とが図示のように接触していない状態が生じうる。この状態では,ケージFの外径球面F2と上記アウターレースCの円筒状内面C2との接触が不安定となる可能性がある。
そこで,この実施形態では,図1及び図8に示すように,前記アウターレースCに形成された嵌入溝KGに嵌入され,前記アウターレースCにボールGとの干渉によってボールをアウターレースCから脱落することを防止するサークリップKを,前記ボールGとこのサークリップKとが図8に示すように干渉した状態で,前記ケージFの外径球面F2の外周部F6と上記アウターレースCの円筒状内面C2との接点が前記シャフトHの軸方向に見てサークリップKの前記嵌入溝KGのシャフトHの先端側端部の位置より前記シャフトHの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けるようにして,ケージFの外径球面F2と上記アウターレースCの円筒状内面C2とが常に接触するようにして,前記不安定状態が生じないようにしている。
その結果,この実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントDOJでは,前記ケージFの球形外面F2が,従来装置とは逆に,アウターレースCの円筒状内面C2がダブルオフセット型等速ジョイントDOJの屈曲中心A1よりもアウターレースCの先端部方向にオフセットされているために,ケージFの外径球面F2と上記アウターレースCの円筒状内面C2との接触が不安定になる不都合が解消されている。
前記したように,前記アウターレースCにボールGとの干渉によってボールをアウターレースCから脱落することを防止するサークリップKを,前記ボールGとこのサークリップKとが図8に示すように干渉した状態で,前記ケージFの外径球面F2の外周部F6と上記アウターレースCの円筒状内面C2との接点が前記シャフトHの軸方向に見てサークリップKの前記嵌入溝KGのシャフトHの先端側端部の位置より前記シャフトHの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けるようにするための具体的構造をサークリップKのシャフトHの半径方向の位置から見ると次のように規定することが出来る。
即ち,この実施形態では,図5に詳細に示されるように,サークリップKの嵌入溝KGの底部における半径Rkgが,前記アウターレースCのボール溝C1のアウターレース中心からの距離RC1より短い位置に形成されている。この嵌入溝KGの半径Rkgの値を調整することによって,前記ボールGと該サークリップKとが干渉した状態で,前記ケージFの外径球面F2の外周部F6が前記シャフトHの軸方向に見て前記サークリップKの前記嵌入溝KGのシャフトHの先端側端部の位置より前記シャフトHの軸先端方向に入った位置に来るように構成することが出来,ケージFの球形外面F2の外周部F6が,アウターレースCの円筒状内面C2から外れてしまう問題が解消される。
上記の実施形態では,ボールの抜け止め部材が,サークリップKによって構成された場合を説明したが,これは一例であって,例えば,図7に示したようなシャフトHの軸に対して直角の平板からなるリング状の抜け止め板Mであってもよい。
このようなリング状の抜け止め板Mについても,図10に示すように,ボールGと干渉したときに,ケージFの外径球面F2の外周部F6が前記シャフトHの軸方向に見て前記サークリップKの前記嵌入溝KGのシャフトHの先端側端部の位置より前記シャフトHの軸先端方向に入った位置に来るように構成することが出来,ケージFの球形外面F2の外周部F6が,アウターレースCの円筒状内面C2から外れてしまう問題が解消される。
[第2実施形態]
上の第1の実施形態では,サークリップKとボールGとが干渉する場合について説明したが,前記抜け止め部材として,図6に示すように,前記アウターレースCに形成されたボール溝C1の端部に設けられ,ケージFの端面Feとの干渉によってボールGがアウターレースCから抜けるのを防止するリング状の抜け止め板Lであってもよい。Mは,前記実施形態において用いられたリング状の抜け止め板であり,抜け止め板Lの移動を止めるためのものである。
この場合にも,図6に示すように,ケージFの端部が上記リング状の抜け止め板Lと干渉(当接)したときに,ケージFの外径球面F2の外周部F6が前記シャフトHの軸方向に見て前記サークリップKの前記嵌入溝KGのシャフトHの先端側端部の位置より前記シャフトHの軸先端方向に入った位置に来るように構成されており,ケージFの球形外面F2の外周部F6が,アウターレースCの円筒状内面C2から外れてしまう問題が解消される。
本発明の第一実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントの構成を示す断面図。 従来のダブルオフセット型等速ジョイントを示す断面図。 図1に示したダブルオフセット型等速ジョイントにおける軸が屈曲していない状態の全体断面図。 図1に示したダブルオフセット型等速ジョイントにおける軸が屈曲している状態の全体断面図。 図1に示した本発明の第1実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントのケージ部分の拡大断面図。 本発明の第2実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントのケージ部分の拡大断面図。 第1の実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントにおける抜け止め部材をリング状の抜け止め板として構成したケージ部分の拡大断面図。 第1の実施形態に係るダブルオフセット型等速ジョイントにおいて,ボールがサークリップに接触している状態を説明するためのケージ部分の拡大断面図。 仮想例に係るダブルオフセット型等速ジョイントにおいて,ボールがサークリップに接触している状態を説明するためのケージ部分の拡大断面図。 第1の実施形態におけるサークリップをリング状の抜け止め板に置き換えた実施形態を説明するためのケージ部分の拡大断面図。
符号の説明
C…アウターレース
D…インナーヘッド
F…ケージ
G…ボール
H…シャフト
A1…屈曲中心
F4…ケージの球形外面の中心
F5…ケージの球形内面の中心
C1,D1,E1…ボール溝

Claims (4)

  1. アウターレースの円筒形内面と,シャフトに連結されたインナーレースの球形外面とのそれぞれに軸方向に形成された直線状のボール溝が設けられ,上記アウターレースのボール溝とインナーレースのボール溝間にトルク伝達用のボールが組込み込まれ,上記ボールを保持するケージの外径球面と内径球面の中心とが等速自在継手の屈曲中心に対して左右にオフセットされているダブルオフセット型等速ジョイントであって,
    前記インナーレースが前記シャフトに一体成型されたインナーヘッドとして構成されてなることを特徴とするダブルオフセット型等速ジョイントにおいて,
    ケージの球形外面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸元部の方向にオフセットされ,更にケージの球形内面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸先端部の方向にオフセットされてなると共に,前記アウターレースに形成された嵌入溝に嵌入され,前記アウターレースに前記ボール或いは前記ケージとの干渉によって該ボールをアウターレースから脱落することを防止する抜け止め部材を設け,前記抜け止め部材を,前記ボール或いは前記ケージと該抜け止め部材とが干渉した状態で,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接点が前記シャフト軸方向に見て前記抜け止め部材の前記嵌入溝のシャフト先端側端部の位置より前記シャフトの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けられてなることを特徴とするダブルオフセット型等速ジョイント。
  2. ケージの球形外面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸元部の方向にオフセットされ,更にケージの球形内面の中心がダブルオフセット型等速ジョイントの屈曲中心を中心として,前記インナーヘッドの軸先端部の方向にオフセットされてなると共に,前記抜け止め部材がサークリップである場合に,該サークリップの嵌入溝の底部の半径が,前記アウターレースのボール溝のアウターレース中心からの距離より短い位置に形成されていることによって,前記ボールと該抜け止め部材とが干渉した状態で,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接点が前記シャフト軸方向に見て前記抜け止め部材の前記嵌入溝のシャフト先端側端部の位置より前記シャフトの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けられてなる請求項に記載のダブルオフセット型等速ジョイント。
  3. 前記抜け止め部材が,前記アウターレースに形成されたボール溝の端部に設けられた嵌入溝に嵌入され,ケージとの干渉によってボールがアウターレースから抜けるのを防止するリング状の抜け止め板である請求項に記載のダブルオフセット型等速ジョイント。
  4. 前記抜け止め部材が,前記アウターレースに形成されたボール溝の端部に設けられた嵌入溝に嵌入され,前記ボールと該抜け止め部材とが干渉した状態で,前記ケージの外径球面と上記アウターレースの円筒状内面との接点が前記シャフト軸方向に見て前記抜け止め部材の前記嵌入溝のシャフト先端側端部の位置より前記シャフトの軸先端方向に入った位置に来るような位置に取り付けられてなるリング状の抜け止め板である請求項1に記載のダブルオフセット型等速ジョイント。
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