JP5032133B2 - 造粒方法及び造粒装置 - Google Patents

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Description

連続式インクジェット法を用いて原料液から液滴を形成し、その液滴を乾燥させて造粒する造粒方法及び造粒装置に関する。
粉末や顆粒等の粒子を製造する造粒方法の一つとして、原料を含む液体を微細な液滴にして、この液滴を乾燥等により固化させて製造する方法が知られている。そして従来から、高品質の造粒粉を製造する為に、液滴の形成方法や形成された液滴を粒子に変質させる方法等に関する技術が検討されている。
例えば、噴霧乾燥による造粒方法として、特許文献1には、造粒される物質の微粒子がチャンバ内に導入され、この粒子が乾燥運動ガス流中を同伴されながら、造粒液滴の噴霧を加えられることによって造粒する技術が開示されている。そして、特許文献2には、回転噴霧円盤(ディスクアトマイザ)を用いた技術であって、噴霧乾燥室内に連続的に流れる固体粒子分散溶液を、表面張力とディスクの遠心力とを利用して液滴を生成し乾燥させて造粒する技術が開示されている。
また、粉末冶金製品に用いる原料粉末を造粒する際に、特許文献3では、振動させた多孔ノズルからスラリーを排出させることによって分断された状態でスラリーが排出され、この分断されたスラリーを速やかに乾燥させることで、形状を制御した造粒粉を得る技術が開示されている。そして、特許文献4では、平滑で高い撥水性を有する滴下面上にスラリーを滴下し、表面張力により球状又はそれが変形した形状の液滴として保形させつつ乾燥させる技術が開示されている。更に、特許文献5では、インクジェット方式を用いて粒子を製造し、乾燥、焼成させる技術が開示されている。
このようにして造粒粉を製造する技術は、粉末冶金製品、薬品、化粧品、食品等、様々な分野で用いられている。そして、それぞれの用途に応じて、材料、粒径や粒度分布等が異なり、望まれる品質の造粒粉を製造する。
特開2001−070779号公報 特開2004−082005号公報 特開2004−027313号公報 特開平08−059352号公報 特開2005−137955公報
粉末材料における品質指標として、平均粒径や、粒度分布が挙げられ、平均粒径及び粒度分布が高い精度で制御された高品質造粒物の提供が望まれている。造粒物の粒径の均一性が低く、粒度分布が広くなると以下の点が問題となる。例えば、粒子を含む原料をタンクやホッパーを使用して加工する場合において、いわゆる棚つり現象や凝集が生じるおそれがあり、作業性が悪くなることが多い。また、加工の際に流動性が良い粗粒子のみが製造ラインに流れる一方で流動性の悪い小粒径の粒子がタンク等に残留し、その結果、製品の品質に斑ができる可能性がある。特に、フェライトや誘電体、電池材料等のように、型に充填して焼成・焼結等の体積変化を伴う工程を必要とするものにおいて、原料粉の斑により充填量のバラツキが生じる。充填量のバラツキは、焼成・焼結後の製品のゆがみ、ひび割れ、空孔、及び製品における特性値のバラツキ等の原因となる。そして、上記特許文献1〜特許文献5等の従来技術には以下の課題が挙げられる。
特許文献1の造粒法で粒状材料を作製すると、連続的に流れる造粒液の表面張力だけで粒滴を生成させる為、粒度分布が広くなる傾向がある。また、ノズル径と造粒液の供給量によって粒径の制御を行っているので、粒径制御は可能となるものの、粒度分布は条件によって異なる可能性があり、所望する粒度分布に対して実際の製造品の粒度分布が広くなる点で課題となっている。更に、造粒粉がバグフィルタ等に引き込まれる点も収率の課題となっている。
特許文献2は、連続的に流れる固体粒子分散溶液を、表面張力とディスクの遠心力を利用して液滴を生成させる為、粒度分布が広くなる。そして、ディスクの回転数やスラリーの供給量で粒度分布を制御する為制御が難しく、粒度分布が広くなる課題と合わせて収率の点で課題となる。また、比較的小粒径の造粒物が乾燥と同時にバグフィルタ等に引き込まれる為、収率は更に低下する。
特許文献3の造粒方法及び造粒装置では、多孔ノズルの径が必ずしも一定ではない為、粒度分布が広がりやすい。更に、多孔ノズルを振動させてスラリーを分断して液滴を生成するので、ノズル径が一定であっても孔同士が接近している上にほぼ同じタイミングで液滴が生成される為、多孔ノズルから出てきた液滴同士がくっついてしまい、変形粒子等の生成が避けられず、単分散粒子の収率が課題となる。また、多孔ノズルから排出された液滴を瞬時に乾燥させる為に、多孔ノズルの排出口を液滴を乾燥させる機構と隣接させなければならない。この結果、多孔ノズルの排出口が乾燥状態下に晒されることとなり、特に高温での乾燥状態に晒す場合、多孔ノズル部の劣化が生じうる。更に、液滴の生成の為に、多孔ノズル自体が振動する構成である為、使用に伴う振動による多孔ノズルの損傷や摩耗といった物理的・力学的な劣化が生じる可能性があり、使用過程における多孔ノズルの劣化が課題となる。
特許文献4は、液滴を生成した後、液滴が加熱面を転がることで乾燥して粒子が得られる為、造粒した粒子の変形が課題となる。また、造粒方法に用いる滴下面は、使用に伴って加熱面の撥水性の低下が生じ、安定した球形粒子が得られない可能性がある。更に、大量に粒子を造粒する場合には、加熱された滴下面の熱量が造粒に必要な熱量を満たさなくなる可能性があり、大量生産の点で課題となっている。
特許文献5では、インクとしてエマルションが用いられ、また、インクジェット方式として、ピエゾ方式、サーマルインクジェット方式、バブルジェット(登録商標)方式が挙げられている。サーマルインクジェット方式及びバブルジェット(登録商標)方式は、加熱によって液体が気化する際の気泡のエネルギーでエマルションを噴出させるので、エマルション(インク)に高熱を与えることになり、原料液の組成に影響が出る為に、製造可能な造粒物の種類に制約がある。また、気泡を発生させる程度の加熱に用いるヒータの表面温度が高くなり、ヒータ、インク、インクヘッド等に負担が掛かり、それらの部品の使用過程における劣化が課題となる。一方、ピエゾ方式を用いると、電圧が印加されたピエゾ素子の変形によってエマルションを吐出するとともに、ノズル部分に新たなエマルションが供給されるので、エマルションの粘度が高い場合はインクの供給に必要な圧力がより高くなり、ピエゾ素子の駆動周波数を下げて対応すると、生産量が低下するとともに、所望の液滴の形成が難しく収率が課題となる。また、ピエゾ式のインクジェット装置では、原料液は一度インクジェットノズル内のインク溜りに必ず溜まるので、原料液の成分次第では、短時間でも原料液の流れが止まれば固形分が沈降しノズルが詰まる可能性は高くなる。即ち、材料となる原料液の状態、含有成分、粘度等に制約が多く、造粒可能な組成及び粒径の範囲が狭いことが課題となっている。
本件発明では、任意の粒度分布の形成が可能で、より幅広い粒子径に対応できるとともに、原料液における組成物の選択の幅をより広くすることができ、且つ、生産効率を向上させることができる造粒方法、造粒物及び造粒装置を提供することを目的とする。
そこで、本件発明者等は鋭意研究の結果、前記課題を解決するため、以下のような手段を採用した。
本件発明に係る造粒方法は、連続式インクジェット法を用いて原料液から粒子を形成する造粒方法であって、連続式インクジェット法を用いて原料液から粒子を形成する造粒方法であって、固形分とバインダー成分とを含む原料液を連続式インクジェット装置の1又は2以上のインクジェットノズル内に供給し、供給された前記原料液を、前記インクジェットノズルから途切れない状態で吐出しながら、吐出後に一定間隔で液滴として分離し、
この分離した液滴を乾燥させる乾燥手段内に当該液滴を導入し、導入された液滴を乾燥させて平均粒径が20μm〜500μmである造粒物を得ることを特徴としている。
ここで造粒物とは、粉体、粒体等又はこれらの混合物であり、例えば、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、カーボンブラック、二酸化珪素等の無機物、食用粉、樹脂等の有機物等が挙げられ、単一物に限らず、異なる成分の造粒物を複数種類混合した状態のものであってもよい。また、固形分とは、造粒物が形成された状態でも固形分として残る成分である。更に、バインダー成分とは、例えば、PVA(ポリビニルアルコール)、デンプン、寒天、各種樹脂等が挙げられる。
連続式インクジェット法(コンティニュアスインクジェット法)は、ノズルを通過するインク等の液流に変動圧力が付与され、この変動圧力を受けた状態でノズルから吐出された液流から分離して液滴が形成されることに特徴を有する噴射方法であり、例えば、プリンタ等に採用されている。一般に、連続式インクジェット法では、ノズルにピエゾ素子を備えており、ピエゾ素子に一定周波数の電圧を印加することによってノズルから吐出されるインク等の液流の状態を制御する。即ち、ノズルから間断無く流れ出るインク等の液には、ノズル内を通過する際に、電圧印加されたピエゾ素子により、所定周波数に対応する変動圧力が付与される。この圧力変動によって、インク等の液はノズルから噴射された直後は液滴に分離せずに液流となっていながら圧力差の影響を受けた状態となっており、ノズルの吐出口から所定距離の位置で所望の大きさの液滴に形状が変化するようになっている。本発明では、上述の連続式インクジェット法の液滴の形成方法を、造粒物の粒子形成に適用する。
そして、本発明に係る造粒方法では、前記インクジェットノズルから吐出されて形成された液滴をモニタリングしながら、所望の液滴径が形成されるように原料液の吐出状態を制御することが望ましい。
また、本発明に係る造粒方法では、前記2以上のインクジェットノズルを用いる場合において、各インクジェットノズルから形成される液滴の平均液滴径をノズル毎に設定することが好ましい。
更に、本発明に係る造粒方法では、前記2以上のインクジェットノズルを用いる場合において、各インクジェットノズルから形成される液滴の成分をノズル毎に変更して液滴を形成することが好ましい。
そして、本発明に係る造粒方法では、前記原料液の固形分は無機物又は有機物から選ばれる1以上の成分を含むことが好ましい。ここで、原料液の状態としては、例えば、スラリー、懸濁液、水溶液、エマルション等が挙げられる。
なお、本発明に係る造粒方法では、前記原料液は、500メッシュ以上のフィルタで粗大粒子を除去して用いることが好ましい。
また、本発明に係る造粒方法では、前記原料液は粘度が500mPa・s以下として用いることが好ましい。なお、粘度は回転式粘度計を用いて、62.5rpmの条件で測定した。ここで、原料液に対する検出限界値以下の粘度については信頼性に欠けるので、下限規定は行わず、少なくとも500mPa・sを上限とすることを明記しておく。
また、本発明に係る造粒方法では、前記原料液に増粘剤を添加して用いることが好ましい。
更に、本発明に係る造粒方法では、前記インクジェットノズルのノズル径は、形成する粒子の粒径に応じて20μm〜120μmの範囲のものを選択使用することが好ましい。
また、本発明に係る造粒方法では、前記インクジェットノズルからの原料液の吐出は、原料液を前記インクジェットノズル内に一定の速度で連続的に供給し、供給原料液圧により吐出させるものであり、且つ、インクジェットノズル内を通過する原料液流には圧力変動を加えることが好ましい。
そして、本発明に係る造粒方法では、前記原料液流に加える圧力変動は、ピエゾ素子を用い、このピエゾ素子に印加する電圧を制御することにより圧力を変動させることで行うことが好ましい。
そして、本発明に係る造粒装置は、上記のいずれかに記載の造粒方法を行うための造粒装置であって、貯液部、吐出部、乾燥部、捕集部を連設して配置し、前記貯液部に蓄えられた原料液は、吐出部に備える1又は2以上のインクジェットノズルに連続供給され、当該インクジェットノズル内の原料液は、吐出部に備える連続式インクジェット装置によってインクジェットノズルから吐出して液滴を形成し、前記液滴は乾燥部内に導入され、その導入された液滴が乾燥部内で乾燥し造粒物となり、その造粒物を捕集部に捕集することを特徴としている。
そして、本発明の造粒装置では、前記インクジェットノズルのノズル径は、形成する粒子の粒径に応じて20μm〜120μmの範囲のものを選択使用することが好ましい。
また、本発明の造粒装置では、製造される造粒物の平均粒径が5μm〜500μmの間の所望の平均粒径となるように前記連続式インクジェット装置で原料液の吐出状態を制御することが好ましい。
更に、本発明の造粒装置には、形成した前記液滴の液滴径を測定する測定手段を備え、この測定手段による測定結果に応じて所定の液滴径となるように原料液の吐出状態を制御することが好ましい。
そして、本発明の造粒装置では、前記2以上のインクジェットノズルを用いる場合において、前記連続式インクジェット装置は、インクジェットノズル毎に形成すべき液滴の形状及び/又は成分に応じて原料液の吐出状態を制御することが好ましい。
更に、本発明の造粒装置では、前記貯液部は原料液を撹拌して混合状態を保つ撹拌機構を備え、この撹拌機構によって原料液に含まれる固形分が原料液中に均一分散した状態を保つことが好ましい。ここで、混合状態の原料液とは、原料液の成分が沈殿等により偏らずに混ざり合っている状態である。
造粒方法:本発明に係る造粒方法は、連続式インクジェット法を用いて原料液から粒子を形成する造粒方法であって、固形分とバインダー成分とを含む原料液を連続式インクジェット装置の1又は2以上のインクジェットノズル内に供給し、供給された前記原料液を前記インクジェットノズルから吐出させることにより液滴を形成するので、連続式インクジェット法を用いることにより、形成される液滴の大きさを所望の大きさに精度良く揃えることが可能となり、乾燥前に液滴径を揃えることができる。そして、液滴を乾燥させる乾燥手段内に当該液滴を導入し、導入された液滴を乾燥させて造粒物を得るので、粒度分布がシャープな造粒物を製造することができる。従って、本発明に係る造粒方法で製造した造粒物は、所望の平均粒径に揃い、且つ所望の粒度分布とすることができるので、製品を高品質に保つために有効であるとともに、後工程における分級等の工程を省くことが可能となり製造コストの点でも有効である。
更に、例えば、ピエゾ式のインクジェット装置では、原料液(インク等)が一度インクジェットノズル内のインク溜まりに必ず溜まるので、原料液の成分次第では、短時間でも原料液の流れが止まれば固形分が沈降しノズルが詰まる可能性は高くなるが、連続式インクジェット法では、圧力が変動した状態で付与された原料液が、連続してノズルから吐出した後に液滴を形成する。従って、他のインクジェット法に比べて、原料液とノズルからの吐出状態との関係の制約が少なく、ノズル径や原料液の固形分、粘度等の選択の幅を広く持つことが可能であり、幅広い種類の造粒物を製造することができる。また、連続式インクジェット法を用いることにより、原料液から液滴を形成するタイミングを制御することができるので、形成された液滴同士がくっつかないようなタイミングで吐出させることができ、規格外の造粒物の発生を抑止できる。従って、高い収率で造粒物を製造できるとともに、分級等、造粒物の粒径を整えるための工程を行う必要がなく、生産効率が良く、経済的に造粒することができる。また、インクジェットにより液滴を形成し、造粒することで粒径の揃った造粒物が得られることは前述の通りであるが、形成された液滴の液滴径をモニタリングしながら、所望の液滴径が形成されるように原料液の吐出状態を制御することにより、造粒物の粒径を更に精度良く造粒できる。
造粒装置:本発明に係る造粒装置は、上述の造粒方法を行うための造粒装置であって、貯液部、吐出部、乾燥部、捕集部を連設して配置し、前記貯液部に蓄えられた原料液は、吐出部に備える1又は2以上のインクジェットノズルに連続供給され、当該インクジェットノズル内の原料液は、吐出部に備える連続式インクジェット装置によってインクジェットノズルから吐出して液滴を形成し、形成した液滴は乾燥部内に導入され、その導入された液滴が乾燥部内で乾燥し造粒物となり、その造粒物を捕集部に捕集するので、乾燥前に液滴の大きさを精度良く揃えることができて、粒度分布がシャープな造粒粉を容易に製造できる。
また、各インクジェットノズルから形成される液滴の液滴径をノズル毎に制御することにより、得られる造粒物の粒径を制御できるので、高収率となるだけでなく、分級等のような造粒物の粒径を整えるための工程を行う必要がないので、生産効率が良く経済的に造粒することができる。また、分級を行う場合であっても、規格外品の発生が少ないので廃棄量を抑えることが可能となり、経済的且つ環境にも配慮できる。そして、形成した液滴の液滴径を測定する測定手段を備え、この測定手段による測定結果に応じて所定の液滴径となるように原料液の吐出状態を制御すれば、より精度良く造粒物を所望の粒径に揃えることができる。
更に、2以上のインクジェットノズルを用いた場合、任意の液滴の形状及び/又は成分に応じてインクジェットノズル毎に吐出機能を制御すると、粒径及び/又は成分が異なる場合でも所望の配合比率や粒度分布を有する造粒物を一括して製造することができる。例えば、大粒径の物質同士の隙間を小粒径の物質で埋めるような状態にして高い充填率が望まれる粉体の場合、粒径の異なる粉体が混ざっている状態が好ましく、粒度分布がシャープでなくても、適正な粒度分布の粉体であることが望まれる。従って、例えば、粒度分布が正規分布となる造粒物や、複数のピークを有する粒度分布の造粒物等、予め設定した造粒物を一括して製造することができるので、製造すべき粒度分布に応じて分級したり、あるいは異なる粒径の粉体等を配合する工程が必要なく、造粒物を容易に効率良く製造できる。
以下、本発明に係る造粒方法、造粒物及び造粒装置の最良の実施の形態に関して説明する。
[造粒方法]
本件発明に係る造粒方法は、連続式インクジェット法を用いて原料液から粒子を形成する造粒方法であって、以下の工程を含むものである。
工程1:連続式インクジェット装置の1又は2以上のインクジェットノズル内に固形分とバインダー成分とを含む原料液を供給し、供給された前記原料液を、前記インクジェットノズルから途切れない状態で吐出しながら、吐出後に一定間隔で液滴として分離し、液滴を形成する。
工程2:液滴を乾燥させる乾燥手段内に当該液滴を導入する。
工程3:導入された液滴を乾燥させることにより粒子を形成する。
工程4:形成された粒子を捕集する。
以下、工程毎に説明する。
工程1:工程1では、連続式インクジェット装置の1又は2以上のインクジェットノズル内に固形分とバインダー成分とを含む原料液を供給し、供給された前記原料液を前記インクジェットノズルから吐出させることにより液滴を形成する。
原料液は、固形分とバインダー成分とを含み、この固形分は無機物又は有機物から選ばれる1以上の成分を含むものである。無機物の例としては、金属、金属酸化物、金属水酸化物、金属炭酸塩、カーボンブラック、二酸化珪素等が挙げられる。また、有機物としては、食用粉、樹脂等が挙げられる。また、バインダー成分の例としては、PVA、デンプン、寒天、各種樹脂等が挙げられる。そして、原料液の状態としては、例えば、スラリー、懸濁液、水溶液、樹脂等の疎水性物質を水に分散させたエマルション等が挙げられる。なお、この原料液は混合状態でインクジェットノズル内に供給される。
また、500メッシュ以上のフィルタで粗大粒子を除去して原料液を用いると、粗大粒子によるインクジェットノズルの目詰まりを防ぐことができる。ここで、500メッシュ未満のフィルタでは、インクジェットノズルに詰まりやすい大きさの粗大粒子を除去することができない。そして、600メッシュ以上のフィルタを使用して粗大粒子を除去して用いることがより好ましい。
また、この原料液の粘度は500mPa・s以下であることが好ましい。原料液の粘度が500mPa・sを超えると、粘度が高すぎて原料液がインクジェットノズルから吐出されにくくなる。そして、原料液の粘度に応じて、インクジェットノズルのノズル径や原料液に加える圧力を調整する。
更に、原料液には、増粘剤を添加して用いることが好ましい。原料液の粘度が500mPa・sを超えない範囲で増粘剤を添加することで、固形分の沈降を防ぐことができ、原料液(スラリー等)の分散性を安定させることができる。特に、小粒径のものを造粒する場合には、ノズル径を小さくしたり、固形分量を下げたりする必要がある。この場合に、原料液の粘度は低い傾向にあるので、増粘剤によって好適な粘度に調製し、原料液の分散性をより安定したものとすることができる。また、原料液中の固形分が少ない場合には、原料液の分散性の均一化を図ることができ、品質の安定した造粒物が得られる点から好ましい。更に、比重の大きい固形分を原料液中に含む場合には、増粘剤によって、固形分を安定的に分散させる効果を奏する。なお、増粘剤としてはアクリル酸ポリマー、デンプン、キサンタンガム、ポリエチレングリコールジステアレート等が使用できる。
連続式インクジェット装置は、インクジェットノズルから吐出される原料液の吐出状態を制御する手段としてピエゾ素子(圧電素子)を備えている。ピエゾ素子は、印加する電圧に応じて伸張が変化する。このピエゾ素子の性質を利用して、ピエゾ素子に所定周波数の電圧を印加することによりピエゾ素子の駆動周波数を制御すると、ピエゾ素子の伸張変化に応じて、インクジェットノズル内に供給された原料液への圧力が加減変動される。この結果、原料液は、途切れない状態でありながらも一定間隔で液滴として分離しやすい様な状態でインクジェットノズルから吐出される。その後、液流から分離して液滴が形成される。
即ち、インクジェットノズル内に一定速度で連続的に供給された原料液は、その供給原料液圧によって連続的に吐出される。このとき、インクジェットノズル内を通過する原料液流に対して、ノズルから吐出する前に圧力変動を加えることにより、吐出後に原料液流から分離することにより液滴が形成されるので、結果として所定速度で所定の大きさの液滴を形成するのである。
上述の連続式インクジェット法では、インクジェットノズルから吐出される原料液への圧力の強弱を調整することにより、原料液を所望のタイミングで液滴として分離させることができる。従って、インクジェットノズルのノズル径と、このノズル径に応じてピエゾ素子に印加する電圧及びその周波数を制御すれば、所望の大きさの液滴として分離するように原料液を吐出し、液滴径が揃った液滴を形成することができる。
ここで、形成される液滴の大きさは、原料液の粘度とノズル径及びピエゾ素子の駆動周波数によって制御される。更に、ピエゾ素子の上限駆動周波数は、インクジェットノズルのノズル径と射出速度に基づいて算出され、おおよそ5KHz〜720KHzの範囲が可能であり、単位時間あたりの液滴形成量を多くできるのが特徴である。また、連続式インクジェット法の場合、吐出段階で液滴を形成するピエゾ方式と比べると、インクジェットノズルのノズル径の制約が少なく、より広い範囲のノズル径を用いることができる。また、原料液は、貯液部からノズルまで留まることなく流通するので、原料液に含まれる固形分がノズルに詰まりにくくなり、原料液の組成物の選択の幅を広くすることができる。
なお、インクジェットノズルのノズル径は、造粒すべき造粒物の粒径に応じて20μm〜120μmの範囲で設定する。インクジェットノズルのノズル径が20μm未満であると、小さすぎて固形分を含む原料液が吐出されにくくなり実用に適さない。一方、インクジェットノズルのノズル径を120μmより大きくすると吐出量が多くなり、その結果、液滴が大きくなり、次の乾燥手段に導入しても好ましい形状に維持したままでの乾燥が難しく造粒が困難となる。
また、原料液をインクジェットノズルから吐出させる際の吐出速度は、所定の速度となるように原料液に応じて調整する。即ち、インクジェットノズルのノズル径と、原料液の粘度と、インクジェットノズル内に供給される原料液の供給速度を制御することによって一定速度で原料液が吐出されるように調整する。
また、形成された液滴をモニタリングしながら、所望の液滴径が形成されるように原料液の吐出状態を制御すれば、より精度良く粒径が揃った高品質な造粒物を製造することができる。即ち、連続式インクジェット法を用いても、原料液の微妙な固形分、粘度等の原料液の性状の変化によって、造粒物の粒径が僅かに変動することがあると考えられる。この変動に対応し、より高精度に液滴径を一定に保つために、形成された液滴径をモニタリングしながら、液滴の形成条件を最適化することが有効である。また、製造途中で生じた不具合等に伴う液滴の異変等を早期に発見可能となり、製造ロスを抑えることができる。なお、モニタリングの方法は、インクジェットノズルの吐出口側にCCDカメラ等を配置する例が挙げられる。
ここで、液滴の生産能力を考えると、連続式インクジェット方式は1のインクジェットノズルあたりの生産能力は小さいが、複数のインクジェットノズルを設ければ、生産性の課題を解決できる。なお、2以上のインクジェットノズルを用いて液滴を形成する場合、単一の粒径を複数のインクジェットノズルで形成することで、生産量を上げることが可能となるだけでなく、造粒物の粒径を均一に揃えることができるので、品質の揃った造粒物の収率向上を実現できる。
一方、各インクジェットノズルから吐出する液滴の成分及び/又は形状をノズル毎に変更して液滴を形成すべく、インクジェットノズル毎に吐出状態を制御することも可能である。この場合、インクジェットノズル毎に、ノズル径、ピエゾ素子への印加電圧、ピエゾ素子の駆動周波数等の液滴形成の条件を変えて吐出状態を制御すれば、任意の粒度分布を形成する造粒物を一括して製造したり、混合物を一括して製造でき、異なる成分及び/又は形状の造粒粉を混合する工程を省くことができる。
工程2:液滴を乾燥させる乾燥手段内に当該液滴を導入する。ここで、インクジェットノズルから吐出されて形成された液滴の吐出方向は安定しているので、インクジェットノズルから液滴を乾燥手段内に的確に導入できる。
工程3:導入された液滴を乾燥させることにより造粒する。即ち、乾燥手段は、液滴を造粒物に変質可能な程度に乾燥させられるものであり、例えば、乾燥チャンバ等容器内の雰囲気撹拌をする気流発生手段等を備えることができる。この乾燥手段内に導入された液滴は、気流と乾燥気体と温度等により乾燥されて造粒物に変化する。
工程4:工程3で造粒された造粒物を捕集部に捕集する。例えば、サイクロン分級機等の捕集手段を用いて集められた造粒物を容器に収容する。
[造粒物]
本件発明に係る造粒方法を用いて得られる造粒物は、粒径や粒度分布等、造粒物の任意の条件に合わせてインクジェットノズルの駆動機構を制御することによって、任意の大きさに揃った液滴を形成した後に乾燥して造粒する。こうして製造された造粒物は、粒径の大きさを問わずシャープな粒度分布の造粒物となる。そして、この造粒物は、原料液の固形分、粘度、固形分の粒径等の特性及び、インクジェットノズル径の調整と、ピエゾ素子への印加電圧及びピエゾ素子の駆動周波数の制御によって、平均粒径Dが20μm<D≦500μm間の任意の大きさの造粒物が製造される。即ち、形成する液滴を制御する因子が多いので、シャープな粒度分布を維持したままで、幅広い粒径の造粒物を製造することができ、特に、細かい平均粒径の造粒物の製造において好適な粒度分布とすることが可能となる。なお、粒径のバラツキを抑えた高品質な造粒物とするには当該造粒物の平均粒径Dは、より好ましくは20μm<D≦500μm、更に好ましくはDが20μm<D≦400μmの間の所望の平均粒径となるように制御することが好ましい。
[造粒装置]
本件発明に係る造粒装置は、貯液部、吐出部、乾燥部、捕集部を連設して配置している。
貯液部は、調整された原料液を吐出部に送る為に原料液を蓄えるものであり、この貯液部から後述する吐出部へ原料液を伝送されるように配管されている。貯液部は、原料液を蓄えることができて密封可能な容器と、原料液を撹拌して混合状態を保つ撹拌機構とを備え、この撹拌機構によって原料液に含まれる固形分が原料液中に分散され混ざり合った状態を保つものが好ましい。これにより、原料液に含まれる固形分の沈殿を防ぎ、成分に斑のない液滴を円滑に形成することができる。また、固形分の多い原料液がインクジェットノズル内に詰まることを防ぐことができる。
ここで、貯液部に入れる原料液は予め、500メッシュ以上のフィルタで粗大粒子を除去したものが好ましい。そこで、予めフィルタで粗大粒子を除去したものを貯液部に供給しても良いが、貯液部に原料液を入れる投入口に上述のフィルタを備えても良い。
また、インクジェットノズルに原料液を供給可能に接続されている貯液部を加圧し、インクジェットノズルからの吐出した原料液の減少量に応じて、インクジェットノズル内に自ずと原料液が供給される構成にすれば、インクジェットノズル内への原料液の供給速度は原料液の吐出速度と同期し、ポンプ等の原料液注入手段が不要となる。
なお、2以上のインクジェットノズルを備え、異なる成分の物質からなる混合物を製造したい場合は、複数の貯液部を備え、各貯液部が各インクジェットノズルに対応して連設された構成としても良い。
吐出部は、インクジェット装置を備えている。インクジェット装置は、1又は2以上のインクジェットノズルと、インクジェットノズルから吐出される原料液の吐出状態を制御するためのピエゾ素子(圧電素子)と、このピエゾ素子に電圧を加える為のインクジェットノズル駆動機構とを備えている。そして、インクジェットノズルは貯液部から原料液が供給可能に連設されている。このインクジェットノズルのノズル径は、造粒する造粒物の粒径又は粒度分布に応じて20μm〜120μmの範囲のものを選択使用する。そして、造粒物の平均粒径Dが20μm<D≦500μmの間の所望の平均粒径となるように連続式インクジェット装置で原料液の吐出状態を制御する。即ち、インクジェットノズル駆動機構の制御によって、ピエゾ素子に所定周波数の電圧を印加すると、ピエゾ素子が当該駆動周波数に対応して伸張が変化して、インクジェットノズル内に供給された原料液への圧力が変動する。これにより、原料液が一定間隔で液滴として分離しやすい様な状態でありながらも分離せずにインクジェットノズルから吐出される。
そして、ピエゾ素子は素子自体を冷却する機構を備えていない場合は高熱には耐えられないので、吐出部は乾燥部の外部に配置さる。しかし、例えば、乾燥部が常温乾燥等のピエゾ素子が耐えうる温度での乾燥を採用する場合や、冷却機構が備わったピエゾ素子を配置した吐出部の場合は、当該乾燥部内に吐出部を配置しても良い。なお、インクジェットノズルは吐出方向を決めやすいので、吐出部が乾燥部の外方に配置されていても、インクジェットノズルから吐出されて形成された液滴が、後述する乾燥部に設けられている開口に向けて進行する位置関係となるように吐出部と乾燥部とを配置することにより、当該開口に向けてインクジェットノズルから液滴を的確に導入できる。
ここで、インクジェットノズルから吐出された後に原料液流から分離して形成された液滴が、所定の方向に進行するように、液滴に偏向電圧が付与される構成とすれば、容易に液滴の進行方向を調整でき、より確実に液滴を乾燥部へ導入することができる。従って、乾燥部の設置位置は吐出部の直下に限定されず、乾燥部を下方に配置する場合も、ノズルと乾燥部の微調整は偏向電圧によって行うことができる。また、乾燥部に液滴を入れない時は、液滴回収用の容器に入るように、液滴に偏向電圧を付与すれば、回収容器に集められた原料液を再度利用することができて無駄がない。
なお、ディスクアトマイザ方式等の従来の造粒方法では、液滴を形成する装置が乾燥機構内部の熱や乾燥状態の環境下に吐出口が設けられているが、本件発明に係る造粒方法では、液滴を形成するインクジェットノズルを乾燥部内に配置する必要がないので、インクジェット装置が熱や乾燥の影響を受けにくくなり、使用によって経時劣化しにくい装置とすることができる。また、インクジェット装置を乾燥装置の外部に設置できることによって、連続式インクジェット装置の点検や修理を行う場合に、インクジェットノズル部分のみの動作を停止して作業することができるので、乾燥部において液滴の乾燥工程を停止する必要がなく、生産性の低下を極力抑えることができる。
更に、形成された液滴の液滴径を測定する測定手段を備え、この測定手段による測定結果に応じて所定の液滴径となるように原料液の吐出状態を制御する手段を備えていれば、液滴径をより高精度に制御可能となる。測定には、例えば、CCDカメラ等を用いることができる。インクジェットノズルの吐出口の側部にCCDカメラを配置し、インクジェットノズルのピエゾ素子の駆動周波数に同期したストロボを使用して、CCDカメラで撮影して計測する。計測結果が、所望の液滴径から外れる場合は、インクジェットノズル駆動機構の制御によって、所望の液滴径となるように制御する。このように、形成された液滴径を計測してモニタリングしながら、所望の液滴径となるようにインクジェットノズルの吐出状態を制御すれば、より高精度に液滴径を揃えることが可能となり、結果として、造粒物の粒径を高精度に揃えることができる。
乾燥部は、液滴を収容する容器本体を、液滴を造粒物に変質可能な程度の乾燥状態に保つ手段と、容器内の雰囲気撹拌をする気流発生手段等を備えるものが考えられる。結果として、導入された液滴を乾燥部内において形状を保ちつつ造粒物に変質させる機構を備えていれば良い。
捕集部は、乾燥部内で乾燥した造粒物を捕集する機構であり、例えば、サイクロン分級機等の捕集手段と、この捕集手段により集められた造粒物を収容する捕集容器とを備えている。そして、例えば、乾燥部内の造粒物を吸引する等の方法により、造粒物を収集する。このとき、捕集部内外の気圧差を適切に設定することで収率低下を防ぐことができる。
以下、実施例及び比較例を示して本件発明を具体的に説明する。なお、本件発明は以下の実施例に制限されるものではない。
造粒装置:図1は本発明に係る実施例における造粒装置の概略図である。実施例1における造粒装置は、図1に示すように、貯液部(圧力容器1、撹拌子2、マグネチックスターラー3)と、吐出部(インクジェットノズル部4、インクジェットノズル駆動用交流発生装置5)と、乾燥部(乾燥室6、乾燥機構7)と、造粒物を捕集する捕集部(サイクロン8、造粒物捕集容器9)と、造粒物のうちの微細な粉体を捕集するバグフィルタ10及び微粉捕集容器11とからなるものとした。
貯液部は、原料液を蓄えることができて密封可能な容器(圧力容器1)と、撹拌機構としてマグネチックスターラー3とを備え、当該マグネチックスターラー3上に、容器(圧力容器1)を配置した。そして、容器内には原料液と共に撹拌子2を入れた。なお、本実施例では、1の貯液部を設けた例を示したが、2以上のインクジェットノズルを備え、異なる成分の物質からなる混合物を製造したい場合は複数の貯液部を備え、各貯液部が各インクジェットノズルに対応して連設された構成としても良い。
吐出部は、複数のインクジェットノズル(不図示)を備えるインクジェットノズル部4と、インクジェットノズルの駆動条件を制御するインクジェットノズル駆動用交流発生装置5とを備えるものとした。各インクジェットノズル部4には、それぞれピエゾ素子(不図示)を備えており、インクジェットノズル駆動用交流発生装置5からピエゾ素子に一定周波数の電圧を印加することによってピエゾ素子の伸張状態を変化させる。貯液部から供給される原料液が連続してインクジェットノズル内を流通するが、この原料液流がノズル内を通過する際に、ピエゾ素子の伸張状態の変化によって原料液流に所定周期の圧力を付与し、これにより原料液流に対し圧力変動が加わり、原料液は、間断無く吐出方向に進行しながら、設定した大きさの液滴に分離する様な状態で吐出する。
なお、形成された液滴の液滴径を測定する測定手段として、インクジェットノズルの吐出口の側部にCCDカメラを配置し、インクジェットノズルのピエゾ素子の駆動周波数に同期したストロボを使用して、CCDカメラで撮影して計測するものとした。この測定手段による測定結果に応じて所定の液滴径となるように原料液の吐出状態を制御する手段を備えていれば、液滴径をより高精度に制御可能となる。計測結果が所望の液滴径から外れる場合は、インクジェットノズル駆動機構によって、原料液の吐出速度、原料液への印加電圧、ピエゾ素子の駆動周波数等の条件を調整して所望の液滴径となるように制御した。
乾燥部は、高さ2mの気流乾燥装置とし、この気流乾燥装置には、インクジェットノズルから吐出される原料液の進行方向において開口する開口部(不図示)を設け、この開口部から導入された液滴を、乾燥温度と風量を制御した環境下で乾燥させて造粒物となる。
捕集部は、サイクロン8と、このサイクロン8により取り出された造粒物を収容する造粒物捕集容器9とを備えており、矢印Pの方向に流れる気流により、造粒物が搬送される構成とした。また、より厳密な品質管理を行うことができ、また工業上の安全性を保つために、サイクロン8で捕集できなかった小さな造粒物は、連接されている微粉捕集装置(バグフィルタ10)によって更に捕集され微粉捕集容器11に集められるようした。
造粒装置を用いた造粒方法:次に、上記造粒装置を用いて、造粒物として平均粒径が100μmとなるようにMn−Mg−Srフェライト前駆体を製造する場合を用いて造粒方法を説明する。まず、原料液を用意した。容積40リットルのビーズミルに水を25リットル投入し、次いで原料として、酸化鉄(III)15.53kgと四三酸化マンガン8.90kgと、水酸化マグネシウム0.57kgと、炭酸ストロンチウム0.72kgとを投入した。なお、バインダー成分として固形分10wt%のPVAを250g加えた。更に分散剤として、固形分60wt%の特殊ポリカルボン酸高分子界面活性剤を275g添加し、2時間粉砕混合を行い、調製したスラリーを635メッシュのステンレス製の網でろ過し、粗大粒子を取り除いて原料液を作製した。なお、この原料液の固形分量は50wt%であり、粘度は100mPa・sである。
続いて、上記原料液と、マグネチックスターラー3用の撹拌子2とを圧力容器1内に入れ、密封した後、圧力容器1内に圧縮空気を送り込むことによって加圧した。なお、撹拌子2が同封された原料液中では、マグネチックスターラー3によって撹拌子2が回転して、原料液が常に撹拌され、固形分が原料液中に分散された混合状態を維持した。
ここで、製造すべき造粒物の平均粒径を100μmとし、インクジェットノズルのノズル径は、原料液の粘度等の条件に応じて60μmに設定した。また、インクジェットノズル駆動用交流発生装置から、ピエゾ素子に対して、周波数70KHz、振幅5Vの正弦波の交流電圧を印加するように設定した。
混合状態の原料液は、吐出部のインクジェットノズル内に供給され、この原料液には、周波数70KHz、振幅5Vの正弦波の交流電圧が印加されたピエゾ素子から変動圧力が付与されてインクジェットノズルから吐出する。この結果、インクジェットノズルの吐出部から原料液が吐出される際には連続していながらも、一定間隔で原料液が分離して液滴となるような状態で吐出される。
この時、原料液は10m/sの一定速度で吐出されるように、供給する原料液への圧力を貯液部において調整した。なお、液滴の噴出速度は、前述の通り、インクジェットノズルの吐出口側部に配置したCCDカメラによりインクジェットノズルのピエゾ素子の駆動周波数に同期したストロボを使って撮影して計測した。
インクジェットノズルの吐出口から吐出した原料液から形成された液滴は、次に、前記乾燥部の開口部に向けて一定速度で飛ばされる形で誘導されて、開口部から乾燥部内に導入された。このように連続式インクジェット装置ならノズルから吐出した液滴の進行方向を制御できるので、開口部に的確に液滴を導入できる。こうして乾燥部に導入された液滴は、乾燥温度300℃、風量4m/minの環境下で乾燥して造粒物となる。
乾燥部での乾燥により造粒された粒子は、熱風の排出口に設置したサイクロン8を用いて造粒物捕集容器9に捕集された。更に、サイクロン8で捕集できなかった微粉は微粉捕集装置(バグフィルタ10)を用いて捕集し、微粉捕集容器11に収集した。この結果、ほとんどの造粒物が造粒物捕集容器9に捕集されており、微粉捕集容器11には、造粒物はほとんど捕集されていなかった。
本実施例1において造粒物捕集容器9に捕集されたフェライト前駆体(造粒物)を、SEMにて撮影し、フェライト前駆体(造粒物)100個のフェレ径を測定した。平均粒径(個数平均粒径)Dと標準偏差σは測定した乾燥物のフェレ径よりそれぞれ算出し、CV値は標準偏差σ/平均粒径Dとして算出した。この結果、フェライト前駆体(造粒物)の平均粒径はD=99.7μm、粒径の標準偏差はσ=12.5μm、CV値は(σ/D)=0.13となった。得られたフェライト前駆体(造粒物)の粒度分布図を図2に示す。
造粒装置:実施例2の造粒装置は、実施例1と比べて、吐出部においてノズル径が異なる複数のインクジェットノズルを設けている点で異なり、吐出部以外は実施例1と同じ構成である。従って、貯液部、乾燥部、捕集部の説明は割愛する。
吐出部に備えるインクジェットノズル部4は、ノズル径が60μmのものと、ノズル径が40μmのものとを同じ割合で備える構成とした。インクジェットノズルから吐出する原料液の吐出方法は実施例1と同様であるが、形成される液滴の大きさは、原料液の粘度とノズル径及びピエゾ素子の駆動周波数によって制御されるので、ノズル径の違いによって差が生じる。
造粒装置を用いた造粒方法:次に、上記造粒装置を用いて、実施例1と同様のMn−Mg−Srフェライト前駆体(造粒物)を製造する場合を用いて造粒方法を説明する。原料液は、実施例1と成分が同じで粘度100mPa・sであるものを用意した。
続いて、上記原料液と、マグネチックスターラー3用の撹拌子2とを圧力容器1内に入れ、密封した後、圧力容器1内に圧縮空気を送り込むことによって加圧した。なお、撹拌子2が同封された原料液中では、マグネチックスターラー3によって撹拌子2が回転して、原料液が常に撹拌され、固形分が原料液中に分散された混合状態を保つ。
ここで、各インクジェットノズルのノズル径は、製造すべき造粒物の粒度分布と、原料液の粘度等の条件に応じて60μmと40μmとを同じ割合で設定した。また、インクジェットノズル駆動用交流発生装置5から、ピエゾ素子に対して、5V、70KHzの電圧を印加するように設定した。なお、前記測定手段によって測定された液滴の吐出状態によっては、ピエゾ素子の駆動周波数の微調整が必要となるが、ピエゾ素子の上限駆動周波数は、インクジェットノズルのノズル径と射出速度に基づいて算出し、720KHzとした。
混合状態の原料液は、吐出部のインクジェットノズル内に供給される。この原料液は、10m/sの一定速度で吐出されるように、供給する原料液への圧力を調整した。なお、液滴の吐出状態は実施例1と同様にCCDカメラを利用して計測した。
ノズル径が異なるインクジェットノズルの吐出口から吐出した原料液から形成される液滴は、異なる大きさの液滴をそれぞれ形成した後、乾燥部の開口部に向けて一定速度で飛ばされる形で誘導されて、開口部から同じ乾燥部内に導入される。当該液滴は、乾燥温度300℃、風量4m/minの環境下で乾燥させて造粒物とした。
乾燥部で造粒された造粒物は、熱風の排出口に設置したサイクロン8を用いて造粒物捕集容器9に捕集した。更に、サイクロン8で捕集できなかった微粉は微粉捕集装置(バグフィルタ10)を用いて捕集し、微粉捕集容器11に収集した。この結果、ほとんどの造粒物は造粒物捕集容器9に捕集されており、微粉捕集容器11には、造粒物はほとんど捕集されていなかった。
本実施例2で造粒物捕集容器9に捕集されたフェライト前駆体(造粒物)を、SEMにて撮影し、フェライト前駆体(造粒物)100個のフェレ径を測定した。平均粒径(個数平均粒径)Dと標準偏差σは測定した乾燥物のフェレ径よりそれぞれ算出し、CV値は標準偏差σ/平均粒径Dとして算出した。造粒物捕集容器9に捕集されたフェライト前駆体(造粒物)の粒度分布図を図2に示す。この結果、100μmと76μm付近にピークがある粒度分布のフェライト前駆体(造粒物)が得られ、フェライト前駆体(造粒物)の平均粒径はD=90.5μm、粒径の標準偏差はσ=14.9μm、CV値は(σ/D)=0.16となった。即ち、任意に設定したノズル径に応じた粒度分布を示す造粒粉を製造できると言え、設計に応じた粒度分布を備える造粒粉を、簡易な工程で製造することができる。
造粒装置を用いた造粒方法:実施例3では、実施例1と比べ、原料液中の固形分量が異なる例である。即ち、実施例1と同じ造粒装置を用いて、実施例1と同様のMn−Mg−Srフェライト前駆体(造粒物)を製造した。従って、実施例3の造粒装置は、実施例1と同じ構成であるので、造粒装置の説明は割愛する。
まず、原料液を用意した。容積40リットルのビーズミルに水を25リットル投入し、次いで原料として酸化鉄(III)3.11kgと、四三酸化マンガン1.78kgと、水酸化マグネシウム0.114kgと、炭酸ストロンチウム0.144kgとを投入した。なお、バインダー成分として固形分10wt%のPVAを250g加えた。更に、分散剤として、固形分60wt%の特殊ポリカルボン酸高分子界面活性剤を275gと、増粘剤として粉末のキサンタンガムを125g添加した。そして、2時間粉砕混合を行い、調製したスラリーを635メッシュのステンレス製の網でろ過し、粗大粒子を取り除いて原料液を作製した。この結果、原料液の固形分量は16.7wt%であり、粘度は200mPa・sであった。
続いて、上記原料液と、マグネチックスターラー3用の撹拌子2とを貯液部内に入れ、密封した後、貯液部内に圧縮空気を送り込むことによって加圧した。なお、撹拌子2が同封された原料液中では、マグネチックスターラー3によって撹拌子2が回転して、原料液が常に撹拌され、固形分が原料液中に分散された混合状態を維持した。
ここで、各インクジェットノズルのノズル径は、製造すべき造粒物の粒度分布と、原料液の粘度等の条件に応じて60μmに設定した。また、インクジェットノズル駆動用交流発生装置5から、ピエゾ素子に対して、5V、70KHzの電圧を印加するように設定した。
そして、混合状態の原料液は、貯液部と連結された吐出部に供給される。吐出部のインクジェットノズル内に供給された原料液は、10m/sの一定速度で吐出されるように、供給する原料液への圧力を調整した。なお、液滴の噴出速度は実施例1と同様にCCDカメラを利用して計測した。
インクジェットノズルの吐出口から吐出した原料液から形成された液滴は、前記乾燥部の開口部に向けて一定速度で飛ばされる形で誘導されて、開口部から同じ乾燥部内に導入される。当該液滴は、乾燥温度300℃、風量4m/minの環境下で乾燥して造粒物となる。
乾燥により得られた造粒物は、熱風の排出口に設置したサイクロン8を用いて造粒物捕集容器9に捕集した。更に、サイクロン8で捕集できなかった微粉は微粉捕集装置(バグフィルタ10)を用いて捕集し、微粉捕集容器11に収集した。この結果、ほとんどの造粒物は造粒物捕集容器9に捕集されており、微粉捕集容器11には、造粒物はほとんど捕集されていなかった。
本実施例3で造粒物捕集容器9に捕集されたフェライト前駆体(造粒物)を、実施例1及び実施例2と同様に、SEMにて撮影し、フェライト前駆体(造粒物)100個のフェレ径を測定した。造粒物捕集容器9に捕集されたフェライト前駆体(造粒物)の粒度分布図を図2に示す。この結果、78μmにピークがある粒度分布のフェライト前駆体(造粒物)が得られ、フェライト前駆体(造粒物)の平均粒径はD=78.3μm、粒径の標準偏差はσ=13.3μm、CV値は(σ/D)=0.17となった。
本実施例3では、実施例1に比べて、固形分が少ない原料液を用いたが、粒径の標準偏差、CV値ともに実施例1と同等の結果が得られた。このことから、増粘剤としてキサンタンガムを添加したので、固形分の沈降を防ぐことができ、固形分が少ない原料液を用いて製造する場合に、増粘剤が有効であると言える。従って、500mPa・sを超えない範囲で増粘剤を加えることによって、品質の安定した造粒物が得られるのである。
比較例
比較例として、実施例1と同じ原料液を作成し、ノズルアトマイザ方式(比較例1)とディスクアトマイザ方式(比較例2)とを用いて造粒し、実施例1と比較する。
[比較例1]
比較例1は、実施例1と同様である乾燥温度300℃、風量4m/minの環境下の乾燥機構を用い、この乾燥機構内にノズルアトマイザを備えて、乾燥機構内で液滴を生成した。即ち、乾燥機構外部から供給された実施例1と同じ原料液を、乾燥機構内部に配置された二流体ノズルから圧縮空気を用いて原料液を噴霧し液滴を形成し、乾燥機構において気流により液滴を循環させて造粒物に変質させて造粒した。そして、乾燥機構で乾燥されて造粒された造粒物は熱風の排出口に設置したサイクロンを用いて捕集し、微粉捕集容器に捕集した。更に、サイクロンで捕集できなかった微粉は微粉捕集装置(バグフィルタ)を用いて捕集し、微粉捕集容器に収集した。このとき微粉捕集容器には全造粒物の重量(造粒物捕集容器に捕集された造粒物の重量+微粉捕集容器に捕集された造粒物の重量)のうち15%が捕集されていた。
比較例1にて造粒物捕集容器に捕集されたフェライト前駆体(造粒物)を実施例と同じ方法で測定した結果、平均粒径はD=86.8μm、粒径の標準偏差は、σ=38.2μm、CV値は(σ/D)=0.44となった。比較例1で得られた造粒物の粒度分布図を図3に示す。
[比較例2]
比較例2では、実施例1と同じ原料液を使用し、乾燥温度300℃、風量4m/minの環境に保たれた乾燥機構内に配置されたディスクアトマイザを回転させて、乾燥機構に外部から供給された原料液を回転するディスクの上に滴下して、ディスクの遠心力で飛散させて液滴を形成し、気流により液滴が乾燥機構内を循環させて造粒物に変質させて造粒し、造粒された造粒物を捕集機構で捕集した。そして、乾燥機構での乾燥により造粒された造粒物は熱風の排出口に設置したサイクロンを用いて造粒物捕集容器に捕集した。更に、サイクロンで捕集できなかった微粉は微粉捕集装置(バグフィルタ)を用いて捕集し、微粉捕集容器に収集した。このとき、微粉捕集容器は全造粒物の重量(造粒物捕集容器に捕集された造粒物の重量+微粉捕集容器に捕集された造粒物の重量)のうちの25%が捕集されていた。
比較例2で造粒物捕集容器に捕集されたフェライト前駆体(造粒物)を実施例と同じ方法で測定した結果、平均粒径はD=42.9μm、粒径の標準偏差はσ=23.4μm、CV値は(σ/D)=0.54となった。比較例2で得られた造粒物の粒度分布図を図3に示す。
[比較例3]
実施例1と同じ原料液、貯液部、及び乾燥手段を使用し、実施例1で連続式インクジェット法を用いた部分をピエゾ式のインクジェットノズルに変えた。即ち、比較例3では、ピエゾ素子の駆動により、インクジェットノズルから液滴が吐出するとともに、ノズル内に原料液が導入されるのである。このインクジェットノズルは40μmのノズル径のものを縦20個、横128個並んだものを使用し、前記ピエゾ素子は周波数8KHz、振幅80Vの正弦波の交流電圧を印加し、液滴が形成されるようにした。液滴の吐出速度はインクジェットノズルの側部に配置したCCDカメラによりインクジェットのピエゾ素子の駆動周波数に同期したストロボを使って撮影して計測し、10m/sとなるように調整した。造粒された造粒物を捕集機構で収集する。
上記条件にて実施した結果、造粒を始めて数十秒後にほぼ全てのノズルが詰まり、造粒物が得られなかった。この結果、ピエゾ式のインクジェット装置では、原料液は一度インクジェットノズル内のインク溜りに必ず溜まるので、原料液の成分次第では、短時間でも原料液の流れが止まれば固形分が沈降しノズルが詰まる可能性は高くなり、本件発明の造粒方法で使用可能な原料液の条件では、液滴が形成できないと言える。
[実施例と比較例との対比]
実施例及び比較例で得られた粒子の平均粒径D、標準偏差σ、CV値(σ/D)を表1に示す。標準偏差に着目すると、比較例1ならびに比較例2に比べ、実施例の標準偏差が小さくなっている。即ち、比較例に比べ実施例は粒度分布がシャープな粉体特性を備えることが理解できる。更に、CV値については、比較例1ならびに比較例2に比べ実施例の値が小さい。即ち、実施例は比較例1ならびに比較例2に比べて、粒径のバラツキが少ない極めて粒度分布がシャープな造粒物であることが言える。
Figure 0005032133
なお、本実施例及び比較例では、フェライト前駆体(造粒物)の製造を例示したが、これに限定されるものではなく、この他に例えば、各種金属粉、酸化物、食用粉、医薬、肥料、色材、感光材、香料、化粧料等、粒径及び粒度分布の管理が重要となる造粒物に好適である。
本件発明の造粒方法、造粒物及び造粒装置では、連続式インクジェット法を用いて、インクジェットノズル毎に原料液から形成される液滴の段階で大きさを制御した後に、乾燥機構に液滴を導入して乾燥させることにより造粒するので、粒径を幅広い範囲で制御可能でありながら幅広い組成物においてシャープな粒度分布を持った造粒物や、任意の粒度分布を形成する造粒物を精度良く製造することができる。これにより製造工程を短縮でき、且つ生産ロスの少ない造粒方法にすることができる。また、複数種類の成分からなる造粒物も一括して造粒可能であり、更に、固形分とバインダー成分とを含む原料液から造粒するので、幅広い種類の造粒物の製造コストを削減することができる。従って、製造工程を短縮するとともに高収率を実現する造粒方法、造粒物及び造粒装置は、様々な分野で利用できる。
特に、フェライトキャリアの造粒に用いる場合は、粒径を揃え、粒度分布を狭くすることで、キャリアに起因する画像欠陥を軽減でき、高画質が期待できる。即ち、所望する粒径以下の微粒子の含有量を減らすことでキャリア飛散及びそれに起因する白斑、感光体ドラム上に発生する傷による白スジ等の画像欠陥を軽減することができる。更に、従来の造粒方法により製造された造粒粉では、所望の粒度分布とする為に分級を複数回行う必要があったが、本発明の造粒方法を用いれば造粒時に所望の粒度分布を意図的に制御可能となり、分級工程を省くことができ、製造コストの面で効果を奏する。
また、一般に、造粒時にバインダーの添加量を増量し、各用途に応じて適切な焼成・焼結を行えば、バインダー成分がCO、HO等のガスとして抜けた空孔により焼成・焼結後の造粒物の接触反応界面面積を大きくすることができる。従って、本発明の造粒方法を用いて造粒物を製造する際、及び、その後工程において、バインダー成分の性能や添加量の条件を含む造粒条件ならびに焼成・焼結等の条件を適切に設定すれば、粒径が大きくても接触反応界面面積を大きくでき、酸化還元等の化学的反応を行う場合の活性を高めることができる。これにより、微粒の粉体による棚つり現象や凝集といった取り扱い性の課題を解決しながら、反応性の良い造粒物の製造が可能となり、誘電体や電池材料に用いる原料粉や、高水溶性が求められる造粒物等を造粒する場合に有効である。更に、本発明の造粒方法では、任意の複数の粒径からなる造粒物を製造できるので、粒子間の空隙を埋めるような粒度分布にすることで、充填量を増加させることが可能になる。このように、取り扱い性を改善し、比表面積と充填量の増大を同時に実現することで、今まで以上に高い性能の誘電体・電池材料の創出が期待できる。
実施例1の造粒装置の概略図である。 実施例1〜実施例3の粒度分布を示す図である。 比較例1及び比較例2の粒度分布を示す図である。
1 ・・・・圧力容器
2 ・・・・撹拌子
3 ・・・・マグネチックスターラー
4 ・・・・インクジェットノズル部
5 ・・・・インクジェットノズル駆動用交流発生装置
6 ・・・・乾燥室
7 ・・・・乾燥機構
8 ・・・・サイクロン
9 ・・・・造粒物捕集容器
10 ・・・・バグフィルタ
11 ・・・・微粉捕集容器

Claims (17)

  1. 連続式インクジェット法を用いて原料液から粒子を形成する造粒方法であって、
    固形分とバインダー成分とを含む原料液を連続式インクジェット装置の1又は2以上のインクジェットノズル内に供給し、
    供給された前記原料液を、前記インクジェットノズルから途切れない状態で吐出しながら、吐出後に一定間隔で液滴として分離し、
    この分離した液滴を乾燥させる乾燥手段内に当該液滴を導入し、
    導入された液滴を乾燥させて平均粒径が20μm〜500μmである造粒物を得ることを特徴とする造粒方法。
  2. 前記インクジェットノズルから吐出されて形成された液滴をモニタリングしながら、所望の液滴径が形成されるように原料液の吐出状態を制御することを特徴とする請求項1に記載の造粒方法。
  3. 2以上の前記インクジェットノズルを用いる場合において、各インクジェットノズルから形成される液滴の平均液滴径をノズル毎に設定することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の造粒方法。
  4. 前記2以上のインクジェットノズルを用いる場合において、各インクジェットノズルから形成される液滴の成分をノズル毎に変更して液滴を形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の造粒方法。
  5. 前記原料液の固形分は無機物又は有機物から選ばれる1以上の成分を含むことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の造粒方法。
  6. 前記原料液は、500メッシュ以上のフィルタで粗大粒子を除去して用いることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の造粒方法。
  7. 前記原料液は粘度が500mPa・s以下として用いることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれかに記載の造粒方法。
  8. 前記原料液に増粘剤を添加して用いることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれかに記載の造粒方法。
  9. 前記インクジェットノズルのノズル径は、形成する粒子の粒径に応じて20μm〜120μmの範囲のものを選択使用することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかに記載の造粒方法。
  10. 前記インクジェットノズルからの原料液の吐出は、原料液を前記インクジェットノズル内に一定の速度で連続的に供給し、供給原料液圧により吐出させるものであり、 且つ、インクジェットノズル内を通過する原料液流には圧力変動を加えることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかに記載の造粒方法。
  11. 前記原料液流に加える圧力変動は、ピエゾ素子を用い、このピエゾ素子に印加する電圧を制御することにより圧力を変動させることで行うことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載の造粒方法。
  12. 請求項1〜請求項11のいずれかに記載の造粒方法を行うための造粒装置であって、
    貯液部、吐出部、乾燥部、捕集部を連設して配置し、
    前記貯液部に蓄えられた原料液は、吐出部に備える1又は2以上のインクジェットノズルに連続供給され、
    当該インクジェットノズル内の原料液は、吐出部に備える連続式インクジェット装置によってインクジェットノズルから吐出して液滴を形成し、前記液滴は乾燥部内に導入され、 その導入された液滴が乾燥部内で乾燥し造粒物となり、その造粒物を捕集部に捕集することを特徴とする造粒装置。
  13. 前記インクジェットノズルのノズル径は、形成する粒子の粒径に応じて20μm〜120μmの範囲のものを選択使用することを特徴とする請求項12に記載の造粒装置。
  14. 製造される造粒物の平均粒径が20μm〜500μmの間の所望の平均粒径となるように前記連続式インクジェット装置で原料液の吐出状態を制御することを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の造粒装置。
  15. 形成した前記液滴の液滴径を測定する測定手段を備え、この測定手段による測定結果に応じて所定の液滴径となるように原料液の吐出状態を制御することを特徴とする請求項12〜請求項14のいずれかに記載の造粒装置。
  16. 前記2以上のインクジェットノズルを用いる場合において、前記連続式インクジェット装置は、インクジェットノズル毎に形成すべき液滴の形状及び/又は成分に応じて原料液の吐出状態を制御することを特徴とする請求項12〜請求項15のいずれかに記載の造粒装置。
  17. 前記貯液部は原料液を撹拌して混合状態を保つ撹拌機構を備え、この撹拌機構によって原料液に含まれる固形分が原料液中に均一分散した状態を保つことを特徴とする請求項12〜請求項16のいずれかに記載の造粒装置。
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