JP5032015B2 - 中和されたアルキルアリールヒドロペルオキシド酸開裂生成物からの脱塩方法 - Google Patents
中和されたアルキルアリールヒドロペルオキシド酸開裂生成物からの脱塩方法 Download PDFInfo
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m以上になった場合、配管内で液の落下による油水の混合・分散が起こり、油水分離性が悪化する。油水分離の改善には、水との親和性の低いアルキルベンゼン等の炭化水素の添加が有効であるが、添加した炭化水素は蒸留分離により系内を循環させるため、炭化水素添加量の増加は、エネルギー使用量の増加を意味する。
(1)アルキルアリールヒドロペルオキシドの酸開裂生成物に、アルカリ水を混合し、得られた油水の混合液から水相を分離除去して、酸触媒が中和、除去された酸開裂生成物を得る。
(2)前記酸触媒を除去した酸開裂生成物が、フェノール類、ケトン、アルキルベンゼン、アルケニルベンゼン、タール、5〜15重量%の水、1〜500重量ppmの中和塩を含んでいる。
(3)前記酸除去した酸開裂生成物を第1蒸留塔に供給し、蒸留塔塔頂よりケトン類を主成分とする留分抜き出し、蒸留塔塔底よりフェノール類、アルキルベンゼン、アルケニルベンゼン、水、タールを主成分とする留分に分離する。
(4)前記第1蒸留塔の、酸開裂生成物の供給段より下部で、かつ塔底より上部のトレイより、油水の2液相を形成する液相を抜き出して第1デカンターに送り、その第1デカンターで2液相の油水分離を行い、分離した油相を第1蒸留塔の前記抜き出し段の1段下のトレイに供給し、分離した水相を系外に排出する。
(5)前記2液相を形成する液相の前記第1デカンターへの送液は、2液相抜き出し段の液面とデカンターの液面の高低差を利用して行い、かつ2液相抜き出し段とデカンターを接続する配管内での液面と、前記蒸留塔の2液相抜き出し段の液面の高低差が0〜3mで
ある。
[1]反応器でケトンを気化させ、この気化したケトンを冷却用熱交換器で凝縮させた後、反応器に戻す方法
[2]反応器から反応液の一部を抜き出し、冷却用熱交換器で冷却した後、反応器に戻す方法
[3]多管式反応器を使用し、冷却水を反応器のチューブに通水する方法
から、選択される。
置の油相のpHは4〜7、水相のpHは7〜10の範囲に維持することが好ましい。
量は、第1蒸留塔より抜き出される2液相の流量の0.1〜20重量%であることが好ましく、1〜15重量%であると更に好ましい。混合量が20重量%以下であれば液混合時の機械的強度が小さく、2液の微分散化に起因する油水分離性の悪化が抑制されるため有利である。第1デカンターの水相を送液する配管9と、第1蒸留塔から2液相を第1デカンターに送液する配管6の接続個所は、配管6の液相部分とするのが好ましい。これは、配管9からの流体を、配管6の気相部に供給した場合、供給される流体の落下による液の攪拌作用をもたらし、第1デカンターでの油水分離性が悪化するためである。
第1蒸留塔と第1デカンターは配管6で接続されていて、この配管6には配管内の液レベルが確認できるレベル計が設置されている。このレベル計は、配管6の液面と、第1蒸留塔の2液相抜き出し段の高低差が0〜3mの範囲であることを確認するために使用される。配管6の液レベルを維持するために、第1デカンターを加圧する。これは、配管16より加圧された不活性ガスを、第1デカンターに供給することで行う。尚、不活性ガスは窒素であることが好ましい。
い。配管6に合流させる水相は、冷却用熱交換器にて30〜90℃温度を低下させると、油水分離性はより改善されるため好ましい。また、配管14より、第2蒸留塔の塔頂液の油相の一部を、配管6に合流させても良い。
クメンの酸化反応より得られたクメンヒドロペルオキシドを、硫酸を用いて酸開裂反応を行った。この酸開裂反応生成液を、ナトリュウムフェノラート水を用いて、硫酸を中和し、その後油水分離を行った。油水分離後の酸開裂生成物の組成は、以下のようになった。
アセトン 39.1重量%
クメン 10.1重量%
α−メチルスチレン 1.9重量%
フェノール 34.9重量%
水 12.0重量%
ナトリュウム 50重量ppm
その他 2.0重量%
第1デカンターで油水分離を行い、油相を第1蒸留塔の塔底から6段目のトレイに供給した。
このとき、第1蒸留塔塔底液のナトリュウム量は、第1蒸留塔供給液と比較して92.9%減少し、また第2蒸留塔リボイラーに供給する蒸気量は15.6t/hであった。
比較例1方法から、第2デカンターから第1デカンターへの油相の送液を停止する変更を行った。このとき、第1デカンターでの油水分離性の悪化により、第1蒸留塔に戻される油相に水相が同伴し、その結果第1蒸留塔内の温度の著しい変動が発生し、運転制御不能の状態になった。
このとき、第1蒸留塔塔底液のナトリュウム量は、第1蒸留塔供給液と比較して97.8%減少し、また第2蒸留塔リボイラーに供給する蒸気量は15.0t/hであった。比較例1よりもナトリュウム除去率は4.9%改善され、第2蒸留塔の蒸気使用量は0.6t/h減少した。
このとき、第1蒸留塔塔底液のナトリュウム量は、第1蒸留塔供給液と比較して96.2%減少し、また第2蒸留塔リボイラーに供給する蒸気量は14.4t/hであった。比較例1よりもナトリュウム除去率は3.3%改善され、第2蒸留塔の蒸気使用量は1.2t/h減少した。
このとき、第1蒸留塔塔底液のナトリュウム量は、第1蒸留塔供給液と比較して93.6%減少し、また第2蒸留塔リボイラーに供給する蒸気量は14.0t/hであった。比較例1よりもナトリュウム除去率は0.7%改善され、第2蒸留塔の蒸気使用量は1.6t/h減少した。
このとき、第1蒸留塔塔底液のナトリュウム量は、第1蒸留塔供給液と比較して95.2%減少し、また第2蒸留塔リボイラーに供給する蒸気量は14.0t/hであった。比較例1よりもナトリュウム除去率は2.3%改善され、第2蒸留塔の蒸気使用量は1.6t/h減少した。
2 中和用アルカリ水を送液する配管
3 中和装置の水相を除去する配管
4 中和装置の油相を第1蒸留塔に供給する配管
5 第1蒸留塔塔頂液を抜き出す配管
6 第1蒸留塔から2液相を抜き出す配管
7 第1デカンターの油相を第1蒸留塔に供給する配管
8 第1デカンターの水相を除去する配管
9 第1デカンターの水相の一部を循環させる配管
10 第1蒸留塔塔底液を第2蒸留塔に供給する配管
11 第2蒸留塔塔頂液を第2デカンターに送液する配管
12 第2デカンターの水相を除去する配管
13 第2デカンターの油相を抜き出す配管
14 第2デカンターの油相の一部を第1デカンターに循環させる配管
15 第2蒸留塔塔底液を抜き出す配管
16 加圧用不活性ガスを第1デカンターに供給する配管
Claims (17)
- アルキルアリールヒドロペルオキシドを酸開裂して得られる生成物から、フェノール類、ケトン類を製造する方法において、
(1)アルキルアリールヒドロペルオキシドの酸開裂生成物に、アルカリ水を混合し、得られた油水の混合液から水相を分離除去して、酸触媒が中和、除去された酸開裂生成物を得ること
(2)前記酸触媒を除去した酸開裂生成物が、フェノール類、ケトン、アルキルベンゼン、アルケニルベンゼン、タール、5〜15重量%の水、1〜500重量ppmの中和塩を含んでいること
(3)前記酸除去した酸開裂生成物を第1蒸留塔に供給し、蒸留塔塔頂よりケトン類を主成分とする留分を抜き出し、蒸留塔塔底よりフェノール類、アルキルベンゼン、アルケニルベンゼン、水、タールを主成分とする留分に分離すること
(4)前記第1蒸留塔の、酸開裂生成物の供給段より下部で、かつ塔底より上部のトレイより、油水の2液相を形成する液相を抜き出して第1デカンターに送り、その第1デカンターで2液相の油水分離を行うこと
(5)分離した油相を第1蒸留塔の前記抜き出し段より下のトレイに供給し、分離した水相の一部を抜き取り、その温度を30℃以上90℃以下低下させた後、前記第1蒸留等より抜き出された2液相に添加し、前記水相の残部を系外に排出すること
(6)前記2液相を形成する液相の前記第1デカンターへの送液は、2液相抜き出し段の液面とデカンターの液面の高低差を利用して行い、かつ2液相抜き出し段とデカンターを接続する配管内での液面と、前記蒸留塔の2液相抜き出し段の液面の高低差が0〜3mであること
からなる、アルキルアリールヒドロペルオキシドの酸開裂生成物の脱塩方法。 - アルキルアリールヒドロペルオキシドが、クメンヒドロペルオキシド、エチルベンゼンヒドロペルオキシド、セカンダリーブチルベンゼンヒドロペルオキシド、サイメンヒドロペルオキシド、ジイソプロピルベンゼンヒドロペルオキシドを1つ以上含んでいる請求項1記載の方法。
- アルキルアリールヒドロペルオキシドがクメンヒドロペルオキシド、フェノール類がフェノール、ケトンがアセトンである請求項1記載の方法。
- アルキルアリールヒドロペルオキシドの酸開裂に用いる触媒が硫酸である請求項1記載の方法。
- 酸触媒の中和に用いるアルカリ水が、水酸化ナトリュウム水溶液、ナトリュウムフェノキシド類水溶液を1つ以上含んでいる請求項1記載の方法。
- 前記中和塩が硫酸ナトリュウムである請求項1記載の方法。
- 前記第1蒸留塔の抜き出し段よりも、前記第1デカンターの圧力を高くしてデカンターへの送液配管内の液レベルを調整する請求項1記載の方法。
- 前記第1蒸留塔の抜き出し段と前記第1デカンターの圧力差が0.005〜0.2MPaの範囲である請求項7記載の方法。
- 前記2液相に添加する水相の流量が、前記第1蒸留塔より抜き出された2液相の流量の0.1〜20重量%である請求項1記載の方法。
- 前記第1蒸留塔の塔底液を第2蒸留塔に供給し、第2蒸留塔塔頂よりアルキルベンゼン類、アルケニルベンゼン類、水を主成分とする留分を抜き出し、その塔頂留分を第2デカンターで油水分離を行い、得られた油相の一部を前記第1蒸留塔より抜き出された2液相に添加する請求項1記載の方法。
- 前記2液相に添加する第2デカンターの油相の流量が、前記第1蒸留塔より抜き出された2液相の流量の0.1〜10重量%の範囲である請求項10記載の方法。
- 5〜15重量%の水と1〜500重量ppmの中和塩を含んでいるアルキルアリールヒドロペルオキシドの酸開裂生成物からケトンを分離する第1蒸留塔に、酸開裂生成物の供給段より下部で/かつ塔底より上部のトレイから2液相を抜き出す配管があり、前記配管が2液相を油水分離するための第1デカンターに接続され、かつ前記配管に配管内の液レベルを確認するためのレベル計があり、このレベル計で2液相抜き出し段と第1デカンターを接続する配管内の液面の高低差を確認し、その高低差が0〜3mとするように第1デカンターの圧力を調整する装置を用いる方法であって、
前記第1デカンターで油水分離された水相の一部を抜き取り、冷却用熱交換器にてその温度を30℃以上90℃以下低下させ、前記第1蒸留塔より抜き出された2液相に、前記第1蒸留塔より抜き出された2液相の流量の0.1〜20重量%添加する、アルキルアリールヒドロペルオキシドの酸開裂生成物の脱塩を行う方法。 - 前記第1デカンターの気相部に加圧された不活性ガスを供給して、デカンターの圧力を調整する請求項12記載の方法。
- 前記第1蒸留塔の抜き出し段と前記第1デカンターの圧力差が0.005〜0.2MPaの範囲である請求項12記載の方法。
- 前記第1デカンターで分離した水相を前記第1蒸留塔より抜き出された2液相へ添加するときに、その位置が第1蒸留塔から第1デカンターに2液相を供給する配管の液相部分である請求項12記載の方法。
- 前記第1蒸留塔の塔底液を第2蒸留塔に供給し、第2蒸留塔塔頂よりアルキルベンゼン類、アルケニルベンゼン類、水を主成分とする留分を抜き出し、その塔頂留分を第2デカンターで油水分離を行い、得られた油相の一部を前記第1蒸留塔より抜き出された2液相へ、前記第1蒸留塔より抜き出された2液相の流量の0.1〜10重量%添加する請求項12記載の方法。
- 前記第2デカンターで分離した油相を前記第1蒸留塔より抜き出された2液相へ添加するときに、その位置が第1蒸留塔から第1デカンターに2液相を供給する配管の液相部分である請求項16記載の方法。
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