JP3177420B2 - 4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの製造方法 - Google Patents
4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの製造方法Info
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- Y02P20/00—Technologies relating to chemical industry
- Y02P20/50—Improvements relating to the production of bulk chemicals
- Y02P20/52—Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts
Landscapes
- Organic Low-Molecular-Weight Compounds And Preparation Thereof (AREA)
- Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、感熱記録紙及び感
圧記録紙用の発色剤製造の中間体として有用な4−メト
キシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの
工業的に改良された製造方法に関する。
圧記録紙用の発色剤製造の中間体として有用な4−メト
キシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの
工業的に改良された製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】発明者
らは、4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフ
ェニルアミン(以下DMDPAと略する)を製造する方
法として2,6−ジメチルシクロヘキサノンと2−メチ
ル−4−メトキシアニリンとを反応させて製造する方法
(特開60−192949号公報)を提案し、さらにこ
の方法は4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジ
フェニルアミンの選択率が悪いなどの欠点があるので発
生する水素及び水を反応系外に放出しつつ反応させるこ
とで選択率を向上させた改良方法を提案した(特願平6
−27880号)。
らは、4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフ
ェニルアミン(以下DMDPAと略する)を製造する方
法として2,6−ジメチルシクロヘキサノンと2−メチ
ル−4−メトキシアニリンとを反応させて製造する方法
(特開60−192949号公報)を提案し、さらにこ
の方法は4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジ
フェニルアミンの選択率が悪いなどの欠点があるので発
生する水素及び水を反応系外に放出しつつ反応させるこ
とで選択率を向上させた改良方法を提案した(特願平6
−27880号)。
【0003】しかし、この方法を工業化すべくスケール
アップの検討を行った所、期待されたDMDPAの選択
率が得られなかった。選択率の低下はDMDPAの得量
低下のみならず、DMDPAの純度低下を生じ最終製品
である感熱記録紙及び感圧記録紙用の発色剤の品質低下
をもたらす恐れがある。
アップの検討を行った所、期待されたDMDPAの選択
率が得られなかった。選択率の低下はDMDPAの得量
低下のみならず、DMDPAの純度低下を生じ最終製品
である感熱記録紙及び感圧記録紙用の発色剤の品質低下
をもたらす恐れがある。
【0004】特に、主要副生物の4−メトキシ−2,
2’−ジメチルジフェニルアニリン(以下、K体と略す
る)はDMDPAと沸点が近似しており、蒸留によるD
MDPAとの分離は困難であるのでK体生成は直接DM
DPAの品質低下につながる。そこで工業化した場合に
予想される選択率の低下に対応する手段を確立する必要
がある。
2’−ジメチルジフェニルアニリン(以下、K体と略す
る)はDMDPAと沸点が近似しており、蒸留によるD
MDPAとの分離は困難であるのでK体生成は直接DM
DPAの品質低下につながる。そこで工業化した場合に
予想される選択率の低下に対応する手段を確立する必要
がある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは先に提案し
た特願平6−27880号の方法のスケールアップにつ
いて検討を行い攪拌の影響が大きいことを見いだし本発
明を完成するに至った。
た特願平6−27880号の方法のスケールアップにつ
いて検討を行い攪拌の影響が大きいことを見いだし本発
明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明は脱水素触媒の存在下、2,
6−ジメチルシクロへキサノンと2−メチル−4−メト
キシアニリンとを発生する水素及び水を反応系外に放出
しつつ加熱反応させるDMDPAの製造方法において、
単位体積当りの攪拌動力を2.1〜10kw/m3で反
応を行うことを特徴とする方法である。
6−ジメチルシクロへキサノンと2−メチル−4−メト
キシアニリンとを発生する水素及び水を反応系外に放出
しつつ加熱反応させるDMDPAの製造方法において、
単位体積当りの攪拌動力を2.1〜10kw/m3で反
応を行うことを特徴とする方法である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明方法は、酸触媒存在下、2
−メチル−4−メトキシアニリンと2,6−ジメチルシ
クロヘキサノンとの脱水反応により中間体であるシッフ
塩基が生成し、続いて、中間体を脱水素触媒により接触
的に脱水素し、それにより生成した水素をシッフ塩基生
成時に副成した水とともに反応系外に放出しながら目的
生成物である4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチ
ルジフェニルアミンを得るものである。
−メチル−4−メトキシアニリンと2,6−ジメチルシ
クロヘキサノンとの脱水反応により中間体であるシッフ
塩基が生成し、続いて、中間体を脱水素触媒により接触
的に脱水素し、それにより生成した水素をシッフ塩基生
成時に副成した水とともに反応系外に放出しながら目的
生成物である4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチ
ルジフェニルアミンを得るものである。
【0008】本発明方法に使用される2,6−ジメチル
シクロヘキサノンは公知の水素化触媒を用いて2,6−
ジメチルフェノールを水素化することにより容易に製造
できる。
シクロヘキサノンは公知の水素化触媒を用いて2,6−
ジメチルフェノールを水素化することにより容易に製造
できる。
【0009】本発明に使用される2−メチル−4−メト
キシアニリンは公知の水素化触媒を用いてo−ニトロト
ルエンを酸性条件下、メタノールを溶媒として用いて水
素化することにより容易に製造できる。
キシアニリンは公知の水素化触媒を用いてo−ニトロト
ルエンを酸性条件下、メタノールを溶媒として用いて水
素化することにより容易に製造できる。
【0010】本発明方法に使用される2,6−ジメチル
シクロヘキサノンと2−メチル−4−メトキシアニリン
のモル比については、2,6−ジメチルシクロヘキサノ
ンと2−メチル−4−メトキシアニリンのモル比が2:
1〜1:2の間にあれば良いが、好ましくは2:1〜
1:1、さらに好ましくは1.1:1〜1.5:1が良
く、これ以下でもこれ以上でも選択率が低下し好ましく
ない。
シクロヘキサノンと2−メチル−4−メトキシアニリン
のモル比については、2,6−ジメチルシクロヘキサノ
ンと2−メチル−4−メトキシアニリンのモル比が2:
1〜1:2の間にあれば良いが、好ましくは2:1〜
1:1、さらに好ましくは1.1:1〜1.5:1が良
く、これ以下でもこれ以上でも選択率が低下し好ましく
ない。
【0011】本発明の方法において使用される触媒は、
通常好適な水素化還元反応触媒は脱水素反応にも適する
ためこれらの水素化還元反応触媒を使用する。具体的に
は、ラネーニッケル、還元ニッケルもしくはニッケル担
体触媒、ラネーコバルト、還元コバルトもしくはコバル
ト担体触媒、ラネー銅、還元銅もしくは銅担体触媒、周
期律表第8族の貴金属触媒もしくはその貴金属が担体と
して、炭素、アルミナ、炭酸バリウム等に担持された触
媒、レニウム−炭素等のレニウム触媒、銅−クロム酸化
物触媒等が挙げられる。これらの触媒のうち、好ましく
はパラジウムであり、特に炭素、アルミナ及びマグネシ
ア等の担体に担持されたパラジウム担持触媒が好まし
い。その使用量は2−メチル−4−メトキシアニリン1
グラム原子に対し金属原子として通常0.001〜0.
2グラム原子、好ましくは0.004〜0.1グラム原
子が良い。
通常好適な水素化還元反応触媒は脱水素反応にも適する
ためこれらの水素化還元反応触媒を使用する。具体的に
は、ラネーニッケル、還元ニッケルもしくはニッケル担
体触媒、ラネーコバルト、還元コバルトもしくはコバル
ト担体触媒、ラネー銅、還元銅もしくは銅担体触媒、周
期律表第8族の貴金属触媒もしくはその貴金属が担体と
して、炭素、アルミナ、炭酸バリウム等に担持された触
媒、レニウム−炭素等のレニウム触媒、銅−クロム酸化
物触媒等が挙げられる。これらの触媒のうち、好ましく
はパラジウムであり、特に炭素、アルミナ及びマグネシ
ア等の担体に担持されたパラジウム担持触媒が好まし
い。その使用量は2−メチル−4−メトキシアニリン1
グラム原子に対し金属原子として通常0.001〜0.
2グラム原子、好ましくは0.004〜0.1グラム原
子が良い。
【0012】本発明方法では、有機アミン化合物、アル
カリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物を助触媒とし
て添加するのが好ましい。有機アミン化合物としては、
ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリア
ミン、トリブチルアミン、ジアミルアミン、トリアミル
アミン、テトラエチレンペンタミン、トリエタノールア
ミン、アミノエチルエタノールアミン等が挙げられる
が、中でもペンタメチルジエチレントリアミンが好まし
い。アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭
酸塩、重炭酸塩等が使用できる。具体的には、水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられるが、中
でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。
これら助触媒は1種又は2種以上を混合して用いる。こ
れら助触媒は前記脱水素触媒とは別に反応系へ添加して
も良く、又貴金属担持触媒を製造した後、溶液から追加
担持することによって調整した触媒を使用しても良い。
この助触媒の使用量は触媒金属に対し、2重量%以上あ
れば良く、好ましくは5〜150重量%である。これよ
り多くなると反応速度が低下傾向にあり、逆に少ない場
合は収率が悪化する傾向にある。特に、これら塩基は2
−メチル−4−メトキシアニリンの脱アンモニア反応の
抑制効果が認められる。
カリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物を助触媒とし
て添加するのが好ましい。有機アミン化合物としては、
ジエチレントリアミン、ペンタメチルジエチレントリア
ミン、トリブチルアミン、ジアミルアミン、トリアミル
アミン、テトラエチレンペンタミン、トリエタノールア
ミン、アミノエチルエタノールアミン等が挙げられる
が、中でもペンタメチルジエチレントリアミンが好まし
い。アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物とし
ては、アルカリ金属、アルカリ土類金属の水酸化物、炭
酸塩、重炭酸塩等が使用できる。具体的には、水酸化リ
チウム、水酸化ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化
カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭
酸カリウム、炭酸水素ナトリウム等が挙げられるが、中
でも水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムが好ましい。
これら助触媒は1種又は2種以上を混合して用いる。こ
れら助触媒は前記脱水素触媒とは別に反応系へ添加して
も良く、又貴金属担持触媒を製造した後、溶液から追加
担持することによって調整した触媒を使用しても良い。
この助触媒の使用量は触媒金属に対し、2重量%以上あ
れば良く、好ましくは5〜150重量%である。これよ
り多くなると反応速度が低下傾向にあり、逆に少ない場
合は収率が悪化する傾向にある。特に、これら塩基は2
−メチル−4−メトキシアニリンの脱アンモニア反応の
抑制効果が認められる。
【0013】本発明方法において、2−メチル−4−メ
トキシアニリンの装入方法は、一括装入でも滴下装入で
も特に問題はないが、好ましくは滴下装入であり、滴下
することで、高選択率、高収率で4−メトキシ−2,
2’,6’−トリメチルジフェニルアミンが得られる。
その際、2,6−ジメチルシクロヘキサノンとの混合液
として滴下するのが収率及び操作性の面からも有利であ
る。
トキシアニリンの装入方法は、一括装入でも滴下装入で
も特に問題はないが、好ましくは滴下装入であり、滴下
することで、高選択率、高収率で4−メトキシ−2,
2’,6’−トリメチルジフェニルアミンが得られる。
その際、2,6−ジメチルシクロヘキサノンとの混合液
として滴下するのが収率及び操作性の面からも有利であ
る。
【0014】反応温度は通常150〜300℃で、好ま
しくは180〜250℃の範囲で選ばれる。これ以下だ
と反応速度が遅くなり、これ以上だと選択率が悪くなり
好ましくない。
しくは180〜250℃の範囲で選ばれる。これ以下だ
と反応速度が遅くなり、これ以上だと選択率が悪くなり
好ましくない。
【0015】本発明方法において反応圧は特に限定され
るものではないが、常圧〜4.0kg/cm2Gが好ま
しい。これ以上の反応圧では生成物の選択率が低下し、
好ましくない。加圧下においては、その反応圧は、その
反応に不活性な気体を封入しても良いし、基質、溶媒の
蒸気圧をもってしても良い。
るものではないが、常圧〜4.0kg/cm2Gが好ま
しい。これ以上の反応圧では生成物の選択率が低下し、
好ましくない。加圧下においては、その反応圧は、その
反応に不活性な気体を封入しても良いし、基質、溶媒の
蒸気圧をもってしても良い。
【0016】本発明の方法に使用される反応溶媒は、技
術上公知の溶媒であれば特に問題はないが、2,6−ジ
メチルフェノールを使用すればその一部を2,6−ジメ
チルシクロヘキサノンに変換させてから2,6−ジメチ
ルシクロヘキサノンの2,6−ジメチルフェノール溶液
としてそのまま本発明方法に使用できるので特に好まし
い。
術上公知の溶媒であれば特に問題はないが、2,6−ジ
メチルフェノールを使用すればその一部を2,6−ジメ
チルシクロヘキサノンに変換させてから2,6−ジメチ
ルシクロヘキサノンの2,6−ジメチルフェノール溶液
としてそのまま本発明方法に使用できるので特に好まし
い。
【0017】本発明方法において、脱水反応時に生成す
る水は、ベンゼン、トルエン等の非水系の共沸脱水剤を
用いて生成水を反応系外へ取り除くと脱水速度が大きく
なり、且つ、高収率で目的物が得られ好ましい。その
際、系内含水量を1%以下とすればよいが、好ましくは
0.3%以下、特に好ましくは0.1%以下に保ちなが
ら反応することにより高収率で目的物を得ることができ
る。
る水は、ベンゼン、トルエン等の非水系の共沸脱水剤を
用いて生成水を反応系外へ取り除くと脱水速度が大きく
なり、且つ、高収率で目的物が得られ好ましい。その
際、系内含水量を1%以下とすればよいが、好ましくは
0.3%以下、特に好ましくは0.1%以下に保ちなが
ら反応することにより高収率で目的物を得ることができ
る。
【0018】本発明方法において、脱水反応の触媒とし
て酸を使用しなくても本発明は効果を発揮するので特に
問題はないが、酸を使用すると脱水速度が大きくなるの
で好ましい。酸触媒の具体的な例としては、塩酸、硫
酸、硝酸、燐酸などの無機酸、酢酸、フェニル酢酸、ト
リフロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクチル酸、ラウ
リン酸、蟻酸、安息香酸及びその核置換体、フェニルス
ルホン酸及びその核置換体、シュウ酸、フタル酸(o
−,m−,p−)、トリメリット酸、ピロメリット酸な
どの有機酸が挙げられるが特に限定されるものではな
い。好ましくは安息香酸、オクチル酸、トリフロロ酢
酸、フタル酸、ピロメリット酸等の有機酸が好ましい。
その使用量は4−メトキシ−2−メチルアニリンに対し
0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%であ
る。
て酸を使用しなくても本発明は効果を発揮するので特に
問題はないが、酸を使用すると脱水速度が大きくなるの
で好ましい。酸触媒の具体的な例としては、塩酸、硫
酸、硝酸、燐酸などの無機酸、酢酸、フェニル酢酸、ト
リフロロ酢酸、プロピオン酸、酪酸、オクチル酸、ラウ
リン酸、蟻酸、安息香酸及びその核置換体、フェニルス
ルホン酸及びその核置換体、シュウ酸、フタル酸(o
−,m−,p−)、トリメリット酸、ピロメリット酸な
どの有機酸が挙げられるが特に限定されるものではな
い。好ましくは安息香酸、オクチル酸、トリフロロ酢
酸、フタル酸、ピロメリット酸等の有機酸が好ましい。
その使用量は4−メトキシ−2−メチルアニリンに対し
0.5〜20重量%、好ましくは1〜10重量%であ
る。
【0019】生成した4−メトキシ−2,2’,6’−
トリメチルジフェニルアミンは反応終了後の混合物を蒸
留、晶析、抽出等の常法に従って処理することにより得
られる。例えば反応終了液をろ過し、触媒を分離、回収
する。この回収触媒は再使用できる。ろ液を濃縮し、溶
媒を回収する。その溶媒はそのまま反応系へ戻す。釜内
の4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニ
ルアミンは蒸留、晶析等により精製分離する。
トリメチルジフェニルアミンは反応終了後の混合物を蒸
留、晶析、抽出等の常法に従って処理することにより得
られる。例えば反応終了液をろ過し、触媒を分離、回収
する。この回収触媒は再使用できる。ろ液を濃縮し、溶
媒を回収する。その溶媒はそのまま反応系へ戻す。釜内
の4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニ
ルアミンは蒸留、晶析等により精製分離する。
【0020】本発明において攪拌動力は、2.1〜10
kw/m3であればよいが好ましくは3.1〜10kw
/m3、さらに好ましくは6.0〜10kw/m3で反応
することにより高収率で目的物を得ることができる。
kw/m3であればよいが好ましくは3.1〜10kw
/m3、さらに好ましくは6.0〜10kw/m3で反応
することにより高収率で目的物を得ることができる。
【0021】本発明における攪拌の影響は次のように推
察される。攪拌動力が2.1kw/m3より少ない場合
には反応中に発生する水素及び水の系外への放出される
速度が遅くなり、反応系内に生成した水素が滞留される
状態になり、この水素により中間体である2,6−ジメ
チルシクロヘキサノンと2−メチル−4−メトキシアニ
リンとのシッフ塩基が接触的に水素化され、目的物以外
の副生成物ができ、その結果、DMDPAの選択率が低
下することになる。つまり、生成する水素及び水を速や
かに反応系外に放出するように攪拌動力を2.1kw/
m3以上に上げる必要があった。攪拌動力は大きい程そ
の効果は上がるが10kw/m3を越えると効果の差は
少なく、経済性の面から好ましくない。
察される。攪拌動力が2.1kw/m3より少ない場合
には反応中に発生する水素及び水の系外への放出される
速度が遅くなり、反応系内に生成した水素が滞留される
状態になり、この水素により中間体である2,6−ジメ
チルシクロヘキサノンと2−メチル−4−メトキシアニ
リンとのシッフ塩基が接触的に水素化され、目的物以外
の副生成物ができ、その結果、DMDPAの選択率が低
下することになる。つまり、生成する水素及び水を速や
かに反応系外に放出するように攪拌動力を2.1kw/
m3以上に上げる必要があった。攪拌動力は大きい程そ
の効果は上がるが10kw/m3を越えると効果の差は
少なく、経済性の面から好ましくない。
【0022】
【実施例】以下、本発明の方法を実施例、及び比較例に
よって具体的に説明する。 実施例1 脱水精留塔2、凝縮器3、分液槽4、及び圧力調整弁5
を備えたステンレス製200リットル反応機1を反応装
置として準備した。反応機1内で生成した蒸気を脱水精
留塔2を経て凝縮器3で凝縮させ、分液槽4に受入れ
後、分液された上層部の一部を反応機内1に戻す仕組み
となっている。また、反応系内の圧力を一定に保つため
に分液槽上部に圧力調整弁5を取り付けてある。この反
応機1に予め2,6−ジメチルフェノール44.0k
g、イソフタル酸0.48kg、日本エヌ・イー・ケム
キャット社製5%Pd/C(含水率50重量%)5.2
7kg、トルエン8.0kgを仕込み、分液槽(50リ
ットル)4にはトルエンを反応機に戻す管7まで装入し
た。系内のガス相を窒素で置換し、内圧を1.0kg/
cm2Gにした後、攪拌350rpm(攪拌動力2.1
kw/m3)を始め、徐々に昇温した。圧力1.0kg
/cm2Gでは反応液の沸点が200℃であった。20
0℃まで反応液温度を上げ、圧力を1.0kg/cm2
Gに保ったところに滴下装置6内の4−メトキシ−2−
メチルアニリン32.9kg(0.24mol)、2,
6−ジメチルシクロヘキサノン37.0kg(0.26
mol)の混合溶液を15時間かけて滴下した。4−メ
トキシ−2−メチルアニリンの滴下開始と共に生成した
水蒸気は脱水精留塔2よりトルエンと共に留出を始め、
凝縮器3で冷却され、分液槽4でトルエンと水とを分離
した。分液槽4では水は下層側に、トルエンは上層側に
ためられ、上層部のトルエンの一部は分液槽4よりオー
バーフローして反応器1内に戻る。同時に発生した水素
は内圧が1.0kg/cm2Gに保たれるように圧力調
整弁5を用いて反応系外へ連続的に放出した。滴下終了
後、さらにこの温度及び内圧を保ったまま2時間攪拌を
続けた。次いで反応機1を冷却し、反応混合液より5%
Pd/Cをろ別した。ろ液の一部を採取しガスクロマト
グラフィーにより分析したところ、4−メトキシ−2−
メチルアニリンの転化率は100%、DMDPAの選択
率は90.0%、K体の選択率は1.7%であった。
よって具体的に説明する。 実施例1 脱水精留塔2、凝縮器3、分液槽4、及び圧力調整弁5
を備えたステンレス製200リットル反応機1を反応装
置として準備した。反応機1内で生成した蒸気を脱水精
留塔2を経て凝縮器3で凝縮させ、分液槽4に受入れ
後、分液された上層部の一部を反応機内1に戻す仕組み
となっている。また、反応系内の圧力を一定に保つため
に分液槽上部に圧力調整弁5を取り付けてある。この反
応機1に予め2,6−ジメチルフェノール44.0k
g、イソフタル酸0.48kg、日本エヌ・イー・ケム
キャット社製5%Pd/C(含水率50重量%)5.2
7kg、トルエン8.0kgを仕込み、分液槽(50リ
ットル)4にはトルエンを反応機に戻す管7まで装入し
た。系内のガス相を窒素で置換し、内圧を1.0kg/
cm2Gにした後、攪拌350rpm(攪拌動力2.1
kw/m3)を始め、徐々に昇温した。圧力1.0kg
/cm2Gでは反応液の沸点が200℃であった。20
0℃まで反応液温度を上げ、圧力を1.0kg/cm2
Gに保ったところに滴下装置6内の4−メトキシ−2−
メチルアニリン32.9kg(0.24mol)、2,
6−ジメチルシクロヘキサノン37.0kg(0.26
mol)の混合溶液を15時間かけて滴下した。4−メ
トキシ−2−メチルアニリンの滴下開始と共に生成した
水蒸気は脱水精留塔2よりトルエンと共に留出を始め、
凝縮器3で冷却され、分液槽4でトルエンと水とを分離
した。分液槽4では水は下層側に、トルエンは上層側に
ためられ、上層部のトルエンの一部は分液槽4よりオー
バーフローして反応器1内に戻る。同時に発生した水素
は内圧が1.0kg/cm2Gに保たれるように圧力調
整弁5を用いて反応系外へ連続的に放出した。滴下終了
後、さらにこの温度及び内圧を保ったまま2時間攪拌を
続けた。次いで反応機1を冷却し、反応混合液より5%
Pd/Cをろ別した。ろ液の一部を採取しガスクロマト
グラフィーにより分析したところ、4−メトキシ−2−
メチルアニリンの転化率は100%、DMDPAの選択
率は90.0%、K体の選択率は1.7%であった。
【0023】実施例2 攪拌を400rpm(攪拌動力3.1kw/m3)にし
て実施例1と同様に反応、処理した。実施例1と同様に
分析したところDMDPAの選択率は93.0%、K体
の選択率は痕跡量であった。
て実施例1と同様に反応、処理した。実施例1と同様に
分析したところDMDPAの選択率は93.0%、K体
の選択率は痕跡量であった。
【0024】実施例3 攪拌を500rpm(攪拌動力6.0kw/m3)にし
て実施例1と同様に反応、処理した。実施例1と同様に
分析したところDMDPAの選択率は95.0%、K体
の選択率は痕跡量であった。
て実施例1と同様に反応、処理した。実施例1と同様に
分析したところDMDPAの選択率は95.0%、K体
の選択率は痕跡量であった。
【0025】比較例1 攪拌を300rpm(攪拌動力1.3kw/m3)にし
て実施例1と同様に反応、処理した。実施例1と同様に
分析したところDMDPAの選択率は85.0%、K体
の選択率は6.8%であった。
て実施例1と同様に反応、処理した。実施例1と同様に
分析したところDMDPAの選択率は85.0%、K体
の選択率は6.8%であった。
【0026】比較例2 攪拌を250rpm(攪拌動力0.8kw/m3)にし
て実施例1と同様に反応、処理した。実施例1と同様に
分析したところDMDPAの選択率は79.0%、K体
の選択率は11.6%であった。これらの実施例及び比
較例の結果を表1に示す。
て実施例1と同様に反応、処理した。実施例1と同様に
分析したところDMDPAの選択率は79.0%、K体
の選択率は11.6%であった。これらの実施例及び比
較例の結果を表1に示す。
【0027】
【表1】
【0028】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では達成され
なかった工業化スケールにおける4−メトキシ−2,
2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの高収率、高
選択率での製造ができるようになり本発明の意義は大き
い。
なかった工業化スケールにおける4−メトキシ−2,
2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの高収率、高
選択率での製造ができるようになり本発明の意義は大き
い。
【図1】本発明を行うための設備の模式図である。
1.反応機 2.脱水精留塔 3.凝縮器 4.分液槽 5.圧力調整弁 6.滴下槽 7.トルエンの戻し管
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−193949(JP,A) 特開 平1−224343(JP,A) 特開 昭61−218560(JP,A) 特開 昭61−100529(JP,A) 特開 昭62−149648(JP,A) 特開 平7−173111(JP,A) 特開 平7−89906(JP,A) 特開 平7−48325(JP,A) 特公 昭63−19503(JP,B2) 欧州特許出願公開535484(EP,A 2) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) C07C 217/92 B01J 23/44 C07C 213/02 C07B 61/00 300
Claims (1)
- 【請求項1】 脱水素触媒の存在下、2,6−ジメチル
シクロへキサノンと2−メチル−4−メトキシアニリン
とを発生する水素及び水を反応系外に放出しつつ加熱反
応させる4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジ
フェニルアミンの製造方法において、単位体積当たりの
攪拌動力を2.1〜10kw/m3で反応を行うことを
特徴とする4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチル
ジフェニルアミンの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23120095A JP3177420B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP23120095A JP3177420B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの製造方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0971555A JPH0971555A (ja) | 1997-03-18 |
JP3177420B2 true JP3177420B2 (ja) | 2001-06-18 |
Family
ID=16919919
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP23120095A Expired - Fee Related JP3177420B2 (ja) | 1995-09-08 | 1995-09-08 | 4−メトキシ−2,2’,6’−トリメチルジフェニルアミンの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3177420B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
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JP7352955B2 (ja) * | 2019-11-29 | 2023-09-29 | 国立研究開発法人産業技術総合研究所 | フェノール類から芳香族アミン化合物を製造する方法 |
-
1995
- 1995-09-08 JP JP23120095A patent/JP3177420B2/ja not_active Expired - Fee Related
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JPH0971555A (ja) | 1997-03-18 |
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