JP4059531B2 - アルコキシナフタレンカルボン酸の製造方法 - Google Patents

アルコキシナフタレンカルボン酸の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
この発明は、アルコキシナフタレンカルボン酸の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
アルコキシナフタレンカルボン酸またはアルコキシナフタレンカルボン酸の脱アルキル化生成物であるヒドロキシナフタレンカルボン酸は、医薬、農薬、樹脂、電子材料等の中間原料として広い用途がある。
ヒドロキシナフタレンカルボン酸の製造方法としては、ナフトールアルカリ金属塩と二酸化炭素とを加圧下に加熱して合成するナフトールのコルベシュミット法が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記ナフトールのコルベシュミット法によるヒドロキシナフタレンカルボン酸の製造は、合成可能な異性体が限定されるという問題点を有している。
【0004】
この発明の目的は、ナフトールのコルベシュミット法で合成困難なヒドロキシナフタレンカルボン酸の前駆体であるアルコキシナフタレンカルボン酸の製造方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明者らはナフトールのコルベシュミット法で合成困難なアルコキシナフタレンカルボン酸を合成する方法について鋭意試験研究を行った。その結果、アルカリ金属を触媒とするアルキルベンゼンへの1,3−ブタジエンの付加反応は知られているが、アルコキシアルキルベンゼンへの1,3−ブタジエンの付加反応は知られていない。アルコキシアルキルベンゼンへの1,3−ブタジエンの付加反応は、従来公知のベンジル水素を有するアルキル芳香族炭化水素のアルキル基へのオレフィンの付加反応として捉えることができ、アルコキシアルキルベンゼンに1,3−ブタジエンを付加したのち、環化することによってアルコキシアルキルテトラリンが、また、アルコキシアルキルテトラリンを脱水素することによってアルコキシアルキルナフタレンが、さらにアルコキシアルキルナフタレンを酸化することによってアルコキシナフタレンカルボン酸が得られることを究明し、この発明に到達した。
【0006】
すなわち本願の第1発明は、アルカリ金属触媒の存在下、多環芳香族化合物を助触媒として併用、アルコキシアルキルベンゼンに1,3-ブタジエンを付加させる工程、反応混合物を酸触媒で環化させてアルコキシアルキルテトラリンとする工程からなることを特徴とするアルコキシアルキルテトラリンの製造方法である。
【0007】
また、本願の第2発明は、アルカリ金属触媒の存在下、多環芳香族化合物を助触媒として併用、アルコキシアルキルベンゼンに1,3-ブタジエンを付加させる工程、反応混合物を酸触媒で環化させてアルコキシアルキルテトラリンとする工程、アルコキシアルキルテトラリンを脱水素してアルコキシアルキルナフタレンとする工程からなることを特徴とするアルコキシアルキルナフタレンの製造方法である。なお、アルコキシアルキルテトラリンを液相で脱水素してアルコキシアルキルナフタレンとすることができる。
【0008】
さらに、本願の第4発明は、アルカリ金属触媒の存在下、多環芳香族化合物を助触媒として併用、アルコキシアルキルベンゼンに1,3-ブタジエンを付加させる工程、反応混合物を酸触媒で環化させてアルコキシアルキルテトラリンとする工程、アルコキシアルキルテトラリンを脱水素してアルコキシアルキルナフタレンとする工程、アルコキシアルキルナフタレンを酸化する工程からなることを特徴とするとアルコキシナフタレンカルボン酸の製造方法である。なお、アルコキシアルキルテトラリンを液相で脱水素してアルコキシアルキルナフタレンとすることができる。
【0009】
【作用】
この発明方法の出発原料であるアルコキシアルキルベンゼンは、目的とするアルコキシナフタレンカルボン酸に対応するもので、下記の一般式で示される。
【0010】
【化1】
Figure 0004059531
【0011】
ここに、 R1:ベンジル水素を持つアルキル基、
2〜R6:Hまたはアルキル基、フェニル基、アルコキシ基、フェノキシ基、ただし、R2,6の少なくとも一方はH、R2〜R6の少なくともひとつはアルコキシ基、フェノキシ基である。
【0012】
アルコキシアルキルベンゼンへの1,3−ブタジエンの付加反応は、アニオンで進行するので活性種を発生させる化合物は全て触媒となり得る。一般にはアルカリ金属触媒、例えばナトリウム、カリウム、セシウム等を単体もしくは合金あるいは有機金属化合物等の形で使用する。換言すれば使用するアルカリ金属触媒は、アニオン付加触媒として有効な形であればどのようなものでもよい。
【0013】
この際、助触媒として多環芳香族化合物、特にナフタレン、ビフェニル、フェナントレン、アントラセン、ピレンおよびこれらのアルキル誘導体を併用すれば、選択率が向上する。したがって、アルカリ金属触媒と多環芳香族化合物とで予め化合物を形成せしめたのち使用することもできる。
またこの付加反応は、鎖状ないしは環状エーテル化合物を共存させることによって、触媒が溶解して操作性が向上するばかりでなく、低温での反応も可能になるなどの利点がある。鎖状ないしは環状エーテル化合物としては、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンが挙げられるが、特にテトラヒドロフランが有効である。
【0014】
アルコキシアルキルベンゼンへの1,3−ブタジエンの付加反応は、反応の形態、特に添加順序は問わないが、1,3−ブタジエンをアルコキシアルキルベンゼンの液中または気相中に若干の減圧、常圧ないしは加圧下で送入する方法が一般的である。付加反応は、回分、半回分あるいは連続方式で行う。
付加反応における反応温度は、低いと反応速度が遅くなり、また、逆に高すぎると選択率が低下するので、常温から140℃程度までが特に適当である。しかし触媒の種類によっては、140℃以上で反応させる場合もある。
付加反応には、溶媒を用いることもできるが、その場合には上記理由からエーテル類を溶媒とするのが有利である。
【0015】
アルカリ金属触媒の使用量は、助触媒や溶媒の有無によって異なるが、アルコキシアルキルベンゼンに対し、0.5〜30mol%程度が適当である。アルカリ金属触媒は、多過ぎても問題ないが、経済的に不利であり、少な過ぎると選択性の低下を招くことになる。
助触媒の使用量は、アルカリ金属触媒に対し5〜50mol%で、これより多くても問題とならないが、少な過ぎると効果は落ちる。
1,3−ブタジエンの使用量は、多すぎると2付加物が生成し易く、また、少ないと生産性に問題が生じる。したがって、アルコキシアルキルベンゼン1molに対し0.3〜0.7mol程度が妥当である。
【0016】
アルコキシアルキルベンゼンと1,3−ブタジエンの付加反応では、1:1付加物を合成したのち、触媒を分離する。この1:1付加物の不飽和結合の位置は、未確認であるが1位または2位であると考えられる。テトラヒドロフラン等の溶媒を併用している場合は、この段階で溶媒を分離回収したのち、再利用することもできる。
付加反応の次工程である環化反応に用いる1:1付加物は、必ずしも高純度品である必要はなく、未反応のアルコキシアルキルベンゼンや、溶媒、助触媒が混入していてもよい。
【0017】
環化反応に使用する触媒としては、オレフィンによる芳香核へのアルキル化触媒、例えば無水塩化アルミニウム、三弗化硼素、弗化水素、燐酸、硫酸やシリカ/アルミナ、ゼオライト等の固体酸を使用することができる。
環化触媒の添加量は、1:1付加物に対し、0.5〜20重量%で、この際溶媒を併用することができる。環化反応は、ほとんど定量的に進行しアルコキシアルキルテトラリンがする。環化反応終了後は、環化反応生成物から環化触媒を除去した後、または反応生成物であるアルコキシアルキルテトラリンを蒸留等の手段によって分離したのち、脱水素反応に供する。
【0018】
アルコキシアルキルテトラリンの脱水素反応は、原理上シクロヘキサン、シクロヘキセン、テトラヒドロナフタレン等の脱水素芳香族化の手法を応用することができる。例えば、アルコキシアルキルテトラリンを貴金属等の脱水素触媒の存在下に加熱することにより、またはイオウ、DDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノベンゾキノン)等により、芳香族化することにより実施できるが、貴金属等の脱水素触媒の存在下に脱水素する方法が通常好ましい。しかし、アルコキシアルキルテトラリンの脱水素反応は、極めて困難であり、より活性な触媒と適切な反応条件設定が必要である。
脱水素反応で使用する触媒としては、貴金属、特にパラジウム、白金やルテニウムを含むものが適しており、通常活性炭、アルミナ等に担持せしめたのち使用に供するのが一般的である。
脱水素反応に供するアルコキシアルキルテトラリンは、触媒毒が混入しない限り必ずしも高純度品である必要はない。
【0019】
アルコキシアルキルテトラリンの脱水素反応は、減圧、常圧あるいは加圧下、回分、半回分あるいは連続方式で、気相ないし液相で実施する。気相で脱水素反応させる場合は、白金、パラジウム、ルテニウム等を、例えば、活性炭、アルミナ等の担体に担持させた触媒を使用する。シリカ/アルミナ等の固体酸触媒に貴金属触媒を担持させて用いた場合は、1:1付加物の環化と脱水素とを同時に行うこともできる。
上記脱水素反応における反応温度は、液相の場合、例えば150〜300℃である。反応温度が高すぎると水素化分解を起こすので好ましくない。この場合、水素受容性化合物、例えば、芳香族ニトロ化合物を共存させることおよび/または溶媒を使用することは、反応に良好な結果をもたらす。
脱水素反応で使用する溶媒としては、脱水素反応を阻害せず、150〜300℃の沸点を有するものが一般的に使用でき、例えば、アルカン、シクロアルカン、アルキル芳香族化合物や出発原料であるアルコキシアルキルベンゼンを用いることができる。
脱水素反応生成物であるアルコキシアルキルナフタレンと未反応アルコキシアルキルテトラリンとの分離は、冷却晶析、再結晶あるいは蒸留等の一般的な分離技術を適用することができる。
分離回収される未反応アルコキシアルキルテトラリンは、再度脱水素工程に循環することによって、収率を高めることができる。
前記脱水素反応における副反応は、活性な触媒を使用して適切な反応条件を設定すば、無視できる程度であり、反応アルコキシアルキルテトラリン当りでは高い収率でアルコキシアルキルナフタレンを得ることができる。
【0020】
アルコキシアルキルナフタレンは、そのままあるいは必要により異性化(置換位置)後酸化に付される。
アルコキシアルキルナフタレンの酸化は、液相空気酸化、液相薬品酸化、気相接触空気酸化のいずれの方法でも実施できる。例えば、液相空気酸化の場合は、酢酸等の低級脂肪酸またはこれらの無水物単独あるいは混合物を溶媒として使用し、コバルト、マンガン、セリウム、銅、パラジウム、ルテニウム等の重金属の1種または2種以上の触媒を用いて反応温度80〜200℃で実施することができる。この場合、触媒系に臭素もしくは臭素化合物を共存させると、反応速度、収率を著しく向上させることができる。また、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属を共存させると、反応収率の点から有効である。
さらに、アルコキシアルキルナフタレンの酸化反応は、反応の途中まで温和な条件、例えば50〜120℃の反応温度で液相空気酸化したのち、液相薬品酸化、例えば、硝酸酸化、クロム酸酸化、過酸化水素酸化、過酢酸酸化等を行うことによって、薬品使用量の削減を図ることができる。
酸化反応により生成するアルコキシナフタレンカルボン酸の精製は、酸析、晶析、抽出等のこれらの化合物に特有の公知手段によって実施することができる。
【0021】
【実施例】
実施例1
容量300mlの電磁撹拌機付フラスコにo−メトキシトルエン1.0mol、金属ナトリウム0.021mol、金属カリウム0.014mol、助触媒としてナフタレン0.003molを仕込み、撹拌しながら110℃に加熱して触媒を分散させた後、1,3−ブタジエンを0.1mol/Hrの吹込み速度で6時間通気し付加反応せしめた。反応終了後、水を添加して触媒を失活せしめたのち分離し、反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、消費o−メトキシトルエンに対し64%の収率で5−(2−メトキシフェニル)−2−ペンテンが生成していた。
【0022】
反応混合物にp−トルエンスルホン酸20gを添加し、撹拌しながら160℃で5時間保持して環化反応せしめた。反応終了後、p−トルエンスルホン酸と等モルの苛性ソーダ水溶液で中和して分液し、ほぼ定量的に5−メトキシ−1−メチルテトラリンを得た。
反応混合物は、理論段数50段の蒸留塔を用い、還流比20、圧力50mmHgで蒸留し、90%の収率で5−メトキシ−1−メチルテトラリンを回収した。
【0023】
回収した5−メトキシ−1−メチルテトラリン100gを三つ口フラスコに仕込み、10%のルテニウムを担持した活性炭10gを混合し、マントルヒーターで加熱して還流下で、ガラス製撹拌羽根で撹拌しながら100時間、発生するベーパーをリービッヒコンデンサーで還流しながら脱水素反応させたところ、転化率50%、収率80%(対消費5−メトキシ−1−メチルテトラリン)で5−メトキシ−1−メチルナフタレンが生成していた。
この反応生成物を濾過して、ルテニウム坦持活性炭触媒を除いた後、理論段数50段の蒸留塔を用い、還流比20、圧力50mmHgで蒸留し、93%の回収率で純度99.0%の5−メトキシ−1−メチルナフタレンを得た。
チタン製の容量500mlのオートクレーブに上記5−メトキシ−1−メチルナフタレン5gと酢酸コバルト、酢酸マンガン、臭化カリウムを各々0.015mol、酢酸230gを仕込み、電気炉で140℃まで加熱し、電磁撹拌機で撹拌しながら、反応圧力30kg/cm2Gの条件下、空気を1l/minで吹込みながら酸素の吸収がなくなるまで液相空気酸化を行ない、収率54%で5−メトキシ−1−ナフタレンカルボン酸を得た。
【0024】
実施例2
容量300mlの電磁撹拌機付フラスコにo−メトキシトルエン1.0mol、金属ナトリウム0.021mol、金属カリウム0.014mol、助触媒としてナフタレン0.003mol仕込み、撹拌しながら110℃に加熱して触媒を分散させた後、60℃で溶媒としてテトラヒドロフラン100mlを仕込み、1,3−ブタジエンを0.1mol/Hrの吹込み速度で6時間通気し付加反応せしめた。反応終了後、水を添加して触媒を失活せしめたのち分離し、反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、消費o−メトキシトルエンに対し60%の収率で5−(2−メトキシフェニル)−2−ペンテンが生成していた。
【0025】
実施例3
容量300mlの電磁撹拌機付フラスコにp−メトキシトルエン1.0mol、金属ナトリウム0.021mol、金属カリウム0.014mol、助触媒としてナフタレン0.003molを仕込み、撹拌しながら110℃に加熱して触媒を分散させた後、1,3−ブタジエンを0.1mol/Hrの吹込み速度で6時間通気し付加反応せしめた。反応終了後、水を添加して触媒を失活せしめたのち分離し、反応生成物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、消費p−メトキシトルエンに対し61%の収率で5−(4−メトキシフェニル)−2−ペンテンが生成していた。
【0026】
反応混合物にp−トルエンスルホン酸20gを添加し、撹拌しながら160℃で5時間保持して環化反応せしめた。反応終了後、p−トルエンスルホン酸と等モルの苛性ソーダ水溶液で中和して分液し、ほぼ定量的に7−メトキシ−1−メチルテトラリンを得た。
反応混合物は、理論段数50段の蒸留塔を用い、還流比20、圧力50mmHgで蒸留し、90%の収率で7−メトキシ−1−メチルテトラリンを回収した。
【0027】
回収した7−メトキシ−1−メチルテトラリン100gを三つ口フラスコに仕込み、10%のルテニウムを担持した活性炭10gを混合し、マントルヒーターで加熱して還流下でガラス製撹拌羽根で撹拌しながら100時間、発生するベーパーをリービッヒコンデンサーで還流しながら、脱水素反応させたところ、転化率50%、収率80%(対消費7−メトキシ−1−メチルテトラリン)で7−メトキシ−1−メチルナフタレンが生成していた。
この反応生成物を濾過してルテニウム担持活性炭触媒を除いたのち、理論段数50段の蒸留塔を用い、還流比20、圧力50mmHgで蒸留し、94%の回収率で純度99.0%の7−メトキシ−1−メチルナフタレンを得た。
チタン製の容量500mlのオートクレーブに上記7−メトキシ−1−メチルナフタレン5gと酢酸コバルト、酢酸マンガン、臭化カリウムを各々0.015mol、酢酸230gを仕込み、電気炉で140℃まで加熱し、電磁撹拌機で撹拌しながら、反応圧力30kg/cm2Gの条件下、空気を1l/minで吹込みながら酸素の吸収がなくなるまで液相空気酸化を行ない、収率65%で7−メトキシ−1ナフタレンカルボン酸を得た。
【0028】
実施例4
容量300mlの電磁撹拌機付きフラスコに、m−メトキシトルエン3.0mol、金属ナトリウム0.063mol、金属カリウム0.042mol、助触媒としてナフタレン0.009molを仕込み、撹拌しながら110℃に加熱して触媒を分散させた後、1,3−ブタジェンを0.3mol/Hrの吹込み速度で6時間通気し付加反応をせしめた。反応終了後、水を添加して触媒を失活した後分離し、反応成生物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、消費m−メトキシトルエンに対し79%の収率で5−(3−メトキシフェニル)−2−ペンテンが生成していた。
【0029】
反応混合物にシリカ/アルミナ触媒(日揮化学(株)N633L)12gを添加し、撹拌しながら200℃で3時間保持して環化した。反応成生物をガスクロマトグラフィーにより分析した結果、48%の収率で6−メトキシ−1−メチルテトラリンが生成していた。
反応生成物を濾過してシリカ/アルミナ触媒を除いた後、理論段数50段の蒸留塔を使用し、還流比20、圧力50mmHgで蒸留し、85%(対消費6−メトキシ−1−メチルテトラリン)の回収率で6−メトキシ−1−メチルテトラリンを得た。
【0030】
回収した6−メトキシ−1−メチルテトラリン100gを三ツ口フラスコに仕込み、溶媒としてm−メトキシトルエン100g及び、10%のパラジウムを坦持した活性炭2gを混合し、マントルヒーターで加熱して200℃の温度でガラス製撹拌羽根で撹拌しながら24時間、発生するベーパーをリービッヒコンデンサーで還流しながら脱水素反応させたところ転化率92%、収率90%(対消費6−メトキシ−1−メチルテトラリン)で6−メトキシ−1−メチルナフタレンが生成していた。
この反応生成物を濾過してパラジウム担持活性炭触媒を除いた後、単蒸留で溶媒のm−メトキシトルエンを留去して6−メトキシ−1−メチルナフタレンを得た。
チタン製の容量500mlのオートクレーブに上記6−メトキシ−1−メチルナフタレン20gと酢酸コバルトを0.020mol、臭化カリウムを0.015mol、酢酸230gを仕込み、電気炉で100℃まで加熱し、電磁撹拌機で撹拌しながら、反応圧力30Kg/cm2Gの条件下、空気を11/minで吹込みながら酸素の吸収がなくなるまで液相空気酸化を行ない、収率82%で6−メトキシ−1−ナフタレンカルボン酸を得た。
【0031】
実施例5
実施例4で回収した6−メトキシ−1−メチルテトラリン100gを三ツ口フラスコに仕込み、溶媒として1,2,4−トリメチルベンゼン100gと、10%のパラジウムを坦持した活性炭2gを混合し、マントルヒーターで加熱して200℃の温度でガラス製撹拌羽根で撹拌しながら24時間、発生するベーパーをリービッヒコンデンサーで還流しながら脱水素反応させたところ転化率92%、収率90%(対消費6−メトキシ−1−メチルテトラリン)で6−メトキシ−1−メチルナフタレンを得た。
【0032】
【発明の効果】
以上述べたとおり、この発明方法によれば、ナフトールのコルベシュミット法では合成困難なアルコキシナフタレンカルボン酸を製造することができ、医薬、農薬、樹脂、電子材料などの中間原料として安定供給することができる。また、中間工程でアルコキシアルキルテトラリン、アルコキシアルキルナフタレンを得ることができる。

Claims (6)

  1. アルカリ金属触媒の存在下、多環芳香族化合物を助触媒として併用、アルコキシアルキルベンゼンに1,3-ブタジエンを付加させる工程、反応混合物を酸触媒で環化させてアルコキシアルキルテトラリンとする工程からなることを特徴とするアルコキシアルキルテトラリンの製造方法。
  2. アルカリ金属触媒の存在下、多環芳香族化合物を助触媒として併用、アルコキシアルキルベンゼンに1,3-ブタジエンを付加させる工程、反応混合物を酸触媒で環化させてアルコキシアルキルテトラリンとする工程、アルコキシアルキルテトラリンを脱水素してアルコキシアルキルナフタレンとする工程からなることを特徴とするアルコキシアルキルナフタレンの製造方法。
  3. アルコキシアルキルテトラリンを液相で脱水素してアルコキシアルキルナフタレンとする工程からなることを特徴とする請求項2に記載のアルコキシアルキルナフタレンの製造方法。
  4. アルカリ金属触媒の存在下、多環芳香族化合物を助触媒として併用、アルコキシアルキルベンゼンに1,3-ブタジエンを付加させる工程、反応混合物を酸触媒で環化させてアルコキシアルキルテトラリンとする工程、アルコキシアルキルテトラリンを脱水素してアルコキシアルキルナフタレンとする工程、アルコキシアルキルナフタレンを酸化する工程からなることを特徴とするアルコキシナフタレンカルボン酸の製造方法。
  5. アルコキシアルキルテトラリンを液相で脱水素してアルコキシアルキルナフタレンとする工程からなることを特徴とする請求項4に記載のアルコキシナフタレンカルボン酸の製造方法。
  6. 助触媒としての多環芳香族化合物は、ナフタレン、ビフェニル、フェナントレン、アントラセン、ピレンおよびこれらのアルキル誘導体のいずれかであることを特徴とする請求項 1 、請求項 2 または請求項 4 に記載のアルコキシナフタレンカルボン酸の製造方法。
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