JP5031602B2 - 窒化珪素質焼結体および切削工具ならびに切削加工装置、切削方法 - Google Patents

窒化珪素質焼結体および切削工具ならびに切削加工装置、切削方法 Download PDF

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Description

本発明は、耐摩耗性、耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体および切削工具ならびに切削加工装置、切削方法に関する。
エンジニアリングセラミックスとして知られている窒化珪素やサイアロンは、高強度、高温高強度、高靭性である上、耐熱性、耐熱衝撃性、耐摩耗性および耐酸化性に優れることから、特にガスタービンやターボロータ等の熱機関用部品や切削工具として応用が進められている。
このような部品のうち、特に切削工具では強い衝撃が加わることがあるため、耐衝撃性や耐チッピング性を改善した材料が求められている。
これまでに、窒化珪素質焼結体の機械的、熱的特性を高めるために、窒化珪素質焼結体の粒界を、金属成分として希土類元素と珪素とアルミニウムと微量のマグネシウム、さらに酸素と窒素からなる非晶質の粒界相により構成し、それらの粒界相成分を特定の組成範囲に制御することで上記目的を達成しようとする試みがなされている(例えば、特許文献1を参照)。
尚、窒化珪素結晶粒子の粒界を構成する希土類元素としてイットリウムを用いたものが知られている(特許文献2参照)。
特許第3454993号公報 特許第2997899号公報
しかしながら、特許文献1に記載の窒化珪素質焼結体においては、粒界相成分が多いため耐摩耗性および耐チッピング性に劣るといった問題があった。
本発明の課題は、耐摩耗性、耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体および切削工具ならびに切削加工装置、切削方法を提供することである。
本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素結晶を主体とする結晶相と、ランタン、アルミニウム、マグネシウム、珪素および酸素を含み、前記窒化珪素結晶の粒界にある非晶質の粒界相とを有するとともに、ランタン以外の希土類元素を含まないか、またはランタン以外の希土類元素を酸化物換算量で焼結体全量中に0.03質量%以下で含有する窒化珪素質焼結体であって、該窒化珪素質焼結体が前記ランタンを酸化物換算量で0.1質量%以上、前記アルミニウムを酸化物換算量で0.05〜0.6質量%、前記マグネシウムを酸化物換算量で0.3質量%以上、酸素を2.5質量%以下含有するとともに、前記ランタンの酸化物換算量、前記アルミニウムの酸化物換算量および前記マグネシウムの酸化物換算量の合計が3.5質量%以下であることを特徴とする。
このような窒化珪素質焼結体では、焼結助剤の量が少ない場合であっても耐摩耗性および耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体を提供することができる。
また、本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素結晶粒子が針状であり、該窒化珪素結晶粒子のうち長径10μm以上の窒化珪素結晶粒子の数が、0.15mmの視野中に6個以下であることを特徴とする。このような窒化珪素質焼結体では、耐チッピング性をさらに向上することができる。
さらに、本発明の窒化珪素質焼結体は、周期表第6族元素の珪化物を0.1〜2質量%の割合で含有していることを特徴とする。このような窒化珪素質焼結体では、高温強度の低下を抑制し、さらに耐摩耗性を向上することができる。周期表第6族元素がタングステンであることが望ましい。本発明の窒化珪素質焼結体では、相対密度が99%以上であることが望ましい。
さらに、本発明の窒化珪素質焼結体は、窒化珪素結晶を94.5質量%以上含有することを特徴とする。このような窒化珪素質焼結体では、窒化珪素結晶が有する優れた特性を十分に発揮できる。
本発明の切削工具は、上記の窒化珪素質焼結体からなることを特徴とする。このような切削工具では、耐摩耗性および耐チッピング性に優れ、寿命の長い切削工具を提供できる。
本発明の切削加工装置は、上記の切削工具と、該切削工具により加工する被切削材を保持するための保持台とを具備することを特徴とする。このような切削加工装置では、切削工具を長期間取り替えることなく切削することができる。
本発明の切削方法は、上記の切削工具を用いて被切削材を切削することを特徴とする。このような切削方法では、切削工具の耐摩耗性及び耐チッピング性が向上することに伴い、被切削材の寸法精度を向上できるとともに、切削工具を長期間取り替えることなく切削することができる。
本発明の窒化珪素質焼結体では、焼結助剤の量が少ない場合であっても耐摩耗性および耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体を提供することができる。
本発明の切削工具では、切削工具が上記窒化珪素質焼結体からなるため、耐摩耗性および耐チッピング性に優れ、寿命の長い切削工具を提供できる。
本発明の切削加工装置では、切削加工装置が上記切削工具を具備するので、切削工具を長期間取り替えることなく切削することができる。
本発明の切削方法では、上記切削工具を用いて被切削材を切削するので、切削工具の耐摩耗性及び耐チッピング性が向上することに伴い、被切削材の寸法精度を向上できるとともに、切削工具を長期間取り替えることなく切削することができる。
本実施形態の窒化珪素質焼結体は、主結晶である窒化珪素結晶と粒界相とを有する組織を有し、窒化珪素は主にβ−窒化珪素結晶相からなる。なお、このβ―窒化珪素結晶相に、わずかにアルミニウムが固溶してβ−サイアロンを形成していてもよい。窒化珪素結晶の他に、Ti、Hf、Zr等の窒化物、炭化物、炭窒化物、W、Mo等の珪化物のうち少なくとも1種が存在する場合がある。窒化珪素結晶は、全量中に94.5質量%以上、さらには96.5質量%以上含有することが望ましい。これにより窒化珪素結晶の優れた特性を十分に発揮させることができる。
[組成について]
本実施形態によれば、粒界相は、ランタン、アルミニウム、マグネシウム、珪素及び酸素を含有するものである。この粒界相を構成する元素の組成は、焼結体全量中、ランタンの酸化物(La)換算量が0.1質量%以上、アルミニウムの酸化物(Al)換算量が0.05〜0.6質量%、マグネシウムの酸化物(MgO)換算量が0.3質量%以上、酸素が2.5質量%以下であり、ランタンの酸化物換算量、アルミニウムの酸化物換算量、マグネシウムの酸化物換算量の合計が3.5質量%以下である。
ランタンの酸化物換算量は、焼結体の緻密化、窒化珪素結晶粒子の針状化のために、特に0.5質量%以上、さらには1質量%以上含むことが望ましい。アルミニウムの酸化物換算量は、焼結助剤の液相生成温度の低温化、焼結体の緻密化のために、特には0.2質量%以上含み、焼結体の耐酸化性の低下による耐摩耗性の低下抑制のために、特に0.2〜0.55質量%、さらには0.3〜0.5質量%が望ましい。マグネシウムの酸化物換算量は、焼結助剤の液相生成温度の低温化、焼結体の緻密化のために、特に0.35質量%以上、さらには0.4質量%以上含むことが望ましい。
窒化珪素質焼結体に含まれる酸素量は、焼結助剤の液相生成温度の低温化、焼結体の緻密化を保つとともに、耐酸化性および耐摩耗性を改善した窒化珪素質焼結体を実現するために2.5質量%以下が良い。特に、2.2質量%以下、さらには2質量%以下とすることが望ましい。
このような組成とすることで、焼結助剤の量が少ない場合であっても窒化珪素質焼結体を緻密化することができる。周期表第3族元素酸化物の中でも酸化ランタン(La)は、シリカ(SiO)との共晶温度が、他の第3族元素(例えばエルビウム、イットリウム)酸化物とシリカとの共晶温度よりも低い。因みに酸化ランタンとシリカとの共晶温度が1625℃であるのに対し、酸化エルビウム(Er)とシリカとの共晶温度が1680℃であり、酸化イットリウム(Y)とシリカとの共晶温度が1660℃であり、酸化ランタンとシリカとの共晶温度が低い。尚、シリカは、窒化珪素原料中に含まれる。
共晶温度の低い酸化ランタンとシリカとの組み合わせに対して、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウムをさらに加えることにより、液相生成温度を1400℃以下に低下させることが可能となる。その結果、窒化珪素が低温で緻密化を開始し、組織の微細化を達成することができる。また、窒化珪素結晶粒子の異常粒成長を抑制することができる。よって、耐摩耗性と耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体となる。
焼結助剤として、ランタンと珪素とアルミニウムとマグネシウムとを用いた場合には、窒化珪素結晶粒子(視野0.015mmで長径が大きい方から6個の窒化珪素粒子)の平均長径を10μm以下に抑制することが可能となる。その結果、耐摩耗性に加えて、耐チッピング性を向上させることができる。
これに対し、ランタン以外の希土類元素を添加した場合には、耐チッピング性が劣るものしか得られない。
尚、ランタンの不純物として、Ce、Pr、Nd等の他の希土類元素(周期表第3族元素)が、酸化物換算で合計1質量%以下含有することがある。すなわち、焼結体全量中に、ランタン以外のCe、Pr、Nd等の他の希土類元素が0.03質量%以下含有することがある。ランタン以外の希土類元素を不純物として含有することがあるものの、酸化物換算量で焼結体全量中に酸化物換算で0.03質量%程度あっても、ランタンと珪素とアルミニウムとマグネシウムとの組合せによる特性向上を十分に発揮できる。
また、針状として存在する窒化珪素結晶粒子は、その長径が10μm以上である結晶粒子の数を、焼結体の任意断面の0.15mmの視野中で6個以下とすることが好ましい。これは、長径が10μm以上である結晶粒子の数を0.15mmの視野中で6個以下とすること、すなわち、異常粒成長した結晶粒子の数を減らすことにより、例えば窒化珪素質焼結体を切削工具として用いた時に、フライス加工のように切削時に衝撃が加わるような加工の際、粗大粒に応力が集中し、チッピングが発生するという現象が起こりにくくなるためである。また好ましくは、長径が10μm以上である結晶粒子の数を0.15mmの視野中で5個以下とすることが望ましい。さらに好ましくは、2個以下とすることが望ましい。
このように窒化珪素質焼結体中の異常粒成長した結晶粒子の数を減らすためには、できるだけ低温で焼成することが望ましい。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体に、周期表第6族元素珪化物粒子を0.1〜2質量%の割合で含有させることで、高温強度の低下を抑制することができるとともに、窒化珪素質焼結体の耐摩耗性をさらに高めることができる。なお、この周期表第6族元素珪化物粒子は、窒化珪素質焼結体の粒界相に分散して存在している。
また、周期表第6族元素珪化物として、珪化クロム、珪化モリブデン、珪化タングステンを例示できるが、微細な酸化物原料を用いて、焼成中に微細な粒子とできるという理由からことから珪化タングステンを用いることが望ましい。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、相対密度が99%以上であることが好ましい。相対密度が99%以上になると、焼結体中にボイドがほとんどなくなり、さらに耐磨耗性が向上する。更に焼結体中にボイドがほとんどなくなることにより、フライス加工のように切削時に衝撃が加わるような加工の際、ボイドに応力が集中し、チッピングするという現象が抑制されるため耐チッピング性もよくなる。
本実施形態の窒化珪素質焼結体は、常圧焼成でも相対密度99%以上に緻密化することができるが、例えば、加圧焼成することで、結晶粒子の異常粒成長を抑制するとともに、相対密度を高くすることもできる。
[組織について]
本実施形態によれば、図1に示すように、窒化珪素結晶粒子1が針状であり、該針状の窒化珪素結晶粒子1の側面同士が接触して交差するとともに、窒化珪素結晶粒子1の側面には、深さDが50nm以上の凹部3が形成されていることが望ましい。この凹部3は、交差する他の窒化珪素結晶粒子1の側面形状に対応する形状であり、この凹部3に他の窒化珪素結晶粒子1の側面が接触している。本実施形態では、凹部3に接触する他の窒化珪素結晶粒子1の側面が凹部の場合もある。
このような組織では、窒化珪素結晶粒子1の側面の深さ50nm以上の凹部3に、他の窒化珪素結晶粒子1が収容された状態となる。言い換えれば、窒化珪素結晶粒子1の側面に他の窒化珪素結晶粒子1の側面の一部が埋設された状態となり、窒化珪素結晶粒子1同士の結合力が強くなり、強度を高め、耐摩耗性、耐チッピング特性をさらに向上できる。
また、窒化珪素結晶粒子1の側面の深さ50nm以上の凹部3に、他の窒化珪素結晶粒子1の側面が収容された状態となるため、粒子1間に沿って進展しようとするクラックの偏向が大きくなる。言い換えれば、クラックの進展方向が凹部3の存在によって変更され、クラック進展を妨げることができ、強度、破壊靱性値を向上させることができ、耐摩耗性、耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体を得ることができる。
また、深さ50nm以上の凹部3を有する針状の窒化珪素結晶粒子1は、焼結体の任意断面の50μmの領域において面積比で30%以上を占めることが望ましい。これにより粒子同士の結合力が強い組織となり、粒子間に沿って進展するクラックの偏向が大きくなり、強度、破壊靱性値を向上させることができ、耐摩耗性、耐チッピング性にすぐれた窒化珪素質焼結体とすることができる。深さ50nm以上の凹部3を有する針状の窒化珪素結晶粒子1は、特には、50μmの領域において面積比で50%以上であることが望ましい。
また、焼結体の任意断面の50μmの領域において、窒化珪素結晶粒子を球状とみなした時の平均粒径が0.5μm以下であるとともに、窒化珪素結晶粒子の平均アスペクト比が5以下であることが望ましい。窒化珪素結晶粒子の平均粒径は0.3μm以下が好ましい。このような組織とすることにより、焼結体中の組織が微細になり、かつ、適度な針状の窒化珪素結晶粒子から焼結体を構成することができ、耐摩耗性、耐チッピング性をさらに向上できる。
尚、平均粒径とは、走査型電子顕微鏡(SEM)写真において窒化珪素結晶粒子の占める面積を測定して平均値を算出し、窒化珪素結晶粒子が球状と仮定し、さらにSEM写真の面で窒化珪素結晶粒子が最大断面面積を有すると仮定したときの直径に換算して、平均粒径を得ることができる。窒化珪素結晶粒子の占める面積は、例えば、画像ソフト(日本ローパー社製:ImagePro Plus)により測定できる。
本実施形態では、ランタンを用いることにより、針状の窒化珪素結晶粒子1の側面に深さ50nm以上の凹部3が形成され易くなり、この凹部3に他の針状の窒化珪素結晶粒子1の側面が接触して存在する。尚、本実施形態では、接触とは、窒化珪素結晶粒子同士の間に粒界が存在するが、その場合も含む概念である。また、凹部3の深さとは、図1に示したように、任意断面におけるTEM写真において、凹部3を挟んだ両側間に直線を引き、その直線と凹部3の最も深い部分との距離をいう。
窒化珪素結晶粒子の側面に凹部3が形成される理由は明確ではないが、ランタン、珪素、アルミニウムおよびマグネシウムを組み合わせて用いた場合、液相の生成温度が低いため、低温から緻密化が開始され、高温での粒成長が生じる温度域では窒化珪素粒子が成長する空間が少ないため、窒化珪素粒子同士が接触した状態で粒成長し、窒化珪素粒子の側面に、他の窒化珪素粒子の側面形状に対応した形状の深さ50nm以上の凹部が形成され、側面形状が凹凸になると考えている。
また、窒化珪素質焼結体は、焼結体表面から深さ0.3mmの面(以下、表層ということがある)におけるマグネシウム含有量が酸化物換算で1.3質量%以下であるとともに、焼結体表面から深さ0.3mmの面におけるマグネシウム含有量が、焼結体表面から深さ1mmの面(以下、内部ということがある)におけるマグネシウム含有量よりも少なく、かつ、焼結体表面から深さ0.3mmの面と深さ1mmの面におけるマグネシウム含有量の差が、酸化物(MgO)換算で0.5質量%以下であることが望ましい。
このような構成とすることにより、粒界相中の成分が焼結体の深さ方向に対して従来よりも均一に存在するようになり、焼結体の表層と内部とで特性差が生じ難くなり、耐摩耗性および耐チッピング性を向上できる。
焼結体表面から深さ0.3mmの面と深さ1mmの面におけるマグネシウム含有量の差が、酸化物換算量で0.5質量%以下となる理由については明確ではないが、本発明者等は、以下のように考えている。
すなわち、周期表第3族元素の中でもランタンは、シリカとの共晶温度が、他の第3族元素とシリカとの共晶温度よりも低いため、焼結助剤としてランタンと、珪素、Mg、アルミニウムを組み合わせて用いることにより、MgOの揮発が顕著になる温度よりも焼結助剤の液相生成温度を低下させることが可能となり、さらに焼結助剤の液相生成温度よりも少し高い温度で一定時間保持することにより、焼成段階でMgOの揮発が顕著になる前に低温で液相を十分に生成させることができる。
これにより、液相生成による再配列過程において、体積収縮して開気孔が低減することにより、MgOが揮発したとしても、MgOが外部に漏出することを抑制することができ、これにより表層と内部のマグネシウム(酸化物換算)の濃度差が小さくなり、さらに均質で緻密な焼結体が作製できると考えている。
表層と内部のマグネシウム含有量差は、酸化物(MgO)換算量で、0.4質量%以下であることが望ましい。
焼き肌面で最もMgOの揮発が激しいことが知られているが、上記構成を用いれば、焼き肌面と内部のマグネシウム(酸化物換算)の濃度差を小さくすることができる。尚、焼き肌面とは、焼成後に、研削等の加工を施していない面をいう。また、ランタンの酸化物換算量、アルミニウムの酸化物換算量およびマグネシウムの酸化物換算量の合計が焼結体全量中で3.5質量%以下である。
本実施形態では、表層のマグネシウム含有量を酸化物換算で1.3質量%以下とすることにより、表層におけるボイドを低減でき、切削性能を向上できる。表層のマグネシウム含有量は、酸化物換算で0.3〜0.8質量%であることが望ましい。
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、相対密度が99%以上であるとともに、焼結体表面から深さ0.3mmの面および焼結体表面から深さ1mmの面における粒界相の面積比率がそれぞれ10%以下であることが望ましい。
焼結体表面から深さ0.3mmの面および焼結体表面から深さ1mmの面における粒界相の面積比率は、焼結体表面から深さ0.3mmの面および焼結体表面から深さ1mmの面をそれぞれ鏡面加工し、該鏡面加工した面を、23質量%のフッ酸と77質量%の水とからなる容器内の液に浸け、容器毎50℃に設定したウオーターバスに入れ、3時間放置して、粒界相部分をエッチングし、その面の顕微鏡写真を画像解析し、顕微鏡写真の一定面積に対する空隙の面積率を求めることにより得ることができる。
焼結体表面から深さ0.3mmの面および焼結体表面から深さ1mmの面における粒界相の面積比率がそれぞれ10%以下であるため、焼結体中の粒界相が少ないことになり、粒界相の組成差も小さくなるため、耐チッピング性を高めることができる。
以上のように、ランタンと、珪素と、アルミニウムおよびマグネシウムの組み合わせによって、粒界相の液相生成温度を顕著に下げることができる。これにより、低温での焼成が可能となり、窒化珪素結晶粒子の長さ方向への異常粒成長を抑制できるとともに、組織の微細化を達成することができる。その結果、耐摩耗性と耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体となる。
[製法について]
以下に、本実施形態の窒化珪素質焼結体の製造方法について説明する。まず、出発原料として、例えば、窒化珪素粉末と、ランタンの水酸化物(La(OH))、酸化アルミニウム(Al)、水酸化マグネシウム(Mg(OH))を準備する。また、必要に応じて、二酸化珪素(SiO)、周期表第6族元素珪化物の粉末を用意する。
窒化珪素原料は、α−窒化珪素粉末、β−窒化珪素粉末、又はこれらの混合物のいずれも用いることができる。これらの粒径は、1μm以下、特に0.5μm以下であることが好ましい。また、ランタン原料としては、酸化ランタン粉末を用いても良いが、酸化ランタンは吸湿性が高いため、水酸化ランタン等のように吸水性が低く、焼成過程で酸化ランタンとなる化合物を用いることが好ましい。ランタン原料中には、1質量%以下の他の希土類元素の不純物が存在する。
また、マグネシウム原料としては、酸化マグネシウムや炭酸マグネシウムを用いても良いが、酸化マグネシウムは吸水性が高く、炭酸マグネシウムは炭酸ガスを発生してしまうので、水酸化マグネシウムのように、吸水性が低く、炭酸ガスの発生も無く、焼成過程で酸化マグネシウムとなる化合物を用いることが好ましい。
さらに、珪素原料としては、窒化珪素原料中に含まれているものを用いる。窒化珪素粉末中に含まれる酸素が、二酸化珪素して存在していると考えて、組成を調整する。珪素原料が不足する場合には、二酸化珪素粉末を添加する。
また、アルミニウム原料としては、酸化アルミニウム粉末を用いる。
また、窒化珪素質焼結体に含有させる周期表第6族元素珪化物は、珪化タングステンを用いることが望ましく、珪化タングステン原料粉末としては、タングステンの酸化物、炭化物、珪化物、窒化物等いずれでも良いが、安価で微粉末が得られやすいことから、酸化物を用いることが望ましい。このように珪化物以外の原料を用いた場合であっても、本実施形態の窒化珪素質焼結体の組成領域では、タングステンの化合物は、容易に珪化タングステンに変化させることができる。尚、タングステンの代わりに、クロム、モリブデンを用いることができる。
これらの原料を秤量し、ボールミル等の公知の粉砕手段を用いて混合、粉砕する。この混合粉末に適宜バインダーや溶剤を添加し、スプレードライ法等により造粒する。
そして、所定の割合で調整した混合粉末を造粒した造粒粉末を、例えば金型プレス成形、鋳込み成形、押出成形、射出成形、冷間静水圧プレス成形等の公知の成形手段により任意の形状に成形する。得られた成形体を公知の焼成手段、例えば窒素雰囲気中での常圧焼成法、ガス圧力焼成法、ホットプレス法等により1650〜1850℃の温度で焼成した後、冷却して本実施形態の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
そして、焼結体表面から深さ0.3mmの面におけるマグネシウム含有量が酸化物換算で1.3質量%以下であるとともに、表層におけるマグネシウム含有量が、内部におけるマグネシウム含有量よりも少なく、かつ、焼結体表面から深さ0.3mmの面と深さ1mmの面におけるマグネシウム含有量の差を、酸化物(MgO)換算で0.5質量%以下とするには、成形体を公知の焼成手段、例えば窒素雰囲気中での常圧焼成法、ガス圧力焼成法、ホットプレス法等により焼成するに際して、1325〜1375℃で所定時間保持した後、1650〜1850℃の温度で焼成し、冷却して本発明の窒化珪素質焼結体を得ることができる。
焼結体表面から深さ0.3mmの面と深さ1mmの面におけるマグネシウム含有量の差が、酸化物換算量で0.5質量%以下となる理由については明確ではないが、本発明者等は、第3族元素の中でもランタンは、シリカとの共晶温度が、他の第3族元素とシリカとの共晶温度よりも低く、ランタンと、珪素と、アルミニウムおよびマグネシウムの組み合わせによって、MgOの揮発が顕著になる温度よりも焼結助剤の液相生成温度を低下させることが可能となり、1325〜1375℃で所定時間保持することにより、焼成段階でMgOの揮発が顕著になる前に低温で十分に液相を生成させ、液相生成による再配列過程において体積収縮による開気孔の低減により、MgOが揮発したとしても、MgOが外部に漏出することを抑制することができ、これにより表層と内部のマグネシウム(酸化物換算)の濃度差が小さくなり、従来よりも均質で緻密な焼結体が作製できると考えている。
この焼成に用いる雰囲気は、窒素を主体とするもので、窒化珪素質焼結体が焼成工程で酸化しない範囲で微量の酸素を含んでいても良いことはいうまでもない。また、窒化珪素質成形体やいわゆるとも材などから蒸発するSiOやMgOなどの成分を含んでいてもよい。
特に、積極的に窒素雰囲気中に、さらに酸素と珪素とマグネシウムとを含有させて、焼成することが望ましい。このような酸素と珪素とマグネシウムとを含有する雰囲気としては、SiOとMgOとを含有する雰囲気が挙げられる。
焼結助剤として添加する成分の内、ランタン、アルミニウムの酸化物成分は焼成中に揮発しにくいが、マグネシウム、シリコンの酸化物成分はSiOやMgOの成分として揮発しやすい。このため、積極的に雰囲気中にSiOやMgOなどの成分を含有させて、焼成することで、焼結助剤として添加したSiOあるいは窒化珪素原料に含まれるSiOの分解が抑制され、MgOの揮発が抑制される。
その結果、添加された焼結助剤が少量でも緻密な焼結体を製造することが容易となる。このような雰囲気は、例えば、SiとSiOとMgO粉末、あるいは窒化珪素粉末とMgO粉末との混合粉末を、焼成によって本実施形態の窒化珪素質焼結体となる成形体とともに焼成鉢の中に置く、敷き詰める、又は焼成によって本実施形態の窒化珪素質焼結体となる成形体の周囲に配置した後、焼成によって本実施形態の窒化珪素質焼結体となる成形体とともに焼成することでSiやMgを蒸発させて実現することができる。
更に、前述のように窒化珪素結晶粒子の粒径を小さくし、窒化珪素結晶粒子の異常粒成長を抑制するためには、低温から緻密化を開始させ、高温での粒成長を抑制することが重要であり、相対密度を上げるためには、粒成長が顕著ではない低温で緻密化を促進した上で昇温し、十分緻密化させることが重要である。一旦、窒素雰囲気中で1650℃〜1850℃で焼成した後、9.8MPa〜294MPa、1500〜1700℃で熱間静水圧焼成を施すことが望ましい。
その結果、緻密で、窒化珪素結晶粒子の異常粒成長が抑制された耐チッピング性を改善した窒化珪素質焼結体が得られる。
[切削工具について]
また、本実施形態の窒化珪素質焼結体は、工具として用いた場合には、耐摩耗性と耐チッピング性を改善した工具となり、特に、耐摩耗性と耐チッピング性とが要求される切削工具として好適に用いられる。
なお、図1に示すように、切削工具11として用いる場合には、角部に切刃13を備えた四角い板状の形態や、従来周知の形態が適用できる。
切削工具の製法は、上記窒化珪素質焼結体の製法において、成形の際に、所望の切削工具の形状に成形することで、本実施形態の窒化珪素質焼結体からなる切削工具を容易に作製することができる。また、焼成後に切削、研磨等により切削工具状に加工してもよいことは言うまでもない。さらに、本実施形態の窒化珪素質焼結体からなる切削工具の切刃の表面にTiNやTiAlN等のコーティングを施してもよい。
また、上記切削工具を用いて被切削材を切削する場合には、切削工具が耐摩耗性と耐チッピング特性を改善できるため、被切削材の寸法精度が向上し、切削工具は耐久性が改善されるため、切削工具を長期間取り替えることなく切削することができ、切削工具の取替時間を少なくすることができる。
さらに、図示しないが、上記切削工具と、該切削工具により加工する被切削材を保持するための保持台とを具備して切削加工装置を構成することができる。切削加工装置としては、旋盤のような旋削加工装置、マシニングセンタのようなフライス加工装置などが挙げられる。この場合には、切削工具を長期間取り替えることなく切削することができ、切削工具の取替回数が少なくなり、コストを低減できる。
以下、実施例を挙げて本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
出発原料として、平均粒径0.3μmの窒化珪素粉末と、平均粒径1.2μmで不純物としてCe、Pr、Ndを1質量%以下含むランタン水酸化物(La(OH))、平均粒径0.7μmのアルミニウム酸化物、平均粒径2.5μmのマグネシウム水酸化物、周期表第6族元素化合物粒子として平均粒径0.1μmのWO、MoSiの粉末を用意した。
これらの原料粉末にバインダーと溶剤を添加した後、ボールミルにて72時間、粉砕、混合した。その後、乾燥して溶剤を除去して造粒粉末を作製し、この造粒粉末を98MPaの圧力でプレス成形し、切削工具形状SNGN120412用の成形体を得た。
この成形体を脱脂後、表2に示す焼成温度で5時間、N雰囲気で常圧の条件で焼成後、1600℃、2時間、196MPaの条件で熱間静水圧焼成(HIP)して焼結体を得た。
なお、試料No.34のみは、熱間静水圧焼成(HIP)を施さず、常圧焼成のみを行った。
得られた窒化珪素質焼結体についてアルキメデス法により焼結体の密度を測定し、相対密度に換算して、表2に、その値を記載した。
また、得られた窒化珪素質焼結体の酸素量は、窒化珪素質焼結体を粉砕して粉状にして、赤外吸収法によって測定した。
また、得られた窒化珪素質焼結体の断面を鏡面加工し、鏡面加工した断面を46質量%のフッ酸中で2時間エッチング処理を行い、エッチング処理した窒化珪素質焼結体の断面の0.015mm視野の写真10枚を電子顕微鏡写真により撮影し、その中の長径が10μm以上の窒化珪素結晶粒子の数を測定した。そして、10枚の写真に存在する長径が10μm以上の窒化珪素結晶粒子の数を合計して、0.15mmの視野中の長径が10μm以上の結晶粒子の数として、表2に示した。
尚、試料No.5、24の0.015mm視野の写真1枚を電子顕微鏡写真により撮影し、それぞれの写真から長径が大きい方から窒化珪素結晶粒子6個を抽出し、それらの長径を測定し、平均して平均長径を求めたところ、Laを用いた試料No.5では平均長径が4.5μmであり、Yを用いた試料No.24では平均長径が11μmであった。
また、ICP発光分析及び酸素分析から、焼結体の組成を計算し、表1に記載した。また、算出した周期表第3族元素酸化物Re、Al3、MgOの合計量を求め、表1に記載した。この合計量および周期表第6族化合物を全体から引いた残りを窒化珪素量とした。ランタン以外の希土類元素は、酸化物換算で、全量中0.03質量%以下であった。
また、得られた焼結体の結晶相は、X線回折パターンから同定した。その結果、窒化珪素、または窒化珪素とWSi、MoSiが存在していた。
さらに得られた窒化珪素質焼結体を用いて切削工具を製作し、被切削材:FCD−450、切削速度:500m/min、送り量:0.2mm/rev、切り込み量:2.0mm、切削時間:120secの条件で旋削試験と、被切削材:FCD−450、切削速度:500m/min、送り量:0.5mm/tooth、切り込み量:2.0mm、パス回数:10パスの条件でフライス加工試験を行った。評価は、刃先のフランク摩耗量は、旋削試験後に測長器付きの顕微鏡を用いて写真撮影し、摩耗量の平均値を測定して算出した。また、刃先のチッピングは、フライス加工試験後、顕微鏡で刃先を観察して写真撮影し、チッピング領域の面積を求めた。これらの結果を表2に示す。
Figure 0005031602
Figure 0005031602
表1、2によれば、本発明の範囲内の試料No.2〜9、12〜15、18〜20、25、26、29〜34はいずれも摩耗量が小さく刃先のチッピングの少ない切削性能を示した。
これに対して、比較例の試料No.10、11、16、17、21〜24、27、28は切削試験において摩耗量、チッピング面積が増大した。また、比較例の試料No.1は試験途中で刃先が欠損した。
以上詳述した通り、本発明の窒化珪素質焼結体は、切削時の欠損や摩耗、チッピングを抑制し切削特性を向上できるとともに工具の寿命を延ばすことができる。
出発原料として、平均粒径0.3μmの窒化珪素粉末と、不純物としてCe、Pr、Ndを1質量%以下含む平均粒径1.2μmのランタン水酸化物(La(OH))、平均粒径0.7μmのアルミニウム酸化物、平均粒径2.5μmのマグネシウム水酸化物、周期表第6族元素化合物粒子として平均粒径0.1μmのWO、MoSiの粉末を用意した。
これらの原料粉末を、バインダーと溶剤とともに調合した後、ボールミルにて72時間、粉砕、混合した。その後、乾燥して溶剤を除去して造粒粉末を作製し、この造粒粉末を98MPaの圧力でプレス成形し、切削工具形状SNGN120412用の成形体を得た。
この成形体を脱脂後、表3に示す焼成温度で5時間、N雰囲気で常圧の条件で焼成後、1600℃、2時間、196MPaの条件で熱間静水圧焼成(HIP)して焼結体を得た。
得られた窒化珪素質焼結体についてアルキメデス法により焼結体の密度を測定し、相対密度に換算したところ、本発明の試料では99%以上であった。
また、得られた窒化珪素質焼結体の窒化珪素結晶粒子の平均凹部深さ、平均粒径、平均アスペクト比、深さ50nm以上の凹部を有する針状の窒化珪素結晶粒子の面積比を、透過型電子顕微鏡(TEM)により、焼結体の任意断面の50μmの領域において求めた。また、長径が10μm以上である結晶粒子の数を、実施例1と同様にして0.15mmの領域で求め、表4に記載した。
また、得られた窒化珪素質焼結体の酸素量は、窒化珪素質焼結体を粉砕して粉状にして、赤外吸収法によって測定した。
また、ICP発光分析及び酸素分析から、粒界相の組成を計算し、表3に記載した。粒界相、または粒界相と周期表6族化合物を全体から引いた残りを窒化珪素量とした。ランタン以外の希土類元素は、酸化物換算で、全量中0.03質量%以下であった。
さらに得られた窒化珪素質焼結体を用いて、図2に示すような切削工具を製作し、被切削材:FCD−450、切削速度:500m/min、送り量:0.2mm/rev、切り込み量:2.0mm、切削時間:120secの条件で旋削試験と、被切削材:FCD−450、切削速度:500m/min、送り量:0.5mm/tooth、切り込み量:2.0mm、パス回数:10パスの条件でフライス加工試験を行った。評価は、刃先のフランク摩耗量は、旋削試験後に測長器付きの顕微鏡を用いて写真撮影し、摩耗量の平均値を測定して算出した。また、刃先のチッピングは、フライス加工試験後、顕微鏡で刃先を観察して写真撮影し、チッピング領域の面積を求めた。これらの結果を表4に示す。
Figure 0005031602
Figure 0005031602
表3、4によれば、本発明の範囲内の試料No.1〜6、8〜14、18、19はいずれも摩耗量が300μm以下と小さく、刃先のチッピング面積が0.15mm以下と少ない切削性能を示した。
これに対して、粒界相量が多い比較例の試料No.7は切削試験において摩耗量が増大した。また、ランタン以外の希土類元素を用いた比較例の試料No.15〜17は、凹部深さが17μm以下であり、摩耗量が多く、またチッピング面積も大きかった。
出発原料として、平均粒径0.3μmの窒化珪素粉末と、不純物としてCe、Pr、Ndを1質量%以下含む平均粒径1.2μmのランタン水酸化物(La(OH))、平均粒径0.7μmのアルミニウム酸化物、平均粒径2.5μmのマグネシウム水酸化物を用意した。
これらの原料粉末を用いて、バインダーと溶剤とともに調合した後、ボールミルにて72時間、粉砕、混合した。その後、乾燥して溶剤を除去して造粒粉末を作製し、この造粒粉末を98MPaの圧力でプレス成形し、切削工具形状SNGN120412用の成形体を得た。
この成形体を脱脂後、1350℃で表5に示す時間保持した後、1750℃で5時間、N雰囲気で常圧の条件で焼成後、1600℃、2時間、196MPaの条件で熱間静水圧焼成(HIP)して焼結体を得た。
得られた窒化珪素質焼結体についてアルキメデス法により焼結体の密度を測定し、相対密度に換算したところ、相対密度は全試料とも100%であった。
また、得られた窒化珪素質焼結体の酸素量は、窒化珪素質焼結体を粉砕して粉状にして、赤外吸収法によって測定した。表層は最表面(焼き肌面)〜0.3mmを採取し、内部は0.3〜0.7mm部分を採取し、測定した。
また、得られた窒化珪素質焼結体の表面を0.3mm及び1.0mmだけ平面研削加工し、それぞれの面について蛍光X線分析を用いて組成分析を行った。MgO、希土類元素Re、Al量、MgO濃度差(内部のMgO量−表層のMgO量)を表5に示した。
また、それぞれの面の鏡面加工を行い、該鏡面加工した面を、23質量%のフッ酸と77質量%の水とからなる容器内の液に浸け、容器毎50℃に設定したウオーターバスに入れ、3時間放置して、粒界相部分をエッチングし、その面の0.015mm視野を走査型電子顕微鏡写真(1000倍)により撮影し、その中の空隙率の割合を画像解析装置により求め、粒界相の面積比率とし、その値を表6に示した。
さらに得られた窒化珪素質焼結体を用いて、図2に示すような切削工具を製作し、被切削材:FCD−450、切削速度:500m/min、送り量:0.2mm/rev、切り込み量:2.0mm、切削時間:120secの条件で旋削試験と、被切削材:FCD−450、切削速度:500m/min、送り量:0.5mm/tooth、切り込み量:2.0mm、パス回数:10パスの条件でフライス加工試験を行った。評価は、刃先のフランク摩耗量は、旋削試験後に測長器付きの顕微鏡を用いて写真撮影し、摩耗量の平均値を測定して算出した。また、刃先のチッピングは、フライス加工試験後、顕微鏡で刃先を観察して写真撮影し、チッピング領域の面積を求めた。これらの結果を表6に示した。
尚、試料No.12では希土類元素酸化物(Re)としてYを用い、試料No.13では希土類元素酸化物(Re)としてErを用いた。
また、試料No.14は、MgO粉末を、成形体の周辺に配置し、成形体と同時に焼成した場合である。これらの結果も表6に記載した。
Figure 0005031602
Figure 0005031602
表5、6に示した結果によれば、本発明の範囲内の試料No.1〜9はいずれも摩耗量が小さく刃先のチッピングの少ない切削性能を示した。これに対して、比較例の試料No.10、11は切削試験において摩耗量が増大した。また、希土類元素としてY、Erを用いた比較例の試料No.12、13は、摩耗量が多く、チッピング面積も大きいことがわかる。
窒化珪素質焼結体の模式図である。 本実施形態の切削工具の一例を示す斜視図である。
符号の説明
1・・・窒化珪素結晶粒子
3・・・凹部
11・・・切削工具
13・・・切刃
D・・・凹部の深さ

Claims (7)

  1. 窒化珪素結晶を主体とする結晶相と、ランタン、アルミニウム、マグネシウム、珪素および酸素を含み、前記窒化珪素結晶の粒界にある非晶質の粒界相とを有するとともに、ランタン以外の希土類元素を含まないか、またはランタン以外の希土類元素を酸化物換算量で焼結体全量中に0.03質量%以下で含有する窒化珪素質焼結体であって、該窒化珪素質焼結体が前記ランタンを酸化物換算量で0.1質量%以上、前記アルミニウムを酸化物換算量で0.05〜0.6質量%、前記マグネシウムを酸化物換算量で0.3質量%以上、酸素を2.5質量%以下含有するとともに、前記ランタンの酸化物換算量、前記アルミニウムの酸化物換算量および前記マグネシウムの酸化物換算量の合計が3.5質量%以下であることを特徴とする窒化珪素質焼結体。
  2. 窒化珪素結晶粒子が針状であり、該窒化珪素結晶粒子のうち長径10μm以上の窒化珪素結晶粒子の数が、0.15mmの視野中に6個以下であることを特徴とする請求項1に記載の窒化珪素質焼結体。
  3. 周期表第6族元素の珪化物を0.1〜2質量%の割合で含有していることを特徴とする請求項1または2に記載の窒化珪素質焼結体。
  4. 窒化珪素結晶を94.5質量%以上含有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の窒化珪素質焼結体。
  5. 請求項1乃至のうちいずれかに記載の窒化珪素質焼結体からなることを特徴とする切削工具。
  6. 請求項に記載の切削工具と、該切削工具により加工する被切削材を保持するための保持台とを具備することを特徴とする切削加工装置。
  7. 請求項に記載の切削工具を用いて被切削材を切削することを特徴とする切削方法。
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