JP5030727B2 - 車両用電子制御装置 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンスイッチのオフ後に不揮発性メモリに対するデータの書き込みを行う車両用電子制御装置に関する。
特許文献1には、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを備えた電子制御装置において、エンジンスイッチのオフ後(キーOFF後)のセルフシャット処理中に前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みを行うことが開示されている。
特開2002−082841号公報
ところで、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込み中に電源がオフされると、データの書き込みが異常となるだけではなく、場合によっては、メモリ素子を損傷させる場合があるため、エンジンスイッチのオフ後から書き込み処理に充分な時間だけ電源供給状態が保持されるように、電源遮断時期を設定していた。
しかし、電源の供給制御が他の電子制御装置でなされ、前記他の電子制御装置から、エンジンスイッチのオン・オフ情報を貰って、不揮発性メモリに対するデータの書き込みを行う場合、前記他の電子制御装置との間における通信に異常が生じると、エンジンスイッチが実際にオフされてから、エンジンスイッチのオフ情報を受信するまでに遅れが生じる場合がある。
この場合、他の電子制御装置では、実際のエンジンスイッチのオフから充分な時間が経過してから電源供給をオフするとしても、不揮発性メモリに対するデータの書き込みを行う電子制御装置では、実際のオフタイミングから遅れてデータの書き込みを開始するため、書き込み中に他の電子制御装置によって電源供給が遮断されてしまう可能性があった。
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、エンジンスイッチのオン・オフ情報を送受信する通信に異常が生じても、不揮発性メモリに対するデータの書き込み中に電源供給が遮断されてしまうことを回避できるようにすることを目的とする。
そのため請求項1記載の発明では、エンジンスイッチのオフ情報の受信において通信異常があったか否かを判断し、前記通信異常があった場合に、エンジンスイッチのオフ情報の受信に基づく不揮発性メモリに対する書き込みをキャンセルするようにした。
上記発明によると、エンジンスイッチのオフ情報の受信において通信異常があった場合には、実際のエンジンスイッチのオフタイミングよりも大きく遅れてオフ情報を受け取った可能性がある。
そして、この場合に、他の電子制御装置は、実際のエンジンスイッチのオフタイミングを基準に、電子制御装置への電源供給を遮断するタイミングを決定するのに対して、不揮発性メモリへのデータの書き込みは、実際のエンジンスイッチのオフタイミングよりも遅れて開始されることになり、書き込み中に電源供給が遮断されてしまう可能性がある。
そこで、エンジンスイッチのオフ情報の受信において通信異常があった場合には、不揮発性メモリへのデータの書き込みをキャンセルし、書き込み中に電源供給が遮断されてしまうことを未然に防止する。
請求項2記載の発明では、エンジンスイッチのオフ情報の受信において通信異常があったか否かを判断し、前記通信異常があった場合に、前記他の電子制御装置に対して電源供給の停止時期の遅延を要求するようにした。
上記発明によると、エンジンスイッチのオフ情報の受信において通信異常があった場合には、実際のエンジンスイッチのオフタイミングよりも大きく遅れてオフ情報を受け取った可能性がある。
そこで、エンジンスイッチのオフ情報の受信において通信異常があった場合には、他の電子制御装置に対して電源供給の停止時期の遅延を要求して、電源供給が遮断されるタイミングを遅らせ、遅らせた電源遮断タイミングまでの間に、データ書き込みが完了するようにした。
請求項3記載の発明では、請求項1又は2記載の発明において、前記電子制御装置が、電動アクチュエータに対して駆動信号を出力する駆動回路を備える一方、前記他の電子制御装置が前記電動アクチュエータの駆動制御における目標値を演算して前記電子制御装置に送信し、前記電子制御装置が前記目標値に基づいて前記駆動回路を制御するようにした。
上記発明によると、電子制御装置は、他の電子制御装置から目標値を受信し、該目標値に基づいて電動アクチュエータの駆動回路を制御して、前記電動アクチュエータを制御する一方、前記他の電子制御装置からエンジンスイッチのオフ情報を受信すると、例えば、前記電動アクチュエータの制御に関わる学習データなどを不揮発性メモリに書き込む。
請求項4記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込み中に、前記エンジンスイッチのオン情報を受信したときに、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みを中断して、前記エンジンスイッチのオン時の定常処理を開始するようにした。
上記発明によると、不揮発性メモリに対するデータの書き込み途中でエンジンスイッチがオンされると、その時点で、データの不揮発性メモリへの書き込みを中断させて定常処理を開始させる。
従って、エンジンスイッチのオフ直後に再度オンされた場合に、定常処理の開始が不揮発性メモリに対するデータの書き込み処理によって遅れることがなく、エンジンスイッチの操作に対して定常処理を応答良く開始させることができる。
請求項5記載の発明では、請求項1〜3のいずれか1つに記載の発明において、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込み中に、前記エンジンスイッチのオン情報を受信したときに、オン情報の受信から書き込み継続許容時間が経過するまでの間、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みの継続を許容し、前記書き込み継続許容時間が経過した時点でデータの書き込みが完了しなかった場合に、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みを中断して、前記エンジンスイッチのオン時の定常処理を開始するようにした。
上記発明によると、不揮発性メモリへのデータの書き込み中に、エンジンスイッチが再度オンされると、その後、書き込み継続許容時間が経過するまでは、書き込みの継続を許容し、前記書き込み継続許容時間が経過した時点で書き込みが終了していなければ、データの書き込みを中断して定常処理を開始させる。
従って、エンジンスイッチがオンされた後も書き込み継続許容時間の間は書き込みの継続を許容するので、書き込みの中断を極力避けつつ、定常処理の開始が不揮発性メモリに対するデータの書き込みによって過剰に遅れることがない。
請求項6記載の発明では、請求項5記載の発明において、前記書き込み継続許容時間が経過する前に、前記データの書き込みが完了した場合に、書き込み完了時点で前記定常処理を開始するようにした。
上記発明によると、エンジンスイッチがオンされてから書き込み継続許容時間の経過を待たずに、データの書き込みが終了した場合には、定常処理の開始を書き込み継続許容時間が経過するまで待つ必要はないので、書き込みが終了した時点で定常処理を開始させる。
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明に係る車両用電子制御装置を含んで構成される車両用エンジンのシステム図である。
図1に示すエンジン101は、図示省略した車両に搭載されて車両の動力源となるものであり、エンジン101の出力は、図示省略した変速機を介して車両の駆動輪に伝達される。
前記エンジン101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
各気筒からの燃焼排気は、燃焼室106内から排気バルブ107を介して排気管108に排出され、排気管108に介装されるフロント触媒コンバータ109a及びリア触媒コンバータ109bで浄化された後、大気中に放出される。
前記排気バルブ107は、排気側カム軸110に軸支されたカム111によって一定の最大バルブリフト量,バルブ作動角及びバルブタイミングを保って開閉駆動される。
一方、吸気バルブ105は、可変リフト機構(VEL機構)112によってその最大バルブリフト量が作動角と共に連続的に可変とされる。
ここで、エンジンコントロールモジュール(ECM)114と相互通信可能なVELコントローラ113が設けられ、前記ECM114は、運転条件に応じて前記吸気バルブ105の目標最大バルブリフト量(目標値)を演算し、該目標最大バルブリフト量を前記VELコントローラ113に送信する。
前記目標最大バルブリフト量を受信した前記VELコントローラ113は、実際の最大バルブリフト量が前記目標最大バルブリフト量に近づくように、前記可変リフト機構112を駆動する電動アクチュエータ(後述するモータ121)をフィードバック制御する。
尚、前記ECM114及びVELコントローラ113は共にマイクロコンピュータを含んで構成され、前記VELコントローラ113が本願発明に係る電子制御装置に該当し、前記ECM114が本願発明における他の電子制御装置に該当する。
前記ECM114には、エンジン101の吸入空気量を検出するエアフローセンサ115、車両の運転者が操作するアクセルペダルの踏み込み量に相当するアクセル開度を検出するアクセルペダルセンサ116、クランク軸120からクランク回転信号を取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118、エンジン101の冷却水温度を検出する水温センサ119などからの検出信号が入力される。
また、各気筒の吸気バルブ105上流側の吸気ポート130には、燃料噴射弁131が設けられる。尚、燃料噴射弁131が、燃焼室106内に直接燃料を噴射させる筒内直接噴射式エンジンであっても良い。
前記ECM114は、各種検出信号に基づいて燃料噴射パルス幅(燃料噴射量)を演算し、前記パルス幅の噴射パルス信号を前記燃料噴射弁131に出力して、前記パルス幅に比例する量の燃料を噴射させ、エンジン101への燃料供給を制御する。
また、前記ECM114は、前記燃料噴射パルス幅(機関負荷)及びエンジン回転速度に基づいて点火時期(点火進角値)を演算し、点火プラグ132による点火時期を制御する。
図2〜図4は、前記可変リフト機構112の構造を詳細に示すものである。
図2〜図4に示す可変リフト機構112は、一対の吸気バルブ105,105と、シリンダヘッド11のカム軸受14に回転自在に支持された中空状のカム軸(駆動軸)13と、該カム軸13に軸支された回転カムである2つの偏心カム15,15(駆動カム)と、前記カム軸13の上方位置に同じ軸受14に回転自在に支持された制御軸16と、該制御軸16に制御カム17を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム18,18と、各吸気バルブ105,105の上端部にバルブリフター19,19を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム20,20と、を備えている。
前記偏心カム15,15とロッカアーム18,18とは、リンクアーム25,25によって連係され、ロッカアーム18,18と揺動カム20,20とは、リンク部材26,26によって連係されている。
上記ロッカアーム18,18,リンクアーム25,25,リンク部材26,26が伝達機構を構成する。
前記偏心カム15は、図5に示すように、略リング状を呈し、小径なカム本体15aと、該カム本体15aの外端面に一体に設けられたフランジ部15bとからなり、内部軸方向にカム軸挿通孔15cが貫通形成されていると共に、カム本体15aの軸心Xがカム軸13の軸心Yから所定量だけ偏心している。
また、前記偏心カム15は、カム軸13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカム軸挿通孔15cを介して圧入固定されている。
前記ロッカアーム18は、図4に示すように、略クランク状に屈曲形成され、中央の基部18aが制御カム17に回転自在に支持されている。
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
前記制御カム17は、円筒状を呈し、制御軸16外周に固定されていると共に、図2に示すように軸心P1位置が制御軸16の軸心P2からαだけ偏心している。
前記揺動カム20は、図2及び図6,図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカム軸13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
また、揺動カム20の下面には、基端部22側の基円面24aと該基円面24aから端部23端縁側に円弧状に延びるカム面24bとが形成されており、該基円面24aとカム面24bとが、揺動カム20の揺動位置に応じて各バルブリフター19の上面所定位置に当接するようになっている。
即ち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
また、前記リンクアーム25は、円環状の基部25aと、該基部25aの外周面所定位置に突設された突出端25bとを備え、基部25aの中央位置には、前記偏心カム15のカム本体15aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合穴25cが形成されている一方、突出端25bには、前記ピン21が回転自在に挿通するピン孔25dが貫通形成されている。
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a,26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d,23aに圧入した各ピン28,29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c,26dが貫通形成されている。
尚、各ピン21,28,29の一端部には、リンクアーム25やリンク部材26の軸方向の移動を規制するスナップリング30,31,32が設けられている。
上記構成において、制御軸16の軸心P2と制御カム17の軸心P1との位置関係によって、図6,7に示すように、最大バルブリフト量が変化することになり、前記制御軸16を回転駆動させることで、制御カム17の軸心P1に対する制御軸16の軸心P2の位置が変化して最大バルブリフト量が変化する。
前記制御軸16は、図10に示すような構成によって、ストッパにより制限される所定回転角度範囲内でモータ(電動アクチュエータ)121により回転駆動されるようになっており、前記制御軸16の角度を前記モータ121で変化させることで、吸気バルブ105の最大バルブリフト量及びバルブ作動角が、前記ストッパで制限される可変範囲内で連続的に変化する(図9参照)。
尚、前記モータ121として、例えばDCサーボモータを使用する。
図10において、モータ121は、その回転軸が制御軸16と平行になるように配置され、回転軸の先端には、かさ歯車122が軸支されている。
一方、前記制御軸16の先端に一対のステー123a,123bが固定され、一対のステー123a,123bの先端部を連結する制御軸16と平行な軸周りに、ナット124が揺動可能に支持される。
前記ナット124に噛み合わされるネジ棒125の先端には、前記かさ歯車122に噛み合わされるかさ歯車126が軸支されており、モータ121の回転によってネジ棒125が回転し、該ネジ棒125に噛み合うナット124の位置が、ネジ棒125の軸方向に変位することで、制御軸16が回転されるようになっている。
ここで、ナット124の位置をかさ歯車126に近づける方向が、最大バルブリフト量が小さくなる方向で、逆に、ナット124の位置をかさ歯車126から遠ざける方向が、最大バルブリフト量が大きくなる方向となっている。
前記制御軸16の先端には、図10に示すように、制御軸16の回転角度を検出するポテンショメータ式の角度センサ127が設けられている。
前記前記VELコントローラ113は、前記角度センサ127で検出される制御軸16の実際の角度が、前記ECM114で算出される目標角度(目標最大バルブリフト量相当値)に近づくように、前記実際の角度と目標角度との偏差に基づく比例・積分・微分動作によって、前記モータ121の通電制御量を設定する。
図11は、前記VELコントローラ113及びECM114の回路構成を示すものである。
図11において、VELコントローラ113の電源回路301には、電源リレー328を介してバッテリ電圧が供給され、前記電源回路301からCPU302に電源が供給される。
尚、前記ECM114にも前記電源リレー328を介してバッテリ電圧が供給される。
また、前記電源回路301からの電源電圧が電源バッファ回路303を介して外部の角度センサ127に供給され、角度センサ127の出力は、入力回路304を介して前記CPU302に読み込まれる。
前記制御軸16の角度を検出する角度センサ127は2重に備えられ、これら2つの角度センサ127a,127bに対応して入力回路304も2系統(304a,304b)備えられており、各角度センサ127a,127bの検出角度が略同等である正常時には、これら角度センサ127a,127bによる検出角度の平均値や、一方のセンサ出力に基づいてモータ121を制御するようになっている。
また、VELコントローラ113には、前記モータ121を駆動するためのモータ駆動回路305が設けられており、該モータ駆動回路305には、前記モータ121を正転方向及び逆転方向に駆動するための操作量として、前記CPU302からパルス幅変調信号PWM等が入力される。
前記モータ駆動回路305には、外部に設けられるリレー回路306を介してバッテリ電圧が供給され、前記リレー回路306は、VELコントローラ113に設けられるリレー駆動回路307によってON・OFF駆動される。
更に、VELコントローラ113には、前記モータ121の電流を検出する電流検出回路308が設けられている。
前記リレー駆動回路307は、AND回路(論理積演算回路)321の出力がハイレベル(1)であるときに、リレー回路306をONして、モータ駆動回路305に電源を供給し、AND回路321の出力がローレベル(0)であるときに、リレー回路306をOFFして、モータ駆動回路305への電源供給を遮断する。
前記AND回路321の2つの入力端子の一方には、前記VELコントローラ113のCPU302のポート出力が入力され、他方には、前記ECM114のCPU114aのポート出力が入力され、各ポート出力の論理積演算がなされるようになっている。
また、前記VELコントローラ113には、前記ECM114との間において通信を行なうための通信回路309が備えられ、一方、前記ECM114には、前記VELコントローラ113との間において通信を行なうための通信回路114cが備えられており、前記VELコントローラ113と前記ECM114とは相互通信可能に構成される。
尚、前記VELコントローラ113とECM114との間の通信は、車載用のネットワーク仕様であるCAN(Controller Area Network)を介して行われる。
そして、前記ECM114においてアクセル開度,エンジン回転速度等に基づいて算出された制御軸16の目標角度が、前記CANを介して前記VELコントローラ113に送信され、前記VELコントローラ113では、前記角度センサ127で検出された実際の角度と前記目標角度との偏差に基づく比例・積分・微分制御によってモータ121の通電制御量を演算し、該演算結果に基づき駆動回路305を制御する。
一方、前記角度センサ127で検出された制御軸16の実際の角度が、前記VELコントローラ113から前記CANを介して前記ECM114に送信される。
そして、前記ECM114では、前記VELコントローラ113から送信された実際の角度と、自身の演算結果である目標角度との偏差に基づいて、前記フィードバック制御の異常(応答異常)を診断し、前記フィードバック制御に異常が認められた場合には、前記AND回路321にローレベル信号を出力する。
また、前記VELコントローラ113では、前記角度センサ127a,127bの異常や、前記電流検出回路308で検出されるモータ電流の異常を診断し、異常の発生を判定すると、前記AND回路321にローレベル信号を出力する。
従って、ECM114とVELコントローラ113との少なくとも一方で異常を判定すると、AND回路321の出力がローレベルになって、リレー回路306がOFFされ、モータ駆動回路305への電源供給が遮断されることで、モータ121の駆動が停止される。
また、前記ECM114には、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン・オフ信号が入力され、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオンされると、前記電源リレー328をオンすることで、前記電源リレー328を介して自身及びVELコントローラ113にバッテリ電源が供給されるようにする。
イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフされると、該オフ判定(エンスト判定)時から予め設定されたセルフシャットオフ時間が経過した時点で、前記電源リレー328をオフして、自身をセルフシャットオフすると同時に、前記VELコントローラ113への電源供給を遮断する。
前記セルフシャットオフ時間は、前記VELコントローラ113のCPU302が、学習データや診断履歴などのバックアップデータを、電気的に書換え可能な不揮発性メモリとしてのフラッシュメモリ(EEPROM)302aに書き込むのに要する最大時間、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ後に、例えば制御軸16の最小角度位置での角度センサ127の出力を学習するのに要する時間など、VELコントローラ113が、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ後に行う処理に要する時間の総和に、余裕時間(例えば1秒以上)を加算して設定される。尚、本実施形態では、前記セルフシャットオフ時間を5秒とする。
また、本実施形態では、前記角度センサ127の出力学習を先に行い、該学習結果を含むバックアップデータのフラッシュメモリ302aへの書き込みをその後に行うが、前記角度センサ127の出力値の学習などを行わない構成であっても良い。
前記VELコントローラ113には、前記ECM114からCANを介してイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン・オフ情報が送信され、オフ情報の受信をトリガーとして、前記角度センサ127の出力値の学習及びフラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを行う。
しかし、前記CANを介した情報通信に異常が生じ、ECM114がイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフを検知して、前記セルフシャットオフ時間の計測を開始してから、前記VELコントローラ113がイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ情報を受信するまでに大きな遅れが生じる可能性がある。
この場合、ECM114側は、セルフシャットオフ時間が経過した時点でVELコントローラ113への電源供給を遮断することになるが、VELコントローラ113側では、遅れて受信したオフ情報に基づいてフラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを開始しているので、書き込み中であるにも関わらずに電源供給が遮断され、書き込みデータの異常やフラッシュメモリ302a自体の損傷を生じさせる可能性がある(図12参照)。
そこで、本実施形態では、前記VELコントローラ113が、ECM114との間における通信異常の有無に基づいて、前記フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを行うか否かを決定するようになっており、以下では、その様子を図13のフローチャートに従って説明する。
尚、図13のフローチャートに示すルーチンは、微小時間(例えば10ms)毎に実行されるものとする。
ステップS001では、CAN通信をチェックして、通信が途絶えるなどの異常が発生していないかなどを判定する。
前記CAN通信の異常は、例えば、ECM114からの所定微小時間毎の目標最大バルブリフト量の送信が途切れているか否か、ECM114からの一定周波数の信号を出力させて、この信号が正常に受信されているかなどに基づいて診断でき、診断方法は公知の種々の方法を適宜選択できる。
ステップS002では、ECM114側からCANを介して送信される情報に基づいて、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン・オフを判別する。
イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオン状態であると判断した場合には、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを行わないので、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフ状態であると判断した場合には、ステップS003へ進む。
ステップS003では、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン状態からオフ状態への切り換りを判断してから500ms経過したか否かを判断する。
そして、オン状態からオフ状態への切り換り判断から500ms以上経過していれば、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを行わせるべく、ステップS004へ進み、オン状態からオフ状態への切り換り判断からの経過時間が500ms未満であれば、そのまま本ルーチンを終了させる。
前記500msは、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフされた直後(エンジン停止直後)に行わせる学習(角度センサ127の出力値の学習)の終了を予測するための時間であり、前記学習に要する時間に余裕分を付加して設定される。
従って、学習を行わずに直ぐにフラッシュメモリ302aへのデータ書き込み開始させる場合には、ステップS003において、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン状態からオフ状態への切り換りタイミングであるか否かを判断させる。
ステップS004では、過去1秒間にCAN通信に異常があったか否かを判断する。
但し、異常の有無を診断させる過去の期間を1秒間に限定するものではなく、セルフシャットオフ時間に含まれる余裕時間等から適宜設定されるものであり、通信の一時的な停止が許容される時間を基準に前記過去の期間が設定されるようになっている。
ステップS004において過去1秒間にCAN通信に異常がなかったと判断された場合には、ステップS006へ進み、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを実行することを決定し、次のステップS007では、実際にデータ書き込みを行う。
即ち、過去1秒間にCAN通信に異常がなかった場合には、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ情報がECM114におけるオフ検知から大きく遅れることなく(余裕時間を越えて遅れることなく)、VELコントローラ113に受信されたものと推定される。
そして、この場合、ECM114によってVELコントローラ113への電源供給が遮断されるまでには、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを完了できると見込まれるので、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込み処理の実行を許可する。
一方、ステップS004において過去1秒間にCAN通信に異常があったと判断された場合には、ステップS005へ進み、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを禁止する。
即ち、過去1秒間にCAN通信に異常があった場合には、ECM114におけるオフ検知から大きく遅れて(余裕時間以上に越えて)、VELコントローラ113がイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ情報を受け取っている可能性があり、この場合に、通常にフラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを行わせると、データ書き込み中にECM114によってVELコントローラ113への電源供給が停止されてしまうことになる。
従って、過去1秒間にCAN通信に異常があった場合には、データ書き込み中に電源供給が遮断されることがないように、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを行うことなく、ECM114によって電源供給が遮断されるのを待つようにする。
例えば、各種の学習データをフラッシュメモリ302aに更新して書き込む場合には、書き込みを禁止することで、直前の1トリップにおける学習結果が反映されない(データが更新されない)ことになるが、データ書き込み中に電源供給が遮断された場合には、フラッシュメモリ302aの損傷によってそれまでの学習結果が全く残らなく可能性があり、データ書き込みを禁止することによるデメリットよりも、データ書き込みを禁止してフラッシュメモリ302aを保護することのメリットの方が一般的には大きい。
そこで、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込み中に電源供給が遮断される可能性がある状況では、書き込みを禁止して、データのバックアップ(更新)よりもフラッシュメモリ302aの保護を優先する。
ところで、上記のように通信異常によって、VELコントローラ113がイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ情報を受け取るタイミングが遅れ、結果的に、実際のイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフから、書き込みが完了するまでの時間が長くなっても、ECM114による電源供給の遮断タイミングを遅延させれば、書き込み中に電源供給が遮断されることを回避することが可能であり、係る構成とした第2実施形態を、以下に説明する。
図14のフローチャートに示すルーチンは、VELコントローラ113によって実行される処理を示し、微小時間(例えば10ms)毎に実行されるものとする。
ステップS121では、CAN通信をチェックして、通信が途絶えるなどの異常が発生していないかなどを判定する。
前記CAN通信の異常は、例えば、ECM114からの所定微小時間毎の目標最大バルブリフト量の送信が途切れているか否か、ECM114からの一定周波数の信号を出力させて、この信号が正常に受信されているかなどに基づいて診断でき、診断方法は公知の種々の方法を適宜選択できる。
ステップS122では、ECM114側からCANを介して送信される情報に基づいて、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン・オフを判別する。
イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオン状態であると判断した場合には、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを行わないので、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフ状態であると判断した場合には、ステップS123へ進む。
ステップS123では、過去1秒間にCAN通信に異常があったか否かを判断する。
異常の有無を診断させる過去の期間を1秒間に限定するものではなく、セルフシャットオフ時間に含まれる余裕時間等から適宜設定されるものであり、通信の一時的な停止が許容される時間を基準に前記過去の期間が設定されるようになっている。
過去1秒間にCAN通信に異常が無かった場合には、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ情報を大きく遅れることなく受け取っていると推定されるので、ステップS124へ進んで、ECM114に対して電源供給を遮断するタイミングの遅延を要求しないと判断する。
一方、過去1秒間にCAN通信に異常があった場合には、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ情報を大きく遅れて受け取った(余裕時間を越える時間だけ遅れて受け取った)可能性があり、オフ情報の受信に基づいて開始させたフラッシュメモリ302aへの書き込み中に、VELコントローラ113に対する電源供給が遮断されてしまう可能性がある。
そこで、ステップS123で過去1秒間にCAN通信に異常があったと判断された場合には、ステップS125へ進み、電源供給の遮断タイミングの遅延を要求すべき状態であると判断する。
尚、今回ステップS125へ進んで、遅延要求状態を判定しても、次回のステップS123で異常がないと判断された場合には、遅延要求はキャンセルされることになる。
次のステップS126では、ECM114に対して電源供給を遮断するタイミングの遅延(セルフシャットオフ時間の増大補正)要求の有無を示す信号を送信する。
ステップS127では、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン状態からオフ状態への切り換りを判断してから500ms経過したか否かを判断する。
そして、オン状態からオフ状態への切り換り判断から500ms以上経過していれば、フラッシュメモリ302aへのデータ書き込みを行わせるべく、ステップS128へ進み、オン状態からオフ状態への切り換り判断からの経過時間が500ms未満であれば、そのまま本ルーチンを終了させる。
前記500msは、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフされた直後(エンジン停止直後)に行わせる学習(角度センサ127の出力値の学習)の終了を予測するための時間であり、前記学習に要する時間に余分分を付加して設定される。
従って、学習を行わずに直ぐにフラッシュメモリ302aへのデータ書き込み開始させる場合には、ステップS127において、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン状態からオフ状態への切り換りタイミングであるか否かを判断させる。
図15のフローチャートに示すルーチンは、第2実施形態においてECM114によって実行される処理を示し、微小時間(例えば10ms)毎に実行されるものとする。
ステップS101では、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオンからオフに切り換ったか否かを判断し、オンからオフへの切り換りを判断すると、ステップS102へ進んで、オンからオフへの切り換りからの経過時間を計測するためのタイマTIGNOFFを0にリセットする。
ステップS103では、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフ状態であるか否かを判断し、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフ状態であれば、ステップS104へ進み、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオン状態であれば、セルフシャットオフを行わないので、そのまま本ルーチンを終了させる。
ステップS104では、前記タイマTIGNOFFによる計測時間が予め設定されたセルフシャットオフ時間(本実施形態では5秒)以上になっているか否かを判断する。
セルフシャットオフ時間が経過している場合には、ステップS105へ進んで、前記電源リレー328をオフして、セルフシャットオフを実行し、また、VELコントローラ113に対する電源供給を遮断する。
一方、セルフシャットオフ時間が経過していない場合には、ステップS106へ進み、前記ステップS121と同様に、CAN通信をチェックして、通信が途絶えるなどの異常が発生していないかを判定する。
次のステップS107では、ステップS123と同様にして、過去1秒間にCAN通信に異常があったか否かを判断する。
過去1秒間にCAN通信に異常があった場合には、ステップS110へ進んで、電源供給の遮断タイミングを延長する要求があるか否かを示すフラグIGOFDLに対して、延長要求があることを示す「1」をセットする。
また、ステップS107で異常がなかったと判断された場合には、ステップS108へ進み、VELコントローラ113から送信される、電源供給遮断タイミングの遅延要求の有無を示す信号から、遅延要求があるか否かを判断する。
そして、VELコントローラ113側が、電源供給遮断タイミングの遅延を要求している場合には、ステップS110へ進んで、フラグIGOFDLに「1」をセットする。
一方、ステップS108で、VELコントローラ113側が、電源供給遮断タイミングの遅延を要求していないと判断した場合には、ステップS109へ進んで、前記フラグIGOFDLに「0」をセットする。
ステップS111では、前記フラグIGOFDLに「1」がセットされているか否かを判断する。
前記フラグIGOFDLに「1」がセットされている場合には、CAN通信の異常がECM114又はVELコントローラ113で検出された状態であり、この場合には、ステップS112へ進んで、前記タイマTIGNOFFによる計測時間を0にリセットさせ、その時点から改めて時間経過の計測が行われるようにする。
一方、前記フラグIGOFDLに「0」がセットされている場合には、ステップS112を迂回してステップS113へ進み、前記タイマTIGNOFFによる計測時間を、本ルーチンの実行周期(例えば10ms)分だけカウントアップさせる。
本来、前記タイマTIGNOFFは、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオンからオフに切り換った時点で0にリセットされ、オンからオフに切り換った時点からの経過時間を計測するが、その後にCAN通信の異常が検出されると、再度0にリセットされることになって、実質的にセルフシャットオフ時間が延長され、VELコントローラ113の電源供給が遮断されるタイミングが、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ時を基準に遅延されることになる。
従って、CAN通信の異常によって、VELコントローラ113が、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフされたことを実際よりも遅れて検知しても、前記遅れの分だけVELコントローラ113への電源供給の遮断時期が先送りされ、VELコントローラ113におけるフラッシュメモリ302aへのデータ書き込み中に電源供給が遮断されてしまうことがない。
また、上記第2実施形態では、基準のセルフシャットオフ時間ではデータ書き込み中に電源供給が遮断される可能性があるときに、電源供給の遮断タイミングを遅らせて、書き込みを実行させるので、通信異常が発生しても、バックアップデータをフラッシュメモリ302aに格納できる。
尚、CAN通信の異常が検知されたときに、前記タイマTIGNOFFを0にリセットする代わりに、セルフシャットオフ時間を増大補正したり、前記タイマTIGNOFFによる計測時間を減算補正したりすることができ、結果的に、電源供給の遮断タイミングを遅延させる全ての処理が含まれる。
ところで、VELコントローラ113が、フラッシュメモリ302aにバックアップデータを書き込んでいる最中に、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329が再度オンされる可能性があり、このような場合に、書き込みが完了するまで定常処理(制御軸16の角度検出、モータ121のフィードバック制御等)の開始を遅らせると、エンジン101の始動性が悪化し、また、VELコントローラ113側での定常処理が開始されないことで、ECM114が、VELコントローラ113の異常を判定してしまう可能性がある。
そこで、フラッシュメモリ302aにバックアップデータを書き込んでいる最中に、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329が再度オンされた場合には、VELコントローラ113は、図16のフローチャートに示すように処理するようにしてある。
尚、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフされた後のバックアップデータの書き込みの処理は、前記第1,第2実施形態のうちのいずれで開始されるものであってもよい。
図16のフローチャートは微小時間(例えば10ms)毎に実行され、まず、ステップS201では、フラッシュメモリ302aに対するデータの書き込み中であるか否かを判断する。
書き込み中でない場合には、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオンされたときに、直ちに定常処理を開始させればよいので、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、書き込み中である場合には、ステップS202へ進み、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフからオンに切り換ったか否かを判断する。
フラッシュメモリ302aに対するデータの書き込み中に、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフ状態を保持する場合には、そのまま書き込みを継続させるので、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、フラッシュメモリ302aに対するデータの書き込み中に、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフからオン状態に切り換った場合には、ステップS203へ進む。
ステップS203では、フラッシュメモリ302aに対するデータの書き込みをその時点で中断し、次のステップS204では、VELコントローラ113におけるイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン状態での定常処理を開始させる。
上記処理によると、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ直後にオンされた場合に、定常処理の再開がバックアップデータの書き込みによって遅れることがなく、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329の操作に対して定常処理を応答良く再開させることができてエンジン始動性の悪化を回避でき、また、定常処理が応答良く再開されることで、ECM114がVELコントローラ113側での定常処理の開始遅れに基づいて、VELコントローラ113の異常を誤判定することがない。
尚、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ後に行われるフラッシュメモリ302aへのバックアップデータの書き込み中に、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329が再度オンされることは稀であり、殆どの場合は、バックアップデータのフラッシュメモリ302aへの書き込みをそのまま最後まで行わせることができ、書き込みの中断によるメモリ素子への影響は充分に少ない。
図17のフローチャートは、フラッシュメモリ302aにバックアップデータを書き込んでいる最中に、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329が再度オンされた場合の処理の第2実施形態を示す。
この第2実施形態においても、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフされた後のバックアップデータの書き込みの処理は、前記第1,第2実施形態のうちのいずれで開始されるものであってもよい。
図17のフローチャートは微小時間(例えば10ms)毎に実行され、まず、ステップS301では、フラッシュメモリ302aに対するデータの書き込み中であるか否かを判断する。
書き込み中でない場合には、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオンされたときに、直ちに定常処理を開始させればよいので、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、書き込み中である場合には、ステップS302へ進み、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフ状態であるかオン状態であるかを判断する。
そして、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオフ状態であれば、ステップS303へ進み、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオン状態になってからの経過時間を計測させるためのタイマTIGNONを0にリセットした後、そのまま本ルーチンを終了させる。
一方、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオン状態であれば、ステップS304へ進み、前記タイマTIGNONによる計測時間を、本ルーチンの実行周期分だけカウントアップさせる。
ステップS304の次はステップS305へ進み、タイマTIGNONによる計測時間が、書き込み継続許容時間Tt以上になっているか否かを判断する。
前記書き込み継続許容時間Ttは、ECM114がVELコントローラ113側での定常処理の開始遅れに基づいて、VELコントローラ113の異常を誤判定することがなく、かつ、定常処理の開始遅れが始動性に大きく影響しない範囲内の時間に設定され、かつ、定常処理を開始させるためのイニシャライズ処理に要する時間などを考慮して設定される。
前記タイマTIGNONによる計測時間が、前記書き込み継続許容時間Tt未満であれば、そのまま本ルーチンを終了させて、フラッシュメモリ302aへのバックアップデータの書き込みをそのまま継続させる。
一方、前記タイマTIGNONによる計測時間が、前記書き込み継続許容時間Tt以上になると、ステップS306へ進み、フラッシュメモリ302aに対するデータの書き込みをその時点で中断し、次のステップS307では、VELコントローラ113におけるイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオン状態での定常処理を開始させる。
上記処理によると、イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329のオフ直後にオンされた場合に、前記書き込み継続許容時間Tt未満であれば、フラッシュメモリ302aに対するバックアップデータの書き込みを継続させ、前記書き込み継続許容時間Tt以上になると、フラッシュメモリ302aに対するバックアップデータの書き込みを中断させて定常処理を開始させるから、図16に示した実施形態に比べて、バックアップデータの書き込みが中断される機会を更に減少させることができ、しかも、エンジン始動性の悪化を抑止でき、また、VELコントローラ113の異常が誤判定されることを防止できる。
尚、フラッシュメモリ302aに対する書き込み中にイグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)329がオンされ、かつ、前記書き込み継続許容時間Tt未満で書き込みが完了した場合には、完了した時点から定常処理を開始させるものとする。
これによって、前記書き込み継続許容時間Ttの経過するまで定常処理の開始が無用に遅延されることを回避できる。
実施形態におけるエンジンのシステム図。 可変リフト機構を示す断面図(図3のA−A断面図)。 上記可変リフト機構の側面図。 上記可変リフト機構の平面図。 上記可変リフト機構に使用される偏心カムを示す斜視図。 上記可変リフト機構の低リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。 上記可変リフト機構の高リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。 上記可変リフト機構における揺動カムの基端面とカム面に対応したバルブリフト特性図。 上記可変リフト機構のバルブタイミングとバルブリフトの特性図。 上記可変リフト機構における制御軸の回転駆動機構を示す斜視図。 VELコントローラ及びECMを含む制御システムを示す回路ブロック図。 イグニッションスイッチのOFF情報の受信に基づくフラッシュメモリ(EEPROM)への書き込み処理のタイミングを示すタイムチャート。 前記フラッシュメモリ(EEPROM)への書き込み処理の第1実施形態を示すフローチャート。 前記フラッシュメモリ(EEPROM)への書き込み処理の第2実施形態における前記VELコントローラによる処理内容を示すフローチャート。 前記フラッシュメモリ(EEPROM)への書き込み処理の第2実施形態における前記ECMによる処理内容を示すフローチャート。 前記フラッシュメモリ(EEPROM)への書き込み中にイグニッションスイッチがオンされた場合の処理の例を示すフローチャート。 前記フラッシュメモリ(EEPROM)への書き込み中にイグニッションスイッチがオンされた場合の処理の他の例を示すフローチャート。
符号の説明
16…制御軸、101…エンジン、104…電子制御スロットル、105…吸気バルブ、107…排気バルブ、112…可変リフト機構、113…VELコントローラ、114…エンジンコントロールモジュール(ECM)、114a…CPU、114c…通信回路、114c…リレー駆動回路、121…モータ(電動アクチュエータ)、127…角度センサ、302…CPU、305…モータ駆動回路、306…リレー回路、308…電流検出回路、309…通信回路、328…電源リレー、329…イグニッションスイッチ(エンジンスイッチ)

Claims (6)

  1. 車両に搭載され、電気的に書き換え可能な不揮発性メモリを備えた電子制御装置であって、他の電子制御装置によってエンジンスイッチのオフから所定時間後に電源供給が停止されると共に、前記他の電子制御装置から前記エンジンスイッチのオン・オフ情報が送信され、前記エンジンスイッチのオフ情報を受信したときに、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みを行う車両用電子制御装置において、
    前記エンジンスイッチのオフ情報の受信において通信異常があったか否かを判断し、
    前記通信異常があった場合に、前記不揮発性メモリに対する書き込みをキャンセルすることを特徴とする車両用電子制御装置。
  2. 車両に搭載され、電気的にデータの消去及び書き込みが可能な不揮発性メモリを備えた電子制御装置であって、他の電子制御装置によってエンジンスイッチのオフから所定時間後に電源供給が停止されると共に、前記他の電子制御装置から前記エンジンスイッチのオン・オフ情報が送信され、前記エンジンスイッチのオフ情報を受信したときに、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みを行う車両用電子制御装置において、
    前記エンジンスイッチのオフ情報の受信において通信異常があったか否かを判断し、
    前記通信異常があった場合に、前記他の電子制御装置に対して電源供給の停止時期の遅延を要求することを特徴とする車両用電子制御装置。
  3. 前記電子制御装置が、電動アクチュエータに対して駆動信号を出力する駆動回路を備える一方、前記他の電子制御装置が前記電動アクチュエータの駆動制御における目標値を演算して前記電子制御装置に送信し、前記電子制御装置が前記目標値に基づいて前記駆動回路を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用電子制御装置。
  4. 前記不揮発性メモリに対するデータの書き込み中に、前記エンジンスイッチのオン情報を受信したときに、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みを中断して、前記エンジンスイッチのオン時の定常処理を開始することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用電子制御装置。
  5. 前記不揮発性メモリに対するデータの書き込み中に、前記エンジンスイッチのオン情報を受信したときに、オン情報の受信から書き込み継続許容時間が経過するまでの間、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みの継続を許容し、
    前記書き込み継続許容時間が経過した時点でデータの書き込みが完了しなかった場合に、前記不揮発性メモリに対するデータの書き込みを中断して、前記エンジンスイッチのオン時の定常処理を開始することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つに記載の車両用電子制御装置。
  6. 前記書き込み継続許容時間が経過する前に、前記データの書き込みが完了した場合に、書き込み完了時点で前記定常処理を開始することを特徴とする請求項5記載の車両用電子制御装置。
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