JP4291703B2 - 内燃機関のリフト量可変制御装置 - Google Patents
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Description
かかる構成によると、吸気バルブのバルブリフト量が低バルブリフト側から動かなくなる故障が発生すると、機関によって駆動されるエアコン用コンプレッサなどの補機負荷の作動が停止されることで、機関の駆動負荷が軽減される。また、可変動弁機構の故障によって機関のシリンダ内に吸入される空気量が大きく制限されるときに、吸気バルブのバルブタイミングを最遅角側とすることで、シリンダ吸入空気量の増大が図られる。
従って、エアコン用コンプレッサなどの補機負荷をなるべく作動させつつ、エンストの発生を回避できる。
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
燃焼排気は燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
一方、吸気バルブ105側には、吸気バルブ105のバルブリフト量を作動角と共に連続的に可変する可変動弁機構であるVEL(Variable valve Event and Lift)機構112が設けられる。
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)114は、アクセル開度に対応する目標吸入空気量が得られるように、前記電子制御スロットル104,VEL機構112及びVTC機構113を制御する。
前記ECU114には、内燃機関101の吸入空気量を検出するエアフローメータ115、アクセル開度を検出するアクセルペダルセンサ116、クランク軸120からクランク回転信号を取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118、内燃機関101の冷却水温度を検出する水温センサ119からの検出信号が入力される。
前記ECU114は、機関運転状態に基づいて燃料噴射量を演算し、該燃料噴射量に比例するパルス幅の噴射パルス信号を前記燃料噴射弁131に出力することで、前記燃料噴射弁131による燃料噴射を制御する。
図2〜図4は、前記VEL機構112の構造を詳細に示すものである。
図2〜図4に示すVEL機構112は、一対の吸気バルブ105,105と、シリンダヘッド11のカム軸受14に回転自在に支持された中空状のカム軸13(駆動軸)と、該カム軸13に軸支された回転カムである2つの偏心カム15,15(駆動カム)と、前記カム軸13の上方位置に同じカム軸受14に回転自在に支持された制御軸16と、該制御軸16に制御カム17を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム18,18と、各吸気バルブ105,105の上端部にバルブリフター19,19を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム20,20とを備えている。
上記ロッカアーム18,18,リンクアーム25,25,リンク部材26,26が伝達機構を構成する。
また、前記偏心カム15は、カム軸13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカム軸挿通孔15cを介して圧入固定されている。
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
前記揺動カム20は、図2及び図6,図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカム軸13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
即ち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a,26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d,23aに圧入した各ピン28,29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c,26dが貫通形成されている。
上記構成において、制御軸16の軸心P2と制御カム17の軸心P1との位置関係によって、図6,7に示すように、バルブリフト量が変化することになり、前記制御軸16を回転駆動させることで、制御カム17の軸心P1に対する制御軸16の軸心P2の位置を変化させる。
一方、前記制御軸16の先端に一対のステー123a,123bが固定され、一対のステー123a,123bの先端部を連結する制御軸16と平行な軸周りに、ナット124が揺動可能に支持される。
ここで、ナット124の位置をかさ歯車126に近づける方向が、バルブリフト量が小さくなる方向で、逆に、ナット124の位置をかさ歯車126から遠ざける方向が、バルブリフト量が大きくなる方向となっている。
ここで、制御軸16の角度によって吸気バルブ105のバルブリフト量が決まるので、本実施形態において前記角度センサ127は、実質的にバルブリフト量を検出することになる。
また、前記制御軸16の外周に突出形成したストッパ部材128が、固定側の受け部材(図示省略)に対してバルブリフトの増大方向及び減少方向の双方で当接することで、制御軸16の回転範囲が規制され、これにより最小バルブリフト量及び最大バルブリフト量が規定されるようになっている。
本実施形態におけるVTC機構113は、ベーン式の可変バルブタイミング機構であり、クランク軸120によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット51(タイミングスプロケット)と、吸気側カム軸13の端部に固定されてカムスプロケット51内に回転自在に収容された回転部材53と、該回転部材53をカムスプロケット51に対して相対的に回転させる油圧回路54と、カムスプロケット51と回転部材53との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構60とを備えている。
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83を構成する。
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
前記ECU114は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、ディザ信号が重畳されたデューティ制御信号に基づいて制御する。
例えば、電磁アクチュエータ99にデューティ比0%の制御信号(OFF信号)を出力すると、オイルポンプ47から圧送された作動油は、第2油圧通路92を通って遅角側油圧室83に供給されると共に、進角側油圧室82内の作動油が、第1油圧通路91を通って第1ドレン通路94aからオイルパン96内に排出される。
一方、電磁アクチュエータ99にデューティ比100%の制御信号(ON信号)を出力すると、作動油は、第1油圧通路91を通って進角側油圧室82内に供給されると共に、遅角側油圧室83内の作動油が第2油圧通路92及び第2ドレン通路94bを通ってオイルパン96に排出され、遅角側油圧室83が低圧になる。
前記ECU114は、前記VEL機構112及びVTC機構113を制御することで、機関のシリンダ吸入空気量や排気残留率などを制御する一方、前記VEL機構112の故障を診断し、故障発生時に機関101がエンストすることを回避すべく、図12のフローチャートに示すような処理を行なう。
前記故障診断は、例えば、VEL機構112の制御軸16の角度を目標値に追従変化させるフィードバック制御系において、制御偏差が所定以上である状態が所定時間以上継続したときに、VEL機構112の故障の発生を判定する。
尚、角度センサ127の診断は、例えばセンサを複数設け、複数のセンサの検出結果に所定値以上の偏差がないときに正常と判断し、所定値以上の偏差を示す状態が所定時間以上継続したときに、センサ異常を判断することができる。
そして、バルブリフトの固着故障が発生していると判断されるときには、ステップS3へ進む。
ステップS3では、前記制御軸16の駆動を停止し、電子制御スロットル104の制御(スロットルバルブの開度制御)によって吸入空気量を変化させるようにする。
前述のように、低バルブリフト側で固着故障した場合、シリンダ吸入空気量が制限されることになり、特に、前記所定値以下のバルブリフト量で固着故障した場合には、シリンダ吸入空気量が大幅に制限されることで、エンストに至る可能性がある。
ステップS5では、目標アイドル回転速度を、VEL機構112が正常に機能する通常時よりも所定値だけ増大させる。
次のステップS6では、吸気バルブ105のバルブタイミングを強制的に最遅角位置に固定すべく前記VTC機構113を制御する。
ステップS7では、吸気バルブ105のバルブタイミングを最遅角位置にした状態でのスロットルバルブ制御によって、機関回転速度が目標アイドル回転速度に到達したか否かを判別する。
一方、機関回転速度が目標アイドル回転速度に到達しない場合には、スロットルバルブの開度や吸気バルブ105のバルブタイミングの制御によって最大限に空気量を増やすようにしても、目標アイドル回転速度に到達するだけのトルクを発生させることができないものと判断される。
そこで、ステップS7で目標アイドル回転速度に到達しないと判断されたときには、ステップS8へ進む。
前記補機負荷は、例えばエアコン用のコンプレッサであり、エアコン用のコンプレッサの駆動負荷が除かれることで、機関の回転速度は増大することになり、これによって目標アイドル回転速度に到達させて耐エンスト性を確保することができる。
尚、前記エアコン用のコンプレッサが可変容量タイプである場合には、コンプレッサの容量を強制的に低下させる構成であっても良く、また、駆動を停止させる補機負荷の優先順位を予め設定しておいて、目標アイドル回転速度に到達するようになるまで、停止させる補機負荷を順次増やしていくようにしても良い。
前記ステップS8では、補機負荷の停止のみによって回転速度の増大を図ることができるが、図13のフローチャートに示すような処理によって回転速度の増大を図るようにしても良い。
点火時期を補正した後、その効果が表れる時間が過ぎても、目標アイドル回転速度に到達しない場合には、ステップS83へ進んで、補機負荷を強制的に停止させる。
更に、ステップS84では、前記補機負荷の停止から所定時間が経過したか否かを判別する。
上記構成によれば、点火時期の進角補正,補機負荷の停止及び燃料増量によって回転速度の増大を図るので、目標アイドル回転速度をより確実に確保することができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(ロ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関のリフト量可変制御装置において、
前記補機負荷がエアコン用の可変容量型コンプレッサであって、吸気バルブのバルブリフト量を可変にする可変動弁機構が所定以下の低バルブリフト量状態で故障したときに、前記コンプレッサの容量を強制的に低下させることを特徴とする内燃機関のリフト量可変制御装置。
(ハ)請求項1〜3のいずれか1つに記載の内燃機関のリフト量可変制御装置において、
前記補機負荷の停止と共に、点火時期の進角補正及び/又は燃料噴射量の増量補正を行なうことを特徴とする内燃機関のリフト量可変制御装置。
Claims (3)
- 吸気バルブのバルブリフト量を可変にする可変動弁機構と、前記吸気バルブの作動角の中心位相を可変にする可変バルブタイミング機構とを備えた内燃機関のリフト量可変制御装置であって、
前記可変動弁機構が所定以下の低バルブリフト量状態で故障したときに、補機負荷の作動を停止させると共に、前記吸気バルブのバルブタイミングを強制的に最遅角側に固定することを特徴とする内燃機関のリフト量可変制御装置。 - 前記可変動弁機構が所定以下の低バルブリフト量状態で故障し、かつ、機関回転速度が目標アイドル回転速度を下回るときに、補機負荷の作動を停止させることを特徴とする請求項1記載の内燃機関のリフト量可変制御装置。
- 前記可変動弁機構が故障したときに、前記可変動弁機構の駆動制御を停止し、前記スロットルバルブの開度を制御することによって、機関の吸入空気量を制御することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関のリフト量可変制御装置。
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