JP4359672B2 - 内燃機関の可変動弁制御装置 - Google Patents

内燃機関の可変動弁制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、機関バルブの開特性をアクチュエータにより可変とする複数種の可変動弁機構を備えた内燃機関の可変動弁制御装置に関し、詳しくは、前記開特性の切り換え過渡時における機関の運転性を改善する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、油圧アクチュエータや電動モータなどのアクチュエータを用いて、機関バルブ(吸排気バルブ)の開特性を可変とする可変動弁機構が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1に開示される機関は、吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を可変にする第1の可変動弁機構と、吸気バルブの作動角の中心位相を可変にする第2の可変動弁機構とを備えて構成される。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−280167号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のように複数種の可変動弁機構を備える場合で、各可変動弁機構で用いるアクチュエータが異なると、その制御応答には大きな違いが生じる。
【0006】
このため、第1,第2の可変動弁機構双方により開特性を切り換える過渡時に、機関バルブの開閉時期が過渡的に過進角或いは過遅角されてしまい、燃焼性の悪化やトルク応答の遅れが生じるという問題があった。
【0007】
例えば、バルブリフト量を可変にする第1の可変動弁機構の方が相対的に制御応答が速く、バルブリフト量の増大に対して中心位相の遅角が相対的に遅れると、吸気バルブの開時期が過進角されて、残留ガス量が過剰に増えることになる。
【0008】
また、バルブリフト量の減少に対して中心位相の遅角が相対的に遅れると、吸気バルブの閉時期が過進角されて有効圧縮比が低下する。
更に、バルブリフト量の減少に対して中心位相の進角が相対的に遅れると、吸気バルブの開時期が過遅角されてシリンダ内負圧が発達してしまうという問題が生じる。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、モータにより駆動され、吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を可変とする第1の可変動弁機構と、油圧アクチュエータにより駆動され、前記吸気バルブの作動角の中心位相を可変とする第2の可変動弁機構とを備えた内燃機関において、開特性の切り換え過渡時に残留ガス量や有効排気量などが許容限界を超えることがない内燃機関の可変動弁制御装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
そのため請求項1記載の発明では、第1の可変動弁機構によって吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を増大変化させ、かつ、第2の可変動弁機構によって吸気バルブの作動角の中心位相を遅角させる吸気バルブの開特性の切り換え過渡時に、機関運転条件に基づく目標バルブリフト量に対し、増大変化を遅らせる処理を施し、該処理後の目標バルブリフト量に基づいて前記第1の可変動弁機構を制御するようにした。
【0013】
かかる構成によると、バルブリフト量の増大変化に対して中心位相の遅角が遅れると、バルブリフト量の増大に伴って開時期が過進角されることになってしまうが、目標バルブリフト量に対し、増大変化を遅らせる処理を施すことで、前記開時期の過進角が抑制される。
【0014】
請求項記載の発明では、第1の可変動弁機構によって吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を減少変化させ、かつ、第2の可変動弁機構によって前記吸気バルブの作動角の中心位相を遅角させる吸気バルブの開特性の切り換え過渡時に、機関運転条件に基づく目標バルブリフト量に対し、減少変化を遅らせる処理を施し、該処理後の目標バルブリフト量に基づいて前記第1の可変動弁機構を制御するようにした。
【0015】
かかる構成によると、バルブリフト量及び作動角の減少変化に対して、中心位相の遅角制御が遅れると、吸気バルブの閉時期が過進角されることになってしまうが、目標バルブリフト量に対し、減少変化を遅らせる処理を施すことで、前記閉時期の過進角が抑制される。
【0018】
請求項3乃至5記載の発明では、第1の可変動弁機構及び第2の可変動弁機構の双方によって吸気バルブの開特性を切り換える過渡時に、吸気バルブの開時期又は閉時期の過進角を抑制すべく、機関運転条件に基づく目標バルブリフト量に対し、変化を遅らせる処理を施し、該処理後の目標バルブリフト量に基づいて前記第1の可変動弁機構を制御するようにした。
【0019】
かかる構成によると、バルブリフト量の変化に対して中心位相の変化が遅れると、開時期又は閉時期が過進角されることになってしまうが、目標バルブリフト量に対し、変化を遅らせる処理を施すことで、前記開時期又は閉時期の過進角が抑制される。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を説明する。
図1は、実施形態における車両用内燃機関のシステム構成図である。
【0032】
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
【0033】
燃焼排気は燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
前記排気バルブ107は、排気側カム軸110に軸支されたカム111によって一定のバルブリフト量,バルブ作動角及びバルブタイミングを保って開閉駆動される。
【0034】
一方、吸気バルブ105側には、バルブリフト量を作動角と共に連続的に可変制御する第1の可変動弁機構としてのVEL(Variable valve Event and Lift)機構112が設けられる。
【0035】
更に、吸気バルブ105側には、クランク軸に対する吸気側カム軸の回転位相を変化させることで、吸気バルブ105のバルブ作動角の中心位相を連続的に可変制御する第2の可変動弁機構としてのVTC(Variable valve Timing Control)機構113が設けられる。
【0036】
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)114は、アクセル開度に対応する目標吸入空気量が得られるように、前記電子制御スロットル104,VEL機構112及びVTC機構113を制御する。
【0037】
前記ECU114には、内燃機関101の吸入空気量を検出するエアフローメータ115、アクセルペダルセンサAPS116、クランク軸120から回転信号を取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118、内燃機関101の冷却水温度を検出する水温センサ119からの検出信号が入力される。
【0038】
また、各気筒の吸気バルブ105上流側の吸気ポート130には、電磁式の燃料噴射弁131が設けられ、該燃料噴射弁131は、前記ECU114からの噴射パルス信号によって開弁駆動されると、噴射パルス幅(開弁時間)に比例する量の燃料を噴射する。
【0039】
図2〜図4は、前記VEL機構112の構造を詳細に示すものである。
図2〜図4に示すVEL機構112は、一対の吸気バルブ105,105と、シリンダヘッド11のカム軸受14に回転自在に支持された中空状のカム軸13(駆動軸)と、該カム軸13に軸支された回転カムである2つの偏心カム15,15(駆動カム)と、前記カム軸13の上方位置に同じカム軸受14に回転自在に支持された制御軸16と、該制御軸16に制御カム17を介して揺動自在に支持された一対のロッカアーム18,18と、各吸気バルブ105,105の上端部にバルブリフター19,19を介して配置された一対のそれぞれ独立した揺動カム20,20とを備えている。
【0040】
前記偏心カム15,15とロッカアーム18,18とは、リンクアーム25,25によって連係され、ロッカアーム18,18と揺動カム20,20とは、リンク部材26,26によって連係されている。
【0041】
上記ロッカアーム18,18,リンクアーム25,25,リンク部材26,26が伝達機構を構成する。
前記偏心カム15は、図5に示すように、略リング状を呈し、小径なカム本体15aと、該カム本体15aの外端面に一体に設けられたフランジ部15bとからなり、内部軸方向にカム軸挿通孔15cが貫通形成されていると共に、カム本体15aの軸心Xがカム軸13の軸心Yから所定量だけ偏心している。
【0042】
また、前記偏心カム15は、カム軸13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカム軸挿通孔15cを介して圧入固定されている。
前記ロッカアーム18は、図4に示すように、略クランク状に屈曲形成され、中央の基部18aが制御カム17に回転自在に支持されている。
【0043】
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
【0044】
前記制御カム17は、円筒状を呈し、制御軸16外周に固定されていると共に、図2に示すように軸心P1位置が制御軸16の軸心P2からαだけ偏心している。
【0045】
前記揺動カム20は、図2及び図6,図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカム軸13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
【0046】
また、揺動カム20の下面には、基端部22側の基円面24aと該基円面24aから端部23端縁側に円弧状に延びるカム面24bとが形成されており、該基円面24aとカム面24bとが、揺動カム20の揺動位置に応じて各バルブリフター19の上面所定位置に当接するようになっている。
【0047】
即ち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
【0048】
また、前記リンクアーム25は、円環状の基部25aと、該基部25aの外周面所定位置に突設された突出端25bとを備え、基部25aの中央位置には、前記偏心カム15のカム本体15aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合穴25cが形成されている一方、突出端25bには、前記ピン21が回転自在に挿通するピン孔25dが貫通形成されている。
【0049】
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a,26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d,23aに圧入した各ピン28,29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c,26dが貫通形成されている。
【0050】
尚、各ピン21,28,29の一端部には、リンクアーム25やリンク部材26の軸方向の移動を規制するスナップリング30,31,32が設けられている。
【0051】
上記構成において、制御軸16の軸心P2と制御カム17の軸心P1との位置関係によって、図6,7に示すように、バルブリフト量が変化することになり、前記制御軸16を回転駆動させることで、制御カム17の軸心P1に対する制御軸16の軸心P2の位置を変化させる。
【0052】
前記制御軸16は、図10に示すような構成によって、ストッパにより制限される所定回転角度範囲内でDCサーボモータ(アクチュエータ)121により回転駆動されるようになっており、前記制御軸16の角度を前記アクチュエータ121で変化させることで、吸気バルブ105のバルブリフト量及びバルブ作動角が連続的に変化する(図9参照)。
【0053】
図10において、DCサーボモータ121は、その回転軸が制御軸16と平行になるように配置され、回転軸の先端には、かさ歯車122が軸支されている。一方、前記制御軸16の先端に一対のステー123a,123bが固定され、一対のステー123a,123bの先端部を連結する制御軸16と平行な軸周りに、ナット124が揺動可能に支持される。
【0054】
前記ナット124に噛み合わされるネジ棒125の先端には、前記かさ歯車122に噛み合わされるかさ歯車126が軸支されており、DCサーボモータ121の回転によってネジ棒125が回転し、該ネジ棒125に噛み合うナット124の位置が、ネジ棒125の軸方向に変位することで、制御軸16が回転されるようになっている。
【0055】
ここで、ナット124の位置をかさ歯車126に近づける方向が、バルブリフト量が小さくなる方向で、逆に、ナット124の位置をかさ歯車126から遠ざける方向が、バルブリフト量が大きくなる方向となっている。
【0056】
前記制御軸16の先端には、図10に示すように、制御軸16の角度を検出するポテンショメータ式の角度センサ127が設けられており、該角度センサ127で検出される実際の角度が目標角度に一致するように、前記ECU114が前記DCサーボモータ121をフィードバック制御する。
【0057】
尚、本実施形態では、角度センサ127で認識される制御軸16の角度が増大する方向が、バルブリフト量及び作動角が大きくなる方向としてある。
次に、前記VTC機構113の構成を、図11に基づいて説明する。
【0058】
本実施形態におけるVTC機構113は、ベーン式の可変バルブタイミング機構であり、クランク軸120によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット51(タイミングスプロケット)と、吸気側カム軸13の端部に固定されてカムスプロケット51内に回転自在に収容された回転部材53と、該回転部材53をカムスプロケット51に対して相対的に回転させる油圧回路54と、カムスプロケット51と回転部材53との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構60とを備えている。
【0059】
前記カムスプロケット51は、外周にタイミングチェーン(又はタイミングベルト)が噛合する歯部を有する回転部(図示省略)と、該回転部の前方に配置されて前記回転部材53を回転自在に収容するハウジング56と、該ハウジング56の前後開口を閉塞するフロントカバー,リアカバー(図示省略)とから構成される。
【0060】
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
【0061】
前記回転部材53は、吸気側カム軸14の前端部に固定されており、円環状の基部77の外周面に90°間隔で4つのベーン78a,78b,78c,78dが設けられている。
【0062】
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83を構成する。
【0063】
前記ロック機構60は、ロックピン84が、回転部材53の最大遅角側の回動位置(基準作動状態)において係合孔(図示省略)に係入するようになっている。
【0064】
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
【0065】
前記供給通路93には、オイルパン96内の油を圧送する機関駆動のオイルポンプ97が設けられている一方、ドレン通路94a,94bの下流端がオイルパン96に連通している。
【0066】
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
【0067】
前記電磁切換弁95は、内部のスプール弁体が各油圧通路91,92と供給通路93及びドレン通路94a,94bとを相対的に切り換え制御するようになっている。
【0068】
前記ECU114は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、ディザ信号が重畳されたデューティ制御信号に基づいて制御する。
【0069】
例えば、電磁アクチュエータ99にデューティ比0%の制御信号(OFF信号)を出力すると、オイルポンプ47から圧送された作動油は、第2油圧通路92を通って遅角側油圧室83に供給されると共に、進角側油圧室82内の作動油が、第1油圧通路91を通って第1ドレン通路94aからオイルパン96内に排出される。
【0070】
従って、遅角側油圧室83の内圧が高、進角側油圧室82の内圧が低となって、回転部材53は、ベーン78a〜78bを介して最大遅角側に回転し、この結果、吸気バルブ105の開期間(開時期及び閉時期)が遅くなる。
【0071】
一方、電磁アクチュエータ99にデューティ比100%の制御信号(ON信号)を出力すると、作動油は、第1油圧通路91を通って進角側油圧室82内に供給されると共に、遅角側油圧室83内の作動油が第2油圧通路92及び第2ドレン通路94bを通ってオイルパン96に排出され、遅角側油圧室83が低圧になる。
【0072】
このため、回転部材53は、ベーン78a〜78dを介して進角側へ最大に回転し、これによって、吸気バルブ105の開期間(開時期及び閉時期)が早くなる。
【0073】
尚、可変バルブタイミング機構は、上記のベーン式のものに限定されず、例えば、特開2001−041013号公報や特開2001−164951号公報に開示されるように、電磁クラッチ(電磁ブレーキ)の摩擦制動によってクランク軸に対するカム軸の回転位相を変化させる構成の可変バルブタイミング機構や、特開平9−195840号公報に開示される油圧によってヘリカルギヤを作動させる方式の可変バルブタイミング機構であっても良い。
【0074】
前述のように、前記ECU114は、前記電子制御スロットル104,VEL機構112及びVTC機構113を制御することで、機関101の吸入空気量を制御する。
【0075】
ところで、前述のように、VEL機構112はアクチュエータとしてDCサーボモータ121を用いる一方、VTC機構113はアクチュエータとして油圧アクチュエータを用いる構成であるため、VEL機構112によるバルブリフト量及び作動角の制御に対して、VTC機構113による中心位相の制御の応答が遅いという特性を有する。
【0076】
そして、前記応答性の違いによってバルブリフトの増減変化に対して、中心位相の進角・遅角が遅れ、吸気バルブ105の開時期・閉時期が過渡的に過進角・過遅角される可能性がある。
【0077】
そこで、本実施形態では、図12の制御ブロック図に示すようにして、前記VEL機構112を制御するようになっている。
図12の制御ブロック図において、実トルク演算部181では、機関101の実発生トルクTeを、吸入空気量等から演算する。
【0078】
残留ガスリミットテーブル182は、予め機関回転速度Neと発生トルクTeとに対応する残留ガス許容値RESLIMを記憶しており、前記実トルク演算部181で演算された実発生トルクTeとそのときの機関回転速度Neに対応する残留ガス許容値RESLIM(%)を出力する。
【0079】
前記残留ガス許容値RESLIMは、残留する燃焼ガスの許容最大値である。
一方、実EGR率演算部183は、実際の残留ガス率RES(%)を演算する。
前記実際の残留ガス率RESは、そのときの吸気バルブ105の開時期IVO、バルブリフト量、吸入空気量Q,機関回転速度Ne等から演算される。
【0080】
前記バルブリフト量は、角度センサ127で検出されるVEL機構112の制御軸16の角度から求められ、前記開時期IVOは、カムセンサ(図示省略)とクランク角センサ117との検出信号から求められるカム軸とクランク軸との間の回転位相差と、前記制御軸16の角度から求められるバルブ作動角とから算出される。
【0081】
尚、バルブオーバーラップ角度が同じでも、バルブリフト量が異なって開口面積が異なると、残留ガス量が変化するので、実EGR率演算部183ではバルブリフト量に応じた補正を施すようにしてある。
【0082】
偏差演算部184では、前記残留ガス許容値RESLIMと実残留ガス率RESとの偏差DLTRESを演算する。
DLTRES=RESLIM−RES
TGVEL加重平均係数テーブル185では、前記VEL機構112の制御軸16の目標角度TGVELを加重平均するときに用いる係数KAJURESを、前記偏差DLTRESに応じて設定する。
【0083】
前記偏差DLTRESは、許容値RESLIMに実際の残留ガス率が近づくほど、小さい値に算出され、前記係数KAJURESは、前記偏差DLTRESが大きくなるほど大きな値に設定され、前記偏差DLTRESが所定値以上では最大値である1.0に固定される。
【0084】
また、VEL−ETD部186では、アクセル開度等から算出される目標体積流量比や機関回転速度Ne等からVEL機構112の制御軸16の目標角度TGVEL0を算出する。
【0085】
そして、加重平均部187では、下式に従って目標角度TGVEL0を加重平均して目標角度TGVELを求める。
TGVEL=KAJURES*TGVEL0+(1−KAJURES)*TGVEL(-1)
尚、TGVEL(-1)は、目標角度TGVELの前回値である。
【0086】
前記加重平均部187での算出結果は、前記目標角度TGVEL0が一定又は増大変化しているときに、切り換え部188を介して最終的な制御目標として出力される。
【0087】
上記構成によると、許容値RESLIMに実際の残留ガス率が近づくと、前記係数KAJURESがより小さい値に設定され、結果、前回値TGVEL(-1)に対する重み付けが大きくなるから、VEL−ETD部186で演算される目標角度TGVEL0の増大変化に対して、最終的な目標角度TGVELの変化が遅れることになる。
【0088】
即ち、目標角度TGVEL0(目標バルブリフト量)の増大変化に対して、中心位相の遅角制御が遅れ、吸気バルブ105の開時期IVOが過進角されるようになり、これにより、実際の残留ガス率が大きくなって許容値RESLIMに近づくと、VEL機構112によるバルブリフト量の増大変化を遅らせる。
【0089】
これにより、VEL機構112がVTC機構112によりも応答良く吸気バルブ105のバルブリフト量及び作動角を増大変化させることによる開時期IVOの過進角が抑制される。
【0090】
一方、有効排気量リミットテーブル189は、予め機関回転速度Neと発生トルクTeとに対応する有効排気量許容値VCYLLIMを記憶しており、前記実トルク演算部191で演算された実発生トルクTeとそのときの機関回転速度Neに対応する有効排気量許容値VCYLLIMを出力する。
【0091】
前記有効排気量許容値VCYLLIMは、有効排気量の許容最小値である。
実VCYL演算部192では、そのときの吸気バルブ105の閉時期IVCに基づいて有効排気量の実際値RVCYLを演算する。
【0092】
前記閉時期IVCは、カムセンサ(図示省略)とクランク角センサ117との検出信号から求められるカム軸とクランク軸との間の回転位相差と、前記制御軸16の角度から求められるバルブ作動角とから算出される。
【0093】
偏差演算部193では、前記有効排気量許容値VCYLLIMと実有効排気量RVCYLとの偏差DLTVCYLを演算する。
DLTVCYL=RVCYL−VCYLLIM
TGVEL加重平均係数テーブル194では、前記VEL機構112の制御軸16の目標角度TGVELを加重平均するときに用いる係数KAJUVCYLを、前記偏差DLTVCYLに応じて設定する。
【0094】
前記偏差DLTVCYLは、許容値VCYLLIMに実際の有効排気量RVCYLが近づくほど、小さい値に算出され、前記係数KAJUVCYLは、前記偏差DLTRESが大きくなるほど大きな値に設定され、前記偏差DLTRESが所定値以上では最大値である1.0に固定される。
【0095】
また、VEL−ETD部195では、アクセル開度等から算出される目標体積流量比や機関回転速度Ne等からVEL機構112の制御軸16の目標角度TGVEL0を算出する。
【0096】
そして、加重平均部196では、下式に従って目標角度TGVEL0を加重平均して目標角度TGVELを求める。
TGVEL=KAJUVCYL*TGVEL0+(1−KAJUVCYL)*TGVEL(-1)
尚、TGVEL(-1)は、目標角度TGVELの前回値である。
【0097】
前記加重平均部196での算出結果は、前記目標角度TGVEL0が減少変化しているときに、切り換え部188を介して最終的な制御目標として出力される。
上記構成によると、許容値VCYLLIMに実際の有効排気量が近づくと、前記係数KAJUVCYLがより小さな値に設定され、結果、前回値TGVEL(-1)に対する重み付けが大きくなるから、VEL−ETD部195で演算される目標角度TGVEL0の減少変化に対して、最終的な目標角度TGVELの変化が遅れることになる。
【0098】
即ち、目標角度TGVEL0(バルブリフト量及び作動角)の減少変化に対して、中心位相の遅角制御が遅れ、吸気バルブ105の閉時期IVCが過進角されるようになり、これにより、実際の有効排気量が小さくなって許容値VCYLLIMに近づくと、VEL機構112によるバルブリフト量の減少変化を遅らせる。
【0099】
これにより、VEL機構112がVTC機構112によりも応答良く吸気バルブ105のバルブリフト量及び作動角を減少変化させることによる閉時期IVCの過進角が抑制される。
【0100】
図13に示す制御ブロック図は、前記VEL機構112の制御の参考例を示す。
図13において、中心位相角演算部201では、VTC機構113による中心位相の進角量VTCNOWと、最遅角時の中心位相の角度(例えば470deg)とから、そのときの中心位相の角度位置を求める。
【0101】
一方、VEL−ETD部202では、アクセル開度等から算出される目標体積流量比や機関回転速度Ne等からVEL機構112の制御軸16の目標角度TGVEL0を算出すると共に、残留ガス量の要求等から目標開時期TGIVO,目標閉時期TGIVCを算出する。
【0102】
半作動角演算部203,204では、中心位相と前記目標開時期TGIVO,目標閉時期TGIVCとの偏差に基づいて、作動角の半分の値を算出する。
前記作動角の半分の値は、乗算器205,206において2倍されることで、そのときの中心位相及び目標開時期TGIVO,目標閉時期TGIVCに見合うバルブ作動角LMCEVNT,LMOEVNTが求められる。
【0103】
作動角・VEL角度変換部207,208では、前記バルブ作動角LMCEVNT,LMOEVNTを、VEL機構112の制御軸16の角度VELOLM,VELCLMに変換する。
セレクトロー部209では、前記角度VELOLMと目標角度TGVEL0とのうちの小さい方を選択し、目標角度TGVELとして出力する。
【0104】
また、セレクトハイ部210では、前記角度VELCLMと目標角度TGVEL0とのうちの大きい方を選択し、目標角度TGVELとして出力する。
切り換え部211では、前記目標角度TGVEL0が一定又は増大変化しているときに、セレクトロー部209における選択結果を出力し、前記目標角度TGVEL0が減少変化しているときに、セレクトハイ部210における選択結果を出力する。
【0105】
前記角度VELOLMは、そのときの中心位相で目標開時期TGIVOにすることができる作動角に相当し、これを超える大きな作動角に制御されると、実際の開時期IVOが前記目標開時期TGIVOを超えて進角されることになってしまう。
【0106】
従って、前記目標角度TGVEL0が増大変化するときに、前記角度VELOLMと目標角度TGVEL0との小さい方を選択すれば、中心位相の遅角制御の遅れによって目標開時期TGIVOを超えて開時期IVOが進角されてしまうことを回避でき、以って、残留ガス量が過大になることを防止できる。
【0107】
また、前記角度VELCLMは、そのときの中心位相で目標閉時期TGIVCにすることができる作動角に相当し、これを下回る小さい作動角に制御されると、実際の開時期IVCが前記目標閉時期TGIVCを超えて進角されることになってしまう。
【0108】
従って、前記目標角度TGVEL0が減少変化するときに、前記角度VELCLMと目標角度TGVEL0との大きい方を選択すれば、中心位相の遅角制御の遅れによって目標閉時期TGIVCを超えて閉時期IVCが進角されてしまうことを回避でき、以って、有効排気量が過少になることを防止できる。
【0109】
図14に示す制御ブロック図は、前記VEL機構112の制御の他の参考例を示す。
図14において、実トルク演算部301では、機関101の実発生トルクTeを演算し、残留ガスリミットテーブル302は、前記実発生トルクTeと機関回転速度Neとに対応する残留ガス量の許容値RESLIMを出力する。
【0110】
前記残留ガス許容値RESLIM(%)は、変換部302において、そのときの機関負荷に基づいて残留ガス量W(mg/cycle)に変換される。
更に、前記残留ガス量Wは、残留ガス逆変換部304に出力され、ここで、吹き返しによる残留ガス量Wm0が算出される。
【0111】
前記残留ガス量Wは、排気バルブ107の閉時期EVCにシリンダ内に残留する分Wcylと、バルブオーバーラップにおいて吸気側に吹き返す分Wmとの合計からなる。
【0112】
ここで、前記閉時期EVCにシリンダ内に残留する分Wcylは、吸入空気量,閉時期EVCに応じて推定することができるから、前記残留ガス量W及びシリンダ残留分Wcyl、更に、吸気圧・回転速度に応じた補正値に基づいて、吹き返しによる残留ガス量Wm0を求める。
【0113】
前記バルブオーバーラップ時の吹き返しによる残留ガス量Wm0は、O/L開口面積演算部305に出力され、ここで、残留ガス量Wm0に見合うバルブオーバーラップ時のバルブ開口面積ABKFLOWが演算される。
【0114】
一方、実IVO演算部306では、カムセンサ(図示省略)とクランク角センサ117との検出信号から求められるカム軸とクランク軸との間の回転位相差と、前記制御軸16の角度から求められるバルブ作動角とから、吸気バルブ105の実際の開時期RIVOを演算する。
【0115】
そして、VEL限界値演算部307では、前記バルブ開口面積ABKFLOWと実開時期RIVOとから、残留ガスによるVEL限界値RESVELLMを設定する。
本参考例の場合、排気バルブ107の閉時期EVCは固定であるから、実開時期RIVOでバルブオーバーラップ角度が決まり、更に、バルブ開口面積は、バルブリフト量の増大に応じて増加するので、バルブオーバーラップ角度が決まれば、前記バルブ開口面積ABKFLOWとするためのバルブリフト量が決まることになる。
【0116】
そして、前記バルブ開口面積ABKFLOWは、残留ガス量が許容最大値となるときのバルブ開口面積であるから、前記限界値RESVELLMは、残留ガス量を許容最大値以下とするための最大バルブリフト量に相当する。
【0117】
前記VEL限界値RESVELLMは、VEL−ETD演算部308で演算された目標角度TGVEL0と共に、セレクトロー部309へ入力され、前記VEL限界値RESVELLMと目標角度TGVEL0とのうちの小さい方が選択される。
【0118】
前記セレクトロー部309の出力は、切り換え部310によって、目標角度TGVEL0が一定又は増大変化するときに、最終的な制御目標として出力される。
従って、バルブリフト量を増大変化させるときに、中心位相の遅角制御が遅れても、前記バルブ開口面積ABKFLOWを超えるバルブ開口面積になることが回避され、結果、残留ガス量が許容値を超えることを防止できる。
【0119】
また、有効排気量リミットテーブル311では、実発生トルクTeと機関回転速度Neとから有効排気量の許容値(許容最小値)VCYLLIMを演算する。
閉時期限界演算部312では、前記有効排気量の許容値VCYLLIMから、吸気バルブ105の閉時期IVCの限界値LIMIVCを演算する。
【0120】
一方、VTC機構113による位相進角値VTCNOWと、最遅角時の中心位相位置とから、中心角位置演算部313で、そのときの吸気バルブ105の中心位相位置を演算する。
【0121】
半作動角演算部314では、前記中心位相位置と閉時期IVCの限界値LIMIVCとの偏差として、現在の中心位相位置で閉時期IVCが限界値LIMIVCとなる作動角の半分を求める。
【0122】
作動角演算部315では、前記作動角の半分を2倍して、有効排気量が許容値VCYLLIMとなる吸気バルブ105の作動角LMCEVNTを求める。
VEL限界値演算部316では、前記作動角LMCEVNTに対応する制御軸16の角度VELCLMを演算する。
【0123】
前記角度VELCLMは、VEL−ETD演算部308で演算された目標角度TGVEL0と共に、セレクトハイ部317へ入力され、前記角度VELCLMと目標角度TGVEL0とのうちの大きい方が選択される。
【0124】
前記セレクトハイ部317の出力は、切り換え部310によって、目標角度TGVEL0が減少変化するときに、最終的な制御目標として出力される。
従って、バルブリフト量を減少変化させるときに、中心位相の遅角制御が遅れても、限界値LIMIVCよりも閉時期IVCが進角されることが回避され、結果、有効排気量が最小許容値を下回るようになることを防止できる。
【0125】
ところで、上記のように、残留ガス量や有効排気量の要求から、VEL機構112の目標角度TGVELに制限を加えた場合、図15に示すように、目標体積流量比から要求される目標角度TGVELの変化方向とは逆方向に、目標を変化させる結果となる場合が生じ、これによってトルク応答が悪化する可能性がある。
【0126】
そこで、以下に示すようにして、要求変化方向とは逆方向へ制御目標が変化することを制限することが好ましい。
図16の制御ブロック図は、前記図14の制御ブロック図に対して、要求変化方向とは逆方向へ制御目標TGVELが変化することを制限するための構成を追加した参考例を示すものである。
【0127】
図16の制御ブロック図において、記憶部320は、VEL−ETD演算部308で演算された目標角度TGVEL0のステップ変化前の値を記憶する。
そして、逆方向分カット部321は、目標角度TGVEL0の増大変化時であれば、ステップ変化前の目標角度TGVEL0よりも小さい目標角度TGVELが前記切り換え部310から出力されると、代わりに、前記記憶されているステップ変化前の値を出力する(図17参照)。
【0128】
また、目標角度TGVEL0の減少変化時であれば、前記切り換え部310からステップ変化前の目標角度TGVEL0よりも大きい角度TGVELが出力されると、代わりに、前記記憶されているステップ変化前の値を出力する。
【0129】
これにより、目標角度TGVEL0の増大変化時であれば、ステップ変化前の目標角度TGVEL0よりも小さい目標角度TGVELが設定されることがなく、目標角度TGVEL0の減少変化時であれば、ステップ変化前の目標角度TGVEL0よりも大きい角度TGVELが設定されることがなく、要求変化に見合った吸気量変化を得ることができる。
【0130】
図18の制御ブロック図は、前記図14の制御ブロック図に対して、要求変化方向とは逆方向へ制御目標が変化することを制限するための構成を追加した参考例を示すものである。
【0131】
図18の制御ブロック図では、前記切り換え部310から出力される制御目標TGVELを加重平均演算部330で加重平均し、該加重平均後の制御目標TGVELに従って、VEL機構112を制御させるようにしてある。
【0132】
かかる構成によると、図19に示すように、目標角度TGVEL0の変化方向とは逆方向への目標変化がなまし補正されるから、逆方向への変化を抑制できることになる。
【0133】
尚、逆方向への変化が収束した時点で、前記加重平均処理をキャンセルしても良い。
図20の制御ブロック図は、前記図14の制御ブロック図に対して、要求変化方向とは逆方向へ制御目標が変化することを制限するための構成を追加した参考例を示すものである。
【0134】
図20の制御ブロック図では、前記VEL−ETD部308で演算される目標角度TGVEL0を加重平均演算部340で加重平均して、その結果を前記セレクトロー部309,セレクトハイ部317に出力させる構成としてある。
【0135】
かかる構成によると、目標角度TGVEL0を加重平均すると、VEL機構112の制御応答を見掛け上劣化させたことになり(図21参照)、VTC機構113によるバルブタイミング制御の遅れを補償するためのVEL機構112側の制御応答の制限要求が縮小するから、大きく逆方向に制御目標TGVELが変化することが抑止される。
【0136】
図22の制御ブロック図は、前記図14の制御ブロック図に対して、要求変化方向とは逆方向へ制御目標が変化することを制限するための構成を追加した参考例を示すものである。
【0137】
図22の制御ブロック図においては、VEL限界値演算部307で残留ガスによるVEL限界値RESVELLMを設定するときに用いる実開時期RIVOに対して、オフセット補正部350で所定のオフセット量IVOFFSETを加算する。
【0138】
また、閉時期限界演算部312で演算された限界値LIMIVCから、オフセット補正部351で所定のオフセット量IVCFFSETを減算し、該オフセット補正後の限界値LIMIVCと現時点の中心位相とから作動角LMCEVNTを演算させる。
【0139】
尚、本参考例において、実開時期RIVOに対してオフセット量IVOFFSETを加算することは、実開時期RIVOを遅角補正することになり、また、限界値LIMIVCからオフセット量IVCFFSETを減算することは、限界値LIMIVCを進角補正することになる。
【0140】
そして、実開時期RIVOをオフセット量IVOFFSETだけ遅角補正すれば、実際よりもオーバーラップ量が小さいものとして、VEL限界値RESVELLMを設定することになるから、残留ガス量を制限するためのVEL限界値RESVELLM(バルブリフト量制限値)としては、より大きな値が設定されることになる。
【0141】
従って、前記セレクトロー部309でVEL限界値RESVELLMが選択される場合であっても、目標角度TGVELが大きく落ち込むことを抑止でき、特に、目標角度TGVELの増大変化時に減少方向に目標角度TGVELが大きく変化することが回避される(図23参照)。
【0142】
また、限界値LIMIVCをオフセット量IVCFFSETだけ進角補正すれば、作動角としてより小さな値が算出され、結果、有効排気量を許容最小値以上とするためのバルブリフト量の要求も小さくなる。
【0143】
従って、前記セレクトハイ部317で角度VELCLMが選択される場合であっても、目標角度TGVELが大きく増大変化することを抑止でき、特に、目標角度TGVELの減少変化時に増大方向に目標角度TGVELが大きく変化することが回避される。
【0144】
尚、吸気バルブ105のバルブリフト量及び作動角を可変にする機構を図2〜図7に示したVEL機構112に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態における内燃機関のシステム構成図。
【図2】VEL(Variable valve Event and Lift)機構を示す断面図(図3のA−A断面図)。
【図3】上記VEL機構の側面図。
【図4】上記VEL機構の平面図。
【図5】上記VEL機構に使用される偏心カムを示す斜視図。
【図6】上記VEL機構の低リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。
【図7】上記VEL機構の高リフト時の作用を示す断面図(図3のB−B断面図)。
【図8】上記VEL機構における揺動カムの基端面とカム面に対応したバルブリフト特性図。
【図9】上記VEL機構のバルブタイミングとバルブリフトの特性図。
【図10】上記VEL機構における制御軸の回転駆動機構を示す斜視図。
【図11】VTC(Variable valve Timing Control)機構を示す縦断面図。
【図12】上記VEL機構における制御目標を制限する制御の第1実施形態を示す制御ブロック図。
【図13】上記VEL機構における制御目標を制限する制御の第2実施形態を示す制御ブロック図。
【図14】上記VEL機構における制御目標を制限する制御の第3実施形態を示す制御ブロック図。
【図15】上記VEL機構における制御目標を制限する制御における最終的な制御目標の変化特性を示すタイムチャート。
【図16】上記VEL機構における制御目標を制限する制御の第4実施形態を示す制御ブロック図。
【図17】上記第4実施形態におけるVEL機構の制御目標の変化特性を示すタイムチャート。
【図18】上記VEL機構における制御目標を制限する制御の第5実施形態を示す制御ブロック図。
【図19】上記第5実施形態におけるVEL機構の制御目標の変化特性を示すタイムチャート。
【図20】上記VEL機構における制御目標を制限する制御の第6実施形態を示す制御ブロック図。
【図21】上記第6実施形態におけるVEL機構の制御目標の変化特性を示すタイムチャート。
【図22】上記VEL機構における制御目標を制限する制御の第7実施形態を示す制御ブロック図。
【図23】上記第7実施形態におけるVEL機構の制御目標の変化特性を示すタイムチャート。
【符号の説明】
101…エンジン、104…電子制御スロットル、105…吸気バルブ、107…排気バルブ、112…VEL機構、113…VTC機構、114…エンジンコントロールユニット(ECU)、115…エアフローメータ、131…燃料噴射弁

Claims (5)

  1. モータにより駆動され、吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を可変とする第1の可変動弁機構と、油圧アクチュエータにより駆動され、前記吸気バルブの作動角の中心位相を可変とする第2の可変動弁機構とを備えた内燃機関において、
    前記第1の可変動弁機構によって前記吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を増大変化させ、かつ、前記第2の可変動弁機構によって前記吸気バルブの作動角の中心位相を遅角させる前記吸気バルブの開特性の切り換え過渡時に、機関運転条件に基づく目標バルブリフト量に対し、増大変化を遅らせる処理を施し、該処理後の目標バルブリフト量に基づいて前記第1の可変動弁機構を制御することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。
  2. モータにより駆動され、吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を可変とする第1の可変動弁機構と、油圧アクチュエータにより駆動され、前記吸気バルブの作動角の中心位相を可変とする第2の可変動弁機構とを備えた内燃機関において、
    前記第1の可変動弁機構によって前記吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を減少変化させ、かつ、前記第2の可変動弁機構によって前記吸気バルブの作動角の中心位相を遅角させる前記吸気バルブの開特性の切り換え過渡時に、機関運転条件に基づく目標バルブリフト量に対し、減少変化を遅らせる処理を施し、該処理後の目標バルブリフト量に基づいて前記第1の可変動弁機構を制御することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。
  3. モータにより駆動され、吸気バルブのバルブリフト量及び作動角を可変とする第1の可変動弁機構と、油圧アクチュエータにより駆動され、前記吸気バルブの作動角の中心位相を可変とする第2の可変動弁機構とを備えた内燃機関において、
    前記第1の可変動弁機構及び第2の可変動弁機構の双方によって前記吸気バルブの開特性を切り換える過渡時に、前記吸気バルブの開時期又は閉時期の過進角を抑制すべく、機関運転条件に基づく目標バルブリフト量に対し、変化を遅らせる処理を施し、該処理後の目標バルブリフト量に基づいて前記第1の可変動弁機構を制御することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。
  4. 運転条件に基づいて残留ガス量の許容最大値を設定し、前記バルブリフト量の増大変化時に、該残留ガス量の許容最大値に実際の残留ガス量が近づくほど、前記第1の可変動弁機構における目標バルブリフト量の増大変化をより大きく遅らせることを特徴とする請求項記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
  5. 運転条件に基づいて有効排気量の許容最小値を設定し、前記バルブリフト量の減少変化時に、前記有効排気量の許容最小値に実際の有効排気量が近づくほど、前記第1の可変動弁機構における目標バルブリフト量の減少変化をより大きく遅らせることを特徴とする請求項記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
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