JP2007332943A - 内燃機関の可変動弁制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】リフト・作動角可変機構により吸気バルブのリフト・作動角を目標に向けて減少変化させている途中において、吸気バルブの開時期が過進角されることを回避すべく、中心位相可変機構による中心位相の進角変化を、吸気バルブの目標開時期とリフト・作動角の実際値とに基づく最大進角値以下に制限する。
【選択図】図5
Description
このため、過渡運転に伴う吸気バルブの開特性の変更要求に対して、実際の開特性の変化が遅れることで吸入空気量の変化が遅れ、例えば減速時に吸入空気量の減少が遅れることで燃費性能を低下させてしまうという問題があった。
上記発明によると、リフト・作動角可変機構が目標値に収束していない状態、すなわち、リフト・作動角可変機構により機関バルブのリフト・作動角を目標に向けて変化させている途中において、同時に中心位相可変機構による中心位相の変更がなされることで、機関バルブの開閉時期が不正に変化することを回避すべく、中心位相可変機構による中心位相を、制限すべき中心位相を示す機関バルブの目標開閉時期とリフト・作動角の実際値とに基づいて制限する。
請求項2記載の発明は、リフト・作動角可変機構が前記目標値に収束していない状態を、リフト・作動角の目標値と、そのときの実際のリフト・作動角との偏差に基づいて判断することを特徴とする。
従って、リフト・作動角可変機構が機関バルブのリフト・作動角を目標に向けて変化させつつある状態を的確に判断できる。
上記発明によると、機関バルブの中心位相を、機関バルブの目標開閉時期と作動角の実際値とに応じて制限することで、例えば、中心位相の進角要求時に、中心位相を遅角変化させることになる場合には、前記中心位相を遅角させることになる制限を禁止する。
請求項4記載の発明は、中心位相の制限が、中心位相の要求変化方向とは逆方向に中心位相を変化させる場合に、機関バルブの中心位相を前回値に保持することを特徴とする。
従って、中心位相の制限によって中心位相が要求の変化方向とは逆に変化することを回避しつつ、リフト・作動角の変化に対する過剰な中心位相の変化を制限できる。
図1〜図3は、本発明に係る可変動弁制御装置を、車両用内燃機関の吸気バルブ側に適用した一実施形態を示している。
内燃機関の各気筒には、一対の吸気バルブ12,12及び図外の排気バルブが設けられ、各吸排気バルブはシリンダヘッド11に摺動自在に支持されている。
リフト・作動角可変機構1は、シリンダヘッド11上部の軸受14に回転自在に支持された中空状の駆動軸13と、この駆動軸13に固設された2つの駆動カム15,15と、駆動軸13に揺動自在に支持されて、バルブリフタ16,16の平坦な上面16a,16aに摺接して各吸気バルブ12,12を開作動させる摺動カム17,17と、駆動カム15と揺動カム17,17との間に連係されて、駆動カム15の回転力を揺動カム17,17の揺動力として伝達する伝達機構18と、この伝達機構18の作動位置を可変制御する制御機構19と、を備えている。
軸受14は、駆動軸13の上部を支持するメインブラケット14aと、このメインブラケット14aの上端部に設けられて、制御軸32を回転自在に支持するサブブラケット14bとを有し、両ブラケット14a,14bが一対のボルト14c,14cによって共締め固定されている。
また、この各駆動カム15は、両バルブリフタ16,16に干渉しない位置で駆動軸13に固定されていると共に、両方のカム本体15a,15aの外周面15d,15dが同一のカムプロフィールに形成されている。
上記のカム面22には、基端部20側の基円面22aと、この基円面22aからカムノーズ部21側に円弧状に延びるランプ面22bと、このランプ面22bの先端側に有するリフト面22cと、が形成され、これらの基円面22a,ランプ面22b及びリフト面22cが、揺動カム17の揺動位置に応じて各バルブリフタ上面16aの所定位置に当接する。
ロッカアーム23の中央に設けられる筒状基部23cが、制御カム33に回転自在に支持される。
また、リンクアーム24は、円環状の基部24aと、この基部24aの外周面所定位置に突設された突出端24dとを備え、基部24aの中央位置には、駆動カム15のカム本体15aの外周面に回転自在に嵌合する嵌合孔24cが形成されている一方、突出端24bには、ピン26が回転自在に挿通するピン孔24dが貫通形成されている。
そして、このリンクロッド25は、揺動カム17の最大揺動範囲をロッカアーム23の揺動範囲内に規制するようになっている。
制御機構19は、制御軸32と、この制御軸32の外周に固定されてロッカアーム23の揺動支点となる制御カム33と、制御軸32の回転位置を制御するアクチュエータ34とから構成されている。
一方、各制御カム33は、夫々円筒状を呈し、軸心P1位置が制御軸32の軸心P2からα分だけ偏心している。
なお、このアクチュエータ34として、本実施形態では、油圧アクチュエータを用いるが、ステップモータを用いることができる。
一方、中心位相可変機構2は、図1に示すように、図外のタイミングチェーンによって機関のクランクシャフトから回転力が伝達されてこのクランクシャフトと同期して回転するタイミングスプロケット40と、駆動軸13の先端部にボルト41によって軸方向から固定されたスリープ42と、タイミングスプロケット40とスリープ42との間に介装された筒状歯車43と、この筒状歯車43を駆動軸13の前後軸方向へ駆動させる駆動機構である油圧回路44とから構成されている。
また、筒状本体40aの内周面には、はす歯形のインナ歯が形成されている。
スリープ42は、後端側に駆動軸13の先端部が嵌合する嵌合溝が形成されていると共に、前端部にはフロントカバー40cを介してタイミングスプロケット40を前方に付勢するコイルスプリング47が装着されている。
筒状歯車43は、軸直角方向から2分割されて前後の歯車構成部がピンとスプリングによって互いに接近する方向に付勢されていると共に、内外周面には各インナ歯46とアウタ歯48に噛合いするはす歯形の内外歯が形成されており、前後に形成された第1,第2油圧室49,50へ相対的に供給される油圧によって各歯間を摺接しながら前後軸方向へ移動するようになっている。
さらに、第2油圧室50内に弾装されたリターンスプリング51によって第1油圧室49の油圧が供給されない場合に最大前方移動位置に付勢されるようになっている。
流路切り換え弁56は、コントロールユニット37からの制御信号によって、切り換え駆動されるようになっている。
このように、本実施形態では、リフト・作動角可変機構1,中心位相可変機構2は、駆動源であるオイルポンプ52を共用する。
また、制御軸32の現在の回転位置を検出する第1位置検出センサ58からの信号に基づいて流路切り換え弁60に制御信号を出力することでリフト・作動角可変機構1をフィードバック制御する一方、駆動軸13の回転位置を検出する第2位置検出センサ59からの信号と、前記クランク角センサ101からの信号とから、駆動軸13とクランクシャフトとの相対回転位相差を演算し、前記回転位相差に基づいて流路切り換え弁56に制御信号を出力することで、中心位相可変機構2をフィードバック制御する。
図4は、上記リフト・作動角可変機構1,中心位相可変機構2によるバルブリフト特性の変化の様子を示している。
同図に示すように、リフト・作動角可変機構1を駆動した場合、矢印(イ)に示すように、吸気バルブ12の作動角の中心位相が略一定のままで、吸気バルブ12の作動角及びバルブリフト量の双方が連続的に増減する。
前記コントロールユニット37は、前述のように、目標値TGVELに基づくリフト・作動角可変機構1の駆動制御と、目標値TGVTCに基づく中心位相可変機構2の駆動制御とを行うが、中心位相可変機構2により吸気バルブ12の中心位相が目標に向けて収束する過程において、前記リフト・作動角可変機構1の動作(吸気バルブ12の作動角)を制限し、また、リフト・作動角可変機構1により吸気バルブ12のリフト・作動角が目標に向けて収束する過程において、前記中心位相可変機構2の動作(吸気バルブ12の中心位相)を制限する機能である協調制御機能を、図5のフローチャートに示すようにソフトウェア的に備えている。
ここで、吸気バルブ12のリフト・作動角の目標値TGVEL(制御軸32の目標回転位置)と、第1位置検出センサ58で検出される実際のリフト・作動角REALVEL(制御軸32の実際の回転位置)との偏差の絶対値が所定値以上である場合、即ち、リフト・作動角可変機構1が目標付近に収束しておらず、目標に向けて変化しつつある状態であれば、中心位相可変機構2の制限が必要と判断してステップS2へ進む。
ステップS2では、後述する中心位相制限値MAXADVを演算するときに用いるリフト・作動角として、そのときの実際のリフト・作動角REALVELを設定する。
一方、前記目標値TGVELと実際のリフト・作動角REALVELとの偏差の絶対値が所定値未満である場合、即ち、リフト・作動角可変機構1が目標付近に収束している状態であれば、中心位相可変機構2の動作制限は不要と判断し、ステップS3へ進む。
ステップS3では、前記中心位相制限値MAXADVを演算するときに用いるリフト・作動角として、前記目標値TGVELを設定する。
また、ステップS4では、リフト・作動角可変機構1の動作の制限が必要な条件であるか否かを判断する。
ステップS5では、後述する作動角制限値MAXEを演算するときに用いる中心位相として、そのときの実際の中心位相REALVTCを設定する。
一方、前記目標値TGVTCと実際の中心位相REALVTCとの偏差の絶対値が所定値未満である場合、中心位相可変機構2が目標付近に収束している状態であれば、リフト・作動角可変機構1の動作制限は不要と判断し、ステップS6へ進む。
ステップS7では、目標値TGVEL及び目標値TGVTCから求められる吸気バルブ12の目標開時期IVOに基づいて、中心位相制限値MAXADV及び作動角制限値MAXEを演算する。
前記最遅角位置,目標開時期は、例えば圧縮上死点からのクランク角で表され、前記中心位相制限値MAXADVは、そのときの作動角で目標開時期となる中心位相を示し、後述するように、前記中心位相制限値MAXADVを許容最大進角量として、中心位相が制限される。
また、作動角制限値MAXEは、ステップS5へ進んだ場合には、作動角制限値MAXE=(現在の中心位相−目標開時期IVO)×2として算出され、ステップS6へ進んだ場合には、作動角制限値MAXE=(目標の中心位相−目標開時期IVO)×2として算出される。
そして、前記制限値MAXEを許容最大リフト・作動角として、リフト・作動角が制限される。
ここで、目標値TGVTC≧中心位相制限値MAXADVであり、かつ、中心位相制限値MAXADV<前回の実中心位相であるときには、過補正になると判断する。
本実施形態において、前記目標値TGVTCは最遅角状態からの進角量を示し、前記中心位相制限値MAXADVは、許容最大進角量を示すから、目標値TGVTC≧中心位相制限値MAXADVは、中心位相制限値MAXADVによって本来の目標よりも遅角側に中心位相が制限される状態を示し、中心位相制限値MAXADV<前回の実中心位相は、前回の実中心位相よりも今回の中心位相制限値MAXADVが遅角側であり、中心位相制限値MAXADVによる制限によって中心位相が遅角変化させられる状態を示す。
一方、目標値TGVTC≦中心位相制限値MAXADV、及び/又は、中心位相制限値MAXADV>前回の実中心位相であるときには、今回の中心位相制限値MAXADVによる制限で過補正にならないと判断し、ステップS10へ進み、ステップS7で演算された中心位相制限値MAXADVをそのまま最終的な制限値MAXADVfに設定する。
ステップS14では、制限値MAXEによるリフト・作動角可変機構1の目標値の制限が過補正になるか否かを判断する。
目標値TGVEL≧作動角制限値MAXEは、作動角制限値MAXEによって本来の目標よりも作動角がより小さく制限される状態を示し、作動角制限値MAXE<前回の実作動角は、前回の実作動角よりも今回の制限値MAXEが小さく、制限値MAXEによって作動角が減少変化させられる状態を示す。
一方、目標値TGVEL≦作動角制限値MAXE、及び/又は、作動角制限値MAXE>前回の実作動角あるときには、今回の制限値MAXEによる制限で過補正にならないと判断し、ステップS16へ進み、ステップS7で演算された作動角制限値MAXEをそのまま最終的な制限値MAXEfに設定する。
前記最終的な目標値TGVELf,TGVTCfに基づいて前記リフト・作動角可変機構1,中心位相可変機構2がフィードバック制御される。
例えば、加速時に、図7に示すように、中心位相の遅角制御とリフト・作動角の増大制御とを同時に行って、吸気バルブ12の開時期IVOをより遅角し、かつ、リフト・作動角をより大きな状態に変化させる場合、中心位相の遅角制御に対してリフト・作動角の増大変化が早すぎると、途中で開時期IVOが進角変化し、目標開時期よりも大幅に進角してしまう可能性がある。
従って、中心位相可変機構2による中心位相の遅角制御と、リフト・作動角可変機構1によるリフト・作動角の増大制御とを同時進行させても、開時期IVOが不正に進角されることでバルブオーバーラップが大きくなり、残留ガス量が多くなることなどが回避されると共に、リフト・作動角の増大が大きく遅れて加速性能が低下することを防止できる。
このとき、本実施形態によると、実際の開時期が目標開時期IVOを越えて進角されてしまうことが、中心位相(進角量)の増大変化の制限によって回避される。
尚、上記実施形態では、リフト・作動角可変機構1及び中心位相可変機構2を吸気バルブ12側に備えた内燃機関としたが、排気バルブ側に前記リフト・作動角可変機構1及び中心位相可変機構2を備える内燃機関において、排気バルブのリフト・作動角及び中心位相を変化させるときに、目標閉時期に基づいてリフト・作動角の増大変化・中心位相の遅角変化を制限させることができる。
(イ)前記機関バルブが吸気バルブであり、前記吸気バルブの中心位相を、前記吸気バルブの目標開時期と実際の作動角とに基づいて制限することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
(ロ)前記機関バルブの目標開閉時期と実際の作動角とに対応する中心位相を限界値として、前記機関バルブの中心位相を制限することを特徴とする請求項1〜4,(イ)のいずれか1つに記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
(ハ)機関バルブのリフト及び作動角を変更するリフト・作動角可変機構と、前記機関バルブの作動角の中心位相を変更する中心位相可変機構とを備え、
機関運転状態に基づいて前記リフト・作動角の目標値及び前記中心位相の目標値をそれぞれに演算し、前記目標値に基づいて前記リフト・作動角可変機構,中心位相可変機構を制御する内燃機関の可変動弁制御装置であって、
前記両可変機構の一方が前記目標値に収束していない状態において、他方の可変機構の制御量を、前記機関バルブの目標開閉時期と前記一方の可変機構の制御量の実際値とに応じて制限することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。
(ニ)機関バルブのリフト及び作動角を変更するリフト・作動角可変機構と、前記機関バルブの作動角の中心位相を変更する中心位相可変機構とを備え、
機関運転状態に基づいて前記リフト・作動角の目標値及び前記中心位相の目標値をそれぞれに演算し、前記目標値に基づいて前記リフト・作動角可変機構,中心位相可変機構を制御する内燃機関の可変動弁制御装置であって、
前記リフト・作動角可変機構が前記目標値に収束していない状態において、前記中心位相可変機構による中心位相を、前記機関バルブの目標開閉時期と前記リフト・作動角の実際値とに応じて制限すると共に、
前記中心位相可変機構が前記目標値に収束していない状態において、前記リフト・作動角可変機構による作動角を、前記機関バルブの目標開閉時期と前記中心位相の実際値とに応じて制限することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。
(ホ)前記機関バルブが吸気バルブであり、前記吸気バルブの目標開時期とリフト・作動角の実際値とに応じて、中心位相の進角を制限する一方、前記吸気バルブの目標開時期と中心位相の実際値とに応じて、リフト・作動角の増大を制限することを特徴とする請求項(ニ)記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
Claims (4)
- 機関バルブのリフト及び作動角を変更するリフト・作動角可変機構と、前記機関バルブの作動角の中心位相を変更する中心位相可変機構とを備え、
機関運転状態に基づいて前記リフト・作動角の目標値及び前記中心位相の目標値をそれぞれに演算し、前記目標値に基づいて前記リフト・作動角可変機構,中心位相可変機構を制御する内燃機関の可変動弁制御装置であって、
前記リフト・作動角可変機構が前記目標値に収束していない状態において、前記中心位相可変機構による中心位相を、前記機関バルブの目標開閉時期と前記リフト・作動角の実際値とに応じて制限することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。 - 前記リフト・作動角可変機構が前記目標値に収束していない状態を、前記リフト・作動角の目標値と、そのときの実際のリフト・作動角との偏差に基づいて判断することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
- 前記機関バルブの目標開閉時期と前記リフト・作動角の実際値とに応じた中心位相の制限を、中心位相の要求変化方向とは逆方向に中心位相を変化させる場合に禁止することを特徴とする請求項1又は2記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
- 前記中心位相の制限が、中心位相の要求変化方向とは逆方向に中心位相を変化させる場合に、前記機関バルブの中心位相を前回値に保持することを特徴とする請求項3記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
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