JP4299159B2 - 内燃機関の可変動弁制御装置 - Google Patents
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Description
このため、低回転時には、中心位相の検出結果を用いる制御の実行周期よりも中心位相の検出周期が長くなり、この結果、中心位相が更新される間で実際とは異なる中心位相に基づいて制御が行われることになる。
しかし、上記のように、中心位相の検出周期が長くなると、実際の中心位相とは異なる値に基づいて開閉時期の限界を超えるか否かの判断が行なわれることになり、これによって開閉時期が限界を超える作動角に制御されてしまう可能性があるという問題があった。
請求項2記載の発明では、前記開閉時期の限界値としての開時期の進角限界を、前記中心位相の検出周期が長くなるほど遅角側に補正し、前記開閉時期の限界値としての閉時期の遅角限界を、前記中心位相の検出周期が長くなるほど進角側に補正して、前記中心位相の検出周期が長くなるほど、前記作動角の最大値をより小さく補正する構成とした。
かかる構成によると、開時期の進角限界は遅角補正されて、開時期が遅角側に制限されることになり、また、閉時期の遅角限界は進角補正されて、閉時期がより進角側に制限されることになり、進角限界よりも遅角された開時期と、遅角限界よりも進角された閉時期となる作動角が限界値として設定される。
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103bを開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
燃焼排気は燃焼室106から排気バルブ107を介して排出され、フロント触媒108及びリア触媒109で浄化された後、大気中に放出される。
一方、吸気バルブ105側には、吸気バルブ105のバルブリフト量を作動角と共に連続的に可変するVEL(Variable valve Event and Lift)機構112が設けられる。
前記VEL機構112が、本実施形態における可変動弁機構に相当する。
前記VTC機構113が、本実施形態における可変バルブタイミング機構に相当する。
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)114は、要求トルクに対応する要求吸入空気量や要求シリンダ残留ガス率等が得られるように、VEL機構112及びVTC機構113を制御する一方、要求の吸入負圧が得られるように、前記電子制御スロットル104を制御する。
図2〜図4は、前記VEL機構112の構造を詳細に示すものである。
上記ロッカアーム18,18,リンクアーム25,25,リンク部材26,26が伝達機構を構成する。
また、前記偏心カム15は、カムシャフト13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカム軸挿通孔15cを介して圧入固定されている。
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
前記揺動カム20は、図2及び図6,図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカムシャフト13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
即ち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a,26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d,23aに圧入した各ピン28,29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c,26dが貫通形成されている。
上記構成において、制御軸16の軸心P2と制御カム17の軸心P1との位置関係によって、図6,7に示すように、バルブリフト量が変化することになり、前記制御軸16を回転駆動させることで、制御カム17の軸心P1に対する制御軸16の軸心P2の位置を変化させる。
一方、前記制御軸16の先端に一対のステー123a,123bが固定され、一対のステー123a,123bの先端部を連結する制御軸16と平行な軸周りに、ナット124が揺動可能に支持される。
ここで、ナット124の位置をかさ歯車126に近づける方向が、バルブリフト量が小さくなる方向で、逆に、ナット124の位置をかさ歯車126から遠ざける方向が、バルブリフト量が大きくなる方向となっている。
また、前記制御軸16の外周に突出形成したストッパ部材128が、固定側の受け部材(図示省略)に対してバルブリフトの増大方向及び減少方向の双方で当接することで、制御軸16の回転範囲が規制され、これにより最小バルブリフト量及び最大バルブリフト量が規定されるようになっている。
本実施形態におけるVTC機構113は、ベーン式の可変バルブタイミング機構であり、クランクシャフト120によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット51(タイミングスプロケット)と、吸気側カムシャフト13の端部に固定されてカムスプロケット51内に回転自在に収容された回転部材53と、該回転部材53をカムスプロケット51に対して相対的に回転させる油圧回路54と、カムスプロケット51と回転部材53との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構60とを備えている。
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83を構成する。
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
前記ECU114は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、ディザ信号が重畳されたデューティ制御信号に基づいて制御する。
例えば、電磁アクチュエータ99にデューティ比0%の制御信号(OFF信号)を出力すると、オイルポンプ47から圧送された作動油は、第2油圧通路92を通って遅角側油圧室83に供給されると共に、進角側油圧室82内の作動油が、第1油圧通路91を通って第1ドレン通路94aからオイルパン96内に排出される。
一方、電磁アクチュエータ99にデューティ比100%の制御信号(ON信号)を出力すると、作動油は、第1油圧通路91を通って進角側油圧室82内に供給されると共に、遅角側油圧室83内の作動油が第2油圧通路92及び第2ドレン通路94bを通ってオイルパン96に排出され、遅角側油圧室83が低圧になる。
尚、吸気バルブ105の作動角を可変とする可変動弁機構、及び、クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させることで吸気バルブ105の作動角の中心位相を可変とする可変バルブタイミング機構を、上記構成のVEL機構112,VTC機構113に限定するものでないことは明らかである。
ここで、クランク角センサ117から出力されるクランク角信号とカムセンサ132から出力されるカム信号との位相差を計測することで、吸気バルブの作動角の中心位相(最遅角位置からの進角量)を検出し、該検出結果に基づいてVEL機構112及びVTC機構113を制御する。
そこで、本実施形態では、図12のフローチャートに示すルーチンによって、吸気バルブ105の作動角のリミッタを設定し、図13のフローチャートに示すルーチンによって吸気バルブ105の作動角目標に制限を加える構成としてある。
尚、前記IVOリミッタ及びIVCリミッタは、圧縮TDCからのクランク角度として示されるものとする。
ここでは、所定回転速度以上では前記オフセット量を0とし、機関回転速度が低くなるほど、換言すれば、センサ117,132の信号に基づく中心位相の検出周期が長くなるほど、前記オフセット量を大きな値に設定する。
また、前記所定回転速度未満の領域で、回転速度の低下に対してオフセット量を連続的に増大させても良いし、回転速度領域を区切ってステップ的に変化させる構成としても良い。
ステップS3では、下式に従って、ステップS1で設定したIVOリミッタ及びIVCリミッタをステップS2で設定したオフセット量で補正設定する。
新IVCリミッタ=IVCリミッタ−オフセット量
前記IVOリミッタ及びIVCリミッタは、前述のように、圧縮TDCからのクランク角度として示されるから、IVOリミッタ(開時期IVOの進角限界)は上式によって遅角補正されて、吸気バルブ105の開時期IVOがより遅角側に制限されることになり、また、IVCリミッタ(閉時期の遅角限界)は上式によって進角補正されて、吸気バルブ105の閉時期IVCがより進角側に制限されることになる。
従って、機関の低回転時であってセンサ117,132の信号に基づく中心位相の検出周期が長くなり、検出周期の間で中心位相の検出値と実際値との間に乖離が生じることがあっても、シリンダ残留ガス量の要求に基づく進角限界及び有効排気量の要求に基づく遅角限界を超える開閉時期に制御され、機関の運転性が低下することを回避できる。
そして、検出IVOが新IVOリミッタよりも進角側であるときには、ステップS5へ進む。
作動角=(最遅角時の中心位相−検出の進角量−新IVOリミッタ)×2
上記の「最遅角時の中心位相」は、VTC機構113を最遅角側に制御したときの吸気バルブ105の作動角の中心位相であって、圧縮TDCからのクランク角度として示される。
従って、「最遅角時の中心位相−検出の進角量」は、中心位相の検出値の圧縮TDCからのクランク角度を示すことになる。
そして、「最遅角時の中心位相−検出の進角量−新IVOリミッタ」は、検出された中心位相で吸気バルブ105の開時期IVOを新IVOリミッタとするための作動角の半分に相当し、これを2倍することで作動角の最大値が求まる。
一方、ステップS4で、検出推定IVOがIVOリミッタよりも進角側ではないと判断されたときには、ステップS6へ進む。
そして、検出IVCが新IVCリミッタよりも遅角側であるときには、ステップS7へ進む。
作動角=(新IVCリミッタ−最遅角時の中心位相+検出の進角量)×2
ここで、「新IVCリミッタ−最遅角時の中心位相」は、中心位相を最遅角した場合に、吸気バルブ105の閉時期IVCを新IVCリミッタとするための作動角の半分に相当し、これに「検出の進角量」を加算することで、センサ117,132を用いて検出される中心位相の状態において、吸気バルブ105の閉時期IVCを新IVCリミッタとするための作動角の半分が求められ、これを2倍することで、作動角の最大値が求まる。
図13のフローチャートは、前記ステップS8で設定された目標角度のリミット値に基づき、VEL機構112の制御目標を制限する処理を示し、所定微小時間毎に実行される。
そして、制御軸16の目標角度がリミット値を超えていると判断されると、ステップS22へ進み、制御軸16の最終目標角度に前記リミット値を設定し、吸気バルブ105の作動角及びリフト量を制限する。
従って、前記目標角度のリミット値によって制御軸16の目標角度を制限すれば、機関の低回転時であって中心位相の更新遅れが拡大しても、吸気バルブ105が本来の限界を超える時期に開閉されることが回避される。
ステップS24では、ステップS22,ステップS23で設定された最終的な目標値に制御軸16の角度を一致させるべく、前記DCサーボモータ121をフィードバック制御する。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項2記載の内燃機関の可変動弁制御装置において、
前記機関バルブが吸気バルブであって、前記開時期の進角限界が、シリンダ残留ガス量の要求に基づいて設定され、前記閉時期の遅角限界が有効排気量の要求に基づいて設定されることを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。
Claims (2)
- クランクシャフトに対するカムシャフトの回転位相を変化させることで機関バルブの作動角の中心位相を可変にする可変バルブタイミング機構と、前記機関バルブの作動角及びリフト量を可変にする可変動弁機構とを備えた内燃機関の可変動弁制御装置において、
前記クランクシャフト及びカムシャフトの基準回転位置の検出信号に基づいて前記中心位相を検出し、前記中心位相の検出値と前記機関バルブの開閉時期の限界値とから、前記機関バルブの作動角の最大値を設定し、前記可変動弁機構における作動角の目標を前記最大値以下に制限するよう構成されると共に、
前記中心位相の検出周期が長くなるほど、前記作動角の最大値をより小さく補正することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。 - 前記開閉時期の限界値としての開時期の進角限界を、前記中心位相の検出周期が長くなるほど遅角側に補正し、前記開閉時期の限界値としての閉時期の遅角限界を、前記中心位相の検出周期が長くなるほど進角側に補正して、前記中心位相の検出周期が長くなるほど、前記作動角の最大値をより小さく補正することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
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