JP4383848B2 - 内燃機関の可変動弁制御装置 - Google Patents
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Description
前記可変動弁機構では、アクチュエータで回転駆動される制御軸の作動角に応じてバルブリフト量及び作動角が連続的に変化する構成であり、前記制御軸の作動角を検出するセンサを備え、目標バルブリフト量に相当する目標作動角に、前記センサで検出される実際の作動角が一致するように、前記アクチュエータがフィードバック制御される。
特に、上記可変動弁機構によって吸気バルブの閉時期を変化させることで、エンジンの吸入空気量を調整させる構成とした場合、センサの故障によってエンジン発生トルクの制御精度が低下することになってしまう。
そして、偏差が大きい状態が継続した場合には、第1センサ及び第2センサの少なくとも一方が異常であることが確実であると判断し、センサ異常時用のフェイルセーフ処理に切り換える。
請求項2記載の発明では、前記予備的フェイルセーフ処理が、機関バルブのバルブリフト量を中間値に固定し、前記センサ異常時用のフェイルセーフ処理が、機関バルブのバルブリフト量を最小値に固定する構成とした。
請求項3記載の発明では、前記センサ異常時用のフェイルセーフ処理によって機関バルブのバルブリフト量を最小値に固定している状態において、前記第1センサ及び第2センサのうちで前記最小値を検出したセンサを正常なセンサとして選択し、前記正常なセンサとして選択されたセンサの検出信号に基づき、可変動弁機構のフィードバック制御を再開させる構成とした。
従って、第1センサ及び第2センサのうちの一方が故障しても、正常なセンサがある場合には、機関バルブのバルブリフト量を要求に従って制御させることができ、無用にフェイルセーフ状態に維持されることが回避される。
図1において、内燃機関101の吸気管102には、スロットルモータ103aでスロットルバルブ103b(吸気絞り弁)を開閉駆動する電子制御スロットル104が介装され、該電子制御スロットル104及び吸気バルブ105を介して、燃焼室106内に空気が吸入される。
前記排気バルブ107は、排気側カム軸110に軸支されたカム111によって一定のバルブリフト量,バルブ作動角及びバルブタイミングを保って開閉駆動される。
一方、吸気バルブ105側には、開特性としてのバルブリフト量を作動角と共に連続的に可変する可変動弁機構であるVEL(Variable valve Event and Lift)機構112が設けられる。
マイクロコンピュータを内蔵するエンジンコントロールユニット(ECU)114は、アクセル開度に対応する目標吸入空気量が得られるように、前記電子制御スロットル104,VEL機構112及びVTC機構113を制御する。
前記ECU114には、内燃機関101の吸入空気量を検出するエアフローメータ115、アクセル開度を検出するアクセルペダルセンサ116、クランク軸120からクランク回転信号を取り出すクランク角センサ117、スロットルバルブ103bの開度TVOを検出するスロットルセンサ118、内燃機関101の冷却水温度を検出する水温センサ119からの検出信号が入力される。
図2〜図4は、前記VEL機構112の構造を詳細に示すものである。
上記ロッカアーム18,18,リンクアーム25,25,リンク部材26,26が伝達機構を構成する。
また、前記偏心カム15は、カム軸13に対し前記バルブリフター19に干渉しない両外側にカム軸挿通孔15cを介して圧入固定されている。
また、基部18aの外端部に突設された一端部18bには、リンクアーム25の先端部と連結するピン21が圧入されるピン孔18dが貫通形成されている一方、基部18aの内端部に突設された他端部18cには、各リンク部材26の後述する一端部26aと連結するピン28が圧入されるピン孔18eが形成されている。
前記揺動カム20は、図2及び図6,図7に示すように略横U字形状を呈し、略円環状の基端部22にカム軸13が嵌挿されて回転自在に支持される支持孔22aが貫通形成されていると共に、ロッカアーム18の他端部18c側に位置する端部23にピン孔23aが貫通形成されている。
即ち、図8に示すバルブリフト特性からみると、図2に示すように基円面24aの所定角度範囲θ1がベースサークル区間になり、カム面24bの前記ベースサークル区間θ1から所定角度範囲θ2が所謂ランプ区間となり、更に、カム面24bのランプ区間θ2から所定角度範囲θ3がリフト区間になるように設定されている。
更に、前記リンク部材26は、所定長さの直線状に形成され、円形状の両端部26a,26bには前記ロッカアーム18の他端部18cと揺動カム20の端部23の各ピン孔18d,23aに圧入した各ピン28,29の端部が回転自在に挿通するピン挿通孔26c,26dが貫通形成されている。
上記構成において、制御軸16の軸心P2と制御カム17の軸心P1との位置関係によって、図6,7に示すように、バルブリフト量が変化することになり、前記制御軸16を回転駆動させることで、制御カム17の軸心P1に対する制御軸16の軸心P2の位置を変化させる。
一方、前記制御軸16の先端に一対のステー123a,123bが固定され、一対のステー123a,123bの先端部を連結する制御軸16と平行な軸周りに、ナット124が揺動可能に支持される。
ここで、ナット124の位置をかさ歯車126に近づける方向が、バルブリフト量が小さくなる方向で、逆に、ナット124の位置をかさ歯車126から遠ざける方向が、バルブリフト量が大きくなる方向となっている。
ここで、制御軸16の角度によって吸気バルブ105のバルブリフト量が決まるので、本実施形態において前記角度センサ127は、実質的にバルブリフト量を検出することになる。
また、前記制御軸16の外周に突出形成したストッパ部材128が、固定側の受け部材(図示省略)に対してリフトの増大方向及び減少方向の双方で当接することで、制御軸16の回転範囲が規制され、これにより最小リフト量及び最大リフト量が規定されるようになっている。
本実施形態におけるVTC機構113は、ベーン式の可変バルブタイミング機構であり、クランク軸120によりタイミングチェーンを介して回転駆動されるカムスプロケット51(タイミングスプロケット)と、吸気側カム軸13の端部に固定されてカムスプロケット51内に回転自在に収容された回転部材53と、該回転部材53をカムスプロケット51に対して相対的に回転させる油圧回路54と、カムスプロケット51と回転部材53との相対回転位置を所定位置で選択的にロックするロック機構60とを備えている。
前記ハウジング56は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面には、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング56の軸方向に沿って設けられる4つの隔壁部63が90°間隔で突設されている。
前記第1〜第4ベーン78a〜78dは、それぞれ断面が略逆台形状を呈し、各隔壁部63間の凹部に配置され、前記凹部を回転方向の前後に隔成し、ベーン78a〜78dの両側と各隔壁部63の両側面との間に、進角側油圧室82と遅角側油圧室83を構成する。
前記油圧回路54は、進角側油圧室82に対して油圧を給排する第1油圧通路91と、遅角側油圧室83に対して油圧を給排する第2油圧通路92との2系統の油圧通路を有し、この両油圧通路91,92には、供給通路93とドレン通路94a,94bとがそれぞれ通路切り換え用の電磁切換弁95を介して接続されている。
前記第1油圧通路91は、回転部材53の基部77内に略放射状に形成されて各進角側油圧室82に連通する4本の分岐路91dに接続され、第2油圧通路92は、各遅角側油圧室83に開口する4つの油孔92dに接続される。
前記ECU114は、前記電磁切換弁95を駆動する電磁アクチュエータ99に対する通電量を、ディザ信号が重畳されたデューティ制御信号に基づいて制御する。
例えば、電磁アクチュエータ99にデューティ比0%の制御信号(OFF信号)を出力すると、オイルポンプ47から圧送された作動油は、第2油圧通路92を通って遅角側油圧室83に供給されると共に、進角側油圧室82内の作動油が、第1油圧通路91を通って第1ドレン通路94aからオイルパン96内に排出される。
一方、電磁アクチュエータ99にデューティ比100%の制御信号(ON信号)を出力すると、作動油は、第1油圧通路91を通って進角側油圧室82内に供給されると共に、遅角側油圧室83内の作動油が第2油圧通路92及び第2ドレン通路94bを通ってオイルパン96に排出され、遅角側油圧室83が低圧になる。
前記VEL機構112の制御においては、前述のように、前記角度センサ127で検出される制御軸16の角度が目標角度に一致するように、前記DCサーボモータ121がフィードバック制御されるが、本実施形態では、前記角度センサ127として、第1角度センサ127a,第2角度センサ127bの2つを備えている。
そして、前記2つの角度センサ127a,127bを用いて、図12のフローチャートに示すフェイルセーフ処理を行なう。
図12のフローチャートにおいて、ステップS1では、前記角度センサ127a,127bの検出結果が整合しているか否かを判断するために、各角度センサ127a,127bの検出値REVEL1,REVEL2の偏差の絶対値を演算する。
|REVEL1−REVEL2|が所定値よりも小さく、2つの角度センサ127a,127bが略同じ検出結果を出力している場合には、角度センサ127a,127bが共に正常であると判断し、ステップS3へ進む。
ステップS3では、VEL機構112を通常にフィードバック制御する。
一方、ステップS2で|REVEL1−REVEL2|が所定値以上であると判断されたときには、角度センサ127a,127bの少なくとも一方が故障している可能性があるので、ステップS4へ進み、予備的フェイルセーフ処理を実行する。
前記予備的フェイルセーフにおいては、フィードバックを停止してバルブリフト量を中間値に固定し、要求吸入空気量が得られるように電子制御スロットル104を制御する。
次のステップS5では、|REVEL1−REVEL2|が所定値以上である状態が所定時間以上継続しているか否かを判別する。
一方、ステップS5で、|REVEL1−REVEL2|が所定値以上である状態が所定時間以上継続していると判別されたときには、|REVEL1−REVEL2|が所定値以上である状態は、ノイズ等による一時的な現象ではなく、角度センサ127a,127bの少なくとも一方が故障していることに因るものであると判断される。
前記センサ異常時用のフェイルセーフ処理の詳細は、図13のフローチャートに示してある。
ステップS62では、上記の吸気バルブ105のバルブリフト量が最小値に固定される状態で角度センサ127が出力すべき値として予め記憶されているKOTEIANG#と、各角度センサ127a,127bの実際の検出値REVEL1,REVEL2との偏差の絶対値HENSA1,HENSA2をそれぞれに演算する。
HENSA2=|REVEL2−KOTEIANG#|
ステップS63では、前記HENSA1が所定値SYOTEI#以下であるか否かを判定する。
前記HENSA1が所定値SYOTEI#以下である場合には、第1の角度センサ127aが、吸気バルブ105のバルブリフト量を略正確に検出していることになる。
そこで、ステップS63で、前記HENSA1が所定値SYOTEI#以下であると判断されたときには、ステップS64へ進み、第1の角度センサ127aが正常で、第2の角度センサ127bが故障していると判定する。
これにより、ステップS4,ステップS61で停止させたフィードバック制御が再開されることになる。
ここで、第2の角度センサ127bについては既に故障判定がなされているので、ステップS8でフィードバック制御を再開させた後は、両角度センサ127a,127bの出力を比較しての故障判定が行なえなくなり、故障判定処理が、断線・ショートなどの検出に限定されることになる。
これにより、正常と判断されたセンサまでもが故障したとしても、過大なバルブリフト量に誤って制御されてしまうことが回避される。
尚、後述するステップS68でも、バルブリフト量の制御範囲の制限、及び、運転者への通知を行なうことが好ましい。
この場合には、ステップS66へ進み、前記HENSA2が前記所定値SYOTEI#以下であるか否かを判定することで、第2の角度センサ127bが故障しているか否かを判断する。
そこで、ステップS66で、前記HENSA2が前記所定値SYOTEI#以下であると判定されたときには、ステップS67へ進み、第2の角度センサ127bが正常で、第1の角度センサ127aが故障していると判定する。
一方、ステップS66で前記HENSA2が前記所定値SYOTEI#を超えていると判断されたときには、両角度センサ127a,127bが共に、実際のバルブリフト量とは大きく異なる検出信号を出力しており、両角度127a,127bが共に故障しているものと判断できる。
ステップS12へ進んだときには、両角度センサ127a,127bが共に故障していることを、運転者に通知すると良い。
従って、一方の角度センサが故障していても、他方の角度センサで制御軸16の角度(バルブリフト量)のフィードバック制御を行なわせて、運転性を維持することができる。
ここで、上記実施形態から把握し得る請求項以外の技術思想について、以下にその効果と共に記載する。
前記予備的フェイルセーフ処理において、予め記憶された制御信号又は前記予備的フェイルセーフ処理に移行する直前の制御信号に基づいて設定される制御信号を、前記可変動弁機構に出力することで、前記バルブリフト量を中間値に固定することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。
(ロ)請求項3記載の内燃機関の可変動弁制御装置において、
前記正常なセンサとして選択されたセンサの検出信号に基づく前記可変動弁機構のフィードバック制御において、機関バルブのバルブリフト量の制御範囲を制限することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。
Claims (3)
- 機関バルブのバルブリフト量を可変にする可変動弁機構と、該可変動弁機構で可変とされるバルブリフト量を検出する第1センサ及び第2センサと、を備えた内燃機関に適用され、前記第1センサ及び第2センサの少なくとも一方で検出されるバルブリフト量に基づいて前記可変動弁機構をフィードバック制御する可変動弁制御装置であって、
前記第1センサ及び第2センサそれぞれからの検出信号間における偏差が所定値以上であって、前記偏差が前記所定値以上である状態の継続時間が所定時間よりも短い場合には、予備的フェイルセーフ処理を実行し、前記偏差が所定値以上である状態が前記所定時間以上継続したときに前記第1センサ及び第2センサの少なくとも一方が異常であると判断し、前記異常を判断したときに、前記予備的フェイルセーフ処理を中止してセンサ異常時用のフェイルセーフ処理に移行し実行することを特徴とする内燃機関の可変動弁制御装置。 - 前記予備的フェイルセーフ処理が、前記機関バルブのバルブリフト量を中間値に固定し、前記センサ異常時用のフェイルセーフ処理が、前記機関バルブのバルブリフト量を最小値に固定することを特徴とする請求項1記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
- 前記センサ異常時用のフェイルセーフ処理によって前記機関バルブのバルブリフト量を最小値に固定している状態において、前記第1センサ及び第2センサのうちで前記最小値を検出したセンサを正常なセンサとして選択し、
前記正常なセンサとして選択されたセンサの検出信号に基づき、前記可変動弁機構のフィードバック制御を再開させることを特徴とする請求項2記載の内燃機関の可変動弁制御装置。
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