以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の燃料タンク94の給油口キャップ10を適用した自動車100の概略図、図2は本発明の一実施例を示す燃料タンク94の給油口キャップ10の平面図、図3は同図2の燃料タンク94の給油口キャップ10の裏面図、図4は本発明の燃料タンク94の給油口キャップ10を構成する内蓋14の裏面図、図5は同図4の内蓋14の縦断面図をそれぞれ示している。
本実施形態における燃料タンク94の給油口キャップ10は、図1に示すように乗用車や貨物自動車、農機具、発電機、芝刈り機、オートバイ、スクーター或いは建設機械等(以降これらを総称して自動車100と称す)に搭載され、エンジン90に燃料(実施例ではガソリン)の供給を行う燃料タンクの給油口95を閉塞するものである。
給油口キャップ10は、図2、図3に示すように合成樹脂にて所定の形状に成形され、周囲外面に手回し用の凹凸部12Bが設けられた容器状の外蓋12と、この外蓋12の内側に装着される内蓋14とからキャップ本体11が構成されている。内蓋14には、図4に示すように略中心に位置して、中空の筒本体16が内蓋14の内面側に立設している。該筒本体16は、図5に示すように一側(図中左側)に円筒形状の筒状部18が延在して形成されており、この筒状部18に連続して他側(図中右側)に縮径部20が形成されている。
該筒状部18は、後述するフロート32とピストン40を挿入可能に形成されると共に、筒状部18より離間するに従って縮径する円錐形状に形成されている。また、縮径部20には筒状部18の離間側に挿通孔22が設けられている。この挿通孔22は、小さな直径(後述する球体30の約1/3mm)に形成されると共に、筒本体16内側と外側とを連通している。
内蓋14の挿通孔22側の面には、挿通孔22を中心にして、所定幅、所定高さでリング状に形成されたリング状突部23が放射方向に複数(実施例では2箇所)設けられている(図4、図5に図示)。各リング状突部23には、空気通路26の一部を構成する溝24が凹陥して複数設けられており、この溝24は挿通孔22を中心にして略等間隔で円周方向に6箇所設けられると共に、中心部側を狭い幅、外側を広い幅に形成している。尚、空気通路26については後で詳しく説明する。
そして、図6に白抜き矢印で示すように、内蓋14がリング状突部23側から外蓋12内に挿入され、内蓋14と外蓋12とが超音波によって溶着固定される。即ち、外蓋12には、内蓋14側に少許突出したリング状の超音波リブ12Aが複数設けられており、この超音波リブ12Aと内蓋14の各リング状突部23とが超音波によって溶着固定される。これによって、内蓋14と外蓋12とが強固に固定されている。該外蓋12の周囲は、波形状の凹凸部12Bが形成されており、内蓋14が外蓋12内に挿入された状態で、外蓋12周囲(筒本体16に直交する周囲)の凹凸部12Bによって、外蓋12と内蓋14との間に隙間13が形成されている(図8に図示)。尚、超音波リブ12Aは、内蓋14にも設けられている。
また、外蓋12に設けた複数の超音波リブ12Aは、内蓋14の各リング状突部23に設けた溝24部分に対向する位置に設けていない。これにより、外蓋12と内蓋14とを超音波によって溶着固定した際、超音波リブ12Aによって、各リング状突部23に設けた溝24(後述する外蓋12と内蓋14間の空気通路26)が塞がれないように構成している。尚、キャップ本体11の組み立てについては後で詳しく説明する。
該給油口キャップ10内には、図7に示すように弁(弁機構部28)が設けられている。即ち、給油口キャップ10(キャップ本体11)内には、燃料タンク94と外部とを連通する空気通路26を備えた弁機構部28を設けている。この弁機構部28は、図9に示すように筒本体16と、この筒状部18内に設けられた球体30と、フロート32と、ピストン40と、ベースプレート51とから構成されている。即ち、弁機構部28は、球体30によって筒本体16に形成された空気通路26(図7点線)の閉鎖、開放を行う。該球体30は、殆ど錆びることのなく、燃料より比重の重いステンレス(SUS304)などの金属にて、例えば直径約2.5mmの球形に構成され、フロート32の燃料タンク94外側に位置して筒本体16内に収納される。尚、図9では筒本体16を縦断面図、他は正面図を図示している。
この球体30は、縮径部20に設けられた挿通孔22の径より所定寸法大径に形成されている。また、球体30を金属にて構成することにより所定の重量を持たせて、燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスの圧力で浮き上がらないように構成している。また、フロート32及びピストン40は、錆びず、燃料によって変形及び溶解することのない合成樹脂製(例えばナイロン6、或いは、ナイロン6,6)にて構成されている。
また、フロート32は中空半球形状の半球部36と、この半球部36の他側(図中下側)に設けられた有底円筒形状の筒部34とから構成されている。該筒部34の他側(図中下側)は平面に形成されており、外周面は、筒状部18の内面との間に所定の間隔を存して、当該筒状部18内に収納可能に形成されると共に、半球部36は筒部34の外径より少許小径に形成されている。この筒部34と半球部36との間には、筒部34側から半球部36方向に行くに従って小径となる傾斜部38が形成されると共に、筒部34の外径と筒状部18内面とは所定の隙間を有している。
また、フロート32は、半球部36と傾斜部38と筒部34とが一体に形成された状態で、内部中空に形成されると共に、筒状部18の長手方向一側から他側、他側から一側に平行移動可能に構成されている。このフロート32を、内部中空に形成することによって、燃料より比重を軽くすると共に、燃料に浮くように構成している。該フロート32の半球部36は、当該フロート32が挿通孔22側に移動した状態では縮径部20の内側に接触する形状に形成されている。
また、フロート32の筒部34には、筒状部18の長手方向(ピストン40側から挿通孔22の方向)に延在する筒リブ34Aが複数設けられている。この筒リブ34Aは、幅約1.0mm、厚さ約0.2mmに形成されている。筒リブ34Aは、筒部34周囲に略等間隔で8箇所設けられると共に、断面カマボコ状に形成されている。これによって、筒状部18内に挿入された筒部34と、筒状部18内面とを線接触にして接触抵抗を低減させると共に、筒部34周囲と筒状部18内面との間に所定の隙間ができるように構成されている。
筒部34周囲の筒リブ34Aが、筒状部18内面に接触した場合、筒リブ34Aを設けていない箇所の筒部34と、筒状部18内面には所定の隙間(空気の通路)を確保している。即ち、各筒リブ34A間は空気通路26の一部を構成している。この筒部34周囲の空気通路26は、燃料タンク94内の燃料が筒状部18内を通り、挿通孔22側に流れ込むのを減らせる隙間にて構成されている。
筒部34周囲の空気通路26は、燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスの圧力で筒部34が浮上せず、筒状部18内に流入したガスを挿通孔22側に円滑に通過することができる最小の隙間にて構成されている。また、球体30及びフロート32が挿通孔22側に移動した状態では、球体30及びフロート32の半球部36が傾斜部38に接触して、空気通路26を閉鎖するように構成されている。
一方、ピストン40は、長さ約3.7mm、直径約9.6mmの有底円筒形状に形成されている。このピストン40は、円筒形の一方を開口した容器状に形成されると共に、外径と筒本体16(筒状部18)の内径は所定の隙間を有している。即ち、ピストン40の外径は、筒本体16の内径より小径に形成され、筒状部18内に挿入可能に構成されている。
該ピストン40の一側(図中上側)は、突出して球形の一部を構成する突部42が設けられており、この突部42は、ピストン40とフロート32の下面とが点接触になるように構成されている。即ち、ピストン40の一側に突部42を設けているので、この突部42でフロート32の他側(図9下側)を押圧した場合でも、フロート32の傾斜角度が、規制されてしまうことがない。これにより、筒状部18内面に引っ掛かって、フロート32の動作が鈍くなるなどの不都合を防止できるように構成している。
詳しくは、ピストン40は、一側にフロート32方向に突出する突部42が設けられており、この突部42の反対側の面が開口した円筒形の有底容器形状に形成されている。この状態でピストン40は、筒状部18内を長手方向に平行移動可能に構成されている。そして、この突部42によって、ピストン40とフロート32とが燃料で吸着してしまうのを防止している。また、フロート32の略中央に接触させるようにピストン40の突部42を形成することにより、筒状部18内でフロート32及びピストン40が少し傾いた場合に(例えば、ピストン40長さの1/20〜1/50の傾斜角度)、ピストン40とフロート32との自由度を確保している。
そして、弁機構部28の弁閉鎖時には(球体30がフロート32に当接している状態)、球体30は半球部36の略中心頂点に位置する(図11に図示)。また、弁開放時には、球体30は半球部36の中心頂点からずれて筒部34方向に落下する(図10に図示)。この場合、フロート32の半球部36を半球形状に形成しているので、球体30は半球部36の頂点(挿通孔22側)から何れかの方向(筒部34側)に落下する。この場合、半球部36の頂点で球体30を挿通孔22側に押し付けることにより、球体30が半球部36の頂点(挿通孔22に最も接近した位置)に位置しているときの挿通孔22と、球体30の距離より半球部36の何れかの方向に球体30が落下したときの挿通孔22と球体30の距離を大きくすることができる。
即ち、フロート32の半球部36を半球形状に形成構成して、球体30を半球部36の何れかの方向に落下させることにより、フロート32の少ない移動距離で、縮径部20内面と球体30との隙間を大きくすることが可能となる。これにより、弁機構部28内の空気通路26を流通する空気の抵抗を減らすことができるので、燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスの圧力で球体30が上昇して、挿通孔22を塞いでしまう(球体30が縮径部20の内面に接触する)のを防止している。
また、フロート32の上昇抵抗(球体30を縮径部20内面に押し付ける抵抗)減らすため、縮径部20とフロート32の半球部36、筒状部18内面とフロート32の筒部34、ピストン40突部42との3点の線接触及び点接触で支持している。この線及び点接触により、弁機構部28内に流入した燃料で、フロート32が吸着して動作不良を起こす不都合を防止している。また、ピストン40に突部42を形成することによりフロート32に自由度を持たせている。これにより、ピストン40押し上げ時にフロート32の自由度により接触抵抗を減らしているので、ピストン40の上昇と連動して瞬時に球体30を縮径部20内面に押し付け、縮径部20内の空気通路26を閉鎖することができる。
また、筒部34の外側に、筒状部18内面と接触する筒リブ34Aを設けている。この筒リブ34Aと、筒状部18内面とを線接触させて、筒リブ34Aを筒状部18内面と燃料による面吸着を起こさない厚さに構成し、筒リブ34Aと筒リブ34Aとの間に空気通路26の一部を構成している。そして、この空気通路26を燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスの圧力で、フロート32が浮き上がらないように、ガスが通過し易い大きさに構成している。この筒リブ34Aにて、フロート32の落下時に筒状部18内面との抵抗を減らすことができるので、燃料タンク94方向への移動時(落下時)も円滑に動作させることができる。尚、燃料タンク94の傾斜45度までは、フロート32の浮力も球体30を縮径部20内面への押し付け圧力として働くように構成されている。
また、ピストン40には、筒状部18の長手方向に延在する縦リブ40Aが設けられている。この縦リブ40Aは、幅約1.0mm、厚さ約0.2mmに形成され、ピストン40周囲に略等間隔で8箇所設けられると共に、断面カマボコ状に形成されている。これによって、筒状部18内に挿入されたピストン40と、筒状部18内面とを線接触させて接触抵抗を低減させると共に、ピストン40周囲と筒状部18内面との間に所定の隙間ができるように構成されている。また、これらの縦リブ40A間は、空気通路26の一部を構成している。
即ち、ピストン40周囲に設けた縦リブ40Aが、筒状部18内面に接触した場合、縦リブ40Aを設けていない箇所のピストン40周囲と筒状部18内面に所定の隙間が確保される。これにより、筒状部18内をピストン40が円滑に移動できるように構成されている。該縦リブ40Aは、筒状部18内に流入した燃料タンク94内の燃料が、ピストン40周囲と筒状部18間を通りフロート32側に流れ込むのを減らせる厚さにて構成されている。また、縦リブ40Aは、燃料タンク94内の燃料から蒸発して、筒状部18内に流入したガスの圧力でピストン40が浮上せず、また、筒状部18内に流入したガスを、挿通孔22側に円滑に通過させられる最小隙間の厚さに構成されている。
また、前記ベースプレート51は、図12に示すように、これもまた錆びず、燃料によって変形及び溶解することのない合成樹脂製(ナイロン6、或いは、ナイロン6,6)にて構成されている。ベースプレート51は、後述するスプリング56によって内蓋14に固定される。ベースプレート51は、例えば直径約10.2mm、厚さ1.6mmの円盤状に形成され、中央には貫通して直径約4.5mmの貫通孔52が設けられており、この貫通孔52は燃料タンク94内に連通している。
該貫通孔52をベースプレート51の外径より小さくすることにより、燃料が貫通孔52を通過した際、ピストン40下部に噴射できるように構成している。即ち、燃料が貫通孔52から噴射された噴射圧力(以降、噴射圧力を噴射圧と称す)で、ピストン40をフロート32方向に移動できるように構成している。また、ベースプレート51の一側面(フロート32側の面)には幅約1.0mm、厚さ約0.8mmの水平リブ51Aが設けられており、この水平リブ51Aは貫通孔52の円周方向に等間隔で複数(実施例では8箇所)設けられている。
該水平リブ51Aは、中心から放射状に設けられると共に、断面カマボコ状に形成されている。この水平リブ51Aは、ピストン40に線接触して、ベースプレート51とピストン40とが吸着してしまうのを防止するものである。ベースプレート51の貫通孔52は、各水平リブ51A間を介して、ピストン40と筒状部18との間に連通している。これにより、燃料及び、燃料から蒸発したガスが貫通孔52を通りピストン40の他側(ピストン40の下部)に流入できるように構成されている。尚、各水平リブ51A間は、空気通路26の一部を構成している。
また、ベースプレート51の他側の面には、厚さ約0.6mm、直径約11.7mmの係止片53が設けられると共に、この係止片53は貫通孔52の両側に対向して形成されている(図13に図示)。ベースプレート51は、前記筒状部18の内面に略密着可能に形成されると共に、係止片53は筒状部18に係止され、ベースプレート51が挿通孔22側に移動するのを阻止する。両係止片53の間には、ベースプレート51まで凹陥した凹陥部53Aが形成されると共に、貫通孔52と凹陥部53Aは、空気通路26の一部を構成している。
ここで、自動車100は、燃料タンク94の傾斜角度を約30度以内としている。そして、燃料タンク94が傾斜すると、燃料タンク94内の燃料は給油口キャップ10に至る。このとき、燃料タンク94の燃料の量や、燃料タンク94の傾斜角度にもよるが、燃料が給油口キャップ10に至ると、当該燃料はベースプレート51の中央に設けた貫通孔52を通り、弁機構部28内に流入して、貫通孔52より勢いよく噴射(ピストン40側)する。燃料が容器状に形成されたピストン40内に噴射されると、その噴射圧によってピストン40は球体30側に押し上げられ、フロート32と球体30はピストン40と連動して上昇(この場合、挿通孔22側に移動)する。尚、貫通孔52は、弁機構部28内に燃料が流入した場合、燃料を噴射可能な大きさに形成されている。
また、燃料タンク94が水平になると、燃料が燃料タンク94へ吸引されて筒本体16内に負圧が発生する。この場合、ピストン40は、筒本体16内の燃料が燃料タンク94内に戻る吸引力の作用と、球体30とピストン40とフロート32の自重とで、ベースプレート51上(水平リブ51A上)に落下する(この状態をピストン40のストローク下限とする)。このとき、弁機構部28内に流入した燃料は、各水平リブ51A間の隙間(空気通路26)から燃料タンク94内に戻り、弁機構部28内の空気通路26を確保して燃料タンク94内に大気を流入させ、燃料タンク94内を大気圧に保持できるように構成されている。
以上の構成で、次に給油口キャップ10の組み立て説明を行う。尚、内蓋14は、リング状突部23側から外蓋12内に挿入され、内蓋14と外蓋12とが予め超音波によって溶着固定されているものとする。まず、筒本体16周囲に弾性部材(例えばスポンジ)にて構成されたフィルター50(図7に図示)を挿入し、その上(燃料タンク94側)からガスケット54を装着する。次に、筒本体16内に、縮径部20の挿通孔22側から球体30、フロート32、ピストン40を順に挿入(図9実線矢印)する。この状態で、球体30とフロート32の半球部36、フロート32の筒部34底面とピストン40の突部42とが接触する。
次に、ピストン40の上(フロート32の反対側)にベースプレート51、スプリング56を順に載せる。そして、内蓋14とスプリング56とをリベット58にてカシメ固定する(図7に図示)。該内蓋14とスプリング56には、リベット58を挿入し、固定するための固定穴57が設けられている(図4に図示)。これにより、給油口キャップ10の組み立てが完成する。尚、スプリング56は、燃料タンクの給油口95に給油口キャップ10(キャップ本体11)を固定するためのものである。
そして、キャップ本体11が燃料タンクの給油口95に装着されると、ガスケット54は燃料タンクの給油口95に当接し、これによって、燃料タンクの給油口95は、キャップ本体11にて閉塞される。この内蓋14には、スプリング56との間に所定寸法の通気隙間14A(図7に図示)が形成されており、この通気隙間14Aによって内蓋14とスプリング56との間に空気通路26が形成されている。この通気隙間14A、ベースプレート51の凹陥部53Aを介して貫通孔52に連通している。これによって、キャップ本体11に、燃料タンク94内と外部(この場合、外部とは大気中に相当)とを連通するための空気通路26(図7点線矢印)が形成されている。
ここで、空気通路26を詳しく説明する。尚、空気通路26を図7の点線矢印と、図10の点線矢印で示している。空気通路26は、燃料タンク94の傾斜が少ない通常使用状態のときに、ピストン40が挿通孔22の離間側(燃料タンク94側)に位置している場合、球体30は重力で下方(燃料タンク94側)に位置する。尚、自動車100の通常使用時とは、例えば、燃料タンク94の傾斜が水平状態〜30度以内を云う。また、図10では筒本体16を縦断面図、他は正面図を図示している。
また、フロート32の半球部36及びピストン40も重力で下方に位置する。尚、フロート32の半球部36が縮径部20の挿通孔22から離間する距離は、縮径部20とフロート32の半球部36との最短距離で球体30の直径の約1/3以下としている。これにより、落下した球体30が縮径部20とフロート32(半球部36)との間に挟まり、球体30が挿通孔22方向に動かなくなってしまうのを防止している。
該空気通路26は、燃料タンク94内からベースプレート51中央に設けられた貫通孔52を通り、ピストン40の下部に至る。次に、ピストン40下部から、筒状部18内面とピストン40の縦リブ40Aと縦リブ40Aとの間を通り、フロート32の下部に至る。次に、フロート32の下部から、筒状部18内面とフロート32の筒リブ34Aと筒リブ34Aとの間を通り縮径部20内に至る。更に、縮径部20内面と球体30との間を通り、挿通孔22を経て外部に連通している。即ち、弁機構部28は、弁の開放時、燃料タンク94内と外部とを空気通路26によって連通している。言い換えると、自動車100の通常使用状態では、弁が開放され、燃料タンク94内と外部は空気通路26によって連通している。
一方、燃料タンクの給油口95が給油口キャップ10で閉じられ、燃料タンク94内の燃料が消費された場合、その消費された燃料の体積分だけ、空気通路26から外気が燃料タンク94内に吸い込まれる。これにより、燃料タンク94内が負圧になってしまい、エンジン90運転時に燃料が吸引できなくなってしまうなどの不都合を防止している。また、燃料タンク94内の燃料が消費されていないときは、燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスを、キャップ本体11に設けた空気通路26より外部に放出して、燃料タンク94内が高圧になってしまう不都合を防止している。
また、図11に示すようにピストン40が挿通孔22側(燃料タンク94と反対側)に位置している場合、球体30は上方(図中矢印方向)に移動して縮径部20の内側に線接触する。このとき、球体30とフロート32の半球部36が点接触すると共に、球体30とフロート32の半球部36との双方が傾斜部38に線接触する。これらの接触によって、弁機構部28は閉鎖状態となり、燃料タンク94内と外部とを連通する空気通路26が閉鎖される。尚、図11では筒本体16を縦断面図、他は正面図を図示している。
そして、燃料タンク94が傾斜した場合や揺れた場合には、燃料タンク94内の燃料が燃料タンクの給油口95に至り、キャップ本体11内に流入し、筒本体16内に流入する場合がある。燃料タンク94内の燃料液面が、給油口キャップ10底面の空気通路26の入り口以上になるまで燃料タンク94が傾斜、或いは、揺れた場合、燃料タンク94内の燃料がベースプレート51の貫通孔52から筒本体16内に流入する。そして、貫通孔52から流入した燃料の噴射圧で弁機構部28のピストン40が挿通孔22側に移動すると同時に、筒本体16内に流入した燃料によりフロート32が浮いて挿通孔22側に移動する。
そして、フロート32が挿通孔22側に移動すると半球部36によって球体30も挿通孔22側に移動する。この場合、筒本体16内に流入した燃料により、ピストン40とフロート32及び球体30は連動して短時間で挿通孔22側に移動する。これにより、フロート32の半球部36と球体30は瞬時且つ同時に傾斜部38に接触し、燃料タンク94内と外部とを連通する空気通路26を閉鎖する。
詳しくは、燃料タンク94が傾斜或いは揺れて、キャップ本体11内の底部に設けた空気通路26よりも燃料タンク94内の燃料液面の方が上昇すると、燃料が弁機構部28内に流入する。そして、燃料が弁機構部28内に流入する際、貫通孔52を通過するときに発生する噴射圧で、ピストン40、フロート32、球体30は連動して、挿通孔22方向に移動する。すると、球体30は縮径部20の内面に押し付けられ(ストローク上限)、キャップ本体11内に設けた空気通路26を閉鎖して、燃料タンク94内の燃料が給油口キャップ10から外部へ流出してしまうのを防止する。
また、傾斜した燃料タンク94が水平に戻ったとき、弁機構部28内に流入した燃料は重力で吸引され燃料タンク94内に戻る。弁機構部28内の燃料が燃料タンク94内に戻ると、燃料の吸引と自重によりピストン40、フロート32及び球体30はベースプレート51方向に移動し、球体30にて閉鎖していた縮径部20内の空気通路26を開放(弁開放)する。これにより、燃料タンク94内と外部とが空気通路26にて連通しているので、燃料タンク94内を大気圧に保持することができる。
即ち、弁機構部28は、縮径部20内にフロート32の半球部36が球体30よりも先に線接触してしまうと、縮径部20内に球体30を確実に押し付けることができない。そこで、縮径部20内に球体30が確実に押し付けられた状態で半球部36と縮径部20とに僅かな隙間を設け、この隙間に流入した燃料の通過量を少なくして、抵抗を増大させ、球体30側への燃料の侵入を遅らせている。これにより、球体30で縮径部20内に形成した空気通路26を確実に閉鎖することができる。尚、球体30及びフロート32の半球部36は何れも球形状であり、球体30及びフロート32の半球部36が円錐形の傾斜部38に接触した場合、傾斜部38の内面と、球体30の周囲及びフロート32の半球部36の周囲は線接触となる。これにより、球体30及びフロート32の半球部36が燃料により傾斜部38内面に吸着してしまうなどと云った不都合を阻止している。
また、燃料タンク94が傾斜すると燃料タンク94内の燃料の液面が給油口キャップ10底以上に上昇する。燃料の液面が給油口キャップ10底以上に上昇すると燃料の液圧(給油口キャップ10より上昇した燃料の重量)によって、燃料はキャップ本体11の底面に設けられた空気通路26を通り、ベースプレート51中央の貫通孔52より筒本体16内に噴出(流入)する。筒本体16内に燃料が噴出すると、その噴射圧でピストン40は上部(挿通孔22側)に押し上げられ、ピストン40上部に位置するフロート32も連動して押し上げられる。
フロート32が押し上げられると、フロート32の半球部36上に位置する球体30も挿通孔22側に押し上げられる。これによって、フロート32の半球部36は縮径部20の内壁に押し付けられると同時に、縮径部20の上部に設けた挿通孔22に球体30が押し付けられる。即ち、弁機構部28に設けた球体30は、ロールオーバーバルブ96(従来例の燃料タンク94が傾斜したときだけ、燃料が外部に漏れ出てしまうのを阻止するバルブ)として動作し、筒本体16の先端に設けた挿通孔22から、燃料タンク94内の燃料がキャップ本体11の空気通路26を通り外部に流出するのを防止している。尚、図1には、従来の燃料タンク94、ロールオーバーバルブ96、キャニスタ98、気化器92を順次配管接続した図も図示している。
他方、燃料タンク94内の燃料は、ピストン40の下面、即ち、ベースプレート51中央の貫通孔52より筒本体16内に流入する。このとき、燃料が筒状部18とピストン40との隙間を通り抜けてフロート32まで到達する時間より、貫通孔から筒本体16内に流入した燃料による噴射圧でピストン40の方が短時間で上昇する。これにより、ピストン40、フロート32、球体30が連動して略同時に上昇するので、燃料が挿通孔22に至る時間よりも速く、縮径部20内に形成した空気通路26を球体30で閉鎖して、挿通孔22から燃料が外部に漏れ出てしまうのを防止している。
また、筒状部18とピストン40との隙間を通りフロート32まで流入する燃料により、燃料タンク94の傾斜が約45度までは球体30を縮径部20内面に押し付ける圧力としてフロート32の浮力が働く。これにより、挿通孔22を通過した燃料が、空気通路26より外部に流出してしまうのを確実に防止している。また、燃料タンク94の傾斜が約45度以上90度まで傾斜した場合は、キャップ本体11が燃料の液面より下側に位置し、これによって、キャップ本体11への燃料の液面も上昇するので、ピストン40及びフロート32に加わる液圧も増大する。従って、縮径部20内面に球体30を押し付ける圧力も増大するので、フロート32の浮力が減じても、弁機構部28に設けた球体30がロールオーバーバルブ96として働き、外部への燃料の流出を防止することができる。
ここで、燃料タンク94を90度傾けて弁機構部28の空気通路26から燃料が漏れ出るのを10分間測定した。具体的には、エンジン90の燃料タンク94(この場合、エンジン90と燃料タンク94一体型の自然落下式燃料供給機)に、給油口キャップ10(キャップ本体11)を装着し、燃料タンク94を90度傾けてキャップ本体11内に設けた空気通路26からの燃料漏れを測定した。その結果、燃料タンク94内に規定量の最大燃料を収容し、燃料コックを開放した状態で90度傾けて10分間経過したとき、給油口キャップ10の空気通路26からの燃料漏れ量は0.5ミリリットルであった。また、従来品の給油口キャップでは117.7ミリリットルの燃料漏れが確認された。即ち、本発明の給油口キャップ10に対して、従来の給油口キャップは約234倍の燃料漏れがあった。尚、このときの外気温度は25℃であった。
また、前述と同じ条件で燃料タンク94を左右に10回傾け(片側30度の傾斜)、キャップ本体11の空気通路26から燃料が弁機構部28内部に流入した後、燃料タンク94を90度傾けて1分間保持した。このときのキャップ本体11の空気通路26から燃料が漏れ出すまでの時間と、漏れ量とを計測した。本発明の給油口キャップ10では漏れ量が0ミリリットル、従来品は2秒〜4秒で給油口キャップ10の空気通路26より燃料が外部に漏れ出した(このときの燃料の漏れ量は約12ミリリットルであった)ことが判明した。また、燃料タンク94の使用状態により燃料タンク94が傾斜したり、エンジン90の振動によりタンク内の燃料は波打っており、キャップ本体11の空気通路26には燃料が流入してしまう。この実験結果から本発明の給油口キャップ10は、従来の給油口キャップに比べ、燃料タンク94が傾斜したときにキャップ本体11の空気通路26から外部に流出する燃料漏れに対して極めて有効であった。
このように、燃料タンク94内と外部とを連通するための空気通路26と、この空気通路26中に構成された弁機構部28とをキャップ本体11内に構成している。該弁機構部28は、筒状部18と該筒状部18の外部側に連続形成された縮径部20とを有する筒本体16と、該筒本体16の内面との間に間隔を存して当該筒本体16内に収納されたフロート32と、該フロート32の燃料タンク94内側に位置し、筒本体16の内面との間に間隔を存して当該筒本体16内に収納されたピストン40と、フロート32の外部側に位置して筒本体16内に収納された球体30とを備えている。そして、燃料が筒本体16内に流入した場合、ピストン40及びフロート32は外部側に浮き、球体30は当該フロート32により筒本体16の縮径部20に押し付けられて空気通路26を閉鎖するので、例えば燃料タンク94が傾いて筒本体16内に流入した場合、球体30にて空気通路26を瞬時に閉鎖することができる。
これにより、従来のように燃料タンク94内の燃料が、給油口キャップ内に設けられた空気通路から外部に流出してしまうなどの不都合を防止することができる。また、流出した燃料に引火してしまうなどといった危険性を未然に阻止することが可能となる。また、給油口キャップ10内に設けた空気通路26より流出した燃料によって、植物に被害を与えてしまうなどといった不都合も防止することができる。
特に、外観を変えずに給油口キャップ10内に弁機構部28を設けている。この弁機構部28内に設けた空気通路26から燃料タンク94内の燃料が流出してしまう不都合を防止するようにしているので、安価で外観も良好な給油口キャップ10を提供することが可能となる。
また、従来の給油口キャップを装着した自動車100は、使用する条件によって燃料タンク94が傾斜することがあるが、燃料タンク94が傾斜すると給油口キャップ10の空気通路26より燃料が外部に漏れ出すことがある。しかし、本発明の給油口キャップ10を燃料タンクの給油口95に装着することにより、燃料タンク94が傾斜したときにはキャップ本体11内に設けた空気通路26から燃料が漏れ出てしまうのを防止することができる。これにより、安全性確保と植物への被害及び大気汚染などを抑えることができる。
次に、図15〜図33には本発明の他の実施例の燃料タンク94の給油口キャップ10を示している。該燃料タンク94の給油口キャップ10は、前述の実施例と略同じ構成を有している。以下、異なる部分について説明する。尚、前述の実施例と同じ部分にはこれと同じ符号を付し、説明を省略する。
該給油口キャップ10の内蓋14は、図15に示すように略中心に位置して、中空の筒本体16が形成されている。該筒本体16内に設けられたピストン40は、上下方向(フロート32とベースプレート51方向)に2分割され、上側(フロート32側)に小径部40B、下側に小径部40Bより外径が大きい中径部40C、及び、大径部40E(本発明の閉鎖部に相当)が設けられている。尚、ピストン40は後で詳しく説明する。
筒本体16は、図16に示すように一側(図中左側)に円筒形状の筒状部18が形成されており、この筒状部18に連続して他側(図中右側)に縮径部20が形成されている。この筒状部18は、所定の長さ、所定の直径に形成されると共に、筒状部18より離間するに従って縮径する円錐形状に形成されている。
縮径部20には、筒状部18の離間側に貫通して形成された挿通孔22が設けられており、この挿通孔22は、筒本体16内側と外側とを連通している。内蓋14の一側面(挿通孔22側の面)には、挿通孔22を中心にして、所定幅、所定高さ、所定の直径のリング状突部23が複数(実施例では2箇所)設けられている(図15、図16に図示)。
そして、図17に白抜き矢印で示すように、内蓋14がリング状突部23側から外蓋12内に挿入され、内蓋14と外蓋12とが超音波にて溶着固定される。即ち、外蓋12には、内蓋14側に少許突出したリング状の超音波リブ12A(図19に図示)が複数設けられており、この超音波リブ12Aと内蓋14の各リング状突部23とが超音波によって溶着固定される。このとき、内蓋14の外周縁と外蓋12も超音波にて溶着固定される。これによって、内蓋14と外蓋12とが強固に固定される(図18)。
該筒本体16内には、図20に示すように弁機構部28が設けられている。この弁機構部28は、筒状部18と、この筒状部18内に設けられた球体30と、フロート32と、フロート機能(浮力)を備えたピストン40と、ベースプレート51とから構成されている。尚、図20では筒本体16を縦断面図、他は正面図を図示している。
ここで、燃料(ガソリン)の比重は0.6〜0.8%である。そして、ピストン40は、ピストン40自身の重量と、フロート32、球体30の合成された重量を持ち上げるだけの浮力を有している。言い換えるとピストン40は、球体30を縮径部20内面に押し付けるだけの浮力を有している。例えば、ピストン40の内部の体積を約1.3893立方cmとして、全体の質量を0.6171g、比重を0.4442とした場合、浮力(ピストン40を燃料内に浸かったとき)は約0.9725gfである。このピストン40全体が燃料に浸かったときの浮力(ピストン40が上方に作用する力)は0.355gf・・・(1)となる。
また、燃料内での球体30の重量は、球体30が直径約2.5mmのステンレス球の場合0.0638g、フロート32の重量は0.2003g、球体30とフロート32の合計重量は0.2641gとなる。この球体30とフロート32が下方に作用する力(空気中で球体30とフロート32が下方に作用する力)は、0.2641gf・・・(2)となる。このとき、球体30には(1)−(2)の力が上方に作用する。即ち、球体30は、ピストン40により0.0913gfの力で上方に浮上するフロート機能を有している。該フロート32の浮力は、後述する大径部40Eで筒本体16の空気通路26を閉鎖するまで働く。その後ピストン40は、給油口キャップ10よりも上昇した燃料の液圧で、挿通孔22側に移動(押される)することになる。
前記ピストン40は、図21、図22、図23に示すように、一側(図22、図23上側)に突出して球形の一部を構成する突部42が設けられており、この突部42の反対側の面には、ピストン40下部の開口を塞ぐ蓋部材41が超音波溶着にて密閉固定されている。即ち、ピストン40は、突部42の反対側の面を蓋部材41にて密閉されることにより、フロートとしての機能を持たせている。この突部42によって、ピストン40とフロート32とが点接触になるように構成している。
また、ピストン40には、小径部40Bの外周面に、筒状部18の長手方向に延在して縦リブ40Aが設けられており、この縦リブ40Aは、突部42側から中径部40Cまで延在している。縦リブ40Aは、小径部40B周囲に略等間隔で複数設けられ、前記縦リブ40A同様幅約1.0mm、厚さ約0.2mmにて形成されている。該縦リブ40Aは、小径部40B周囲に略等間隔で8箇所設けられると共に、断面カマボコ状に形成されている。
該縦リブ40Aは、筒状部18内に挿入されたピストン40と、筒状部18内面とを線接触させて、ピストン40が上下移動する際の接触抵抗を低減させて、筒状部18内面との摩擦抵抗を少なくしている。これにより、ピストン40と筒状部18内面とが燃料によって吸着してしまうのを防止している。また、筒状部18内面と縦リブ40Aとの隙間を、ピストン40が上下可動可能な少ない隙間として、ピストン40の倒れを少なくしている。
そして、ピストン40によって縮径部20内に押し付けられた球体30により空気通路26が閉鎖されると、筒状部18内のガス(残留ガス)は、筒状部18内に封じ込められると共に、挿通孔22から外部へ漏れ出てしまうのが阻止されている。筒状部18内に封じ込められたガスは、燃料タンク94内の燃料の液圧によりピストン40が移動して圧縮される。そして、筒状部18内の圧力と、燃料タンク94内圧とのバランスがとれたところで、球体30は燃料タンク94内の液圧で縮径部20内の空気通路26は閉鎖される。
球体30が縮径部20内の空気通路26を閉鎖するのが遅い場合は、筒状部18内のガスは挿通孔22から外部に排出されてしまう。また、挿通孔22からガスが外部に排出されると、ピストン40での筒状部18内のガス圧縮が遅れて、燃料が通気溝40Dから筒状部18内に侵入してしまう。このため、燃料が通気溝40Dから筒状部18内に侵入するよりも速く、縮径部20内の空気通路26を閉鎖する必要があり、フロート機能を持たせたピストン40は、球体30による縮径部20内面の空気通路26の閉鎖に極めて効果的である。
尚、ピストン40にフロート機能がない場合、ピストン40とフロート32と球体30の自重を、フロート32の浮力と流入した燃料の噴射圧のみで挿通孔22側に移動させなければならない。このため、筒状部18内に流入させる燃料の量も多くなり、球体30を縮径部20内面に押し付けて空気通路26を閉鎖する時間も遅くなる。また、燃料がピストン40上部の筒状部18内に流入して、筒状部18内とタンク内圧とが同じになった場合、フロート機能がないピストン40の重量は燃料の比重より重いので、燃料タンク94側に重力が加わり、球体30への押圧を減じることになる。
また、ピストン40の重力が燃料タンク94方向に働いて、ピストン40が燃料タンク94方向に移動した場合、フロート32単体の浮力では球体30を挿通孔22側に確実に押し付けることができない。また、燃料タンク94(エンジン90)を長時間傾斜させて使用することは実際には殆ど考えられない。しかし、ピストン40にフロート機能がないと、燃料タンク94が傾斜、又は、転倒して長時間(例えば15分以上)経過した場合、挿通孔22より燃料が滲み出す場合があった。
そこで、実施例3では、フロート機能を有するピストン40を設けている。これにより、燃料タンク94が傾斜して、ピストン40底部に燃料が流入した場合には、即ピストン40に浮力が発生して球体30を縮径部20内面に押し付けて縮径部20内の空気通路26を閉鎖する。尚、筒状部18内の残留ガスは、外部への流出が殆どないので、即筒状部18内の残留ガスは圧縮されて、燃料タンク94の内圧とバランスがとれる。
弁機構部28の弁閉鎖時(球体30が縮径部20内面に押し付けられて空気通路26が閉鎖されている状態)、球体30はフロート32の半球部36の略中心頂点に位置する(図24に図示)。そして、弁開放時には、球体30は半球部36の中心頂点から筒部34方向に落下する(図28に図示)。この場合、フロート32の半球部36を半球形状に形成しているので、球体30は半球部36の何れかの方向に落下する。球体30が、半球部36の頂点(挿通孔22に最も接近した位置)に位置しているときの挿通孔22と球体30の距離より、半球部36の何れかの方向に球体30が落下したときの挿通孔22と球体30との距離を大きくすることができる。
また、ピストン40は、当該ピストン40の外形よりもフロート32の外形を小径に形成している。詳しくは、ピストン40の外形に対してフロート32の外形を約4/5に形成している。これに伴って筒本体16(筒状部18内径)も、フロート32の外形、及び、ピストン40の外形に対応させている。これにより、フロート32の重量をピストン40の重量より大幅に軽量化している。そして、燃料タンク94が傾斜したときは、給油口キャップ10内(弁機構部28内)に流入する燃料の液圧は比較的小さいが、ピストン40は浮力と液圧によりフロート32と球体30を押し上げることができる。尚、ピストン40とフロート32及び筒状部18内径は、実施例1、実施例2同様に構成しても差し支えない。
即ち、弁機構部28内に流入した燃料の液圧が小さいと、ピストン40を上昇させるために働く液圧も小さく、ピストン40が挿通孔22方向に上昇する速度も遅くなる。このため、球体30が縮径部20内面に押し付けられる圧力(縮径部20内に形成された空気通路26を閉鎖する圧力)も小さくなって、挿通孔22から燃料が漏れ出てしまう可能性が考えられる。そこで、球体30を、縮径部20内面に速く押し付けて空気通路26を閉鎖し、挿通孔22から燃料が漏れ出てしまうのを改善することが必要となる。
また、ピストン40の内部を中空に構成した場合、中空ではないときに対して浮力を増大させることができる(フロートとして働きを増大させる)。前記、実施例1、実施例2のピストン40は、一側を開口した円筒形の有底容器にて構成している。この場合、燃料タンク94が傾斜したときに燃料が弁機構部28内に流入した場合には、燃料の噴射圧でピストン40を上昇させ、上昇するピストン40によりフロート32、球体30を押し上げて、球体30を縮径部20内面に押し付けて縮径部20内の空気通路26を閉鎖していた。しかし、ピストン40の外周は、各縦リブ40A間と筒状部18内面との隙間を大きく構成しており、ピストン40の長さ(燃料タンク94と挿通孔22方向)は、実施例3のピストン40より短く構成している。
また、実施例1、実施例2では、燃料タンク94が傾斜したときには、弁機構部28内に侵入した燃料が、縦リブ40A間と筒本体16の筒状部18内面との隙間からピストン40上部まで達した時点で、筒状部18内はタンク内の圧力と同一圧力になる。このときのピストン40は、一側を開口し、円筒形に形成された有底容器のため浮力は殆どなく、自重は燃料の比重より重い。また、ピストン40は、自重でタンク側に移動(落下)するが、球体30を縮径部20内面に押し付ける力はフロート32の浮力だけであった。このため、縮径部20内面に押し付ける球体30の圧力は低く、挿通孔22から外側に燃料が滲み出してしまう可能性が考えられる。
そこで、実施例3では、ピストン40を中空にして浮力(フロート機能)を持たせ、その浮力を利用することにより、ピストン40が燃料内で浮くように構成している。この場合、ピストン40を浮上させる要素は、給油口キャップ10の位置に対する燃料タンク94内の燃料液面高さ(ピストン40に加わる燃料の重量)である。給油口キャップ10を基準に、燃料タンク94内の燃料高さが高くなると、給油口キャップ10に燃料の圧力が加わる。即ち、給油口キャップ10より燃料の液面が高くなった場合、その高さ分の液面差圧がピストン40に加わることになる。
また、ピストン40の浮力を増大させるため、ピストン40を筒本体16の長手方向に長くして容積を増大させると、筒状部18内面との隙間部に燃料が流入したとき、筒状部18内面とピストン40とが吸着を起こし易くなる。筒状部18内面とピストン40とが吸着を起こすと、傾斜した燃料タンク94が水平に戻ったとき、ピストン40の吸着によってフロート32、球体30が燃料タンク94側に落下し難くなる。そこで、実施例3ではピストン40の長さを、当該ピストン40の直径寸法より短く構成して、ピストン40の底面積(燃料タンク94側の面積)を大きくしている。これにより、流入した燃料によりピストン40の浮力を増大させるようにしている。
即ち、中空の密閉容器でピストン40を構成して、直径寸法よりも長さ寸法を短くすることによりピストン40に大きな浮力が発生するように構成している。また、フロート32を構成する筒部34の厚さ(筒本体16の長手方向)を、半球部36の半径より薄く構成している。これにより、ピストン40だけの浮力で、フロート32と球体30を縮径部20内面に押し付けて、縮径部20内の空気通路26を閉鎖し、挿通孔22からの燃料漏れを確実に防止できるように構成している。また、弁機構部28内に燃料が流入した場合、ピストン40が自重で燃料タンク94方向へ移動してしまうのを、当該ピストン40の浮力によって防止できるように構成してる。
また、ピストン40は、ピストン40とフロート32と球体30との総重量を充分浮上可能な容積(浮力)にて構成している。このピストン40は、燃料が底部に流入したとき、瞬時に浮力を発生させられる底面積と長さで構成すると共に、内部を中空にすることにより、確実に浮力を確保できる構造としている。該ピストン40は、長さ約8.2mmの円筒形状に形成されている。このピストン40と筒本体16の内面との間は、燃料が通過可能な隙間に構成されている。そして、ピストン40が外部側(挿通孔22側)に移動した場合、フロート32により球体30が筒本体16の縮径部20内面に押し付けられる以前に、ピストン40(大径部40E)と筒本体16の内面との間の間隔を、燃料が通過できない寸法に構成している。
具体的にピストン40は、上下方向(フロート32とベースプレート51方向)に2分割され、上側(フロート32側)に小径部40B、下側に小径部40Bより外径が大きい中径部40C、及び、大径部40Eが設けられている。該小径部40Bは、直径約12.4mmの円筒形状に形成され、中径部40Cはそれよりも少許大径の直径約13.1mmに形成されると共に、大径部40Eは更に大径に形成されている。尚、小径部40Bの周囲には、筒状部18内面への吸着防止用の隙間を確保するため前述の縦リブ40A同様の縦リブ40Aが設けられている(図20に図示)。
また、大径部40Eは中径部40Cの下側には連続して設けられており、この大径部40Eは中径部40Cの直径よりも約0.06mm大きな直径に形成されている。また、上下方向の寸法(厚さ寸法)は、小径部40Bが約4.0mm、中径部40Cが3.4mm、大径部40Eが約0.8mmに構成している。また、小径部40Bは前述のピストン40同様周囲に縦リブ40Aによる空気通路26が設けられている。
また、中径部40C及び大径部40Eの周囲には縦リブ40Aを設けずに平面の円筒形に構成している。これにより、中径部40Cと筒状部18内面との隙間を燃料が通過できず、燃料タンク94から蒸発したガスだけが通過できる寸法に構成している。また、大径部40Eと筒状部18内面との隙間を燃料が通過できず、燃料タンク94から蒸発したガスが中径部40Cよりも通過し難い寸法に構成している。
また、ピストン40(中径部40C)側面には、空気通路26の一部を構成する通気溝40D(本発明の燃料が通過可能な燃料通過許容部相当)が設けられている。この通気溝40Dは、幅約1.2mm、深さ約0.3mmに構成されると共に、大径部40Eに接する箇所から縦リブ40A側まで延在している。即ち、通気溝40Dは、燃料タンク94側を大径部40Eにて閉塞され、挿通孔22側を縦リブ40A間に開口している。
また、大径部40Eは、前述した如き通気溝40Dよりも筒本体16の内面に近接する外径にて構成している。そして、大径部40Eは、自動車100の通常使用時(本発明の「常には」に相当)、筒本体16の内面との間の隙間を、燃料が通過可能な寸法に構成している。また、ピストン40が挿通孔22側に移動した場合、筒本体16の内面に対向する位置に移動して、筒本体16の内面との間の間隔を、燃料が通過できない寸法に構成している。
また、筒本体16内は、筒状部18に連続して下部(燃料タンク94側)に段差部19が形成されており、筒状部18内は直径約10mm、段差部19はそれよりも大径の直径11mmに形成されている。即ち、ピストン40の下部(ベースプレート51側)は、筒本体16の筒状部18内面と上下可動な隙間を確保して、燃料タンク94が傾斜したときの可動を確保している。また、ピストン40の下部周囲は、燃料が通過せず、燃料タンク94内から発生した有害ガスを通過させる隙間を設けると共に、燃料タンク94が傾斜したときでも可動可能な隙間を有している。
そして、ピストン40にてフロート32が押し上げられて、球体30が縮径部20内面に押し付けられたとき、段差部19内側には空間部19Aが形成されるように構成されている。また、ピストン40の上昇により、縮径部20の内面に押し付けられた球体30で空気通路26が閉鎖された場合、大径部40Eの周囲面と、筒本体16下部内面との対向面を解除して空気通路26を形成するために、ピストン40のストロークを大径部40E厚さより大きくしている。即ち、段差部19を、ピストン40と筒本体16下部の大径部40Eの外周径より大きく、幅も大径部40Eより広くしなければ燃料タンク94内と挿通孔22とを空気通路26で連通できない。
そこで、次に大径部40Eと筒本体16の内面間の燃料が通過可能な筒状部18とピストン40間の寸法と、燃料が通過できない筒状部18とピストン40間寸法のピストン40位置について具体的に説明する。ピストン40にてフロート32が押し上げられて、最上部に移動したときのピストン40位置(1)と、最上部と最下部との中間のピストン40位置(2)と、最下部に移動したときのピストン40位置(3)を順を追って説明する。
(1)最上部に移動したときのピストン40位置
ピストン40がフロート32を押し上げ、球体30を縮径部20内面に押し付けているときは、図24、図25に示すように、ピストン40を構成する大径部40Eの外周面は筒状部18の内面に対向した状態となる。このとき大径部40Eの下部は大径部40Eの厚さの1/5、空間部19A側にはみ出している。この場合、大径部40Eの厚さの4/5(図25のT1)が、筒状部18内面と対向し、1/5(図25のT2)が段差部19に対向している。
そして、ピストン40が挿通孔22側に移動し、大径部40Eが筒状部18内面に対向している状態では、筒状部18内面と大径部40E外面との間は、燃料が通過しない寸法となる。このとき、ピストン40には筒状部18から大径部40E側にはみ出した部分だけの浮力が働くことになる。そして、空間部19A内に燃料が流入した場合、筒状部18の内面と大径部40Eとの隙間は、燃料の浸透によりシールされ(大径部40Eと筒状部18内面とがシールされる)、フロート32側への燃料移動を防止する。尚、図24、図25では筒本体16を縦断面図、他は正面図を図示している。)。
(2)最上部と最下部との中間のピストン40位置
ピストン40がフロート32を押し上げ、球体30を縮径部20内面に押し付ける途中では、図26、図27に示すように、ピストン40を構成する大径部40Eの外周上部の角(挿通孔22側の角)と、筒状部18内面と段差部19との接する角部とが最も近接した状態となる。即ち、ピストン40が下部から挿通孔22側に移動した場合、フロート32により球体30が筒本体16の縮径部20内面に押し付けられる以前に、大径部40Eと筒本体16の内面との間の間隔を、燃料が通過できない狭い寸法にしている。この状態で、ピストン40が僅か(例えば、1.0mm)下方(燃料タンク94側)に移動すると、ピストン40下部の空間部19Aと中径部40Cの側面に設けた通気溝40Dは連通する。
これによって、燃料タンク94ないと外部とが空気通路26によって連通する。また、ピストン40がそれ以上、上方に移動した場合は、(1)ピストン40が最上部と最下部の中間位置のときと同様である。また、このとき、ピストン40には筒状部18から大径部40E側にはみ出した部分だけの浮力が働くことになる。尚、ピストン40がフロート32を押し上げ、球体30を縮径部20内面に押し付けた状態から燃料タンク94側に戻る途中でも同様のことが云える。尚、図26、図27では筒本体16を縦断面図、他は正面図を図示している。)。
(3)最下部に移動したときのピストン40位置
ピストン40が燃料タンク94側に移動して、球体30が縮径部20内面から下方に移動して空気通路26を開放しているときは、図28、図29に示すように、ピストン40を構成する大径部40Eの外周面は段差部19の内面に対向した状態となる。この状態で、ピストン40を構成する大径部40Eの外周上部の角(挿通孔22側の角)は、筒状部18内面と段差部19との接する角部とが最も離間した状態となる。このとき、大径部40Eの上下面(筒本体16とベースプレート51間)、及び側面(段差部間)との距離は、小径部40B周囲に設けた縦リブ40A間と、筒状部18間に形成された空気通路26と同等またはそれ以上大きい空気通路26が構成される。
即ち、自動車100の通常使用時には、ピストン40と筒本体16の内面との間を燃料が通過可能な寸法にしている。この状態で、空気通路26は、燃料タンク94内からピストン40下部と、大径部40Eと段差部19との間の空間部19Aと、中径部40C側面に設けた通気溝40Dとを通り挿通孔22から外部に連通する。尚、図28、図29では筒本体16を縦断面図、他は正面図を図示している。)。
一方、前記ベースプレート51は、前記実施例同様に錆びず、燃料によって変形及び溶解することのない合成樹脂製(ナイロン6、或いは、ナイロン6,6)にて構成されている。このベースプレート51は、前記実施例より大きい直径約10.2mm、厚さ1.6mmに形成され、中央には貫通して直径約4.5mmの貫通孔52が設けられている。ベースプレート51は図30に示すように、一側面(ピストン40側の面)には断面カマボコ状の水平リブ51Aが設けられており、この水平リブ51Aは、幅約1.0mm、厚さ約0.8mmに形成されている。この水平リブ51Aは貫通孔52の円周方向に等間隔で複数(実施例では6箇所)設けられている。
該水平リブ51Aは、中心から放射状に設けられると共に、貫通孔52と所定の間隔を存した位置からベースプレート51周縁まで設けられている。この水平リブ51Aは、ピストン40に線接触して、ベースプレート51とピストン40とが吸着してしまうのを防止する。このベースプレート51は、後述するスプリング56によって内蓋14に固定される。
また、ベースプレート51には、図31、図32に示すように中心を貫通する貫通孔52が設けられている。貫通孔52の周囲には、ベースプレート51の外周側から貫通孔52方向に凹陥すると共に傾斜した円形の凹部51Cが形成されている。また、ベースプレート51の一面側(燃料タンク94側)の凹部51Cから外周縁部まで延在する空気通路26の一部を構成する通路51Bが設けられている。
貫通孔52と凹部51C及び通路51Bは、空気通路26の一部を構成している。即ち、通路51Bは貫通孔52を介してピストン40の底部に連通すると共に、燃料タンク94内に連通している。これにより、燃料及び、燃料から蒸発したガスがスプリング56との間に形成された通路51Bを通り、凹部51C、貫通孔52を介して、ピストン40の下部に流入できるように構成されている。また、ベースプレート51には矩形に切り欠かれた切欠部51Dが設けられている。この切欠部51Dは通路51Bの対向位置に設けられ、通路51Bの位置決めを行う。
そして、燃料タンク94が傾斜した場合(例えば、10度〜45度傾斜した場合)は、燃料タンク94の燃料は給油口キャップ10に至る。給油口キャップ10に至った燃料は、ベースプレート51に設けられた通路51Bを通り、弁機構部28内に流入して、貫通孔52よりピストン40側に流入する。フロート機能を持たせたピストン40の底部から燃料が流入すると、流入した燃料によってピストン40は浮上し、フロート32、球体30は連動して上昇(この場合、挿通孔22側に移動)する。
また、燃料タンク94が傾斜した場合(例えば、45度以上傾斜した場合)、燃料タンク94の燃料は給油口キャップ10に至る。そして、燃料はベースプレート51に設けられた通路51Bを通り、弁機構部28内に流入して、貫通孔52より勢いよくピストン40側に噴射される。フロート機能を持たせたピストン40の底部に勢いよく燃料が噴射されると、噴射された燃料によってピストン40は瞬時に浮上し、フロート32、球体30は連動して上昇するように構成されている。
以上の構成で、次に燃料タンク94の給油口キャップ10の組み立てを、図20と図33を参照して説明する。まず、筒本体16周囲にスポンジにて構成されたフィルター50を挿入した後、その上(燃料タンク94側)からガスケット54を装着する。(図7で図示、図33ではフィルター50及びガスケット54を省略している)。次に、筒本体16内に球体30、フロート32、ピストン40を縮径部20の挿通孔22側から順に挿入する(図20実線矢印)。
次に、ピストン40の上(燃料タンク94側)にベースプレート51、スプリング56を順に載せる。そして、内蓋14とスプリング56とをリベット58にてカシメ固定する(図7で図示、図33ではリベット58を省略している)。これで、燃料タンク94の給油口キャップ10が完成する。即ち、給油口キャップ10の組み立ては実施例1同様に行われる。
次に、燃料タンク94の給油口キャップ10の空気通路26を詳しく説明する。該空気通路26は、図28、図29の点線矢印で示している。尚、図29では、ピストン40よりフロート32の外径を小径に形成している。これに伴って、筒状部18の径も同様にピストン40側よりフロート32側の外径を小径にしている。また、ピストン40は、当該ピストン40の直径よりもフロート32とベースプレート51の方向の長さを短く構成している。これにより、ピストン40周囲と筒状部18内面との摩擦抵抗を少なくして、浮力の増大を図っている。
まず、燃料タンク94が傾いていない通常使用状態で、ピストン40が挿通孔22の離間側(燃料タンク94側)に位置している場合の空気通路26の説明を行う。この場合、球体30は、挿通孔22から重力でフロート32側に位置(落下)し、フロート32の半球部36及びピストン40も挿通孔22から重力でベースプレート51側に位置している。
空気通路26は、外部から挿通孔22内を通り、縮径部20内面と球体30との間から、筒状部18内面とフロート32の筒部34周囲に設けた筒リブ34A間からフロート32とピストン40間に至る。次に、筒状部18内面とピストン40の小径部40B周囲に設けた縦リブ40A間から、中径部40Cの側面に設けた通気溝40Dに至る。
次に、大径部40Eの側面からピストン40とベースプレート51間を通り、ベースプレート51の貫通孔52及び通路51Bを通り燃料タンク94内に至る空気通路26が形成されている。即ち、弁機構部28は、弁の開放状態で燃料タンク94内と外部とは空気通路26によって連通する。言い換えると、自動車100の通常使用状態では、燃料タンク94内と外部とは空気通路26によって連通している。
そして、燃料タンクの給油口95が給油口キャップ10で閉じられ、燃料タンク94内の燃料が消費された場合、その消費された燃料の体積分だけ空気通路26から外気を燃料タンク94内に導入することができる。また、燃料タンク94内の燃料が消費されていないとき、燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスを、キャップ本体11に設けた空気通路26より外部に排出することができる。
また、ピストン40が挿通孔22側(燃料タンク94と反対側)に位置している場合、球体30は縮径部20内面に接触する。このとき、球体30及びフロート32の半球部36が線接触すると共に、球体30及びフロート32の半球部36は、筒本体16の傾斜部38内面に線接触する。これによって、弁機構部28内の空気通路26は閉鎖状態となり、燃料タンク94内と外部とを連通する空気通路26は閉鎖される。
即ち、燃料タンク94内の燃料の液面が、給油口キャップ10内に設けた弁機構部28に達するまで燃料タンク94が傾斜した場合、燃料タンク94内の燃料は、ベースプレート51の通路51Bを通り貫通孔52から筒本体16内(弁機構部28内)に流入する。筒本体16内に燃料が流入した場合には、その燃料により浮力が発生してピストン40は挿通孔22側に移動すると同時に、ピストン40でフロート32を押し上げ、球体30を縮径部20内面に押し付け、空気通路26を閉鎖する。
また、燃料タンク94が90度以上傾いたときは、球体30は燃料より比重が重い金属にて構成しているので、自重で落下して縮径部20内面に接触し、縮径部20内の空気通路26を閉鎖する。このとき、給油口キャップ10より上方に燃料液面が位置するので、この燃料の液面差圧重力によって、ピストン40及びフロート32は下方に位置した球体30を縮径部20内面に押し付けて空気通路26を閉鎖する。
即ち、球体30は自重で挿通孔22方向に落下し、ピストン40に加わる燃料の液面差圧重力も加わって球体30は縮径部20内面に迅速に押し付けられて空気通路26は閉鎖される。従って、浮力を有するピストン40と、フロート32及び球体30を備えた弁機構部28は、燃料タンク94の傾斜が開始してから360度の傾斜角度に対して、外部へ燃料が漏れ出てしまう不都合の防止に極めて有効である。
即ち、燃料タンク94の傾斜角が小さいときに、球体30を縮径部20内面に押し付ける圧力を大きくして縮径部20内の空気通路26の閉鎖能力を大きくするには、ピストン40にフロート機能(浮力)を持たせればよい。これにより、球体30を縮径部20内面に押し付ける圧力を増大させることができる。
また、外気温度が高くなり燃料タンク94の温度が上昇したときには、燃料タンク94内の燃料の温度も上昇する。これにより、燃料から蒸発したガスにて燃料タンク94内の圧力が上昇すると、他に逃げ場のないガスは空気通路26を通り外部(大気中)に排出される。このとき、ガス圧力にてピストン40を浮上させる力も大きくなるが、通気溝40D(空気通路26)をピストン40側面に設けて、ピストン40側面をガスが通過する抵抗を少なくしている。これにより、燃料タンク94内のガスが外部に排出されるのを容易にし、ピストン40が上昇してフロート32、球体30を持ち上げてしまうのを抑制している。
即ち、筒本体16内のピストン40、フロート32、球体30は自重で下方に移動(燃料タンク94方向)して、燃料タンク94内と外部とを空気通路26にて連通する。この場合、ピストン40を、前記実施例1、2のピストン40より大きくした分、ピストン40の自重を増すことができる。これにより、燃料が燃料タンク94に戻るとき更にピストン40の重量も加算され、ピストン40が燃料タンク94方向に移動する速度も増して速く落下させることができると共に、通気溝40Dを設けてピストン40と筒状部18間との空気抵抗を小さくしている。これにより、空気通路26で吸排気を容易に行えるようにしているので、燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスを空気通路26から外部に放出でき、燃料タンク94内を大気圧に保持することができる。
そして、弁機構部28内に燃料が流入している場合、ピストン40は浮力により、燃料タンク94が45度傾斜までは斜め上方向に移動し、球体30への押圧を継続して縮径部20内の空気通路26を閉鎖し続ける。係る球体30により、縮径部20内の空気通路26の閉鎖が継続される限り、空気通路26からの燃料漏れを阻止する。また、ピストン40下部の大径部40Eと筒状部18内面下部と対向した状態では、燃料が筒状部18内面と大径部40E外面との隙間に流入し、その隙間は燃料でシールされる。これにより、ピストン40上部へ燃料が侵入してしまうのを防止できるので、燃料タンク94が傾斜、又は転倒した場合でも、燃料が挿通孔22(給油口キャップ10)から外部に漏れ出すまでの時間を大幅に延長することができる。
そして、燃料タンク94が転倒、又は、傾斜した場合、ピストン40で球体30が縮径部20内面に押し付けられ、空気通路26が1回閉鎖された後、燃料タンク94が水平に戻った場合、筒状部18内に流入した燃料は自重で燃料タンク94内に戻る。係る燃料が燃料タンク94内に戻るとき、筒状部18内は燃料で吸引されるので、ピストン40下部は負圧になる。ピストン40下部が負圧になると、その負圧力で筒状部18内からピストン40は燃料タンク94方向に移動する。ピストン40が燃料タンク94方向に移動すると、フロート32及び球体30も燃料タンク94方向に移動し、球体30で閉鎖されていた縮径部20内の空気通路26は開放されると同時に通気溝40Dも開放される。
挿通孔22の開放により、外部と燃料タンク94内は連通して、燃料タンク94内は外気圧に維持される。一度シールされたピストン40と筒状部18との隙間の燃料は、エンジン90の運転により外部から外気を吸入しなければ乾燥し難く、シール状態が保たれる。また、外部と燃料タンク94内の空気の吸排気は、ピストン40と筒状部18間より、隙間が大きい空気通路26(通気溝40D)を介して行われるので、ピストン40と筒状部18間に侵入した燃料は乾燥し難い。
また、縮径部20内面に押し付けられて球体30で空気通路26が1回閉鎖された後、燃料タンク94が水平状態のとき、エンジン90により燃料が消費されて燃料タンク94内が負圧になったときでも、ピストン40周囲と筒状部18間は燃料でシールされたままの状態となる。このとき、通気溝40Dは、挿通孔22と燃料タンク94内とを連通している。
また、燃料タンク94の水平時(燃料タンク94内の燃料の液面より、給油口キャップ10が高いとき)に、外気温度が高くなり燃料タンク94内が高いガス圧力になった場合、空気通路26から外部に排出されるガスによりピストン40が上昇してしまう可能性も考えられる。しかし、燃料タンク94内の燃料液面と、給油口キャップ10とは絶縁されており、液圧でピストン40が浮上することがない。
この場合、ピストン40、フロート32、球体30の自重で燃料タンク94方向に落下する方向に重力が働いて、燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスは通気溝40D(空気通路26)を通り、挿通孔22から排気されることになる。即ち、燃料タンク94内の燃料から蒸発するだけの弱いガス圧力では、ピストン40は上昇せず、大径部40Eで筒本体16下部は閉鎖されないので、空気通路26(通気溝40D)は開放されたままとなる。
また、外気温度が高く、蒸発したガスで燃料タンク94内の圧力が上昇している場合、空気通路26(通気溝40D)は開放されているので、燃料タンク94内のガスは空気通路26を通り挿通孔22から外部に放出される。また、空気通路26から燃料タンク94内のガスが外部に排出される過程で、ピストン40と筒状部18との間をシールしていた燃料は、ガス化して排出され、ピストン40と筒状部18間のシールは解除される。
シールが解除されると、ピストン40と筒状部18間もガスが通過する空気通路26の働きをして、燃料タンク94内のガスは挿通孔22から排出される。これにより、燃料タンク94内の圧力は低下し、燃料タンク94内からピストン40底部へ働くガス圧力は更に減少する。これにより、ピストン40、フロート32、球体30の自重は燃料タンク94方向に働くので、縮径部20内面に球体30が押し付けられて空気通路26が閉鎖されてしまうなどと云った不都合も発生することがない。
また、燃料タンク94が連続して数回(2回以上)傾斜或いは転倒した後、燃料タンク94が水平に戻った場合は、ピストン40と筒状部18間をシールした燃料の乾燥時間は殆どない。この場合は、大径部40E外面と筒状部18間はシール状態のままになるが、燃料タンク94は水状態のため、通気溝40Dは開放されて、空気通路26は開放状態となる。そして、燃料タンク94が傾斜して、燃料が貫通孔52からピストン40下部に噴射されると、ピストン40は直ぐに上昇して縮径部20内の空気通路26は球体30で閉鎖されて、挿通孔22から外部への燃料漏れを防止する。
一方、従来の給油口キャップは、燃料タンク94内の燃料から蒸発したガスを全て、給油口キャップに設けられた通気口より大気中に放出して、燃料タンク94内を大気圧にしていた。しかし、本発明では、ピストン40に浮力を発生させて、燃料の噴射圧と浮力の双方で、球体30を挿通孔22方向に移動させるように構成している。これにより、燃料タンク94の傾斜角が小さい場合でも、球体30で迅速に縮径部20内の空気通路26を閉鎖することができる。また、燃料タンク94の水平時には、小さな直径の挿通孔22から放出されるVOCガスを抑制することができる。これにより、燃料タンク94内の圧力も大気圧より高くなるので、燃料タンク94内の、燃料の蒸発も抑制することができ、また、燃料漏れも防止できるので経済的である。
前記フロート32は、筒部34を薄くして容積を小さくし、重量も軽くして作動の自由度を確保すると共に、筒リブ34Aにより筒状部18内面とフロート32との吸着を防止している。これにより、フロート32の上下動を円滑にして、フロート32を浮上させるピストン40の負担を減らしている。また、ピストン40にフロート効果を持たせることにより、ピストン40の浮上速度を速くしている。これにより、フロート32上の球体30を、より速く縮径部20内面に押し付けられるように構成している。
また、ピストン40の上昇速度を速くすることにより、筒本体16内の圧力を短時間で上昇させられる。これにより、筒本体16内と燃料タンク94内の圧力バランスを短時間で同一にして、燃料タンク94内から筒本体16内へ燃料が流入してしまうのを確実に防止できるように構成している。
このように構成した給油口キャップ10を燃料タンク94に装着して、燃料タンク94の傾斜角度が20度〜90度の漏れテストで、給油口キャップ10から外部への燃料の漏れが改善した。その結果を下記の表に示す。
燃料タンク94の傾斜角度 放置時間 給油口キャップ10からの燃料漏れ
1)20度 10分 漏れ無し
2)30度 10分 漏れ無し
3)45度 10分 漏れ無し
4)70度 1分 漏れ無し
5)90度 1分 漏れ無し
即ち、フロート機能を有さないピストン40より、フロート機能を備えたピストン40の方が、燃料タンク94内の燃料が給油口キャップ10から漏れてしまうのを、より確実に防止できた。
このように構成された、弁機構部28の動作を更に詳しく説明する。尚、弁機構部28の動作を燃料タンク94が30度〜45度傾斜した場合(10)と、燃料タンク94が45度以上傾斜した場合(11)を順を追って説明する。
(10)燃料タンク94が30度〜45度傾斜した場合
燃料タンク94が30度〜45度傾斜した場合は、燃料タンク94内の燃料は、燃料タンクの給油口95に流出して、給油口キャップ10内(弁機構部28内)に流入する。この場合、燃料タンク94が30度〜45度傾斜すると、燃料タンク94内の燃料は、ベースプレート51に設けられた通路51Bを通り、弁機構部28内に流入する。弁機構部28内に流入した燃料の噴射圧と浮力でピストン40を上昇させ、連動してフロート32と球体30を上昇させ、上昇した球体30で縮径部20内の空気通路26を閉鎖する。
燃料によりピストン40は浮力で上昇し、ピストン40の大径部40Eは、筒状部18と対向位置の最下部まで浮上する(大径部40Eと筒状部18内面との対向が開始され始めた状態)。このとき、大径部40Eと筒状部18との対向位置は、ピストン40周囲(大径部40E周囲)と筒状部18との隙間が最小となる。これにより、筒状部18内(空気通路26)は閉鎖状態となって、大径部40Eと筒状部18の隙間に燃料が浸透して行く。この状態で、ピストン40(大径部40E)と筒状部18間との隙間はシールされて、燃料が下部から筒状部18内へ流入防止される。
そして、ピストン40下部に流入した燃料により、ピストン40は更に上昇する。このとき、ピストン40の浮力は垂直方向に働いている。そして、燃料タンク94が更に傾斜して行くと、ピストン40は、45度まで筒状部18内面との抵抗に抗して浮力で挿通孔22方向に移動する。すると、球体30はピストン40(フロート32機能)で挿通孔22方向に押圧され、縮径部20内面に押し付けられて縮径部20内の空気通路26は閉鎖される。
空気通路26が閉鎖されると、既に筒本体16に流入している空気(ガス)は、挿通孔22から排出されないので、ピストン40により圧縮されて燃料タンク94内の燃料高さの差圧(液圧)とバランスがとれる。圧縮された筒本体16のガスは、燃料タンク94内の燃料高さの液圧に抗して燃料タンク94内に逆流できない。即ち、圧縮されたガスが、挿通孔22から外部に放出されて筒状部18が減圧されなければ、燃料タンク94内の燃料は筒状部18内に侵入できないので、燃料が筒状部18先端の挿通孔22より外部へ漏れ出してしまうのを防止することができる。
そして、傾斜した燃料タンク94が水平に戻った場合、ピストン40は筒本体16内(特に、通路51B内を含むピストン40下部)の燃料が、燃料タンク94内に戻るときの吸引と負圧により燃料タンク94側に移動(落下)する。即ち、挿通孔22より筒状部18内に大気が流入すると、下方から筒状部18内に流入した燃料は、燃料タンク94方向に落下(移動)し、燃料タンク94内に戻る。これにより、ピストン40も燃料タンク94方向に移動し、筒本体16内下部(空気通路26)を閉塞していたピストン40下部の大径部40Eは、段差部19の部分に移動して空気通路26を開放し、当該空気通路26内は挿通孔22を介して外部と燃料タンク94内を連通する。
具体的には、燃料タンク94内は、通路51B、貫通孔52、通気溝40D、水平リブ51A間、縦リブ40A間、筒リブ34A間、縮径部20と半球部36間、縮径部20と球体30間、挿通孔22が順次接続されてなる空気通路26を介して外部に連通する。これにより、エンジン90が運転され燃料が減少したときには、空気通路26から外気を燃料タンク94内に導入することができる。従って、エンジン90が運転され燃料が減少した場合には、燃料タンク94内が負圧になって、燃料が気化器92側に流れ難くなってしまうなどの不都合を確実に防止することが可能となる。
(11)燃料タンク94が45度以上傾斜した場合
燃料タンク94が45度以上傾斜(45度以上、90度未満)した場合は、燃料タンク94内の燃料は、重力で燃料タンクの給油口95に流れ出てきて、給油口キャップ10内(弁機構部28内)に流入する。即ち、燃料タンク94の傾斜が45度を超えると、燃料タンク94内の燃料は、ベースプレート51に設けた通路51Bを通り、弁機構部28のピストン40底部内に流入する。
そして、ピストン40の底部に流入した燃料の差圧により、ピストン40には大きな浮力が発生する。給油口キャップ10よりも燃料タンク94内の燃料位置が更に高くなり、燃料の差圧が大きくなるとピストン40とフロート32と球体30は上方向(挿通孔22方向)に短時間で上昇する。弁機構部28内に流入した燃料による浮力でピストン40は瞬時に上昇し、連動してフロート32と球体30も上昇し、上昇した球体30で縮径部20内の空気通路26は瞬時に閉鎖される。
係る燃料タンク94が45度以上90度未満傾斜した場合、ピストン40の浮力は垂直に働くので、ピストン40と筒状部18内面との抵抗が増し、ピストン40の浮力で球体30を挿通孔22方向に移動させる力が小さくなる。また、燃料タンク94が90度以上傾斜した場合は、フロート32及びピストン40は燃料タンク94方向に浮力が作用するが、ピストン40の底部に加わる液圧の方が浮力より大きくなるので、ピストン40は燃料タンク94側に浮上できない。このとき、大径部40Eは筒状部18の下部内面と対向しており、通気溝40D(空気通路26)は閉鎖されたままとなる。
このように、ピストン40は、自動車100の通常使用時には、当該ピストン40(大径部40E)と筒本体16(段差部19)の内面との間を燃料が通過可能な寸法としている。また、ピストン40が外部側(挿通孔22側)に移動した場合、フロート32で球体30が筒本体16の縮径部20内面に押し付けられる以前に、当該ピストン40と筒本体16の内面との間の間隔(大径部40Eと筒状部18内面の隙間)を、燃料が通過できない寸法としている。
また、ピストン40側面(中径部40Cの側面)に、当該中径部40Cと筒本体16(筒状部18)の内面との間に燃料が通過可能な燃料通過許容部(通気溝40D)を設け、この通気溝40Dよりも燃料タンク94内側に、当該通気溝40Dより筒状部18内面に近接する大径部40Eとを備えている。該大径部40Eは、自動車100の通常使用時には筒本体16(段差部19)の内面との隙間を、燃料が通過可能な寸法としている。また、ピストン40が挿通孔22側に移動した場合、大径部40Eは筒状部18の内面に対向する位置に移動して、筒状部18の内面との間の間隔を、燃料が通過できない寸法に構成している。
これにより、燃料タンク94が傾斜して、筒本体16内に燃料が流入した場合、最初に大径部40Eと筒状部18の内面とで筒本体16内へ燃料が流入するのを阻止した後、球体30を筒本体16の縮径部20内面に押し付けて空気通路26を閉鎖することが可能となる。従って、燃料タンク94が傾斜して筒本体16内に燃料が流入した場合、瞬時に空気通路26を閉鎖することができるので、筒本体16内に流入した燃料が挿通孔22から外部へ流出してしまうなどといった不都合を効果的に防止することができる。
特に、ピストン40の浮上で球体30が縮径部20の内面に押し付けられて空気通路26を閉鎖する直前に、大径部40Eで筒状部18内の空気通路26を閉鎖することができるので、燃料タンク94の燃料が給油口キャップ10から外部に流出してしまうなどといった不都合を未然に防止することができる。
これにより、燃料タンク94が傾斜した場合、給油口キャップ10の隙間から燃料が流出してしまうといった不都合を確実に阻止することが可能となる。従って、給油口キャップ10から燃料が外部に流出してしまうなどの危険性を瞬時、且つ、強力に阻止することができ、一層給油口キャップ10の利便性を向上させることができるようになるものである。尚、キャップ本体11にパイプ70を装着(図33に図示)した場合にも、実施例2同様の効果がある。