JP5030093B2 - 小型高精度位置決め機構、その制御方法及びそれを用いた高エネルギー粒子発生装置 - Google Patents

小型高精度位置決め機構、その制御方法及びそれを用いた高エネルギー粒子発生装置 Download PDF

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Description

本発明は、位置決め対象を位置決めする小型位置決め機構、その制御方法及びそれを用いた高エネルギー粒子発生装置に関する。
位置決め対象を正確に位置決めする位置決め装置として、従来から様々なものが実用化又は提案されている。実用化されている位置決め装置としては、例えばステッピングモータと位置センサとを組み合わせたものがある。また、提案されている位置決め装置としては、例えば移動量計算手段により、停止位置からオーバーランした過動位置との間の移動量を算出し、その算出出力に基づいてワークを補正手段により停止位置に至らせるワーク位置決め装置(特許文献1参照)や、走行台及びモータの停止位置あるいは制動距離を予測・補正することにより、停止位置手前でモータへの電源供給を停止させ、モータの回転及び走行台を目的の位置に精度よく停止させるモータ位置決め装置(特許文献2参照)がある。
特開平10−244497号公報 特開平11−175161号公報
しかしながら、ステッピングモータを用いた位置決め装置では、ステッピングモータ自体を小型化すると、本来の特徴である高トルク回転が犠牲となり実用的な位置決め装置を構成できないという問題があった。
一方、上述したワーク位置決め装置では、移動量計算手段により、停止位置からオーバーランした過動位置との間の移動量を算出し、その算出出力に基づき、逐次サーボモータを逆回転させてワークを補正手段により停止位置に至らせているが、どの位の位置決め精度を達成できるのか不明である。つまり、このワーク位置決め装置は、上述したモータ位置決め装置と同様に直流モータを用いているが、駆動力を確保するため、ギアを用いた減速機構を伴う。したがって、高精度な位置決めを行うには、減速機構のバックラッシ、モータ軸を固定したときのギア出力軸及びステージ位置の遊びを考慮する必要があるが、上述した例では両方向(直流モータに対して前進方向及び後退方向)から位置決めする場合を考慮することができないという問題があった。
本発明は、上述した事情に鑑み、従来のものと比較してより小型で、かつバックラッシによる誤差を低減して位置決め対象を正確に位置決めすることができる小型高精度位置決め機構、その制御方法及びそれを用いた高エネルギー粒子発生装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するための本発明の第1の態様は、
流モータの回転軸に固着され、中心部から等角度で放射状に複数形成された貫通孔を有するエンコーダ板と、
該エンコーダ板を跨ぐように配置され、前記エンコーダ板が回転する際に前記貫通孔を介して透過する光に基づく信号を形成するフォトインタラプタと、
前記フォトインタラプタが検出した信号の数に基づいて前記直流モータの回転を制御する制御部とを具備し、
前記フォトインタラプタは、前記信号をアナログ形式で出力し、
前記制御部は、
前記直流モータを回転させる前の前記フォトインタラプタの出力が、所定の第1の設定値より小さい第1の領域、前記第1の設定値以上で所定の第2の設定値以下の第2の領域及び前記第2の設定値より大きい第3の領域の何れに属するかを判断し、前記直流モータを回転させた際に前記出力が、前記第1の領域、第2の領域及び第3の領域のうち隣接する2つの領域に属するようになった後、他の領域に属するようになった時点で前記信号が1つ検出されたとすることを特徴とする小型高精度位置決め機構にある。
かかる第1の態様では、従来のものと比較してより小型の高精度位置決め機構を提供できる。ここで、本態様では、フォトインタラプタで形成された信号の数を正確に検出することができるので、位置決め対象をより正確に位置決めすることができる。
本発明の第2の態様は、
直流モータの駆動力により変速機構を介して位置決め対象を直線移動させるネジ軸を有し、
前記制御部は、
前記直流モータに対して前方の所定の停止位置に向かって前記位置決め対象を前進させる際には、前記位置決め対象を初期位置から前記停止位置を超えて前進させた後、後退させて前記位置決め対象が前記停止位置に達するまで前記直流モータを回転させる一方、
前記直流モータに対して後方の所定の停止位置に向かって前記位置決め対象を後退させる際には、前記位置決め対象が前記停止位置に達するまで前記直流モータを回転させるように制御するとともに、
前記直流モータを停止させる際に生ずるオーバーシュートに対応するオーバーシュート信号数を保持し、
前記位置決め対象を同一方向に再移動させる際には、再停止位置に前記位置決め対象を移動させる際に必要となる信号数から前記オーバーシュート信号数を減算した信号数が検出されるまで前記直流モータを回転させる一方、
前記位置決め対象を逆方向に再移動させる際には、再停止位置に前記位置決め対象を移動させる際に必要となる信号数に前記オーバーシュート信号数を加算した信号数が検出されるまで前記直流モータを回転させることを特徴とする第1の態様に記載の小型高精度位置決め機構にある。
かかる第2の態様では、直流モータに対して常に後退させる方向、すなわちネジ軸を締める方向で位置決め対象を位置決めすることになるので、バックラッシによる誤差を低減すると共にオーバーシュートによる誤差を低減して位置決め対象を正確に位置決めすることができる小型高精度位置決め機構を提供することができる。また、回転している直流モータを停止させた際に生ずるオーバーシュート量をフィードフォワードすることによってオーバーシュートによる誤差の蓄積を防止して、位置決め対象をより正確に位置決めすることができる。
本発明の第3の態様は、
第1または第2の態様に記載の小型高精度位置決め機構を備え、
パルス状のレーザー光線を創出するレーザー光線発生部と、
前記レーザー光線発生部から創出されたパルス状のレーザー光線を試料に入射させて高エネルギー粒子を発生させる高エネルギー粒子発生部と、
前記レーザー光線発生部と前記高エネルギー粒子発生部とを連結して前記レーザー光線発生部から創出されたパルス状のレーザーを前記高エネルギー粒子発生部に導く導光管群とを具備し、
前記導光管群は、
前記パルス状のレーザー光線が内部を通過する複数の導光管と、
それぞれの導光管の端部を任意の平面内で折曲自在に連結すると共に、一方の導光管の端部から入射した前記パルス状のレーザー光線を他方の導光管の端部に反射する反射鏡を内蔵する接合管とを有することを特徴とする高エネルギー粒子発生装置にある。
かかる第3の態様では、従来と比較してより小型の高エネルギー粒子発生装置を提供することができる。
本発明の第の態様は、
変速機構を介してネジ軸に接続された直流モータの駆動力により前記ネジ軸を回転させて位置決め対象を直線移動させる小型高精度位置決め機構の制御方法であって、
前記直流モータに対して前方の所定の停止位置に向かって前記位置決め対象を前進させる際には、前記位置決め対象を初期位置から前記停止位置を超えて前進させた後、後退させて前記位置決め対象が前記停止位置に達するまで前記直流モータを回転させる一方、
前記直流モータに対して後方の所定の停止位置に向かって前記位置決め対象を後退させる際には、前記位置決め対象が前記停止位置に達するまで前記直流モータを回転させるように制御するとともに、
前記直流モータの回転に対応する信号はアナログ形式で検出され、
前記直流モータを回転させる前の前記信号の値が、所定の第1の設定値より小さい第1の領域、前記第1の設定値以上で所定の第2の設定値以下の第2の領域及び前記第2の設定値より大きい第3の領域の何れに属するかを求め、
前記直流モータを回転させた際に前記信号の値が、前記第1の領域、第2の領域及び第3の領域のうち隣接する2つの領域に属するようになった後、他の領域に属するようになった時点で前記信号が1つ検出されたとすることを特徴とする小型高精度位置決め機構の制御方法にある。
かかる第4の態様では、直流モータに対して常に後退させる方向、すなわちネジ軸を締める方向で位置決め対象を位置決めすることになるので、バックラッシによる誤差を低減すると共にオーバーシュートによる誤差を低減して位置決め対象を正確に位置決めすることができる。
さらに本態様では、直流モータの回転に対応する信号数を正確にカウントすることができるので、位置決め対象をより正確に位置決めすることができる。
本発明の第の態様は、
前記小型高精度位置決め機構の制御方法は、
前記直流モータを停止させる際に生ずるオーバーシュートに対応するオーバーシュート信号数を検出し、
前記位置決め対象を同一方向に再移動させる際には、再停止位置に前記位置決め対象を移動させる際に必要となる信号数から前記オーバーシュート信号数を減算した信号数が検出されるまで前記直流モータを回転させる一方、
前記位置決め対象を逆方向に再移動させる際には、再停止位置に前記位置決め対象を移動させる際に必要となる信号数に前記オーバーシュート信号数を加算した信号数が検出されるまで前記直流モータを回転させることを特徴とする第4の態様に記載の小型高精度位置決め機構の制御方法にある。
かかる第5の態様では、回転している直流モータを停止させた際に生ずるオーバーシュート量をフィードフォワードすることによってオーバーシュートによる誤差の蓄積を防止して、位置決め対象をより正確に位置決めすることができる。
本発明に係る小型高精度位置決め機構によれば、従来のものと比較してより小型の位置決め装置を提供できる。また、直流モータに対して常に後退させる方向、すなわちネジ軸を締める方向で位置決め対象を位置決めすることになるので、バックラッシによる誤差を低減すると共にオーバーシュートによる誤差を低減して位置決め対象を正確に位置決めすることができる小型位置決め装置を提供することができる。さらに、本発明に係る小型高精度位置決め機構の制御方法によれば、バックラッシ及びオーバーシュートによる誤差を低減して位置決め対象を正確に位置決めすることができる。また、本発明に係る高エネルギー粒子発生装置によれば、従来と比較してより小型の高エネルギー粒子発生装置を提供することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について説明する。なお、本実施形態の説明は例示であり、本発明は以下の説明に限定されない。
(実施形態1)
図1は本発明の実施形態1に係る小型高精度位置決め機構を備えた高エネルギーX線発生装置を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る高エネルギーX線発生装置1は、パルス状のレーザー光線を創出するレーザー光線発生部10を有している。レーザー光線発生部10には様々な形状に変形できる導光管群50の一端が接続されており、レーザー光線発生部10から創出されたパルス状のレーザー光線を他端に導くことができるようになっている。また、導光管群50の他端にはパルス状のレーザー光線から高エネルギーX線を発生させるX線発生部100が接続されている。そして、本実施形態では、導光管群50内を通ってX線発生部100に入射する際のパルス状のレーザー光線の入射角度の制御を行う制御部70がさらに設けられている。
レーザー光線発生部10は、パルス状のレーザー光線と共に、そのパルス状のレーザー光線の進行方向と平行に進行する補助レーザー光線を創出することができるものである。レーザー光線発生部10としては、例えばパルス状のレーザー光線を創出するレーザー装置と補助レーザー光線を創出する補助レーザー装置とを組み合わせた装置などが挙げられる。
導光管群50は、導光管となる中空部材と、内部に反射鏡51が設けられたL字型中空部材とが交互に回動自在に接続されており、中空部材に対してL字型中空部材を任意の角度に回動させることによって様々な形状に変形することができるようになっている。
X線発生部100は、図2に示すように、真空チャンバ101を具備している。真空チャンバ101には、合成サファイア(Al23)や合成石英(SiO2)などで形成され、パルス状のレーザー光線が入射するレーザー光線入射窓110と、アルミニウム、プラスチック、石英などで形成され、発生した高エネルギーX線をX線発生部100の外部に出射するためのX線出射窓190とが設けられている。
真空チャンバ101内には、レーザー光線入射窓110から入射したパルス状のレーザー光線を反射すると共に補助レーザー光線を透過するレーザー光線スプリッター120が設けられている。そして、レーザー光線スプリッター120を挟んでレーザー光線入射窓110の反対側には、レーザー光線スプリッター120を透過した補助レーザー光線を検出するレーザー光線検出手段121が設けられている。なお、レーザー光線スプリッター120としては、表面に誘電体多層膜が設けられた光学母材(例えばBK7など)やダイクロミラーなどで構成されたものが挙げられ、レーザー光線検出手段121としては、凸レンズとレーザー光位置センサとを組み合わせたものなどで構成されたものが挙げられる。
一方、レーザー光線スプリッター120の下方には、レーザー光線スプリッター120により反射されたパルス状のレーザー光線をさらに反射する反射鏡130が設けられている。そして、反射鏡130の右斜め上方には、金蒸着ミラー又は誘電体多層膜ミラーなどで構成され、パルス状のレーザー光線を反射させることによって集光させる軸外し放物面鏡(off−axis paraboloid)140が設けられている。
軸外し放物面鏡140の右側には、小型高精度位置決め機構(図示しない)を介して位置決め対象である試料台155が設けられている。試料台155上には、Cu金属膜などで形成され、集光されたパルス状のレーザー光線の照射により電離すると共に高エネルギー電子を発生させるテープ状の試料150と、パルス状のレーザー光線を照射するごとに試料150を巻き取ってレーザー光線が当たる部分をずらすことができる試料巻き取り手段151と、W、Cu、Pbなどで形成され、試料150から発生した高エネルギー電子の照射により高エネルギーX線を発生させるX線変換材170とが配置されている。
そして、詳細は後述するが、小型高精度位置決め機構を用いて、試料台155を水平方向に移動させることによって軸外し放物面鏡140に対する試料150の距離を調節することができるようになっている。
また、試料台155の左側下方には、試料150から高エネルギー電子が発生した際に生ずるX線を測定するシンチレーション検出器又はX線フォトダイオード(XPD)などのX線検出手段160が設けられている。
制御部70は、レーザー光線検出手段121に接続されると共に、X線発生部100に接続される導光管の内部に設けられたステアリングミラー20に接続されている。そして、制御部70は、レーザー光線検出手段121により検出されたデータに基づいて、ステアリングミラー20の姿勢を調整して、X線発生部100に入射するパルス状のレーザー光線の入射角度を最適化することができるようになっている。
以上説明したように高エネルギーX線発生装置1を構成することにより、レーザー光線発生部10とX線発生部100とを物理的に分離することができるので、X線発生部100を小型化することができる。また、この高エネルギーX線発生装置1によれば、様々な形状に導光管群50を変形させることができるので、レーザー光線発生部10に対してX線発生部100を自由に配置することができる。したがって、上述したように高エネルギーX線発生装置1を構成することにより、多数の配管が密集した狭隘部などにX線発生部100を配置して高エネルギーX線を照射することができる。
次に、小型高精度位置決め機構について詳細に説明する。上述したように、高エネルギーX線発生装置1は、X線発生部100を狭隘部の任意の位置に配置して、狭隘部の所定の部分に高エネルギーX線を照射するものである。したがって、X線発生部100は、より小型のものが好ましい。本実施形態に係る小型高精度位置決め機構は、従来のものと比較してより小型で、かつバックラッシ及びオーバーシュートによる誤差を低減して位置決め対象を正確に位置決めすることができるものである。
図3は、本実施形態に係る小型高精度位置決め機構200の概略斜視図である。小型高精度位置決め機構200は、同図に示すように、駆動源となるDCモータ210(直流モータ)を有している。DCモータ210の回転軸方向の一端側には変速機構である変速ギア220が接続されており、DCモータ210の回転力を変速することができるようになっている。本実施形態では、減速比が1/297の変速ギア220を用いているが、より大きい減速比のものが好ましい。減速比がより大きい変速ギア220を用いることにより、トルクを増大させることができると共に、DCモータ210の回転数に対する変速ギア220の回転数が小さくなることから、DCモータ210の回転を停止させた際に生ずるオーバーシュート量の影響を小さくして位置決め精度を向上させることができるからである。
そして、変速ギア220には、出力軸221に接合された回転結合部材230を介してネジ軸231が固着されている。ネジ軸231にはステージ240が螺合されており、ネジ軸回りのステージ240の回動を規制した状態でステージ240を直線移動させることができるようになっている。すなわち、ステージ240は、変速ギア220の出力軸221に同期して回転することなくその姿勢を維持したまま、変速ギア220の回転軸方向に直線移動することができる。そして、このステージ240上に試料台155が取り付けられる。したがって、DCモータ210の回転力は変速ギア220によって減速され、回転結合部材230及びネジ軸231を介してステージ240に伝達される。そして、その回転力により、ステージ240をDCモータ210の回転軸方向に沿って直線移動させることができる。その結果、試料台155を移動させて軸外し放物面鏡140に対する試料150の距離を調節することができる。
一方、DCモータ210の回転軸方向の他端側には、DCモータ210の回転軸211にエンコーダ板250が固着されている。エンコーダ板250には、中央部から等角度で放射状に形成された貫通孔251が複数設けられている。そして、エンコーダ板250の側面には、エンコーダ板250の側面を跨ぐように、発光部261と受光部262とが配置されたフォトインタラプタ260が設けられている。フォトインタラプタ260は、発光部261から発せられた光のうち、エンコーダ板250が回転した際に貫通孔251を介して透過する光が受光部262に受光されることによって形成される信号を出力することができるようになっている。
また、フォトインタラプタ260と、DCモータ210とに接続された位置決め制御部270と、位置決め制御部270に接続され、試料台155の移動距離を入力するための入力手段280がさらに設けられている。そして、位置決め制御部270は、フォトインタラプタ260が検出した信号の数(積算信号数)に基づいてDCモータ210の回転を制御することができるようになっている。具体的には、位置決め制御部270は、最終的にフォトインタラプタ260が検出した積算信号数と、試料台155が所定の位置に移動する際に必要となる信号数とが等しくなるようにDCモータ210の回転を制御する。
ここで、位置決め制御部270による信号数の算出方法について説明する。本実施形態で用いるフォトインタラプタ260は電圧変化で信号を出力することができるようになっている。具体的には、フォトインタラプタ260から図4に示すような形状の信号が出力される。すなわち、フォトインタラプタ260からは、エンコーダ板250の貫通孔251を透過する光の量に応じて、電圧が増減するアナログ形式の信号が繰り返し出力される。したがって、位置決め制御部270は、このような形状の信号がいくつカウント(検出)されたかによって積算信号数を算出することができる。
なお、フォトインタラプタ260の出力は、発光部261から発せられた光がエンコーダ板250によって遮断された状態(図4に示す第1の領域)の電圧値や、発光部261から発せられたすべての光がエンコーダ板250に遮断されることなく、エンコーダ板250の貫通孔251を透過している状態(図4に示す第3の領域)の電圧値であるとは限らない。すなわち、これらの状態の値以外の電圧値となる場合がある。具体的には、発光部261から発せられた光の一部がエンコーダ板250の貫通孔251を透過している状態(図4に示す第2の領域)の電圧値である場合もある。
ここで、第1〜第3の領域のそれぞれは予め設定された第1の設定値及び第2の設定値により区分され、第1の設定値より下の領域を第1の領域、第1の設定値以上で第2の設定値以下の領域を第2の領域、第2の設定値より大きな領域を第3の領域としている。本実施形態では、最小電圧値を0、最大電圧値を100とした場合に、第1の設定値を20、第2の設定値を80としている。
ここで電圧変化をデジタル化する場合、単純なTTL(transistor transistor logic)、つまり「0」又は「1」で示される2進数形式で信号を表現すると、第2の領域に属する状態の定義(第2の領域に属する状態が「0」又は「1」のいずれの値となるか)が不明瞭となり、ミスカウントの原因となる。これに対して、本実施形態では、フォトインタラプタ260の出力に対してA/D変換による信号処理を行うため、第2の領域に属する状態であっても、以下に説明するようにして、積算信号数を正確に算出することができる。
具体的には、DCモータ210を反時計回りに回転させる場合、初期のフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第1の領域に属する場合には、DCモータ210を回転させた際にフォトインタラプタ260から出力される電圧値が第1の領域から第2の領域を経て第3の領域に属する値に変わった時点で積算信号数に1カウント加算する。
また、初期のフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第2の領域に属する場合であって、DCモータ210を反時計回りに回転させた際にフォトインタラプタ260から出力される電圧値が、第2の領域に属する値から第1の領域に属する値になった場合には、その電圧値が再度第2の領域を経て第3の領域に属する値に変わった時点で積算信号数に1カウント加算する。
一方、初期のフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第2の領域に属する場合であって、DCモータ210を反時計回りに回転させた際にフォトインタラプタ260から出力される電圧値が、第2の領域に属する値から第3の領域に属する値になった場合には、その電圧値が一度第2の領域を経て第1の領域に属する値になったことを確認してから、再度第2の領域を経て第3の領域に属する値に変わった時点で積算信号数に1カウント加算する。
さらに、初期のフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第3の領域に属する場合には、DCモータ210を回転させた際にフォトインタラプタ260から出力される電圧値が一度第2の領域を経て第1の領域に属する値になったことを確認してから、再度第2の領域を経て第3の領域に属する値に変わった時点で積算信号数に1カウント加算する。
次に、逆にDCモータ210を時計回りに回転させる場合、初期のフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第3の領域に属する場合には、DCモータ210を回転させた際にフォトインタラプタ260から出力される電圧値が第3の領域から第2の領域を経て第1の領域に属する値に変わった時点で積算信号数から1カウント減算する。
また、初期のフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第2の領域に属する場合であって、DCモータ210を時計回りに回転させた際にフォトインタラプタ260から出力される電圧値が、第2の領域に属する値から第3の領域に属する値になった場合には、その電圧値が再度第2の領域を経て第1の領域に属する値に変わった時点で積算信号数から1カウント減算する。
一方、初期のフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第2の領域に属する場合であって、DCモータ210を時計回りに回転させた際にフォトインタラプタ260から出力される電圧値が、第2の領域に属する値から第1の領域に属する値になった場合にはカウントを見送り、再度第2の領域を経て第3の領域に属したことを確認してから改めて、第2の領域を経て第1の領域に属する値に変わった時点で積算信号数から1カウント減算する。
さらに、初期のフォトインタラプタ260から出力された電圧値が既に第1の領域に属する場合にもカウントを見送り、一度第2の領域を経て第3の領域に属したことを確認してから改めて、第2の領域を経て第1の領域に属する値に変わった時点で積算信号数から1カウント減算する。
すなわち、上述した積算信号数の算出方法とは、フォトインタラプタ260から出力された電圧値が属する領域を管理し、DCモータ210を反時計回りに回転させる場合には、その電圧値が第1の領域から第2の領域を経て第3の領域に移行した時点で積算信号数に1カウント加算する一方、DCモータ210を時計回りに回転させる場合には、その電圧値が第3の領域から第2の領域を経て第1の領域に移行した時点で積算信号数から1カウント減算するというものである。したがって、回転しているDCモータ210が第2の領域で停止しても、以前に属した領域は第1の領域か第3の領域かの何れかであるため、再度DCモータ210を回転させた場合でもカウント積算値は誤差を生じない。
例えば、DCモータ210を反時計回りに回転させた際にフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第1の領域を経て第2の領域で停止した場合において、DCモータ210を再度反時計回りに回転させた場合には、その電圧値が第2の領域を経て第3の領域に移行した時点で1カウント加算することになる。これは、その電圧値が第1の領域から第2の領域を経て第3の領域に停止することなく移行したことと同じことになるからである。一方、同様にフォトインタラプタ260から出力された電圧値が第1の領域を経て第2の領域で停止した場合において、DCモータ210を時計回りに回転させた場合には、その電圧値が第2の領域から第1の領域に移行した時点では1カウント減算しない。これは、上述の通り、その電圧値が第3の領域から第2の領域を経て第1の領域に移行した時点で初めて1カウント減算するようになっているからである。その結果、カウント積算値は誤差を生じることなく、正確に積算信号数をカウントすることができる。
このように、フォトインタラプタ260の信号をA/D変換して上述したように処理することにより、単純なTTLと異なり、積算信号数を正確に算出することができる。
このような小型高精度位置決め機構200を構成するDCモータ210、変速ギア220、回転結合部材230、ステージ240、エンコーダ板250及びフォトインタラプタ260のそれぞれは、小型のものであれば特に限定されない。例えば、ステージ240として、TASB−151(シグマ光機社製)を用いることができる。また、位置決め制御部270も上述したような機能を有するものであれば特に限定されず、例えば上述した機能を有するプログラムを組み込んだマイクロコンピュータが挙げられる。
以上説明したように、本実施形態に係る小型高精度位置決め機構200は、少数の小型の部品で構成することができるので、従来の位置決め機構(装置)と比較して、より小型化・軽量化することができる。また、本実施形態に係る小型高精度位置決め機構200は、以下に説明するようにして、精度よく試料台155を位置決めすることができる。
図5は、本実施形態に係る小型高精度位置決め機構200の動作を示すフローチャートである。同図に示すように、まず積算信号数COUNT及びオーバーシュート信号数RE初期値を「0」に設定する(S1)。ここで、オーバーシュート信号数RESとは、ステージ240がオーバーシュートした際にカウントされる信号数を示す。また、同図に示す後退方向とは、DCモータ210に対してステージ240が後退する方向(ステージ240とDCモータ210との距離が小さくなる方向)を示す。
次に、ステージ240の移動距離Dが入力されると(S2)、位置決め制御部270は、以下に示すような制御を行う。まず、移動距離Dと、フォトインタラプタ260により検出される1信号当たりのステージ240の移動距離とに基づいて、ステージ240を移動距離Dだけ移動させる際に必要となる目標信号数SVを算出する(S3)。ここで、目標信号数SVは正の整数(0を含む)である。
次に、移動距離DがDCモータ210に対して後退方向への移動距離であるか前進方向への移動距離であるかを判定する(S4)。なお、以下では、まずステージ240が後退する方向にDCモータ210を回転させる場合について説明し、その後ステージ240が前進する方向にDCモータ210を回転させる場合について説明する。また、前進方向の移動する際の信号数を正の値とし、後退方向の移動する際の信号数を負の値として説明する。
そして、移動距離Dが負の値、すなわちステージ240を後退させる場合には、上述した目標信号数SVにRESを加算し、得られた値にマイナスを乗じて目標信号数SVを再設定する(S5)。ここで、ステップS1で示したように、この時点におけるRESは「0」であるので、再設定される新たな目標信号数SVは単に上述した目標信号数SVにマイナスを乗じた負の値となる。
次に、ステージ240が後退する方向にDCモータ210を回転させる(S6)。そして、フォトインタラプタ260から出力される信号の数を積算して実測信号数PV(≦0)を算出し(S7)、実測信号数PVが目標信号数SVと等しくなるまで、ステップS6及びステップS7を繰り返す(S8)。ここで、ステップS7において実測信号数PVは「0」から順次減算されるものであるので、負の整数(0を含む)となっている。
そして、実測信号数PVが目標信号数SVと等しくなった時点で、DCモータ210に印加する電圧を「0」にする。ここで、位置決め制御部270によりDCモータ210に印加する電圧を「0」としても、DCモータ210は、回転慣性力により、ステージ240を後退させる方向にしばらく回転し続けることになる。すなわち、位置決め制御部270によりステージ240を移動距離Dだけ後退させようとしても、DCモータ210の回転慣性力により、ステージ240は移動距離Dよりもある程度余計に後退(オーバーシュート)することになる。そこで、本実施形態では、位置決め制御部270によりDCモータ210に印加する電圧を「0」とした後、回転慣性力によりDCモータ210が余分に回転した際にフォトインタラプタ260により検出されるオーバーシュート信号数RESを算出する。具体的には、オーバーシュート信号数RESはPV−SVにより算出され、その値は負の整数(0を含む)となる。また、同時に、積算信号数COUNTもCOUNT+PVにより算出される(S9)。
その後、ステージが現在位置する場所を初期位置として、例えばステージ240を後退方向に再移動させるために新たな移動距離D(前述した移動距離Dと異なる値でもよい)が入力されると(S2)、上述したステップS3〜S9が繰り返されることになる。なお、この場合において、RESには上述したステップ9により算出された所定の値が再設定されており、ステップ5において目標信号数SVを再設定する際にRESが考慮されることになる。具体的には、ステップ5において、目標信号数SV(≧0)に負の値であるRESを加算し、得られた値にマイナスを乗じて目標信号数SV(≦0)を再設定することになる。したがって、再設定される新たな目標信号数SVの絶対値は元の目標信号数SVの絶対値よりも小さな値〔ABS(新たな目標信号数SV)≦ABS(元の目標信号数SV)〕となる。その結果、ステージ240は、位置決め制御部270によって、再入力された移動距離Dよりも短い距離D′移動するように制御されることになる。このようにして、ステージ240を後退方向に再移動させる際に、DCモータ210の回転慣性力によるオーバーシュートを考慮してステージ240を移動させることができる。
ここで、ステップ5において目標信号数SVからRESを加算せずに、ステージ240を後退方向に再移動させる場合には、DCモータ210の回転慣性力によるオーバーシュートによる誤差が蓄積していくことになる。すなわち、ステージ240を後退方向に再移動させるごとにDCモータ210の回転慣性力によるオーバーシュートが発生する。そして、そのオーバーシュートした位置からそのままステージ240を後退方向に再移動させると、さらに再移動によるオーバーシュートが発生することになる。そしてこのような再移動を繰り返すことにより、オーバーシュートによる誤差が蓄積していくことになる。
これに対して、本実施形態では、上述したように、再移動させる際に、オーバーシュートを考慮した移動距離D′だけ移動するように制御部270によりDCモータ210が制御されるので、このような問題が生ずることはない。
次に、ステージ240が前進する方向にDCモータ210を回転させる場合について考える。ステップS4において、ステージ240を前進させる場合には、上述した目標信号数SVにRESを減算する(S10)。ここで、ステップS1で示したように、この時点におけるRESは「0」であるので、再設定される新たな目標信号数SVは元の目標信号数SVと同じ値である。
次に、ステージ240が前進する方向にDCモータ210を回転させる(S11)。そして、フォトインタラプタ260から出力される信号の数を積算して実測信号数PV(≧0)を算出し(S12)、実測信号数PVがSV+Aと等しくなるまで、ステップS11及びステップS12を繰り返す(S13)。ここで補償信号数Aとは、ステージ240を前進させる際に移動距離Dを超えた所定の距離分だけ前進させるために必要となる任意の信号数(正の整数(0を含む))であり、ネジ軸231のバックラッシュによる誤差の範囲に対応する信号数より充分に大きな値であればよい。ここで、ステップS12においてPVは「0」から順次加算されるものであるので、正の整数(0を含む)となっている。
そして、実測信号数PVがSV+Aと等しくなった時点で、DCモータ210に印加する電圧を「0」にする。ここで、位置決め制御部270によりDCモータ210に印加する電圧を「0」としても、DCモータ210はステージ240を前進させる方向にしばらく回転し続け、ステージ240はSV+Aに対応する移動距離よりもある程度余計に前進(オーバーシュート)することになる。そこで、本実施形態では、位置決め制御部270によりDCモータ210に印加する電圧を「0」とした後、回転慣性力によりDCモータ210が回転した際にフォトインタラプタ260により検出されるオーバーシュート信号数RESを算出する。具体的には、オーバーシュート信号数RESはPV−(SV+A)により算出され、その値は正の整数(0を含む)となる。また、同時に、積算信号数COUNTもCOUNT+PVにより算出される(S14)。
次に、ステージ240が後退するようにDCモータ210を回転させる(S15)。そして、フォトインタラプタ260から出力される信号の数を積算して実測信号数PVを算出し(S16)、実測信号数PVが信号数〔−(A+RES)〕と等しくなるまで、ステップS15及びステップS16を繰り返す(S17)。ここで、ステップS16においてPVは「0」から順次減算されるものであるので、負の整数(0を含む)となっている。
そして、実測信号数PVが信号数〔−(A+RES)〕と等しくなった時点で、DCモータ210に印加する電圧を「0」にする。ここで、上述したように、制御部270によりDCモータ210に印加する電圧を「0」としても、DCモータ210はステージ240を後退させる方向にしばらく回転し続け、ステージ240は信号数(A+RES)に対応する移動距離よりもある程度余計に後退(オーバーシュート)することになる。そこで、本実施形態では、位置決め制御部270によりDCモータ210に印加する電圧を「0」とした後、DCモータ210の回転慣性力により回転した際のオーバーシュート信号数RESを算出する。具体的には、オーバーシュート信号数RESはPV+(A+RES)により算出され、その値は負の整数(0を含む)となる。また、同時に、積算信号数COUNTもCOUNT+PVにより算出される(S18)。
その後、ステージが現在位置する場所を初期位置として、例えばステージ240を前進方向に再移動させるために新たな移動距離D(前述した移動距離Dと異なる値でもよい)が入力されると(S2)、上述したステップS3、S4、S10〜S18が繰り返されることになる。
なお、この場合において、RESには上述したステップ18により算出された所定の値が再設定されており、ステップ10において目標信号数SVを再設定する際にRESが考慮されることになる。具体的には、ステップ10において、目標信号数SV(≧0)に負の値であるRESを減算して目標信号数SV(≧0)を再設定することになる。したがって、再設定される新たな目標信号数SVは元の目標信号数SVよりも大きな値(新たな目標信号数SV≧元の目標信号数SV)となる。その結果、ステージ240は、位置決め制御部270によって、再入力された移動距離Dよりも前進方向に長い距離D′移動するように制御されることになる。
このように、ステージ240を前進させる際には、一旦ステージ240を移動距離D以上前進させた後、移動距離Dとなるようにステージ240を後退させることにより、常に後退方向から位置決めすることになるので、ネジ軸231のバックラッシによる誤差の発生を防止することができる。また、後述するようにステージ240を後退させた際に生じるオーバーシュート量は前進させた際に生じるそれよりも小さいため、オーバーシュートによる誤差を小さいほうに揃えることができる。さらに、これらのオーバーシュート量をフィードフォワードすることによりステージ240の移動と停止を繰り返すことで生じる位置誤差の増大を防止することができる。
なお、本実施形態では、ステージ240を後退方向に移動させた後、さらに後退方向に再移動させた場合と、ステージ240を前進方向に移動させた後、さらに前進方向に再移動させた場合について説明したが、ステージ240を後退方向に移動させた後、前進方向に再移動させた場合、又はステージ240を前進方向に移動させた後、後退方向に再移動させた場合にも同様の効果が得られるのはいうまでもない。
<実施例>
ネジのピッチが0.4mmのステージと、減速比が1/297の変速ギアと、穴の数が18のエンコーダ板と、市販されているDCモータ及びフォトインタラプタとを用いて上述した小型高精度位置決め機構を作製した。この小型高精度位置決め機構では、ステージが1mm並進した時に、フォトインタラプタ260でカウントされるパルス総数(信号数)は1/0.4×297×18=13365[カウント/mm]となる。
なお、この小型高精度位置決め機構は、市販のステッピングモータを用いて構成した位置決め機構と比較して、十分に小型のものとなっている。
<制御精度実験>
実施例の小型高精度位置決め機構を、指示した移動距離Dに対するステージの実際の移動距離を計測した。具体的には、小型高精度位置決め機構の制御には、図5に示すシーケンスを用い、補償信号数Aを「2000」とした。なお、Aを1500以上の値とすることでバックラッシを十分補償することができる。図6に、ステージを−4000μmから+4000μmの範囲で並進させた場合(後退方向に移動させた場合及び前進方向に移動させた場合)の移動距離Dに対する実際の移動距離を計測した結果を示す。
同図では実際の移動距離の誤差は±2μm程度と評価されるが、計測器の誤差±1μmを考慮すると真の位置決め誤差はこの分を差し引いた±1μm程度であると考えられる。すなわち、実施例の小型高精度位置決め機構は、バックラッシによる誤差及びオーバーシュートによる誤差の蓄積を防止して位置決め対象を±1μm以内の誤差の範囲で正確に位置決めできることが分かった。
ここで、実施例の小型高精度位置決め機構において、位置決め対象を後退方向に移動させて位置決めする場合(DCモータを時計回りに回転させる場合)のオーバーシュート量を10カウントと見積もる。一方、位置決め対象を前進方向に移動させて位置決めする場合(DCモータを反時計回りに回転させる場合)のオーバーシュート量を30カウントと見積もる。ここで送りネジの締る方向(DCモータを時計回りに回転させる方向)と緩む方向(DCモータを反時計回りに回転させる方向)とで負荷トルクに差があることを考慮し、オーバーシュート量に差を設けた。したがって、単に位置決め対象を前進方向に移動させて位置決めする場合には1500カウントのバックラッシと30カウント程度のオーバーシュートが生じることになる。
しかしながら、実施例の小型高精度位置決め機構では、位置決め対象を前進方向に移動させて位置決めする場合であっても最終的には位置決め対象を後退方向に移動させて位置決めすることになるので、ネジ軸のバックラッシによる誤差を防止すると共に小さい方のオーバーシュート値(30ではなく10カウント)、すなわち±1μm程度に留めることができると考えられる。このことは、上述した実験結果と一致する。
(他の実施形態)
実施形態1では、上述した高エネルギー粒子発生装置を構成する位置決め機構として本発明に係る小型位置決め機構を説明したが、本発明はその他の様々な装置に適用できるものである。
また、実施形態1では、信号数の算出方法として、フォトインタラプタ260から出力された電圧値が属する領域を管理し、DCモータ210を反時計回りに回転させる場合には、その電圧値が第1の領域から第2の領域を経て第3の領域に移行した時点で積算信号数に1カウント加算する一方、DCモータ210を時計回りに回転させる場合には、その電圧値が第3の領域から第2の領域を経て第1の領域に移行した時点で信号数から1カウント減算するという方法を用いた。しかしながら、信号数に1カウント加算される時点や信号数から1カウント減算される時点は、上述した時点に限定されない。つまり第1の領域と第3の領域の定義を入れ換えても同様の説明が可能である。
さらに、実施形態1のフォトインタラプタ260は電圧変化で信号を出力することができるようになっていたが、アナログ形式で出力することができればどのような形で出力されてもよい。
実施形態1に係る高エネルギーX線発生装置を示す概略図である。 実施形態1のX線発生部を示す概略図である。 実施形態1に係る小型高精度位置決め機構の概略斜視図である。 フォトインタラプタから出力される信号の形状を示す図である。 実施形態1に係る小型高精度位置決め機構の制御方法のフローチャートである。 制御精度実験の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 高エネルギーX線発生装置
10 レーザー光線発生部
20 ステアリングミラー
25 可動部
50 導光管群
51 反射鏡
70 制御部
100 X線発生部
101 真空チャンバ
110 レーザー光線入射窓
120 レーザー光線スプリッター
121 レーザー光線検出手段
140 放物面鏡
150 試料
151 試料巻き取り手段
155 試料台
160 X線検出手段
170 X線変換材
190 X線出射窓
200 小型高精度位置決め機構
210 DCモータ
211 DCモータの回転軸
220 変速ギア
221 出力軸
230 回転結合部材
231 ネジ軸
240 ステージ
250 エンコーダ板
251 貫通孔
260 フォトインタラプタ
261 発光部
262 受光部
270 位置決め制御部
280 入力手段

Claims (5)

  1. 流モータの回転軸に固着され、中心部から等角度で放射状に複数形成された貫通孔を有するエンコーダ板と、
    該エンコーダ板を跨ぐように配置され、前記エンコーダ板が回転する際に前記貫通孔を介して透過する光に基づく信号を形成するフォトインタラプタと、
    前記フォトインタラプタが検出した信号の数に基づいて前記直流モータの回転を制御する制御部とを具備し、
    前記フォトインタラプタは、前記信号をアナログ形式で出力し、
    前記制御部は、
    前記直流モータを回転させる前の前記フォトインタラプタの出力が、所定の第1の設定値より小さい第1の領域、前記第1の設定値以上で所定の第2の設定値以下の第2の領域及び前記第2の設定値より大きい第3の領域の何れに属するかを判断し、前記直流モータを回転させた際に前記出力が、前記第1の領域、第2の領域及び第3の領域のうち隣接する2つの領域に属するようになった後、他の領域に属するようになった時点で前記信号が1つ検出されたとすることを特徴とする小型高精度位置決め機構。
  2. 直流モータの駆動力により変速機構を介して位置決め対象を直線移動させるネジ軸を有し、
    前記制御部は、
    前記直流モータに対して前方の所定の停止位置に向かって前記位置決め対象を前進させる際には、前記位置決め対象を初期位置から前記停止位置を超えて前進させた後、後退させて前記位置決め対象が前記停止位置に達するまで前記直流モータを回転させる一方、
    前記直流モータに対して後方の所定の停止位置に向かって前記位置決め対象を後退させる際には、前記位置決め対象が前記停止位置に達するまで前記直流モータを回転させるように制御するとともに、
    前記直流モータを停止させる際に生ずるオーバーシュートに対応するオーバーシュート信号数を保持し、
    前記位置決め対象を同一方向に再移動させる際には、再停止位置に前記位置決め対象を移動させる際に必要となる信号数から前記オーバーシュート信号数を減算した信号数が検出されるまで前記直流モータを回転させる一方、
    前記位置決め対象を逆方向に再移動させる際には、再停止位置に前記位置決め対象を移動させる際に必要となる信号数に前記オーバーシュート信号数を加算した信号数が検出されるまで前記直流モータを回転させることを特徴とする請求項1に記載の小型高精度位置決め機構。
  3. 請求項1または請求項2に記載の小型高精度位置決め機構を備え、
    パルス状のレーザー光線を創出するレーザー光線発生部と、
    前記レーザー光線発生部から創出されたパルス状のレーザー光線を試料に入射させて高エネルギー粒子を発生させる高エネルギー粒子発生部と、
    前記レーザー光線発生部と前記高エネルギー粒子発生部とを連結して前記レーザー光線発生部から創出されたパルス状のレーザーを前記高エネルギー粒子発生部に導く導光管群とを具備し、
    前記導光管群は、
    前記パルス状のレーザー光線が内部を通過する複数の導光管と、
    それぞれの導光管の端部を任意の平面内で折曲自在に連結すると共に、一方の導光管の端部から入射した前記パルス状のレーザー光線を他方の導光管の端部に反射する反射鏡を内蔵する接合管とを有することを特徴とする高エネルギー粒子発生装置。
  4. 変速機構を介してネジ軸に接続された直流モータの駆動力により前記ネジ軸を回転させて位置決め対象を直線移動させる小型高精度位置決め機構の制御方法であって、
    前記直流モータに対して前方の所定の停止位置に向かって前記位置決め対象を前進させる際には、前記位置決め対象を初期位置から前記停止位置を超えて前進させた後、後退させて前記位置決め対象が前記停止位置に達するまで前記直流モータを回転させる一方、
    前記直流モータに対して後方の所定の停止位置に向かって前記位置決め対象を後退させる際には、前記位置決め対象が前記停止位置に達するまで前記直流モータを回転させるように制御するとともに、
    前記直流モータの回転に対応する信号はアナログ形式で検出され、
    前記直流モータを回転させる前の前記信号の値が、所定の第1の設定値より小さい第1の領域、前記第1の設定値以上で所定の第2の設定値以下の第2の領域及び前記第2の設定値より大きい第3の領域の何れに属するかを求め、
    前記直流モータを回転させた際に前記信号の値が、前記第1の領域、第2の領域及び第3の領域のうち隣接する2つの領域に属するようになった後、他の領域に属するようになった時点で前記信号が1つ検出されたとすることを特徴とする小型高精度位置決め機構の制御方法。
  5. 前記小型高精度位置決め機構の制御方法は、
    前記直流モータを停止させる際に生ずるオーバーシュートに対応するオーバーシュート信号数を検出し、
    前記位置決め対象を同一方向に再移動させる際には、再停止位置に前記位置決め対象を移動させる際に必要となる信号数から前記オーバーシュート信号数を減算した信号数が検出されるまで前記直流モータを回転させる一方、
    前記位置決め対象を逆方向に再移動させる際には、再停止位置に前記位置決め対象を移動させる際に必要となる信号数に前記オーバーシュート信号数を加算した信号数が検出されるまで前記直流モータを回転させることを特徴とする請求項4に記載の小型高精度位置決め機構の制御方法。
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