JP5029007B2 - 詰め替え用包装袋 - Google Patents
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Description
そして、上記アンカーコート層に用いるアンカーコート剤(以下、AC剤と記載する)としては、有機チタン系AC剤、イソシアネート系AC剤(ウレタン系)、ポリエチレンイミン系AC剤、ポリブタジエン系AC剤などのAC剤が市販され使用されているが、いずれも内容物が前記液体洗剤、シャンプー、リンスの場合は、その耐内容物性が不足し、前記内容物を密封包装した包装袋の保存性の促進試験として、温度が45℃程度の条件での保存試験では問題はないが、60℃で2週間程度の保存試験を行うとシーラント層がバリヤー層から剥離する問題があった。
また、バリヤー層にシーラント層を前記ドライラミネーション法で貼り合わせる場合も同様に、前記ドライラミネート用接着剤の耐内容物性が不足し、前記保存試験によりシーラント層がバリヤー層から剥離する問題があった。
また、前記AC剤やドライラミネート用接着剤は、一部のものを除いて、その塗布液に有機溶剤を使用しており、塗布の際に有機溶剤を排出して環境に悪影響を及ぼす問題もあった。
しかし、この包装袋でも、前記保存試験によるシーラント層の剥離(デラミネーション)は防止できたものの、バリヤー層に対するシーラント層のラミネート強度自体は必ずしも十分ではなく、そのために包装袋を開封する際に、手で袋を引き裂くと、引き裂き端部にシーラント層の剥がれに伴うシーラント層の伸び破断が発生し、引き裂きラインが乱れ、引き裂き性、即ち、手切れ性がよくないという問題があった。
只、前記のような構成のポリオレフィン樹脂水性分散体及びその製造方法に関する特許文献はあり、その水性分散体を含有してなるコーティング剤組成物及び接着剤組成物も記載され、その塗膜が耐水性に優れていることも記載されている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、この特許文献1に記載されたポリオレフィン樹脂水性分散体の塗膜が、液体洗剤、シャンプー、リンスなどの内容物に対する耐内容物性にも優れ、包装袋に用いる積層体の製造において、シーラント層の積層の際のAC剤としてこの水性分散体を用いて前記のような内容物に対しても優れた耐性を有する包装袋を製造できることは一切記載されていない。
即ち、請求項1に記載した発明は、詰め替え用の液体洗剤またはシャンプーまたはリンスを密封包装する包装袋であって、該包装袋が、少なくとも外側から基材層、接着層、バリヤー層、アンカーコート層、ポリオレフィン系樹脂層をこの順に積層してなる積層体をヒートシールして形成され、且つ、前記積層体のアンカーコート層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、且つその水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記バリヤー層面に乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成され、また、前記ポリオレフィン系樹脂層は、前記アンカーコート層面にポリオレフィン系樹脂を押し出しコートする方法、またはポリオレフィン系樹脂フィルムを同様なポリオレフィン系樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で形成されていることを特徴とする詰め替え用包装袋からなる。
(1)包装袋を形成する積層体にバリヤー層を設けているので、内容物の外部への透過を確実に遮断でき、内容物の保存性を高めることができる。
(2)包装袋のシーラント層をポリオレフィン系樹脂で形成しているのでヒートシール性に優れると共に、耐内容物性、即ち、耐液体洗剤性、耐シャンプー性、耐リンス性にも優れた包装袋とすることができる。
(3)バリヤー層にシーラント層のポリオレフィン系樹脂層を積層する際のバリヤー層面に設けるアンカーコート層を前記のように構成しているので、バリヤー層のアンカーコート層積層面がアルミニウム箔などの金属箔であっても、蒸着フィルムなどのプラスチックフィルム面であっても良好に接着し、且つピンホールなどの欠陥のない均一なアンカーコート層が形成され、液体洗剤、シャンプー、リンスに対する遮断性も向上する。また、アンカーコート層の上にシーラント層のポリオレフィン系樹脂層を積層する際には、ポリオレフィン系樹脂を押し出しコートするか、またはポリオレフィン系樹脂フィルムを同様なポリオレフィン系樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で積層しているので、シーラント層はアンカーコート層面に強固に熱接着され、シーラント層のラミネート強度は優れたものになる。
従って、本発明の包装袋に、内容物として、液体洗剤またはシャンプーまたはリンスを密封包装し、60℃で2週間のような過酷な保存試験を行ってもシーラント層の剥離(デラミネーション)を防止できると共に、包装袋の開封時の手切れ性も良好にすることができる。
(4)また、アンカーコート層を前記のようなポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液で形成しているので、積層体製造時の有機溶剤の排出量を低減することができ、環境に対する悪影響も少なくすることができる。
図1は、本発明の詰め替え用包装袋に使用する積層体の一例の構成を示す模式断面図である。
図2は、本発明の詰め替え用包装袋の一実施例の構成を示す正面図である。
また、本発明は、その要旨を超えない限りこれらの図面に限定されるものではない。
この積層体10を用いて詰め替え用包装袋を製造する際には、ポリオレフィン系樹脂層5をシーラント層として使用するもので、ポリオレフィン系樹脂層5が袋の内面側になるように向けて積層体10を配置し、ヒートシールして製袋するものである。
また、基材層1とバリヤー層3とを押し出しラミネート法で貼り合わせることも可能であり、その場合は、接着層2として、ポリオレフィン系の熱接着性樹脂、例えば、低密度ポリエチレンのほか、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどの単体、またはこれらにハードレジンなどの接着性向上剤をブレンドした樹脂などを使用することができる。
ポリオレフィン系樹脂層5に使用するポリオレフィン系樹脂としては、内容物が液体洗剤またはシャンプーまたはリンスの場合、直鎖状低密度ポリエチレンが特に好ましいが、その他にシングルサイト系触媒を用いて重合したエチレン−α・オレフィン共重合体、低密度ポリエチレン、エチレン−メタクリル酸共重合体、エチレン−アクリル酸共重合体、アイオノマーなどを使用することができる。
また、注出口部20の先端側の開封位置には、易開封性手段として、ハーフカット線21とその上側の端部にノッチ22を設けて構成したものである。
また、前記ハーフカット線21は、図では3本の平行なハーフカット線で示したが、1本、または2本のほか、中心のハーフカット線の両側に各1本〜3本など複数のハーフカット線を平行に、または中心のハーフカット線に収斂する形状に、或いは、複数の平行なハーフカット線とこれに斜めに交差する斜め方向のハーフカット線とを組み合わせた形状など、任意の形状に設けることができる。
このようなハーフカット線21は、レーザー光照射により注出口部の開封位置の前後両面のフィルムに設けることが好ましく、ハーフカット線の深さは、少なくとも表面の基材層がカットされる深さであればよい。
(上記積層体の構成)
ONフィルム(厚み15μm)/ドライラミネート用接着剤層(塗布量3g/m2 )/AL箔(厚み7μm)/アンカーコート層(厚み0.5μm)/L・LDPE層(厚み20μm)/L・LDPEフィルム(厚み80μm)
袋の全幅が135mmで、全長が225mm、底部のガセット部14の折り込み長さは37mmとした。
注出口部20は、図2に示した形状で、注出口部シール部17に示した形状の最大部の幅が40mmで、最大部の長さが55mmとなる大きさに設けた。細部については、ハーフカット線21を設けた位置の全幅が24mmで、注出口部20の先細り角度は、略36°とした。
注出口部20の先端側の開封位置に設けたハーフカット線21は、レーザー光照射により3本の平行なハーフカット線をそれぞれ0.7mm間隔で設けた。ハーフカット線の深さは、少なくとも表面のОNフィルム(厚み15μm)がカットされる深さである。また、ハーフカット線21の上側の端部にはノッチ22を設けて作製した。
(上記積層体の構成)
ONフィルム(厚み15μm)/ドライラミネート用接着剤層(塗布量3g/m2 )/アルミニウム酸化物蒸着層・PETフィルム(厚み12μm)/アンカーコート層(厚み0.5μm)/L・LDPE層(厚み20μm)/L・LDPEフィルム(厚み80μm)
前記実施例1の詰め替え用包装袋の構成において、袋に用いる積層体10の構成を、厚みが15μmのONフィルムと厚みが7μmのAL箔と厚みが100μmのL・LDPEフィルムとを、この順にそれぞれドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥時の塗布量が3g/m2 となるように用いてドライラミネート法で貼り合わせて作製した構成に変更したほかは総て実施例1と同様に作製して、比較例1の詰め替え用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
ONフィルム(厚み15μm)/ドライラミネート用接着剤層(塗布量3g/m2 )/AL箔(厚み7μm)/ドライラミネート用接着剤層(塗布量3g/m2 )/L・LDPEフィルム(厚み100μm)
前記実施例1の詰め替え用包装袋の構成において、袋に用いる積層体10の構成を、厚みが15μmのONフィルムと厚みが7μmのAL箔とをドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥時の塗布量が3g/m2 となるように用いてドライラミネート法で貼り合わせた後、そのAL箔面に、厚みが80μmのエチレン−メタクリル酸ランダム共重合体(以下、EMAA樹脂と記載する)フィルムを、EMAA樹脂を押し出し温度295℃で厚みが20μmとなるように押し出して、押し出しラミネート法で貼り合わせて作製した構成に変更したほかは総て実施例1と同様に作製して、比較例2の詰め替え用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
ONフィルム(厚み15μm)/ドライラミネート用接着剤層(塗布量3g/m2 )/AL箔(厚み7μm)/EMAA樹脂層(厚み20μm)/EMAA樹脂フィルム(厚み80μm)
以上のように作製した実施例1、2、および比較例1、2の詰め替え用包装袋について、その耐内容物性、および開封時の手切れ性を以下の方法で試験した。
実施例1、2、および比較例1、2の各包装袋に、市販の液体洗剤、シャンプー、リンスをそれぞれ充填、脱気シールして密封し、60℃で2週間の保存試験を行った後、各包装袋を切り開いてその積層体の層間剥離、特にシーラント層の剥離(デラミネーション)の有無、およびシーラント層のラミネート強度を調べた。
尚、シーラント層のラミネート強度は、保存試験の前後の試料について測定し、測定には引張試験装置(テンシロン)を用いて、引張速度50mm/min、試料幅15mmで測定した。
上記試験の結果は、シーラント層の剥離の有無については表1にまとめて示し、シーラント層のラミネート強度については表2にまとめて示した。
前記内容物の保存試験を行った後の各包装袋について、注出口部の開封位置の端部に設けたノッチを始点として、ハーフカット線に沿って袋を手で引き裂いて、引き裂きラインの大きな曲がりの有無、また、引き裂かれた端部にシーラント層の剥がれに伴うシーラント層の伸び破断など引き裂きラインの乱れの有無を調べた。
(手切れ性試験の結果)
・実施例1:いずれの内容物の包装袋も引き裂きラインに大きな曲がりはなく、シーラント層の伸び破断による引き裂きラインの乱れもなく手切れ性は良好であった。
・実施例2:いずれの内容物の包装袋も引き裂きラインに大きな曲がりはなく、シーラント層の伸び破断による引き裂きラインの乱れもなく手切れ性は良好であった。
・比較例1:いずれの内容物の包装袋もシーラント層の剥離が発生しており、手切れ性も不良であった。
・比較例2:前記保存試験によるシーラント層の剥離は見られなかったが、保存後でシーラント層のラミネート強度が低下しており(表1、表2参照)、引き裂かれた端部にシーラント層の剥がれに伴うシーラント層の伸び破断による引き裂きラインの乱れがあり、手切れ性に劣っていた。
また、包装袋開封時の手切れ性についても、シーラント層のラミネート強度が高いこともあって、実施例1、2の詰め替え用包装袋は優れていた。
これに対して比較例1、2の詰め替え用包装袋のうち、比較例1の詰め替え用包装袋は、前記保存試験でいずれもシーラント層の剥がれが発生しており、耐内容物性に劣っていた。また、比較例2の詰め替え用包装袋は、前記保存試験でいずれもシーラント層の剥がれは無かったが、シーラント層のラミネート強度の低下が認められ、開封時の手切れ性が劣っているため好ましくなかった。
2 接着層
3 バリヤー層
4 アンカーコート層
5 ポリオレフィン系樹脂層
10 積層体
11、11′ 壁面フィルム
12 底面フィルム折り返し部
13a 、13b 底面フィルム切り欠き部
14 ガセット部
15 底部シール部
16a 、16b 側部シール部
17 注出口部シール部
18 上部シール部
19a 、19b 切り欠き部
20 注出口部
21 ハーフカット線
22 ノッチ
100 詰め替え用包装袋
Claims (1)
- 浸透性の高い液体、すなわち液体洗剤またはシャンプーまたはリンスを密封包装する詰め替え用の包装袋であって、該包装袋が、少なくとも外側から基材層、接着層、バリヤー層、アンカーコート層、ポリオレフィン系樹脂層をこの順に積層してなる積層体をヒートシールして形成され、且つ、前記積層体のアンカーコート層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%の範囲で含むポリオレフィン共重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、且つその水性分散体中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記バリヤー層面に乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成され、かつ、前記バリヤー層が、アルミニウム箔、または、アルミニウムもしくはアルミニウム酸化物もしくは珪素酸化物を基材フィルムに蒸着してなる蒸着フィルムであり、
また、前記ポリオレフィン系樹脂層は、前記アンカーコート層面にポリオレフィン系樹脂を押し出しコートする方法、またはポリオレフィン系樹脂フィルムを同様なポリオレフィン系樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で形成されていることを特徴とする詰め替え用包装袋。
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