JP5830002B2 - アルコール含有物用包装袋 - Google Patents
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アルコール濃度が50質量%以上の液体、または該液体の含浸物を包装する包装袋であって、該包装袋が、少なくとも基材層、接着層、バリヤー層、アンカーコート層、ポリオレフィン系樹脂層をこの順に積層してなる積層体で形成され、
且つ、前記積層体のアンカーコート層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%含むポリオレフィン重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、且つその水性分散液中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記バリヤー層面に乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成され、
また、前記ポリオレフィン系樹脂層は、前記アンカーコート層面にポリオレフィン系樹脂を押し出しコートする方法、またはポリオレフィン系樹脂フィルムを同様なポリオレフィン系樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で形成されており、また、ポリオレフィン系樹脂層の表面全体に高さが数μmから20μmの凹凸が設けられ、手切れ性が高められていることを特徴とするアルコール含有物用包装袋。
即ち、請求項1に記載した発明は、アルコール濃度が50質量%以上の液体、または該液体の含浸物を包装する包装袋であって、該包装袋が、少なくとも基材層、接着層、バリヤー層、アンカーコート層、ポリオレフィン系樹脂層をこの順に積層してなる積層体で形成され、
且つ、前記積層体のアンカーコート層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%含むポリオレフィン重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、且つその水性分散液中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記バリヤー層面に乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成され、
また、前記ポリオレフィン系樹脂層は、前記アンカーコート層面にポリオレフィン系樹脂を押し出しコートする方法、またはポリオレフィン系樹脂フィルムを同様なポリオレフィン系樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で形成されており、また、ポリオレフィン系樹脂層の表面全体に高さが数μmから20μmの凹凸が設けられ、手切れ性が高められていることを特徴とするアルコール含有物用包装袋からなる。
(1)包装袋を形成する積層体にバリヤー層を設けているので、内容物の透過を確実に遮断でき、内容物の保存性を高めることができる。
(2)包装袋のシーラント層をポリオレフィン系樹脂で形成しているのでヒートシール性に優れると共に、耐内容物性、即ち、耐アルコール性にも優れた包装袋とすることができる。
(3)バリヤー層にシーラント層のポリオレフィン系樹脂層を積層する際のバリヤー層面に設けるアンカーコート層を前記のように構成しているので、バリヤー層のアンカーコート層積層面がアルミニウム箔などの金属箔であっても、蒸着フィルムなどのプラスチックフィルム面であっても良好に接着し、且つピンホールなどの欠陥のない均一なアンカーコート層が形成され、アルコールに対する遮断性も向上する。また、アンカーコート層の上にシーラント層のポリオレフィン系樹脂層を積層する際には、ポリオレフィン系樹脂を押し出しコートするか、またはポリオレフィン系樹脂フィルムを同様なポリオレフィン系樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で積層しているので、シーラント層はアンカーコート層面に強固に熱接着され、シーラント層のラミネート強度は優れたものになる。
従って、本発明の包装袋に、内容物としてアルコール濃度が50質量%以上の液体、またはその液体の含浸物を密封包装し、60℃、一ヶ月間の保存試験を行ってもシーラント層の剥離(デラミネーション)を防止できると共に、包装袋の開封時の手切れ性も良好にすることができる。
(4)また、アンカーコート層を前記のようなポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液で形成しているので、積層体製造時の有機溶剤の排出量を低減することができ、環境に対する悪影響も少なくすることができる。
また、本発明のアルコール含有物用包装袋に密封包装される内容物は、先にも記載したように、アルコール濃度が50質量%以上の液体、またはその液体の含浸物であるが、そのアルコール自体については、特に限定はされず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、各種異性体を含むプロピルアルコール、ブチルアルコール、アミルアルコールなどの一価アルコールのほか、エチレングリコール、ポリメチレングリコール、グリセリンなどの多価アルコールなどいずれであってもよい。
図1に示した構成の積層体10で外形寸法が縦170mm、横130mmの長方形で四方シール形式のアルコール含有物用包装袋を作製することとし、積層体10を基材層1に厚みが12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(以下、PETフィルムと記載する)を用い、バリヤー層3には厚みが7μmのアルミニウム箔(以下、AL箔と記載する)を用い、両者を接着層2として二液硬化型ポリウレタン系接着剤(乾燥時塗布量2.5g/m2)を用いてドライラミネート法で貼り合わせ、そのAL箔面に、アンカーコート層4として、無水マレイン酸2質量%を含有するポリオレフィン共重合樹脂の水性分散液(分散樹脂の数平均粒子径0.6μm、乳化剤不使用)を使用して、乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布、加熱乾燥してアンカーコート層4を形成し、その上にポリオレフィン系樹脂層5として、厚み50μmの直鎖状低密度ポリエチレン(以下、L・LDPEと記載)フィルムを、低密度ポリエチレン(以下、LDPEと記載)を押し出し温度295℃で厚み20μmに押し出して、押し出しラミネート法で貼り合わせて作製し、これを上記形状、寸法にヒートシールして参考例1のアルコール含有物用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
PETフィルム(厚み12μm)/ドライラミネート用接着剤層/AL箔(厚み7μm)/アンカーコート層(厚み0.5μm)/LDPE層(厚み20μm)/L・LDPEフィルム(厚み50μm)
前記参考例1のアルコール含有物用包装袋の構成において、積層体10の構成のうち、バリヤー層3のAL箔(厚み7μm)を厚み12μmのPETフィルムにアルミニウム酸化物を厚み400Åに蒸着した蒸着PETフィルム(厚み12μm)に換え、また、ポリオレフィン系樹脂層5を前記アンカーコート層の上にLDPEを押し出し温度295℃で厚み30μmに押し出しコートして形成した構成に換えたほかは総て参考例1と同様に形成して、参考例2のアルコール含有物用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
PETフィルム(厚み12μm)/ドライラミネート用接着剤層/アルミニウム酸化物蒸着層・PETフィルム(厚み12μm)/アンカーコート層(厚み0.5μm)/LDPE層(厚み30μm)
前記参考例1のアルコール含有物用包装袋の構成において、積層体10の構成のうち、PETフィルム(厚み12μm)とAL箔(厚み7μm)との貼り合わせを、AL箔の貼り合わせ面にイソシアネート系のAC剤を乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布、乾燥してアンカーコート層を形成しておいて、両者の間にLDPEを押し出し温度295℃で厚み15μmに押し出して貼り合わせる押し出しラミネート法で行い、また、AL箔面へのポリオレフィン系樹脂層5の積層は、前記アンカーコート層の上にLDPEを押し出し温度295℃で厚み30μmに押し出しコートする方法で行い、その押し出しの際に、冷却ロールとして表面全体に深さが18μmの逆四角錐台形状の凹部を整列して設けた冷却ロールを使用して、LDPE層の表面全体に高さが18μmの四角錐台形状の凸部が碁盤目状に設けられた構成に換えたほかは総て参考例1と同様に形成して、実施例3のアルコール含有物用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
PETフィルム(厚み12μm)/LDPE層(厚み15μm)/イソシアネート系アンカーコート層(厚み0.5μm)/アルミニウム箔(厚み7μm)/アンカーコート層(厚み0.5μm)/LDPE層(厚み30μm)(表面全体に前記凸部の賦型あり)
〔比較例1〕
アルコール含有物用包装袋に用いる積層体を、厚みが12μmのPETフィルムと厚みが7μmのAL箔と厚みが70μmのL・LDPEフィルムとを、この順にそれぞれドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥時の塗布量が2.5g/m2 となるように用いてドライラミネート法で貼り合わせて作製し、この積層体を参考例1と同様に、外形寸法が縦170mm、横130mmの長方形で四方シール形式の包装袋にヒートシールして比較例1のアルコール含有物用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
PETフィルム(厚み12μm)/ドライラミネート用接着剤層/AL箔(厚み7μm)/ドライラミネート用接着剤層/L・LDPEフィルム(厚み70μm)
〔比較例2〕
アルコール含有物用包装袋に用いる積層体を、厚みが12μmのPETフィルムとアルミニウム酸化物を厚み400Åに蒸着した厚みが12μmの蒸着PETフィルムとをドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥時の塗布量が2.5g/m2 となるように用いてドライラミネート法で貼り合わせた後、その蒸着PETフィルムのPETフィルム面にイソシアネート系のAC剤を乾燥時の厚みが0.5μmとなるように塗布、乾燥してアンカーコート層を形成し、その上にLDPEを押し出し温度295℃で厚みが30μmとなるように押し出しコートしてLDPE層を形成して作製し、この積層体を
参考例1と同様に、外形寸法が縦170mm、横130mmの長方形で四方シール形式の包装袋にヒートシールして比較例2のアルコール含有物用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
PETフィルム(厚み12μm)/ドライラミネート用接着剤層/アルミニウム酸化物蒸着層・PETフィルム(厚み12μm)/イソシアネート系アンカーコート層(厚み0.5μm)/LDPE層(厚み30μm)
〔比較例3〕
アルコール含有物用包装袋に用いる積層体を、厚みが12μmのPETフィルムと厚みが7μmのAL箔とをドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥時の塗布量が2.5g/m2となるように用いてドライラミネート法で貼り合わせた後、そのAL箔面に直接エチレン・メタクリル酸ランダム共重合体(以下、EMAA樹脂と記載する)を押し出し温度295℃で厚みが30μmとなるように押し出しコートしてEMAA樹脂層を形成して作製し、この積層体を参考例1と同様に、外形寸法が縦170mm、横130mmの長方形で四方シール形式の包装袋にヒートシールして比較例3のアルコール含有物用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
PETフィルム(厚み12μm)/ドライラミネート用接着剤層/AL箔(厚み7μm)/EMAA樹脂層(厚み30μm)
〔比較例4〕
アルコール含有物用包装袋に用いる積層体を、厚みが12μmのPETフィルムと厚みが7μmのAL箔とをドライラミネート用の二液硬化型ポリウレタン系接着剤を乾燥時の塗布量が2.5g/m2となるように用いてドライラミネート法で貼り合わせた後、そのAL箔面に直接LDPEを押し出し温度295℃で厚みが30μmとなるように押し出しコートし、押し出しの際に、冷却ロールとして表面全体に深さが18μmの逆四角錐台形状の凹部を整列して設けた冷却ロールを使用して、LDPE層の表面全体に高さが18μmの四角錐台形状の凸部を碁盤目状に形成して積層体を作製し、この積層体を参考例1と同様に、外形寸法が縦170mm、横130mmの長方形で四方シール形式の包装袋にヒートシールして比較例4のアルコール含有物用包装袋を作製した。
(上記積層体の構成)
PETフィルム(厚み12μm)/ドライラミネート用接着剤層/AL箔(厚み7μm)/LDPE層(厚み30μm)(表面全体に前記凸部の賦型あり)
〔アルコール含有物用包装袋の評価試験〕
以上のように作製した参考例1,2、実施例3、および比較例1〜4のアルコール含有物用包装袋について、その耐アルコール性、および開封時の手切れ性を下記の方法で試験し、その結果を表1にまとめて示した。
(1)耐アルコール性の試験方法
各包装袋を下記の試験条件で内容物の保存試験を行い、試験後の包装袋の層間剥離、特にシーラント層の剥離の有無、およびシーラント層のラミネート強度を調べた。
(2)開封時の手切れ性の試験方法
前記内容物の保存試験を行った後の各包装袋について、包装袋の上部の一方の側部のヒートシール部にノッチを設け、そのノッチを始点として袋の上部を横方向に手で引き裂き、その引き裂き時の引き裂き抵抗の大きさ、引き裂き方向の直線性、引き裂かれた引き裂端にシーラント層の剥がれが発生しているか否かを総合的に調べ、下記の基準で手切れ性を評価した。
(手切れ性の評価基準)
優れる:引き裂き抵抗が小さく、引き裂き方向が略直線状で、引き裂き端にシーラント層の剥がれ殆ど発生していないもの。
良好:引き裂き抵抗が中程度で、引き裂き方向に大きな曲がりがなく、引き裂き端のシーラント層の剥がれが僅かなもの。
劣る:引き裂き抵抗がやや大きく、引き裂き方向に曲がりがあり、引き裂き端のシーラント層の剥がれもやや多いもの。
尚、前記試験とは別に、実施例3と比較例3のアルコール含有物用包装袋について、その積層体の引裂荷重をエルメンドルフ引裂試験機により、10枚重ねで測定したところ、実施例3の積層体は0.23Nで、比較例3の積層体は0.42Nであり、約2倍近い差があり、実施例3の包装袋が手切れ性に優れることを裏付け結果であった。
2…接着層
3…バリヤー層
4…アンカーコート層
5…ポリオレフィン系樹脂層
6…高さが数μm〜20μmの凹凸
10、20…積層体
Claims (2)
- アルコール濃度が50質量%以上の液体、または該液体の含浸物を包装する包装袋の製造方法であって、該包装袋が、少なくとも基材層、接着層、バリヤー層、アンカーコート層、ポリオレフィン系樹脂層をこの順に積層してなる積層体で形成され、
且つ、前記積層体のバリヤー層は、アルミニウム箔、またはアルミニウム酸化物もしくは珪素酸化物を基材フィルムに蒸着してなる蒸着フィルムであり、
また、前記積層体のアンカーコート層は、不飽和カルボン酸またはその無水物を0.01〜5質量%含むポリオレフィン重合樹脂をその数平均粒子径が1μm以下となるように分散した水性分散液であって、且つその水性分散液中には不揮発性水性化助剤を実質的に含まないように形成された水性分散液を、前記バリヤー層面に乾燥時の厚みが0.1〜2μmとなるように塗布、加熱乾燥して形成され、アルコールに対する遮断性を向上させるものであり、
また、前記ポリオレフィン系樹脂層は、前記アンカーコート層面にポリオレフィン系樹脂を押し出しコートする方法、またはポリオレフィン系樹脂フィルムを同様なポリオレフィン系樹脂を用いて押し出しラミネートする方法で形成されており、また、ポリオレフィン系樹脂層の表面全体に高さが7μmから20μmの凹凸が設けられ、手切れ性が高められていることを特徴とするアルコール含有物用包装袋の製造方法。 - 前記基材層が二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムで、バリヤー層がアルミニウム箔で、ポリオレフィン系樹脂層が低密度ポリエチレンであることを特徴とする請求項1に記載のアルコール含有物用包装袋の製造方法。
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