JP5028730B2 - 2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコールの製造方法 - Google Patents
2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコールの製造方法 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
核フッ素化ベンゼンジメタノールの片側の水酸基を水素化分解することによる、特に溶媒中、触媒の存在下で水素化分解することによる核フッ素化メチルベンジルアルコールの製造方法に関する。核フッ素化メチルベンジルアルコールは、医薬、農薬、その他有機化合物の原料、中間体として有用な物質であり、例えば、特公平1−20143号公報には、シクロプロパンカルボン酸類と反応させて生成するエステル類は優れた殺虫作用を有する物質として有用であることが示されている。
【0002】
【従来の技術】
核フッ素化メチルベンジルアルコールの製造方法としては、例えば次のような方法が提案されている。
【0003】
▲1▼特公平4−6694号公報
4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸を乾燥エーテル中、水素化リチウムアルミニウムで還元して、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコールを製造する方法、ならびに、3−メチル−2,4,5,6−テトラフルオロベンズアルデヒドをメタノール中水素化ホウ素ナトリウムで還元して、3−メチル−2,4,5,6−テトラフルオロベンジルアルコールを製造するする方法。
【0004】
▲2▼特開昭63−77829号公報
ペンタフルオロベンジルアルコールをテトラヒドロフラン中、臭化メチルマグネシウムと反応させて2−メチル−3,4,5,6−テトラフルオロベンジルアルコールを製造する方法。
【0005】
▲3▼ドイツ特許第3714602号公報
4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸を1,2−ジメトキシエタン中、水素化ホウ素ナトリウムで還元して、4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコールを製造する方法。
【0006】
▲4▼英国特許第2155464号公報
4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロ安息香酸クロライドを水素化ホウ素ナトリウムで還元して4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコールを製造する方法。
【0007】
しかしながら、これらの方法は、高価な還元剤を用いること、これらの還元剤は厳密な水分管理が必要であるなどの問題があり、工業的に実施する場合有利な方法ではない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、工業的に実施し得る核フッ素化メチルベンジルアルコールの製造方法を提供することを課題とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、以下の事項からなる。
【0010】
[1] 式(1)
【化7】
(式中、mは0〜3の整数、nは1〜4の整数、但し、m+nは1〜4の整数である。)で表される核フッ素化ベンゼンジメタノールの片側の水酸基を水素化分解することによる式(2)
【化8】
(式中、m、nは前記と同じ。)で表される核フッ素化メチルベンジルアルコールの製造方法。
【0011】
[2] 核フッ素化ベンゼンジメタノールが式(3)
【化9】
(式中、nは1〜4の整数である。)であり、対応する核フッ素化メチルベンジルアルコールが式(4)
【化10】
(式中、nは前記と同じ。)で表される核フッ素化メチルベンジルアルコールである[1]に記載の製造方法。
【0012】
[3] 核フッ素化ベンゼンジメタノールが式(5)
【化11】
で表されるテトラフルオロベンゼンジメタノールであり、対応する核フッ素化メチルベンジルアルコールが式(6)
【化12】
で表されるテトラフルオロメチルベンジルアルコールである[1]に記載の製造方法。
【0013】
[4] 式(5)で表されるテトラフルオロベンゼンジメタノールが2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールであり、式(6)で表されるテトラフルオロメチルベンジルアルコールが2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコールである[3]に記載の製造方法。
【0014】
[5] 水素化分解を溶媒中、触媒の存在下で行う[1]乃至[4]のいずれかに記載の製造方法。
【0015】
[6] 触媒が、コバルト、鉄、銅、ニッケル、白金、パラジウムおよびレニウムより選ばれる少なくとも1種の金属を含む触媒であり、水素化分解を水素を用いて実施する[5]に記載の製造方法。
【0016】
[7] 少なくとも1種の金属を含む触媒が、スポンジコバルト系触媒またはスポンジニッケル系触媒である[6]に記載の製造方法。
【0017】
[8] 少なくとも1種の金属を含む触媒が、スポンジコバルト系触媒である[6]に記載の製造方法。
【0018】
[9] 少なくとも1種の金属を含む触媒が、担持型コバルト系触媒、担持型ニッケル系触媒、担持型パラジウム系触媒または担持型レニウム系触媒である[6]に記載の製造方法。
【0019】
[10] 溶媒が、飽和脂肪族、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール系溶媒、脂肪族若しくは脂環式炭化水素のエーテルおよび水から選ばれる少なくとも1種を含む単独あるいは混合溶媒である[5]乃至[9]のいずれかに記載の製造方法。
【0020】
[11] 溶媒が、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、ジオキサン、ジオキソランおよび水から選ばれる少なくとも1種を含む単独あるいは混合溶媒である[10]に記載の製造方法。
【0021】
[12] 水素化分解反応を、水素分圧0.5〜5MPaで行う[1]乃至[11]のいずれかに記載の製造方法。
【0022】
[13] 水素化分解反応に用いる溶媒の使用量が、核フッ素化ベンゼンジメタノールに対して1〜20質量倍である[5]乃至[12]のいずれかに記載の製造方法。
【0023】
[14] 水素化分解反応に使用する水素の量が、核フッ素化ベンゼンジメタノールに対して100〜180モル%である[6]乃至[13]のいずれかに記載の製造方法。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0025】
本発明は、核フッ素化ベンゼンジメタノールの片側の水酸基を水素化分解することにより、特に溶媒中、触媒の存在下で水素化分解することにより核フッ素化メチルベンジルアルコールを製造するものである。
【0026】
本発明の原料として用いる核フッ素化ベンゼンジメタノールは、公知の方法により合成できる。例えば、テトラフルオロベンゼンジメタノールは、特開平1−238555号公報に記載されているように、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼンジメタノールジアセテートの加水分解により容易に得ることができる。
【0027】
本発明において用いる触媒としては、金属触媒が好適であり、特にコバルト、鉄、銅、ニッケル、白金、パラジウムおよびレニウムより選ばれる少なくとも1種の金属を含む触媒が好適である。
【0028】
触媒は、金属そのままでも、スポンジメタル触媒の形、担持型触媒の形でも用いることができる。
【0029】
本発明において用いられる、「スポンジメタル触媒」とは、アルカリまたは酸に不溶な金属、例えばニッケルあるいは、コバルトといった金属と、アルミニウム、シリコン、亜鉛、マグネシウムなどのようなアルカリまたは酸に可溶な金属との合金から、アルカリまたは酸に可溶な金属をアルカリまたは酸で溶出させて得られる多孔性金属触媒である。
【0030】
本発明では、スポンジコバルト系触媒、スポンジニッケル系触媒が好ましく用いられる。
【0031】
また、本発明では、ニッケルまたはコバルトがニッケルまたはコバルト以外の金属または金属酸化物の存在により改質された、変性スポンジ触媒も用いることができる。例えば、モリブデンにより改質された変性スポンジニッケル触媒、マンガンにより改質された変性スポンジコバルト触媒が挙げられる。
【0032】
本発明において用いられる、「担持型触媒」とは、シリカ、アルミナ、シリカアルミナ、活性炭、珪藻土などの担体に、1種類以上の金属種を含む微細な金属あるい金属酸化物の粒子を高分散に担持させた触媒である。
【0033】
本発明では、担持型コバルト系触媒、担持型鉄系触媒、担持型銅系触媒、担持型ニッケル系触媒、担持型白金系触媒、担持型パラジウム系触媒、担持型レニウム系触媒が好ましく用いられる。
【0034】
特に好ましくは、担持型コバルト系触媒、担持ニッケル系触媒、担持型パラジウム系触媒、担持型レニウム系触媒が用いられる。
【0035】
また本発明では、コバルト、鉄、銅、ニッケル、白金、パラジウム、レニウムより選ばれる金属のうち1種を主成分とし、さらに上記の金属種や他の金属種を1種類以上添加することにより改質された担持型触媒を用いることができる。例えば担持型ニッケル−銅−アルミナ触媒、担持型ニッケル−コバルト−アルミナ触媒、担持型銅−クロム−シリカ触媒、担持型パラジウム−レニウム−アルミナ触媒などが挙げられる。
【0036】
次に、本発明における水素化分解反応について説明する。
【0037】
反応時に添加される触媒の量は特に制限はなく、触媒の形態によっても異なるが、一般的に言えば、水素化分解される核フッ素化ベンゼンジメタノールの0.01〜300質量%の範囲、好ましくは0.05〜100質量%の範囲、特に好ましくは0.1〜50質量%の範囲で実施される。
【0038】
本発明の水素化分解反応時に使用される溶媒の好ましい例を挙げると、飽和脂肪族及び脂環式炭化水素溶媒、芳香族炭化水素溶媒、アルコール系溶媒、脂肪族及び脂環式炭化水素のエーテル溶媒、および水である。具体的には、例えば、飽和脂肪族及び脂環式炭化水素として、n−ヘキサン、n−オクタン、イソオクタン、シクロヘキサンがあげられ、芳香族炭化水素として、ベンゼン、トルエン、キシレンがあげられ、アルコール系溶媒として、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、エチレングリコール、プロピレングリコールがあげられ、脂肪族及び脂環式炭化水素のエーテルとして、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−ターシャリーブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジオキソランをあげることができる。
【0039】
これらの溶媒は、単独で使用することもできるし、これらのいずれかを含む混合溶媒として使用することも可能である。また、2種類以上の溶媒を混合溶媒として用いる場合、均一に混和されない状態で使用することも可能である。好ましい溶媒は単独溶媒ではトルエン、メタノール、ジオキサン、混合溶媒ではトルエン−メタノール、トルエン−水、トルエン−メタノール−水、ジオキサン−水である。溶媒の使用量は核フッ素化ベンゼンジメタノールに対して0.5〜30質量倍の範囲、好ましくは1〜20質量倍の範囲で実施される。
【0040】
本発明の水素化分解反応は、気相部に水素を導入した後に所定の温度まで昇温するか、あるいは気相部を水素化分解反応に格別な影響を与えない不活性ガスで置換して所定の温度まで昇温した後に水素を導入することで行われる。反応は常温〜250℃の温度で行われるが、好ましくは基質の核フッ素化ベンゼンジメタノールが溶融あるいは溶媒に溶解する以上の温度で行われる。水素化分解反応の反応温度における水素分圧は0.05〜15MPaである。本反応に使用される水素ガスは、必ずしも高純度である必要はなく、水素化反応に格別な影響を与えない不活性ガスなどを含有していてもよい。
【0041】
本発明の原料として使用される核フッ素化ベンゼンジメタノールは、前記式(1)で表される化合物であり、例えば、モノフルオロベンゼンジメタノール類(例えば、2−フルオロベンゼン−1,4−ジメタノールなど)、ジフルオロベンゼンジメタノール類(例えば、2,3−ジフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール、2,5−ジフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール、3,5−ジフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールなど)、トリフルオロベンゼンジメタノール類(例えば2,3,5−トリフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールなど)、テトラフルオロベンゼンジメタノール類(3,4,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,2−ジメタノール、2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,3,−ジメタノール、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール)、モノクロロモノフルオロベンゼンジメタノール類(例えば、6−クロロ−2−フルオロ−1,4−ジメタノールなど)、モノクロロジフルオロベンゼンジメタノール類(例えば、2,3−ジフルオロ−5−クロロベンゼン−1,4−ジメタノールなど)、モノクロロトリフルオロベンゼンジメタノール類(例えば、2,3,5−トリフルオロ−6−クロロベンゼン−1,4−ジメタノールなど)、ジクロロジフルオロベンゼンジメタノール類(例えば、2,6−ジフルオロ−4,5−ジクロロベンゼン−1,4−ジメタノールなど)が挙げられる。
【0042】
好ましくはテトラフルオロベンゼンジメタノール類(3,4,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,2−ジメタノール、2,4,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,3,−ジメタノール、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール)が挙げられ、さらに好ましくは2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールが挙げられる。
【0043】
本発明の製造方法により得られる核フッ素化メチルベンジルアルコールは、前記式(2)で表され、原料である式(1)で表される核フッ素化ベンゼンジメタノールの片側の水酸基が水素化された化合物に相当する。テトラフルオロメチルベンジルアルコール類(3,4,5,6−テトラフルオロ−2−メチルベンジルアルコール、2,4,5,6−テトラフルオロ−3−メチルベンジルアルコール、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコール)が好ましく例示され、さらに好ましくは2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−4−メチルベンジルアルコールが挙げられる。
【0044】
本発明の製造方法により得られる核フッ素化メチルベンジルアルコールは、反応後の液から触媒をろ過等により分離した後、濃縮、抽出、蒸留等の通常の単離方法を用いて取得することができる。
【0045】
【実施例】
以下に実施例により本発明を説明するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではない。
【0046】
実施例1
1Lオートクレーブに300mlのトルエン、含水状態で25g(うち触媒量5g)のスポンジコバルト触媒、30gの2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールを封入し、気相部を水素で十分置換した後、常温で水素圧を1.5MPa(ゲージ圧 以下同じ)とした。オートクレーブの攪拌、加熱を開始して温度を160℃に維持した。温度が160℃に達したときの圧力は2.2MPaであった。反応は1時間継続した。反応終了後、室温まで冷却したところ、冷却後の圧力は1.0MPaを示していた。このときの水素吸収量は仕込んだ2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの104mol%であった。反応器内の水素を排気した後、反応液を回収、触媒を濾過した。
【0047】
反応液は減圧下加熱して溶媒を留去し、さらに圧力を徐々に下げて、665Pas、100〜105℃で留出する留分を回収し、この留分を核磁気共鳴スペクトル(NMR)分析およびガスクロマトグラフィー質量分析(GC−MS)により分析した結果、98%の4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコールと同定された。
【0048】
さらに、この蒸留された4−メチル−2,3,5,6−テトラフルオロベンジルアルコールを標品として使用し、上記反応で回収された反応液の一部をガスクロマトグラフィー内部標準法で分析したところ、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの転化率は94%、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコールの収率は88%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシレンの収率は4%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)であった。
【0049】
実施例2
100mlオートクレーブに30mlの1,4−ジオキサン、含水状態で2.5g(うち触媒量0.5g)のスポンジコバルト触媒、3.0gの2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールを封入し、気相部を水素で十分置換した後、常温で水素圧を0.3MPa(ゲージ圧 以下同じ)とした。オートクレーブの攪拌、加熱を開始して温度を160℃に維持した。温度が160℃に達したときの圧力は0.5MPaであった。圧力が0.5MPaを維持するように水素の供給をし、水素流量を監視しながら水素吸収量が仕込んだ2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの145モル%になったところで反応を終了した。反応には4時間を要した。反応終了後、室温まで冷却した。反応器内の水素を排気した後、反応液を回収、触媒を濾過し、得られた反応液をガスクロマトグラフィー内部標準法で分析したところ、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの転化率は69%、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコールの収率は40%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシレンの収率は7%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)であった。
【0050】
実施例3
100mlオートクレーブに30mlの1,4−ジオキサン、3.0gの担持型パラジウム−カーボン触媒、3.0gの2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールを封入し、気相部を水素で十分置換した後、常温で水素圧を5MPa(ゲージ圧 以下同じ)とした。オートクレーブの攪拌、加熱を開始して温度を220℃に維持した。温度が220℃に達したときの圧力は9MPaであった。反応は12時間継続した。反応終了後、室温まで冷却したところ、冷却後の圧力は4.7MPaを示していた。このときの水素吸収量は仕込んだ2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの82モル%であった。反応器内の水素を排気した後、反応液を回収、触媒を濾過し、得られた反応液をガスクロマトグラフィー内部標準法で分析したところ、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの転化率は56%、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコール(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)の収率は37%、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシレンの収率は6%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)であった。
【0051】
実施例4
100mlオートクレーブに30mlの1,4−ジオキサン、1.5gの担持型酸化レニウム−アルミナ触媒、3.0gの2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールを封入し、気相部を水素で十分置換した後、常温で水素圧を3MPa(ゲージ圧 以下同じ)とした。オートクレーブの攪拌、加熱を開始して温度を220℃に維持した。温度が220℃に達したときの圧力は4.8MPaであった。反応は5時間継続した。反応終了後、室温まで冷却したところ、冷却後の圧力は2.6MPaを示していた。このときの水素吸収量は仕込んだ2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの116モル%であった。反応器内の水素を排気した後、反応液を回収、触媒を濾過し、得られた反応液をガスクロマトグラフィー内部標準法で分析したところ、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの転化率は83%、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコールの収率は58%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシレンの収率は14%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)であった。
【0052】
実施例5
1Lオートクレーブに600mlのトルエン、含水状態で30g(うち触媒量6g)のスポンジコバルト触媒、60gの2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールを封入し、気相部を窒素で十分置換した。オートクレーブの攪拌、加熱を開始して温度を160℃に維持した。この時の圧力は0.28MPa(ゲージ圧 以下同じ)であった。圧力が0.53MPaになるように水素の導入を開始し、圧力が0.53MPaを維持するように水素を供給し、水素流量を監視しながら水素吸収量が仕込んだ2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの130モル%となったところで反応を終了した。反応には30分を要した。反応終了後室温まで冷却した。反応器内のガスを排気した後、反応液を回収、触媒を濾過し、得られた反応液をガスクロマトグラフィー内部標準法で分析したところ、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの転化率は99.5%、2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコールの収率は82%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)、2,3,5,6−テトラフルオロ−p−キシレンの収率は11%(2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノール基準)であった。
【0053】
【発明の効果】
本発明により、核フッ素化メチルベンジルアルコール特にテトラフルオロメチルベンジルアルコールを工業的に有利な方法で製造することができる。
Claims (11)
- 2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールの片側の水酸基を水素化分解することによる2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルベンジルアルコールの製造方法。
- 水素化分解を溶媒中、触媒の存在下で行う請求項1に記載の製造方法。
- 触媒が、コバルト、鉄、銅、ニッケル、白金、パラジウムおよびレニウムより選ばれる少なくとも1種の金属を含む触媒であり、水素化分解を水素を用いて実施する請求項2に記載の製造方法。
- 少なくとも1種の金属を含む触媒が、スポンジコバルト系触媒またはスポンジニッケル系触媒である請求項3に記載の製造方法。
- 少なくとも1種の金属を含む触媒が、スポンジコバルト系触媒である請求項3に記載の製造方法。
- 少なくとも1種の金属を含む触媒が、担持型コバルト系触媒、担持型ニッケル系触媒、担持型パラジウム系触媒または担持型レニウム系触媒である請求項3に記載の製造方法。
- 溶媒が、飽和脂肪族、脂環式炭化水素、芳香族炭化水素、アルコール系溶媒、脂肪族若しくは脂環式炭化水素のエーテルおよび水から選ばれる少なくとも1種を含む単独あるいは混合溶媒である請求項2乃至6のいずれかに記載の製造方法。
- 溶媒が、トルエン、キシレン、メタノール、エタノール、ジオキサン、ジオキソランおよび水から選ばれる少なくとも1種を含む単独あるいは混合溶媒である請求項2乃至6に記載の製造方法。
- 水素化分解反応を、水素分圧0.5〜5MPaで行う請求項1乃至8のいずれかに記載の製造方法。
- 水素化分解反応に用いる溶媒の使用量が、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールに対して1〜20質量倍である請求項2乃至9のいずれかに記載の製造方法。
- 水素化分解反応に使用する水素の量が、2,3,5,6−テトラフルオロベンゼン−1,4−ジメタノールに対して100〜180モル%である請求項3乃至10のいずれかに記載の製造方法。
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