JP5028531B2 - 記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラム - Google Patents

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Description

本発明は、例えば記録媒体にデータパターンを記録する記録装置及び方法、並びにコンピュータをこのような記録装置として機能させるコンピュータプログラムの技術分野に関する。
DVDやBlu−ray Disc等の光ディスク(記録媒体)の普及が急速に進んでいる。このような光ディスクにおいては、レーザ光のパワー(具体的には、記録パワー)を適正化するOPC(Optimum Power Control)やレーザ光のストラテジを適正化する記録補償動作について、様々な技術が提案されている(特許文献1から4参照)。
特開2003−30837号公報 特開2000−207742号公報 特開2002−74668号公報 特許第3765223号
しかしながら、光ディスクは、一般的には記録感度のバラツキを有しているため、記録補償動作を行うための試し書きが行われる位置によっては、常に最適なパワーのレーザ光で記録補償動作を行うことができないという技術的な問題点が生ずる。言い換えれば、光ディスクの記録感度のバラつき等に起因してβ値が変動するため、常に最適なβ値を有するデータパターンを参照しながら記録補償動作を行うことができないという技術的な問題点が生ずる。
本発明は、例えば上述した従来の問題点に鑑みなされたものであり、例えば記録媒体の記録感度のバラつき等の影響を軽減しながら記録補償動作を好適に行うことができる記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムを提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、発明の記録装置は、レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段と、前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取手段と、前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定手段と、前記記録手段により記録された前記データパターンのうち前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たすデータパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定手段と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方と前記ジッタとの相関関係を示す相関情報に基づいて前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たさない前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを補間することで、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを推測する推測手段と、前記第2測定手段により測定される前記ジッタが所定値より大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整し、又は、前記推測手段により推測される前記ジッタが前記所定値より大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、記記録手段における記録ストラテジを調整する調整手段とを備え、前記記録手段は、前記調整手段により前記記録ストラテジが調整されたことを条件に、前記記録媒体に前記データパターンを再び記録する。
上記課題を解決するために、発明の記録方法は、レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取工程と、前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定工程と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定工程と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方と前記ジッタとの相関関係を示す相関情報に基づいて前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たさない前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを補間することで、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを推測する推測工程と、前記第2測定工程により測定される前記ジッタが所定値よりも大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整し、又は、前記推測工程により推測される前記ジッタが前記所定値より大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整する調整工程と、前記調整工程において前記記録ストラテジが調整されたことを条件に、前記記録手段が前記記録媒体に前記データパターンを再び記録する記録工程とを備える。
上記課題を解決するために、本発明のコンピュータプログラムは、レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段と、前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取手段と、前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定手段と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定手段と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方と前記ジッタとの相関関係を示す相関情報に基づいて前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たさない前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを補間することで、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを推測する推測手段と、前記第2測定手段により測定される前記ジッタが所定値よりも大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整し、又は、前記推測手段により推測される前記ジッタが前記所定値より大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整する調整手段とを備え、前記記録手段は、前記調整手段により前記記録ストラテジが調整されたことを条件に、前記記録媒体に前記データパターンを再び記録する記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、
該コンピュータを、前記記録手段、前記読取手段、前記第1測定手段、前記第2測定手段、前記推測手段及び前記調整手段として機能させる。
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされよう。
本実施例に係る記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。 光ディスクの基本構造を示した概略平面図であり、該光ディスクの半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。 本実施例に係る記録装置の第1動作例における動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 段階的に又は連続的に変化するレーザ光のパワーと当該パワーのレーザ光によって記録される記録補償用データパターンのβ値との関係を概念的に示すグラフである。 平均化回路によるジッタの測定動作を読取サンプル値系列上で概念的に示す波形図である。 平均化回路の基本構成を概念的に示すブロック図である。 記録補償前のデータパターン毎のシフトジッタ成分及び全体としてのシフトジッタ成分、並びに記録補償後のデータパターン毎のシフトジッタ成分及び全体としてのシフトジッタ成分の夫々の状態を概念的に示すグラフである。 記録ストラテジの調整動作の第1の態様を概念的に示すタイミングチャートである。 記録ストラテジの調整動作の第2の態様を概念的に示すタイミングチャートである。 記録ストラテジの調整動作の第3の態様を概念的に示すタイミングチャートである。 本実施例に係る記録装置による記録補償動作を行った後に記録されるデータパターンのジッタ及びβ値の検出を行うことなく記録補償動作を行う比較例に係る記録装置による記録補償動作を行った後に記録されるデータパターンのジッタを概念的に示すグラフである。 パワーを段階的に変化させながら記録する記録補償用データパターン中にβ値が所望値となる記録補償用データパターンが存在していない場合の動作の第1の例を概念的に説明するグラフである。 パワーを段階的に変化させながら記録する記録補償用データパターン中にβ値が所望値となる記録補償用データパターンが存在していない場合の動作の第2の例を概念的に説明するグラフである。 β値と位相ずれ(ジッタ)との相関関係を概念的に示すグラフである。 本実施例に係る記録装置の第2動作例における動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 本実施例に係る記録装置の第3動作例における動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 光ディスクの半径プロファイル情報を生成する際の動作を概念的に示すフローチャートである。 光ディスクの半径プロファイル情報を概念的に示すグラフである。 実際に記録補償動作を行う際に、記録装置自身がβ値の変動量とパワーの変動量との相関関係を生成する態様を概念的に示すデータ構造図及びグラフである。 光ディスクのトラックプロファイル情報を生成する際の一の動作を概念的に示すフローチャートである。 光ディスクのトラックプロファイル情報の一の例を概念的に示すグラフである。 光ディスクのトラックプロファイル情報を生成する際の他の動作を概念的に示すフローチャートである。 光ディスクのトラックプロファイル情報の他の例を概念的に示すグラフである。 光ディスクのトラックプロファイル情報の他の例を概念的に示すグラフである。 1回の記録補償動作を行う際のパワーの変化ステップ数を削減する態様、及びトラックプロファイル情報から推測されたβ値と実際に記録された記録補償用データパターンのβ値とに基づいてパワーを修正する態様を示すグラフである。 1つ前の記録補償動作の最後に記録された記録補償用データパターンのβ値及び該最後に記録された記録補償用データパターンを記録したときのパワーに基づいて、次の記録補償動作の際のパワーの初期値や振り幅や変化ステップ数を決定する態様を示すグラフである。 記録補償動作中に記録される記録補償用データパターンを利用してプロファイル情報を生成する動作の流れを概念的に示すフローチャートである。 変形例に係る記録装置の基本構成を概念的に示すブロック図である。 β値を概念的に示す波形図である。 アシンメトリ値を概念的に示す波形図である。
符号の説明
1、2 記録装置
10 スピンドルモータ
11 ピックアップ
12 HPF
13 A/D変換器
14 プリイコライザ
15 リミットイコライザ
16 2値化回路
17 復号回路
18 遅延回路
19 平均化回路
20 パターン判別回路
21 記録ストラテジ設定回路
22 CPU
23 β値検出回路
以下、発明を実施するための最良の形態として、本発明の記録装置及び方法、コンピュータプログラム、並びに記録媒体に係る実施形態の説明を進める。
(記録装置の実施形態)
<1>
本発明の記録装置の実施形態は、レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段と、前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取手段と、前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定手段と、前記記録手段により記録された前記データパターンのうち前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たすデータパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定手段と、前記第2測定手段により測定される前記ジッタに基づいて前記記録手段における記録条件を調整する調整手段とを備える。
本発明の記録装置に係る実施形態によれば、記録手段の動作により、例えばレーザ光等が記録媒体に照射され、その結果、記録されるべきデータに応じたデータパターンが記録媒体に記録される。
ここで、本実施形態に係る記録装置においては、記録手段によるユーザデータエリアへのデータパターン(特に、映像や音声やテキストやその他の各種ユーザデータ用のデータパターン)の記録動作の前に又は記録動作に並行して、以下に説明する記録補償動作が行われる。
まず、記録手段の動作により、レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら、データパターン(特に、記録補償動作用のデータパターン)が記録される。つまり、あるパワーのレーザ光を照射することでデータパターンが記録されると共に、パワーを変化させた後に更にデータパターンが記録される。この動作が、レーザ光のパワーの変化の回数(つまり、変化ステップ数)だけ繰り返される。
続いて、読取手段の動作により、記録手段によって記録されたデータパターン(特に、パワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録されたデータパターンであって、記録補償動作用のデータパターン)が読み取られる。その結果、読取信号が取得される。その後、第1測定手段の動作により、読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が測定される。
続いて、第2測定手段の動作により、記録手段によって記録されたデータパターンのうちβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たしているデータパターンを読み取ることで得られる読取信号のジッタが測定される。つまり、段階的に又は連続的に変化する複数通りのパワーの夫々に対応する複数のデータパターンのうちβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たしている少なくとも一つのデータパターンを読み取ることで得られる読取信号のジッタが測定される。
その後は、調整手段の動作により、第2測定手段により測定されるジッタに基づいて、記録手段における記録条件(具体的には、例えば記録ストラテジ)が調整される。より具体的には、例えば、測定されるジッタと所望のジッタとの間のズレがなくなるように(言い換えれば、測定されるジッタが所望のジッタとなるように)、記録手段における記録条件が調整される。記録条件の調整がなされた後には、ユーザデータエリアへのデータパターンの記録が開始又は再開される。
これにより、記録条件の調整がなされた後に記録されるデータパターンを読み取ることで得られる読取信号のジッタは、所望のジッタとなっている。従って、読取信号の読取品質(言い換えれば、記録品質ないしは再生品質)を向上させることができる。
加えて本実施形態においては、記録条件の調整を行う際には、単に記録されたデータパターンを読み取ることで得られる読取信号のジッタを測定することに代えて、記録されたデータパターンを読み取ることで得られる読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方をまずは測定すると共にβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たすデータパターンを読み取ることで得られる読取信号のジッタを測定している。このため、良好な(或いは、最適な)β値及びアシンメトリの少なくとも一方を得ることができるパワーで記録されたデータパターンを用いて(つまり、該データパターンを読み取ることで得られるジッタを用いて)記録条件の調整を行うことができる。言い換えれば、良好な(或いは、最適な)β値及びアシンメトリの少なくとも一方を得ることができるパワーで記録されたデータパターン以外のデータパターンを用いて記録条件の調整を行うことは殆どなくなる。このため、仮に記録媒体が記録感度のバラツキを有していたとしても、記録媒体の記録感度のバラつき等の影響を軽減しながら記録補償動作を好適に行うことができる。
<2>
本発明の記録装置に係る実施形態の一の態様では、前記第2測定手段は、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンとして、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望値となる前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する。
この態様によれば、記録条件の調整を行う際には、単に記録されたデータパターンを読み取ることで得られる読取信号のジッタを測定することに代えて、β値及びアシンメトリの少なくとも一方が所望値となるデータパターンを読み取ることで得られる読取信号のジッタを測定している。このため、所望のβ値及び所望のアシンメトリの少なくとも一方を得ることができるパワーで記録されたデータパターンを用いて記録条件の調整を行うことができる。言い換えれば、所望のβ値及び所望のアシンメトリの少なくとも一方を得ることができるパワーで記録されたデータパターン以外のデータパターンを用いて記録条件の調整を行うことは殆どなくなる。このため、仮に記録媒体が記録感度のバラツキを有していたとしても、記録媒体の記録感度のバラつき等の影響を軽減しながら記録補償動作を好適に行うことができる。
<3>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記第2測定手段は、前記β値が所望の条件を満たす前記データパターンとして、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望値に最も近似する前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する。
この態様によれば、仮に所望値と一致するβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が得られるパワーでデータパターンが記録されていなかったとしても、所望値に近似するβ値が得られるパワーで記録されたデータパターンを用いて、記録条件の調整を行うことができる。このため、所望値と一致するβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が得られるパワーでデータパターンが記録されないことに起因して記録条件の調整が全く行われないという不都合を抑制しつつ、記録条件を相対的には好適に調整することができる。
<4>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記β値と前記ジッタとの相関関係を示す相関情報に基づいて前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たさない前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを補間することで、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを推測する推測手段を更に備え、前記調整手段は、前記推測手段により推測される前記ジッタに基づいて前記記録手段における記録条件を調整する。
この態様によれば、仮に所望の条件を満たすβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が得られるパワーでデータパターンが記録されていなかったとしても、所望の条件を満たすβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が得られるパワー以外のパワーで記録されたデータパターンのジッタから、所望の条件を満たすβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が得られるパワーで記録されたデータパターンのジッタを推測することができる。特に、本願発明者等によってβ値及びアシンメトリの少なくとも一方とジッタ値とが相関を有していることが明らかにされているため、β値及びアシンメトリの少なくとも一方とジッタ値とが相関関係を示す相関情報を参照することで、所望の条件を満たすβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が得られるパワー以外のパワーで記録されたデータパターンのジッタから、所望の条件を満たすβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が得られるパワーで記録されたデータパターンのジッタを好適に推測することができる。従って、所望の条件を満たすβ値及びアシンメトリの少なくとも一方が得られるパワーでデータパターンが記録されないことに起因して記録条件の調整が全く行われないという不都合を抑制しつつ、記録条件を相対的には好適に調整することができる。
<5>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記記録媒体の半径方向における前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方の変動の態様を示す半径プロファイル情報及び前記データパターンを記録するべき記録位置の夫々に基づいて、段階的に又は連続的に変化させる前記パワーの初期値、前記パワーの変化幅及び前記パワーの変化ステップ数の少なくとも一つを決定する決定手段を更に備える。
この態様によれば、半径プロファイル情報に基づいてレーザ光のパワーの初期値、パワーの変化幅及びパワーの変化ステップ数等を決定することができる。このため、半径方向における記録感度のバラツキに起因するβ値及びアシンメトリの少なくとも一方の変動に応じて、記録補償動作用のデータパターンを記録する際のパワーを好適に決定することができる。このため、記録媒体が半径方向における記録感度のバラツキを有している場合であっても、レーザ光のパワーを的外れな範囲で変化させてしまう不都合は殆どなくなる。言い換えれば、記録媒体が半径方向における記録感度のバラツキを有している場合であっても、レーザ光のパワーを好適な範囲で段階的に又は連続的に変化させながら記録補償動作用のデータパターンを記録することができる。このため、記録補償動作の効率性を向上させることができる。
<6>
上述の如く半径プロファイル情報に基づいてレーザ光のパワーの初期値、パワーの変化幅及びパワーの変化ステップ数等を決定する決定手段を備える記録装置の態様では、前記記録媒体上の少なくとも2箇所に前記データパターンを記録するように前記記録手段を制御すると共に、該記録された前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号の前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方を測定するように前記第1測定手段を制御することで、前記半径プロファイル情報を生成する生成手段を更に備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、例えば少なくとも2箇所に記録されたデータパターンのβ値に基づいて実際にデータパターンが記録されていない箇所のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を補間することで、記録装置自身が半径プロファイル情報を好適に生成することができる。
<7>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記記録媒体は、同心円状の又はスパイラル状の記録トラックを備えており、1つの記録トラック上における前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方の変動の態様を示すトラックプロファイル情報及び前記データパターンを記録するべき記録位置の夫々に基づいて、段階的に又は連続的に変化させる前記パワーの初期値、前記パワーの変化幅及び前記パワーの変化ステップの少なくとも一つを決定する決定手段を更に備える。
この態様によれば、トラックプロファイル情報に基づいてレーザ光のパワーの初期値、パワーの変化幅及びパワーの変化ステップ数等を決定することができる。このため、1つの記録トラック中における記録感度のバラツキに起因するβ値及びアシンメトリの少なくとも一方の変動に応じて、記録補償動作用のデータパターンを記録する際のパワーを好適に決定することができる。このため、記録媒体が1つの記録トラック中における記録感度のバラツキを有している場合であっても、レーザ光のパワーを的外れな範囲で変化させてしまう不都合は殆どなくなる。言い換えれば、記録媒体が1つの記録トラック中における記録感度のバラツキを有している場合であっても、レーザ光のパワーを好適な範囲で段階的に又は連続的に変化させながら記録補償動作用のデータパターンを記録することができる。このため、記録補償動作の効率性を向上させることができる。
<8>
上述の如くトラックプロファイル情報に基づいてレーザ光のパワーの初期値、パワーの変化幅及びパワーの変化ステップ数等を決定する決定手段を備える記録装置の態様では、1つの記録トラックに対して固定された前記パワーの前記レーザ光を照射することで前記データパターンを記録するように前記記録手段を制御すると共に、該記録された前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号の前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方を測定するように前記第1測定手段を制御することで、前記トラックプロファイル情報を生成する生成手段を更に備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、固定パワーで1つの記録トラック中に記録されたデータパターンのβ値及びアシンメトリの少なくとも一方に基づいて、記録装置自身がトラックプロファイル情報を好適に生成することができる。
<9>
上述の如くトラックプロファイル情報に基づいてレーザ光のパワーの初期値、パワーの変化幅及びパワーの変化ステップ数等を決定する決定手段を備える記録装置の態様では、前記パワーを変化させながら前記レーザ光を照射することで前記データパターンを記録する動作を1つの記録トラック中で繰り返し行うように前記記録手段を制御すると共に、該記録された前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号の前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方を測定するように前記第1測定手段を制御することで、前記トラックプロファイル情報を生成する生成手段を更に備えるように構成してもよい。
このように構成すれば、段階的に又は連続的に変化するパワーで1つの記録トラック中に記録されたデータパターンのβ値及びアシンメトリの少なくとも一方に基づいて、記録装置自身がトラックプロファイル情報を好適に生成することができる。
<10>
上述の如くトラックプロファイル情報に基づいてレーザ光のパワーの初期値、パワーの変化幅及びパワーの変化ステップ数等を決定する決定手段を備える記録装置の態様では、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たす前記データパターンを記録した前記パワーが、前記トラックプロファイル情報により予測される前記パワーと比較して変動していた場合、前記記録手段は、次の記録動作で段階的に又は連続的に変化させる前記パワーの全体を、前記トラックプロファイル情報により予測される前記パワーからの変動分に応じて変化させるように構成してもよい。
このように構成すれば、トラックプロファイル情報から推測されるパワーとβ値及びアシンメトリの少なくとも一方との間の関係が、実際にデータパターンを記録したときのパワーと該データパターンのβ値及びアシンメトリの少なくとも一方との間の関係からずれていたとしても、実際にデータパターンを記録したときのパワーと該データパターンのβ値及びアシンメトリの少なくとも一方との間の関係に基づいて、レーザ光のパワーの初期値、パワーの変化幅及びパワーの変化ステップ数等を決定することができる。このため、レーザ光のパワーを的外れな範囲で変化させてしまう不都合は殆どなくなる。言い換えれば、レーザ光のパワーを好適な範囲で段階的に又は連続的に変化させながら記録補償動作用のデータパターンを記録することができる。このため、記録補償動作の効率性を向上させることができる。
<11>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記記録手段は、1回の記録動作の最後に記録された前記データパターンを記録した際の前記パワー及び該データパターンの前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方に基づいて、次の記録動作での段階的に又は連続的に変化させる前記パワーのうちの最初のパワーを、前記所望の条件を満たす前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が得られると推測されるパワーに設定する。
この態様に、前回データパターンを記録したときのパワーと該データパターンのβ値及びアシンメトリの少なくとも一方との間の相関関係に基づいて、次の記録動作を行うときのパワーを好適に設定することができる。このため、レーザ光のパワーを的外れな範囲で変化させてしまう不都合は殆どなくなる。言い換えれば、レーザ光のパワーを好適な範囲で段階的に又は連続的に変化させながら記録補償動作用のデータパターンを記録することができる。このため、記録補償動作の効率性を向上させることができる。
<12>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記記録媒体の内周側のエリア部分において、第1の線速度よりも低速な第2の線速度で前記データパターンを記録するように前記記録手段を制御することにより、前記記録媒体の外周側のエリア部分に前記第1の線速度で前記データパターンを記録する際に用いられる最適パワーを算出する算出手段を更に備え、前記記録手段は、前記算出手段により算出される前記最適パワーを基準として前記パワーを段階的に又は連続的に変化させながら、前記外周側のエリア部分に前記データパターンを記録する。
この態様によれば、算出手段の動作により、第2の線速度(例えば、相対的に低速な線速度)で内周側のエリア部分に記録されたデータパターンに基づいて、第1の線速度(例えば、相対的に高速な線速度)で外周側のエリア部分にデータパターンを記録する際に用いられるレーザ光の最適パワーが算出される。言い換えれば、内周側エリアにおいて実現することができない第1の線速度に代えて、内周側エリアにおいて実現することができる第2の線速度で試し書き用のデータパターンを記録することにより、第1の線速度で記録予定エリアにデータパターンを記録する際に用いられる最適パワーが算出される。
ここでは、第1算出手段は、内周側エリアにおいて実現することができる第2の線速度で記録されたデータパターンを読み取った結果に基づいて、内周側エリアにおいて実現することができない第1の線速度で用いられる最適パワーを予測ないしは推測するように構成されてもよい。その場合、後述するように、上述した予測動作を可能とならしめる特別な記録ストラテジ(つまり、記録条件)を用いてデータパターンを記録するように構成してもよい。或いは、データパターンの記録品質と記録パワーとの相関関係に基づいて、内周側のエリア部分以外のエリア部分の最適パワーを補間により予測するように構成してもよい。
その後、算出手段により算出される最適パワーに基づいて、段階的に又は連続的に変化させるパワーの初期値やパワーの変化幅やパワーの変化ステップ数等が決定される。従って、例えば記録感度が相対的に悪化しがちな外周側のエリア部分を用いて記録補償動作を行う場合であっても、レーザ光のパワーを的外れな範囲で変化させてしまう不都合は殆どなくなる。言い換えれば、例えば記録感度が相対的に悪化しがちな外周側のエリア部分を用いて記録補償動作を行う場合であっても、レーザ光のパワーを好適な範囲で段階的に又は連続的に変化させながら記録補償動作用のデータパターンを記録することができる。このため、記録補償動作の効率性を向上させることができる。
<13>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記記録手段は、レーザ光を照射することで前記データパターンを記録し、前記記録条件は、前記レーザ光又は該レーザ光を駆動するための駆動パルスのパルス幅及び振幅の少なくとも一つである。
このように構成すれば、レーザ光又は駆動パルスのパルス幅や振幅を調整することで、記録補償動作を好適に行うことができる。
<14>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様では、前記読取信号の振幅レベルを所定の振幅制限値にて制限して振幅制限信号を取得すると共に、該振幅制限信号に対して高域強調フィルタリング処理を行うことで等化補正信号を取得する振幅制限フィルタリング手段を更に備え、前記第2測定手段は、前記読取信号のジッタとして、前記等化補正信号のジッタを測定する。
この態様によれば、振幅制限フィルタリング手段の動作により、読取信号の振幅レベルが制限される。具体的には、読取信号のうち振幅レベルが振幅制限値の上限よりも大きい又は下限より小さい信号成分は、振幅レベルが振幅制限値の上限又は下限に制限される。他方、読取信号のうち振幅レベルが振幅制限値の上限以下且つ下限以上である信号成分は、振幅レベルが制限されることはない。このように振幅レベルの制限が施された読取信号を、振幅制限信号と称する。更に、振幅制限フィルタリング手段は、振幅制限信号に対して高域強調フィルタリング処理を行う。その結果、読取信号中に含まれる最短データパターン(例えば、情報記録媒体がDVDであれば、ランレングスが3Tのデータパターンであり、情報記録媒体がBlu−ray Discであれば、ランレングスが2Tのデータパターン)の振幅レベルが強調された状態にある等化補正信号が取得される。つまり、振幅制限フィルタリング手段は、いわゆるリミットイコライザと同様の動作を読取信号に対して行う。
その後、第2測定手段の動作により、読取信号のジッタが測定されることに代えて、等化補正信号のジッタが測定される。つまり、この態様においては、記録媒体からデータパターンを読み取ることで得られる読取信号を直接的に用いてジッタを測定することに代えて、読取信号に対して振幅制限処理及び高域強調フィルタリング処理が施されることで得られる等化補正信号を用いてジッタが測定される。
このように、振幅制限フィルタリング手段(つまり、リミットイコライザ)の動作により最短データパターンの振幅レベルが強調された等化補正信号からデータパターンが検出される。このため、仮に読取信号のアシンメトリがどのような状態であったとしても、読取信号中に含まれる最短データパターンがゼロレベルと交差しなくなる不都合を好適に防ぐことができる。その結果、最短データパターンの検出を好適に行うことができる。このため、最短データパターンを記録するための記録条件を好適に調整することができる。これにより、最短データパターンを含む読取信号を参照しながら、記録補償動作を好適に行うことができる。つまり、記録補償前の読取信号におけるアシンメトリの状態に関わらず、記録補償動作を好適に行うことができる。
<15>
本発明の記録装置に係る実施形態の他の態様は、前記記録手段は、前記調整手段により調整された前記記録条件を前記記録媒体に記録する。この場合、記録条件は、記録装置を識別するための識別情報と対応付けて記録することが好ましい。
この態様によれば、記録装置の識別情報と、記録条件とが記録媒体に記録される。このため、記録装置によるデータパターンの記録が行われる際に、当該記録装置の識別情報と対応する記録条件を記録媒体から読み取り且つ記録手段の記録条件として用いることで、記録条件をわざわざ調整しなくても、記録媒体に対する記録動作において、上述した各種効果と同様の効果を享受することができる。
また、記録媒体がブランクである等の理由により、記録媒体に記録条件が記録されていなかったとしても、上述した記録補償動作を1回行えば、当該記録補償動作によって得られる記録条件を、記録装置の識別情報と対応させて記録媒体に記録することができる。これにより、次にデータパターンを記録する際には、わざわざ記録条件を調整しなくても、記録媒体に対する記録において、上述した各種効果と同様の効果を享受することができる。
つまり、この態様によれば、調整手段による記録条件の調整を行うことなく又は少なくとも1回記録条件の調整を行えば、対応する記録装置において、わざわざ記録条件を調整しなくても、記録媒体に対する記録において、上述した各種効果と同様の効果を享受することができる。
(記録方法の実施形態)
<16>
本発明の記録方法に係る実施形態は、レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取工程と、前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定工程と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定工程と、前記第2測定手段により測定される前記ジッタに基づいて前記記録手段における記録条件を調整する調整工程とを備える。
本発明の記録方法に係る実施形態によれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態が享受することができる各種効果と同様の効果を享受することができる。
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の記録方法に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
(コンピュータプログラムの実施形態)
<17>
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態は、レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段と、前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取手段と、前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定手段と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定手段と、前記第2測定手段により測定される前記ジッタに基づいて前記記録手段における記録条件を調整する調整手段とを備える記録装置(即ち、上述した本発明の記録装置に係る実施形態(但し、その各種態様を含む))に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、該コンピュータを、前記記録手段、前記読取手段、前記第1測定手段、前記第2測定手段及び前記調整手段として機能させる。
本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラムを格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラムをコンピュータに読み込んで実行させれば、或いは、当該コンピュータプログラムを、通信手段を介してコンピュータにダウンロードさせた後に実行させれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態を比較的簡単に実現できる。
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態は、レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段と、前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取手段と、前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定手段と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定手段と、前記第2測定手段により測定される前記ジッタに基づいて前記記録手段における記録条件を調整する調整手段とを備える記録装置(即ち、上述した本発明の記録装置に係る実施形態(但し、その各種態様を含む))に備えられたコンピュータにより実行可能なプログラム命令を明白に具現化し、該コンピュータを、前記記録手段、前記読取手段、前記第1測定手段、前記第2測定手段及び前記調整手段として機能させる。
本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態によれば、当該コンピュータプログラム製品を格納するROM、CD−ROM、DVD−ROM、ハードディスク等の記録媒体から、当該コンピュータプログラム製品をコンピュータに読み込めば、或いは、例えば伝送波である当該コンピュータプログラム製品を、通信手段を介してコンピュータにダウンロードすれば、上述した本発明の記録装置に係る実施形態を比較的容易に実施可能となる。更に具体的には、当該コンピュータプログラム製品は、上述した本発明の記録装置に係る実施形態として機能させるコンピュータ読取可能なコード(或いはコンピュータ読取可能な命令)から構成されてよい。
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明のコンピュータプログラム製品に係る実施形態も各種態様を採ることが可能である。
尚、上述した本発明の記録装置に係る実施形態における各種態様に対応して、本発明の記録媒体に係る各実施形態も各種態様を採ることが可能である。
本実施形態のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施例から更に明らかにされよう。
以上説明したように、本発明の記録装置に係る実施形態によれば、記録手段と、読取手段と、第1測定手段と、第2測定手段と、調整手段とを備える。本発明の記録方法に係る実施形態によれば、読取工程と、第1測定工程と、第2測定工程と、調整工程とを備える。本発明のコンピュータプログラムに係る実施形態によれば、コンピュータを本発明の記録装置に係る実施形態として機能させる。従って、記録媒体の記録感度のバラつき等の影響を軽減しながら記録補償動作を好適に行うことができる。
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
(1)記録装置の基本構成
初めに、図1を参照して、本発明の記録装置に実施例の基本構成について説明する。ここに、図1は、本実施例に係る記録装置1の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図1に示すように、本実施例に係る記録装置1は、スピンドルモータ10と、ピックアップ(PU:Pick Up)11と、HPF(High Pass Filter)12と、A/D変換器13と、プリイコライザ(Pre Equalizer)14と、2値化回路16と、復号回路17と、遅延回路18と、平均化回路19と、パターン判別回路20と、記録ストラテジ調整回路21と、CPU22と、β検出回路23とを備えている。
ピックアップ11は、本発明における「記録手段」及び「読取手段」の一具体例を構成しており、スピンドルモータ10によって回転する光ディスク100の記録面にレーザ光LBを照射した際の反射光を光電変換して、光ディスク100に記録されたデータパターに応じた読取信号RRFを生成する。また、ピックアップ11は、記録ストラテジ設定回路21において設定される記録ストラテジに応じたレーザ光LBを光ディスク100の記録面に照射することで、光ディスク100に対してデータパターンを記録する。
HPF12は、ピックアップ11より出力される読取信号RRFの低域成分を除去し、その結果得られる読取信号RHCをA/D変換器13へ出力する。
A/D変換器13は、不図示のPLL(Phased Lock Loop)等から出力されるサンプリングクロックに応じて読取信号RRFをサンプリングし、その結果得られる読取サンプル値系列RSをプリイコライザ14へ出力する。
プリイコライザ14は、ピックアップ11及び光ディスク100から構成される情報読取系の伝送特性に基づく符号間干渉を除去し、その結果得られる読取サンプル値系列RSを2値化回路16、遅延回路18及びβ検出回路23の夫々へ出力する。
2値化回路16は、読取サンプル値系列RSに対して2値化処理を行い、その結果得られる2値化信号を復号回路17及びパターン判別回路19の夫々へ出力する。
復号回路17は、2値化信号に対して復号処理等を行い、その結果得られる再生信号を、ディスプレイやスピーカ等の外部再生機器へ出力する。その結果、光ディスク100に記録されたデータパターンに応じたデータ(例えば、映像データや音声データ等)が再生される。
遅延回路18は、2値化回路16及びパターン判別回路20の夫々における処理に要する時間に相当する遅延を読取サンプル値系列RSに付加した後に、該読取サンプル値系列RSを平均化回路19へ出力する。つまり、遅延回路18の動作により、プリイコライザ14から出力される読取サンプル値系列RS中の各サンプル値が、該サンプル値のデータパターン判別結果が入力されるタイミングと同一のタイミングで平均化回路19へ入力される。
平均化回路19は、本発明における「第2測定手段」の一具体例を構成しており、読取サンプル値系列RSのジッタを測定する。平均化回路19の詳細については、後に詳述する(図6参照)。
パターン判別回路20は、2値化回路16から出力される2値化信号に基づいて、データパターンの判別を行う。つまり、パターン判別回路20に入力される2値化信号が、どのデータパターンの2値化信号であるかを判別する。判別結果は、平均化回路19へ出力される。
記録ストラテジ調整回路21は、本発明における「調整手段」の一具体例を構成しており、平均化回路19において測定されたジッタに基づいて、データパターン毎の記録ストラテジを調整する。つまり、記録補償動作を行う。
CPU22は、本発明における「推測手段」、「決定手段」及び「生成手段」の一具体例を構成しており、記録装置1を構成する上述の各種構成要素を制御することにより、記録装置1の全体の動作を制御する。
β検出回路23は、本発明における「第1測定手段」の一具体例を構成しており、読取サンプル値系列RSのβ値を測定する。測定されたβ値は、CPU22へ出力される。
(2)光ディスク
続いて、図2を参照して、本実施例に係る記録装置1の記録動作の対象となる光ディスク100の基本構成について説明する。ここに、図2は、光ディスク100の基本構造を示した概略平面図であり、該光ディスク100の半径方向における記録領域構造の図式的概念図である。
図2に示されるように、光ディスク100は、例えば、DVDと同じく直径12cm程度のディスク本体上の記録面に、センターホール101を中心として、内周側PCA(Power Calibration Area)111、RMA(Recording Management Area)112、リードインエリア113、データ記録エリア114、リードアウトエリア115及び外周側PCA116が設けられている。そして、例えばセンターホール101を中心にスパイラル状或いは同心円状に、例えばグルーブトラック及びランドトラックが交互に設けられている。また、このトラック上には、データパターンがECCブロックという単位で分割されて記録される。ECCブロックは、エラー訂正可能なデータ管理単位である。また、本実施例においては、光ディスク100は、一度のみデータパターンを記録することが可能な追記型記録媒体であることが好ましい。
そして、グルーブトラックは、一定の振幅及び空間周波数で揺動されている。即ち、グルーブトラックは、ウォブリングされており、そのウォブルの周期は所定値に設定されている。ランドトラック上にはプリフォーマットアドレスを示すランドプリピット(LPP:Land Pre Pit)と呼ばれるピットが形成されている。この2つのアドレッシング(即ち、ウォブル及びランドプリピット)により記録中のディスク回転制御や記録クロックの生成を行うと共に、記録アドレス等のデータパターン記録に必要な情報を得ることができる。尚、グルーブトラックのウォブルを周波数変調や位相変調など所定の変調方式により変調することによりプリフォーマットアドレスを予め記録するようにしてもよい。
(3)記録装置の動作例
続いて、図3から図27を参照して、本実施例に係る記録装置1の動作例について説明する。尚、以下では、説明の明確性の観点から、記録装置1の動作例を3つに分けて説明を進める。
(3−1)第1動作例
初めに、図3を参照して、本実施例に係る記録装置1の第1動作例(特に、記録補償動作)について説明する。ここに、図3は、本実施例に係る記録装置1の第1動作例における動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
初めに、CPU22の制御の下にピックアップ11からレーザ光LBが光ディスク100上の内周側PCA111又は外周側PCA116に照射されることにより、内周側PCA111又は外周側PCA116への記録補償用データパターンの記録が行われる(ステップS101)。このとき、CPU22は、レーザ光LBのパワーが段階的に又は連続的に変化するように光ピックアップ11(より具体的には、光ピックアップ11が備える不図示のレーザダイオードドライバ)を制御する。
その後、CPU22の制御を受ける光ピックアップ11により、内周側PCA111又は外周側PCA116に記録された記録補償用データパターンが読み取られる。記録補償用データパターンを読み取ることで得られる読取信号RRFは、HPF12、A/D変換器13及びプリイコライザ14を介することで、読取サンプル値系列RSとしてβ検出回路23に出力される。β検出回路23は、内周側PCA111又は外周側PCA116に記録された記録補償用データパターンのβ値を検出する。
ここで、図4を参照して、レーザ光LBのパワーの段階的な又は連続的な変化の態様について説明する。ここに、図4は、段階的に又は連続的に変化するレーザ光LBのパワーと当該パワーのレーザ光LBによって記録される記録補償用データパターンのβ値との関係を概念的に示すグラフである。
図4に示すように、例えば、記録補償用データパターンは、レーザ光LBのパワーを0.2mWずつ変化させながら記録される。より具体的には、まず、6.6mWのパワーを有するレーザ光LBによって記録補償用データパターンが記録され、続いて6.8mWのパワーを有するレーザ光LBによって記録補償用データパターンが記録され、以降、パワーが9.6mWに達するまで、レーザ光LBのパワーを0.2mWずつ増加させながら記録補償用データパターンの記録が繰り返される。つまり、図4に示す例では、パワーを16段階に変化させながら記録補償用データパターンが記録される。また、図4では、各パワーのレーザ光LBを照射することによって記録された記録補償用データパターンのβ値も同様にグラフ上に示されている。
再び図3において、続いて、CPU22の制御の下に、β検出回路23によって所望値となるβ値が検出されたか否かが判定される(ステップS102)。より具体的には、ステップS101において記録されたデータパターンのうちβ値が所望値となる記録補償用データパターンが存在するか否かが判定される。
ステップS102における判定の結果、β検出回路23によって所望値となるβ値が検出されていないと判定された場合には(ステップS102:No)、CPU22の制御の下にレーザ光LBのパワーの初期値(例えば、上述の6.6mWが一例となる初期値)やパワーの振り幅(例えば、上述の0.2mWが一例となる振り幅)やパワーの変化ステップ数(例えば、上述の16段階が一例となる変化ステップ数)が変更された上で(ステップS103)、再度記録補償用データパターンの記録が繰り返される(ステップS101)。尚、このとき、β値が所望値となるように、レーザ光LBのパワーの初期値やパワーの振り幅やパワーの変化ステップ数が変更されることが好ましい。
他方、ステップS102における判定の結果、β検出回路23によって所望値となるβ値が検出されたと判定された場合には(ステップS102:Yes)、平均化回路19の動作により、所望値となるβ値が検出された記録補償用データパターンのジッタが更に検出される(ステップS104)。言い換えれば、平均化回路19の動作により、所望値となるβ値が得られるようなパワーで記録された記録補償用データパターンのジッタが更に検出される。例えば、図4では、所望値として「12.0」が設定されており且つレーザ光LBのパワーを8.6mWに設定した場合に記録された記録補償用データパターンのβ値が「12.0」となるため、8.6mWのパワーのレーザ光LBによって記録された記録補償用データパターンのジッタが検出される。
ここで、図5及び図6を参照して、ジッタを測定する際の動作及びジッタを測定するための平均化回路19について説明する。ここに、図5は、平均化回路19によるジッタの測定動作を読取サンプル値系列RS上で概念的に示す波形図であり、図6は、平均化回路19の基本構成を概念的に示すブロック図である。
図5に示すように、本実施例においては、平均値回路19は、ジッタを測定するために、まず、データパターン毎に、読取サンプル値系列RSのゼロクロス点付近のサンプル値(図5中、黒丸にて示すサンプル値であって、以降適宜“ゼロクロスサンプル値”と称する)と、ゼロレベルとの間の差分(つまり、振幅方向のエッジシフト)を測定する。読取信号RRFに符号間干渉がなければ、クロックCLKのタイミングでゼロレベルと概ね一致するサンプル値がゼロクロスサンプル値となるが、読取信号RRFに符合間干渉があれば、クロックCLKのタイミングでゼロレベルに最も近づくサンプル値がゼロクロスサンプル値となる。
このような動作を行うために、平均値回路19は、図6に示すように、トリガ生成部1911と、トータルジッタ測定ブロック191と、n個の個別シフトジッタ成分測定ブロック192−1〜192−nと、全体シフトジッタ成分測定回路193とを備えている。個別シフトジッタ成分測定ブロック192−1〜192−nの数は、データパターンの種類の組み合わせ数と一致している。つまり、光ディスク100がDVDであれば、データランレングス長は10種類(3Tから11T、14T)ある。各マーク長に対し、前後のスペース長の組み合わせパターンで個別シフトジッタを分類することができる。例えば、前スペース長と各マーク長の組み合わせは、100通り、後スペース長と各マーク長の組み合わせも、100通りあり、全部でn=200通りになる。有効瞳径とデータランレングスを鑑み、6T以上のマーク/スペースとの組み合わせパターンでは同一の符号間干渉が発生する為、6T以上のデータを同一グループとして扱うと、n=32に減らすことができる。光ディスク100がBlu−ray Discであれば、データランレングス長は8種類(2Tから9T)あり、各マーク長に対する前後スペース長の組み合わせパターンn=8*8*2=128通りになる。DVD同様、有効瞳径とデータランレングスを鑑み、5T以上のデータを同一グループとして扱うと、n=32に減らすことができる。そして、個別シフトジッタ成分測定ブロック192−1〜192−nは、夫々が対応するデータパターンの個別シフトジッタ成分を測定する。
遅延回路18より出力される読取サンプル値系列RSは、ABS回路1912、並びにn個の加算器1923−1〜1923−nに入力される。また、パターン判別回路20より出力されるパターン判別結果は、トリガ生成部1911に入力される。
トリガ生成部1911においては、パターン判別回路20より出力されるパターン判別結果に応じて、データパターン毎に区別されると共にデータパターンが入力されるタイミングでハイレベル(又はローレベル)になるトリガ信号を生成する。トリガ信号は、OR回路1917、n個のサンプルホールド(S/H)回路1924−1〜1914−n、及びn個のカウンタ1925−1〜1925−nに入力される。
続いて、トータルジッタ測定ブロック191の動作について説明する。ABS回路1912より出力されるゼロクロスサンプル値の絶対値は、加算器1912において加算される。加算結果は、サンプルホールド回路1914において、いずれかのトリガ信号がハイレベル(又はローレベル)となるタイミングで(つまり、いずれかのデータパターンがトータルジッタ測定ブロック191に入力されるタイミングで)サンプルホールドされる。その結果は、割算器1916へ出力されると共に、加算器1913へフィードバックされる。このため、割算器1916へは、全データパターンのゼロクロスサンプル値の絶対値の和が出力される。他方、カウンタ1915において、トリガ信号がハイレベル(又はローレベル)となった回数(つまり、トータルジッタ測定ブロック191に入力されたデータパターンの数)がカウントされている。カウント結果は、割算器1916へ出力される。割算器1916においては、ゼロクロスサンプル値の絶対値の和が、入力されたデータパターンの数で除算される。その結果、ゼロクロスサンプル値の絶対値の平均値が出力される。本実施例においては、ゼロクロスサンプル値の絶対値の平均値が、トータルジッタ(つまり、ランダムジッタ成分とシフトジッタ成分とを考慮した全体としてのジッタ)となる。
続いて、個別シフトジッタ成分測定ブロック192−1〜192−nの動作について説明する。ここでは、光ディスク100がDVDであり、ランレングスが3Tスペースの後の3Tマークのデータパターンのゼロクロスサンプル値に対応する個別シフトジッタ成分測定ブロック192−1の動作について説明する。加算器1923−1とサンプルホールド回路1924−1の作用により、ランレングスが3Tスペースの後の3Tマークのデータパターンに対応するトリガ信号がハイレベル(又はローレベル)となるタイミングで(つまり、3Tスペース後の3Tマークの境界ゼロクロスサンプルが個別シフトジッタ成分測定ブロック192−1に入力されるタイミングで)、3Tスペース後の3Tマークの境界ゼロクロスサンプルがサンプルホールドされる。その結果は、割算器1926−1へ出力されると共に、加算器1923−1へフィードバックされる。つまり、加算器1923−1においては、3Tスペース後の3Tマークの境界ゼロクロスサンプル値のみが積算され、割算器1926−1へは、3Tスペース後の3Tマークの境界ゼロクロスサンプル値の和が出力される。他方、カウンタ1925−1において、トリガ信号がハイレベル(又はローレベル)となった回数(つまり、個別シフトジッタ成分測定ブロック192−1に入力された3Tスペース後の3Tマークの境界ゼロクロスサンプルの数)N(1)がカウントされている。カウント結果は、割算器1926−1へ出力される。割算器1926−1においては、3Tスペース後の3Tマークの境界ゼロクロスサンプル値の和が、入力されたN(1)で除算される。その結果、3Tスペース後の3Tマークの境界ゼロクロスサンプル値の平均値S(1)が出力される。この動作は、他の個別シフトジッタ成分測定ブロック192−2〜192−nにおいても、対応するデータパターン毎に行われる。本実施例においては、データパターン毎のゼロクロスサンプル値の平均値が、個別シフトジッタ成分S(1)〜S(n)となる。
データパターン毎の個別シフトジッタ成分S(1)〜S(n)は、全体シフトジッタ成分測定回路193へも出力される。また、トリガ信号がハイレベルとなった回数N(1)〜N(n)もまた、全体シフトジッタ成分測定回路193へ出力される。全体シフトジッタ成分測定回路193においては、数式1に示す演算処理を行うことで、データパターン毎の個別シフトジッタ成分の出現確率を考慮した、全体としてのシフトジッタ成分が出力される。
Figure 0005028531
再び図3において、続いて、CPU22の制御の下に、ステップS104において検出されたジッタのうちのトータルジッタが第1閾値Th1(例えば、7.5%)よりも小さいか否かが判定される(ステップS105)。ここで用いる第1閾値Th1は、例えば光ディスク100の規格において定められた値であってもよいし、或いは記録動作ないしは再生動作に影響を与えない程度のジッタの値であってもよい。
ステップS105における判定の結果、トータルジッタが第1閾値Th1以下であると判定された場合には(ステップS105:Yes)、記録補償動作を行うことなく、動作を終了する。
他方、ステップS105における判定の結果、トータルジッタが第1閾値Th1以下でないと判定された場合には(ステップS105:No)、続いて、ステップS104において測定されたジッタのうちの個別シフトジッタ成分が、第2閾値Th2(例えば、4%)以下であるか否かが判定される(ステップS106)。この判定は、データパターン毎に行われる。つまり、この判定は、個別シフトジッタ成分測定ブロック192−1〜192−nにおいて測定された個別シフトジッタ成分の夫々について行われる。具体的には、光ディスク100がDVDであり、6T以上を同一グループとして扱うと、3Tマークについては、前スペースのランレングスが3Tのデータパターンにおける判定と、前スペースのランレングスが4Tのデータパターンにおける判定と、前スペースのランレングスが5Tのデータパターンにおける判定と、前スペースのランレングスが6T以上のデータパターンにおける判定とが行われる。同様に、4T以上のマークについても、前スペースが3T、4T、5T、6T以上のデータパターンにおける判定が行われる。3T、4T、5T、6T以上のマークに対して、後スペースのランレングスが3T、4T、5T、6T以上のデータパターンにおける判定が行われる。6T以上を統一グループとして扱ったが、タンジェンシャルチルトによるコマ収差等の影響まで記録補償するのであれば、その影響のでるデータパターンまで扱っても良いし、3Tから11T、14Tを個別に扱っても良い。他方、光ディスク100がBlu−ray Discであり、5T以上を同一グループとして扱うと、2T、3T、4T、5T以上のマークについては、前スペースまたは後スペースが2T、3T、4T、5T以上のデータパターンにおける判定が行われる。5T以上を統一グループとして扱ったが、DVD同様、タンジェンシャルチルトによるコマ収差等の影響まで記録補償するのであれば、その影響のでるデータパターンまで扱っても良いし、2Tから9Tを個別に扱っても良い。
尚、第2閾値Th2は、全てのデータパターンに共通の値を用いてもよいし、データパターン毎に(或いは、複数のデータパターンを含むグループ毎に)個別の値を用いてもよい。また、例えば後述するストラテジ調整における最小分解能に対する個別シフトジッタ成分の変動量がx%である場合には、当該xを第2閾値Th2として設定することが好ましい。例えば、記録補償(ストラテジ調整)における最小分解能が1/40ステップであり且つストラテジを1/40ステップ変化させた場合に個別シフトジッタ成分が5%変動する場合には、当該「5%」を第2閾値Th2に設定することが好ましい。
ステップS106における判定の結果、少なくとも1つの又は全てのデータパターンの個別シフトジッタ成分が第2閾値Th2以下であると判定された場合には(ステップS106:Yes)、記録補償動作を行うことなく、動作を終了する。
他方、ステップS106における判定の結果、少なくとも1つの又は全てのデータパターンの個別シフトジッタ成分が第2閾値Thよりも小さくないと判定された場合には(ステップS106:No)、続いて、CPU22の制御の下に、記録補償動作を行った回数を示し且つ初期値が0に設定される変数Nが、記録補償動作を行う上限回数Th3以下であるか否かが判定される(ステップS107)。
尚、上限回数Th3は、例えば後述するストラテジ調整における最小分解能に対する個別シフトジッタ成分の変動量がx%であり且つ記録補償動作の開始時に最初に検出した個別シフトジッタ成分の最大値がJである場合には、J/xを第3閾値Th3として設定することが好ましい。
ステップS107における判定の結果、変数Nが、記録補償動作を行う上限回数Th3以下でないと判定された場合には(ステップS107:No)、記録補償動作を行うことなく、動作を終了する。
他方、ステップS107における判定の結果、変数Nが、記録補償動作を行う上限回数Th3以下であると判定された場合には(ステップS107:Yes)、変数Nが1だけインクリメントされた後(ステップS108)、記録ストラテジ調整回路21の動作により、実際に記録補償動作(つまり、ストラテジの調整)が行われる(ステップS109)。ステップS109の記録補償動作が行われた後には、再度ステップS101以降の動作が繰り返される。
ここで、図7を参照して、図3のステップS109における記録補償動作について説明する。ここに、図7は、記録補償前のデータパターン毎のジッタ分布及び全体としてのジッタ分布、並びに記録補償後のデータパターン毎のジッタ分布及び全体としてのジッタ分布の夫々の状態を概念的に示すグラフである。データパターン毎の分布の平均値が個別シフトジッタ成分となる。
図7に示すように、本実施例においては、データパターン毎の個別シフトジッタ成分のばらつきをなくすような記録補償動作が行われる。より具体的には、図7の左側に示すように、データパターン毎のジッタの分布が、縦方向の矢印にて示すクロックの立ち上がり点を基準としてばらつきを有している場合には、図7の右側に示すように、データパターン毎のジッタの分布がクロックの立ち上がり点に向かってシフトするように、記録補償動作が行われる。言い換えれば、データパターン毎のジッタの分布が、クロックの立ち上がり点において又はその近傍付近において揃うように、記録補償動作が行われる。更に言い換えれば、データパターン毎のジッタの分布が同一となるように、記録補償動作が行われる。その結果、全体としてのジッタの分布(つまり、トータルジッタの分布)は、クロックの立ち上がり位置等を中心として正規分布となる。つまり、本実施例における記録補償動作においては、データパターン毎のジッタの分布の幅を狭くすることに代えて(言い換えれば、ランダムジッタ成分を低減することに代えて)、データパターン毎のジッタの分布の平均値をそろえている。これは、データパターン毎の個別シフトジッタ成分を低減させる動作に相当する。
また、記録ストラテジ調整回路21は、例えば図7から図9に示すように記録ストラテジを調整する。ここに、図8は、記録ストラテジの調整動作の第1の態様を概念的に示すタイミングチャートであり、図9は、記録ストラテジの調整動作の第2の態様を概念的に示すタイミングチャートであり、図10は、記録ストラテジの調整動作の第3の態様を概念的に示すタイミングチャートである。
例えば、図8に示すように、データパターン(記録データ)を記録するためのレーザ光の波形を規定する記録パルス(つまり、記録ストラテジ)のパルス幅を調整するように構成してもよい。
また、図9に示すように、データパターン(記録データ)を記録するためのレーザ光の波形を規定する記録パルス(つまり、記録ストラテジ)の振幅(例えば、トップパルスの振幅Poや、ミドルパルスの振幅Pmや、ボトムパルスの振幅Pb)を調整するように構成してもよい。ここでは、図9の一番上の記録パルスにて示すように、ランレングスが3T及び4Tのデータパターンに対応する記録パルスの振幅と、ランレングスが5T以上のデータパターンに対応する記録パルスの振幅とを別々に調整してもよい。或いは、図9の上から2番目の記録パルスにて示すように、ランレングスが3Tのデータパターンに対応する記録パルスの振幅と、ランレングスが4Tのデータパターンに対応する記録パルスの振幅と、ランレングスが5Tのデータパターンに対応する記録パルスの振幅と、ランレングスが6T以上のデータパターンに対応する記録パルスの振幅とを別々に調整してもよい。或いは、図9の上から3番目の記録パルスにて示すように、ランレングスが3Tのデータパターンに対応する記録パルスの振幅と、ランレングスが4Tのデータパターンに対応する記録パルスの振幅と、ランレングスが5T以上のデータパターンに対応する記録パルスの振幅とを別々に調整してもよい。或いは、図9の上から4番目の記録パルスにて示すように、ランレングスが3Tのデータパターンに対応する記録パルスの振幅と、ランレングスが4T以上のデータパターンに対応する記録パルスの振幅とを別々に調整してもよい。
また、図10に示すように、記録パルスがキャッスル型以外であっても、図9に示す場合と同様に、データパターン(記録データ)を記録するためのレーザ光の波形を規定する記録パルス(つまり、記録ストラテジ)の振幅を調整するように構成してもよい。
もちろん、図8に示すような記録パルスのパルス幅の調整と、図9及び図10に示すような記録パルスの振幅の調整とを適宜組み合わせることで、記録ストラテジの調整を行ってもよいことは言うまでもない。
これにより、本実施例に係る記録装置1によれば、記録補償動作を行うことで、トータルジッタを低減することができる。特に、本実施例に係る情報記録装置1によれば、単に記録補償用データパターンのジッタを検出することに代えて、記録補償用データパターンのβ値をまずは測定すると共にβ値が所望値となる記録補償用データパターンのジッタを測定している。このため、良好な(或いは、最適な)β値を得ることができるパワーで記録された記録補償用データパターンを用いて(つまり、該記録補償用データパターンのジッタを用いて)ストラテジの調整を行うことができる。言い換えれば、良好な(或いは、最適な)β値を得ることができるパワーで記録された記録補償用データパターン以外の記録補償用データパターンを用いてストラテジの調整を行うことは殆どなくなる。このため、仮に光ディスク100が記録感度のバラツキを有していたとしても、光ディスク100の記録感度のバラつき等の影響を軽減しながら記録補償動作を好適に行うことができる。
ここで、本実施例に係る記録装置1によって得られる効果を、図11を参照して説明する。ここに、図11は、本実施例に係る記録装置1による記録補償動作を行った後に記録されるデータパターンのジッタ及びβ値の検出を行うことなく記録補償動作を行う比較例に係る記録装置による記録補償動作を行った後に記録されるデータパターンのジッタを概念的に示すグラフである。
図11に示すように、β値の検出を行うことなく記録補償動作を行う比較例に係る記録装置による記録補償動作を行った後に記録されるデータパターンのジッタと比較して、本実施例に係る記録装置1による記録補償動作を行った後に記録されるデータパターンのジッタが改善している(つまり、低下している)ことが分かる。これは、記録補償動作の際にβ値が所望値となる記録補償用データパターンのジッタを選択的にないしは意図的に利用していることに起因する。このように、本実施例に係る記録装置1によれば、良好な(或いは、最適な)β値を得ることができるパワーで記録された記録補償用データパターンを用いてストラテジの調整を行うことで、好適に記録補償動作を行うことができる。
尚、上述の説明は、パワーを段階的に変化させながら記録する記録補償用データパターン中にβ値が所望値となる記録補償用データパターンが存在している例について説明している。しかしながら、パワーを段階的に変更しているがゆえに、β値が所望値となる記録補償用データパターンが必ず存在しているとは限らない。このようなパワーを段階的に変化させながら記録する記録補償用データパターン中にβ値が所望値となる記録補償用データパターンが存在していない場合であっても、以下に説明する方法を採用することで、上述した効果を得ることができる。
以下、パワーを段階的に変化させながら記録する記録補償用データパターン中にβ値が所望値となる記録補償用データパターンが存在していない場合の動作について、図12から図14を参照して説明する。ここに、図12は、パワーを段階的に変化させながら記録する記録補償用データパターン中にβ値が所望値となる記録補償用データパターンが存在していない場合の動作の第1の例を概念的に説明するグラフであり、図13は、パワーを段階的に変化させながら記録する記録補償用データパターン中にβ値が所望値となる記録補償用データパターンが存在していない場合の動作の第2の例を概念的に説明するグラフであり、図14は、β値と位相ずれ(ジッタ)との相関関係を概念的に示すグラフである。
図12には、段階的に変化させたパワーに対応するβ値が小さい丸印で示されている。図12に示す例では、パワーを段階的に変更しているがゆえに、β値が所望値となる記録補償用データパターンが存在していない。この場合、第1の例として、β値が所望値に最も近似している記録補償用データパターンのジッタを測定すると共に、β値が所望値に最も近似している記録補償用データパターンのジッタに基づいてストラテジを調整してもよい。図12に示す例では、所望のβ値に最も近似する記録補償用データパターンとして、約11.3mWのパワーのレーザ光LBにより記録された記録補償用データパターンが選択される例を示している。このように構成しても、β値が所望値に近似しているがゆえに、上述した各種効果を相応に享受することができる。
また、図13に示すように、β値が所望値となる記録補償用データパターンが存在していないばかりか、実際に記録された全ての記録補償用データパターンのβ値が所望値未満になる(或いは、所望値より大きくなる)ことも十分に考えられる。図13に示す例では、6.6mWから7.8mWのパワーで記録された記録補償用データパターンのβ値は、いずれも所望値である「12.0」未満となっていると共に、所望値である「12.0」に近似しているとも言いがたい。この場合、図3において説明したように、パワーを変更した上で再度パワーを段階的に変化させながら記録補償用データパターンを記録してもよいが、図13に示すように、β値が所望値となる記録補償用データパターンのジッタを補間動作で推測してもよい。具体的には、図13に示すように、β値が所望値とならない又は所望値に近似しない記録補償用データパターンのβ値及びジッタを測定すると共に、β値が所望値とならない又は所望値に近似しない記録補償用データパターンのジッタから、β値が所望値となる記録補償用データパターンのジッタを推測してもよい。
このとき、図14に示すように、β値と位相ずれ(つまり、ジッタ)とは、線形の又は非線形の相関関係を有している。具体的には、図14(a)及び図14(b)に示すように、データパターンのフロントエッジ及びリアエッジの夫々の位相ずれは、β値に対して線形の又は非線形の相関関係を有している。
このため、このような相関関係に基づいて、β値が所望値とならない又は所望値に近似しない記録補償用データパターンのβ値と所望値との差分に相当するジッタの変動量を、β値が所望値とならない又は所望値に近似しない記録補償用データパターンのジッタに加算することで、β値が所望値となる記録補償用データパターンのジッタを推測することができる。このように構成しても、上述した各種効果を相応に享受することができる。
(3−2)第2動作例
続いて、図15を参照して、本実施例に係る記録装置1の第2動作例(特に、記録補償動作)について説明する。ここに、図15は、本実施例に係る記録装置1の第2動作例における動作の流れを概念的に示すフローチャートである。尚、上述した第1動作例と同一の動作については、同一のステップ番号を付して、その詳細な説明については省略する。
図15に示すように、第2動作例ではまず、CPU22の制御の下に、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度であるか否かが判定される(ステップS201)。
ステップS201における判定の結果、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度であると判定された場合には(ステップS201:Yes)、図3に示した動作が行われる。
他方、ステップS201における判定の結果、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度でないと判定された場合には(ステップS201:No)、内周側PCA111において、内周側PCA111において実現可能な線速度でAOPCが行われる(ステップS202)。
尚、AOPC動作は、光ディスク100の記録面の特性の相違(例えば、内周側、中周側及び外周側の夫々の感度の相違)や線速度の相違等を考慮することにより、内周側PCA111において実現不可能な線速度(例えば、記録速度が8xに相当する線速度)でのレーザ光LBの最適パワーを、内周側PCA111におけるOPC動作により算出する動作である。つまり、光ディスク100の外周側に向かうほど線速度が増加する一方で、相対的に低速な線速度しか実現できない内周側PCA111でOPCが行われるという不都合を解消するための、特別なOPC動作である。このAOPCによれば、内周側PCA111において行われるOPCの結果に基づいて、光ディスク100の全面に渡る記録特性を実質的に推測することができる。ここで、光ディスク100の外周側に向かうほど線速度が増加することを考慮すれば、光ディスク100の半径位置と線速度とを対応付けることにより、光ディスク100上で実現可能な線速度に対応する記録特性を実質的に推測することができる。その結果、光ディスク100の任意のエリア部分にデータパターンを記録する際に(言い換えれば、任意の線速度でデータパターンを記録する際に)用いられる最適パワーを推測することができる。詳細は、国際公開第WO2005/043515号パンフレットを参照されたい。
その後、ステップS202のAOPC動作によって算出された最適パワーを基準として(例えば、最適パワーを中央値として)レーザ光LBのパワーを段階的に又は連続的に変化させながら、記録補償用データパターンの記録動作が行われる(ステップS203)。このステップS203における動作は、AOPC動作の結果を用いるということ以外は、図3のステップS101の動作と概ね同一である。
以降は、第2動作例においても、図3のステップ102からステップS109の動作が行われる。これにより上述した第1動作例により享受することができる各種効果を好適に享受することができる。
加えて、AOPC動作を行うため、例えば記録感度が相対的に悪化しがちな外周側PCA116を用いて記録補償動作を行う場合であっても、レーザ光LBのパワーを的外れな範囲で変化させてしまう不都合は殆どなくなる。言い換えれば、例えば記録感度が相対的に悪化しがちな外周側PCA116を用いて記録補償動作を行う場合であっても、レーザ光のパワーを好適な範囲で段階的に又は連続的に変化させながら記録補償用データパターンを記録することができる。このため、記録補償動作の効率性ないしは信頼性を向上させることができる。
(3−3)第3動作例
続いて、図16を参照して、本実施例に係る記録装置1の第3動作例について説明する。ここに、図16は、本実施例に係る記録装置1の第3動作例における動作の流れを概念的に示すフローチャートである。尚、上述した第1動作例と同一の動作については、同一のステップ番号を付して、その詳細な説明については省略する。
図16に示すように、第3動作例においては、記録補償動作(図3のステップS101からステップS109の動作又は図15のステップS201からステップS109の動作)を行う前に、光ディスク100の記録感度(ディスク感度)に関するプロファイル情報が取得される(ステップS301)。このプロファイル情報は、好ましくは記録装置1自身によって生成される。
その後、記録補償用データパターンを記録するために段階的に又は連続的に変化させるパワーの初期値や振り幅や変化ステップ数が、プロファイル情報に基づいて決定されると共に、記録補償動作が行われる(ステップS302)。その後、データ記録エリア114へのデータパターンの記録が行われる(ステップS303)。
以降、図17から図27を参照して、プロファイル情報及びプロファイル情報を用いた記録補償動作についてより詳細に説明を進める。
(3−3−1)半径方向のプロファイル情報
まず、図17及び図18を参照して、光ディスク100の半径方向のプロファイル情報(半径プロファイル情報)について説明する。ここに、図17は、光ディスク100の半径プロファイル情報を生成する際の動作を概念的に示すフローチャートであり、図18は、光ディスク100の半径プロファイル情報を概念的に示すグラフである。
図17に示すように、まず、CPU22の制御の下に、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度であるか否かが判定される(ステップS401)。
ステップS401における判定の結果、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度であると判定された場合には(ステップS401:Yes)、内周側PCA111において通常のOPC動作が行われる(ステップS402)。
他方、ステップS401における判定の結果、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度でないと判定された場合には(ステップS401:No)、内周側PCA111において、内周側PCA111において実現可能な線速度でAOPCが行われる(ステップS403)。
続いて、ステップS402におけるOPC動作又はステップS403におけるAOPC動作によって得られた最適パワーのレーザ光LBを光ディスク100に照射することで、データ記録エリア114へのデータパターンの記録が行われる(ステップS404)。尚、半径プロファイル情報を生成すると言う観点から見れば、少なくとも2箇所のエリア部分にデータパターンが記録されれば足りる。
データ記録エリア114へのデータパターンの記録動作と並行して、適宜ランニングOPC(ROPC)が行われることでレーザ光LBのパワーが適宜修正される(ステップS405)。また、データ記録エリア114へのデータパターンの記録動作と並行して、CPU22の制御の下に、所定の又は任意の半径位置毎に、記録されたデータパターンのβ値が測定される。その結果、横軸が半径位置を示し且つ縦軸がβ値を示すグラフ上で、実際に測定されたβ値が近似曲線によって結ばれることで、図18(a)及び図18(b)に示すように、データパターンを記録した半径位置とデータパターンのβ値との相関関係を示す半径プロファイル情報が生成される(ステップS406)。
尚、図18(a)は、半径位置が増加するに伴ってβ値が増加する(より具体的には、直線的に増加する)相関関係を示す半径プロファイル情報を示している。また、図18(b)は、光ディスク100の最外周側においてβ値が急激に変化する(つまり、光ディスク100の最外周側において記録感度が急激に悪化する)相関関係を示す半径プロファイル情報を示している。
記録補償動作の際には、このような半径プロファイル情報を参照することで、記録補償用データパターンを記録するために段階的に又は連続的に変化させるパワーの初期値や振り幅や変化ステップ数が決定される。具体的には、記録補償用データパターンを記録する半径位置に応じて、β値が所望値となる記録補償用データパターンを記録することができるパワーが推測されると共に、該推測されたパワーを中心として段階的に又は連続的に変化させるパワーの初期値や振り幅や変化ステップ数が決定される。また、記録補償用データパターンの記録動作中においても、記録補償用データパターンを記録したときのパワーと記録補償用データパターンのβ値との関係を参照しながら、半径プロファイル情報に基づいて記録補償用データパターンを記録するパワーを適宜決定してもよい。例えば、半径位置が増加するに伴ってβ値が増加することを半径プロファイル情報が示している場合には、記録補償動作を行う位置が外周側へ移動するにつれてパワーを適宜増加させることが好ましい。
尚、半径プロファイル情報は、半径位置に対するβ値の変動量を示しているに過ぎないため、半径プロファイル情報に基づいて実際にパワーを決定するためには、β値の変動量とパワーの変動量との相関関係が必要になってくる。このβ値の変動量とパワーの変動量との相関関係は、光ディスク100に固有の識別番号であるMedia IDと関連付けて光ディスク100又は記録装置1が備えるメモリ中に予め格納されていてもよい。
或いは、データ記録エリア114へのデータパターンの記録動作に先立って行われるOPC動作又はAOPC動作の結果を利用して、記録装置1自身が生成してもよい。この動作は、光ディスク100の内周側のエリア部分における記録感度の変化が小さい光ディスク100に対して行うことが好ましい。
或いは、実際に記録補償動作を行う際に、記録補償用データパターンが記録されるエリア部分の各トラックの先頭セクタ内(或いは、同一半径位置に存在するセクタ内)でパワーを変化させながらデータパターンを記録すると共に該記録されたデータパターンのβ値を実際に測定することで、記録装置1自身が生成してもよい。
ここで、図19を参照して、実際に記録補償動作を行う際に、記録装置1自身がβ値の変動量とパワーの変動量との相関関係を生成する態様について説明する。ここに、図19は、実際に記録補償動作を行う際に、記録装置1自身がβ値の変動量とパワーの変動量との相関関係を生成する態様を概念的に示すデータ構造図及びグラフである。
図19(a)に示すように、CPU22の制御の下に、記録補償用データパターンが記録されるエリア部分の各トラックの先頭セクタに対して、トラック毎にパワーを変化させながらデータパターンが記録される。例えば、1番目のトラックのセクタ内にパワーP1でデータパターンが記録され、2番目のトラックのセクタ内にパワーP2でデータパターンが記録され、3番目のトラックのセクタ内にパワーP3でデータパターンが記録され、4番目のトラックのセクタ内にパワーP4でデータパターンが記録され、5番目のトラックのセクタ内にパワーP5でデータパターンが記録される。その後、記録されたデータパターンのβ値が測定されることで、図19(b)に示すパワーとβ値との相関関係が取得される。これにより、β値の変動量とパワーの変動量との相関関係を生成することができる。
(3−3−2)トラック内のプロファイル情報No.1
続いて、図20及び図21を参照して、光ディスク100が備える記録トラック内でのプロファイル情報(トラックプロファイル情報)の一の例について説明する。ここに、図20は、光ディスク100のトラックプロファイル情報を生成する際の一の動作を概念的に示すフローチャートであり、図21は、光ディスク100のトラックプロファイル情報の一の例を概念的に示すグラフである。
図20に示すように、まず、CPU22の制御の下に、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度であるか否かが判定される(ステップS401)。
ステップS401における判定の結果、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度であると判定された場合には(ステップS401:Yes)、内周側PCA111において通常のOPC動作が行われる(ステップS402)。
他方、ステップS401における判定の結果、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度でないと判定された場合には(ステップS401:No)、内周側PCA111において、内周側PCA111において実現可能な線速度でAOPCが行われる(ステップS403)。
続いて、ステップS402におけるOPC動作又はステップS403におけるAOPC動作によって得られた最適パワーのレーザ光LBを光ディスク100に照射することで、記録補償動作を行うエリア部分中に含まれる1つの記録トラックに対するデータパターンの記録が行われる(ステップS501)。このとき、図21の上部に示すように、レーザ光LBのパワーは、ステップS402におけるOPC動作又はステップS403におけるAOPC動作によって得られた最適パワーに固定されている。
その後、CPU22の制御の下に、所定の又は任意の回転角毎に、記録されたデータパターンのβ値が測定される。その結果、横軸が回転角を示し且つ縦軸がβ値を示すグラフ上で、実際に測定されたβ値が近似曲線によって結ばれることで、図21の下部に示すように、データパターンを記録した回転角とデータパターンのβ値との相関関係を示すトラックプロファイル情報が生成される(ステップS502)。
記録補償動作の際には、このようなトラックプロファイル情報を参照することで、記録補償用データパターンを記録するために段階的に又は連続的に変化させるパワーの初期値や振り幅や変化ステップ数が決定される。具体的には、記録補償用データパターンを記録する回転角に応じて、β値が所望値となる記録補償用データパターンを記録することができるパワーが推測されると共に、該推測されたパワーを中心として段階的に又は連続的に変化させるパワーの初期値や振り幅や変化ステップ数が決定される。
(3−3−3)トラック内のプロファイル情報No.2
続いて、図22から図24を参照して、光ディスク100が備える記録トラック内でのプロファイル情報(トラックプロファイル情報)の他の例について説明する。ここに、図22は、光ディスク100のトラックプロファイル情報を生成する際の他の動作を概念的に示すフローチャートであり、図23及び図24は、光ディスク100のトラックプロファイル情報の他の例を概念的に示すグラフである。
図22に示すように、まず、CPU22の制御の下に、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度であるか否かが判定される(ステップS401)。
ステップS401における判定の結果、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度であると判定された場合には(ステップS401:Yes)、内周側PCA111において通常のOPC動作が行われる(ステップS402)。
他方、ステップS401における判定の結果、記録動作を行う際の線速度が、内周側PCA111において実現可能な線速度でないと判定された場合には(ステップS401:No)、内周側PCA111において、内周側PCA111において実現可能な線速度でAOPCが行われる(ステップS403)。
続いて、ステップS402におけるOPC動作又はステップS403におけるAOPC動作によって得られた最適パワーを中心としてパワーを振りながらレーザ光LBを光ディスク100に照射することで、記録補償動作を行うエリア部分中に含まれる1つの記録トラックに対するデータパターンの記録が行われる(ステップS601)。このとき、レーザ光LBのパワーは、1つの記録トラックをn個の分割エリアに分割した(1つの記録トラック中でn回の記録補償動作が行われる)場合には、各分割エリア内において同一の態様で変化することが好ましい。つまり、図23の上部に示すように、点線で区切られる各分割エリア内での変化の態様が同一になるようにレーザ光LBのパワーが振られることが好ましい。図23に示す例では、各分割エリア内において、段階的に変化する10ステップのレーザ光LBのパワーが用いられている。
その後、CPU22の制御の下に、所定の回転角毎に、記録されたデータパターンのβ値が測定される。その結果、横軸が回転角を示し且つ縦軸がβ値を示すグラフ上で、実際に測定されたβ値が近似曲線によって結ばれることで、図23の下部に示すように、データパターンを記録した回転角とデータパターンのβ値との相関関係を示すトラックプロファイル情報が生成される(ステップS602)。
ここで、図23の下部に示すグラフは、各分割エリア内でのレーザ光LBのパワーの変化の態様を同一にした場合のβ値を示している。他方で、各分割エリア内でのβ値を同一にするためには、逆に各分割エリア内でのレーザ光LBのパワーの変化の態様を変化させればよいことがわかる。このため、図23に示すグラフを各分割エリア内でのβ値を同一にするという視点で変換すれば、図24に示すグラフが得られる。図24に示すグラフは、各分割エリア内でのβ値を同一にする場合の、各分割エリア内でのレーザ光LBのパワーの変化の態様を示している。
従って、実際に記録補償動作を行う(具体的には、記録補償用データパターンを記録する)際には、半径位置に応じて図24に示すように変化するパワーのレーザ光LBを照射することが好ましい。
尚、トラックプロファイル情報に基づいてβ値が所望値となる記録補償データパターンを記録することができるパワーを相対的には高精度に推測することができるため、図24に示すトラックプロファイル情報を参照すれば、1回の記録補償動作を行う際のパワーの変化ステップ数を削減することができる。この場合、記録補償用データパターンを記録する際のパワーを、β値が所望値とならないと推測されるパワーに変化させることをやめることで、1回の記録補償動作を行う際のパワーの変化ステップ数を削減することができる。具体的には、図25の上部に示すように、通常段階的に変化する10ステップのレーザ光LBのパワーを用いて1回の記録補償動作を行っていた場合には、例えば段階的に変化する5ステップのレーザ光LBのパワーを用いて1回の記録補償動作を行うことができる。
また、この場合、トラックプロファイル情報から推測されたβ値と実際に記録された記録補償用データパターンのβ値とが異なる場合には、トラックプロファイル情報に基づいて決定される記録補償用データパターンを記録する際のパワーを、トラックプロファイル情報から推測されたβ値と実際に記録された記録補償用データパターンのβ値との差分に相当するパワー分だけ修正してもよい。具体的には、図25の下部に示すように、黒丸記号で示すパワーで記録された記録補償用データパターンのβ値が所望値となると推測されていたにも関わらず、実際にはひし形記号で示すパワーで記録された記録補償用データパターンのβ値が所望値となった場合には、次の記録補償動作で用いられるパワーの全体を、トラックプロファイル情報から推測されたβ値と実際に記録された記録補償用データパターンのβ値との差分に相当するパワー分だけ増加又は減少させてもよい。
また、1つ前の記録補償動作の記録結果に基づいて、次に行う記録補償動作の際のパワーを修正する動作としては、次の方法も一例として考えられる。具体的には、図26に示すように、1つ前の記録補償動作の最後に記録された記録補償用データパターンのβ値及び該最後に記録された記録補償用データパターンを記録したときのパワーに基づいて、次の記録補償動作の際のパワーの初期値や振り幅や変化ステップ数を決定してもよい。図26の例では、最後に記録された記録補償用データパターンのβ値が所望値よりも小さい例を示している。従って、図26の例では、最後に記録された記録補償用データパターンを記録したときのパワーよりも大きいパワーを初期値に設定している。
(3−3−4)プロファイル情報の生成の変形動作
上述の説明では、プロファイル情報(つまり、半径プロファイル情報又はトラックプロファイル情報)を生成するために、記録補償動作とは別にデータパターンの記録を行っている。しかしながら、記録補償動作中に記録される記録補償用データパターンを利用してプロファイル情報を生成してもよい。この例について、図27を参照して説明する。ここに、図27は、記録補償動作中に記録される記録補償用データパターンを利用してプロファイル情報を生成する動作の流れを概念的に示すフローチャートである。
図27に示すように、まず、CPU22の制御の下に、プロファイル情報が光ディスク100又は記録装置1のメモリ中に格納されているか否かが判定される(ステップS701)。
ステップS701における判定の結果、プロファイル情報が光ディスク100又は記録装置1のメモリ中に格納されていると判定された場合には(ステップS701:Yes)、CPU22の制御の下に、プロファイル情報に基づいて、記録補償用データパターンを記録する際のパワーの初期値や振り幅や変化ステップ数が適宜変更される(ステップS702)。その後、上述した図3のステップS101からステップS103の動作が行われる。
他方で、ステップS701における判定の結果、プロファイル情報が光ディスク100又は記録装置1のメモリ中に格納されていないと判定された場合には(ステップS701:No)、上述した図3のステップS101からステップS103の動作が行われる。
ここで、ステップS102における判定の結果、β検出回路23によって所望値となるβ値が検出されたと判定された場合には(ステップS102:Yes)、当該β値(及び当該β値を有する記録補償用データパターンが記録された半径位置又は回転角)に基づいて、プロファイル情報が生成される(ステップS703)。その後、図3のステップS104からステップS109の動作が行われる。
これにより、記録補償動作と並行してプロファイル情報を生成することができるため、記録装置1の動作負荷を相対的に低減することができる。
(4)変形例
続いて、図28を参照して、本実施例に係る記録装置1の変形例について説明する。ここに、図28は、変形例に係る記録装置2の基本構成を概念的に示すブロック図である。尚、上述した記録装置1と同一の構成については、同一の参照符号を付して、その詳細な説明については省略する。
図28に示すように、変形例に係る記録装置2は、記録装置1と同様に、スピンドルモータ10と、ピックアップ11と、HPF12と、A/D変換器13と、プリイコライザ14と、2値化回路16と、復号回路17と、遅延回路18と、平均化回路19と、パターン判別回路20と、記録ストラテジ設定回路21と、CPU22と、β検出回路23とを備えている。
変形例に係る記録装置2は特に、プリイコライザ14と遅延回路18、2値化回路16及びβ検出回路23との間にリミットイコライザ15を備えている。リミットイコライザ15は、本発明における「振幅制限フィルタリング手段」の一具体例を構成しており、符号間干渉を増加させることなく読取サンプル値系列RSに対して高域強調処理を施し、その結果得られる高域強調読取サンプル値系列RSを、2値化回路16、遅延回路18及びβ検出回路23の夫々へ出力する。尚、リミットイコライザ15の動作自体は、従来のリミットイコライザの動作と同一である。その詳細については、特許第3459563号等を参照されたい。
その結果、リミットイコライザ15の後段に位置する2値化回路16と、復号回路17と、遅延回路18と、平均化回路19と、パターン判別回路20と、記録ストラテジ調整回路21と、CPU22と、β検出回路23とは、読取サンプル値系列RSに代えて、高域強調読取サンプル値系列RSを用いて動作を行う。
このように、変形例によれば、リミットイコライザ15の出力(つまり、高域強調読取サンプル値系列RS)を用いてパターン判別すると共に、記録補償動作を行っている。つまり、最短データパターンの振幅レベルが強調された状態でパターン判別すると共に、記録補償動作を行っている。仮に読取信号のアシンメトリがどのような状態(例えば、OPCのパワー選択を誤った場合や、すでにデータパターンが記録されている光ディスクに更にデータパターンを追記するために、OPCを行ってからいきなり外周付近に記録しなければならない場合など、アシンメトリが大きくずれた状態にある場合)であったとしても、読取信号中に含まれる最短データパターンがゼロレベルと交差しなくなる状態を好適に防ぐことができる。その結果、最短データパターンの検出を好適に行うことができる。これにより、最短データパターンを含む読取信号を参照しながら、記録補償動作を好適に行うことができる。つまり、記録補償前の読取信号におけるアシンメトリの状態に関わらず、記録補償動作を好適に行うことができる。
尚、図28に示す例では、リミットイコライザ15の後段にβ検出回路23が配置される例を示している。しかしながら、β検出回路23は、HPF12とA/D変換回路13との間やA/D変換回路13とプリイコライザ14との間に配置されてもよい。
(5)記録補償動作の結果の記録媒体への記録
記録補償動作の結果は、記録動作の都度適宜光ディスク100に記録されてもよい。つまり、ユーザによる記録動作が行われる際に適宜光ディスク100に記録されてもよい。或いは、光ディスク100の製造時に、エンボスピットやプリライト等により予め光ディスク100に記録されていてもよい。この場合、例えば図2において示したRMA112に記録されてもよいし、或いはリードインエリア113内のCDZ(Control Data Zone)に記録されてもよいし、或いは他のエリア部分に記録されてもよい。いずれの場合であっても、上述した効果を好適に享受することができる。この場合、記録補償動作の結果を示す情報を、記録補償動作を行った記録装置1(或いは、2)を識別することができる識別情報と関連付けて記録することが好ましい。
このように、記録補償動作の結果を示す情報や記録補償動作を行った記録装置1を識別することができる識別情報を、光ディスク100に記録することで、記録装置1によるデータパターンの記録が行われる際に、当該記録装置1の識別情報と対応する記録補償動作の結果を光ディスク100から読み取ることができる。このため、読み取った記録補償動作の結果を用いて上述した記録条件を設定すれば、記録補償動作を行わなくても、光ディスク100に対する記録動作において、上述した各種効果と同様の効果を享受することができる。
また、当該記録装置1の識別情報と対応する記録補償動作の結果が光ディスク100に記録されていない場合であっても、当該記録装置1の識別情報に近い識別情報(言い換えれば、当該記録装置1の特性と似ている他の記録装置の識別情報)と対応する記録補償動作の結果を光ディスク100から読み取り且つ読み取った記録補償動作の結果を用いて上述した記録条件を設定すれば、同様の効果を相応に享受することができる。或いは、当該記録装置1の識別情報に近い識別情報と対応する記録補償動作の結果に基づいて、簡易的な記録補償動作を行っても、同様の効果を相応に享受することができる。
更に、光ディスク100がブランクである等の理由により、光ディスク100に記録補償動作の結果を示す情報が記録されていなかったとしても、上述した各実施例に係る各記録装置を用いれば、記録補償動作を好適に行うことができる。そして、この結果得られる記録条件を、記録装置1の識別情報と対応させて、光ディスク100に記録しておけば、次にデータパターンを記録する際には、わざわざ記録補償動作を行わなくても、光ディスク100に対する記録において、上述した各種効果と同様の効果を享受することができる。
つまり、記録補償動作を行うことなく又は少なくとも1回記録補償動作を行えば、対応する記録装置1において、わざわざ記録補償動作を行わなくても、光ディスク100に対する記録において、上述した各種効果と同様の効果を享受することができる。従って、記録補償動作を行う回数を減少させることができるため、記録補償動作に必要なエリアを節約することができる。
(6)β値の定義
ここで、参考までに、図29を参照して、β値について説明する。ここに、図29は、β値を概念的に示す波形図である。
図7に示すように、β値は、全ての種類のランレングスの記録データ(例えば、光ディスク100がDVDであればランレングス3Tから11T及び14Tの夫々の記録データであり、光ディスク100がBlu−ray Discであればランレングス2Tから9Tの記録データ)に対応する夫々の読取信号RRFの振幅中心の平均位置を示す。具体的には、全ての種類のランレングスの記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心(つまり、全Tセンターレベル)を基準とする(つまり、原点又は基点とする)上側(正側)の最大振幅(トップ振幅)の大きさをA1とし、全ての種類のランレングスの記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心を基準とする下側(負側)の最大振幅(ボトム振幅)の大きさをA2とすると、β=(A1+A2)/(A1−A2)にて示される。
尚、上述の説明では、記録補償動作を行う際にβ値を測定する動作について説明している。しかしながら、β値に加えて又は代えて、その他の記録特性を測定し且つ所望の記録特性が得られたパワーで記録されたデータパターンのジッタ値を測定することで記録補償動作を行ってもよい。その他の記録特性としては、アシンメトリが一例としてあげられる。以下、図30を参照して、アシンメトリについて説明する。ここに、図30は、アシンメトリ値を概念的に示す波形図である。
図30に示すように、アシンメトリ値は、ランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心に対する、ランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号の振幅中心のずれを示す。具体的には、ランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFの振幅中心をImaxCntとし、ImaxCntを基準とするランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅の大きさをImaxHとし、ImaxCntを基準とするランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFのボトム振幅の大きさをImaxLとし、ImaxCntを基準とするランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅の大きさをIminHとし、ImaxCntを基準とするランレングスが最も短い記録データに対応する読取信号RRFのボトム振幅の大きさをIminLとすると、アシンメトリ値Asy=((ImaxH+ImaxL)−(IminH+IminL))/(2×(ImaxH+ImaxL))にて示される。尚、ImaxCntは、ランレングスが最も長い記録データに対応する読取信号RRFのトップ振幅値とボトム振幅値との平均値である。
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う記録装置及び方法、並びにコンピュータプログラムもまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。

Claims (16)

  1. レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段と、
    前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取手段と、
    前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定手段と、
    前記記録手段により記録された前記データパターンのうち前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たすデータパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定手段と、
    前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方と前記ジッタとの相関関係を示す相関情報に基づいて前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たさない前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを補間することで、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを推測する推測手段と、
    前記第2測定手段により測定される前記ジッタが所定値より大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整し、又は、前記推測手段により推測される前記ジッタが前記所定値より大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、
    前記記録手段における記録ストラテジを調整する調整手段と
    を備え、
    前記記録手段は、前記調整手段により前記記録ストラテジが調整されたことを条件に、前記記録媒体に前記データパターンを再び記録する
    ことを特徴とする記録装置。
  2. 前記第2測定手段は、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンとして、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望値となる前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  3. 前記第2測定手段は、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンとして、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望値に最も近似する前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  4. 前記記録媒体の半径方向における前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方の変動の態様を示す半径プロファイル情報及び前記データパターンを記録するべき記録位置の夫々に基づいて、段階的に又は連続的に変化させる前記パワーの初期値、前記パワーの変化幅及び前記パワーの変化ステップ数の少なくとも一つを決定する決定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  5. 前記記録媒体上の少なくとも2箇所に前記データパターンを記録するように前記記録手段を制御すると共に、該記録された前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のβ値及び前記アシンメトリの少なくとも一方を測定するように前記第1測定手段を制御することで、前記半径プロファイル情報を生成する生成手段を更に備えることを特徴とする請求項4に記載の記録装置。
  6. 前記記録媒体は、同心円状の又はスパイラル状の記録トラックを備えており、
    1つの記録トラック上における前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方の変動の態様を示すトラックプロファイル情報及び前記データパターンを記録するべき記録位置の夫々に基づいて、段階的に又は連続的に変化させる前記パワーの初期値、前記パワーの変化幅及び前記パワーの変化ステップの少なくとも一つを決定する決定手段を更に備えることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  7. 1つの記録トラックに対して固定された前記パワーの前記レーザ光を照射することで前記データパターンを記録するように前記記録手段を制御すると共に、該記録された前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号の前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方を測定するように前記第1測定手段を制御することで、前記トラックプロファイル情報を生成する生成手段を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  8. 前記パワーを変化させながら前記レーザ光を照射することで前記データパターンを記録する動作を1つの記録トラック中で繰り返し行うように前記記録手段を制御すると共に、該記録された前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号の前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方を測定するように前記第1測定手段を制御することで、前記トラックプロファイル情報を生成する生成手段を更に備えることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  9. 前記β値が前記所望の条件を満たす前記データパターンを記録した前記パワーが、前記トラックプロファイル情報により予測される前記パワーと比較して変動していた場合、前記記録手段は、次の記録動作で段階的に又は連続的に変化させる前記パワーの全体を、前記トラックプロファイル情報により予測される前記パワーからの変動分に応じて変化させることを特徴とする請求項6に記載の記録装置。
  10. 前記記録手段は、1回の記録動作の最後に記録された前記データパターンを記録した際の前記パワー及び該データパターンの前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方に基づいて、次の記録動作での段階的に又は連続的に変化させる前記パワーのうちの最初のパワーを、前記所望の条件を満たす前記β値が得られると推測されるパワーに設定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  11. 前記記録媒体の内周側のエリア部分において、第1の線速度よりも低速な第2の線速度で前記データパターンを記録するように前記記録手段を制御することにより、前記記録媒体の外周側のエリア部分に前記第1の線速度で前記データパターンを記録する際に用いられる最適パワーを算出する算出手段を更に備え、
    前記記録手段は、前記算出手段により算出される前記最適パワーを基準として前記パワーを段階的に又は連続的に変化させながら、前記外周側のエリア部分に前記データパターンを記録することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  12. 前記記録条件は、前記レーザ光又は該レーザ光を駆動するための駆動パルスのパルス幅及び振幅の少なくとも一つであることを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  13. 前記読取信号の振幅レベルを所定の振幅制限値にて制限して振幅制限信号を取得すると共に、該振幅制限信号に対して高域強調フィルタリング処理を行うことで等化補正信号を取得する振幅制限フィルタリング手段を更に備え、
    前記第2測定手段は、前記読取信号のジッタとして、前記等化補正信号のジッタを測定することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  14. 前記記録手段は、前記調整手段により調整された前記記録ストラテジを前記記録媒体に記録することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
  15. レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段を備える記録装置における記録方法であって、
    前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取工程と、
    前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定工程と、
    前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定工程と、
    前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方と前記ジッタとの相関関係を示す相関情報に基づいて前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たさない前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを補間することで、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを推測する推測工程と、
    前記第2測定工程により測定される前記ジッタが所定値よりも大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整し、又は、前記推測工程により推測される前記ジッタが前記所定値より大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整する調整工程と、
    前記調整工程において前記記録ストラテジが調整されたことを条件に、前記記録手段が前記記録媒体に前記データパターンを再び記録する記録工程と
    を備えることを特徴とする記録方法。
  16. レーザ光のパワーを段階的に又は連続的に変化させながら記録媒体に照射することで、前記記録媒体にデータパターンを記録する記録手段と、前記データパターンを読み取ることで読取信号を取得する読取手段と、前記読取信号のβ値及びアシンメトリの少なくとも一方を測定する第1測定手段と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを測定する第2測定手段と、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方と前記ジッタとの相関関係を示す相関情報に基づいて前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たさない前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを補間することで、前記β値及び前記アシンメトリの少なくとも一方が前記所望の条件を満たす前記データパターンを読み取ることで得られる前記読取信号のジッタを推測する推測手段と、前記第2測定手段により測定される前記ジッタが所定値よりも大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整し、又は、前記推測手段により推測される前記ジッタが前記所定値より大きいことを条件に、前記ジッタのデータパターン毎のジッタ分布が同一となるように、前記記録手段における記録ストラテジを調整する調整手段とを備え、前記記録手段は、前記調整手段により前記記録ストラテジが調整されたことを条件に、前記記録媒体に前記データパターンを再び記録する記録装置に備えられたコンピュータを制御する記録制御用のコンピュータプログラムであって、
    該コンピュータを、前記記録手段、前記読取手段、前記第1測定手段、前記第2測定手段、前記推測手段及び前記調整手段として機能させることを特徴とするコンピュータプログラム。
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