JP5028310B2 - 熱間圧延機のスタンド間冷却制御装置および制御方法 - Google Patents

熱間圧延機のスタンド間冷却制御装置および制御方法 Download PDF

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Description

本発明は、熱間圧延における仕上げ圧延機の出側での鋼板の温度を所定の目標温度に整えるためにスタンド間での注水でなされるスタンド間冷却の制御に関する。
熱間圧延では、複数のスタンドを備えた仕上げ圧延機で鋼板の形状や寸法を整える仕上げ圧延を行う。そして仕上げ圧延機では、仕上げ出側温度(仕上げ圧延機の出側における鋼板の温度、以下では適宜にFDTと記す)を所定の目標温度に整えるための冷却を行う。その冷却は、仕上げ圧延機でスタンド間ごとに設けられているスタンド間冷却装置により圧延中の鋼板に冷却水を噴射状態で注水することでなすのが一般的である。このような冷却では、FDTを目標温度との関係で制御するについて冷却水の注水量を制御する必要があり、そのためのスタンド間冷却制御がなされる。具体的には、スタンド間冷却制御装置を設け、そのスタンド間冷却制御装置によりFDTなどに基づいてスタンド間冷却装置の注水量を制御してFDTを目標温度に合せるようにする。
スタンド間冷却制御については、例えば特許文献1〜特許文献4に開示の例のような技術が知られている。特許文献1の「熱間仕上げ圧延機出側温度の制御方法」では、冷却開始前にあらかじめ設定したストリップクーラント装置の噴射数nに対して、FDTの測定結果にしたがってFDTが目標温度になるように噴射数をΔn変更して(n+Δn)の噴射数で冷却制御をする。またこうした冷却制御について、鋼板速度の減少があらかじめ予想されるタイミングにおいては、Δnが正のときはΔnを零として噴射数nで冷却し、Δnが負のときは(n+Δn)の噴射数で冷却するようにしている。
特許文献2の「熱延鋼板の製造方法」では、被圧延材の先端部をトラッキングし、被圧延材の先端部が最終スタンドに噛み込んだ後に冷却を開始することで、圧延時の温度制御を高精度化し、微細な粒径の熱延鋼板を得るようにしている。
特許文献3の「熱延金属板の仕上げ出側温度の制御方法」では、圧延中の鋼板を長手方向に仮想的に分割し、分割後のセクションごとに、仕上げ入側温度と鋼板の搬送時間に基づいて、各セクションのFDTが目標値になるような注水量と注水タイミングを算出するようにしている。
特許文献4の「スタンド間注水の自動制御」では、仕上圧延機のスタンド間で注水を行って出側仕上温度を目標値にするについて、予め設定した温度モデルおよび部位ごとの実績パラメータに基づいて鋼板の仕上工程内における温度変化を算出し、その結果に基づいて注水制御を行うようにしている。
特開平10−43811号公報 特開2006−159261号公報 特開平10−94814号公報 特開平7−75816号公報
仕上げ圧延機におけるFDTは、鋼板の品質や形状に影響を及ぼす。そのため、スタンド間冷却制御については、FDTをできるだけ目標温度に合せることができるように、高い精度でなせるようにすることが望まれる。また、冷却水量の増減頻度をできる小さくした状態で高い精度での制御を行えるようにすることも望まれる。
こうした観点において上述のような従来の制御技術は、必ずしも十分であるといえない。例えば特許文献1の制御技術は、実測したFDTに基づくフィードバック制御だけで噴射数を変更することでFDTを目標温度に合せるようにしている。このためフィードバック制御の効果が反映されない鋼板先端部について温度精度(FDTの目標温度に対する精度)の低下を避けられない。また特許文献1の制御技術は、冷却開始前に噴射数nを決める計算で想定した仕上げ入側温度(仕上げ圧延機の入側における鋼板の温度、以下では適宜にFETと記す)と圧延中の実測FETが異なっていた場合への配慮がなされていない。このため想定FETと実測FETに差異がある場合、所定の影響係数にしたがって温度精度が悪化する可能性がある。さらに特許文献1の制御技術は、予めスケジュールされた鋼板速度の変化は冷却前の演算で考慮できるが、オペレータの手動操作による速度変化のような制御装置側で予測できない鋼板速度変化には対処できず、そのような速度変化を生じた場合に温度精度が悪化する可能性がある。
特許文献2の制御技術は、鋼板先端部のトラッキングを行うので、鋼板先端部についても制御の効果を反映させることができるものの、FETや鋼板速度の変動について十部な配慮がなされておらず、FETや鋼板速度が変化した場合に温度精度が低下する可能性がある。
特許文献3の制御技術は、仮想的分割のセクションごとに鋼板各部位の温度を個別に制御することから、仕上げスタンドに進入してくる時点で鋼板の長手方向に鋼板温度が低下し、さらにスキッドと呼ばれる周期的な温度外乱が重畳するコンベンショナルタンデム圧延では有効な方法といえるものの、いわゆるミニホットタンデム圧延には適さない。ミニホットタンデム圧延は、連続鋳造機で鋳造された直後の高温スラブを直接圧延するダイレクトチャージタイプであり、トンネルファーネスで一定温度に保持されたスラブを直接に粗圧延し、その後仕上げ圧延を行う。このようなミニホットタンデム圧延の場合、鋼板長手方向の温度低下は大きくなく、スキッド温度外乱もない。したがって特許文献3の制御技術をミニホットタンデム圧延に適用した場合には、制御の構成が不必要に複雑になるだけでなく、セクションごとに冷却水量を変更する操作により、鋼板のFDTに対応した温度変化が重畳する恐れがあり、そのことが後工程の巻取り温度制御の外乱になる恐れがあり、また冷却水量の増減頻度が徒に増えることにもなる。
特許文献4の制御技術は、予め設定した温度モデルや実績パラメータに基づいて鋼板の仕上工程内における温度変化を算出した結果に基づいて注水制御を行うだけであることから、実際のFETや鋼板速度の変化により温度精度が低下する可能性がある。
本発明は、以上のような事情を背景になされてものであり、その課題は、より高い温度精度を実現でき、しかも冷却水量の増減頻度もより小さくて済むような制御を可能とするスタンド間冷却制御装置および制御方法の提供にある。
本発明では、上記課題を解決するために、複数のスタンド、前記スタンドの間での冷却水の注水により圧延中の鋼板を冷却できるようにされたスタンド間冷却装置、前記鋼板の入側における温度である仕上げ入側温度を計測する仕上げ入側温度計測手段、および前記鋼板の出側における温度である仕上げ出側温度を計測する仕上げ出側温度計測手段を備えた仕上げ圧延機における前記スタンド間冷却装置に対し、前記仕上げ出側温度を所望の目標温度に合せるように冷却水量を制御するスタンド間冷却制御装置において、前記冷却水による冷却に関して前記仕上げ出側温度を推定する板温推定モデルを備え、前記鋼板が前記冷却水で冷却されるのに先立って前記板温推定モデルにより前記仕上げ出側温度を推定し、その推定仕上げ出側温度に基づいて前記スタンド間冷却装置の冷却水量を算出してプリセット制御出力を生成するプリセット制御手段、前記仕上げ圧延機で圧延されつつ前記スタンド間冷却装置で冷却されている前記鋼板について状態量を取得し、その取得された状態量に基づいて前記冷却水量の変更量を算出してダイナミック制御出力を生成するダイナミック制御手段、および前記プリセット制御出力と前記ダイナミック制御出力からスタンド間冷却指令を生成して前記スタンド間冷却装置に出力するスタンド間冷却指令生成手段を備えていることを特徴としている。
このようなスタンド間冷却制御装置は、板温推定モデルによる事前の予測に基づくプリセット制御と圧延中の鋼板についての状態量に基づくダイナミック制御を組み合わせて行うようたことにより、プリセット制御で不足する範囲をダイナミック制御で補うことができるとともに、プリセット制御によりダイナミック制御の負担を軽減できる。このために、例えば上記特許文献1、特許文献2、あるいは特許文献4の従来技術に比べ、より高い精度による制御が可能となり、しかも例えば上記特許文献3の従来技術に比べ、冷却水量の増減頻度を小さすることが可能となる。
本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記ダイナミック制御手段は、前記仕上げ入側温度に関して前記プリセット制御出力の生成時に想定された想定仕上げ入側温度と圧延中に実測して得られる実測仕上げ入側温度の偏差の前記仕上げ出側温度への影響を抑制する前記冷却水量の変更量を生成して出力する仕上げ入側温度偏差補正手段、前記プリセット制御出力の生成時に想定された想定鋼板速度と圧延中に実測して得られる実測鋼板速度の偏差の前記仕上げ出側温度への影響を抑制する前記冷却水量の変更量を生成して出力する速度偏差補正手段、前記目標温度と圧延中に実測して得られる実測仕上げ出側温度の偏差を小さくするための前記冷却水量の変更量を生成して出力する仕上げ出側温度偏差補正手段、および前記仕上げ入側温度偏差補正手段、前記速度偏差補正手段、前記仕上げ出側温度偏差補正手段それぞれの出力を選択的に用いて前記ダイナミック制御出力を生成するダイナミック制御出力生成手段を備えるようにすることを好ましい形態としている。このような形態によれば、仕上げ入側温度の偏差に関する補正と鋼板速度の偏差に関する補正をフィードフォワード制御として行なうことになるので、ダイナミック制御をより効果的なものとすることができる。
また本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記ダイナミック制御手段は、前記冷却水量の変化が前記仕上げ出側温度に及ぼす影響を格納した第1の影響係数テーブル、前記仕上げ入側温度の変化が前記仕上げ出側温度に及ぼす影響を格納した第2の影響係数テーブル、および前記仕上げ圧延機の出側での前記鋼板の速度の変化が前記仕上げ出側温度に及ぼす影響を格納した第3の影響係数テーブルを含む影響係数テーブルをさらに備え、前記仕上げ入側温度偏差補正手段、前記速度偏差補正手段、前記仕上げ出側温度偏差補正手段それぞれが前記冷却水量の変更量の生成処理で用いる影響係数を前記影響係数テーブルから取り込めるようにするのを好ましい形態としている。このような形態によれば、冷却水量の変更量生成処理をより効率的に行わせることができるようになる。
また本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記ダイナミック制御手段は、前記仕上げ入側温度偏差補正手段の出力を所定のタイミングで保持し、それ以後は一定に保たれるロックオン値とすることができるようにされ、そして前記保持のタイミングは、前記仕上げ入側温度偏差補正手段における前記変更量生成についての最初の演算に対応した出力がなされた時点とするか、または前記仕上げ出側温度の検出が開始された時点とするようにするのを好ましい形態としている。
ダイレクトチャージタイプのミニホットタンデム圧延の場合であると、鋼板長手方向での仕上げ入側温度の変動が少なく、1本の鋼板に対する圧延が開始される時点ないしそれに近い時点までについてだけ仕上げ入側温度偏差補正手段による制御を行えば、その後はその制御出力を利用しても制御の精度に実質的な影響がないといえる。本形態は、こうしたミニホットタンデム圧延の特性を前提にしたもので、仕上げ入側温度偏差補正手段の出力を固定のロックオン値とすることで、冷却水量の増減頻度をより小さすることが可能となる。
また本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記ダイナミック制御出力生成手段は、圧延中の前記鋼板の位置情報に基づいて前記仕上げ入側温度偏差補正手段、前記速度偏差補正手段、前記仕上げ出側温度偏差補正手段それぞれの出力の選択的使用を行うようにされ、そして前記鋼板について前記仕上げ入側温度が検出された後、当該鋼板が前記仕上げ圧延機に進入しているものの前記仕上げ出側温度の検出には至らない状態では、前記仕上げ入側温度偏差補正手段と前記速度偏差補正手段それぞれの出力を加算した値を出力し、前記仕上げ出側温度の最初の検出から前記鋼板が前記仕上げ圧延機を抜けるまでの状態では、前記仕上げ入側温度偏差補正手段の出力またはその前記ロックオン値、前記速度偏差補正手段の出力、前記仕上げ出側温度偏差補正手段の出力それぞれを加算した値を出力するようにされていることを好ましい形態としている。このような形態によれば、圧延状態に応じた制御とすることができ、精度の高い制御をより効率的に行えるようになる。
また本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記仕上げ出側温度偏差補正手段でなされる前記冷却水量の変更量の生成計算で用いるゲインが複数用意されており、その複数のゲインから前記鋼板速度に応じて選択できるようにすることを好ましい形態としている。このような形態によれば、鋼板速度が加速中は相対的に小さなゲインで安定した制御を行い、鋼板速度が定常状態に到達して圧延が安定した後は、大きなゲインで応答性のよい制御を行うことができ、精度の高い制御をより効率的に行えるようになる。
また本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記ダイナミック制御手段による制御の実績から前記板温推定モデルのモデル誤差を推定し、そのモデル誤差推定結果を前記プリセット制御手段での前記板温推定モデルによる前記仕上げ出側温度推定に反映させることができるようにするのを好ましい形態としている。
直近に圧延された鋼板のプリセット制御誤差(モデル誤差)と次回圧延される鋼板で予想されるプリセット制御誤差は一般に高い相関を有している。このようなプリセット制御誤差の特性に着目したのが本形態における適応制御で、これを行うことにより間接的に板温推定モデルのモデル誤差を補償することができ、これにより板温推定モデルと実際の冷却現象の乖離に起因して生じる制御誤差を低減でき、より高精度な制御が可能となる。
また本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記仕上げ圧延機から尾端抜けと判定された鋼板の複数の部位について検出または算出された、前記目標温度と前記実測仕上げ出側温度の偏差、前記想定仕上げ入側温度と前記実測仕上げ入側温度の偏差、前記想定鋼板速度と前記実測鋼板速度の偏差、前記仕上げ出側温度偏差補正手段の出力、仕上げ入側温度偏差補正手段の出力の前記ロックオン値、および前記速度偏差補正手段の出力に基づいて適応制御量を求める適応制御量算出手段を備えるとともに、前記目標温度を前記適応制御量算出手段による前記適応制御量で補正することで仕上げ出側温度予測用目標温度を求める適応制御手段を備え、そして前記適応制御手段で求めた前記仕上げ出側温度予測用目標温度を前記板温推定モデルによる前記仕上げ出側温度の推定に際して用いるようにされていることを好ましい形態としている。このような形態によれば、モデル誤差の補償をより効果的になすことが可能となる。
また本発明では、上記課題を解決するために、複数のスタンド、前記スタンドの間での冷却水の注水により圧延中の鋼板を冷却できるようにされたスタンド間冷却装置、前記鋼板の入側における温度である仕上げ入側温度を計測する仕上げ入側温度計測手段、および前記鋼板の出側における温度である仕上げ出側温度を計測する仕上げ出側温度計測手段を備えた仕上げ圧延機における前記スタンド間冷却装置に対し、前記仕上げ出側温度を所望の目標温度に合せるように冷却水量を制御するためのスタンド間冷却制御方法において、プリセット制御とダイナミック制御を組み合わせた制御を行えるようにされ、前記プリセット制御は、前記冷却水による冷却に関して前記仕上げ出側温度を推定する板温推定モデルにより前記仕上げ出側温度を前記鋼板が前記冷却水で冷却されるのに先立って推定し、その推定仕上げ出側温度に基づいて前記スタンド間冷却装置の冷却水量を算出して得られるプリセット制御出力によりなすようにされ、前記ダイナミック制御は、前記仕上げ圧延機で圧延されつつ前記スタンド間冷却装置で冷却されている前記鋼板について状態量を取得し、その取得された状態量に基づいて前記冷却水量の変更量を算出して得られるダイナミック制御出力によりなすようにされていることを特徴としている。
また本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記ダイナミック制御出力は、前記仕上げ入側温度に関して前記プリセット制御出力の生成時に想定された想定仕上げ入側温度と圧延中に実測して得られる実測仕上げ入側温度の偏差の前記仕上げ出側温度への影響を抑制する前記冷却水量の変更量についての制御出力である仕上げ入側温度偏差補正出力を含んでおり、そして前記仕上げ入側温度偏差補正出力を所定のタイミングで保持し、それ以後は一定に保たれるロックオン値とすることができるようにされていることを好ましい形態としている。
また本発明では、上記のようなスタンド間冷却制御装置について、前記保持のタイミングは、前記仕上げ入側温度偏差補正出力についての最初の演算に対応した出力がなされた時点とするか、または前記仕上げ出側温度の検出が開始された時点とするようにされていることを好ましい形態としている。
以上のような本発明によれば、熱間圧延の仕上げ圧延機におけるスタンド間冷却装置について、より高い温度精度を実現でき、しかも冷却水量の増減頻度もより小さくて済むような制御が可能となる。
以下、本発明を実施するための形態について説明する。図1に、第1の実施形態によるスタンド間冷却制御装置1の構成を制御対象の仕上げ圧延機2と関連させて示す。スタンド間冷却制御装置1は、仕上げ圧延機2から種々の信号を受信し、制御信号を仕上げ圧延機2に出力する。
仕上げ圧延機2は、5つのスタンドF1〜F5(以下では、適宜に「スタンド」を省略して符号だけで記す)を備えている。図外の粗圧延機から仕上げ圧延機2に送られてくる鋼板3は、スタンドF1〜F5それぞれにおける圧延ロール4で圧延されながら左から右に移動していく。また仕上げ圧延機2は、鋼板3のFETを測定する仕上げ入側温度計測手段である仕上げ入側温度計5を備えるとともに、鋼板3のFDTを測定する仕上げ出側温度計測手段である仕上げ出側温度計6を備え、さらにスタンド間冷却装置7を備えている。
スタンド間冷却装置7は、スタンドF1〜F5について、F1−F2間、F2−F3間、F3−F4間、F4−F5間のそれぞれに対応させてスタンド間冷却装置7a〜7dとして設けられている。そしてスタンド間冷却装置7a〜7dは、スタンド間冷却制御装置1からのスタンド間冷却指令にしたがったそれぞれの水量で冷却水を噴射状態で注水して鋼板3を冷却する。スタンド間冷却制御の目的は、仕上げ出側温度計6で計測されるFDTを所望の目標温度に高い精度で合せることである。FDTについての目標温度は、鋼板長手方向の各部位で一定とするのが通常であるが、異ならせることもある。
次に、スタンド間冷却制御装置1について説明する。スタンド間冷却制御装置1は、鋼板3がスタンド間冷却装置7で冷却されるのに先立って各スタンド間冷却装置7a〜7dの注水冷却水流量を算出してプリセット制御出力を生成して出力するプリセット制御手段11、鋼板3が仕上げ圧延機2で圧延されつつスタンド間冷却装置7a〜7dで冷却されている最中に、仕上げ出側温度計6での測定温度などの鋼板3に関する各種の状態量を取り込んで冷却水量をリアルタイムで変更するためのダイナミック制御出力を生成して出力するダイナミック制御手段12、およびプリセット制御手段11のプリセット制御出力をダイナミック制御手段12のダイナミック制御出力で補正する、具体的にはプリセット制御出力とダイナミック制御出力を加算して得られるスタンド間冷却指令をスタンド間冷却装置7a〜7dへ出力するスタンド間冷却指令生成手段13を備えている。以下、プリセット制御手段11とダイナミック制御手段12の詳細について説明する。
まずプリセット制御手段11について説明する。プリセット制御手段11は、上述のように、鋼板3がスタンド間冷却装置7で冷却されるのに先立って各スタンド間冷却装置7a〜7dの冷却水流量を算出してプリセット制御出力を生成するのに機能する。そのためにプリセット制御手段11は、プリセット手段14を備え、このプリセット手段14により、目標温度テーブル15、速度テーブル16、標準流量パターンテーブル17それぞれから取り込む情報に基づいて板温推定モデル18による演算を行なうことで、冷却開始に先立っての各スタンド間冷却装置7a〜7dそれぞれの冷却水量、つまりプリセット制御冷却水量を決定できるようにされている。
図2に目標温度テーブル15の構成例を示す。この例の目標温度テーブル15は、鋼種(鋼板の種類)に対応して仕上げ出側温度の目標値が層別されている。プリセット制御手段11は、圧延対象コイルの鋼種を判定し、目標温度テーブル15から対応する目標温度を抽出する。例えば鋼種がSS400であれば、仕上げ出側の目標温度は900℃となることになる。
図3に速度テーブル16の構成例を示す。この例の速度テーブル16は、鋼種、板厚、板幅に対して、鋼板3の最終スタンド(本実施形態ではF5)の出側速度について初期速度、定常速度、終期速度が層別されている。ここで、初期速度は、鋼板の先端がF5を払い出されるときの速度、終期速度は、鋼板の尾端がF5を抜けるときの速度、そして定常速度は、初期速度や終期速度が設定されない状態にあって、それらよりも速い速度として設定される速度である。プリセット手段14は、圧延対象コイルの鋼種、板厚、板幅を判定し、速度テーブル16から対応する速度情報を抽出する。例えば鋼種がSS400、板厚3.0〜4.0mm、板幅が1200mmの場合、初期速度360mpm、定常速度700mpm、終期速度600mpmが設定されることになる。初期速度から定常速度へ至る速度変化の勾配は、プリセット手段14がスタンド間冷却流量を決める演算の中で、同一冷却水量でFDTが一定になる値に決定する。また定常速度から終期速度へ至る勾配は、設備制約や許容する範囲で決められる。F5出側の鋼板速度が決まると、F5の圧延ロール4の回転速度が決まり、さらにこの値から各スタンドの圧下率(入側板厚と出側板厚の比)にしたがって他のスタンドの圧延ロールの回転速度が決定される。
図4に標準流量パターンテーブル17の構成例を示す。この例の標準流量パターンテーブル17は、鋼種、板厚、板幅条件の下で冷却水量を決定する演算で用いる冷却水量の初期値を各スタンド間について蓄えており、初期値を最大流量に対するパーセントで与える場合となっている。例えば鋼種がSS400、板厚3.0〜4.0mm、板幅が1200mmの場合、F1−F2間の初期流量は最大流量の80%、F2−F3間の初期流量は最大流量の70%、F3−F4間の初期流量は最大流量の50%、F4−F5間の初期流量は最大流量の0%と設定されることになる。このような標準流量パターンテーブル17の内容は、初期鋼板速度および鋼板先端で想定したFETの下で、実際のFDTが目標温度を概ね満足でき、さらに各スタンドでの圧延に伴う温度降下パターンが所望になるように、シミュレーションや実際の圧延実績から求めることになる。
図5にプリセット手段14でなされるプリセット制御における処理の流れを示す。プリセット手段14によるプリセット制御は、ステップS11〜ステップ16の各処理過程を含む。ステップS11では、目標温度テーブル15から目標温度を取り込み、速度テーブル16から初期速度を取り込む。ステップS12では、標準流量パターンテーブル17から標準流量パターンを取り込む。ステップS13では、ステップS11やステップS12で取り込んだ条件の下で板温推定モデル18によりFDTを予測する計算を行う。FDTを予測する板温推定モデル18には、これから仕上げ圧延機2で圧延されることになる鋼板について想定されるFET(想定FET)を初期値とし、鋼板からの熱輻射、対流熱伝導、圧延の塑性変形に伴う加工発熱、鋼板が圧延ロールに接触したときに奪われる接触伝導熱、鋼板と圧延ロール4の摩擦による摩擦発熱、スタンド間冷却による温度降下など、種々の要因を数式で表して積算して行く計算が必要になる。それぞれの計算式は従来から種々検討されており、例えば「板圧延の理論と実際」(日本鉄鋼協会編、1984)に詳しく述べられている。一例として、熱輻射による熱伝達係数の計算式は、下記の(1)式となる。
hr=σ・ε[{(273+Tsu)/100}4−{(273+Ta)/100}4]/(Tsu-Ta) …… (1)
ただし、σ:ステファンボルツマン定数(=4.88)、ε:放射率、Ta:空気温度(℃)、Tsu:鋼板の表面温度(℃)。
鋼板がスタンド間を移動している間、(1)式にしたがって熱が鋼板から奪われる。冷却されている場合は、例えば「板圧延の理論と実際」に記載の関係式にしたがって、冷却水量に応じた熱が奪われる。各要因により奪われたり与えられたりする熱量の総和を熱伝達係数に置き換え、一定時間Δの間に鋼板から出入りする熱量を算出する。時間がΔ経過する前の鋼板の温度をもとに、下記の(2)式によりΔ時間の熱量の移動を加減算する。
Tn=Tn-1−(ht+hb)*Δ/(ρ*C*B) …… (2)
ただし、T:現在の板温、Tn-1:Δ前の板温、ht:鋼板表面の熱伝達係数、hb:鋼板裏面の熱伝達係数、ρ:鋼板の密度、C:鋼板の比熱、B:鋼板厚み。
また鋼板の厚み方向の熱伝導を考慮する必要がある場合には、よく知られる熱方程式を解くことで計算できる。その熱方程式は下記の(3)式で表され、これを計算機で差分計算する方法は、種々の文献で公開されている。
∂T/∂t={λ/(ρ*C)}(∂2T/∂t2) …… (3)
ただし、λ:熱伝導率、T:材料温度。
この計算を鋼板3の先端部について、F1に噛み込んでからF5を抜けるまでの間、時間を進ませて計算することで、鋼板3先端部のFDTを算出できる。
図5に戻って、ステップS14では、FDTが目標温度に対して一定範囲(±α)に入っているかどうかを判定する。目標温度より高い場合はスタンド間冷却水流量を増やす処理を行い、目標温度より低い場合はスタンド間冷却水流量を減らす処理を行う。それ以外の場合は、スタンド間冷却水流量を維持する。流量の増減処理は、各スタンド間の冷却水量を一定割合で増減させることで行うのが通常で、特定のスタンドの水量を増減させることで行う手法も必要に応じて用いられる。
ステップS15では、終了条件を判定する。終了条件には、FDTが目標温度に対して一定範囲に入ったことを用いることができ、またステップS13やS14の計算繰り返し回数を終了条件に付加することも考えられる。
ステップS16では、速度テーブル16で定められた定常速度まで鋼板3を加速するときの加速率を決定し、鋼板3の速度パターンを確定する。加速率Vrはあらかじめ定数として定めておいてもよいが、鋼板3の先端からのFET降下率FETrにしたがって、下記の(4)式で算出することも考えられる。
Vr=(∂V/∂FDT)・(∂FDT/∂FET)・ΔFETr …… (4)
ただし、(∂V/∂FDT)、(∂FDT/∂FET)はダイナミック制御に使用する影響係数であり、後に説明する。以上の計算により、これから仕上げ圧延機2で圧延しようとする鋼板に対するスタンド間冷却装置7a〜7dそれぞれのプリセット制御冷却水量が決定される。
次に、ダイナミック制御手段12について説明する。ダイナミック制御手段12は、上述のように、鋼板3が仕上げ圧延機2で圧延されつつスタンド間冷却装置7で冷却されている最中に、仕上げ出側温度計6での測定温度などの実績値をリアルタイムに取り込んで冷却水量を変更するダイナミック制御を行う。つまりダイナミック制御手段12は、プリセット制御手段11が出力したプリセット制御冷却水量を実測FET(圧延中の鋼板3について仕上げ入側温度計5が検出するFET)、実測鋼板速度(圧延中の鋼板3についてF5の圧延ロール4から回転速度から求まる鋼板速度)、実測FDT(圧延中の鋼板3について仕上げ出側温度計6が検出するFDT)に基づいてリアルタイムで変更するダイナミック制御を行うことで、FDT制御精度(温度精度)をより高めるのに機能する。
そのためにダイナミック制御手段12は、仕上げ入側温度偏差補正手段21、速度偏差補正手段22、仕上げ出側温度偏差補正手段23、およびダイナミック制御出力生成手段24を備えている。こうしたダイナミック制御手段12は、より具体的には図6に示す例のように構成される。図6の例では、上記各機能手段に加えて、影響係数テーブル25、フィードバック制御起動タイミング生成手段26、フィードバックゲイン選択手段27、およびトラッキング手段28を備えている。以下、これら各要素の詳細について説明する。
まず影響係数テーブル25について説明する。影響係数テーブル25は、仕上げ入側温度偏差補正手段21、速度偏差補正手段22、仕上げ出側温度偏差補正手段23それぞれでなされる計算で使用する影響係数を格納するテーブルであり、冷却水量の変化がFDTに及ぼす影響を格納した第1の影響係数テーブル25a、FETの変化がFDTに及ぼす影響を格納した第2の影響係数テーブル25b、および最終スタンド出側(F5)の鋼板速度の変化がFDTに及ぼす影響を格納した第3の影響係数テーブル25cを含んでいる。
図7に第1の影響係数テーブル25aの構成例を示す。この例の第1の影響係数テーブル25aは、冷却水量を単位量変化させたときのFDTの変化量に対応した数値である∂FDT/∂Q(℃)が鋼種、圧延後の板厚、スタンドで層別されて格納されている。すなわち第1の影響係数テーブル25aは、例えば鋼種が炭素鋼(SS400)、板厚が2mm以下の場合、F1-F2間の(∂FDT/∂Q)は0.1℃であり、冷却水を単位流量について増減するとFDTが0.1℃低下または上昇することを示している。なお、層別項目として仕上げ出側の鋼板速度を加えるようにしてもよい。
図8に第2の影響係数テーブル25bの構成例を示す。この例の第2の影響係数テーブル25bは、仕上げ入側温度計5で計測したFETが1℃増加、または減少したときのFDTの変化量に対応した数値である∂FDT/∂FET が鋼種、仕上げ出側板速、仕上げ出側板厚で層別されて格納されている。すなわち第2の影響係数テーブル25bは、例えば鋼種が炭素鋼(SS400)、F5出側板速が400mpm以下、板厚が2mm以下の場合、(∂FDT/∂FET)=0.02℃であり、FETの計測値が1℃高いかまたは低い場合にFDTが0.02℃増加するかまたは減少することを示している。また、仕上げ板厚が増加すると(∂FDT/∂FET)の値は大きくなることも示しており、例えばF5出側板速が400mpm以下の場合、板厚7mm以上では、FETの1℃の変化にFDTの0.56℃の変化が対応することを示している。
図9に第3の影響係数テーブル25cの構成を示す。この例の第3の影響係数テーブル25cは、鋼板速度を1mpm増加または減少させたときのFDTの変化量に対応した数値である∂FDT/∂Vが鋼種、仕上げ出側板速、仕上げ出側板厚で層別されて格納されている。すなわち第3の影響係数テーブル25cは、例えば鋼種が炭素鋼(SS400)、F5出側板速が400mpm以下、板厚が2mm以下の場合、(∂FDT/∂V)=0.06℃であり、鋼板速度の1mpmの変化に対して、FDTが0.06℃変化することを示している。
次に、仕上げ入側温度偏差補正手段21について説明する。仕上げ入側温度偏差補正手段21は、一定周期で起動され、仕上げ入側温度計5からの得られる実測FETとプリセット制御処理における想定FETとの偏差を補正するために、FETに関するフィードフォワード制御(以下、適宜にFET-FF制御またはFET-FFと記す)を行う。すなわちプリセット制御処理における想定FETと仕上げ入側温度計5で計測される実測FETの偏差に関し、そのFDTへの影響を抑制する冷却水流量を算出し、スタンド間冷却装置7a〜7dへの冷却指令変更量ΔQとして出力する。ここでΔQは、下記の(5)式で表される。
ΔQ1=(Δq11、Δq12、Δq13、Δq14) …… (5)
ただし、Δq11:F1-F2間冷却水量の変更量、Δq12:F2-F3間冷却水量の変更量、Δq13:F3-F4間冷却水量の変更量、Δq14:F4-F5間冷却水量の変更量。
具体的には、想定FETと実測FETの偏差ΔFETを取り込み、スタンド間冷却装置7a〜7dのいずれでΔFETの影響を解消するか決めた後、さらに第1の影響係数テーブル25aと第2の影響係数テーブル25bから現在の状態に該当した層別の影響係数(∂FDT/∂Q)、(∂FDT/∂FET)を取り込み、下記の(6)式で該当のスタンド間の冷却水変更量(該当のスタンド間冷却装置7の冷却水変更量)を計算する。
Δq1i=G1・(∂Q/∂FET)i・ΔFET
=G1・{1/(∂FDT/∂Q)i}・(∂FDT/∂FET)・ΔFET …… (6)
ただし、Δq1i:FET-FFによるF-Fi+1間冷却水変更量、G:定数(FET-FFゲイン)、(∂FDT/∂Q)i:F-Fi+1間の冷却水量に関して、第1の影響係数テーブル25aから抽出した該当層別の影響係数、(∂FDT/∂FET):第2の影響係数テーブル25bから抽出した該当層別の影響係数。
ΔFETを解消するスタンドは、冷却水量変更の余裕の有無にしたがって入側スタンドから優先的に選択するのが普通であるが、出側スタンドから優先的に選択するなどの選択方法も考えられる。
次に、速度偏差補正手段22について説明する。速度偏差補正手段22も同様に一定周期で起動され、実測鋼板速度とプリセット制御演算時に速度テーブル16から想定した想定鋼板速度との偏差を補正するために、鋼板速度の偏差に関するフィードフォワード制御(以下、適宜にV-FF制御またはV-FFと記す)を行う。すなわちプリセット制御処理における想定鋼板速度と実測鋼板速度との偏差に関し、そのFDTへの影響を抑制する冷却水流量を算出し、スタンド間冷却装置7a〜7dへの冷却指令変更量ΔQとして出力する。ここでΔQは、下記の(7)式で表される。
ΔQ2=(Δq21、Δq22、Δq23、Δq24) …… (7)
ただし、Δq21:F1-F2間冷却水量の変更量、Δq22:F2-F3間冷却水量の変更量、Δq23:F3-F4間冷却水量の変更量、Δq24:F4-F5間冷却水量の変更量。
具体的には想定鋼板速度と実測鋼板速度の偏差ΔVを取り込み、スタンド間冷却装置7a〜7dのいずれでΔVの影響を解消するか決めた後、さらに第1の影響係数テーブル25aと第3の影響係数テーブル25cから現在の状態に該当した層別の影響係数(∂FDT/ΔQ)、(∂FDT/∂V)を取り込み、下記の(8)式で該当のスタンド間の冷却水変更量を計算する。
Δq2i=G2・(∂Q/∂V)i・ΔV
=G2・{1/(∂FDT/∂Q)i}・(∂FDT/∂V)・ΔV …… (8)
ただし、Δq2i:V-FFによるF-Fi+1間冷却水変更量、G:定数(V-FF制御ゲイン)、(∂FDT/∂V):第3の影響係数テーブル25cから抽出した該当層別の影響係数。
ΔVを解消するスタンドは、同様に冷却水量変更余裕の有無にしたがって入側スタンドから優先的に選択すればよいが、出側スタンドから優先的に選択するなどの選択方法も考えられる。
次に、仕上げ出側温度偏差補正手段23について説明する。仕上げ出側温度偏差補正手段23は、フィードバック制御起動タイミング生成手段26により起動され、実測FDTと目標温度との偏差を補正するために、FTDに関するフィードバック制御(以下、適宜にFDT-FB制御またはFDT-FBと記す)を行う。すなわち目標温度と実測FDTの差分を小さくするような冷却水量を算定し、スタンド間冷却装置7a〜7dへの冷却指令変更量ΔQとして出力する。ここでΔQは下記の(9)式で表される。
ΔQ3=(Δq31、Δq32、Δq33、Δq34) …… (9)
ただし、Δq21:F1-F2間冷却水量の変更量、Δq22:F2-F3間冷却水量の変更量、Δq23:F3-F4間冷却水量の変更量、Δq24:F4-F5間冷却水量の変更量。
具体的には実測FDTと目標温度との偏差ΔFDTを取り込み、スタンド間冷却装置7a〜7dのいずれでΔFDTを解消するか決めた後、さらに第1の影響係数テーブル25aから現在の状態に該当した層別の影響係数(∂FDT/∂Q)を取り込み、下記の(10)式で該当のスタンド間の冷却水変更量を計算する。
Δq3i=G3・{1/(∂FDT/∂Q)i}・ΔFDT …… (10)
ただし、Δq3i:FDT-FBによるF-Fi+1間冷却水変更量、G:定数(FDT-FB制御ゲイン)。
ΔFDTを解消するスタンドは、フィードバック制御の応答性および制御効果という点では下流スタンドを優先的に選択するのが好ましい。ただ、鋼板3が薄く圧延されてから冷却すると鋼板3の形状に悪影響を与える場合もある。この点を考慮して、フィードバック制御の応答性をある程度犠牲にして、入側スタンドから優先的に選択するようにしてもよい。
次に、フィードバック制御起動タイミング生成手段26について説明する。フィードバック制御起動タイミング生成手段26は、上述のように仕上げ出側温度偏差補正手段23の起動タイミングを生成する。図10にフィードバック制御起動タイミング生成手段26が実行する処理の流れを示す。フィードバック制御起動タイミング生成手段26は、数百ms程度の周期でタイマ起動され、ステップS21〜ステップ26の各処理を行う。ステップS21では、圧延ロール4の回転速度を取り込む。ステップS22では、ステップS21で取り込んだ回転速度値から求められる鋼板速度を積分して鋼板の移動量を算出する。鋼板速度は、圧延ロール4の回転速度から、広く知られる先進率、後進率を用いた演算で容易に換算して求めることができる。
ステップS23では、操作量変更に対応した鋼板部位が仕上げ出側温度計6を通過したかどうか、つまり冷却水量変更の対象となったスタンド間冷却装置(スタンド間冷却装置7a〜7dのいずれか1つまたは複数)直下の鋼板部位が仕上げ出側温度計6を通過したかどうかを判定する。この判定は、FDT-FB制御でスタンド間冷却水量を変更したタイミングで行う。ステップS23の判定結果が否定的であれば処理を終了し、肯定的であればステップS24に進む。
ステップS24では、一定時間の経過を判定する。ここで一定時間とは、スタンド間冷却装置7に水量変更指令を与えた後、対応する水量が鋼板3の冷却に反映されるまでの時間(通常1〜2秒)に相当する時間である。ステップS24の判定結果が否定的であれば処理を終了し、肯定的であればステップS25に進む。
ステップS25では、仕上げ出側温度偏差補正手段23に起動信号を出力する。そしてステップS26で鋼板移動量算出用の積分値をクリアし、終了となる。
次に、フィードバックゲイン選択手段27について説明する。フィードバックゲイン選択手段27は、予め用意されている複数のゲインから選択することで上記(10)式における定数G3を決定する。その選択決定は、鋼板速度の安定性に基づいて行う。より具体的には、鋼板速度が最高速度に到達して定常状態に移行していれば安定であるとし、定常状態への移行状態(加速中)または定常状態からの移行状態(減速中)のいずれかであれば非安定であるとし、これら安定、非安定に応じてゲインの選択を行う。こうしたフィードバックゲイン選択手段27は、同様に数百ms程度の周期でタイマ起動され、図11にその処理の流れを示すように、ステップS31〜ステップ33の各処理を行う。
ステップS31では、圧延ロール4の回転速度を取り込み、最高速度に到達したかどうかを判定する。到達していない場合はステップS32に進み、FDT-FB制御ゲインG3としてゲイン1(第1のゲイン)を出力する。一方、到達している場合はステップS32に進み、FDT-FB制御ゲインG3としてゲイン2(第2のゲイン)を出力する。通常はゲイン1<ゲイン2とする。このようにすることで、鋼板速度が加速中は相対的に小さなゲインで安定したFB制御を行い、鋼板速度が定常状態に到達して圧延が安定した後は、大きなゲインで応答性のよいFB制御を行うことができる。
次に、トラッキング手段28について説明する。トラッキング手段28は、圧延ロール4の回転速度を取り込み、ダイナミック制御出力生成手段24の処理内容を決定するための鋼板先端位置情報を出力する。図12にトラッキング手段28が実行する処理の流れを示す。トラッキング手段28は、同様に数百ms程度の周期でタイマ起動され、ステップS41〜ステップ44の各処理を行う。ステップS41では、圧延ロール4の回転速度を取り込む。ステップS42では、ステップS21で取り込んだ回転速度値から求められる鋼板速度を積分して鋼板の移動量を算出する。ステップS43では、鋼板移動量から鋼板3の先端位置を算定し、その算定結果から鋼板3の先端について、仕上げ入側温度計5の位置、仕上げ出側温度計6の位置のいずれにあるかを判定し、また仕上げ最終スタンド抜けしたかを判定する。ステップS44では、ステップS43での判定結果をステータス情報にしてダイナミック制御出力生成手段24に出力する。
次に、ダイナミック制御出力生成手段24について説明する。ダイナミック制御出力生成手段24は、仕上げ入側温度偏差補正手段21、速度偏差補正手段22、仕上げ出側温度偏差補正手段23それぞれからの出力を選択的に用いてダイナミック制御指令(ダイナミック制御出力:スタンド間冷却装置7a〜7dそれぞれの冷却水量をリアルタイムでダイナミックに制御するための指令出力)を生成する。より具体的には、トラッキング手段28からの情報に基づいて制御モードを判定し、その判定結果に応じて仕上げ入側温度偏差補正手段21、速度偏差補正手段22、仕上げ出側温度偏差補正手段23からの各出力を切り替えることでダイナミック制御手段12の出力を決定する。
図13に、ダイナミック制御出力生成手段24で実行される処理の流れを示す。なお、図13では、仕上げ入側温度偏差補正手段21をFET-FF制御、速度偏差補正手段22をV-FF制御、仕上げ出側温度偏差補正手段23をFDT-FB制御と略記している。ダイナミック制御出力生成手段24は、定周期で起動され、ステップS51〜ステップS61の各処理を行う。
ステップS51では、制御モードの判定を行う。具体的には、制御モードが0、1、2のいずれにあるかを判定する。ここで、制御モード0は、圧延していない状態、制御モード1は、鋼板のFETが検出された後、鋼板が仕上げ圧延機2に進入しているもののFDT検出には至らない状態、制御モード2は、最初のFDT検出後、鋼板が仕上げ圧延機2を抜けるまでの状態である。
ステップS51で制御モード0と判定された場合にはステップS52に進む。ステップS52では、鋼板が仕上げ圧延機2に進入してFETの検出が開始されたかどうか判定する。FETの検出が開始されていない場合は処理を終了する。一方、FETの検出が開始されている場合はステップS53に進み、仕上げ入側温度偏差補正手段21と速度偏差補正手段22の出力を加算した値を出力し、さらにステップS54で制御モードを1にして処理終了となる。
ステップS51で制御モード1と判定された場合にはステップS55に進む。ステップS55では、鋼板の先端が仕上げ圧延機2を出てFDTの検出が開始されたかどうかを判定する。FDTが検出されていない場合はステップS56に進み、ステップS53と同様に、仕上げ入側温度偏差補正手段21と速度偏差補正手段22の出力を加算した値を出力し、処理終了となる。一方、FDT検出が開始されている場合はステップS57に進み、仕上げ入側温度偏差補正手段21の現在の出力を保持(ロックオン)する。そしてステップS58で仕上げ入側温度偏差補正手段21の出力のロックオン値、速度偏差補正手段22の出力、仕上げ出側温度偏差補正手段23の出力という3つの値を加算した値を出力し、さらにステップS59で制御モードを2にして処理を終了する。
ステップS51で制御モード2と判定された場合にはステップS60に進む。ステップS60では、鋼板が仕上げ圧延機2を抜けたかどうかを判定する。抜けていない場合にはステップS61に進み、ステップS58と同様に、仕上げ入側温度偏差補正手段21の出力のロックオン値、速度偏差補正手段22の出力、仕上げ出側温度偏差補正手段の23出力という3つの値を加算した値を出力する。鋼板が仕上げ圧延機2を抜けていた場合には、ステップS62で制御モードを0にして、処理を終了する。処理終了となったらダイナミック制御出力生成手段24は、次回の鋼板の仕上げ圧延機2への進入を待って、同様の処理を繰り返す。
図14に、鋼板一本におけるダイナミック制御出力生成手段24の出力例を、他の信号とあわせて示す。ダイナミック制御出力生成手段24の出力値Sgは、仕上げ入側温度偏差補正手段21の出力値Saまたはそのロックオン値SaL、速度偏差補正手段22の出力値Sb、仕上げ出側温度偏差補正手段23の出力値Scの総和となる。仕上げ入側温度偏差補正手段21の処理は、時刻t1で開始され、出力値Saを出力する。時刻t2で仕上げ出側温度偏差補正手段23が処理を開始すると、時刻t3(本例ではt3=t2)で仕上げ入側温度偏差補正手段21の出力がロックオンされ、以後は一定に保たれるロックオン値SaLを出力する。仕上げ出側温度偏差補正手段23はその後、出力に対応するFDTを検出したタイミングで再計算される出力値Scを出力し、時刻t6で鋼板が仕上げ圧延機2を抜けると、出力値の出力を終了する。時刻t1〜時刻t6の間、速度偏差補正手段22はその処理を一定周期で繰返している。図14の例では、時刻t4において速度に偏差が生じ、これに応じて速度偏差補正手段22が出力値Sbの出力を開始し、時刻t5で速度偏差がなくなると出力値Sbの出力を終了する。
仕上げ入側温度偏差補正手段21の出力のロックオンタイミングとして、本実施形態では、FDT検出の開始時、つまり仕上げ出側温度偏差補正手段23の出力開始時としたが、仕上げ入側温度偏差補正手段21の最初の演算に対応した出力をそのままロックオンしてもよい。これは、ダイレクトチャージタイプのミニホットタンデム圧延の場合であると、鋼板長手方向でのFETの変動が少なく、1本の鋼板に対する圧延が開始される時点についてだけFET-FF制御を行えば、その後は圧延開始時点のFET-FF制御の出力を利用してもFET-FF制御の精度に実質的な影響がないといえるからであり、こうしたミニホットタンデム圧延の特性は、仕上げ入側温度偏差補正手段21の出力のロックオンの有効性の前提にもなっている。
以上のようなダイナミック制御出力生成手段24の出力、つまりダイナミック制御出力は、スタンド間冷却指令生成手段13によりプリセット制御手段11からの出力と加算され、これによりスタンド間冷却指令生成手段13においてスタンド間冷却指令が生成されてスタンド間冷却装置7a〜7dに出力される。
以下、第2の実施形態について説明する。図15に、第2の実施形態によるスタンド間冷却制御装置31の構成を制御対象の仕上げ圧延機2と関連させて示す。本実施形態のスタンド間冷却制御装置31は、適応制御量算出手段32と適応制御手段33をさらに備える点を除いて、第1の実施形態のスタンド間冷却制御装置1と同様である。したがって以下では、適応制御量算出手段32と適応制御手段33について主に説明し、スタンド間冷却制御装置1と共通する構成要素については、図1と同一の符号を付して示し、上での説明を援用するものとする。なお、図15では構成要素の一部について図示を省略してある。
適応制御量算出手段32と適応制御手段33は、適応制御に機能する。ここで、適応制御とは、ダイナミック制御手段12による制御の実績からプリセット制御手段11における板温推定モデル18のモデル誤差(プリセット制御誤差)を推定し、そのモデル誤差推定結果をプリセット制御手段11での板温推定モデル18によるFDT予測計算に反映させるようにして行なう制御である。ダイナミック制御手段12の制御実績に基づいて適応制御量(補正温度)を求める。そしてその適応制御量を目標温度テーブル15から得られる目標温度に加算し、それにより得られる温度(目標温度テーブル15からの目標温度+適応制御量)をFDT目標温度として用いるようにする。
適応制御量算出手段32は、図16にその流れを示すように、ステップS61〜ステップS63の各処理を行う。ステップS61では、鋼板3の尾端が仕上げ圧延機2の最終スタンド(F5)を抜けたことを判定する。鋼板3の尾端が抜けていない場合は尾端抜けを待つ処理を行う。鋼板3の尾端が抜けと判定されたら、ステップS62に進む。
ステップS62では、尾端抜けと判定された鋼板3の複数の部位についてFET−FF制御の出力をロックオンした後に検出または算出された、目標温度と実測FDTの差であるΔFDT、プリセット制御処理における想定FETと実測FETの差であるΔFET、プリセット処理における想定鋼板速度と実績鋼板速度の差であるΔV、仕上げ出側温度偏差補正手段23の出力であるΔQFDT-FB、仕上げ入側温度偏差補正手段21の出力のロックオン値であるΔQFET-FR-Lock、速度偏差補正手段22の出力であるΔQV-FFをそれぞれ取り込む。
ステップS63は、ステップS62で取り込んだ各値を複数の部位について平均した値を改めてΔFDT、ΔFET、ΔV、ΔQFDT-FB、ΔQFET-FR-Lock、ΔQV-FFとし、FDT換算のプリセット制御誤差Cerr-eqを下記の(11)式で算出し、それを適応制御量としてプリセット制御手段11の適応制御手段33に出力して処理を終了する。
Cerr-eq=ΔFDT−(∂FDT/∂Q)・ΔQFDT-FB
+(∂FDT/∂FET)・ΔFET−(∂FDT/∂Q)・ΔQFET-FF-Lock
+(∂FDT/∂V)・ΔV−(∂FDT/∂Q)・ΔQV-FF …… (11)
適応制御手段33は、適応制御量算出手段32から与えられる適応制御量を用いて目標温度を補正し、それによりFDT予測用目標温度を求める。具体的には、「目標温度テーブル15からの目標温度+適応制御量」としてFDT予測用目標温度を求める。こうした適応制御手段33は、図17にその流れを示すように、ステップS71とステップS72の各処理を行う。ステップS71では、目標温度テーブル15から該当の目標温度を取り込む。ステップS72では、ステップS71で取り込んだ目標温度に適応制御量算出手段32からの適応制御量を加算してFDT予測用目標温度を算出し、そのFDT予測用目標温度をプリセット手段14に渡す。
直近に圧延された鋼板のプリセット制御誤差と次回圧延される鋼板で予想されるプリセット制御誤差は一般に高い相関を有している。このようなプリセット制御誤差の特性に着目したのが以上のような適応制御で、これを行うことにより間接的に板温推定モデル18のモデル誤差を補償することができ、これにより板温推定モデル18と実際の冷却現象の乖離に起因して生じる制御誤差を低減でき、より高精度な制御が可能となる。
以上、本発明を実施するための形態について説明したが、これらは代表的な例に過ぎず、本発明はその趣旨を逸脱することのない範囲で様々な形態で実施することができる。
第1の実施形態によるスタンド間冷却制御装置の構成を示す図である。 目標温度テーブルの例を示す図である。 速度テーブルの例を示す図である。 標準流量パターンテーブルの例を示す図である。 プリセット制御における処理の流れを示す図である。 ダイナミック制御手段の構成例を示す図である。 第1の影響係数テーブルの例を示す図である。 第2の影響係数テーブルの例を示す図である。 第3の影響係数テーブルの例を示す図である。 フィードバック制御起動タイミング生成手段の処理の流れを示す図である。 フィードバックゲイン選択手段の処理の流れを示す図である。 トラッキング手段の処理の流れを示す図である。 ダイナミック制御出力生成手段の処理の流れを示す図である。 ダイナミック制御出力生成手段の出力の例を示す図である。 第2の実施形態によるスタンド間冷却制御装置の構成を示す図である。 適応制御量算出手段の処理の流れを示す図である。 適応制御手段の処理の流れを示す図である。
符号の説明
1 スタンド間冷却制御装置
2 仕上げ圧延機
3 鋼板
5 仕上げ入側温度計(仕上げ入側温度計測手段)
6 仕上げ出側温度計(仕上げ出側温度計測手段)
7 スタンド間冷却装置
11 プリセット制御手段
12 ダイナミック制御手段
13 スタンド間冷却指令生成手段
18 板温推定モデル
21 仕上げ入側温度偏差補正手段
22 速度偏差補正手段
23 仕上げ出側温度偏差補正手段
24 ダイナミック制御出力生成手段
25 影響係数テーブル
25a 第1の影響係数テーブル
25b 第2の影響係数テーブル
25c 第3の影響係数テーブル
32 適応制御量算出手段
33 適応制御手段
F1〜F5 スタンド

Claims (9)

  1. 複数のスタンド、前記スタンドの間での冷却水の注水により圧延中の鋼板を冷却できるようにされたスタンド間冷却装置、前記鋼板の入側における温度である仕上げ入側温度を計測する仕上げ入側温度計測手段、および前記鋼板の出側における温度である仕上げ出側温度を計測する仕上げ出側温度計測手段を備えた仕上げ圧延機における前記スタンド間冷却装置に対し、前記仕上げ出側温度を所望の目標温度に合せるように冷却水量を制御するスタンド間冷却制御装置において、
    前記冷却水による冷却に関して前記仕上げ出側温度を推定する板温推定モデルを備え、前記鋼板が前記冷却水で冷却されるのに先立って前記板温推定モデルにより前記仕上げ出側温度を推定し、その推定仕上げ出側温度に基づいて前記スタンド間冷却装置の冷却水量を算出してプリセット制御出力を生成するプリセット制御手段、
    前記仕上げ圧延機で圧延されつつ前記スタンド間冷却装置で冷却されている前記鋼板についての鋼板速度と仕上出側温度と仕上入側温度を状態量として取得し、その取得された状態量に基づいて前記冷却水量の変更量を算出してダイナミック制御出力を生成するダイナミック制御手段、および
    前記プリセット制御出力と前記ダイナミック制御出力からスタンド間冷却指令を生成して前記スタンド間冷却装置に出力するスタンド間冷却指令生成手段を備え
    前記ダイナミック制御手段は、
    前記仕上げ入側温度に関して前記プリセット制御出力の生成時に想定された想定仕上げ入側温度と圧延中に実測して得られる実測仕上げ入側温度の偏差の前記仕上げ出側温度への影響を抑制する前記冷却水量の変更量を生成して出力する仕上げ入側温度偏差補正手段、
    前記プリセット制御出力の生成時に想定された想定鋼板速度と圧延中に実測して得られる実測鋼板速度の偏差の前記仕上げ出側温度への影響を抑制する前記冷却水量の変更量を生成して出力する速度偏差補正手段、
    前記目標温度と圧延中に実測して得られる実測仕上げ出側温度の偏差を小さくするための前記冷却水量の変更量を生成して出力する仕上げ出側温度偏差補正手段、および
    前記仕上げ入側温度偏差補正手段、前記速度偏差補正手段、前記仕上げ出側温度偏差補正手段それぞれの出力を選択的に用いて前記ダイナミック制御出力を生成するダイナミック制御出力生成手段を備えていることを特徴とするスタンド間冷却制御装置。
  2. 前記ダイナミック制御手段は、前記冷却水量の変化が前記仕上げ出側温度に及ぼす影響を格納した第1の影響係数テーブル、前記仕上げ入側温度の変化が前記仕上げ出側温度に及ぼす影響を格納した第2の影響係数テーブル、および前記仕上げ圧延機の出側での前記鋼板の速度の変化が前記仕上げ出側温度に及ぼす影響を格納した第3の影響係数テーブルを含む影響係数テーブルをさらに備え、前記仕上げ入側温度偏差補正手段、前記速度偏差補正手段、前記仕上げ出側温度偏差補正手段それぞれが前記冷却水量の変更量の生成処理で用いる影響係数を前記影響係数テーブルから取り込めるようにされていることを特徴とする請求項に記載のスタンド間冷却制御装置。
  3. 前記ダイナミック制御手段は、前記仕上げ入側温度偏差補正手段の出力を所定のタイミングで保持し、それ以後は一定に保たれるロックオン値とすることができるようにされ、そして前記保持のタイミングは、前記仕上げ入側温度偏差補正手段における前記変更量生成についての最初の演算に対応した出力がなされた時点とするか、または前記仕上げ出側温度の検出が開始された時点とするようにされていることを特徴とする請求項または請求項に記載のスタンド間冷却制御装置。
  4. 前記ダイナミック制御出力生成手段は、圧延中の前記鋼板の位置情報に基づいて前記仕上げ入側温度偏差補正手段、前記速度偏差補正手段、前記仕上げ出側温度偏差補正手段それぞれの出力の選択的使用を行うようにされ、そして前記鋼板について前記仕上げ出側温度が検出された後、当該鋼板が前記仕上げ圧延機に進入しているものの前記仕上げ出側温度の検出には至らない状態では、前記仕上げ入側温度偏差補正手段と前記速度偏差補正手段それぞれの出力を加算した値を出力し、前記仕上げ出側温度の最初の検出から前記鋼板が前記仕上げ圧延機を抜けるまでの状態では、前記仕上げ入側温度偏差補正手段の出力またはその前記ロックオン値、前記速度偏差補正手段の出力、前記仕上げ出側温度偏差補正手段の出力それぞれを加算した値を出力するようにされていることを特徴とする請求項に記載のスタンド間冷却制御装置。
  5. 前記仕上げ出側温度偏差補正手段でなされる前記冷却水量の変更量の生成計算で用いるゲインが複数用意されており、その複数のゲインから前記鋼板速度に応じて選択できるようにされていることを特徴とする請求項〜請求項のいずれか1項に記載のスタンド間冷却制御装置。
  6. 前記ダイナミック制御手段による制御の実績から前記板温推定モデルのモデル誤差を推定し、そのモデル誤差推定結果を前記プリセット制御手段での前記板温推定モデルによる前記仕上げ出側温度推定に反映させることができるようにされていることを特徴とする請求項〜請求項のいずれか1項に記載のスタンド間冷却制御装置。
  7. 前記仕上げ圧延機から尾端抜けと判定された鋼板の複数の部位について検出または算出された、前記目標温度と前記実測仕上げ出側温度の偏差、前記想定仕上げ入側温度と前記実測仕上げ入側温度の偏差、前記想定鋼板速度と前記実測鋼板速度の偏差、前記仕上げ出側温度偏差補正手段の出力、仕上げ入側温度偏差補正手段の出力の前記ロックオン値、および前記速度偏差補正手段の出力に基づいて適応制御量を求める適応制御量算出手段を備えるとともに、前記目標温度を前記適応制御量算出手段による前記適応制御量で補正することで仕上げ出側温度予測用目標温度を求める適応制御手段を備え、そして前記適応制御手段で求めた前記仕上げ出側温度予測用目標温度を前記板温推定モデルによる前記仕上げ出側温度の推定に際して用いるようにされていることを特徴とする請求項に記載のスタンド間冷却制御装置。
  8. 複数のスタンド、前記スタンドの間での冷却水の注水により圧延中の鋼板を冷却できるようにされたスタンド間冷却装置、前記鋼板の入側における温度である仕上げ入側温度を計測する仕上げ入側温度計測手段、および前記鋼板の出側における温度である仕上げ出側温度を計測する仕上げ出側温度計測手段を備えた仕上げ圧延機における前記スタンド間冷却装置に対し、前記仕上げ出側温度を所望の目標温度に合せるように冷却水量を制御するためのスタンド間冷却制御方法において、
    プリセット制御とダイナミック制御を組み合わせた制御を行えるようにされ、前記プリセット制御は、前記冷却水による冷却に関して前記仕上げ出側温度を推定する板温推定モデルにより前記仕上げ出側温度を前記鋼板が前記冷却水で冷却されるのに先立って推定し、その推定仕上げ出側温度に基づいて前記スタンド間冷却装置の冷却水量を算出して得られるプリセット制御出力によりなすようにされ、前記ダイナミック制御は、前記仕上げ圧延機で圧延されつつ前記スタンド間冷却装置で冷却されている前記鋼板についての鋼板速度と仕上出側温度と仕上入側温度を状態量として取得し、その取得された状態量に基づいて前記冷却水量の変更量を算出して得られるダイナミック制御出力によりなすようにされ
    前記ダイナミック制御出力は、前記仕上げ入側温度に関して前記プリセット制御出力の生成時に想定された想定仕上げ入側温度と圧延中に実測して得られる実測仕上げ入側温度の偏差の前記仕上げ出側温度への影響を抑制する前記冷却水量の変更量についての制御出力である仕上げ入側温度偏差補正出力を含んでおり、そして前記仕上げ入側温度偏差補正出力を所定のタイミングで保持し、それ以後は一定に保たれるロックオン値とすることができるようにされていることを特徴とするスタンド間冷却制御方法。
  9. 前記保持のタイミングは、前記仕上げ入側温度偏差補正出力についての最初の演算に対応した出力がなされた時点とするか、または前記仕上げ出側温度の検出が開始された時点とするようにされていることを特徴とする請求項に記載のスタンド間冷却制御方法。
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