JP2001300628A - 接合鋼板の冷却方法 - Google Patents

接合鋼板の冷却方法

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JP2001300628A
JP2001300628A JP2000120606A JP2000120606A JP2001300628A JP 2001300628 A JP2001300628 A JP 2001300628A JP 2000120606 A JP2000120606 A JP 2000120606A JP 2000120606 A JP2000120606 A JP 2000120606A JP 2001300628 A JP2001300628 A JP 2001300628A
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Fumitada Tazaki
文規 田崎
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 仕上圧延後の鋼板を、鋼板の目標温度まで冷
却し巻取ることにより、目標とする品質の鋼板を安定的
に製造する接合鋼板の冷却方法を提供する。 【解決手段】 仕上圧延材11を目標温度まで冷却する
ために必要な注水設備13、14からの注水量を求める
ための演算に用いる熱伝達係数を、仕上圧延材11の圧
延速度ごとに区分した圧延速度区分と、仕上圧延材11
の板厚ごとに区分した板厚区分と、仕上圧延材11の目
標温度ごとに区分した目標温度区分と、仕上圧延材11
の鋼種ごとに区分した鋼種区分にそれぞれ記憶し、この
記憶したそれぞれの区分から仕上圧延材11の仕上圧延
条件に応じた熱伝達係数を検索し、この検索した熱伝達
係数を用い仕上圧延材11の冷却に必要な注水量を演算
し、注水設備13、14からの冷却水量を、演算した注
水量に制御する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、仕上圧延機の最終
スタンドから出力された仕上圧延材(例えば鋼板)を、
巻取機に巻取る前に目標温度に冷却する接合鋼板の冷却
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、仕上圧延材の一例である鋼板は、
仕上圧延後、目標とする品質の鋼板を安定的に製造する
ため、巻取機に巻取る前に所定の温度に冷却されてい
る。この冷却は、熱伝達係数を用い、鋼板を目標温度ま
で冷却するために必要な注水量を求めることで行われて
いる。なお、この熱伝達係数は、鋼板の鋼種、板厚及び
目標温度にそれぞれ区分され、しかも鋼板の長手方向の
各区分(長手方向に例えば50mごとの区間)ごとに分
割し設定され、記憶手段に記録されている。図4に示す
ように、複数の鋼板の1本1本が、それぞれほぼ同じ圧
延速度パターンで圧延される場合、注水量を求める熱伝
達係数として、上記したように、鋼板の長手方向の各区
分ごとに設定された熱伝達係数を使用しても、各区分に
おける圧延速度パターンは、それぞれの鋼板でほぼ同じ
となるため、鋼板の速度変動による冷却誤差を吸収でき
る。従って、鋼板ごとに同じ速度パターンで冷却される
場合においては、熱伝達係数を鋼板の長手方向の各区分
ごとに分割して学習する(熱伝達係数の補正)方式が有
効である。しかし、生産性の向上、製品の安定製造、及
びエネルギーコストの低減を行うために、粗圧延後の鋼
板を接合して仕上圧延を行うエンドレス圧延方法が行わ
れるようになってきた。この場合、図5に示すように、
接合された複数の鋼板の1本1本の圧延速度が、それぞ
れほぼ同じ圧延速度パターンとならず、圧延される鋼板
それぞれの圧延速度パターンに変化が生じるため、接合
された複数鋼板を1本の鋼板とし、熱伝達係数を利用す
る方法が検討された。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記方
法には、解決すべき以下の問題があった。 (1)連続した複数鋼板を1本の鋼板とすることで、鋼
板の長さが長くなり、鋼板の長手方向の各区分の長さが
現在と同じ場合は、鋼板の長手方向の区分数が現在の区
分数では不足するため、大幅な区分数の追加が必要とな
る。 (2)鋼板の接合本数の増減により、鋼板の長手方向の
必要な区分数も併せて変化するため、熱伝達係数が更新
(補正)されない区分が多量に発生する可能性がある
(2本接合時と7本接合時では区分数が大幅に異な
る)。 (3)鋼板を長手方向に区分することで、熱伝達係数の
補正は、従来の長さ1本ごとではなく、n本の鋼板が接
合された状態で1回補正という周期となるため、学習チ
ャンス(熱伝達係数の補正機会)が減少する。 (4)複数鋼板を接合(接続)して圧延するエンドレス
圧延においては、圧延速度の変化が不規則で、しかも大
きいため、長手方向による区分では、圧延速度の変動に
よる鋼板の冷却誤差を吸収できない。 本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、仕上圧延
後の鋼板を、鋼板の目標温度まで冷却し巻取ることによ
り、目標とする品質の鋼板を安定的に製造する接合鋼板
の冷却方法を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】前記目的に沿う本発明に
係る接合鋼板の冷却方法は、粗圧延した粗圧延材である
先行材の後端と後行材の先端とを接合し接合粗圧延材と
した後、接合粗圧延材を仕上圧延機で仕上圧延すること
により仕上圧延材とし、仕上圧延材を目標温度に冷却す
る冷却方法であって、仕上圧延材を目標温度まで冷却す
るために必要な注水設備からの注水量を求めるための演
算に用いる熱伝達係数を、仕上圧延材の圧延速度ごとに
区分した圧延速度区分と、仕上圧延材の板厚ごとに区分
した板厚区分と、仕上圧延材の目標温度ごとに区分した
目標温度区分と、仕上圧延材の鋼種ごとに区分した鋼種
区分にそれぞれ記憶し、この記憶したそれぞれの区分か
ら仕上圧延材の仕上圧延条件に応じた熱伝達係数を検索
し、この検索した熱伝達係数を用い仕上圧延材の冷却に
必要な注水量を演算し、注水設備からの冷却水量を、演
算した注水量に制御する。このように、鋼板の圧延速度
ごとに対応した圧延速度区分を設けることで、鋼板の長
さを考慮した区分数が必要なくなる。また、鋼板の接合
本数の増減により、鋼板の長手方向に必要なそれぞれの
区分数も変化することで発生する更新されない区分を、
無くすことが可能となる。そして、圧延速度の変化が不
規則で、しかも大きいエンドレス圧延において、圧延速
度の変動による冷却誤差を吸収することが可能となる。
【0005】ここで、本発明に係る接合鋼板の冷却方法
において、仕上圧延材を注水設備からの注水により水冷
却した後、空冷却することで仕上圧延材を目標温度に冷
却するため、仕上圧延材の長手方向における各箇所の仕
上圧延材の仕上圧延出側の温度、仕上圧延材の板厚及び
熱伝達係数をもとに水冷却温度降下量を推定することで
水冷却線を推定し、一方、各箇所の目標温度及び仕上圧
延材の板厚をもとに空冷却温度降下量を推定することで
空冷却線を推定して、水冷却線と空冷却線との交点を求
め、仕上圧延材の冷却に必要な注水量を演算することが
望ましい。これにより、空冷却温度降下量を考慮に入れ
た水冷却を実施することが可能となる。
【0006】
【発明の実施の形態】続いて、添付した図面を参照しつ
つ、本発明を具体化した実施の形態につき説明し、本発
明の理解に供する。ここに、図1は本発明の一実施の形
態に係る接合鋼板の冷却方法に適用される冷却制御装置
の構成図、図2は同接合鋼板の冷却方法に適用される冷
却時間の決定方法の説明図、図3は同接合鋼板の冷却方
法に適用される冷却制御装置の動作状態を示す説明図で
ある。
【0007】図1に示すように、本発明の一実施の形態
に係る接合鋼板の冷却方法に適用される冷却制御装置1
0は、上流側から下流側にかけて、仕上圧延材の一例で
ある鋼板11が圧延される仕上圧延機の最終スタンド1
2と、仕上圧延機の最終スタンド12から出力された鋼
板11を目標温度に冷却するため鋼板11に注水する注
水設備を構成する上部注水設備13、下部注水設備14
と、目標温度に冷却した鋼板11を巻取る巻取機15と
を有する。また、仕上圧延機の最終スタンド12の直後
には、鋼板11の板厚を計測する板厚計16と、仕上圧
延機の最終スタンド12から出力された鋼板11の長手
方向における各箇所(制御長)の仕上出側温度を測定す
る仕上出側温度計17とを有する。そして、巻取機15
の直前には、上部注水設備13、下部注水設備14で目
標温度に冷却した鋼板11の長手方向にの各箇所(各制
御長)の巻取温度を測定する巻取温度計18を備えてい
る。更に、仕上出側温度計17等の各種センサの出力
や、初期データ(鋼板11の比熱や密度等の初期値)に
基づいて注水量を決定する演算器19とを有する。以
下、詳しく説明する。
【0008】仕上圧延機の最終スタンド12には、最終
スタンド12を駆動するモータ(図示しない)が取付け
られ、このモータの回転速度等をもとに鋼板11の圧延
速度を求める演算器20が備えられている。上部注水設
備13、下部注水設備14は、それぞれ搬送される鋼板
11を冷却できるよう、冷却する鋼板11に対して上下
方向に、しかも鋼板11と平行に配置されている。ま
た、上部注水設備13、下部注水設備14には、それぞ
れ複数の注水管(この実施の形態では107本)が備え
られ、しかもこの注水管は数箇所のブロック(この実施
の形態では6箇所)21に区分されている。演算器19
は、仕上圧延材を目標温度まで冷却するために必要な注
水量を求めるための演算に用いる熱伝達係数が記録され
た記憶手段(学習ファイル)22と、実際の鋼板の板厚
や温度等をもとに熱伝達係数値の補正値を計算する実測
手段23と、仕上出側温度計等の各種センサの出力や記
憶手段に設定された初期値に基づいて注水量を決定する
注水量演算手段24とを有する。
【0009】ここで、記憶手段22は、鋼板11の板厚
ごとに区分した板厚区分と、鋼板11の目標温度ごとに
区分した目標温度区分と、鋼板11の鋼種ごとに区分し
た鋼種区分にそれぞれ区分され、しかも鋼板11の圧延
速度ごとに区分した圧延速度区分に区分され、熱伝達係
数がそれぞれに記憶される。実測手段23は、板厚計1
6により測定された鋼板11の板厚、仕上出側温度計1
7により測定された仕上出側温度、及び巻取温度計18
により測定された巻取温度から、最終スタンド12のモ
ータの回転速度等をもとに演算器20で求めた鋼板11
の圧延速度ごと(例えば、50mpmごと)に、熱伝達
係数の補正値の計算を行う。この補正値を記憶手段22
に書き換えることで、記憶手段22の更新を行う。注水
量演算手段24は、板厚計16により測定された鋼板1
1の板厚、仕上出側温度計17により測定された仕上出
側温度、演算器20により最終スタンド12のモータの
回転速度等をもとに求めた鋼板11の圧延速度に基づい
て各制御長の空冷却温度降下量を推定する。そして、そ
の仕上出側温度、空冷却温度降下量及び巻取り目標温
度、記憶手段の熱伝達係数から、鋼板11の長手方向に
おける各制御長の水冷却温度降下量を推定する。この推
定した空冷却温度降下量及び水冷却温度降下量から注水
量を求める。以下に、注水量の求め方を説明する。
【0010】まず、空冷却温度降下量を求める温度降下
式を以下に示す。 −(θin−θout ) =(θin−θa) ×(exp(−αa×ta/(3.6×Cp×ρ×h))−1) ・・・・・(1) ここで、taは空冷時間(sec)、ρは鋼板の密度
(kg/m3 )、Cpは鋼板の比熱(kcal/kg/
℃)、hは鋼板の仕上出側板厚(mm)、θaは空気の
温度(℃)、θinは入側温度(℃)、θout は出側温度
(℃)、αaは空気の熱伝達係数(kcal/m2 /h
r/℃)である。
【0011】次に、水冷却温度降下量を求める温度降下
式を以下に示す。 −(θin−θout ) =(θin−θw) ×(exp(−(αw+αFB)×tw/(3.6×Cp×ρ×h))−1) ・・・・・(2) ここで、twは水冷時間(sec)、θwは水の温度
(℃)、αwは水の熱伝達係数(kcal/m2 /hr
/℃)、αFBは熱伝達係数の補正値(kcal/m 2
hr/℃)である。なお、θinを入側温度、θout を出
側温度としたが、これは、上流側の仕上圧延機の最終ス
タンド12から、下流側の巻取機15までに、等間隔に
温度計を設置した場合の各部分の温度を意味している。
即ち、各部分の上流側の温度を入側温度、下流側の温度
を出側温度としている。
【0012】また、各実績値(仕上出側温度、板厚、圧
延速度)をもとに得られる熱伝達係数の補正値は、以下
の式で示される。 −ΔFB =(Tin−Tw) ×(exp((−αw×tw)/(3.6×Cp×ρ×h))−1) ・・・・・(3) ここで、ΔFBは各実績値をもとに得られる熱伝達係数
の補正値(kcal/m 2 /hr/℃)、Tinは仕上出
側温度(℃)、Twは水温実績(℃)である。なお、こ
の各実績値をもとに得られる熱伝達係数の補正値ΔFB
は、理論値通りの熱伝達率に対する相対値を示してい
る。
【0013】この各実績値をもとに得られる熱伝達係数
の補正値ΔFBをもとに、熱伝達係数の補正値を求める
式を以下に示す。 αFB=ΔFB×n+αFB´×(1−n) ・・・・・(4) ここで、αFB´は補正前の(現在、記憶手段22に記録
されている)熱伝達係数の補正値、nは各実績値をもと
に得られる熱伝達係数の補正値と、補正前の熱伝達係数
の補正値の比率を変化させる分配値である。これによ
り、理論値通りの熱伝達率に対する相対値、即ち熱伝達
係数の補正値αFBが求まることとなる。なお、nはこの
実施の形態において0.3を使用している。これによ
り、補正前の熱伝達係数の補正値から、各実績値をもと
に得られる熱伝達係数の補正値ΔFBへ急激に変化する
ことを防ぐことができる。従って、巻取機15の目標温
度へは、ハンチングさせることなく、スムーズに調整す
ることが可能となる。また、この数値nは、鋼板の温度
を巻取機の目標温度にスムーズに調整することができれ
ばよいので、鋼種や鋼板の温度等により、nを0.3以
外の他の数値に設定することも可能である。
【0014】(4)式で得られたαFBを、(2)式に代
入することで、鋼板11の長手方向における制御長の仕
上圧延出側の温度、鋼板11の板厚及び熱伝達係数をも
とに各制御長の水冷却温度降下量を推定し、仕上圧延機
の最終スタンド12から出力された鋼板11に水をかけ
続けた場合の水冷却線を推定する(図2のW参照)。な
お、一点鎖線及び二点鎖線は、圧延速度等の条件を変化
させた場合に、αFBが変化することで得られる水冷却線
を示している。一方、(1)式より、鋼板11の長手方
向における制御長の目標温度及び鋼板11の板厚をもと
に各制御長の空冷却温度降下量を推定し、鋼板11を巻
取機15の目標温度まで空冷したときの空冷却線を推定
する(図2のA参照)。なお、点線は、巻取機15の目
標温度を変化させた場合に得られる空冷却線を示してい
る。この2本の冷却線W、Aをそれぞれ延長すること
で、交点Xが現れる。従って、仕上出側から交点Xまで
が水冷時間となり、交点Xから巻取機までが空冷時間と
なる。ここで、上部注水設備13、下部注水設備14の
各注水管からは、単位時間当りに一定の冷却水が放水さ
れるため、水冷時間が求まることで、鋼板11への注水
量が求まる。
【0015】次に、本発明の一実施の形態に係る接合鋼
板の冷却方法を、冷却制御装置10を適用し図3を参照
しながら説明する。まず、粗圧延した粗圧延材を、先行
材の後端と後行材の先端とを接合し接合粗圧延材とした
後、接合粗圧延材を仕上圧延機で仕上圧延することによ
り鋼板(仕上圧延材)11とする。なお、鋼板11は、
上部注水設備13、下部注水設備14からの注水により
水冷却された後、空冷却されることで目標温度に冷却さ
れる。ステップ1(S1)において、仕上圧延機の最終
スタンド12を駆動するモータの回転速度をもとに得ら
れる加速率や減速率、及び他の圧延速度情報(スレティ
ング速度、鋼板11の長さ)をもとに鋼板11の速度パ
ターンを求め、制御対象となる鋼板11の各制御長(こ
の実施の形態では10m)の圧延速度を演算器20によ
り求める。
【0016】ステップ2(S2)において、仕上圧延機
の最終スタンド12から出力された鋼板11の各制御長
を目標温度に冷却するため、注水量を決定する演算に必
要となる実績値を、板厚計16及び仕上出側温度計17
により測定する。なお、仕上圧延機の最終スタンド12
から出力された鋼板11の温度は800〜900℃程度
で、厚みは1.2〜25mm程度である。ここで測定さ
れた圧延速度、板厚及び仕上出側温度は、注水量演算手
段24と実測手段23に送られる。注水量演算手段24
に送られた各実績値、及び鋼種等の初期データをもと
に、記憶手段22のそれぞれの区分から仕上圧延条件に
応じた熱伝達係数を検索する。実績値及び検索した熱伝
達係数を、(1)、(2)式にそれぞれ代入し、鋼板1
1に水をかけ続けた場合の水冷却線及び目標温度まで空
冷したときの空冷却線をそれぞれ推定する。この2つの
冷却線の交点から、鋼板11の冷却に必要な注水量を演
算し決定する。
【0017】ステップ3(S3)において、鋼板11の
各制御長の冷却に必要となる決定された注水量を注水で
きるよう、目標となる各制御長をトラッキング(追従)
しながら、上部注水設備13、下部注水設備14に備え
られた複数の注水管のバルブをオンオフ制御する。これ
により、鋼板11の温度は300〜600℃程度に調整
される。
【0018】上記のように、鋼板11は、複数の注水管
から冷却水が注水されることで水冷却され、その後空冷
却されることで目標温度に冷却される。この冷却された
鋼板11は、巻取温度計18により巻取時の温度が測定
され、この巻取温度は実測手段23に送られる。ステッ
プ4(S4)において、実測手段23に送られた各実績
値を(3)式に代入することで、各実績値をもとに得ら
れる熱伝達係数の補正値ΔFBを求める。そして、この
ΔFBと、各実績値をもとに検索した記憶手段22に記
録された補正前の熱伝達係数の補正値を、それぞれ
(4)式に代入することで熱伝達係数の補正値を求め、
記憶手段22の熱伝達係数の補正値を補正し、次回から
この補正した熱伝達係数を使用する。このように、ステ
ップ1〜4までを、鋼板11の各制御長ごとに繰返し行
うことで、熱伝達係数の補正値の補正を行う。
【0019】前記実施の形態においては、記憶手段に記
録された鋼板の圧延速度ごとに区分した圧延速度区分を
50mpmごととしたが、鋼板の鋼種や板厚等の条件に
より、熱伝達係数の補正値の変化が大きくなる場合は、
圧延速度区分を10〜40mpm程度とすることも可能
である。一方、鋼板の鋼種や板厚等の条件により、熱伝
達係数の補正値の変化が小さくなる場合は、圧延速度区
分を60〜100mpm程度とすることも可能である。
これにより、必要な圧延速度区分のみを記憶手段に記録
できるので、記憶手段に不必要な熱伝達係数を多く記録
しておく必要がなくなる。
【0020】以上、本発明を、一実施の形態を参照して
説明してきたが、本発明は何ら上記した実施の形態に記
載の構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に
記載されている事項の範囲内で考えられるその他の実施
の形態や変形例も含むものである。例えば、この実施の
形態では、注水量は鋼板の長手方向に10mごとに計算
され、この10m中に圧延速度の変極点がきた場合で
も、初期の10mを通過するまでは注水量の変更は行わ
れなかった。しかし、鋼板の長手方向の注水量を、10
mより、より短い区分(例えば1〜5m程度)とし、圧
延速度の変極点に対応可能とすることで、巻取りの目標
温度をより正確にし、目標とする品質の鋼板を安定的に
製造することが可能となる。
【0021】
【発明の効果】請求項1及び2記載の接合鋼板の冷却方
法においては、鋼板の圧延速度ごとに対応した圧延速度
区分を設けることで、鋼板の長さを考慮した区分数が必
要なくなる。また、鋼板の接合本数の増減により、鋼板
の長手方向に必要なそれぞれの区分数も変化することで
発生する更新されない区分を、無くすことが可能とな
る。そして、圧延速度の変化が不規則で、しかも大きい
エンドレス圧延において、圧延速度の変動による冷却誤
差を吸収することが可能となる。従って、鋼板の長手方
向の区分を大幅に追加することなく、熱伝達係数の更新
も実施でき、しかも速度変動による冷却誤差も吸収でき
るので、目標とする品質の鋼板を安定的に製造すること
が可能となる。特に、請求項2記載の接合鋼板の冷却方
法においては、空冷却温度降下量を考慮に入れた水冷却
を実施することが可能となるため、鋼板をより正確に目
標温度に設定でき、目標とする品質の鋼板を安定的に製
造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る接合鋼板の冷却方
法に適用される冷却制御装置の構成図である。
【図2】同接合鋼板の冷却方法に適用される冷却時間の
決定方法の説明図である。
【図3】同接合鋼板の冷却方法に適用される冷却制御装
置の動作状態を示す説明図である。
【図4】同じ圧延速度パターンで冷却される鋼板の説明
図である。
【図5】接合鋼板の圧延速度パターンの説明図である。
【符号の説明】
10:冷却制御装置、11:鋼板(仕上圧延材)、1
2:最終スタンド、13:上部注水設備、14:下部注
水設備、15:巻取機、16:板厚計、17:仕上出側
温度計、18:巻取温度計、19:演算器、20:演算
器、21:ブロック、22:記憶手段(学習ファイ
ル)、23:実測手段、24:注水量演算手段

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 粗圧延した粗圧延材である先行材の後端
    と後行材の先端とを接合し接合粗圧延材とした後、該接
    合粗圧延材を仕上圧延機で仕上圧延することにより仕上
    圧延材とし、該仕上圧延材を目標温度に冷却する冷却方
    法であって、前記仕上圧延材を目標温度まで冷却するた
    めに必要な注水設備からの注水量を求めるための演算に
    用いる熱伝達係数を、前記仕上圧延材の圧延速度ごとに
    区分した圧延速度区分と、前記仕上圧延材の板厚ごとに
    区分した板厚区分と、前記仕上圧延材の目標温度ごとに
    区分した目標温度区分と、前記仕上圧延材の鋼種ごとに
    区分した鋼種区分にそれぞれ記憶し、この記憶したそれ
    ぞれの区分から前記仕上圧延材の仕上圧延条件に応じた
    前記熱伝達係数を検索し、この検索した該熱伝達係数を
    用い前記仕上圧延材の冷却に必要な注水量を演算し、前
    記注水設備からの冷却水量を、前記演算した注水量に制
    御することを特徴とする接合鋼板の冷却方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の接合鋼板の冷却方法にお
    いて、前記仕上圧延材を前記注水設備からの注水により
    水冷却した後、空冷却することで該仕上圧延材を目標温
    度に冷却するため、前記仕上圧延材の長手方向における
    各箇所の該仕上圧延材の仕上圧延出側の温度、前記仕上
    圧延材の板厚及び前記熱伝達係数をもとに水冷却温度降
    下量を推定することで水冷却線を推定し、一方、前記各
    箇所の前記目標温度及び前記仕上圧延材の板厚をもとに
    空冷却温度降下量を推定することで空冷却線を推定し
    て、前記水冷却線と前記空冷却線との交点を求め、前記
    仕上圧延材の冷却に必要な注水量を演算することを特徴
    とする接合鋼板の冷却方法。
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