JP5028012B2 - 優環境型の黄色顔料 - Google Patents

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Description

本発明は、セリウムとジルコニウムとビスマスの酸化物からなることを特徴とする無機黄色顔料に関する。
無機顔料は、耐熱性,耐候性に優れているため、エンジニヤリングプラスチック樹脂(エンプラ)などの高温成形材料や、建材、塗料(ペイント)、絵の具、陶磁器など多くの需要がある。このような用途においては、熱的および(又は)化学的安定性、分散性(所定の媒体中に物質を適切に分散させる能力)、着色しようとする媒体との相溶性、固有の色、着色力及び隠蔽力などの特性が重要となる。
特に塗料、プラスチック及びセラミックス工業において、現在用いられている無機黄色顔料としては、黄鉛(PbCrO4),カドミウムイエロー(CdS)、チタンイエロー(TiO2-NiO-Sb2O3)、バナジン酸ビスマス系化合物(BiVO4)、硫化ランタン(La2S3)、プラセオジムイエロー(ZrSiO4:Pr)などがあげられる。
しかしながら、特にカドミウムや鉛、クロム及びコバルトを含む化合物は、非常に高い毒性のために環境や人体に影響を与える恐れがあるため、多くの国において、法律によりその使用が厳しく制限又は禁止されるようになっている。また、チタンイエローは着色力が弱いといった問題点があり、バナジン酸ビスマスは鮮やかな緑味の黄色を呈するが、バナジウムの有害性と安定性に問題がある。一方、硫化ランタンは加水分解を起こしやすく、大気中で硫化水素を発生するといった問題点がある。プラセオジムイエローは着色力や隠ぺい性が小さいため塗料やプラスチックス用には使えないことが問題となっている。
これらに代わる新しい黄色顔料として、例えば、バナジウム酸化物とチタン酸化物、またはバナジウム酸化物とチタン酸化物とスズ酸化物とからなる黄色顔料(特許文献1)、あるいは、アルカリ金属とセリウムのモリブデン酸塩からなる黄色顔料(特許文献2)が提案されているが、これらにも有害金属であるバナジウムやモリブデンが含まれている。
特開2000−128538 特開2003−160742
また、別の優環境型の黄色顔料として、例えば、組成式CeTixCayOz(式中、xは0.2〜0.75の数、yは0〜0.5の数、zは1≦z≦2+2x+yを満足する数)で表される複合酸化物(特許文献3)、Fe、Ti及びLiからなる複合金属酸化物顔料(特許文献4)、組成式(BiRE)2O3(RE: Y, Ce)で表される顔料(非特許文献1)、酸化ジルコニウムを基材とする着色顔料(特許文献5)、およびテルビウム系化合物からなる着色顔料(特許文献6)が提案されているが、特許文献3〜5および非特許文献1において提案されている顔料は、黄色の着色力が未だ不十分であり、また、特許文献6で提案されている顔料は、黄色の着色力は優れているものの、基材となるテルビウムが高価であるためコスト増となり、実用化に至っていない。
特開2001−247313 特開2000−203845 特開平7−188578 特許第2739571号 P.P. Rao, M.L.P. Reddy, Dyes and Pigments, vol.63, pp.169-174 (2004).
本発明の目的は、高い着色力を有し、たとえば塗料、プラスチック及びセラミックス等の幅広い分野において有用であるだけでなく、有害金属を含まず安全な、優環境型の無機黄色顔料を安価に提供することにある。
このために、本発明に従って、式Ce1-(x+y)ZrxBiy2-(y/2)(ここで、xおよびyは、0≦x+y≦1をみたす任意の数)に相当する組成物からなる黄色顔料であって、xが0.36〜0.40の範囲、かつyが0.18〜0.22の範囲にある優環境型の無機黄色顔料が提供される。
本発明により、塗料、プラスチック及びセラミックス等の幅広い分野で使用するための無機顔料において、有害金属を含まずに安全であり、着色力の大きい優環境型の黄色顔料を安価に提供することができるので、工業的に極めて有用である。
上述のように、本発明の優環境型の黄色無機顔料は、式
Ce1-(x+y)ZrxBiy2-(y/2) (I)
(式中のxおよびyは、0≦x+y≦1をみたし、xが0.36〜0.40の範囲、かつyが0.18〜0.22の範囲にある)により表される組成からなる複合酸化物である。本発明における用語 "複合酸化物" とは、該式の組成を有する単相からなる固溶体、および全体として該式の組成に相当するような複数の酸化物及び/又は固溶体からなる混合物、の両者を包含するものと理解されたい。
次に、本発明の無機黄色顔料を製造する方法について説明する。本発明の黄色顔料の製造方法は特に限定されるものではなく、例えば、所定の金属化合物の酸または水溶液を混合し、これに沈殿剤を加えて得られた沈殿物を焼成する方法により製造することができる。所定の金属化合物の酸または水溶液は、反応により組成が(I)式により表される組成からなる複合酸化物になりうる溶液である。
本発明の黄色顔料の製造例は、以下の方法に限定されるものではないが、一例として、組成がCe0.4Zr0.4Bi0.2O1.9で表される顔料の製造例をあげる。Ce(NO3)3水溶液、ZrO(NO3)2水溶液、およびBi(NO3)3水溶液をCe:Zr:Biのモル比が2:2:1となるように混合し、これをシュウ酸水溶液に滴下した後、溶液のpHを3.2に調整して一晩攪拌する。次いで、得られた沈殿を吸引濾過によって回収し、大気中、80℃で一晩乾燥後、大気中1000℃で焼成することにより製造できる。
あるいは、本発明の黄色顔料は、例えば、所定の金属化合物の酸または水溶液を混合し、これに水溶性の有機酸及び/又は錯形成剤を加え、溶媒を留去して得られた複合有機酸塩及び/または錯体を焼成する方法によっても製造することができる。
すなわち、以下の方法に限定されるものではないが、例えば、組成がCe0.4Zr0.4Bi0.2O1.9で表される顔料の製造例をあげると、該顔料は、Ce(NO3)3水溶液、ZrO(NO3)2水溶液、およびBi(NO3)3水溶液をCe:Zr:Biのモル比が2:2:1となるように混合し、これにクエン酸水溶液をさらに加える。大気中、80℃で一晩乾燥後、溶媒をロータリーエバポレーター等により留去し、得られた固形物を大気中1000℃で焼成することにより製造できる。
上述の液相反応を介した製造法において使用される、セリウム化合物、ジルコニウム化合物、およびビスマス化合物としては、たとえば高純度(99.9%以上)の硝酸塩、オキシ硝酸塩、塩化物、オキシ塩化物、硫酸塩、オキシ硫酸塩、酢酸塩、クエン酸塩など、酸あるいは水に可溶な化合物があげられる。
また、沈殿剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、シュウ酸、炭酸ガス、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム及び/又はこれらの水溶液があげられる。
また、水溶性の有機酸及び/又は錯形成剤としては、例えば、ギ酸、酢酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸などが使用できる。
上述の液相反応を介した製造法において適用される焼成温度は、特に限定されるものではないが、焼成温度を制御することによって得られる黄色顔料の粒子経を1μm以下の微粒子とすることができる。このような微粒子顔料は塗料や絵の具など、常温や比較的低温で使用される無機顔料として好ましい。
前記の微粒子顔料とするときの焼成温度は、特に限定されるものではないが、例えば300℃以上700℃以下の温度範囲にて数時間保持して焼成することにより制御され、温度が低いほど粒径の小さいものが得られる。また、焼成雰囲気としては、セリウム及び/又はビスマスの還元を避けるために、空気、酸素、酸素含有アルゴン、酸素含有窒素などの酸化性雰囲気であることが望ましい。
また、本発明の無機黄色顔料は、所定の金属化合物の混合物を焼成する固相反応法によっても製造することができる。所定の金属化合物の混合物は、焼成により組成が(I)式により表される化合物からなる黄色顔料になりうる混合物である。
本発明の黄色顔料の製造例は、以下の方法に限定されるものではないが、一例として、組成がCe0.4Zr0.4Bi0.2O1.9で表される顔料の製造例をあげると、該顔料は、CeO2、ZrO2、Bi2O3を4:4:1のモル比で秤量して混合した後、大気中、1000℃〜1300℃で焼成することにより製造することができる。
前記の固相反応法において用いられるセリウム化合物、ジルコニウム化合物、およびビスマス化合物としては、高純度(99.9%以上)の水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩、酢酸塩、クエン酸塩など、高温で分解し酸化物になりうるもの、及び/又は高純度(99.9%以上)の酸化物を使用できる。
さらに、これらの化合物の混合には、メノウ乳鉢による手動混合のほか、通常、工業的に用いられているボールミル、V型混合機、攪拌装置等を用いることができる。
混合後、例えば1000℃以上1300℃以下の温度範囲にて1〜100時間保持して焼成することにより本発明の無機黄色顔料が得られる。金属化合物として水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ハロゲン化物、シュウ酸塩など、高温で分解し酸化物になりうるものを用いた場合、これらの化合物をあらかじめ酸化物にする、及び/又は、これらの化合物の水分をあらかじめ除去するために、焼成の前に、例えば500℃以上1000℃未満の温度範囲にて仮焼してもよい。
焼成雰囲気としては、セリウム及び/又はビスマスの還元を避けるために、空気、酸素、酸素含有アルゴン、酸素含有窒素などの酸化性雰囲気であることが望ましい。セリウム及び/又はビスマスが還元されると、黄色の着色力が大きくならない。また、反応を促進させるために、焼成雰囲気中に水蒸気を共存させてもよい。
さらに上記方法にて得られる黄色顔料を、例えばボールミル、ジェットミル等を用いて粉砕することができる。また、洗浄、分級することができる。得られる黄色顔料の結晶性を高めるために、再焼成を行うこともできる。
上記の方法により得られる本発明の黄色顔料は、その合成条件からも自明なように、化学的に安定であり、耐熱性に優れる。従って、塗料や絵の具など、常温や比較的低温で使用される無機顔料だけでなく、エンジニヤリングプラスチック樹脂などの高温成形材料や建材、およびセラミックス、陶磁器など、幅広い分野において着色顔料として用いることができる。
以上のようにして得られる本発明の無機黄色顔料は、有害金属を含まずに安全であり、彩度が高く着色力が大きい優環境型の顔料である。また、化学的安定性や耐熱性に優れるため、塗料、プラスチック及びセラミックス等の幅広い分野で使用するための無機顔料として好適である。さらに、該顔料の製造時に使用される原料はいずれも安価であるため、低価格で提供できる。
従って、さらに詳しくいえば、これらの組成物は、熱可塑性又は熱硬化性型であってよいプラスチックを着色することができる。本発明に従って着色することができる熱可塑性プラスチックとしては、全く例示として示せば、ポリ塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS)、アクリル系重合体、特にポリメタクリル酸メチル、ポリオレフィン、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン、セルロース誘導体、例えばセルロースアセテート、セルロースアセトブチレート、エチルセルロース、ポリアミドなどがあげられる。本発明の黄色顔料は、ポリ塩化ビニル、ポリプロピレン及びABSに特に好適である。また、本発明の黄色顔料が適している熱硬化性樹脂については、例えば、フェノール樹脂、アミノプラスチック、特に尿素−ホルムアルデヒド共重合体、メラミン−ホルムアルデヒド共重合体、エポキシ樹脂、熱硬化性ポリエステルなどがあげられる。
さらに、本発明の黄色顔料は、フルオロ重合体、特にポリテトラフルオルエチレン(PTFE)、ポリカーボネート、シリコーンエラストマー、ポリイミド、飽和ポリエステル、例えばPET及びPBT、ポリアセタール、例えばPOMなどのような特殊な重合体に使用することができる。プラスチックを着色するためのこの特別な用途においては、本発明の黄色顔料は、粉末状で直接使用することができる。また、それらは、好ましくは、予備分散状態で、例えば、樹脂の一部分とのプレミックスとして又はペースト状濃好物もしくは液体状で使用することができる。このことは、それらを樹脂の製造の任意の段階で導入することを可能にさせる。後者の点は、本発明の黄色顔料の特に大きな利点である。従って、本発明の黄色顔料は、前記したようなプラスチックに一般に0.01〜5%(最終生成物に対して)か又は40〜70%(濃厚物の場合)のいずれかの重量割合で配合することができる。
また、本発明の黄色顔料は、ペイント及びワニスの分野で、特に下記の樹脂に使用することができる。即ち、フタル酸−グリセリン樹脂と称される最もありふれたアルキッド樹脂、長油又は短油で変性された樹脂、アクリル酸エステル(メチル又はエチル)及びメタクリル酸から誘導され、場合によりアクリル酸エチル、2−エチルヘキシル又はブチルと共重合させたアクリル系樹脂、ビニル樹脂、例えばポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、塩化ビニルと酢酸ビニル又は塩化ビニリデンとの共重合体、アミノ樹脂又はフェノール樹脂(大抵の場合に変性されている)、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂等である。本発明の黄色顔料は、一般的に、ペイントについて5〜30重量%、ワニスについて0.15重量%の割合で使用される。
さらに、本発明の黄色顔料は、特にセラミックス材料、例えば磁器、陶器及びストーンウエアを着色するのに使用することができる。これは、セラミック全体を着色する(セラミックス粉末と顔料を物理的に混合する)か、又は顔料を含有する釉薬によってセラミックスの表面を着色する(釉薬組成物を掛ける)かのいずれかにより行われる。この用途の場合、本発明の黄色顔料の使用量は、一般に、セラミックス全体に対して又は釉薬のみに対して1〜30重量%である。
また、本発明の黄色顔料は、無機結合剤を着色するのに使用することができる。この無機結合剤は、水硬性結合剤、気硬性結合剤、石膏並びに無水又は部分水和硫酸カルシウム型の結合剤から選択することができる。水硬性結合剤とは、水を添加した後に硬化し固化して水不溶性水和物を形成する性質を有する物質を意味するものとする。本発明の黄色顔料は、セメント、そしてもちろんこのセメントに水、砂及び(又は)砂利を添加することによって製造されるコンクリートを着色するのに特に適用される。本発明の範囲内では、セメントは例えばアルミナ型のもであってよい。これは、アルミナそのままか又はアルミン酸塩又は両者のいずれかを高い割合で含有する任意のセメントを意味する。例えば、アルミン酸カルシウムを基材とするセメント、特にセカー(Secar)型のセメントが挙げられる。また、セメントは、珪酸塩型のもの、特に珪酸カルシウムを基材とするセメントであってよい。例示できるものは、ポートランドセメントであって、このタイプのセメントには速硬性又は超速硬性ポートランド、ホワイトセメント、耐硫酸セメント、高炉スラグ及び(又は)フライアッシュ及び(又は)メタカオリンを含有するセメントが挙げられる。また、硫酸カルシウム半水塩を基材とするセメント、ソレル(Sorel)セメントとして知られるマグネシアセメントも挙げられる。さらに、本発明の黄色顔料は、気硬性結合剤、即ち、大気中でCO2の作用のために硬化する、酸化又は水酸化カルシウム又はマグネシウム型の結合剤を着色するのに適用できる。最後に、本発明の黄色顔料は、石膏並びに無水又は部分水和硫酸カルシウム型(CaSO4及びCaSO4・1/2H2O)の結合剤を着色するのに適用できる。
最後に、本発明の黄色顔料は、ゴム工業(特に床材として)、製紙及び印刷用インク工業、化粧品の分野、その他の多くの用途、例えば、限定するわけではないが、染色、皮革仕上げ、台所やその他の作業表面の積層被覆材などの用途に好適である。
さらに、本発明は、本発明の黄色顔料を含むプラスチック、ペイント、ワニス、ゴム、セラミックス、釉薬、紙、インク、化粧品、染料、無機結合剤及び積層被覆材のタイプの着色された組成物を包含する。
以下に、本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
組成がCe0.44Zr0.36Bi0.20O1.90で表される複合酸化物からなる黄色顔料を得るべく、1 mol・dm-3濃度のCe(NO3)3水溶液、1 mol・dm-3濃度のZrO(NO3)2水溶液、0.5 mol・dm-3濃度のBi(NO3)3水溶液を、セリウム、ジルコニウム、ビスマスのモル量の合計が20 mmolとなるように化学量論比で混合した。これを0.5 mol dm-3濃度のシュウ酸水溶液66 cm3に滴下し、3 mol・dm-3濃度のアンモニア水で溶液のpHを3.2に調節して室温で一晩撹拌した。得られた沈殿物を吸引濾過で回収し、大気中80℃で一晩乾燥した後、大気中1000℃にて1時間焼成した。得られた顔料の色彩を、ミノルタ製色彩色差計CR-300により測定し、国際照明委員会によって1976年に定められたL*a*b*表色系で与えられる色度座標によって定量化した。ここでL*は、反射率の尺度(明/暗シェーディング)を与え、100(白色)から0(黒色)まで変動する。a*及びb*は、色の傾向の値であり、正のa*=赤色、負のa*=緑色、正のb*=黄色、負のb*=青色である。すなわち、L*は黒色から白色までの変化、a*は緑色から赤色までの変化、そしてb*は黄色から青色までの変化をそれぞれ表す。開発顔料はL*=77.7, a*=7.63, b*=62.4の色度座標を有し、鮮やかな黄色を呈する粉末であった。
さらに、Ce1-(x+y)ZrxBiyO2-(y/2)の組成を、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5の範囲内で任意に変化させ、上記と同様の方法で製造したところ、組成の変化により黄色の着色力を表すb*が変化することがわかった。以下に、組成を変えた化合物の色相を、L*a*b*表色系座標で表1に示す。この表から、xが0.1〜0.5の範囲、かつyが0.2〜0.5の範囲にある顔料のb*=黄色値が大きく、濃い黄色を呈することがわかる。
Figure 0005028012
実施例2
組成がCe0.44Zr0.36Bi0.20O1.90で表される複合酸化物からなる黄色顔料を得るべく、1 mol・dm-3濃度のCe(NO3)3水溶液, 1 mol・dm-3濃度のZrO(NO3)2水溶液, 0.5 mol・dm-3濃度のBi(NO3)3 水溶液を総モル量が20 mmolとなるように化学量論比で混合した。この溶液に、1 mol・dm-3濃度のクエン酸水溶液30 cm3を混合し、80℃で5時間攪拌した。溶媒を留去し、マントルヒーターにて100℃で1時間乾燥後、大気中300℃にて1時間仮焼し、次いで1000℃にて1時間焼成した。得られた顔料の色彩を、ミノルタ製色彩色差計CR-300により測定し、L*a*b*表色系で与えられる色度座標によって定量化したところ、L*=83.6, a*=5.46, b*=65.0の色度座標を示し、鮮やかな黄色の色調を呈した。
さらに、Ce1-(x+y)ZrxBiyO2-(y/2)の組成を、0≦x≦0.5、0≦y≦0.5の範囲内で任意に変化させ、上記と同様の方法で製造したところ、組成の変化により黄色の着色力を表すb*が変化することがわかった。以下に、組成を変えた化合物の色相を、L*a*b*表色系座標で表2に示す。この表から、xが0.1〜0.5の範囲、かつyが0.2〜0.5の範囲にある顔料のb*=黄色値が大きく、濃い黄色を呈することがわかる。
Figure 0005028012
実施例3
組成がCe0.38Zr0.40Bi0.22O1.989で表される化合物からなる黄色顔料を得るべく、酸化セリウム(CeO2)、酸化ジルコニウム(ZrO2)、酸化ビスマス(Bi2O3)各々を、CeO2:ZrO2:Bi2O3のモル比が38:40:11になるように秤量した後、ボールミル(フリッチュ社製P−7型)により6時間混合した。次いで空気流通下、1100℃の温度で30時間保持して焼成した。得られた顔料は、L*=71.3、a*=19.7、b*=62.3の色度座標を示し、鮮やかな黄色の色調を呈した。
実施例4
本発明の黄色顔料のペイントへの使用例を示す。実施例1で得られたCe0.36Zr0.44Bi0.20O1.9顔料をメラミンアルキッドペイントに36重量%の割合で配合し、次いで、ペイントを135℃で30分間硬化させた。このようにして得たペイント塗膜について、L*a*b*表色系色度座標を測定したところ、L*=70.7、a*=15.2、b*=75.3となり、十分な黄色を与えた。
実施例5
本発明の黄色顔料のプラスチックへの使用例を示す。実施例2で得られたCe0.36Zr0.44Bi0.20O1.9顔料をポリプロピレンに1重量%の割合で配合し、240℃で射出成形によって試験片を作った。得られたプラスチックについて、L*a*b*表色系色度座標を測定したところ、L*=60.2、a*=0.13、b*=56.9となり、十分な黄色を与えた。
以上のように、組成がCe1-(x+y)ZrxBiyO2-(y/2)(ここで、xおよびyは、0≦x+y≦1をみたす任意の数)により表される化合物からなる顔料とすることにより、塗料やプラスチックス、セラミックス等の幅広い分野で使用するための無機顔料において、有害金属を含まずに安全であり、着色力の大きい優環境型の黄色顔料を安価で提供することができる。

Claims (3)

  1. 式Ce1-(x+y)ZrxBiy2-(y/2)(ここで、xおよびyは、0≦x+y≦1をみたす任意の数)に相当する組成物からなる黄色顔料であって、
    xが0.36〜0.40の範囲、かつyが0.18〜0.22の範囲にあ黄色顔料。
  2. プラスチック、ペイント、ワニス、ゴム、紙、インク、化粧品、染料、無機結合剤又は積層被覆材用の請求項1記載の黄色顔料。
  3. セラミックス又は釉薬用の請求項1又は2に記載の黄色顔料。
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