JP5285307B2 - 黒色顔料及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、CaとFeを主成分とする無機系複合酸化物黒色顔料及びその製造方法に関する。また、その黒色顔料を含有した塗料、樹脂組成物、更には、前記の塗料を用いた黒色材、近赤外線遮蔽材に関する。
無機系の黒色顔料は、塗料、プラスチック、セラミック、インキ、電子材料などの様々な分野に使用されており、着色剤として重要な顔料である。また、近赤外線を反射する能力を有する黒色顔料は、ヒートアイランド現象の緩和や夏場の冷房効率のアップなどに利用され、近赤外線遮蔽用顔料として近年注目されている。
黒色顔料としては例えば、カーボンブラック、マグネタイト、低次酸化チタン、窒化チタン等のほか、Cr、Cu−Cr複合酸化物、Fe−Cr複合酸化物、Co−Fe−Cr複合酸化物、Cu−Cr−Mn複合酸化物などのクロムを含有するものが知られている(特許文献1を参照)。一方、クロムを含有しない黒色顔料としては、ストロンチウム鉄酸化物(特許文献2を参照)、FeとCoとを含有し、更に、Mg、Ca、Sr、Ba、Ti、Zn及びCuから選ばれる一種以上の金属を含有する複合酸化物(特許文献3を参照)等が知られている。
特開2000−72990号公報 特開2000−264639号公報 特開2006−249411号公報
黒色顔料として汎用されているカーボンブラックは発がん性の問題があり、マグネタイト、低次酸化チタン、窒化チタンは低温度でも酸化が起こり、それに伴って黒色度が低下するという熱安定性の問題が指摘されている。また、多くの複合酸化物黒色顔料には重金属としてCu、Cr、Co等を含有しているが、このような重金属を含む顔料の使用を控える傾向が強くなっている。特にCrの安全性への懸念から、Crを使用しない黒色顔料の開発が急務であり、しかも、Co、Sr等の高価な原料を使用しない黒色顔料が望まれている。
本発明者らはクロム・フリーの黒色顔料の開発を進めたところ、従来赤色顔料として用いられるCaとFeとを含有する複合酸化物に、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶させると、黒色化することができることを見出した。また、前記の黒色顔料は、十分な近赤外線遮蔽能を有し、近赤外線遮蔽用途にも用いることができることを見出した。更に、カルシウム化合物と鉄化合物と、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物とを混合し、焼成して製造することができること、得られた黒色顔料は粉末状であるため塗料や樹脂組成物に配合して、種々の用途に用いることができることなどを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、CaとFeとを含有する複合酸化物に、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶してなる黒色顔料である。また、CaとFeとを含有する複合酸化物に、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶してなる近赤外線遮蔽用黒色顔料である。
また、本発明は、カルシウム化合物と鉄化合物と、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物とを混合し、焼成して、CaとFeとを含有する複合酸化物に、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶させることを特徴とする黒色顔料の製造方法である。
また、本発明は、前記の黒色顔料を配合してなる塗料、樹脂組成物であり、更に、前記の塗料が塗布されている黒色材、近赤外線遮蔽材などである。
本発明の黒色顔料は、カルシウム、鉄、酸素と、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素とを含む複合酸化物であって、十分な黒色度を有する無機系黒色顔料である。熱に安定な無機成分を使用していることから、熱安定性、耐熱性にも優れ、クロムを含有していないことから、安全性、環境問題に懸念がない。また、Mg、Mn、Znの固溶量を0.05〜5モル%の範囲において変化させると黒色度等の色相が変化するため微妙な色相調整が容易という利点もある。
また、本発明の黒色顔料は、更に十分な近赤外線遮蔽能を有するものであって、建築物の屋根や外壁に塗装したり、道路や歩道に塗装したりして、ヒートアイランド現象の緩和等に利用することができる。
しかも、高価な原料を使用せず、大気中で製造することができるために比較的安価に製造することができる。
本発明の黒色顔料は、Ca(カルシウム)とFe(鉄)とを含有する複合酸化物に、Mg(マグネシウム)、Mn(マンガン)及びZn(亜鉛)から選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶している。
CaとFeとを含有する複合酸化物はどのような成分組成でもよいが、CaFe、CaFe等で表されるカルシウムフェライトを用いることができる。CaFeはCa、Fe、Oのモル比が2:2:5であるような化合物であり、その結晶構造はブラウンミラーライト(brownmillerite)構造(ブラウンミレライト構造ともいう)である。このブラウンミラーライト構造はペロブスカイト構造の酸素欠損が大きくなり室温で酸素空孔が秩序配列した構造の典型的な例であり、CaFeO2.5で表されることもある。一方、CaFeはスピネル型結晶構造を有する。本発明では、ブラウンミラーライト構造を持つCaFeで表される化合物が好ましく、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を固溶させると所望の黒色度を有する化合物となる。一方のCaFeでは前記の元素を固溶しても、CaFeに比べて黒色度に優れた材料は得られない。
本発明の黒色顔料は、前記のCaとFeとを含有する複合酸化物の格子点にある溶媒原子(具体的にはCa、Feの原子)が溶質原子(具体的にはMg、Mn、Znの原子)と置換した置換型固溶体を形成したり、あるいは、複合酸化物の格子間隙に溶質原子が入った侵入型固溶体を形成したりして、複合酸化物の粒子内部及び/又は粒子表面内部に溶質原子が固溶していると考えられる。固溶体であることは黒色顔料のX線回折の結果から複合酸化物以外の別相のピークが現れないことで確認することができる。複合酸化物がCaFeにおいては、Feの溶媒原子に前記の溶質原子が置換した固溶体を形成していると推察しており、後述の固溶量0.05〜5モル%は、モル比でCa:Fe:O(酸素):溶質原子=2:2−X:5:Xで表すとX=0.0045〜0.45となる。
前記の溶質原子は、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素であり、その他の元素、例えばAl、B、Y、La、Biの3価元素、Si、Ti、Snの4価元素、Mo、W、Nb、Taを固溶しても、十分な黒色度は得られない。その固溶量は0.05〜5モル%が重要であり、黒色度を後述する明度指数L値で表して30以下程度が好ましく、25以下がより好ましい。固溶量は、Ca、Fe、O(酸素)、溶質原子の各成分のモル数の合計に対する溶質原子のモル%で表す。Ca、Fe、溶質原子のモル数は蛍光X線分析から求め、それらの成分の価数から電荷バランスを維持するのに必要なO(酸素)のモル数を算出する。
CaFe等のCaとFeとを含有する複合酸化物自体は、赤色顔料として知られたものであるが、このものに前記の溶質原子を固溶させると、色目を赤色から黒色へと変化させることができる。溶質原子の固溶量が0.05モル%より少ないと黒色化が十分ではないが、0.05〜5モル%であると十分な黒色度を有し、黒色顔料として用いることができる。黒色度はCIE 1976 Lab(L表色系)の明度指数L値で表され、黒色顔料ではL値が小さいほど黒色度が強いことを示す。固溶量が0.05モル%以上であるとL値が30以下程度の黒色度を有しやすく、固溶量を増加させるとL値が徐々に低くなり、黒色度がより高くなって、5モル%以下の少ない量であってもL値が15〜30程度、より好ましくは15〜25程度の黒色度に調整することができる。一方、5モル%を超える量を加えても複合酸化物以外の別相のX線回折ピークが現れ、固溶体を生成できない。より好ましい固溶量は0.1〜4モル%であり、更に好ましくは0.5〜3モル%である。また、本発明の黒色顔料は、波長400〜700nmの可視域の光を吸収すると色目がより黒くなるため好ましく、その可視光の分光反射率が約10%以下であるのが好ましい。
また、L値と同様にして求められるL表色系のa値、b値は色相彩度を表す指数であり、a値が正側に大きくなるほど赤味が強く負側に大きくなるほど緑味が強いことを示し、b値が正側に大きくなるほど黄味が強く負側に大きくなるほど青味が強いことを示す。本発明の黒色顔料においては例えばa値が0〜20程度に赤味を抑えることができ、b値が−1〜10程度に黄色味を抑えることができる。
また、本発明の黒色顔料は、更に十分な近赤外線遮蔽能を有するため、近赤外線遮蔽材料として用いることができる。溶質原子は、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素であり、好ましくはMg及び/又はMnの元素であって、それらの溶質原子を0.05〜5モル%固溶させる。CaFe等のCaとFeとを含有する複合酸化物自体は、赤色の光を反射するため、近赤外線遮蔽能に優れているが、このものに前記の溶媒原子を固溶すると、近赤外線遮蔽能は低下する。しかしながら、固溶量が0.05〜5モル%であれば、十分な近赤外線遮蔽能を保持できる。近赤外線遮蔽能を太陽光中の波長700〜2100nmの範囲の近赤外線の反射率(以下、日射反射率といい、JIS R 3106に準じて、分光反射率に太陽光のエネルギー分布を表現する重価係数をかけて算出する)で表して10%以上が好ましく、12%以上がより好ましく、15%以上が更に好ましく、20%以上が更により好ましく、40%以上が最も好ましい。Mg及び/又はMnの場合、日射反射率と黒色度の兼ね合いから、より好ましい固溶量は0.1〜4モル%であり、更に好ましくは0.5〜3モル%である。Znの場合、より好ましい固溶量は0.3〜2.5モル%であり、更に好ましくは0.4〜2モル%である。また、波長700〜2100nmの近赤外線の分光反射率は日射反射率に相応するため高いのが好ましく、具体的には約10%以上がより好ましい。
本発明の黒色顔料には、不可避的に各種原料由来の不純物が混入している場合があるが、Crはできる限り含有していないのが好ましく、不純物として含有していても1重量%以下であり、特に安全性の懸念があるCr6+の含有量は10ppm以下であるのが好ましい。
本発明の黒色顔料は、製造条件を変更することにより、種々の粒子形状や粒子径を有するものを製造することができる。粒子形状としては例えば板状、粒状、略球状、針状、不定形状等であってもよく、電子顕微鏡写真から測定される平均粒子径(粒子1個の最大径の算術平均値)としては0.02〜5.0μm程度のものが好ましい。平均粒子径が5.0μmを超える場合には、粒子サイズが大きすぎるため、着色力が低下する。平均粒子径が0.02μm未満の場合には、塗料中への分散が困難となる場合がある。このため、平均粒子径は好ましくは0.1〜5.0μm、より好ましくは0.2〜4.5μmであり、更に好ましくは0.3〜4.0μmである。BET比表面積値は0.1〜15m/g程度が好ましい。BET比表面積値が0.1m/g未満の場合には、粒子が粗大であったり、粒子及び粒子相互間で焼結が生じた粒子となっており、着色力が低下する。より好ましくは0.5〜10m/g、更に好ましくは0.5〜5m/gである。
また、本発明の黒色顔料を近赤外線遮蔽材料として用いる場合、近赤外線遮蔽能は黒色顔料の粒子サイズにも影響を受けるため、電子顕微鏡写真から測定される平均粒子径(粒子1個の最大径の算術平均値)が0.1〜5.0μmの範囲であれば近赤外線遮蔽能がより高くなるため好ましく、より好ましくは0.2〜2.0μm、更に好ましくは0.3〜1.0μmである。また、BET比表面積値で表すと、0.3〜15.0m/gの範囲であれば近赤外線遮蔽能がより高くなるため好ましく、より好ましくは0.7〜8.0m/g、更に好ましくは1.4〜5.0m/gである。
本発明の黒色顔料は、塗料、プラスチック、セラミック、インキ、電子材料などの着色剤として用いることができるが、配合する溶剤、樹脂への分散性を高めるなどのために、必要に応じて粒子表面に無機化合物や有機化合物を被覆してもよい。無機化合物としては、例えば、ケイ素、ジルコニウム、アルミニウム、チタニウムの酸化物、水和酸化物が挙げられ、有機化合物としては、例えば、有機ケイ素化合物、有機金属化合物、ポリオール類、アルカノールアミン類又はその誘導体、高級脂肪酸類又はその金属塩、高級炭化水素類又はその誘導体等が挙げられ、これらから選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
本発明の黒色顔料は、カルシウム化合物と鉄化合物と、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物とを混合し、焼成して、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶させて製造する。カルシウム化合物は酸化カルシウム、炭酸カルシウム、フッ化カルシウム等を用いることができ、鉄化合物は酸化鉄、水酸化鉄等を用いることができる。マグネシウム化合物としては酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、フッ化マグネシウム等が挙げられ、マンガン化合物としては酸化マンガン、炭酸マンガン、フッ化マンガン等が挙げられ、亜鉛化合物としては酸化亜鉛、フッ化亜鉛、シュウ酸亜鉛等が挙げられ、それらの化合物から適宜選択して用いることができる。本発明では、鉄化合物としては酸化鉄、カルシウム化合物としては炭酸カルシウム、マグネシウム化合物としては酸化マグネシウム、マンガン化合物としては酸化マンガン、亜鉛化合物としては酸化亜鉛が、取り扱いやすさ、安定性などの点で好ましい。
次に、前記のそれぞれの原料化合物を秤量し、混合する。混合方法は、粉体の状態で混合する乾式混合、スラリーの状態で混合する湿式混合のいずれでもよく、撹拌混合機等の従来の混合機を用いて行うことができる。また、各種の粉砕機、噴霧乾燥機、造粒機、成形機等を用いて、粉砕、乾燥、造粒、成形の際に混合することもできる。
次いで、原料化合物の混合物を必要に応じて造粒、成形した後、焼成する。焼成の温度は少なくとも原料化合物が固相反応して固溶体を生成する温度であればよく、例えば1000〜1300℃の範囲の温度であればよい。焼成時の雰囲気はいずれの雰囲気でも行えるが、十分な黒色度や近赤外線遮蔽能を保持するためには空気中で焼成するのが好ましい。上記焼成により得られた黒色顔料は、粉末、成形体等種々の形態で使用することができるが、粉末として用いる場合には、必要に応じて適宜粉砕して粒度を整えてもよく、成形体として用いる場合は、粉末を適当な大きさ、形に成形してもよい。粉砕機は例えば、ハンマーミル、ピンミル等の衝撃粉砕機、ローラーミル、パルベライザー等の摩砕粉砕機、ジェットミル等の気流粉砕機を用いることができる。成形機は例えば押出し成形機等の汎用の成形機、造粒機を用いることができる。
次に、本発明は、前記の黒色顔料を配合してなる塗料であって、本発明の塗料には、インキやインクといわれる組成物を含む。また、本発明は、前記の黒色顔料を含有してなる樹脂組成物である。また、本発明は、前記の黒色顔料を配合してなる塗料が塗布されている黒色材、近赤外線遮蔽材である。
本発明の黒色顔料は、塗料、インキやフィルム等のプラスチック成形物などの樹脂に配合すると、その優れた着色性能を利用した組成物とすることができる。塗料、インキ、樹脂組成物には、樹脂に対して黒色顔料を任意の量を配合することができ、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは1重量%以上、更に好ましくは10重量%以上を配合することができる。また、そのほかにそれぞれの分野で使用される組成物形成材料を配合し、更に各種の添加剤を配合してもよい。
具合的には、塗料やインキとする場合、塗膜形成材料又はインキ膜形成材料のほかに、溶剤、分散剤、顔料、充填剤、骨材、増粘剤、フローコントロール剤、レベリング剤、硬化剤、架橋剤、硬化用触媒などを配合することができる。塗膜形成材料としては例えば、アクリル系樹脂、アルキド系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アミノ系樹脂などの有機系成分や、オルガノシリケート、オルガノチタネート、セメント、石膏などの無機系成分を用いることができる。インキ膜形成材料としては、ウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド系樹脂、塩酢ビ系樹脂、塩素化プロピレン系樹脂などを用いることができる。これらの塗膜形成材料、インキ膜形成材料には、熱硬化性樹脂、常温硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂など各種のものを用いることができ特に制限はないが、モノマーやオリゴマーの紫外線硬化性樹脂を用い、光重合開始剤や光増感剤を配合し、塗布後に紫外光を照射して硬化させると、基材に熱負荷を掛けず、硬度や密着性の優れた塗膜が得られるので好ましい。
本発明の塗料は基材上に塗布して黒色材、近赤外線遮蔽材を製造することができる。この黒色材は、着色材として用いることができ、近赤外線遮蔽材は近赤外線を遮蔽して遮熱材としても用いることができる。基材としては、種々の材料、材質のものを用いることができる。具体的には各種建材や土木材料等を使用することができ、製造された黒色材、近赤外線遮蔽材は、家屋や工場等の屋根材、壁材又は床材、あるいは、道路や歩道を構成する舗装材などとして使用することができる。黒色材、近赤外線遮蔽材の厚みは、各種の用途に応じて任意に設定でき、例えば、屋根材として用いる場合には、概ね0.1〜0.6mm、好ましくは0.1〜0.3mmとし、舗装材として用いる場合には、概ね0.5〜5mm、好ましくは1〜5mmとする。基材上に塗布するには、塗布、吹き付けによる方法や、コテによる方法が可能であり、塗布後必要に応じて乾燥したり、焼付けしたり、養生したりしてもよい。
また、樹脂組成物とする場合、樹脂のほかに、顔料、染料、分散剤、滑剤、酸化防止材、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、難燃剤、殺菌剤などを本発明の黒色顔料とともに練り込み、フィルム状などの任意の形状に成形する。樹脂としては、ポリオレフィン系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、アクリル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、フッ素系樹脂、ポリアミド系樹脂、セルロース系樹脂、ポリ乳酸系樹脂などの熱可塑性樹脂、フェノール系樹脂、ウレタン系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることができる。このような樹脂組成物は、フィルム、シート、板等の任意の形状に成形して、工業用、農業用、家庭用等の黒色材、近赤外線遮蔽材として用いることができる。また、近赤外線を遮蔽して遮熱材としても用いることができる。
以下、本発明を実施例、比較例により説明するが、本発明はそれらの実施例に限定されるものではない。
実施例1
炭酸カルシウムCaCO(高純度化学研究所製、99.99%)3.65g、三酸化二鉄Fe(高純度化学研究所製、99%)2.56g及び酸化亜鉛ZnO(高純度化学研究所製、99.99%)0.36gをメノウ乳鉢で十分に混合・撹拌した後、アルミナルツボに所定量いれ、空気中1100℃で2時間の焼成を行って、本発明の黒色顔料(試料A)を得た。
試料Aは、蛍光X線分析等の結果から全成分のモル数に対してZnを2.7モル%固溶していた。
なお、蛍光X線分析の結果からモル比で表してZn/Ca=0.120、Zn/Fe=0.140であったことから、ブラウンミラーライト構造を有するCa(Fe1.76Zn0.24)Oで表される組成物であると推定された。
実施例2
炭酸カルシウムCaCO(高純度化学研究所製、99.99%)3.67g、三酸化二鉄Fe(高純度化学研究所製、99%)2.84g及び酸化亜鉛ZnO(高純度化学研究所製、99.99%)0.09gをメノウ乳鉢で十分に混合・撹拌した後、アルミナルツボに所定量いれ、空気中1100℃で2時間の焼成を行って、本発明の黒色顔料(試料B)を得た。
試料Bは、蛍光X線分析等の結果から全成分のモル数に対してZnを0.67モル%固溶していた。
なお、蛍光X線分析の結果からモル比で表してZn/Ca=0.030、Zn/Fe=0.031であったことから、ブラウンミラーライト構造を有するCa(Fe1.94Zn0.06)Oで表される組成物であると推定された。
実施例3
炭酸カルシウムCaCO(高純度化学研究所製、99.99%)3.68g、三酸化二鉄Fe(高純度化学研究所製、99%)2.59g及び二酸化マンガンMnO(高純度化学研究所製、99.99%)0.38gをメノウ乳鉢で十分に混合・撹拌した後、アルミナルツボに所定量いれ、空気中1100℃で2時間の焼成を行って、本発明の黒色顔料(試料C)を得た。
試料Cは、蛍光X線分析等の結果から全成分のモル数に対してMnを2.7モル%固溶していた。
なお、蛍光X線分析の結果からモル比で表してMn/Ca=0.120、Mn/Fe=0.140であったことから、ブラウンミラーライト構造を有するCa(Fe1.76Mn0.24)Oで表される組成物であると推定された。
実施例4
炭酸カルシウムCaCO(高純度化学研究所製、99.99%)3.68g、三酸化二鉄Fe(高純度化学研究所製、99%)2.85g及び二酸化マンガンMnO(高純度化学研究所製、99.99%)0.10gをメノウ乳鉢で十分に混合・撹拌した後、アルミナルツボに所定量いれ、空気中1100℃で2時間の焼成を行って、本発明の黒色顔料(試料D)を得た。
試料Dは、蛍光X線分析等の結果から全成分のモル数に対してMnを0.67モル%固溶していた。
なお、蛍光X線分析の結果からモル比で表してMn/Ca=0.030、Mn/Fe=0.031であったことから、ブラウンミラーライト構造を有するCa(Fe1.94Mn0.06)Oで表される組成物であると推定された。
実施例5
炭酸カルシウムCaCO(高純度化学研究所製、99.99%)3.79g、三酸化二鉄Fe(高純度化学研究所製、99%)2.66g及び酸化マグネシウムMgO(高純度化学研究所製、99.99%)0.18gをメノウ乳鉢で十分に混合・撹拌した後、アルミナルツボに所定量いれ、空気中1100℃で2時間の焼成を行って、本発明の黒色顔料(試料E)を得た。
試料Eは、蛍光X線分析等の結果から全成分のモル数に対してMgを0.67モル%固溶していた。
なお、蛍光X線分析の結果からモル比で表してMg/Ca=0.030、Mg/Fe=0.031であったことから、ブラウンミラーライト構造を有するCa(Fe1.94Mg0.06)Oで表される組成物であると推定された。
比較例1
炭酸カルシウムCaCO(高純度化学研究所製、99.99%)3.68g、三酸化二鉄Fe(高純度化学研究所製、99%)2.94gをメノウ乳鉢で十分に混合・撹拌した後、アルミナルツボに所定量いれ、空気中1100℃で2時間の焼成を行って、比較試料(試料F)を得た。
試料Fは、ブラウンミラーライト構造を有する複合酸化物(CaFe)自体であった。
比較例2
炭酸カルシウムCaCO(高純度化学研究所製、99.99%)2.32g、三酸化二鉄Fe(高純度化学研究所製、99%)3.70gをメノウ乳鉢で十分に混合・撹拌した後、アルミナルツボに所定量いれ、空気中1100℃で2時間の焼成を行って、比較試料(試料G)を得た。
試料Gは、複合酸化物(CaFe)自体であった。
実施例、比較例で得た試料(A〜F)をメノウ乳鉢で十分に粉砕した後、30mmφのアルミリングに試料をいれ、9.8MPaの加重をかけ、プレス成型し、白色度計NW−1(日本電色工業社製)で粉体の色を測定し、その結果を表1に示した。実施例で得られた試料A〜Eは、L値が30以下であり、十分な黒色度を有しており、しかも、a値は0〜20程度であり、b値は−1〜10程度の色相を示すことから、本発明は黒色顔料として用いられるものであることがわかった。一方、比較例で得られた試料FはL値が30より大きく、a値は20以上(赤味が強い)であり、b値も比較的高い値であった。また、試料GのL値、a値、b値は未測定であるが目視から、赤味が強く黒色顔料としては使用できないものであった。
また、実施例、比較例で得た試料(A〜F)を専用セルに入れ、紫外可視近赤外分光光度計V−570(日本分光社製、標準反射板としてスペクトラロン<Labsphere社製>を使用)で分光反射率(波長350〜2100nmの光の反射率)を測定し、次いで、JIS R 3106に準じて日射反射率(太陽光中の波長700〜2100nmの範囲の近赤外線の反射率)を計算し、表1に示した。
実施例で得られた試料A〜Eの日射反射率は比較例1の試料Fの値よりいずれも低いものであったが、試料Aでは10%程度、試料Bでは14%程度、試料C、Eでは20%程度、試料Dでは40%を超えていることから、十分な近赤外線遮蔽能を有すること、特に試料B〜Eでは良好な近赤外線遮蔽能を有することがわかった。
Figure 0005285307
本発明の黒色顔料は、カルシウム、鉄、酸素と、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素とを含む複合酸化物であって、十分な黒色度を有する無機系黒色顔料であり、熱安定性、耐熱性にも優れ、安全性、環境問題に懸念がないなど、優れた特徴を有することから、塗料、インキ、樹脂組成物等の種々の着色剤用途に利用することができる。
また、本発明の黒色顔料は、十分な近赤外線遮蔽能を保持しており、建築物の屋根や外壁に塗装したり、フィルム、シート等の樹脂組成物として、ヒートアイランド現象の緩和等に利用することができる。
しかも、高価な原料を使用せず、大気中で製造することができるために比較的安価に製造することができる。
試料Aの粒子形状を表す電子顕微鏡写真である。 試料Cの粒子形状を表す電子顕微鏡写真である。 試料Eの粒子形状を表す電子顕微鏡写真である。 試料Fの粒子形状を表す電子顕微鏡写真である。

Claims (9)

  1. CaとFeとを含有し、ブラウンミラーライト構造を有する複合酸化物に、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶してなる黒色顔料。
  2. CaとFeとを含有し、ブラウンミラーライト構造を有する複合酸化物に、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶してなる近赤外線遮蔽用黒色顔料。
  3. 黒色度(L*値)が30以下である請求項1又は2に記載の黒色顔料。
  4. JIS R 3106に準じて算出した波長700〜2100nmの範囲の日射反射率が10%以上である請求項2に記載の黒色顔料
  5. カルシウム化合物と鉄化合物と、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を含む化合物とを混合し、焼成して、焼成して、CaとFeとを含有し、ブラウンミラーライト構造を有する複合酸化物に、Mg、Mn及びZnから選ばれる少なくとも一種の元素を0.05〜5モル%固溶させることを特徴とする黒色顔料の製造方法。
  6. 請求項1又は2に記載の黒色顔料を配合してなる塗料。
  7. 基材上に請求項に記載の塗料が塗布されている黒色材。
  8. 基材上に請求項に記載の塗料が塗布されている近赤外線遮蔽材。
  9. 請求項1又は2に記載の黒色顔料を含有してなる樹脂組成物。
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